JPH0686471B2 - ポリフェノール類の製造方法 - Google Patents

ポリフェノール類の製造方法

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JPH0686471B2
JPH0686471B2 JP63158453A JP15845388A JPH0686471B2 JP H0686471 B2 JPH0686471 B2 JP H0686471B2 JP 63158453 A JP63158453 A JP 63158453A JP 15845388 A JP15845388 A JP 15845388A JP H0686471 B2 JPH0686471 B2 JP H0686471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリフェノール類の製造方法に関し詳しくは
茶抽出液を限外過膜を通過させた後、濃縮精製するこ
とによりポリフェノール類を効率よく製造する方法に関
する。
〔従来の技術〕
茶成分の生理活性に関しては、古来より様々な伝承がな
されており、近年それら成分と薬効との関係が明らかに
されてきた。特に茶ポリフェノール類の生理活性につい
ては抗酸化作用,抗腫瘍作用,抗菌作用などが報告され
ている。
茶よりポリフェノール類を製造する方法も幾つか報告さ
れている(特開昭60−13780,特開昭61−130285)。
しかしながら、これらはいずれも3種以上の有機溶剤を
用い、操作が繁雑で経済上も好ましくない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
茶ポリフェノール類を有効に利用するためには、上述の
従来の製造法の欠点を克服する必要がある。つまり操作
が容易簡便でかつ効率よく工業的に製造する方法が要求
される。
本発明は、茶抽出液を分画分子量が6,000〜100,000であ
る限外過膜を通過させることを特徴とするポリフェノ
ール類の製造方法である。
本発明における茶とは、茶全草もしくはその一部、例え
ば葉,木部,根,実などの生もしくは乾燥物の不醗酵物
もしくは部分醗酵物及び完全醗酵物を指し、各々または
それらの混合物のいずれも使用できる。
茶抽出液を得るには、温水、好ましくは熱湯を用いるほ
か有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、
アセトン,アルコール等があり、好ましくは含水状態で
用いる。
抽出方法は多段向流抽出法が好適であるが、特に限定す
るものではない。
次いで、ポリフェノール類を含む抽出液を限外過膜を
通過させる。使用する限外過膜は、分画分子量が6,00
0〜100,000のものが適する。分画分子量が6,000より小
さい場合、抽出有効成分を含む溶液の通過速度が遅くな
り、作業性や経済性が悪くなる。また、分画分子量が10
0,000を越える場合には、除去が必要な成分まで通過液
中に混入し、好ましくない。尚、膜の材質,形状は特に
限定するものではなく通常市販されている限外過膜が
使用し得る。限外濾過膜に用いられる材質としては、酢
酸セルロースおよびその誘導体、ポリアクリロニトリ
ル,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,高分子電解
質錯合体,芳香族ポリアミド,架橋ポリアミド,架橋ポ
リイミド,ポリフッ化ビニリデン,テフロン,ポリビニ
ルアルコール,キトサン,アセチルカードラン,セラミ
ックスなどが工業的に用いられる。形状は、平膜型,チ
ューブ型,スパイラル型,ファインチューブ型などの形
式のいずれも使用できる。
限外過膜通過液は、通常の濃縮・乾燥方法により、溶
媒を留去することにより目的とする純度30%以上のポリ
フェノール類精製粉末を得ることができる。さらに純度
を高めるためには、ポリフェノール類を選択的に吸着す
る吸着剤を用いる通常の吸着分離法、例えば、吸着剤と
しては有機系吸着剤,無機系吸着剤,活性炭,陰イオン
交換樹脂,炭水化物系凝集剤,蛋白質系凝集剤,疎水性
樹脂等を用いる方法により、容易に目的を達成できる。
すなわち本発明によれば、抽出条件,操作により若干異
なるが、純度30%以上のポリフェノール類精製物が容易
に得られ、さらに吸着分離と組み合わすことにより、容
易に60%以上の純度までたかめることができる。
〔作用〕
本発明の有用性を試験例により詳述する。
試験例 煎茶10kgを1筒の容器当り2kgずつ5筒に充填し、熱水
を第1筒から流して抽出した液を第2筒容器に送る半向
流連続多重段抽出を行い、第3筒の抽出後から初流液2,
000mlずつ分取(3〜5筒)して計6,000mlを得、これを
放冷し、試験液とした。得られた試料液を7分割し、そ
れぞれ分画分子量の異なる限外過膜(材質:ポリスル
ホン)を通過させ、通過液の物性,性状を試験した。結
果を表1に示した。なお固形分は限外過膜通過液100m
l中の乾燥後の重量を、純度は固形分中のポリフェノー
ル類の割合を百分率で表した。
ポリフェノール類の定量は、公定タンニン分析法により
測定した。着色度は内径1cmのガラス筒に液を入れ、白
色光下肉眼的に観察した。なお表中の数字は試験を3回
実施した平均値を示す。
以上の結果から、分画分子量1,000、3,000では、ポリフ
ェノール回収率が劣ることが判る。しかも分画分子量1,
000、3,000の膜では、同一液量の処理時間も増大し、経
済上好ましくない。分画分子量300,000の膜で処理した
場合、ポリフェノール回収率は良好であるが、着色度
(暗青色の着色)が大きく、着色物質の混入が認められ
た。
このことから、限外過膜の最適分画分子量は6,000〜1
00,000の範囲であるといえる。
分画分子量6,000膜を通過させた液のHPLCパターンを図
1に示す。尚、図2は処理前のHPLCパターンである。HP
LCの条件は、カラム:ODS(4.6φ×150),移動相:水:D
MF:アセトニトリル=85:13:2,流速:0.5ml/min,チャート
速度:2.5mm/min,サンプル量:5μlで行った。
比較例 本発明と従来法である有機溶剤による精製法を比較した
結果を表2に示した。
すなわち上記表に示すように操作との比較より明ら
かなように本発明の操作を行うことにより、ポリフェノ
ール類の純度が向上すると共に、色調も改良される。同
様の効果がとの比較からも認められ、さらに操作上
従来、品質劣化を招いていた水層と酢酸エチル層の中間
層の出現が激減し、分離が容易になることも確認され
た。
さらに、本発明法を用いることにより吸着樹脂等を用い
て精製する際も、濁質および着色物質が除去されること
から、樹脂耐用時間の増大と純度向上が可能となり得
る。
以下実施例により、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1) 煎茶200gを85℃の熱水4lで30分攪拌しながら抽出し、茶
葉を過により除き、3400mlの抽出液を得た。この液を
限外過装置(DDS社製,膜タイプGR−81PP(材質:ポ
リスルホン),分画分子量6,000)を用いて通過液3,000
mlを得た。濃縮残液に水1,000mlを加え同様に操作し、
通過液1,200mlを得た。両液を合わせ逆浸透圧膜(DDS社
製,膜タイプHC−50(材質:ポリエステル,ポリスルホ
ン,芳香族ポリアミドからなる複合膜)により濃縮し20
0mlとし、凍結乾燥し、純度35%のポリフェノール類精
製物48.6gを得た。
(実施例2) 秋番粉200gを1筒の容器当り、20gずつ10筒に充填し、
熱水を第1筒から流して抽出した液を第2筒各器による
半向流連続多重段で抽出し、第5筒の抽出後から初流液
50mlずつを分取(5〜10筒)して計300mlを得た。この
液を限外過装置(ミリポア社製,膜タイプPT(材質:
ポリスルホン),分画分子量10,000)を用いて通過液28
0mlを得た。濃縮残液に水180mlを加え同操作を行い過
180mlを得た、両液を合わせ吸着樹脂(Duolite S−876,
住友化学(株))を充填したカラム(5.0φ×25cm)に
流し、吸着させ2,000mlの脱イオン水で洗浄後、50%エ
タノール液800mlにて溶出し減圧濃縮によりエタノール
を留去し濃厚水溶液となし、しかる後常法により凍結乾
燥し、純度70%のポリフェノール類精製品21.4gを得
た。
〔発明の効果〕
本発明は、茶のポリフェノール類を連続的かつ経済的に
原料に応じて大量に製造することができる。極めて実用
性の高い方法である。
従って本発明は、茶ポリフェノール類の化学的,生化学
的ならびに生理的,薬学的な活用に貢献でき、ひいては
茶の消費の拡大と生産の安定に寄与しうるものであり産
業上の効果は計り知れないものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1に示した分画分子量6,000の限外濾過
膜を通過させた液のHPLCパターンを示し、図2は、未処
理液のHPLCパターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 長孝 三重県四日市市赤堀新町9番5号 太陽化 学株式会社内 審査官 前田 憲彦

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】茶抽出液を分画分子量が6,000〜100,000で
    ある限外過膜を通過させることを特徴とするポリフェ
    ノール類の製造方法。
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