JPH0683802B2 - 遠心分離セル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は血液遠心分離セル、特に流入又は回転を中断す
ることなしに血液を赤血球取出しのため連続処理するこ
とのできるセルに係る。

［従来技術と問題点］ 血漿や白血球、血小板など他の血液成分からの赤血球の
分離を行う遠心分離は現在セル又はボウルとして知られ
た装置で達成されることは周知の通りである。普通、こ
れらのセルには、所定容量のベル状（切頭円錐形）の外
側容器が設けられている。多少小さめなるも同じ形状で
中心通路を備えた容積吐出ボデーが容器内に同軸状に納
められ、分離を容易ならしめている。ボデーは、壁の上
下両縁部を密閉せる円筒形内壁と切頭円錐形外壁とを有
する回転立体である。セルには容器上端に接続しこれを
取り囲む固定型ハウジングが設けられている。この接続
構成には適宜ガスケツト及びシールを伴う環状回転ベア
リングが含まれる。ハウジングには２本のほぼ同軸状の
導管が容器内に延び血液流入及び血液成分の流出のため
のチユーブに外部接続できるようになつて設けられてい
る。中央の内方導管はボデーの中心通路を貫いて延び容
器の底部の方へ下降して延びている。外方導管の下端は
固定型ハウジングの基部即ち容器トツプにおけるスペー
ス部に配置された２枚の対向デイスク間に形成せる環状
通路に連通している。この在来様式のセルにおいては、
外側容器が回転マンドレルで把握され急速回転せしめら
れる。全血が内方導管を介してセル内に送り込まれ外側
容器の底部に達し、そこで血液が遠心力を受け、その結
果、より重い赤血球が血漿、血小板及び白血球で構成さ
れるより軽い部分からほぼ垂直状の前線で分離され外側
容器の壁に集まりこれに濃縮し、他方上記血漿など軽い
方の部分は内部に残る。

このプロセスが続くにつれ、全血量の流入により容器内
で分離せる成分のレベルが上昇し、一定点で軽い方の成
分は固定型ハウジングの２枚のデイスク間の通路に流入
し、次いで外方導管にそつて移動し排出される。このプ
ロセスは容器内の濃縮された赤血球により分離前線が固
定型ハウジングのデイスク間の通路に近づくまで続行さ
れる。この時点で、プロセスは中断され赤血球のセルか
らの流出が阻止される。そこで血液の供給が中断されセ
ルを回転するマンドレルが停止する。セルには軽い成分
が無くなり、濃縮赤血球で一杯となりこの濃縮赤血球は
中央導管を介して吸い出されセルを空にし、更に所定用
途に向け送り出される。

これら周知のセルにおける明白な欠点は、濃縮赤血球の
抽出が、セルにこの赤血球が完全に一杯に詰まつた時に
だけ従つてかなりの量の血液を遠心分離させて初めて可
能である点にある。この欠点は特に外科手術における自
動輸血即ち手術中の患者により流された血液の回収の場
合にあてはまる。この血液は吸い集められ洗浄用の生理
学的溶液と組合わされ、赤血球分離のためセルに送られ
る。患者に迅速に赤血球を再輸血することが致命的に肝
要である。在来のセルの場合、セルが完全に赤血球で満
たされ血液分離をストツプさせこの赤血球を抽出するこ
とを要するので上記の如き迅速な再輸血は明らかに不可
能である。小容量セルの場合、さまざまな実際のケース
において最適な実施を得るよう寸法の範囲を用意するの
は実際的ではない以上これは問題を解決するものではな
い。上述の説明及び欠点は全血からの赤血球の分離にも
又生理学的溶液からの赤血球の分離に対してもあてはま
る。

［発明の目的及び構成］ 本発明の目的とする所は、セルが完全に一杯になるのを
待つ必要なしに濃縮赤血球の抽出を可能ならしめる血液
の遠心分離のためのセルの提供にある。

本発明のもう１つの目的は、セルの回転を止めることを
要せずに濃縮赤血球の抽出を可能ならしめるセルの提供
にある。

本発明の更に他の目的は、赤血球の抽出中全血又は血液
溶液のセルへの流入を止めることを要せずに赤血球の抽
出を行うためのセルの提供にある。

更に別の目的は、特に簡単な構造を具え最小のコスト及
び運転上最大な信頼性が保証されるようなセルの提供に
ある。

これらの目的は本発明による連続遠心分離セルにより達
成され、このセルには中心軸線の周りに回転可能の外側
容器が設けられ、容器は外壁と、上端部と、ほぼ円形の
包囲底部とを有している。セルは上端と、下端と、ほぼ
円筒形の中央の長手方向通路とを有しかつ容器内に同軸
状に納められた容量吐出ボデーを含んでいる。セルには
更にほぼ円形の仕切りが、中央孔を有しかつ容器内に同
軸状に囲まれ容器底部から僅かにへだてられ又容器の壁
から僅かに離れるようになつた直径を具えて設けられて
いる。セルには又環状の回転シールを介し容器上端に接
続しこれを囲む固定型ハウジングが設けられている。こ
のハウジングは同軸状の内方導管と同軸状中間導管なら
びに同軸状外方導管とを血液の流入及び血液成分の流出
に適合するよう設けている。ハウジング内の容器上端近
くに固定通路が形成され、外方導管の下端に連通してい
る。この固定通路及び外方導管は容器より軽い血液成分
材の部分を取り出すのに適合している。中間導管は下方
ボデーの中央通路内に延びその下端は仕切りより僅かに
離れている。この中間導管は特に容器内への血液又は血
液溶液の導入に適合している。内方導管はボデーの中心
通路及び仕切りの中央開口を貫いて下方に延び、その下
端は容器の底部から僅かに離れている。内方導管は特に
容器よりの赤血球の取り出しに適合している。最后に、
セルには、内方導管と開口との間のスペースをシールす
るよう開口内にシーリングガスケツトが設けられ内方導
管を介する赤血球の除去を容易ならしめる。

本発明のその他の特徴ならびに利点については添付面に
基づく例示的実施例の詳細説明により明白にされる。

［実施例］ 第１図において、ベル形状（切頭円錐形）の外側容器１
には外壁と上端部と取り囲まれたほぼ円形（僅かに凸面
の外面）の底部1aとがある。外側容器は、外壁と、上端
部４と、ほぼ円形（僅かに凸面）の下端部５と、ほぼ円
筒形の中央の長手方向通路６とを有する容積吐出ボデー
２を取り囲んでいる。このボデーは多少小さく、外側容
器１のベル状（切頭円筒形）形態にほぼ等しい形状を具
えており、円筒形内壁３と上縁部を上端部４により下縁
部を下端部５によりそれぞれ囲まれたベル状の外壁２と
を有する回転立体である。ボデーは容器内に同軸状に取
り付けられその下端は容器の底部1a近く（しかしこれと
密接せずに）におかれ、中央通路６とボデーの外面と容
器壁の内面との間に外側通路７が画成されている。セル
にはほぼ円形の仕切り14（容器底部の形状に等しい）が
容器内に同軸状に包囲され底部1aより僅かに離れて配置
されている。この仕切りの直径は仕切りが容器壁に密接
するよう容器底部の直径より僅かに小さい。ボデー２の
下端５は仕切り14より僅かに離されそれにより仕切りと
ボデーとの間に横方向通路15、仕切りと容器底部との間
に底部通路16が形成され、これにより通路15及び16は仕
切りの外周で互いに連通している。通路16は複数本の半
径方向通路又はチヤネルより構成するのが好ましい。更
に、（若しくはこの代りに）通路15を複数本の半径方向
通路又はチヤネルより構成することもできる。半径方向
チヤネルにより横方向通路15及び底部通路16を介する血
液の流れ及び赤血球の流れが容易となる。

セルには９に一括支持せる固定型ハウジングが含まれ、
このハウジングは８に一括支持せる一組の環状回転シー
ル及びベアリングを介し外側容器１の上端部に接続され
ている。ハウジングには、セルの回転軸線に同軸状にお
かれた３本の同心形の導管10,11及び12が設けられてい
る。外側導管10には上端にチユーブ接続部分10aが設け
られ、下端は容器の上端近くのハウジングの機部に配置
せる２枚の対向デイスク10c間に形成した通路10bに連通
している。通路10bと導管10は血漿、血小板及び白血球
により構成される軽い部分をセルから取り除くのに主と
して利用される。中間導管11の上端には全血液の入口又
はセルへの血液隔離部として働く普通のチユーブ接続11
aが設けられている。

本発明の主要な特徴は内方導管12にある。内方導管12は
ボデー２の中央通路６及び仕切り14の中央開口を貫いて
下方に延び、下端12bは容器の底部1aに密接しておかれ
る。仕切りの開口には内方導管の下端12bを底部通路16
内にほぼシールするシーリングガスケツト13が設けられ
ている内方導管12の上端には普通のチユーブ接続部分12
aが設けられ、この中央の内方導管は遠心分離中容器か
ら赤血球を除くのに主として用いられる。

遠心分離セルの作動中、外側容器１はマンドレルにより
保持され、回転マンドレル遠心分離装置により急速に回
転される。全血（又は溶液血液）が接続具11aで中間導
管11に連続的に送られ、下端で仕切り14上に放出され、
容器の回転の結果遠心力の作用を受け、横方向通路15に
流入する。赤血球が外側通路７の外側容器の壁に濃縮し
軽い部分からほぼ垂直状の前線で分離され軽い部分は内
部に残る。全血の流入が続行するにつれ、軽い部分は通
路10bにより受けられ導管10を介してセルから抽出され
る。在来のセルの場合、セルが濃縮赤血球で完全に一杯
になるまで遠心分離が続く。

本発明の場合、セルを完全に満たすことなしにセルの回
転を中断することなしに又流入口における全血の流入を
中断することなしに赤血球を抽出することが随時可能で
ある。此は、本発明の場合、濃縮赤血球がおかれる外壁
近くの外側通路16と連通する内側導管12の外端12aに真
空又は負の圧力をかけることにより達成される。シーリ
ングガスケツト13によりこの赤血球連通路ネツトワーク
を容器の上部及び内方部分の中央通路６を介して位置す
る軽い部分より分離する。それにより赤血球の抽出を遠
心分離プロセス全体にわたり導管12を通じて引き出すこ
とができる。

全血の流入及び赤血球の流出の量の相互変動に応じて作
動中明らかにシフトする赤血球と軽い部分との間におけ
る分離前線の位置は、作業者により透明な外側容器を通
じ視覚的に若しくは光電池により制御され、最大の有効
性が確保される。

自動輸血の場合、少量の血液が回収されセルに送られた
後赤血球を患者に迅速に再輸血して戻すことが可能であ
る。

従つて、本発明は、全血の流入を中断させずに又はセル
の回転を中断することなしに赤血球の連続抽出を可能な
らしめる連続遠心分離セルを提供する。この特徴により
遠心分離セルの有効作動のためかなりの遊び時間が除去
される。

以上本発明の特定の実施例について説明しかつ図示せる
も当業者には自明の如く本発明の本旨を離脱せずの修正
及び変更を加えることができるものである。かかる修正
及び変更は本文記載の特許請求の範囲による本発明の範
囲内にあるものと見做される。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明による血液遠心分離セルの正面断面図であ
る。 １…外側容器、２…容積吐出ボデー ６…中心通路、９…固定型ハウジング 10…外側導管、11…中間導管 12…内方導管、13…シール装置 14…仕切り

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】血液及び生物学的液体のための遠心分離セ
   ルにして、 外壁と、上端部と、ほぼ円形の囲まれた底部とを有し中
   心軸線の周りに回転可能の外側容器と、 上端部と、下端部と、ほぼ円筒形の中心の長手方向通路
   を有し前記容器内に同軸状に囲まれた容積吐出ボデー
   と、 前記容器の底部内に同軸状に囲まれ該底部より僅かに離
   れ、前記容器の壁から僅かに離れるようになつた直径を
   有しかつ中心開口を設けたほぼ円形の仕切りとを包含
   し、 前記ボデーの前記下端が前記仕切りから僅かに離れてお
   り、更に、 環状の回転可能シールを介し前記容器の上端部に接続さ
   れかつこれを囲み、同軸状第１導管と、同軸状第２導管
   及び同軸状第３導管を有する固定型ハウジングと、 前記容器の上端部近くに前記第３導管に連通し軽い一部
   の血液成分の除去に適合せる固定型通路を前記ハウジン
   グ内に設ける装置とを包含し、 前記第２導管は前記ボデーの中心通路内へ下方に延び導
   管の下端が前記仕切りから僅かに離れ前記容器内への血
   液の流入に適合しており、 前記第１導管は前記ボデの中心通路及び前記仕切りの中
   心開口を通じ下方に延び導管の下端が前記容器から僅か
   に離れ赤血球の除去に適合しており、更に、 前記第１導管と前記仕切りの開口との間のスペースをほ
   ぼシールするための装置を包含する遠心分離セル。
2. 【請求項２】前記仕切りと前記容器の底部との間に複数
   本の半径方向通路を更に包含する特許請求の範囲第１項
   による遠心分離セル。
3. 【請求項３】前記仕切りと前記ボデーの下端との間に複
   数本の半径方向通路を更に包含する特許請求の範囲第１
   項による遠心分離セル。
4. 【請求項４】前記シール装置は、前記仕切りの開口に係
   合しかつ前記第１導管を受けるようになつた開口を設け
   るようになつた直径を有する弾性ガスケツトよりなる特
   許請求の範囲第１項による遠心分離セル。