JPH0686688A - ヒト成熟骨髄腫細胞に対するモノクローナル抗体 - Google Patents

ヒト成熟骨髄腫細胞に対するモノクローナル抗体

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JPH0686688A
JPH0686688A JP4084681A JP8468192A JPH0686688A JP H0686688 A JPH0686688 A JP H0686688A JP 4084681 A JP4084681 A JP 4084681A JP 8468192 A JP8468192 A JP 8468192A JP H0686688 A JPH0686688 A JP H0686688A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒト骨髄腫細胞の細胞亜群に属する成熟骨髄
腫細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体MPC−
1を提供する。 【構成】 ヒト骨髄腫細胞KMS−5を感作抗原として
免疫した哺乳動物の免疫細胞と形質細胞腫細胞とを細胞
融合することにより作製したハイブリドーマによって産
生される、ヒト成熟骨髄腫細胞を特異的に認識するモノ
クローナル抗体MPC−1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト骨髄腫細胞に属す
るヒト成熟骨髄腫細胞を特異的に認識するモノクローナ
ル抗体に関するものであり、更に詳しくは、ヒト骨髄腫
細胞株KMS−5を感作抗原として作製される、ヒト骨
髄腫細胞の細胞亜群に属するより成熟した成熟骨髄腫細
胞(形質細胞)を特異的に識別し得る新規モノクローナ
ル抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌細胞、特に造血器腫瘍細胞の細胞学的
特性が解明されるに伴って、腫瘍細胞の不均一性(he
terogeneity)の問題が認識されるようにな
ってきた。
【0003】Bリンパ球系列の最終分化段階にある形質
細胞と考えられている腫瘍細胞のヒト骨髄腫細胞におい
ても、増殖能、M−蛋白質(免疫グロブリン)産生能及
び形態学的特性等が質的に相違する細胞亜群が含まれて
いることが認められており、これまでに、例えば、ヒト
骨髄腫細胞を前駆(未熟)骨髄腫細胞と成熟骨髄腫細胞
との二系統に区分して考える仮説も提唱されている〔臨
床医,18,181〜185(1992)〕。
【0004】最近、これらのヒト骨髄腫細胞に属する細
胞亜群の存在は、骨髄ストローマ細胞との接着特性の相
違、更には、その接着分子発現(特にインテグリン分
子)等によっても明らかにされつつある。
【0005】このような状況の中で、従来、臨床研究の
見地からも、腫瘍細胞の分化度及び細胞系統等を的確に
把握することの重要性が認識されており、そのための有
効な手段として、腫瘍細胞の分化度及び細胞系統等を特
異的に認識する抗体を開発し、その腫瘍細胞の位置づけ
を明らかにすることができれば、腫瘍細胞の診断及び治
療に極めて有用である。このような観点から、これま
で、乳癌細胞、肺癌細胞、悪性黒色腫、胃癌細胞、大腸
癌細胞等の各種癌細胞、造血器悪性腫瘍等について、そ
の分化度及び細胞系統等を識別し得るような抗体の開発
が試みられている。〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 7
7,6841〜6845(1980)、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 78,4591−4595(198
1)、CancerRes., 46,2490〜2496(198
6)、Cancer Immunol. Immunother.,28,296〜3
00(1989)、Cancer Res., 49,2471〜2
476(1989)〕
【0006】しかしながら、ヒト骨髄腫細胞について
は、前記のように細胞学的特性に関する基礎研究の段階
であって、ヒト骨髄腫細胞の樹立とその細胞学特性の解
明、各種細胞亜群の存在についての検討等がなされてい
るものの、当該B細胞系列の最終分化細胞と考えられて
いる形質細胞であるところのヒト骨髄腫細胞の細胞亜群
を特異的に識別する抗体の作製は、いまだなされていな
い。
【0007】本発明者らは、これまで、臨床研究に対応
した基礎研究として、ヒト骨髄腫細胞の骨髄穿刺液から
精製した骨髄腫細胞がインターロイキン6(IL−6)
に反応して増殖すること〔Nature,332,83
−85(1988)〕、IL−6受容体を発現している
こと〔Nature 332,83−85(198
8)〕、加えて、自らIL−6を産生してオートクリン
機構にて増殖していること〔Nature,332,8
3−85(1988)、Cancer Surv−e
y,8,905−919(1989)〕等を明らかにす
ると共に、ヒト骨髄腫細胞KMS−5からヒト骨髄腫細
胞由来のストローマ細胞株KM−102に付着性を有す
る細胞株と非付着性の細胞株とを分離した〔臨床血液,
32,1400(1991)〕。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ヒト骨髄腫細胞に関す
るこのような知見とこれまでの研究成果を踏まえ、本発
明者は、これらヒト骨髄腫細胞の細胞亜群を特異的に識
別し得る抗体を開発することを目標として鋭意研究を積
み重ねた結果、ヒト骨髄腫細胞株KMS−5を感作抗原
としてモノクローナル抗体を作製したところ、当該モノ
クローナル抗体がヒト骨髄腫細胞の細胞亜群を特異的に
認識する特性を有することを見い出した。
【0009】すなわち、本発明者は、ヒト骨髄腫細胞株
KMS−5を感作抗原として作製したマウスモノクロー
ナル抗体MPC−1が、前記ヒト骨髄腫細胞株K−10
2に付着性を有する細胞株に反応し、非付着性の細胞株
には反応しないことを見い出すと共に、当該モノクロー
ナル抗体がヒト骨髄腫細胞のより成熟した骨髄腫細胞
(形質細胞)を特異的に認識することを見い出し本発明
を完成するに至った。
【0010】本発明は、ヒト成熟骨髄腫細胞を特異的に
認識するモノクローナル抗体MPC−1を提供すること
を目的とするものである。
【0011】また、本発明は、ヒト骨髄腫細胞に属する
前駆骨髄腫細胞とは反応せず、成熟骨髄腫細胞に対して
反応性を有するモノクローナル抗体MPC−1を提供す
ることを目的とするものである。
【0012】さらに、本発明は、ヒト骨髄腫細胞の細胞
亜群を特異的に認識することが可能なモノクローナル抗
体MPC−1を提供することを目的とするものである。
【0013】さらには、本発明は、成熟骨髄腫細胞の同
定及び骨髄腫細胞の臨床上の診断用試薬として有用なモ
ノクローナル抗体MPC−1を提供することを目的とす
るものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るための本発明の構成は、以下の(1)〜(2)からな
る。
【0015】(1) ヒト骨髄腫細胞の細胞亜群に属す
るヒト成熟骨髄腫細胞に対して反応性を有し、前駆骨髄
腫細胞とは反応しないことを特徴とする、ヒト成熟骨髄
腫細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体MPC−
1。 (2) ヒト骨髄腫細胞株KMS−5を感作抗原として
免疫した哺乳動物の免疫細胞と形質細胞腫細胞とを細胞
融合することにより作製したハイブリドーマによって産
生される前記(1)記載のヒト成熟骨髄腫細胞を特異的
に認識するモノクローナル抗体MPC−1。
【0016】続いて、本発明の構成について詳細に説明
する。
【0017】本発明のモノクローナル抗体は、基本的に
は、例えば次のようにして作製することができる。すな
わち、本発明の抗体MPC−1は、本発明のモノクロー
ナル抗体が認識する抗原あるいは抗原を含有する細胞、
細胞組織等を感作抗原として使用して、通常の免疫法、
細胞融合法、クローン化法等に準じて作製することがで
きる。
【0018】本発明のモノクローナル抗体の作製方法
は、より具体的には、例えば、前記感作抗原として、培
養細胞として樹立されているヒト骨髄腫細胞株KMS−
5〔HUMAN CELL,2巻3号,297−303
(1989)〕を使用し、当該感作抗原で免疫した哺乳
動物の形質細胞(免疫細胞)を、マウス・ミエローマ等
の哺乳動物の形質細胞腫細胞と融合させ、得られた融合
細胞(ハイブリドーマ)をクローン化し、その中から前
記成熟骨髄腫細胞を特異的に認識する本発明の抗体を産
生するクローンを選別し、これを培養して目的とする抗
体を回収する方法が好ましく例示される。
【0019】前記作製方法において、感作抗原で免疫さ
れる哺乳動物としては、特に限定されるものではない
が、細胞融合に使用する形質細胞腫細胞との適合性など
を考慮して選択するのが好ましく、一般的には、マウ
ス、ラット、アルメニアンハムター等が使用される。
【0020】免疫は、一般的方法により、例えば、前記
ヒト骨髄腫細胞株KMS−5の培養細胞を哺乳動物に腹
腔内注射等により投与することにより行われる。より具
体的には、PBSや生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁
したものを所望により通常のアジュバンドを併用して、
動物に4〜21日毎に数回投与し、総投与量が約1〜1
00マイクログラム/動物程度になるようにするのが好
ましい。また、前記投与に際しては通常の担体(シュレ
ッバー)を採用することもできる。免疫細胞としては、
前記細胞株の最終投与の約4日後に摘出した脾細胞を使
用するのが好ましい。
【0021】前記免疫細胞と融合される他方の親細胞と
しての哺乳動物の形質細胞腫細胞としては、すでに公知
の種々の細胞株、例えば、P3(P3×63−Ag8)
[Na-ture, 256,495−497(1975)〕、p
3−U1〔Current Topicsin Micro-biology and Immun
ology,81,1−7(1978)〕、NS−1〔Eur.J.
Imm-unol.,6,511−519(1976)〕、MPC
−11〔Cell, 8,405−415(1976)〕、S
P2/0〔Nature, 276,269−270(197
8)〕、FO〔J.Immunol.Meth.,35,1−21(19
80)〕、S194〔J.Exp.Med., 148,313−3
23(1978)〕、R210〔Nat-ure,277,13
1−133(1979)〕等が好適に使用される。
【0022】前記免疫細胞と形質細胞腫細胞との細胞融
合は、基本的には公知の方法、例えば、ミルシュタイン
ら(Milstein et al.)の方法〔Methods Enzymol., 7
3,3−46(1981)〕等に準じて行うことができ
る。
【0023】より具体的には、前記細胞融合は、例え
ば、融合促進剤の存在下に通常の栄養培地中で実施され
る。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコ
ール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用
され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチル
スルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞と形質細胞腫細胞との使用割合は、例えば、形
質細胞腫細胞に対して、免疫細胞を1〜10倍程度とす
るのが好ましい。前記細胞融合に用いる培地としては、
例えば、前記形質細胞腫細胞株の増殖に好適なRPMI
−1640培地、MEM培地、その他この種の細胞培養
に使用される通常の培地が使用可能であり、更に、牛胎
児血清(FCS)等の血清補液を併用することも可能で
ある。
【0024】細胞融合は、前記免疫細胞と形質細胞腫細
胞との所定量を前記培地内でよく混合し、予め37℃程
度に加温したPEG溶液、例えば平均分子量1,000
〜6,000程度のPEGを、通常、培地に約30〜6
0%(W/V)の濃度で添加し、混合することによって
行われる。続いて、適当な培地を逐次添加し、遠心して
上清を除去する操作を繰り返すことにより目的とするハ
イブリドーマが形成される。
【0025】当該ハイブリドーマは、通常の選択培地、
例えば、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノブテリン
及びチミジンを含む培地)で培養することにより選択さ
れる。当該HAT培地による培養は、目的とするハイブ
リドーマ以外の細胞(未融合細胞)が死滅するのに充分
な時間、通常数日〜数週間継続する。次いで、通常の限
界希釈法に従って、目的とする抗体を産生するハイブリ
ドーマのスクリーニング及び単一クローン化が実施され
る。
【0026】このようにして作製される本発明のモノク
ローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地
で継代培養することが可能であり、また液体窒素中で長
期保存することが可能である。
【0027】当該ハイブリドーマから本発明のモノクロ
ーナル抗体を採取するには、当該ハイブリドーマを常法
に従って培養し、その培養上清として得る方法、あるい
はハイブリドーマをこれと適合性のある哺乳動物に投与
して増殖させその腹水として得る方法などが採用され
る。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適した方法
であり、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適した
方法である。
【0028】更に、前記の方法により得られる抗体は、
塩析法、ゲル濾過法、アフィニティークロマトフラフィ
ー等の通常の精製手段を利用して高純度に精製すること
ができる。
【0029】このようにして作製される本発明のモノク
ローナル抗体MPC−1は、放射免疫測定法(RI
A)、酵素免疫測定法(EIA)、蛍光抗体法等の通常
の免疫学的手段により、ヒト骨髄腫細胞(形質細胞)に
属する細胞亜群のより成熟した骨髄腫細胞(形質細胞)
を高感度、高精度且つ高い特異性をもって識別し、同定
することを可能にするものである。
【0030】このような本発明のモノクローナル抗体を
利用して成熟骨髄腫細胞を識別ないし同定するための具
体的システムの設定、その改変及び応用等は、当業者に
とって自明の通常の方法を応用して適宜実施される。
【0031】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明する。
【0032】実施例 1.モノクローナル抗体MPC−1の作製 1)感作抗原と免疫法 感作抗原として、ヒト骨髄腫細胞株KMS−5〔HUMAN
CELL, 2巻3号,297−303(1989)〕を用い
て抗原感作を行った。細胞株は、10%牛胎児血清(F
CS、M.A.Bioproducts 社製)及び1×10-5M2
−メルカプトエタノール含有RPMI−1640(日水
製薬社製)を培地として使用し、5%CO2 インキュベ
ーター中で37℃の温度条件下で継代培養を行った。
【0033】細胞は、軽いピペッティングによってイン
キュベーターの培養フラスコより回収した。この細胞を
1×105 個/μlの細胞数でリン酸緩衝液(PBS、
pH7.4)に懸濁し、浮遊させ、BALB/C系マウ
ス(4週令、♀、日本クレア社製)に免疫した。初回免
疫には、1×107 個/100μlの細胞を50%(W
/V)フロイント完全アジュバント〔Complete Freund
Adjuvant(Bacto社製)〕を加えて、マウス腹腔内に注射
し、4週後に1×107 個/100μlの細胞を50%
(W/V)フロイント不完全アジュバント(incomplete
Freund Adjuv-ant)を加えて追加免疫した。更に、2週
間隔にて1×107 個/100μlの細胞を2〜3回追
加免疫し、最終免疫4日後にマウスを屠殺して脾臓を摘
出した。
【0034】2)細胞融合 2匹のマウスから摘出した脾臓を細切後、遊離した脾細
胞を遠沈した後、RPMI−1640培地(日水製薬社
製)中に懸濁し、浮遊させ充分洗浄を行った。一方、マ
ウス・ミエローマ細胞株P3×63を、10%牛胎児血
清(FCS, M. A.Bioproducts 社製)及び1×10-5M2
−メルカプトエタノールを含有するRPMI−1640
(日水製薬社製)培地にて培養して得た細胞を同様に前
記RPMI−1640培地で洗浄後、その2×107
と、前記脾細胞1×108 個とを遠心管に入れ混合し、
50%(W/V)ポリエチレングリコール(Hybri-Max,
Sigma 社製 No.P −7777)によって常法〔Clin. Ex
p. Immunol.,42,458−462(1980)〕に従
い細胞融合させた。
【0035】得られた融合細胞を、60mlのHAT選
択培地(1.0×10-4Mヒポキサンチン、4.0×1
-7Mアミノプテリン、1.6×10-5Mチミジンを含
む完全RPMI−1640培地に、10%FCS及び1
×10-5M2−メルカプトエタノールを加えた培地)に
懸濁させ、次いで、この懸濁液0.2mlを、96個の
ウエルプレートを3プレート使用して、各ウエルにそれ
ぞれ分注し、5%CO2 インキュベーター中で37℃で
培養した。
【0036】各ウエルには、予め、BALB/C系ノー
マルマウスの腹腔から採取した腹腔マクロファージをフ
ィーダー細胞として収容した。すなわち、前記BALB
/C系マウスの腹腔に5mlPBSを注入した後、腹腔
マクロファージを採取し、これを、予め、一日前に各ウ
エルに収容して前記融合細胞の選択に供した。
【0037】培養開始後、上清の半分を培養3日、6日
及び10日後に、それぞれ新しいHAT培地に代え、培
養を継続し、増殖維持させた。
【0038】このようにして得られた融合細胞を限界希
釈法を用いてクローニングした。すなわち、前記融合細
胞の培養上清中の抗体を利用して、感作抗原との結合性
を調べ、感作抗原と強い結合性を有するクローンだけを
常法により限界希釈法を用いてクローンを形成させた。
【0039】クローンの形成は、前記ハイブリドーマ及
びBALB/C系マウス脾細胞を所定量含むように調整
し、ハイブリドーマ3個/ウエルとなるように96ウエ
ルのプレートに播いて5%CO2 インキュベーター中で
37℃にて培養した。増殖してくるハイブリドーマを同
様にハイブリドーマ1個/ウエルとしてクローニング
し、更に、増殖してくるハイブリドーマを同様にクロー
ニングする操作を通常の限界希釈法に従って繰り返し
た。目的の抗体を産生するクローンは、前記感作抗原を
用いてスクリーニングした。このようにして、成熟骨髄
腫細胞に特異的反応性を有する本発明のモノクローナル
抗体MPC−1を産生するハイブリドーマを分離した。
【0040】なお、本発明のモノクローナル抗体MPC
−1を産生する当該ハイブリドーマは、BALB/C系
マウス脾細胞とマウス・ミエローマP3×63を親細胞
として作製された新規な融合細胞であり、公的微生物寄
託機関である工業技術院微生物工業技術研究所に、ハイ
ブリドーマMPC−1、微工研菌寄第12832(FE
RM P−12832)、として寄託されている。
【0041】3)スクリーニング 融合細胞(ハイブリドーマ)のスクリーニングは、フロ
ーサイトメーター(F-low Cytometer)を使った間接蛍光
抗体法により行った。目的の抗体を産生するクローンの
スクリーニングは、ターゲット細胞として、a)KMS
−5(感作抗原)、b)ヒト骨髄腫細胞U−266、
c)EBV感染B細胞KUS、d)新鮮分離したヒト骨
髄腫細胞、等を用いて行った。最初のスクリーニング
は、反応細胞として感作抗原であるヒト骨髄腫細胞株K
MS−5を用いて行った。 先ず、ヒト骨髄腫細胞株K
MS−5に反応する融合細胞クローンを選ぶために、当
該KMS−5に反応する培養上清を選別し、1次スクリ
ーニングを行った。
【0042】すなわち、細胞を反応バッファー〔リン酸
緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)に200μg/
mlの牛血清アルブミン(BSA)と0.01%NaN
3 を加えたもの〕に懸濁し、浮遊させ(5×105 個/
40μl)、ハイブリドーマ培養上清10μlを加えて
4℃にて30分間反応させた。前記バッファーにより2
回洗浄した後、FITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体
(Tago社製)を加えて30分間インキュベーション
した。3回洗浄した後、フローサイトメーター(Flow C
ytometer) (CytronR , Ortho 社製)にて解析した。
【0043】次に、反応細胞として付着性細胞株KMS
−5Adと非付着性細胞株KMS−5NAdを用い、前
記の如くフローサイトメーター(Flow Cytometer) によ
り解析した。これによって付着性細胞株にのみ反応する
抗体を産生しているハイブリドーマとして3つの細胞を
得た(そのうちの1種類を、ハイブリドーマMPC−1
として、前記受託番号により、寄託した)。更に、ヒト
骨髄腫患者の骨髄腫細胞を反応細胞として用いて解析を
行った。この場合の解析は、抗CD38抗体との2カラ
ー解析法により行った。
【0044】このフローサイトメーター(Flow Cytomet
er) による2カラー解析は、正常人あるいはヒト骨髄腫
患者の骨髄穿刺液をフィコールーハイパーキュー密度勾
配遠心(Ficoll-Hypaque) にて分離し、単核球分画を採
取し、細胞をMPC−1抗体(またはVLA−5抗体)
に反応させ、PE標識抗マウスIgG抗体で染色し、更
にマウスIgGを加えた後、FITC標識抗CD38抗
体で染色し、染色後細胞をフローサイトメーター(Orth
o 社製,CytronR ) により解析して、CD38++のヒト
骨髄腫細胞と反応する培養上清を選ぶことにより実施し
た。
【0045】すなわち、細胞を前記反応バッファーに懸
濁し、浮遊させ(5×105 個/40μl)、ハイブリ
ドーマ培養上清10μlを加えて、4℃にて30分間反
応させた。前記反応バッファーで2回洗浄した後、PE
標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Immunotech社製)を加え
て、30分間インキュベーションした。2回洗浄後、ブ
ロッキングとしてマウス血清(56℃、30分処理)1
5μl加えて4℃、20分間インキュベーションし、反
応バッファー20μl、FITC標識抗CD38抗体
(Immunotech社製)5μlを加えて、4℃、30分間イ
ンキュベーションした。3回洗浄した後、フローサイト
メーター(Flow Cytometer) により解析した。
【0046】このようなフローサイトメーターによるカ
ラー解析の結果、図1に示す如く、骨髄腫細胞は、CD
38++(CD38抗原強陽性)であり(図中の↓印参
照)、インテグリンであるVLA−5発現により、VL
A−5+ 細胞とVLA−5- 細胞に分けられることが分
った。形態学的特性及びin vitro 増殖能、in vitro I
g 産生能等より、CD38++VLA−5- 細胞は、前駆
(未熟)骨髄腫細胞、CD38++VLA−5+ 細胞は、
成熟骨髄腫細胞であることが確認されている。
【0047】これらの細胞に対する前記ハイブリドーマ
培養上清の反応を検討したところ、1つの抗体(MPC
−1抗体)は、CD38++VLA−5+ 細胞とのみ反応
し、CD38++VLA−5- 細胞とは反応しないことが
分った。しかも、CD38++VLA−5+ 細胞を、更
に、CD38++VLA−5+ MPC−1- とCD38++
VLA−5+ MPC−1+ 細胞とに分けることができ、
骨髄細胞(CD38++)(図中の↓印参照)は、図1
の、a)VLA−5- MPC−1- 、b)VLA−5+
MPC−1- 、及び、c)VLA−5+ MPC−1+
の3群に分けられることが分った。骨髄腫細胞の分化成
熟は、図1の、a)→b)→c)の順であることが確認
されており、本抗体MPC−1は、ヒト骨髄腫細胞(形
質細胞)(CD38++)の中で、より成熟した骨髄腫細
胞を認識し得る抗体であることが分った。
【0048】前駆(未熟)骨髄腫細胞と考えられる形質
細胞性白血病細胞、末梢血中に認められる骨髄腫細胞等
に対しては本抗体MPC−1は反応しない。一方、成熟
骨髄腫細胞に対応すると考えられる多クローン性免疫グ
ロブリン血症の形質細胞に対しては本抗体は反応するこ
とが分った。
【0049】本抗体の形質細胞以外の他の細胞に対する
反応特性を図2、図3に示した。図2、図3は、正常人
骨髄液からリンパ球分離液(セパレートL、ムトー化学
社製)により分離した骨髄単核球分画について前記と同
様にして2カラー解析を行ったものである。
【0050】図2、図3において、CD19+ 、CD2
+ は、B細胞の表面抗原、CD10+ は、Pre−B
細胞の表面抗原、CD3+ は、成熟T細胞の表面抗原、
CD14+ 、CD13+ 、CD33+ は、単球又は骨髄
球系細胞の表面抗原、GPAは、赤芽球系細胞の表面抗
原をそれぞれ示す。図2、図3に基づいて本発明のMP
C−1抗体と反応する細胞を同定した結果を表1に示
す。表1に示されるように、本発明のMPC−1抗体
は、単球、骨髄球系細胞及び成熟B細胞の一部とも反応
することが分った。
【0051】
【表1】
【0052】4)抗体の精製 前記2)で作製した融合細胞を常法に従って培養し、培
養上清中に産生される抗体を常法により分離し、精製し
た。すなわち、各ウエルのうち前記感作抗原に対する抗
体価の最も高かったウエルからハイブリドーマを採取
し、細胞の増殖が認められたウエルのうち1つを取り、
得られた培養細胞を5%CO2 組織培養フラスコに広げ
て37℃にて継代培養を行い、増殖させた。得られた培
養物を50%硫酸アンモニウムで塩析しPBSで透析
後、抗ラットIgGカラムでアフィニティー精製を行っ
た。抗体は、更に塩析し、充分に透析を行い約5mg/
mlの精製品を得た。
【0053】5)抗体の性状 抗体のアイソタイプ 培養上清中、本抗体MPC−1のアイソタイプは、マウ
スモノクローナル抗体アイソタイピングキット(Mouse
monoclonal antibody isotyping kit, Amersh-am社製R
PN29)を使用して同定した。結果は、図4に示すよ
うに、マウスIgG2a、K型であった。
【0054】抗体MPC−1の特性 本発明のモノクローナル抗体MPC−1は、ヒト骨髄腫
細胞の細胞亜群に属する、成熟骨髄腫細胞を特異的に認
識する作用を有する。ヒト骨髄腫細胞は、2カラー解析
によりCD38++VLA−4+ VLA−5-の前駆(未
熟)骨髄腫細胞とCD38++VLA−4+ VLA−5+
の成熟骨髄腫細胞とに2分されるが、本発明の抗体MP
C−1は、CD38++VLA−4+ VLA−5+ の成熟
骨髄腫細胞を更にCD38++VLA−5+ MPC−1-
とCD38++VLA−5+ MPC−1+ に細分し得る特
性を有する。
【0055】形態学的特性及びin vitro増殖能等からC
D38++VLA−5+ MPC−1+細胞は最も成熟した
骨髄腫細胞であることが確認されており、本発明の抗体
MPC−1は、ヒト骨髄腫細胞(形質細胞)CD38++
の中で、より成熟した骨髄腫細胞(形質細胞)を識別し
得る特性を有する。
【0056】更に、ヒト骨髄腫細胞以外の細胞について
は、本発明の抗体MPC−1は、多クローン性免疫グロ
ブリン血症の形質細胞(成熟形質細胞)に対しても陽性
特性を有する。このような、性状を有する抗体は従来知
られていない新規なものであり、本発明者は、これをM
PC−1と命名した。
【0057】
【発明の効果】本発明の抗体MPC−1は、前記特性を
有するものであり、従来、適当な抗体がなく不可能とさ
れていたヒト骨髄腫細胞(形質細胞)、特に、成熟骨髄
腫細胞(形質細胞)の識別をはじめて可能とした点で、
従来技術にみられない有用性を有する。
【0058】また、本発明の抗体MPC−1は、ヒト骨
髄腫細胞の細胞学的特性の解明に有用であることはもと
より、臨床レベルにおける成熟骨髄腫細胞を同定するた
めの診断用試薬の有効成分としても有用なものであり、
自動細胞解析装置(フローサイトメーター)を使用した
成熟骨髄腫細胞の同定試薬としても有用である。
【0059】さらに、本発明のモノクローナル抗体MP
C−1は、ヒト骨髄腫細胞の細胞亜群を識別する特性を
有することから、この特性を利用することにより、骨髄
腫の診断システムの確立と骨髄腫の臨床病態の把握が可
能となり、これによって、骨髄腫患者に対する化学療法
剤の選択及び投与時期の決定を的確なものとなし得る等
の臨床上の利用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト骨髄腫細胞を用いて、抗CD38抗体との
2カラー解析を行った結果を示す。
【図2】正常人骨髄液からの骨髄単核球細胞分画につい
て2カラー解析を行った結果〔a)〜f)〕を示す。
【図3】正常人骨髄液からの骨髄単核球細胞分画につい
て2カラー解析を行った結果〔g)〜m)〕を示す。
【図4】抗体のアイソタイプの分析結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト骨髄腫細胞の細胞亜群に属するヒト
    成熟骨髄腫細胞に対して反応性を有し、前駆骨髄腫細胞
    とは反応しないことを特徴とする、ヒト成熟骨髄腫細胞
    を特異的に認識するモノクローナル抗体MPC−1。
  2. 【請求項2】 ヒト骨髄腫細胞株KMS−5を感作抗原
    として免疫した哺乳動物の免疫細胞と形質細胞腫細胞と
    を細胞融合することにより作製したハイブリドーマによ
    って産生される請求項1記載のヒト成熟骨髄腫細胞を特
    異的に認識するモノクローナル抗体MPC−1。
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