JPH0688001B2 - コロナ放電装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、平坦な対向電極とこの対向電極に一定の間隔
を保って配設された金属細線である複数の放電線との間
に高電圧を印加してコロナ放電を発生させるコロナ放電
装置に関する。

〔従来の技術〕

各種の静電気応用装置、放電装置等は、対象物に対して
荷電を行うために、数千ボルト以上の高電圧を印加して
コロナ放電を発生させるための放電線を使用する。この
場合、小型装置における放電線としては、0.06〜0.2mm
程度の太さのタングステンまたはステンレス等の細線が
使用されることが多い。

このような放電線は、所要本数の金属細線が、両端から
適当な張力を加えて支持されており、いずれかの端部か
ら高電圧が印加されている。このように張力を加えるの
は、金属細線自体の直線性を維持するため、ならびにコ
ロナ放電に伴う放電線の「うなり」を防止するためであ
る。したがって、放電線は常時張力を加えられた状態で
使用されているから、経年劣化、清掃・保守時の疵等に
より断線する危険性がある。

もし、放電線が断線したにもかかわらず断線が容易に検
出できないとすると、正常な放電が持続し得なくなり、
装置全体の規定の運転状態が維持できなくなることはも
とより、断線した放電線によって周囲との間に望ましく
ないアーク放電を生ずることがある。このような放電線
の断線が装置本体はもとより、周囲に対して害を及ぼす
事態は厳に回避されなければならない。しかし、複数の
放電線を緊張して使用する従来の配列においてはいずれ
かの細線が断線したことを迅速に検出するのは困難であ
った。

〔発明の課題〕

本発明の課題は、放電線の断線を確実に検出でき、コロ
ナ放電中に断線によって生じる故障を未然に防ぐことの
できるコロナ放電装置を提供することにある。

〔課題を解決する手段〕

上記の課題は、本発明により、冒頭に述べた種類のコロ
ナ放電装置にあって、各放電線１の端部を導電性の弾性
部材３により絶縁性支持台５に緊張させた状態で固定し
て、放電線１の各々を直列に接続し、接続された一連の
放電線１の一方の端子を給電端子６とし、他方の端子を
高圧検出端子７とし、この高圧検出端子７に電圧測定手
段が接続されていることによって解決されている。

本発明の他の有利な構成は特許請求の範囲の第２項に記
載されている。

〔作用と効果〕

本発明にかかるコロナ放電線には、高電圧例えば6000ボ
ルト程度の高電圧が印加されるが、そのコロナ放電電流
は数百μＡ程度の極めて微小な値にすぎない。したがっ
て、印加される高電圧に対して金属細線自体ならびにそ
の接続部における電圧降下が殆ど問題にならないことを
勘案してなされたものである。これら複数本の金属細線
を導電性弾性体を介在せしめて電気的に直列接続とし、
同時に機械的に緊張支持することによって、電気的なら
びに機械的要求を満足することができる。

本発明にかかるコロナ放電線によれば、いずれかの放電
細線が断線すると、ただちに単独で警報を発しあるいは
警報と同時に高圧電圧を停止させることができる。した
がって、断線故障を早期に除去することが可能となり、
放電利用装置の安全ひいては操作者や取付け部位に対し
ての安全を期することができる。

〔実施例〕

以下、実施例を示す添付図を参照して本発明を開示す
る。なお、本実施例では、電気集塵装置のコロナ放電装
置の例を開示するが、コロナ放電を利用するその他の用
途にも同様に本発明を適用できる。

第１図は、本発明にかかるコロナ放電線の配置例を包含
する放電室の状態を示す平面図である。図の実施例で
は、放電線は緊張された４本のコロナ放電用金属細線１
によって構成される。このコロナ放電用金属細線１の両
側には、印加電圧に対応する適宜間隔によって放電部電
極２がそれぞれ配設される。

コロナ放電用金属細線１の給電側接続部、最終端部並び
に中間接続部には、板ばねである導電性弾性体３および
絶縁性支持台４からなる支持装置５がそれぞれ配設され
る。この導電性弾性体３の先端部は、金属細線１を懸吊
するのに適した構造に形成される。このように形成され
た部分に、金属細線１の両端の環状部を挿通して緊張す
る。その結果、一端の高電圧給電用端子６から他端の高
電圧検出端部７までが、金属細線１と中間に介在する導
電性弾性体３とによって電気的に一体の直列接続として
形成される。また、各金属細線１はそれぞれの端部に存
在する導電性弾性体としての板ばねによって機械的に緊
張される。

第２図は、第１図のII−II矢視図であり、支持装置５を
含む放電室の一部の構造を示す側面図である。

第１図および第２図に示すコロナ放電線において、その
電気抵抗は、例えば、0.14mmφ、長さｌ＝400mmのステ
ンレス線を４本使用したとすると、１本あたり80Ωであ
るから、全体で320Ωである。また、各板ばねを含む支
持装置の電気抵抗は、ほぼ０Ωとみなすことができる。
このコロナ放電線に、6500ボルトを印加すると、約400
μＡのコロナ電流が流れる。この場合の放電線全体の電
圧降下は約１ボルトであるから、高電圧検出端部７の電
圧は、約6499ボルトであり、コロナ放電上なんら支障は
生じない。

第３図は、支持装置の他の実施例を示す平面図であり、
第１図の板ばね３の代わりに、絶縁性支持台４に固定さ
れた導電性部材８およびコイルばね９を使用したもので
ある。コイルばね９の目的および作用は、第１の実施例
における板ばねと同様である。

本発明にかかる構成を有するコロナ放電線において、高
電圧検出部７に接続されるべき高電圧検出装置は、適当
な電圧検出回路、例えば半導体リレー、比較器その他周
知装置を適用することができるので詳述はしない。

本発明の対象とするコロナ放電線において、いずれかの
放電用金属細線１が断線したとすると、断線した細線の
端部は、弾性体３または９によって引き離された状態
で、かつ両側の放電部電極２間に止まる。この場合、高
電圧給電端の側の切断端部は、導電性材料または導電処
理の施された適宜材料から成る放電部電極２との間で火
花放電を生ずる。このまま放置されれば、装置が所期の
目的を達成し得ないことはもとより、装置自体またはそ
の周囲に対して不都合な事態を招来する懸念がある。本
発明にかかるコロナ放電線によれば、もし、断線が生ず
れば、高電圧検出端部７側においてただちに０ボルトに
なる。かかる電圧変化を検出することによって、単独で
警報を発し、あるいは直ちに高電圧発生装置を遮断して
安全を確保することができる。この場合、警報の発生
と、遮断動作とを同時に行いあるいは適宜時間差をもっ
て組合せ実施する等の変更は、装置全体の構造・用途等
を勘案して任意に選定することができる。

適当な実施例に即して本発明を開示したが、本発明の範
囲内において多くの変形または変更が可能であることは
明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明にかかるコロナ放電線の構成を示す平
面図である。 第２図は、第１図の構成の部分説明図である。 第３図は、他の実施例を示す平面図である。 図中の主な参照符号の対応は、以下の通り。 1:放電用金属細線、2:放電部電極 3:導電性弾性体、4:絶縁性支持台 5:支持装置、6:給電部端子 7:高電圧検出部、8:導電部材 9:コイルばね

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実公 昭61−25881（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭59−6934（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭52−55166（ＪＰ，Ｙ２) 松本俊次著「電気集塵装置」初版（昭50 −11−20）日刊工業新聞社Ｐ．117

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】平坦な対向電極（２）とこの対向電極
   （２）に一定の間隔を保って配設された金属細線である
   複数の放電線（１）との間に高電圧を印加してコロナ放
   電を発生させるコロナ放電装置において、 各放電線（１）の端部を導電性の弾性部材（３）により
   絶縁性支持台（５）に緊張させた状態で固定して、放電
   線（１）の各々を直列に接続し、接続された一連の放電
   線（１）の一方の端子を給電端子（６）とし、他方の端
   子を高圧検出端子（７）とし、この高圧検出端子（７）
   に電圧測定手段が接続されていることを特徴とするコロ
   ナ放電装置。
2. 【請求項２】前記電圧測定手段の検出信号に応じて、断
   線時に警報信号を出したり、高電圧発生装置を遮断する
   装置が接続されていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載のコロナ放電装置。