JPH068425B2 - トラクションドライブ用流体 - Google Patents

トラクションドライブ用流体

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JPH068425B2
JPH068425B2 JP20769286A JP20769286A JPH068425B2 JP H068425 B2 JPH068425 B2 JP H068425B2 JP 20769286 A JP20769286 A JP 20769286A JP 20769286 A JP20769286 A JP 20769286A JP H068425 B2 JPH068425 B2 JP H068425B2
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temperature
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traction
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俊之 坪内
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規なトラクションドライブ用流体に関するも
のである。さらに詳しくいえば、本発明は、高温でのト
ランクション係数が改善されて、広い温度範囲にわたっ
てトラクション係数が高い上に、総合性能に優れた実用
的価値の高い、トラクションドライブ装置に用いられる
流体に関するものである。
〔従来の技術〕
トラクションドライブ用流用はトラクションドライブ装
置、例えば自動車無段変速機、産業用無段変速機、水圧
機器などのころがり接触による摩擦駆動装置に用いられ
る流体であって、一般に高いトラクション係数、熱およ
び酸化に対する安定性、経済性などが要求されている。
近年、トラクションドライブ装置の小型軽量化が自動車
などの用途を中心に研究されており、それに伴って、こ
のトラクションドライブ装置に用いられる流体も、種々
の苛酷の条件下で使用に耐えうる性能、特に−30℃程
度の低温から140℃程度の高温に至る広い温度範囲に
わたって、トラクション係数が高く、かつ粘度が低い上
に、酸化安定性が優れるなど、安定的に高性能を発揮し
うることが要求されている。
これまで、トラクションドライブ用流体として種々のも
の、例えば鉱油、アダマンタン類、ポリオレフィン、ア
ルキルナフタレンなどが知られており、さらに近年、水
素化された環を有するナフテン系油が、トラクションド
ライブ用流体として一般に優れた性質を有することが見
い出され、種々の水素化された環を有するナフテン系
油、例えばジシクロヘキシルエタン類(特公昭48−2
9715号公報)、ジシクロヘキシルプロパン類(特公
昭53−36105号公報)、水素化縮合環化合物(米
国特許第3,411,369号明細書)、1個以上の飽
和の酸素含有環を有するナフテン(米国特許第3,44
0,894号明細書)、ナフテンとパラフィンとの混合
油(米国特許第3,595,796号明細書、同第3,
595,797号明細書)、キシレンおよび/またはト
ルエンとスチレンとのアルキル化反応生成物を水素化し
て得られるもの(特開昭55−43108号公報)、一
方のアリール基が単環の炭化水素基であり、他方のアリ
ール基が縮合環の炭化水素基であるジアリールメタンを
水素化して得られるもの(特開昭59−129293号
公報)、ジシクロヘキシルアルカン系化合物(特開昭6
0−58495号公報、同60−228599号公報)
などが提案されている。
しかしながら、これらの水素化された環を有するナフテ
ン系油は、トラクションドライブ用流体として比較的優
れた性質を有するものの、前記の要求特性を必ずしもす
べて満足しうるものではなく、例えば低温における性能
には優れているが、高温におけるトランクション係数が
低いなどの欠点があった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、このような従来のトラクションドライ
ブ用流体が有する欠点を改良し、基油の低温におけるト
ラクション性能を損なうことなく、かつ動粘度もさほど
大きくせずに高温でのトラクション係数の改善された、
優れた性能を有するトラクションドライブ用流体を提供
することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは前記の優れた性能を有するトラクションド
ライブ用流体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定
の動粘度を有する基油にある種のデカリン誘導体を配合
することにより、低温におけるトラクション性能を損な
うことなく、高温でのトラクション係数を相乗的に高め
ることができて、広い温度範囲にわたってトラクション
係数の高い実用性能に優れたトラクションドライブ用流
体が得られ、前記目的を達成しうることを見い出し、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)100℃の温度における動
粘度8センチストークス以下の基油と、(B)一般式 (式中のR1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基、p、qおよびrは
それぞれ1〜3の整数、nは2〜4の整数であり、R1
R2およびR3がそれぞれ複数個ある場合は、R1、R2および
R3はそれぞれにおいて同一であってもよいし、異なって
いてもよい) で表されるデカリン誘導体を含有してなるトラクション
ドライブ用流体を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明流体において、(A)成分として用いる基油は、
100℃の温度における動粘度が8センチストークス以
下、好ましくは7センチストークス以下のものであり、
このようなものとしては、例えばナフテン系、芳香族
系、パラフィン系、シリコーン系、エステル系などの基
油が挙げられる。これらの基油の中では特にナフテン系
のものが好適であり、このナフテン系基油としては、例
えば1−(2−デカリル)−1−シクロヘキシルエタ
ン、1−(1−デカリル)−1−シクロヘキシルエタ
ン、1−(2−メチルデカリル)−1−シクロヘキシル
エタン、1−(1−メチルデカリル)−1−シクロヘキ
シルエタン、1−ジメチルデカリル−1−シクロヘキシ
ルエタン、2−(2−デカリル)−2−シクロヘキシル
プロパン、2−(1−デカリル)−2−シクロヘキシル
プロパン、1−シクロヘキシル1,4−ジメチルデカリ
ン、1,2−ジ(メチルシクロヘキシル)−2−メチル
プロパン、2,3−ジ(メチルシクロヘキシル)−ブタ
ン、1,3−ジシクロヘキシル−3−メチルブタン、
2,4−ジシクロヘキシルペンタン、2,4−ジシクロ
ヘキシル−2−メチルペンタン、1,3−ジシクロヘキ
シル−1−メチルシクロペンタン、タ−シクロヘキシ
ル、シクロヘキシルメチルデカリン、1−ジシクロヘキ
シル−1−シクロヘキシルエタン、ナフテン系鉱油など
が挙げられる。
また、芳香族基油としては、例えばプロピレン重合体と
ベンゼンとの反応によって得られるハード型アルキルベ
ンゼン、α−オレフィンとベンゼンとの反応によって得
られるソフト型アルキルベンゼン、ジイソプロピルナフ
タレンなどのアルキルナフタレン、ジエチルビフェニル
などのアルキルビフェニル、フェニルキシリルエタン、
ベンジルナフタレンなどのジアリールアルカンなどがあ
り、パラフィン系基油としては、例えばポリα−オレフ
ィンやパラフィン系鉱油、さらにはポリブテン、プロピ
レンオリゴマー、スクワランなどが挙げられる。
シリコーン系基油としては、例えばジメチルシリコーン
やフェニルメチルシリコーンなどのシリコーンオイルな
どがあり、エステル系基油としては、例えばポリオール
エステルやジエスエル、シクロヘキサノールのシクロヘ
キサンカルボン酸エステルやシクロドデカノールのシク
ロヘキサンカルボン酸エステルなどのシクロアルカノー
ルのシクロアルキルカルボン酸エステル、トリシクロヘ
キシルホスフェートなどのリン酸エステルなどがある。
これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以
上組み合わせて用いてもよく、2種以上組み合わせて用
いる場合は、使用する基油いずれかが100℃の温度に
おける動粘度が8センチストークスを超えるものであっ
ても、混合したものが8センチストークス以下であれば
よい。
本発明流体においては、(B)成分として、一般式 (式中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、p、q、rおよびn
は前記と同じ意味をもつ) で表されるデカリン誘導体が用いられる。前記一般式
(I)で表されるデカリン誘導体の具体例としては、
1,3−ジ(シクロヘキシル)ブチル−デカリン、1,
3,5−トリ(シクロヘキシル)ヘキシル−デカリン、
1,3,5,7−テトラ(シクロヘキシル)オクチル−
デカリン、1,3−ジ(シクロヘキシル)ブチル−モノ
メチルまたはジメチルデカリン、1,3,5−トリ(シ
クロヘキシル)ヘキシル−モノメチルまたはジメチルデ
カリン、1,3,5,7−テトラ(シクロヘキシル)オ
クチル−モノメチルまたはジメチルデカリン、1,3−
ジ(メチルシクロヘキシル)ブチル−デカリン、1,
3,5−トリ(メチルシクロヘキシル)ヘキシル−デカ
リン、1,3,5,7−テトラ(メチルシクロヘキシ
ル)オクチル−デカリン、1,3−ジ(メチルシクロヘ
キシル)ブチル−モノメチルまたはジメチルデカリン、
1,3,5−トリ(メチルシクロヘキシル)ヘキシル−
モノメチルまたはジメチルデカリン、1,3,5,7−
テトラ(メチルシクロヘキシル)オクチル−モノメチル
またはジメチルデカリン、(1,3−ジメチル−1,3
−ジシクロヘキシル)ブチル−デカリン、(1,3,5
−トリメチル−1,3,5−トリシクロヘキシル)ヘキ
シル−デカリン、(1,3,5,7−テトラメチル−
1,3,5,7−テトラシクロヘキシル)オクチル−デ
カリン、(1,3−ジメチル−1,3−ジシクロヘキシ
ル)ブチル−モノメチルまたはジメチルデカリン、
(1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリシクロヘ
キシル)ヘキシル−モノメチルまたはジメチルデカリン
−、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−
テトラシクロヘキシル)オクチル−モノメチルまたはジ
メチルデカリンなどが挙げられる。これらはそれぞれ単
独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよ
い。これらのデカリン誘導体の代表的なものの構造式を
次に示す。
1,3−ジ(シクロヘキシル)ブチル−デカリン 1,3−ジ(シクロヘキシル)ブチル−メチルデカリン 1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブチル−デカリン 1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブチル−メチルデ
カリン (1,3−ジメチル−1,3−ジシクロヘキシル)ブチ
ル−デカリン (1,3−ジメチル−1,3−ジシクロヘキシル)ブチ
ル−メチルデカリン これらのデカリン誘導体の製造方法については特に制限
はなく、種々の方法を用いうるが、通常はナフタリンま
たはその誘導体、あるいはそれらから得られるテトラリ
ンまたはテトラリン誘導体と、スチレンまたはスチレン
誘導体の線状二〜四量体とを適当な触媒の存在下に反応
させたのち、減圧蒸留などにより所望留分を得、次いで
これを水素化処理して目的のデカリン誘導体を製造する
といった方法が用いられる。
前記の適当な触媒としては、硫酸、塩化アルミニウムな
どのフリーデルクラフツ触媒、リンタングステン酸、ケ
イタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン
酸などのヘテロポリ酸あるいはその塩や、活性白土、酸
性白土、シリカアルミナ、固体リン酸、イオン交換樹
脂、チタニア、ゼオライトなどの固体触媒が挙げられ
る。
また、該水素化処理に用いられる触媒としては、例えば
白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケルな
どが挙げられる。
例えば、濃硫酸などの触媒の存在下、テトラリンまたは
ナフタレンとスチレンの線状二量体とを反応させたの
ち、反応生成物を減圧蒸留して、1,3−ジ(フェニ
ル)ブチル−テトラリンを得、次いで、通常用いられて
いる水添触媒、例えばルテニウム−カーボン触媒などの
存在下、該1,3−ジ(フェニル)ブチル−テトラリン
を水素化処理することにより、前記式(Ia)で示され
る1,3−ジ(シクロヘキシル)ブチツ−デカリンが得
られる。この反応において、スチレンの線状二量体の代
わりに、ビニルトルエンの線状二量体およびα−メチル
スチレンの線状二量体を用いれば、それぞれ前記式(I
c)で示される1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブ
チル−デカリンおよび式(Ie)で示される(1,3−
ジメチル−1,3−ジシクロヘキシル)ブチル−デカリ
ンが得られる。
また、メチルテトラリンまたはメチルナフタレンと、ス
チレンの線状二量体、ビニルトルエンの線状二量体、α
−メチルスチレンの線状二量体とを反応させることによ
り、それぞれ式(Ib)で示される1,3−ジ(シクロ
ヘキシル)ブチル−メチルデカリン、、式(Id)で示
される1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブチル−メ
チルデカリン、式(If)で示される(1,3−ジメチ
ル−1,3−ジシクロヘキシル)ブチル−メチルデカリ
ンを得ることができる。
本発明のトラクションドライブ用流体は、前記(A)成
分の基油と(B)成分のデカリン誘導体とを含有したも
のである。(A)成分の基油を単独でトラクションドラ
イブ用流体として用いると、トラクション係数、特に高
温でのトラクション係数が低いために、油温が上昇する
とトラクションドライブ装置の動力伝達面でスリップを
起こし、動力を伝達できなくなるという問題が生じ、一
方、(B)成分のデカリン誘導体を単独でトラクション
ドライブ用流体として用いると、高温では問題はない
が、室温以下では粘度が高いために、撹拌によるエネル
ギーロスが大きくなったり、潤滑不良を起こしたりする
という問題が生じる。
これに対し、本発明のトラクションドライブ用流体のよ
うに、(A)成分の基油と(B)成分のデカリン誘導体
とを混合することにより、該基油の低温におけるトラク
ション性能を損なわずに、高温におけるトラクション係
数を相乗的に高め、比較的低粘度で、しかも低温から高
温までの広範囲にわたって高いトラクション係数を示
し、低温流動性や高温での油膜切れなどの問題のない総
合性能に優れたものとなる。
一発に、トラクション係数については、式 Ci:i成分の混合比率 fi:i成分のトラクション係数 f :混合物のトラクション係数 で示されるように加成性があることが知られており
〔「ASLE Trans.」第13巻、第105〜1
16ページ(1969年)〕、また、ごくわずか(2〜
3%程度)に相乗効果がある〔SAE 710837
(1971)〕ともいわれているが、本発明のように、
混合する前の各成分それぞれの値よりも大きくなった
り、あるいは加重平均より10%以上も大きくなる例は
これまで知られていない。
本発明流体における(A)成分と(B)成分との混合割
合については特に制限はないが、100℃の温度におけ
る動粘度が好ましくは3センチストークス以上、より好
ましくは3.6センチストークス以上で、かつ40℃の
温度における動粘度が好ましくは100センチストーク
ス以下になるような割合で混合することが望ましい。具
体的には、用いる(A)成分および(B)成分の種類な
どにより異なり一義的には定められないが、通常は
(A)成分100重量部に対して、(B)成分を5〜2
50重量部、好ましくは8〜100重量部の割合で配合
すればよい。
100℃の温度における動粘度が3センチストークス未
満のものでは、油膜切れが起こり、トラクションドライ
ブ装置の転がり疲れ寿命を定格以上に確保することがで
きず、長期間の運転が不可能となり、好ましくない。
転動面の転がり疲れ寿命は、両接触面の表面粗さと、そ
こにおいて形成される油膜厚さとの関係に大きく依存し
ており、この関係は油膜パラメータΛとして知られてい
る。このΛと表面疲労との関係については、0.9<Λ
の場合、寿命は見積り以上確保できるといわれている
〔「Machine Design」第7巻、第102
ページ1974年)〕。
以上をもとに、転動面の例として実際のベアリングに適
用した場合を計算してみると、使用温度(100℃)で
3センチストークス以上、好ましくは3.6センチスト
ークス以上の動粘度があれば、少なくとも定格(設計
値)以上の転がり疲れ寿命を確保することができる。し
たがって、100℃の温度における動粘度が3センチス
トークス以上、好ましくは3.6センチストークス以上
となるように、両成分を混合することが望ましい。
また、40℃の温度における動粘度が100センチスト
ークスを超えるものでは、撹拌によるエネルギーロスが
大きく、かつ潤滑不良を起こしやすくて好ましくない。
さらに、自動車用途として用いる場合、低温でスムーズ
な始動を可能にするため、流動転は−25℃以下である
ことが好ましい。
本発明流体には、所望に応じ、通常トラクションドライ
ブ用流体に用いられる各種添加剤、例えば酸化防止剤、
腐食防止剤、防錆剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、消
泡剤などを添加することができる。
本発明のトラクションドライブ用流体は、比較的低粘度
である上に、低温から高温までの広範囲にわたって高い
トラクション係数を示し、低温流動性や高温での油膜切
れなどの問題もなく、総合性能に優れており、例えば自
動車用あるいは産業用の無段変速機さらには水圧機器な
どの種々の機械製品に好適に用いられる。
〔実施例〕
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらの例によってなんら限定されるものではな
い。
なお、実施例および比較例におけるトラクション係数の
測定は、2円筒型摩擦試験機にて行った。すなわち、接
している同じサイズの円筒(直径52mm、厚さ6mmで被
駆動側は曲率半径10mmのタイコ型、駆動側はクラウニ
ング無しのフラット型)の一方を一定速度(1500r
pm)で、他方を1500rpmから1750rpmま
で連続的に回転させ、両円筒の接触部分のバネにより7
kgの荷重を与え、両円筒間に発生する接線力、即ちトラ
クション力を測定し、トラクション係数を求めた。この
円筒は軸受綱SUJ−2鏡面仕上げでできており、最大
ヘルツ接触圧は112kgf/mm2であった。
また、トラクション係数と油温との関係の測定にあたっ
ては、油タンクをヒーターで加熱することにより、油温
を40℃から140℃まで変化させ、すべり率5%にお
けるトラクション係数と油温との関係をプロットした。
製造例1 (A)成分の製造 3のガラス製フラスコにテトラリン1000gと濃硫
酸300gを入れ、氷浴にてフラスコ内温度を0℃に冷
却した。次いでこの中に撹拌しながらスチレン400g
を3時間かけてゆっくり滴下し、さらに1時間撹拌して
反応を完結させた。その後撹拌を止め、静置して油層を
分離し、この油層を1規定の水酸化ナトリウム水溶液5
00ccと飽和食塩水500ccでそれぞれ3回ずつ洗浄し
たのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで烝留
により未反応のテトラリンを留去したのち、減圧烝留を
行って沸点135〜148℃/0.17mmHg留分75
0gを得た。この留分を分析した結果、1−(2−テト
ラリル)−1−フェニルエタンと1−(1−テトラリ
ル)−1−フェニルエタンとの混合物であることが確認
された。
この留分500ccを1のオーククレーブに入れ、さら
に水添用5重量%ルテニウムーカーボン触媒(日本エン
ゲルハルト社製)25gを添加し、水素圧50kg/c
m2、反応温度200℃で4時間水素化を行った。冷却
後、反応液をろ過して触媒を分離した。ろ液から軽質分
をストリッピングしたのち分析したところ水素化率9
9.9%以上(NMR 分析で確認)であり、このもの
は1−(2−デカリル)−1−シクロヘキシルエタンと
1−(1−デカリル)−1−シクロヘキシルエタンとの
混合物であることが確認された。得られた混合物の比重
は0.94(15/4℃)であり、動粘度は35.76
cSt(40℃)、4.709cSt(100℃)であ
り、また屈折率▲n20 D▼は1.5040であった。
製造例2 (A)成分の製造 3のガラス製フラスコにα−メチルスチレン1000
gと酸性白土40gおよびメシチルオキシド50gを入
れ、撹拌しながら140℃で2時間反応させた。反応液
より触媒をろ別後、未反応のα−メチルスチレンおよび
メシチルオキシドを留去し、沸点125〜130℃/
0.2mmHg留分900gを得た。この留分はNMR分
析およびガスクロマトグラフ分析の結果、α−メチルス
チレンの線状二量体97%と環状二量体3%の混合物で
あることが確認された。
この留分を製造例1と同様に水添し後処理することによ
り、2,4−ジシクロヘキシル−2−メチルペンタンを
主成分とするトラクションドライブ用流体を得た。この
ものの比重は0.90(15/4℃)であり、動粘度2
0.27cSt(40℃)、3.580cSt(100
℃)、粘度指数13であった。
製造例3 (A)成分の製造 2の四つ口フラスコにトルエン500ml、ピリジン
158g(2モル)およびシクロドデカノール396g
(2モル)を入れ、撹拌下にシクロヘキサンカルボニル
クロライド293g(2モル)を45〜75℃の温度で
2.5時間かけて滴下し、さらに1時間撹拌して反応を
完結させた。この反応液を室温まで冷却したのち、ピリ
ジン塩酸塩をヌッチェで吸引ろ過し、得られたろ液より
トルエンを留去した残渣を減圧烝留を行って160〜1
70℃/0.2mmHg留分445gを得た。このものを
分析した結果、シクロドデカノールのシクロヘキサンカ
ルボン酸エステルであることが確認された。
製造例4 (B)成分の製造 撹拌機および温度計を備えた50ccの三つ口フラスコ
に、スチレン200ccと55%硫酸50ccとを入れて、
115℃で3時間撹拌したのち、静置して室温まで冷却
後、油層を分離して分析したところ、スチレンの線状二
量体を60%含んでいた。
次に、撹拌機および温度計を備えた1の三つ口フラス
コに、テトラリン400gと濃硫酸100gとを入れ、
撹拌しながら15℃でテトラリン100gと前記のスチ
レン線状二量体混合物とを4時間かけて滴下し、滴下終
了後さらに2時間撹拌して反応を完結させた。次いで硫
酸層を分離したのち、油層をNaOH水溶液、飽和食塩
水で3回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。次
に乾燥剤をろ別して、ろ液の減圧烝留を行い、沸点17
5〜185℃/0.13mmHg留分102gを得た。こ
の留分を分析したところ、スチレン線状二量体がテトラ
リンに付加した1,3−ジ(フェニル)ブチル−テトラ
リンであることが確認された。
次に、1のオートクレーブに前記留分100g、シク
ロヘキサン200ccおよび5%ルテニウムーカーボン触
媒10g(日本エンゲルハルド社製)を入れ、水素圧6
0kg/cm2G、反応温度180℃で3時間水素化を行っ
たのち、室温まで冷却して触媒をろ過後、溶媒のシクロ
ヘキサンを留去し、下記の構造の1,3−ジ(シクロヘ
キシル)ブチル−デカリン100gを得た。
このものの動粘度は67.62cSt(100℃)、屈
折率▲n20 D▼は1.5150であった。
製造例5 (B)成分の製造 製造例4において、スチレン200ccの代りにビニルト
ルエン200ccを用いたこと以外は、同様に操作してビ
ニルトルエンの線状二量体を主成分とする混合物を得
た。
次に、製造例4において、テトラリン500gとスチレ
ン線状二量体混合物を用いる代りに、α−メチルナフタ
レン500gと前記ビニルトルエンの線状二量体混合物
を用いたこと以外は、同様に操作して、下記の構造の
1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブチル−メチルデ
カリン105gを得た。
このものの動粘度は72.25cSt(100℃)、屈
折率▲n20 D▼は1.5154であった。
実施例1 製造例1で得た1−(デカリル)−1−シクロヘキシル
エタンを主成分とする流体(以下流体A−1という)8
2重量部と、製造例4で得た1.3−ジ(シクロヘキシ
ル)ブチル−デカリンを主成分とする流体(以下流体B
−1という)18重量部とを混合した流体(以下混合流
体−1という)の性状を第1表に示す。またこの混合流
体−1のトラクション係数と温度との関係を第1図に示
す。
比較例1 製造例1で得た流体A−1の性状を第1表に示し、また
このもののトラクション係数と温度との関係を第1図に
示す。
比較例2 製造例4で得た流体B−1の性状を第1表に示し、また
このもののトラクション係数と温度との関係を第1図に
示す。
実施例2 製造例2で得た2,4−ジシクロヘキシル−2−メチル
ペンタンを主成分とする流体(以下流体A−2という)
67重量部と、製造例4で得た流体B−1 33重量部
とを混合した流体(以下混合流体−2という)の性状を
第2表に示す。また、この混合流体−2のトラクション
係数と温度との関係を第2図に示す。
比較例3 製造例2で得た流体A−2の性状を第2表に示し、また
このもののトラクション係数と温度との関係を第2図に
し示す。なお、第2表および第2図には流体B−1の性
状などについても参考のために示す。
実施例3 製造例3で得たシクロドデカノールのシクロヘキサンカ
ルボン酸エステルを主成分とする流体(以下流体A−3
という)87重量部と、製造例4で得た流体B−1 1
3重量部とを混合した流体(以下混合流体−3という)
の性状を第3表に示す。また、この混合流体−3のトラ
クション係数の温度との関係を第3図に示す。
比較例4 製造例3で得た流体A−3の性状を第3表に示し、また
このもののトラクション係数と温度との関係を第3図に
示す。なお、第3表および第3図には流体B−1の性状
などについても参考のために示す。
実施例4 製造例5で得た1,3−ジ(メチルシクロヘキシル)ブ
チル−メチルデカリンを主成分とする流体(以下流体B
−2という)15重量部と、製造例1で得た流体A−1
85重量部とを混合した流体(以下混合流体−4とい
う)の性状を第4表に示す。また、この混合流体−4の
トラクション係数と温度との関係を第4図に示す。
比較例5 製造例5で得た流体B−2の性状を第2表に示し、また
このもののトラクション係数と温度との関係を第4図に
示す。なお、第4表および第4図には流体A−1の性状
などについても参考のために示す。
〔発明の効果〕 本発明のトラクションドライブ用流体は、特定の動粘度
を有する基油にある種のデカリン誘導体を配合したもの
であって、基油の低温におけるトラクション性能を損な
うことなく、かつ動粘度をさほど大きくせずに高温での
トラクション係数が改善されて、低温から高温に至る広
い温度範囲にわたってトラクション係数が高く、かつ安
定している上に、トラクションドライブ用流体として種
々の総合性能に優れており、実用的価値が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図、第3図および第4図は、実施例および
比較例における流体のトラクション係数と温度との関係
を示すグラフである。各図において、横軸は油温、縦軸
はトラクション係数を表わす。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)100℃の温度における動粘度が8
    センチストークス以下の基油と、(B)一般式 (式中のR1、R2、R3、R4、R5およびR6はそれぞれ水素原
    子または炭素数1〜4のアルキル基、p、qおよびrは
    それぞれ1〜3の整数、nは2〜4の整数であり、R1
    R2およびR3がそれぞれ複数個ある場合は、R1、R2および
    R3はそれぞれにおいて同一であってもよいし、異なって
    いてもよい) で表されるデカリン誘導体を含有してなるトラクション
    ドライブ用流体。
  2. 【請求項2】(A)基油100重量部に対して、(B)
    デカリン誘導体5〜250重量部を配合してなる特許請
    求の範囲第1項記載のトラクションドライブ用流体。
  3. 【請求項3】(A)基油がナフテン系、芳香族系、パラ
    フィン系、シリコーン系およびエステル系の基油の中か
    ら選ばれた少なくとも1種である特許請求の範囲第1項
    または第2項記載のトラクションドライブ用流体。
  4. 【請求項4】100℃の温度における動粘度が3センチ
    ストークス以上である特許請求の範囲第1項、第2項ま
    たは第3項記載のトラクションドライブ用流体。
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