JPH0688217A - 両面同時スパッタ成膜方法及び成膜装置 - Google Patents

両面同時スパッタ成膜方法及び成膜装置

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JPH0688217A
JPH0688217A JP24049992A JP24049992A JPH0688217A JP H0688217 A JPH0688217 A JP H0688217A JP 24049992 A JP24049992 A JP 24049992A JP 24049992 A JP24049992 A JP 24049992A JP H0688217 A JPH0688217 A JP H0688217A
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film
sputtering
substrate
target
film formation
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JP24049992A
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Tamotsu Shimizu
保 清水
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ターゲットのエロージョン領域を拡大しターゲ
ット利用効率を上げると共に、被成膜基板の膜厚の均一
化と基板面内で均質な膜を形成することのできる両面同
時スパッタ成膜方法及び成膜装置を得ることにある。 【構成】被成膜基板1を対称面2として互いに対称な位
置にプラズマ8、8’を同時に発生させ、スパッタター
ゲット5、5’面上でプラズマ8、8’を連続もしくは
断続的に移動させながら成膜する。 【効果】ターゲットのエロージョン領域を拡大できるの
でターゲット材料の有効利用が図れ、かつ成膜速度の向
上と膜厚の均一化が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスク等の薄膜
形成用スパッタ成膜方法及びスパッタ成膜装置に係り、
特に被成膜基板の両面から同時にスパッタ成膜するに好
適な両面同時スパッタ成膜方法及びスパッタ成膜装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気ディスクの薄膜形成用スパッ
タ装置の一例として、被成膜基板となるディスクの両面
側にスパッタ電極(ターゲット電極を兼ねる)を配置
し、そのスパッタ電極からディスク両面に同時にスパッ
タ成膜を行うものが知られている。なお、この種の技術
に関連するものとして、例えば「アルバック テクニカ
ルジャーナル」1991年11月号No.37、第59
頁〜第65頁が挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術例に記
載されているスパッタ装置は、形成する薄膜の被成膜基
板内での膜厚分布が±5%以下の均一な膜を形成するた
めに、スパッタ電極に対して被成膜基板を移動させなが
ら成膜する方法が用いられていた。この方法は一般には
通過成膜法と呼ばれている。しかし、磁気ディスク媒体
の高密度化に伴い磁気薄膜の高保磁力化、高角型性化等
の高品質化の要求が高まっており、この要求に応えるた
めスパッタ電極に対して被成膜基板を固定して成膜する
方法が用いられ始めている。この方法は、一般には固定
成膜法と呼ばれている。
【0004】この固定成膜法においては、均一な膜厚分
布を得るため被成膜基板の大きさに応じて被成膜基板と
スパッタターゲット間の距離を適当な距離に設定してい
る。例えば、直径150ミリメートルの被成膜基板の場
合、被成膜基板とスパッタターゲット間の距離は70ミ
リメートル程度に設定されている。このためスパッタタ
ーゲットから放出された成膜粒子のうち、実際に基板上
に成膜されるのは約10%程度で、成膜粒子の収集効率
が非常に低かった。すなわち、膜厚分布を均一にするた
めに成膜粒子の収集効率を犠牲にせざるを得ず、基板と
スパッタターゲット間の距離を短縮するにもこれが限界
であった。したがって、高価な磁性ターゲット材料を不
経済に使用せざるを得なかった。また、基板の両側に対
向して配設されたターゲット面に対して、相手側のター
ゲット上にプラズマを閉じ込めるために印加した磁界が
相互に干渉しなようにするためにもこの距離を磁界が干
渉し合わない適当な距離に設定せざるを得なかった。す
なわち、これらの磁界が相互に干渉し合うとプラズマの
安定性が損なわれるからである。
【0005】また、磁気ディスクの保護膜として用いら
れている炭素膜のスパッタ成膜においては、ターゲット
の浸食(一般にエロージョンと呼ばれている)に伴って
ターゲット自身に含まれる不純物が表面に堆積してくる
ため高電力を印加すると炭素のスパッタターゲット表面
で異常放電を生じ、このため印加電力を低く押さえる必
要があった。すなわち、高密度の電力を投入することが
できず、その結果、成膜速度が遅いことが量産上の課題
となっていた。
【0006】したがって、本発明の目的は上記従来の問
題点を解消することにあり、主たる目的は±5%以下の
均一な膜厚分布を確保しながら、成膜粒子の収集効率を
格段に向上させる成膜方法を提供することにある。ま
た、本発明の他の目的は±5%以下の均一な膜厚分布を
確保しながら、スパッタターゲットの利用率向上を達成
すると共に、炭素膜の成膜速度を向上させることにあ
る。また、本発明の他の目的は両面同時固定成膜の際、
被成膜基板に両面から均一に熱が入射するようにして、
熱歪による被成膜基板の反りを防止し、被成膜基板面に
均一な膜が形成できる成膜方法を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は両面同時固定成膜時、
被成膜基板の両側にあるスパッタ電極からの磁場が干渉
してプラズマが不安定になったり放電が停止することを
防止して、安定に高品質な膜を形成できる成膜方法を提
供することにある。そして本発明の最終的な目的は、こ
れらの成膜方法を実現できる改良されたスパッタ成膜装
置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は被成膜基板を
対称面として互いに対称な位置に電子温度、電子密度イ
オン密度、イオン温度などの特性が等しいプラズマを同
時に発生させ、好ましくはスパッタターゲット面上でこ
のプラズマを連続もしくは断続的に両面同時に移動させ
ながら成膜することにより達成できる。すなわち、被成
膜基板とスパッタターゲット間の距離を充分に相互の磁
界が干渉し合う距離に保持すると共に、被成膜基板の両
側のスパッタターゲット面上に発生するプラズマの形
状、特性を時間的にも空間的にも常に同一とするもので
ある。
【0008】
【作用】上記手段による作用についてその原理を図面に
したがって説明する。図1はスパッタ電極を主体とした
スパッタ成膜装置の要部断面図である。被成膜基板1と
して例えば磁気ディスクのような円板状基板を考える。
基板1の両側にスパッタ電極3、3’を同心軸0上に配
置する。スパッタ電極3(3’)は、下記のような構造
を持つ。すなわち、二対のコイル4−1(4’−1何れ
も外側コイル)、4−2(4’−2何れも内側コイル)
が、成膜材料であるスパッタターゲット5(5’)の裏
面に、断面が櫛状のヨーク6(6’)内に配置されてい
る。
【0009】二対のコイルへの通電電流を変化させるこ
とで、ターゲット上の磁束密度の分布は図2のように変
化する。図2は基板1の片側における単一のスパッタ電
極の様子を示したものであり、例えば両コイル4−1、
4−2にコイル用直流電源9−1、9−2から互いに逆
方向に電流を流すと、それにより発生する磁場による磁
力線7のターゲット5と平行になる位置が基板1の中心
側になり(図中の破線の磁力線)、逆に両コイルに同方
向に電流を流すと、それにより発生する磁場による磁力
線7のターゲットと平行になる位置が基板の外方向へ移
動する(図中の実線の磁力線)。それに伴って後述する
ように発生するプラズマ8の位置が、破線から実線表示
に移動する。なお、図中のA−Aはプラズマ8の移動距
離を示している。
【0010】ターゲット5にスパッタ電源10から高電
圧を印加すると、ターゲット面と磁力線7で形成される
トンネル状の領域にプラズマ8が発生するので、二対の
コイルへの印加電流の大きさや、方向を変えることでプ
ラズマ位置を制御することが出来る。この様な方式によ
るプラズマ移動型スパッタ電極については特許公開昭5
8−71372号公報に詳しく記載されている。
【0011】図1において同じ特性を持ったスパッタ電
極3、3’を被成膜基板1を対称面2として対称な位置
に配置する。各スパッタ電極3(3’)のコイル4−1
(4’−1何れも外側コイル)、4−2(4’−2何れ
も内側コイル)へ、それぞれ同じ条件で電流を通電し、
かつターゲット5、5’に同電力を供給する。図3に各
コイルおよびターゲットへ印加する電流と電力の投入パ
ターンの一例を示す。この様に両スパッタ電極3、3’
への通電条件及び両ターゲット5(5’)に印加する電
力を、それぞれ同じにすることにより図1に示したよう
に被成膜基板1の両側に被成膜基板1を対称面2とした
対称なプラズマ8、8’を形成することができる。この
ことにより、成膜基板1の両側から同じようにプラズマ
やターゲットからの輻射熱やプラズマからエネルギーの
高い荷電粒子が入射するため、被成膜基板1の熱歪によ
るそりを防止出来、均一な膜を形成することが出来る。
【0012】また、図2で説明したようにコイルに供給
する電流を制御して磁界を変化させ、それに基づいてプ
ラズマ8を移動させることによりターゲットのより広い
部分からスパッタさせることができるためターゲットの
利用率向上が図れる。また、プラズマ位置が固定された
方式のスパッタ電極に比べ、ターゲットの広い部分から
スパッタさせることができるためターゲット5と被成膜
基板1との距離を短くしても被成膜基板内で均一な膜厚
分布を得ることができるので、ターゲットから飛び出す
成膜粒子を効率良く(少なくとも従来の2倍)被成膜基
板へ付着させることができ、成膜速度を向上させること
ができる。成膜速度を向上させる要因としては、ターゲ
ットと基板間の距離の短縮、ターゲットに印加する電力
の増大、プラズマの移動によりターゲットの広い面積に
わたってスパッタを生じさせること等が考えられる。
【0013】また、ターゲット5の広い部分からスパッ
タさせることができるのでターゲットへ印加する単位面
積当たりの電力を異常放電が起こらない程度に押さえな
がら高電力を印加できるので、上記従来の炭素膜のスパ
ッタ成膜の問題点を解決することが出来、炭素膜の成膜
速度の向上が図れる。なお、上述したようにプラズマの
移動に際しては、両方のプラズマが時間的、空間的に両
ターゲット面5(5’)に対して全く等しい条件下で行
なうことを原則とする。
【0014】図4は、同じ特性を持ったスパッタ電極3
(3’)を被成膜基板1を対称面2として対称な位置に
配置し、各スパッタ電極のコイルへ通電する電流条件に
よる磁場の変化を示す。同図(a)は、単体のスパッタ
電極または二つのスパッタ電極が十分離れて磁場の干渉
が無視出来る場合の磁場を示す(比較例)。同図(b)
は、両電極への通電条件が等しく、対称な磁場を形成
し、基板1に両電極を近付けて、すなわち、ターゲット
5(5’)と基板1間の距離を短縮して両方の磁場を互
いに充分に干渉させた後の磁場を示す(本発明)。そし
て同図(c)は、両電極のコイルへの通電条件が異なり
非対称な磁場を形成したときの干渉後の磁場を示す(比
較例)。ここで対称、非対称とは対称面2に関しての対
称性を言い、同心軸0に対しての対称性のことではな
い。また、同図(b)、同図(c)ではスパッタ電極3
(3’)は省略してあり、ターゲット5(5’)のみ図
示している。同図(c)の場合、被成膜基板1の両側で
磁界分布が異なるため被成膜基板1を対称面2とする対
称なプラズマを発生させることが出来ない。同図(b)
に示す様に同じ特性を持ったスパッタ電極を成膜基板1
を対称面2として対称な位置に配置し、各スパッタ電極
のコイルへ同じ条件(同じ電流量、同じ向き)で電流を
通電することにより、両電極が互いに干渉しない程度に
離れた時に形成される磁場〔同図(a)〕と同様、ター
ゲット面および被成膜基板上に被成膜基板を対称面とし
て対称な磁場が形成されるためプラズマが不安定になっ
たり、放電が停止することがない。この結果、安定に高
品質な膜を形成することができる。また、同図(a)と
同図(b)を比較すると判るように、各ターゲット面で
ターゲット面に平行な磁力線8(8’)の幅a−aが拡
がり、ブロードなプラズマを形成することができる。こ
の結果、単位面積当たりの投入電力は一定でも高電力を
投入できるので成膜速度の向上が図れる。成膜速度が向
上すると成膜時の雰囲気から膜中に捕らえられる不純物
が少なくなり、高品質な膜を得ることが出来る。
【0015】
【実施例】以下、図面にしたがって本発明の一実施例を
説明する。
【0016】〈実施例1〉図1は、本発明スパッタ成膜
方法及び装置の一実施例を示したもので、被成膜基板1
を対称面2として一対の等しいプレーナマグネトロン型
スパッタ電極3、3’が対称に配置されている。スパッ
タ電極は回転軸対称である。さらに被成膜基板1は円形
で、基板の中心軸0と同軸上にスパッタ電極3、3’が
配置されている。スパッタ電極3、3’は、それぞれ一
対のコイル4−1(4−1’何れも外側コイル)と4−
2(4−2’何れも内側コイル)が成膜材料であるスパ
ッタターゲット5、5’の裏面に、断面が櫛状のヨーク
6、6’内に配置されたもので構成されている。9、
9’は磁界を発生させるためのコイル用直流電源であ
り、10、10’はスパッタ電源でターゲット5、5’
とアノード12、12’に接続して電力を供給する。
【0017】一対のコイルへの通電電流を変化させるこ
とにより、ターゲット上の磁場分布を図2のように変化
させることが出来る。図2で実線の磁力線7は、一対の
コイル4−1、4−2への通電電流を同方向に流したと
きであり、破線の磁力線はコイルへの通電電流を互いに
逆方向に流したときのものである。磁場分布は一対のコ
イルに流す通電方向だけでなく外側コイルと内側コイル
に流す通電電流の電流量の比を変えることによっても可
能である。このときコイル電流−スパッタ電力装置11
により各スパッタ電極3、3’のコイルへの通電条件を
互いに同じにし、かつ両ターゲット5、5’に印加する
電力を等しくすることで、被成膜基板1を対称面2とし
て対称な位置にプラズマ8、8’を形成する。通電条件
の一例を図3に示す。この様な条件で通電することによ
り、電子密度、電子温度、イオン温度、イオン密度など
が等しい同特性の、かつ大きさの等しいプラズマ8、
8’を被成膜基板1を対称面2として対称な位置に形成
することができる。この結果、被成膜基板1の両側から
同じようにプラズマやターゲットからの輻射熱やプラズ
マからの荷電粒子が入射するため被成膜基板の熱歪によ
る反りを防止することができ、均一な膜を形成すること
ができる。また、被成膜基板1の両側のプラズマ8、
8’を対称関係を維持しながら移動させることにより被
成膜基板の両側からの磁場が互いに干渉しても図4
(b)に示すようにターゲット面および被成膜基板上に
被成膜基板を対称面2として対称な磁場が形成されるた
めプラズマが不安定になったり、放電が停止することが
ない。
【0018】この結果、安定に高品質な膜を形成でき
る。さらにターゲット5、5’と被成膜基板1を近づけ
ると、磁場の干渉の度合いが大きくなりその結果ターゲ
ット面上でターゲットに平行な磁力線a−a(図4に図
示)の領域が伸びるのでブロードなプラズマを形成する
ことができる。例えば、従来のプレーナマグネトロン型
スパッタ電極を用いた固定成膜式では直径150ミリメ
ートルの被成膜基板に対して、プラズマリング径:直径
150ミリメートル、プラズマリングの幅:20ミリメ
ートルの場合、膜厚分布を±5%以下にするため被成膜
基板とスパッタターゲット間の距離は70ミリメートル
程度に設定する必要があった。ところが本発明では、プ
ラズマを移動したり、ブロードなプラズマを形成できる
ので、プラズマリングの幅を40〜60ミリメートルに
拡げることができ、被成膜基板とスパッタターゲット間
の距離を40ミリメートル程度に短縮、設定しても膜厚
分布を±5%以下の均一な分布にすることができる。ま
た、成膜速度も従来よりも約50%向上する。さらに、
ブロードなプラズマを炭素膜の形成に用いれば、印加で
きる電力を従来よりも大電力にすることができるので炭
素膜の高速成膜に適している。例えば上記でプラズマリ
ングの幅が20ミリメートルから60ミリメートルへ拡
大できることによって入力電力は3.5倍になり成膜速
度は5.25倍に向上する。また、本実施例を磁性膜の
形成に用いた場合、被成膜基板内において放射状の対称
な磁場が形成され動径方向に磁場がないため円周方向の
磁気特性が均一な磁性膜を形成することが可能となり、
磁気ディスクの磁気特性が向上する。上記実施例では、
ターゲット5、5’として金属磁性材料や炭素等の導体
を使用したが、従来のスパッタターゲットと同様に絶縁
物をも用いることができることは云うまでもない。
【0019】〈実施例2〉図5は、本発明の他の実施例
を示すもので、磁界発生手段として実施例1の電磁石の
代わりに永久磁石を用いて構成したものである。同図
は、装置要部の概略断面図を示している。被成膜基板1
を対称面2として一対の軸対称型プレーナマグネトロン
型スパッタ電極3、3’が対称に配置されている。スパ
ッタ電極3、3’は成膜材料からなるターゲット5、
5’の裏面に、リング状の永久磁石13、13’が配置
され、ターゲット中心から距離dだけ偏心してモータ1
4,14’によって機械的に回転させる。すなわち、1
3a(13’a)は磁石の中心軸であり、その回転軸1
3b(13’b)はターゲットの中心軸Oと同軸であ
り、磁石の中心軸から距離dだけ偏心して回転する。
【0020】永久磁石13、13’は、検出器16、1
6’により位置を検出され、被成膜基板1を対称面2と
して常時対称な位置に来るようにモータ駆動およびスパ
ッタ電力制御装置15により制御される。両ターゲット
5、5’には、それぞれスパッタ電源10、10’から
モータ駆動およびスパッタ電力制御装置15からの制御
信号によって同一電力が供給される。ターゲットの利用
率を上げるのに最適な永久磁石の配置については特公平
2−40739号及び特公平3−6990号の各公報に
記載されている。本発明では被成膜基板1を対称面2と
して永久磁石13、13’を対称に、同期して回転させ
るところに特徴がある。非対称な位置に永久磁石を配置
すると単体のスパッタ電極では最適であった磁場がそれ
ぞれのスパッタ電極の永久磁石によって発生する磁場が
干渉して磁場が変形してしまい、図6に示すように不適
切な磁場が形成されてしまう。この結果、上記各公報に
記載されているような効果、すなわち、均一な膜厚分布
やターゲットの寿命向上が望めない。また、プラズマが
不安定になったり放電が停止するしてしまう場合もあ
る。しかし、本発明のように被成膜基板1を対称面2と
して永久磁石13、13’を対称に、同期して回転させ
れば、図5に示すようにターゲット面に対して磁力線が
平行になる位置は変わらないのでプラズマの発生する位
置は変わらない。この結果、上記各公報に記載されてい
るように均一な膜厚分布やターゲットの寿命向上を図る
ことができる。またこの場合、双方の永久磁石からの磁
場の干渉によって磁力線のターゲット面に平行位置での
磁束密度は増加し、プラズマの不安定や放電の停止など
は起こらない。さらにこの場合、両ターゲット5、5’
に印加する電力を等しくすることにより、被成膜基板1
の両側から同じようにプラズマやターゲットからの輻射
熱やプラズマからの荷電粒子が入射するため被成膜基板
1の熱歪みによる反りを防止でき、均一な膜を形成する
ことができる。
【0021】さらにターゲット5、5’と被成膜基板1
を近づけると、干渉の度合いが大きくなり、その結果タ
ーゲット面上でターゲットに平行な磁力線7の領域が伸
びるので、ブロードなプラズマを形成することができ
る。このターゲットに平行な磁力線7の領域の伸びにつ
いては、実施例1の図4(b)の磁力線7にa−aで表
示した場合と同様である。このようなブロードなプラズ
マを形成することにより、例えば、従来のプレーナマグ
ネトロン型スパッタ電極を用いた固定成膜式では直径1
50ミリメートルの被成膜基板1に対して、プラズマリ
ング径:直径150ミリメートル、プラズマリングの
幅:20ミリメートルの場合、膜厚分布を±5%以下に
するため被成膜基板1とスパッタターゲット5、5’間
の距離は70ミリメートル程度に設定する必要があっ
た。しかし、本発明ではプラズマを移動したり、ブロー
ドなプラズマを形成できるので、プラズマリングの幅を
40〜60ミリメートルに拡げることができ、被成膜基
板とスパッタターゲット間の距離を40ミリメートル程
度に設定しても膜厚分布を±5%以下の均一な分布にす
ることができる。また、成膜速度も向上する。さらに、
ブロードなプラズマを炭素膜の形成に用いれば、印加で
きる電力を従来よりも大電力にすることができるので炭
素膜の高速成膜に適している。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、両面同時ス
パッタ成膜においてターゲットのエロージョン領域を拡
大できるので、ターゲットの寿命を延ばすことができ
る。さらに被成膜基板の膜厚の均一化と成膜速度の向上
を図ることができる。また、磁場の干渉により生じるプ
ラズマの不安定化と放電の停止を防止することができ
る。さらに、被成膜基板に両面から同量の輻射熱や荷電
粒子を入射させることができるので均一な膜を形成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための、そして一実施
例となるスパッタ電極を主体としたスパッタ成膜装置の
概略断面図。
【図2】同じく単一のスパッタ電極におけるコイルの通
電条件による磁界分布を示す概略断面図。
【図3】同じく両スパッタ電極への通電条件の一例を示
すダイヤグラム。
【図4】同じく二対のスパッタ電極のコイルへの通電電
流の変化による磁場の変化を模式的に示した断面図。
【図5】同じく他の実施例となるスパッタ電極を主体と
したスパッタ成膜装置の概略断面図。
【図6】同じく二つの永久磁石の回転位置が非対称とな
った比較例の場合におけるスパッタ電極の磁場の干渉作
用を示す図。
【符号の説明】
1…被成膜基板、 2
…対称面、3、3’…スパッタ電極、 4−
1、4’−1…外側コイル、4−2、4’−2…内側コ
イル、 5、5’…スパッタターゲット、
6、6’…ヨーク、 7、7’
…磁力線、8、8’…プラズマ、
9、9’…コイル用直流電源、10、10’…スパッ
タ電源、11…コイル電流−スパッタ電力設定制御装
置、12、12’…アノード、13、13’…永久磁
石、13a、13’a…永久磁石の中心軸、13b、1
3’b…永久磁石の回転軸、14、14’…モータ、1
5…モータ駆動−スパッタ電力制御装置 O…ターゲットの中心軸。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】一対のコイルへの通電電流を変化させるこ
とにより、ターゲット上の磁場分布を図2のように変化
させることが出来る。図2で実線の磁力線7は、一対の
コイル4−1、4−2への通電電流を同方向に流したと
きであり、破線の磁力線はコイルへの通電電流を互いに
逆方向に流したときのものである。磁場分布は一対のコ
イルに流す通電方向だけでなく外側コイルと内側コイル
に流す通電電流の電流量の比を変えることによっても可
能である。このときコイル電流−スパッタ電力設定制御
装置11により各スパッタ電極3、3’のコイルへの通
電条件を互いに同じにし、かつ両ターゲット5、5’に
印加する電力を等しくすることで、被成膜基板1を対称
面2として対称な位置にプラズマ8、8’を形成する。
通電条件の一例を図3に示す。この様な条件で通電する
ことにより、電子密度、電子温度、イオン温度、イオン
密度などが等しい同特性の、かつ大きさの等しいプラズ
マ8、8’を被成膜基板1を対称面2として対称な位置
に形成することができる。この結果、被成膜基板1の両
側から同じようにプラズマやターゲットからの輻射熱や
プラズマからの荷電粒子が入射するため被成膜基板の熱
歪による反りを防止することができ、均一な膜を形成す
ることができる。また、被成膜基板1の両側のプラズマ
8、8’を対称関係を維持しながら移動させることによ
り被成膜基板の両側からの磁場が互いに干渉しても図4
(b)に示すようにターゲット面および被成膜基板上に
被成膜基板を対称面2として対称な磁場が形成されるた
めプラズマが不安定になったり、放電が停止することが
ない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】この結果、安定に高品質な膜を形成でき
る。さらにターゲット5、5’と被成膜基板1を近づけ
ると、磁場の干渉の度合いが大きくなりその結果ターゲ
ット面上でターゲットに平行な磁力線a−a(図4に図
示)の領域が伸びるのでブロードなプラズマを形成する
ことができる。例えば、従来のプレーナマグネトロン型
スパッタ電極を用いた固定成膜式では直径150ミリメ
ートルの被成膜基板に対して、プラズマリング径:直径
150ミリメートル、プラズマリングの幅:20ミリメ
ートルの場合、膜厚分布を±5%以下にするため被成膜
基板とスパッタターゲット間の距離は70ミリメートル
程度に設定する必要があった。ところが本発明では、プ
ラズマを移動したり、ブロードなプラズマを形成できる
ので、プラズマリングの幅を40〜60ミリメートルに
拡げることができ、被成膜基板とスパッタターゲット間
の距離を40ミリメートル程度に短縮、設定しても膜厚
分布を±5%以下の均一な分布にすることができる。ま
た、成膜速度も従来よりも約50%向上する。さらに、
ブロードなプラズマを炭素膜の形成に用いれば、印加で
きる電力を従来よりも大電力にすることができるので炭
素膜の高速成膜に適している。例えば上記でプラズマリ
ングの幅が20ミリメートルから60ミリメートルへ拡
大できることによって入力電力は倍になり成膜速度は
4.5倍に向上する。また、本実施例を磁性膜の形成に
用いた場合、被成膜基板内において放射状の対称な磁場
が形成され動径方向に磁場がないため円周方向の磁気特
性が均一な磁性膜を形成することが可能となり、磁気デ
ィスクの磁気特性が向上する。上記実施例では、ターゲ
ット5、5’として金属磁性材料や炭素等の導体を使用
したが、従来のスパッタターゲットと同様に絶縁物をも
用いることができることは云うまでもない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1…被成膜基板、 2
…対称面、3、3’…スパッタ電極、 4−
1、4’−1…外側コイル、4−2、4’−2…内側コ
イル、 5、5’…スパッタターゲット、
6、6’…ヨーク、 7、7’
…磁力線、8、8’…プラズマ、
9、9’…コイル用直流電源、10、10’…スパッ
タ電源、11…コイル電流−スパッタ電力設定制御装
置、12、12’…アノード、13、13’…永久磁
石、13a、13’a…永久磁石の中心軸、13b、1
3’b…永久磁石の回転軸、14、14’…モータ、1
5…モータ駆動およびスパッタ電力制御装置、O…ター
ゲットの中心軸。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被成膜基板を対称面として互いに対称な位
    置に同一形状で、同一特性を有するプラズマを同時に発
    生させ、前記プラズマをスパッタターゲット面上に閉じ
    込める磁場が互いに干渉し合うに充分な距離にスパッタ
    ターゲット面を前記被成膜基板面に近付けた状態で、前
    記被成膜基板の両面へ同時に成膜する工程を有して成る
    両面同時スパッタ成膜方法。
  2. 【請求項2】上記プラズマを共に連続もしくは断続的に
    移動させながら被成膜基板の両面へ同時に成膜する工程
    を有して成る請求項1記載の両面同時スパッタ成膜方
    法。
  3. 【請求項3】被成膜基板を対称面として互いに対称な磁
    場を発生させ、被成膜基板を対称面として互いに対称な
    位置に同一形状で、同一特性を有するプラズマを同時に
    発生させ、スパッタターゲット面上で前記プラズマを連
    続もしくは断続的に移動させながら前記被成膜基板の両
    面へ同時に成膜する工程を有して成る両面同時スパッタ
    成膜方法。
  4. 【請求項4】被成膜基板を対称面として互いに対称な位
    置に、同一形状、同一特性を有する直径の等しい環状の
    プラズマを同時に発生させ、かつ前記プラズマを連続も
    しくは断続的に移動させながら被成膜基板の両面へ同時
    に成膜する工程を有し、被成膜基板面上の各位置での両
    面から入射する熱量を等しくして成る両面同時スパッタ
    成膜方法。
  5. 【請求項5】被成膜基板を対称面として互いに対称な位
    置に、同一形状、同一特性を有する直径の等しい環状の
    プラズマを同時に発生させ、被成膜基板の中心と前記環
    状のプラズマの中心が同軸上に位置し、かつ前記プラズ
    マを連続もしくは断続的に移動させながら被成膜基板の
    両面へ同時に成膜する工程を有して成り、これにより被
    成膜基板面上の各位置での両面から入射する熱量を等し
    くし、かつ被成膜基板の両面での径方向の入射熱量分布
    を等しくして成る両面同時スパッタ成膜方法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5何れか記載のスパッタ成膜
    方法において、スパッタターゲットを炭素材で構成し、
    成膜時間中の平均単位時間当たりのスパッタターゲット
    への投入電力密度を低くし、かつ高速に炭素膜を被成膜
    基板の両面へ同時に成膜する工程を有して成る両面同時
    スパッタ成膜方法。
  7. 【請求項7】請求項1乃至5何れか記載のスパッタ成膜
    方法において、スパッタターゲットを磁性金属材料で構
    成すると共に、被成膜基板の基板面に垂直な磁場成分の
    無い磁場中で磁性膜を形成する工程を有して成り、これ
    により円周方向の磁気特性の均一な磁性膜を形成するよ
    うにして成る両面同時スパッタ成膜方法。
  8. 【請求項8】被成膜基板を対称面として互いに対称な位
    置に、同一のプレーナマグネトロン型スパッタ電極を配
    置し、前記スパッタ電極はそれぞれ一対以上の電磁石か
    らなり、この電磁石への通電電流を変化させることでス
    パッタ電極の成膜材料であるスパッタターゲット面上の
    プラズマを移動させて被成膜基板の両面に同時に成膜す
    るスパッタ成膜装置において、前記両スパッタ電極のそ
    れぞれの電磁石に互いに同じパターンの電流を同期して
    印加させるための制御装置と、両スパッタターゲットへ
    同電力を同期して印加させるための制御装置とを具備し
    て成る両面同時スパッタ成膜装置。
  9. 【請求項9】被成膜基板を対称面として互いに対称な位
    置に、同一のプレーナマグネトロン型スパッタ電極を配
    置し、それぞれのスパッタ電極の成膜材料であるスパッ
    タターゲット裏面に配した永久磁石を被成膜基板を対称
    面として互いに対称な位置に来るように同期して機械的
    に移動させる手段と、これにより両スパッタターゲット
    面上に等しい磁場を形成しながら磁場を移動させ、さら
    に両スパッタターゲットへ同電力を同期して印加させる
    手段とを具備して成る両面同時スパッタ成膜装置。
  10. 【請求項10】被成膜基板を対称面として互いに対称な
    位置に、同一のプレーナマグネトロン型スパッタ電極を
    配置し、それぞれのスパッタ電極の成膜材料であるスパ
    ッタターゲット裏面に配した永久磁石が、前記スパッタ
    電極の中心軸から偏心して回転させて成膜するスパッタ
    装置において、前記永久磁石を回転させる駆動機構に前
    記永久磁石を被成膜基板を対称面として常時互いに対称
    な位置に来るように同期して機械的に移動させるための
    制御装置と、前記両スパッタターゲットへ同電力を同期
    して印加させるための制御装置とを具備して成る両面同
    時スパッタ成膜装置。
  11. 【請求項11】上記永久磁石をリング状磁石で構成し、
    その回転軸をリング状磁石の中心から所定距離ずらして
    上記スパッタターゲットの中心軸に合わせて偏心回転さ
    せる回転駆動機構を具備して成る請求項10記載の両面
    同時スパッタ成膜装置。
  12. 【請求項12】上記被成膜基板とスパッタターゲット間
    の距離を、両スパッタ電極からの磁場が相互に充分に干
    渉し合う間隔に配置し、それぞれの磁場を干渉させるこ
    とによって前記スパッタターゲット上に扁平なトンネル
    状の磁場を形成する手段を有して成り、これによってブ
    ロードなプラズマを前記スパッタターゲット上に形成
    し、スパッタターゲットの利用率と成膜速度とを向上せ
    しめるようにして成る請求項8乃至11何れか記載の両
    面同時スパッタ成膜装置。
JP24049992A 1992-09-09 1992-09-09 両面同時スパッタ成膜方法及び成膜装置 Pending JPH0688217A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006131973A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Shincron:Kk 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
CN114981470A (zh) * 2020-07-08 2022-08-30 株式会社爱发科 成膜方法

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JP2006131973A (ja) * 2004-11-08 2006-05-25 Shincron:Kk 薄膜形成方法及び薄膜形成装置
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