JPH0685053B2 - X線画像のエネルギ−・サブトラクション方法に用いられる積層体 - Google Patents

X線画像のエネルギ−・サブトラクション方法に用いられる積層体

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JPH0685053B2
JPH0685053B2 JP5191209A JP19120993A JPH0685053B2 JP H0685053 B2 JPH0685053 B2 JP H0685053B2 JP 5191209 A JP5191209 A JP 5191209A JP 19120993 A JP19120993 A JP 19120993A JP H0685053 B2 JPH0685053 B2 JP H0685053B2
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rays
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誠 大古田
延淑 中島
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線画像のエネルギ−
・サブトラクション方法に用いられるX線写真フイルム
−螢光増感紙−フイルタ積層体に関する。
【0002】さらに詳しくは、X線写真フイルムと螢光
増感紙とを用いて、X線写真フイルムにX線画像を記録
し、その後このX線画像が記録されたX線写真フイルム
を光学的に走査してX線画像を透過光あるいは反射光の
形で光検出器により光電的に読み取り、得られた画像信
号に信号処理を施したのち可視像として再生するX線画
像記録再生システムにおけるX線画像のエネルギ−・サ
ブトラクション方法に用いられるX線写真フイルム−螢
光増感紙−フイルタ積層体に関する。
【0003】
【従来の技術】同一被写体に対して相異なるエネルギ−
分布を有するX線を照射せしめ、被写体の特定の構造物
(例えば、臓器、骨、血管等)が特有のX線エネルギ−
吸収特性を有することを利用して特定の構造物が異なっ
て抽出された2つのX線画像を得、その後この2つのX
線画像に適当な重みづけをした上で両画像間で引き算
(サブトラクト)を行ない特定の構造物の画像を抽出す
る、所謂エネルギ−・サブトラクション方法がデジタル
サブトラクション方法(デジタルラディオグラフィ−と
も呼ばれる。以下DRと略称する。)の一形態として知
られている。ここでDRとしては既存のI. I. チュ−
ブとTVカメラとからなるX線透視カメラの出力をデジ
タル処理するデジタル・フルオロスコピ−(Digital
Fluoroscopy)と、Xe −検出器等CTに用いられるX
線検出システムを流用するスキャンド・プロジェクショ
ン・ラディオグラフィ(Scanned Projection Radio
graphy)と呼ばれるものが知られている。
【0004】より具体的には、従来エネルギ−・サブト
ラクション方法として、以下に示すような種々の方法が
知られている。
【0005】(I)相異なるエネルギ−分布を有するX
線を短い時間間隔で間欠的に被写体に照射し、これと同
期して被写体を透過したX線をI. I. チュ−ブとTV
カメラからなるX線透視カメラあるいはXe −検出器等
のX線検出器により検出し、この結果得られた2つ以上
のX線画像からサブトラクション画像を得る方法。ここ
で相異なるエネルギ−分布を有するX線を照射する方法
としては、i )X線源をそのような相異なるエネルギ−
分布を有するX線を放射可能なように改造する、ii)相
異なるエネルギ−分布を有するX線を放射する2つ以上
のX線源をそれらから放射されるX線が互いに干渉しな
いように近接させる、iii)X線源と被写体との間にX線
のエネルギ−分布を変化させるようなフイルタを出し入
れする等の方法がある。
【0006】(II)相異なるエネルギ−分布を有するX
線を同時に放射することが可能な2つのX線源を近接さ
せて配置し、さらに多数の微細スリットあるいは微細穴
(例えば、円あるいは正方形の形状を有する穴が市松模
様に配されたもの)を有し、かつX線遮蔽部分と空隙部
分との面積比が1:1であるような構造を有する鉛等の
X線遮蔽物質からなるフイルタをX線検出器の受光面に
おいて一方のX線源からのX線と他方のX線源からのX
線とが互いに干渉しないようにX線源と被写体との間に
挿入し、このような状態で上記2つのX線源から被写体
に対してX線を同時に照射し、これによって相異なるエ
ネルギ−分布を有するX線によりX線検出器受光面上に
X線画像を形成させてそれらX線画像をX線検出器によ
り検出し、検出されたX線画像を読出し時に、あるいは
読み出し後に分離し、その後分離された画像からサブト
ラクション画像を得る方法。
【0007】(III )被写体をX線源およびX線検出器
に対して相対的に移動しつつ、X線源より相異なるエネ
ルギ−分布を有する扇状X線を一定時間交互に連続的に
発生させ、被写体を透過した扇状X線を被写体後方に設
置されたX線検出器により検出し、得られた画像信号か
ら相異なるエネルギ−分布を有するX線に対応するX線
画像を得、その後それらX線画像からサブトラクション
画像を得る方法。相異なるエネルギ−分布を有するX線
を発生せしめる方法としては、(I)と同様の方法が考
えられる。
【0008】(IV)方法(II)で用いられるフイルタと
同様の形状を有するフイルタを銅等のX線の低エネルギ
−成分を吸収する金属で形成し、このフイルタを1つの
X線源と被写体との間に挿入してX線源から放射された
X線よりX線検出器受光面において互いに干渉しないよ
うな相異なるエネルギ−分布を有するX線を生じさせ、
これら相異なるエネルギ−分布を有するX線によりX線
検出器受光面上にX線画像を形成させてそれらX線画像
をX線検出器で検出し、検出されたX線画像を読み出し
時に、あるいは読み出し後に分離し、その後分離された
画像からサブトラクション画像を得る方法。
【0009】エネルギ−・サブトラクション方法は被写
体のエネルギ−吸収特性の異なる構造物の画像を分離抽
出することが可能であり、骨部を除いた軟部組織のみの
画像を形成することが可能である。例えば、縦隔部に存
在する気管支等、従来は骨と重なって診断し難かった構
造物の画像を骨の画像より分離し抽出することが可能で
ある。また、腹部血管造影などの撮影で時間サブトラク
ションを行なうと腹部ガス像によるア−ティファクトが
問題となるが、エネルギ−・サブトラクション方法によ
れば軟部組織に関する情報を消すことが可能であり、ガ
ス像のない骨と造影像のみの画像形成が可能である。従
って、エネルギ−・サブトラクション方法は従来の方法
では得られなかった診断情報を得ることができ、原理的
には非常に卓越した方法として医療診断分野で注目され
ている方法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のエネルギ−・サブトラクション方法はDRに係わる
本質的な欠点を有している。即ち、DRによって得られ
たサブトラクション画像の空間分解能は、一般にI.
I. チュ−ブとTVカメラとからなるX線透視カメラあ
るいはXe −検出器等のX線検出器の分解能で決定され
るが、このような従来のDRに使用されているX線検出
器の分解能はあまり高くなく、従って従来のエネルギ−
・サブトラクション方法は特定の構造物に対する十分微
細な診断が不可能であるという問題がある。さらに、D
Rにおける撮影範囲はX線検出器の受光面積で限られる
ため、従来のエネルギ−・サブトラクション方法は広範
囲な被写体の構造物に対して同時にサブトラション画像
を得ることができないという問題がある。
【0011】さらに上記従来のエネルギ−・サブトラク
ション方法(I)、(II)、(III)および(IV)は以下
のような欠点を有している。
【0012】1. 特殊なX線源を必要とする〔方法
(I)および方法(II)〕。
【0013】2. 2つのX線画像の対応する画素間に位
置ずれが発生する〔2つのX線源を使用する場合の方法
(I)、方法(II)、方法(III )および方法(I
V)〕。
【0014】3. 通常のX線画像形成方法に比べて半分
の解像度しか得ることができない〔方法(II)および方
法(IV)〕。
【0015】4. 相異なるエネルギ−分布を有するX線
による各X線画像が同一平面上に形成されるので、それ
らX線画像を読み出し時あるいは読み出し後に分離する
ことが困難である〔方法(II)および方法(IV)〕。
【0016】5. 相異なるエネルギ−分布を有するX線
が間欠的に複写体に照射されるので、被写体の筋肉運
動、呼吸運動、蠕動等により各画像間に位置ずれが生
じ、結果として良好なサブトラクション画像が得られな
くなる〔方法(I)〕。
【0017】6. 被写体が扇状X線により走査されるの
で、一画像を形成するのに時間がかかり、走査の始めと
終りで時間差ができ、被写体の筋肉運動、呼吸運動、蠕
動等により各画像中に位置ずれが生じ、結果として良好
なサブトラクション画像が得られず、特に血管造影像を
抽出するには不向きである〔方法(III)〕。
【0018】本発明の目的は、上記事情に鑑み、上記従
来のエネルギ−・サブトラクション方法が有するような
欠点を有しておらず、良好なサブトラクション画像を得
ることが可能なX線画像のエネルギ−・サブトラクショ
ン方法に使用するX線検出器としてのX線写真フイルム
−螢光増感紙−フイルタ積層体を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係るX線画像の
エネルギ−・サブトラクション方法に用いられる積層体
は、上記目的を達成するため、 a )積層状態で配された2枚のX線写真フイルム、 b )これらX線写真フイルム間に配されかつこれらX線
写真フイルム側に螢光体層を有する2枚の螢光増感紙、 c )上記X線写真フイルムの一方に関し、上記螢光増感
紙とは反対の側に配され、かつ該X線写真フイルム側に
螢光体層を有する螢光増感紙、および d )上記X線写真フイルム間に配された2枚の螢光増感
紙間に介在せしめられたX線の低エネルギ−成分吸収物
質からなるフイルタ からなることを特徴とする。
【0020】X線写真フイルムに一旦X線画像を記録
し、このX線画像が記録されたX線写真フイルムを光学
的に走査することによりX線画像を透過光あるいは反射
光の形で光電的に検出し、この検出によって得られた画
像信号に信号処理を施したのち可視像として再生するこ
とによってX線画像の記録再生を行なうX線写真記録再
生システムか本出願人によりすでに提案されている(特
開昭 54-121043号公報)。
【0021】一般にX線写真フイルムはX線撮影に適し
た高い感度と広い露光域とを持ち、かつ観察読影に適し
た高いコントラスト、高い鮮鋭度および細かい粒状性を
かねそなえている必要がある。しかし、これらの特性は
互いに矛盾するところが多く、すべての特性が満たされ
たX線写真フイルムを作ることは困難であり、撮影適性
と観察読影適性とを少しづつ犠牲にしてフイルムが設計
されていたが、上記X線画像記録再生システムを利用す
るとコントラスト、鮮鋭度および粒状性を改善すること
ができ、これによりX線画像の診断性能を向上させるこ
とができる。従って、多くの診断情報を得ることができ
ると同時に、X線写真フイルムに更に良好な撮影適性を
持たせることが可能となる。
【0022】本発明の積層体を使用するX線画像のエネ
ルギ−・サブトラクション方法は上記X線画像記録シス
テムを利用するものである。すなわち、本発明の積層体
を使用するX線画像のエネルギ−・サブトラクション方
法は、先に説明した従来のエネルギ−・サブトラクショ
ン方法に用いられていたX線検出器のかわりに、2枚の
X線写真フイルムが螢光増感紙およびX線の低エネルギ
−成分吸収物質からなるフイルタと共に積層状態で配さ
れたX線写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層体を
X線検出器として用い、この積層体にX線エネルギ−吸
収特性が他とは異なる特定の構造物を含む被写体を透過
したX線を照射して該積層体に上記特定の構造物に対応
する部分の画像情報が異なる2つのX線画像を記録し、
その後積層体を構成する2枚のフイルムから読み出され
た2つのX線画像からサブトラクション画像を得ること
を特徴とするものであり、従来のエネルギ−・サブトラ
クション方法が有していた問題を解消するものである。
【0023】即ち、本発明の積層体を用いたX線画像の
エネルギ−・サブトラクション方法は、 a )積層状態で配された2枚のX線写真フイルム、 b )これらX線写真フイルム間に配されかつこれらX線
写真フイルム側に螢光体層を有する2枚の螢光増感紙、 c )上記X線写真フイルムの一方に関し、上記螢光増感
紙とは反対の側に配され、かつ該X線写真フイルム側に
螢光体層を有する螢光増感紙、および d )上記X線写真フイルム間に配された2枚の螢光増感
紙間に介在せしめられたX線の低エネルギ−成分吸収物
質からなるフイルタ からなるX線写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層
体に、被写体を透過したX線をこの積層体のX線写真フ
イルムが位置する一端側から照射して、この積層体を構
成する2枚のX線写真フイルムのうち被写体から遠い位
置に置かれたX線写真フイルムに被写体に近い位置に置
かれたX線写真フイルムよりも上記特定の構造物に対応
する部分においてX線の低エネルギ−成分が吸収され減
少した画像情報が記録されるように上記2枚のX線写真
フイルムにX線画像を記録し、その後上記2枚のX線写
真フイルムを光学的に走査して上記フイルムに記録され
ているX線画像を透過光あるいは反射光の形で光電的に
読み取ってデジタル画像信号に変換し、このデジタル画
像信号に変換された2つのX線画像の対応する画素間で
デジタル画像信号の引き算を行なって上記特定の構造物
の画像を抽出することを特徴とするものである。
【0024】上記本発明の積層体を用いたX線画像のエ
ネルギ−・サブトラクション方法において、X線画像の
対応する画素間でデジタル画像信号の引き算を行なうと
は、X線画像の対応する画素のデジタル画像信号に重み
係数を乗じて引き算をし、新たな画像信号を得ることを
意味するものである。また、X線の低エネルギ−成分吸
収物質とは、X線の高エネルギ−成分よりも低エネルギ
−成分をより吸収する物質を意味するものである。
【0025】本発明の積層体は、積層状態で配された2
枚のX線写真フイルム間に配される2枚の螢光増感紙の
間にX線の低エネルギ−成分吸収物質からなるフイルタ
を介在させ、このフイルタによって被写体を透過したX
線の低エネルギ−成分を吸収させるものであり、X線の
低エネルギ−成分吸収物質からなるフイルタはX線の低
エネルギ−成分吸収物質のみからなるものであってもよ
いし、あるいはX線の低エネルギ−成分吸収物質と、こ
の物質を分散状態で含有している別の物質とからなるも
のであってもよい。
【0026】上記X線の低エネルギ−成分吸収物質と
は、X線の高エネルギ−成分よりも低エネルギ−成分を
より吸収する物質を意味するが、その具体例として金属
が挙げられ、特にCu,W,Mo,Ni,Pb,Au,Ag,Ba,T
a,Fe,Al,Zn,Cd,Ti,Zr,V,Nb,Cr,Co およびS
n のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0027】本発明の積層体を用いたX線画像のエネル
ギ−・サブトラクション方法においては、サブトラクシ
ョン画像を得るためにサブトラクションすべき2つのX
線画像の対応する画素間で引き算が行なわれるが、この
引き算とは先に述べたようにサブトラクションすべき2
つのX線画像の対応する画素の画像信号に重み係数を乗
じて引き算をし、新たな画像信号を得ることを意味す
る。この引き算を式で表わすと、 L=m P−n Q (但し、P、Qはサブトラクションすべき2つのX線画
像のデジタル画像信号、m,n は重み係数、Lは新たな画
像信号)となる。サブトラクション画像を得るにあた
り、抽出すべき特定の構造物に関する画像情報以外の画
像情報を消すためには、サブトラクションすべき2つの
画像間で消去すべき部分の画像信号の強度分布を一致さ
せるとよいが、このためには消去すべき部分の階調を一
致させるのが簡便である。このことを実現するためには
重み係数m,n を両画像の消去すべき部分の階調が一致す
るように選んで引き算を行なうのが好ましい。撮影の条
件によっては、m =n 、さらにm =n =1となる場合も
ある。また、サブトラクションすべき2つの画像中に
は、種々の構造物が複雑に重なって積分像として記録さ
れるため、上記重み係数は必ずしも定数ではなく、場合
によっては構造物の厚みの関数となり、非線型性を有す
ることもある。
【0028】上記引き算の具体的方法としては、消去す
べき構造物(例えば胸部写真において肺などの軟部組
織)の領域の強度分布を一致させるように重み係数を選
びサブトラクションすべき2つの画像の全画素の画像信
号に上記重み係数を乗じる方法が挙げられる。この方法
によれば、サブトラクションすべき2つの画像中の軟部
組織のみの領域は一定の強度となり、そこでサブトラク
ションすべき2つの画像間で引き算を行なうと、軟部組
織に関する画像情報は失われ、骨のみの画像情報が差と
なって抽出される。従って、このような簡便な方法を実
用するのが好ましい。
【0029】本発明の積層体を用いたX線画像のエネル
ギ−・サブトラクション方法においては、予め特定のフ
イルタによって高エネルギ−帯と低エネルギ−帯とに分
離されたX線を被写体に照射するX線として使用する
と、X線写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層体に
おけるX線の高エネルギ−成分と低エネルギ−成分との
分離がより一層容易になるので好ましい。
【0030】また、本発明の積層体において、被写体に
より近い位置に置かれる螢光増感紙の厚さをより薄くす
ることは、被写体からより遠い位置に置かれる螢光増感
紙に届くX線量の低減を防ぐのに有効である。
【0031】本発明の積層体を用いたX線画像のエルギ
−・サブトラクション方法において、X線写真フイルム
からX線画像を読み出すための、X線写真フイルムを光
学的に走査する手段としては、光ビ−ムをX線写真フイ
ルム上を二次元的に走査せしめるもの、光ビ−ムを固定
しX線写真フイルムを回転ドラムに取りつけ、回転軸に
平行な方向に移動せしめることにより行なうもの、ある
いはフライングスポットスキャナ−のような電子走査等
の種々の手段を用いることができる。ここで光ビ−ムと
して点光源から発せられた光を集光レンズで集光せしめ
ることによって得られたもの、レ−ザ−ビ−ム等の種々
のものが使用できる。読取りはX線写真フイルムが光学
的に走査された時のX線画像からの反射光あるいは透過
光(X線フイルムが透過性の場合)を光検出手段によっ
て検出することによって行なうことができる。
【0032】本発明の積層体を用いたX線画像のエネル
ギ−・サブトラクション方法においては、サブトラクシ
ョンの前あるいは後にX線画像に種々の信号処理を施す
ことができるが、用いられる信号処理としては、特開昭
56-11035号、同56-75136号、同56-75138号、同56-75140
号、同56-91735号等に開示されている周波数処理、特開
昭 55-116338号、同55-88741号等に開示されている階調
処理などがあげられる。
【0033】
【作用および発明の効果】本発明の積層体を用いてX線
画像のエネルギ−・サブトラクションを行なえば、被写
体を透過したX線の低エネルギ−成分の吸収が、螢光増
感紙とは別体として設けられたフイルタにより行なわれ
るので、X線の低エネルギ−成分の吸収を効率よく行な
うことができ、また螢光増感紙も単純撮影に用いられる
螢光増感紙をそのまま転用することができるので、極め
て好都合である。
【0034】本発明の積層体を用いてX線画像のエネル
ギ−・サブトラクションを行なえば、読み出しの際にX
線写真フイルム上を走査する光ビ−ムのスポット径を小
さくして、単位面積当たりの画素数を増加させることが
でき、かつサブトラクション処理及び各種の信号処理を
施した後の画像デ−タの最終出力を銀塩等の感光材料上
に直接記録することができるので、従来のDRに比べて
空間分解能の著しく高いサブトラクション画像を得るこ
とができ、原理的には人間の視覚の識別分解能以下の空
間分解能を有する鮮明なサブトラクション画像を得るこ
とができる。それと同時にX線写真フイルムあるいは螢
光増感紙の面積を大きくすることに何ら技術的支障はな
いので、人体の広範囲の構造物をカバ−する大面積に対
して一度にサブトラクション画像を得ることができる。
このように本発明の積層体を用いてX線画像のエネルギ
−・サブトラクションを行なえば、DRにおけるX線検
出器に基づく本質的な問題点は解消される。
【0035】また、本発明の積層体を用いてX線画像の
エネルギ−・サブトラクションを行なえば、X線源から
放射され被写体を透過したX線がX線写真フイルム−螢
光増感紙−フイルタ積層体を構成する各X線写真フイル
ムに同時に照射されるので、サブトラクションすべき2
つのX線画像の形成に時間差が生じることがなく、従っ
て、時々刻々に変化する人体の特定の構造物のサブトラ
クション画像も良好なものとして得ることができる。
【0036】さらに本発明の積層体を用いてX線画像の
エネルギ−・サブトラクションを行なえば、単一のX線
源を使用できるので、2つのX線画像の対応する画素間
に位置ズレが生じることがない。
【0037】さらに本発明の積層体を用いてX線画像の
エネルギ−・サブトラクションを行なえば、従来汎用の
X線発生装置および撮影装置をそのまま使用することが
できる。
【0038】さらに本発明の積層体を用いてX線画像の
エネルギ−・サブトラクションを行なえば、相異なった
エネルギ−分布を有するX線に対するX線画像が別個の
X線写真フイルムに記録されるので、読み出し時あるい
は読み出し後に画像を分離しなければならないという問
題も発生せず、また、サブトラクション画像を得ること
によって解像度が半減するということもない。
【0039】このように本発明の積層体を用いてX線画
像のエネルギ−・サブトラクションを行なえば従来のエ
ネルギ−・サブトラクション方法の有する問題を一挙に
解消することができる。
【0040】
【実施例】以下、図面を用いて本発明を詳細に説明す
る。
【0041】図1は本発明のX線画像のエネルギ−・サ
ブトラクション方法に用いられるX線写真フイルム−螢
光増感紙−フイルタ積層体の一実施例を示す概略断面図
である。図1に示されるX線写真フイルム−螢光増感紙
−フイルタ積層体(以下単に積層体という)は、積層状
態で配された2枚のX線写真フイルムAおよびB、これ
ら2枚のX線写真フイルムAおよびBの間に配されかつ
これらX線写真フイルムAおよびB側に螢光体層を有す
る2枚の螢光増感紙a およびb 、X線写真フイルムの一
方Bに関し、上記螢光増感紙a およびb とは反対の側に
配され、かつこのX線写真フイルムB側に螢光体層を有
する螢光増感紙c 、およびX線写真フイルムAおよびB
間に配された2枚の螢光増感紙a およびb 間に介在せし
められたX線の低エネルギ−成分吸収物質からなるフイ
ルタ3からなるものである。
【0042】螢光増感紙a 、b およびc はそれぞれポリ
エチレンテレフタレ−トあるいは酢酸セルロ−ス等のX
線透過性の材料から形成された支持体2a 、2b および
2c上に、適当な結合剤中にX線用螢光体を分散してな
る螢光体層1a 、1b および1c が設けられたものであ
る。螢光増感紙a 、b およびc の螢光体層1a 、1bお
よび1c の表面(支持体2a 、2b および2c 側とは反
対側の面)には、それらの螢光体層を物理的あるいは化
学的に保護するポリエチレンテレフタレ−トフイルム等
の保護膜が設けられていてもよい。
【0043】上記図1に示される積層体において、螢光
増感紙a 、b およびc は支持体を有さないいわゆる自己
支持性の螢光増感紙であってもよい。フイルタ3はX線
の低エネルギ−成分吸収物質と、この物質を分散状態で
含有している別の物質からなるものであってもよいし、
あるいはX線の低エネルギ−成分吸収物質のみからなる
ものであってもよく、このフイルタ3により被写体を透
過したX線の低エネルギ−成分の吸収が行なわれる。
【0044】図2は図1に示される積層体を用いてX線
画像のエネルギ−・サブトラクションを行なうためにX
線写真フイルムにX線画像を記録する様子を説明する概
略図である。図中上方にはX線6を放射する単一のX線
源4が配されており、被写体7の後方には図1に示され
る積層体がカセッテ5中に収納されて配置されている。
【0045】X線源4からX線6が放射されると、この
X線6はX線エネルギ−吸収特性が他とは異なる特定の
構造物を含む被写体7を透過してX線写真フイルムAお
よび螢光増感紙a に到達する。ここで被写体7のX線画
像がX線写真フイルムAに記録される。次に上記X線写
真フイルムAおよび螢光増感紙a を透過したX線はフイ
ルタ3を透過して螢光増感紙b およびc とX線写真フイ
ルムBに到達し、X線写真フイルムBに被写体7のX線
画像が記録される。ここで、フイルタ3はX線の低エネ
ルギ−成分をより多く吸収するので、該フイルタ3を透
過したX線は低エネルギ−成分が低減して高エネルギ−
成分が強調された状態になっており、従ってX線写真フ
イルムBにはX線の低エネルギ−成分に係わる画像情報
が低減した被写体7のX線画像が記録される。このよう
にして被写体7の特定の構造物に対応する部分において
画像情報が異なる2つのX線画像が2枚のX線写真フイ
ルムAおよびBに同時に記録される。
【0046】このようにして得た2枚のX線写真フイル
ムAおよびBから、図3に示されるような読出系によっ
てX線画像を読み出し、画像を表わすデジタル画像信号
を得る。先ず、X線写真フイルムAを矢印Yの方向に副
走査のために移動させながら、レ−ザ−光源10からの
レ−ザ−光11を走査ミラ−12によってX方向に主走
査させ、X線写真フイルムAから該フイルムに記録され
たX線画像を反射光13として読み出す。反射光13は
透明なアクリル板を成形して作った集光板14の一端面
からこの集光板14の内部に入射し、中を全反射を繰返
しながらフォトマル15に至り、その光量が画像信号S
として出力される。この出力された画像信号Sは増幅器
とA/D変換器を含む対数変換器16により対数値(lo
g S)のデジタル画像信号log SA に変換される。この
デジタル画像信号log SA はデジタル演算器17に入力
され、そこに記憶される。次に、全く同様にして、もう
1枚のX線写真フイルムBの記録画像が読み出され、そ
のデジタル画像信号log SB がデジタル演算器17に記
憶される。デジタル演算器17では、対応する画素間で
デジタル画像信号log SA よりデジタル画像信号log S
B が差し引かられ抽出したい特定の構造物の画像信号が
得られる。この際デジタル画像信号log SAおよびlog
B それぞれに適当な重み係数が乗じられるが、2つの
重み係数は両画像の消去すべき部分の階調が一致するよ
うに選ばれるのが好ましい。なお、ここでデジタル画像
信号が対数値として扱われるのは、画像デ−タの帯域圧
縮がなされ、かつ不必要な画像情報の完全除去が可能と
なるからであり、対数値に変換しない原画像信号により
同様のことを行なうことも可能である。
【0047】このようにして、デジタルサブトラクショ
ン処理を行なうことにより得られた信号は、必要に応じ
て空間周波数処理、階調処理、加算平均処理等の画像処
理が施されたのち、CRT等の表示装置上に直接再生さ
れるかあるいは以下に説明するように感光フイルム等の
記録材料上に再生記録される。
【0048】図4は再生用の画像走査記録の例を示すも
のである。感光フイルム20を矢印Yの副走査方向へ移
動させるとともにレ−ザ−ビ−ム21をこの感光フイル
ム20上にX方向に主走査させ、レ−ザ−ビ−ム21を
A/O変調器22により画像信号供給器23からの画像
信号によって変調することにより感光フイルム20上に
可視像を形成する。この画像信号として、前記デジタル
演算器17の出力を使用すればデジタルサブトラクショ
ン処理が施された所望の特定構造物の画像を感光フイル
ム20上に再生記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられるX線写真フイルム−螢光増
感紙−フイルタ積層体の一実施例を示す概略断面図
【図2】図1に示す積層体に被写体のX線画像を記録す
る様子を説明する概略図
【図3】X線写真フイルムから記録されたX線画像を反
射光の形で光電変換してデジタル信号を得、これをサブ
トラクション処理するステップを説明する概略図
【図4】サブトラクション処理によって得られた信号を
利用して感光フイルム上にサブトラクション処理された
画像を再生記録するステップを説明する概略図
【符号の説明】
A,B X線写真フイルム a,b,c 螢光増感紙 1a,1b,1c 螢光体層 2a,2b,2c 支持体 3 フイルタ 4 X線源 6 X線 7 被写体 10 レ−ザ−光源 11 レ−ザ−光 12 走査ミラ− 13 反射光 14 集光板 15 フォトマル 16 対数変換器 17 デジタル演算器 20 感光フイルム 21 レ−ザ−光 22 A/O変調器 23 画像信号供給器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a )積層状態で配された2枚のX線写真
    フイルム、 b )これらX線写真フイルム間に配されかつこれらX線
    写真フイルム側に螢光体層を有する2枚の螢光増感紙、 c )上記X線写真フイルムの一方に関し、上記螢光増感
    紙とは反対の側に配され、かつ該X線写真フイルム側に
    螢光体層を有する螢光増感紙、および d )上記X線写真フイルム間に配された2枚の螢光増感
    紙間に介在せしめられたX線の低エネルギ−成分吸収物
    質からなるフイルタからなるX線写真フイルム−螢光増
    感紙−フイルタ積層体。
  2. 【請求項2】 上記フイルタが上記X線の低エネルギ−
    成分吸収物質と、この物質を分散状態で含有している別
    の物質とからなることを特徴とする請求項1記載のX線
    写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層体。
  3. 【請求項3】 上記フイルタが上記X線の低エネルギ−
    成分吸収物質のみからなることを特徴とする請求項1記
    載のX線写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層体。
  4. 【請求項4】 上記X線の低エネルギ−成分吸収物質が
    金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載のX線写真フイルム−螢光増感紙−フイルタ積層
    体。
  5. 【請求項5】 上記金属がCu,W,Mo,Ni,Pb,Au,A
    g,Ba,Ta,Fe,Al,Zn,Cd,Ti,Zr,V,Nb,Cr,Co
    およびSn のうちの少なくとも1種であることを特徴と
    する請求項4記載のX線写真フイルム−螢光増感紙−フ
    イルタ積層体。
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