JPH0682790A - 液晶素子及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

液晶素子及びこれを用いた表示装置

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JPH0682790A
JPH0682790A JP19674393A JP19674393A JPH0682790A JP H0682790 A JPH0682790 A JP H0682790A JP 19674393 A JP19674393 A JP 19674393A JP 19674393 A JP19674393 A JP 19674393A JP H0682790 A JPH0682790 A JP H0682790A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 隣接する画素同士で表示状態が異なる場合で
も各画素の配向状態が安定で、スイッチング特性に優れ
た液晶素子を提供する。 【構成】 異なる安定状態をとるユニフォーム状態の領
域間に、ツイスト状態の領域を設け、基板を該基板界面
における液晶分子のプレティルトの向きが互いに逆向き
になるようにラビング処理し、上記ユニフォーム状態の
2領域間にディスクリネーションが存在する液晶素子と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビ受像機、ビデオ
カメラのビューファインダー、コンピューターの端末機
のモニターなどに用いられる液晶表示装置、或いは、液
晶プリンタの光バルブ、等に用いられる液晶素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】1μm程度の薄いギャップを有する一対
の基板間に強誘電性液晶を挟み、界面の規制力によって
らせん構造を解除することにより、強誘電性液晶の特徴
である自発分極の反転という性質を利用した、表面安定
化強誘電性液晶(以下「SSFLC」と記す)セルが知
られている。
【0003】そして、強誘電性液晶の配向状態には、い
くつかの種類があることが知られている。
【0004】図1はこのうちツイスト状態(a)とユニ
フォーム状態(b)を説明するための模式図である。
【0005】ツイスト状態(a)は上下基板の界面にあ
る液晶分子の自発分極(Ps )の向きが共に外向き(基
板側に向いている)か不図示の内向き(液晶内部に向い
ている)かのいずれかの状態をとり、液晶内部の分子は
これに応じて捩じれている。このツイスト状態ではクロ
スニコル下で明と暗のコントラスト比が極めて小さい。
【0006】一方、ユニフォーム状態(b)は上下基板
の界面の分子のPs が一方の基板界面で外向き且つ他方
の基板界面で内向きとなり液晶内部の分子も界面の分子
に揃ったPs を有している。図1中(c)はこれらの分
子の層を示している。
【0007】図1のユニフォーム状態(b)は理想的な
配向状態であるが、このような状態を安定して発現する
ことが難しいために、商品化し易い液晶素子としては図
2に示すようなシェブロン構造の配向が採用されてい
る。
【0008】図2はシェブロン構造の液晶分子の配向状
態を説明するための模式図である。この構造では、2つ
のツイスト状態(a)と2つのユニフォーム状態(b)
との計4つの配向状態がある(特開平3−252624
号公報)。
【0009】しかしながら、シェブロン構造ではスメク
ティック相を呈する液晶分子の層が図2の(c)に示す
ように屈折しているために、液晶分子の見かけのティル
ト角が小さく、透過率を高くすることが難しい。
【0010】ここで図1及び2においては符号101が
液晶分子の位置を示すCダイレクタ、102が液晶分子
の運動モデルを示すコーン、103が該コーンの底面で
あり、104、105が上下基板の界面を示している。
【0011】符号106、107は上下基板界面の液晶
分子を示している。そして、Cダイレクタ101は液晶
分子のスメクティック相を呈する液晶層(以下スメクテ
ィック層という)の面への投影を示している。図1及び
2に示すツイスト状態、シェブロン構造に示されるよう
に、上下基板界面では液晶分子が所定のプレティルト角
をもって界面上に整列している。
【0012】そこで、コントラスト比を上げるために、
シェブロン構造を採用せずに、図3に示すような斜めブ
ックシェルフ構造を採用することで液晶素子の特性を改
善しようとする試みが図られている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら液晶素子
の隣接する画素間において一方の画素が明状態、他方の
画素が暗状態をとるような場合には、各画素の液晶分子
の配向状態が安定しないことが多かった。
【0014】これを改善すべく液晶にかかる電界を閾値
よりかなり大きなものとすると、液晶分子がある安定状
態から他の安定状態に移行する速度(スイッチング特
性)が低下する等の新たな技術課題を生じてしまう。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は上述し
た技術課題に鑑み、安定した液晶分子の配向状態を作り
出し、しかもスイッチング特性を劣化させることのない
液晶素子を提供することを目的とする。
【0016】本発明は、液晶素子において一方の安定状
態をとるユニフォーム状態の液晶分子層と他方の安定状
態をとる液晶分子層との間に、所望のツイスト状態を形
成し、且つディスクリネーションを発生させることに特
徴を有する。
【0017】即ち本発明の第1は、分子が一方の安定状
態をとる第1のユニフォーム状態の第1の液晶分子層
と、分子が他方の安定状態をとる第2のユニフォーム状
態の第2の液晶分子層と、それらの間に形成されたツイ
スト状態の第3の液晶分子層と、を有する強誘電性液晶
層を一対の基板間に具備し、該基板界面の液晶分子のプ
レチルトの向きがそれぞれの基板において互いに逆向き
である液晶素子において、前記第1及び第2の液晶分子
層との間にディスクリネーションを有することを特徴と
する液晶素子であり、第2は、上記液晶素子と、該素子
を駆動するための駆動回路と、該駆動回路を制御する制
御回路と、を有することを特徴とする表示装置である。
【0018】本発明によれば、上下基板の界面において
液晶分子のプレティルト角の向きを異ならしめて斜めブ
ックシェルフ構造とした配向状態の液晶素子において
は、一方の安定状態(例えば明状態)に配向した部分
と、他方の安定状態(例えば暗状態)に配向した部分と
の間にディスクリネーションが介在していると、それぞ
れの安定状態が良好に保たれるので、明・暗のコントラ
スト比が高く、画素内のクロストークが生じ難い液晶素
子となる。
【0019】本発明者の知見によれば、一般に液晶の分
野では、配向欠陥によりディスクリネーションが生じる
ものと考えられ、望ましくはディスクリネーションが生
じないような配向状態を作り出すことに多大な努力が払
われていた。
【0020】一方で、本発明者は、カイラルスメクティ
ックC相に代表される強誘電性液晶の配向状態の安定性
を研究しているうちに、ある種類の液晶素子が優れた安
定性を有していることを見出した。そこで、液晶材料、
配向処理方法等を適宜選択して作製した多くの種類の液
晶素子を用いて安定性を観察していたところ、隣接する
2つの部分(領域)が互いに異なる安定状態をもつ場
合、両領域の間の液晶分子の配向状態が連続的に変化し
ていないような液晶素子の方が比較的安定な素子となっ
ていることを見出したのである。
【0021】しかも、上記安定性は斜めブックシェルフ
構造の場合に顕著に見られることが判明した。そこで、
互いに異なる安定状態をもつ隣接領域間にディスクリネ
ーションを形成したところ、更に安定性が増すことが判
明したのである。
【0022】そして、更なる研究を進めたところ、斜め
ブックシェルフ構造をもつ液晶素子においては、ディス
クリネーションが、一方の安定状態(一方のユニフォー
ム状態)から他方の安定状態(他方のユニフォーム状
態)への連続的な移り変りを妨げるように働くため、こ
れら2つの安定状態を有する領域同士が干渉し難くな
り、安定性を向上させることが判明した。
【0023】一方、従来の素子では2つの異なる安定状
態にある領域間には、該2つの安定状態を連続的に繋ぐ
ようなツイスト状態のみが存在し、ディスクリネーショ
ンが存在し得ない配向状態となっていた。
【0024】図3は本発明の一実施態様による液晶素子
の液晶分子の配向状態を説明するための模式図である。
【0025】図3において、601、602はディスク
リネーションであり、まわりの液晶分子の自発分極のベ
クトルが隣接するもの同士ほぼ等しい角度に保たれてい
る。この場合隣接するユニフォーム状態の領域603、
605とツイスト状態の領域604との間にはディスク
リネーションがライン状に存在する(図3において黒く
塗りつぶした部分、実際には紙面に垂直にライン状に存
在する)。図3は左側領域603がユニフォームUP、
中央部の領域604がツイスト、右側の領域605がユ
ニフォームDOWNを表している。ディスクリネーショ
ンの発生はポテンシャル障壁を伴うため、このような状
況ではユニフォーム状態からツイスト状態への緩和が抑
制されユニフォーム状態が安定化する。ここで、606
は液晶分子を、607はスメクティック層を示してい
る。
【0026】本発明において上記ディスクリネーション
ラインを持たせ、且つコーン角の大きい液晶材料が使え
るようにするために、スメクティック層は図3に示すよ
うな斜めブックシェルフ構造にするのが望ましい。その
ためには上下基板のプレティルト301、302を逆方
向にする。
【0027】このようなスメクティック層の構成を採用
することにより、見かけのティルト角も大きくなり、透
過率が向上し、コントラストも大きくなる。
【0028】本発明に用いられるディスクリネーション
は次のような液晶材料と配向処理との組み合わせにより
形成することができる。
【0029】(1)上下基板界面のプレティルトの向き
が逆であり、液晶の自発分極の符号が負であり、ツイス
ト状態における上下基板界面での自発分極の向きが外向
き(基板側向き)であり、カイラルスメクティック層で
のらせんの巻き方向が左巻きであるもの、(2)上下基
板界面のプレティルトの向きが逆であり、液晶の自発分
極の符号が正であり、ツイスト状態における上下基板界
面での自発分極の向きが内向き(液晶内部向き)であ
り、カイラルスメクティック層でのらせんの巻き方向が
左巻きであるもの、等である。
【0030】上記(1)、(2)を含めて、本発明に用
いられる4つの組み合わせを以下の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】上下基板のCダイレクタが180°近く離
れていて弾性エネルギが支配要因でなくなると、次のよ
うにらせんの巻きがツイスト状態の捩じれ方向を決め
る。
【0033】例えば、自発分極が負で界面で外向きの場
合を考える。らせんの巻きが右巻きなら図4のように層
法線方向で下から上に向かって時計回りにツイストす
る。従って層内で見てもやはり下基板105から上基板
104に向かって時計回りのツイストを示す。逆に、ら
せんの巻きが左巻きならばこの逆である。
【0034】図5は4つのツイスト状態にある液晶分子
の様子を説明するための模式図であり、(a)〜(d)
のいずれも自発分極の符号が負の場合を示している。そ
して(a)、(b)はツイスト状態でも基板界面の自発
分極の向きが外向きの場合を、(c)、(d)は内向き
の場合をそれぞれ示している。また(a)、(c)はら
せんの巻きが右巻きの場合、(b)、(d)は左巻きの
場合を示している。
【0035】このうち界面分子がプレティルトの向きを
変えずにコーン上を動いて内向きに回転した時、隣接す
る2つのユニフォーム状態にある領域に連続的につなが
るのは(a)右巻きの場合で、不連続になるのは(b)
左巻きの場合である。従って、この配置で隣接領域のユ
ニフォーム状態を安定化できるのは左巻き液晶であるこ
とがわかる。一方自発分極が内向きの場合、(c)が右
らせん、(d)が左らせんの液晶であり、この配置でユ
ニフォーム状態を安定化できるのは(c)右らせんの液
晶である。上記には自発分極が負の場合を示したが、正
の場合も全て方向が逆になるだけで同じ結論が得られ
る。
【0036】図6は自発分極の符号が正の場合の4つの
ツイスト状態を示す模式図である。
【0037】図5と比較して、同じ位置にある液晶分子
の自発分極の向き(矢印)が異なっていることがわか
る。
【0038】図6においても(e)、(f)は上下基板
界面における液晶分子の自発分極の向きが外向きのも
の、(g)、(h)は内向きのものを示し、らせんの巻
きは(e)、(g)が右巻きのもの、(f)、(h)が
左巻きのものである。
【0039】このうち隣接する互いに異なるユニフォー
ム状態にある2つの領域間に存在し、該ユニフォーム状
態を安定化できるものは(e)と(h)である。
【0040】即ち、図5及び図6のうち、(b)、
(c)、(e)、(h)のツイスト状態が得られるよう
に、液晶材料と配向処理方法とを選択し、更にプレティ
ルトの向きが互いに逆向きになるように上下基板を配置
して液晶素子を形成することにより、ディスクリネーシ
ョンを異なる2つのユニフォーム状態を持つ隣接領域間
に介在させることができる。
【0041】次に、なぜ上述したツイスト状態の発現が
ディスクリネーションを形成し、ユニフォーム状態を安
定させられるかについて、一例を挙げて説明する。
【0042】図7、8は本発明との比較のための比較例
及び本発明の一実施態様による液晶分子の配向状態を説
明するための模式図である。
【0043】基板界面における液晶分子の自発分極の方
向が例えば外向きと決まっている場合には、ツイスト状
態の方がユニフォーム状態のよりも安定である。これは
分子間の歪みによる弾性エネルギはツイスト状態の方が
高いものの、通常は界面規制力の方が上回っているから
である。この状況では一時的に電界をかけてユニフォー
ム状態を作ったとしても、電界を切るとツイスト状態に
徐々に緩和されていってしまう。図7にその様子を示し
た。(a)、(c)のそれぞれ異なる2つのユニフォー
ム状態は、上基板界面401の界面分子403、及び下
基板界面402の界面分子404が矢印405、406
の方向にそれぞれ回転して(b)のツイスト状態に移っ
てしまう。界面分子が回転するにつれて内部の分子もそ
れにならうように回転し、その結果、ツイスト状態に向
かって連続的に移行することになる。つまり、上基板界
面側のユニフォーム状態(a)側の領域407ではユニ
フォーム状態にある分子403が他の安定状態への移行
の方向405と上基板側の分子から下基板側の分子に向
かう分子の回転方向410とが互いに反対向きとなって
おり、ユニフォーム状態(a)の分子が該回転に従って
ツイスト状態(b)の分子と同じ分子位置(403’)
に近づくようになる。このことは領域408においても
同様である。ユニフォーム状態が安定に存在し得るに
は、基板界面の自発分極の方向を決める力に逆らって逆
の分極方向を維持しなければならない。しかしながら、
何のポテンシャル障壁もなく分子が回転できるために、
この逆方向の界面分極を維持することができないのであ
る。
【0044】そこで、本発明においては、図8(b)に
示すように、図7(b)とは逆回りのツイスト状態をも
たせることにより、界面分子403、404が矢印50
5、506方向に回転しても、それにならって回転する
内部の液晶分子が(b)に連続的に移行しないようにな
っている。
【0045】即ち、領域507においては、液晶分子4
03が他方の安定状態へ移行する方向505と、上基板
側の分子から下基板側の分子へ向かう方向での液晶分子
の回転方向510とが同じ方向であるため、ユニフォー
ム状態の分子403が他方の安定状態に移行し難い。
【0046】わかり易いように説明すると、図7の領域
407に見られるように、分子403は分子413と同
じ位置(403’)に移行する時に、矢印405のよう
にコーンの円周上を移動する。これに対して図8の領域
507では分子403の移行方向が矢印505であるた
め、分子515と同じ位置403’に移行するためには
コーンの円周上を移動する距離が図7のものに比べて大
きい。即ちこれは図8の方が図7に比べてツイスト状態
に移行し難いことを意味する。
【0047】このように図8のようなツイスト状態を形
成することにより、図3に示したようにディスクリネー
ションを形成することができる。つまり、図8では領域
507と領域508との中のユニフォーム状態とツイス
ト状態との間にディスクリネーションが形成される。
【0048】図9は図8とは別のツイスト状態(b)を
ユニフォーム状態(a)、(c)との間に形成したもの
である。この場合には領域707の中のツイスト状態
(b)とユニフォーム状態(c)との間、及び領域70
8の中のツイスト状態(b)とユニフォーム状態(a)
との間にディスクリネーションラインが形成される。
【0049】図10、11は自発分極の符号が正であ
り、図8や図9のものと異なる場合に用いられるツイス
ト状態とディスクリネーションの形成される領域とを示
す図である。
【0050】図9〜図11に示されるように領域70
7、708内ではユニフォーム状態の分子が他方の安定
状態に移行する方向706、705と、ツイスト状態の
捩じれの方向710、711とが同方向で、ユニフォー
ム状態にある分子がツイスト状態に移行し難いようにな
っている。
【0051】本発明に用いられる液晶素子を表示装置と
して用いる場合には、図3のツイスト状態604及びデ
ィスクリネーション601、602を遮光し、隣接する
ユニフォーム状態603、605の領域のみをそれぞれ
独立した画素として構成しても良いし、一画素内に上記
3つの状態603、604、605を形成しても良い。
前者の場合には、モノドメインを形成する白黒の2値表
示に適しており、後者は複数のドメインを形成して該ド
メインの大きさを変えて透過率を制御する階調表示に適
している。
【0052】本発明においては、ブックシェルフ構造の
スメクティック層を構成することが好ましいことを既に
述べたが、この構造を得るために、以下のようにプレテ
ィルト角を設定することが一般的に好ましい。
【0053】プレティルト角が同方向である場合はコー
ン角の大きい液晶材料を用いると図2(c)とは逆方向
のシェブロン構造ができてしまう。またプレティルトの
向きが逆方向であっても値が小さ過ぎるとやはりシェブ
ロン構造が現れてしまう。即ち図12に示すようにプレ
ティルト角αがコーン角Θと層の傾き角δとに対し、 α<Θ−δ の関係があるとシェブロン構造が許されるので上記条件
の範囲より大きな値に設定しなければならない。
【0054】また以下に述べるようにプレティルト角が
大き過ぎると全面ツイスト状態となりディスクリネーシ
ョンラインができないのでやはり不適当である。
【0055】プレティルト角はコーン角Θと層傾斜角δ
とに対し、 Θ−δ<α<δ の範囲に設定されることが本発明の層構造と配向状態を
実現するための条件である。実用上はΘが15°以上で
あれば透過率として十分であり、また多くの液晶ではδ
はΘの0.7から0.9倍であるので上記範囲としてΘ
=15°の場合 2°<α<14° 好ましくは 5°<α<11° になるようにラビング条件を設定する。
【0056】以上は好適な条件であるので、特別の液晶
材料や配向膜が用いられる場合には上記の範囲外の場合
もある。
【0057】本発明の液晶素子の製造方法としては、従
来より知られた工程が採用される。その概略を説明す
る。
【0058】先ず、上下の基板を用意し、電極形成及び
配向処理を行なう。次いで、素子が完成した時にプレテ
ィルトが上下基板界面で逆になるように、配向規制力を
考慮して上下基板の面内位置を決め、1〜3μm程のス
ペースを間において注入口となる部分以外の上下基板の
端部を封止する(空セルの作成)。次に注入口に液晶材
料を塗布し、空セル内に液晶材料を注入する。その後、
徐々に冷却することによりスメクティックC相に相転移
させる。この時図13に示すようにスメクティック層が
偶数箇所で折れ曲がる構造になる場合には、AC電界を
所定の期間印加するか機会的な歪みをセルに与えて斜め
ブックシェルフ構造に矯正する。
【0059】ここで液晶素子におけるツイスト状態の上
下基板界面の分子の自発分極の向きが、外向きか、内向
きかを調べる実験について説明する。
【0060】これは、ツイスト状態での分子の捩じれの
向きが、図5、6に示すように右巻きであるか左巻きで
あるかにより透過光の波長分布に差があることを利用す
るものである。
【0061】図14は偏光顕微鏡を用いて、偏光子をラ
ビング方向に合わせ、検光子を偏光子に対して83°及
び97°の位置に配置して測定した時の液晶素子のツイ
スト状態の領域の透過光波長特性を示すグラフである。
この液晶素子は自発分極の符号が負であり、後述するよ
うに、ツイスト状態において上下基板界面の分子が外向
きの自発分極を有する素子である。
【0062】一方、図15は、内向きの自発分極を有す
る液晶素子の透過光波長特性であり、検光子を偏光子に
対して75°と105°の位置に配した時の特性であ
る。
【0063】図14における90°以上即ち97°の時
の特性と図15における90°以上即ち105°の時の
特性を見ると、図14では短波長側で高く長波長側で低
くなる透過率を示すのに対し、図15ではほぼ全波長領
域で(マクロ的に)同程度の透過率を示すようになる。
つまり前者(図14)は青色を呈し、後者(図15)は
白色を呈する。
【0064】逆に、90°より小さい時は、前者は白
色、後者は青色を呈する。つまり、クロスニコル(90
°)からずらした位置での透過光の波長特性がツイスト
の捩じれの向きを反映した結果となる(特開平2−71
225号公報)。
【0065】従って、図14と図15とでは捩じれの向
きが逆であることがわかる。
【0066】次に、捩じれの向きを特定するために、図
16に示すように、ラビング方向RDが上下基板におい
て平行ではなく、それぞれ10°ずつずらして上下基板
を配置して、その間に強誘電性を示さないラセミ体の液
晶を注入し、液晶セルの基準サンプルを2種類作製し
た。
【0067】ラセミ体は自発分極を持たないために基板
界面では分子がラビング方向を向くため、図16の
(a)、(b)に示すようなラビング方向の捩じれがツ
イスト状態の分子の捩じれになる。こうして得た基準サ
ンプルを上述したような偏光子と検光子の配置下におい
て波長特性を測定したところ、図14のものは左巻きの
基準サンプル、図15のものは右巻きの基準サンプルと
特性が大まかに一致した。
【0068】このことから、自発分極の符号が負の液晶
において図14の特性を示すものは上下基板の界面で外
向きであり、図15の特性を示すものは内向きであるこ
とがわかる。
【0069】勿論自発分極の符号が正である時には上下
基板界面の分子の自発分極の向きは逆になる。
【0070】本発明においては、上述した通り、液晶材
料と配向処理との新規な組み合わせにより、隣接する2
つのユニフォーム状態にある領域が、それぞれ異なる安
定状態をとっている時にその間に上述したツイスト状態
を作り出し、ディスクリネーションを形成する。
【0071】
【実施例】
(実施例1)ガラス基板上に酸化インジウム・スズ(I
TO)からなる透明電極のストライプパターンを巾22
0μm、スペース10μm、厚み700Åとして形成し
た。
【0072】透明電極の形成された基板上に厚み200
Åでポリイミド(LQ1802;日立化成株式会社製)
をコーティングした。
【0073】次いで、ナイロン製の布を巻き付けたラビ
ング用のローラーを用いてラビング処理を行なった。ラ
ビング処理の条件は、ローラーの押込量0.3mm、回
転数1000RPMであった。
【0074】上述した基板を、両基板のラビング方向が
互いに逆向きでラビング方向の交差角が3°以上になら
ないようにほぼ平行にして、対向させた。上下基板の端
部を封止して、以下の強誘電性液晶材料(サンプルA)
を注入した。
【0075】
【化1】
【0076】この液晶材料はらせんの巻きが左巻きであ
り、自発分極の符号が負のものであった。
【0077】上記液晶材料(サンプルA)を等方相で注
入した後、降温処理を行ないスメクティックC相に相転
移させ、AC電圧を印加して液晶素子を作製した。
【0078】次に作製した液晶素子のツイスト状態が上
下基板の界面で共に外向きか、内向きかを調べた。
【0079】その結果は図14に示すような分光特性を
示しており、上下基板の界面での分子の自発分極の向き
が外向きであった。
【0080】そして、透明電極に所定の電圧を印加して
隣接する2つの画素を互いに明、暗状態とするとその間
にはツイスト状態とディスクリネーションラインが発生
していた。
【0081】(実施例2)次に液晶材料として下記式で
示されるサンプルB
【0082】
【化2】
【0083】を用い、配向膜として厚み250Åのナイ
ロンを用いて液晶素子を作製した。その他の作製条件は
実施例1と同じである。
【0084】(実施例3)液晶材料として下記式で示さ
れるサンプルC
【0085】
【化3】
【0086】を用い、配向膜として厚み200Åのナイ
ロンを用いて液晶素子を作製した。その他の作製条件は
実施例1と同じである。
【0087】(実施例4)液晶材料として下記式で示さ
れるサンプルD
【0088】
【化4】
【0089】を用い、配向膜として厚み250Åのポリ
イミドを用いて液晶素子を作製した。その他の作製条件
は実施例1と同じである。
【0090】(比較例1)サンプルAの液晶材料を用
い、配向膜として200Å厚のナイロンを用いて液晶素
子を作製した。その他の作製条件は実施例1と同じであ
る。
【0091】(比較例2)サンプルBの液晶材料を用
い、配向膜として250Å厚のポリイミドを用いて液晶
素子を作製した。その他の作製条件は実施例1と同じで
ある。
【0092】(比較例3)サンプルCの液晶材料を用
い、配向膜として200Å厚のポリイミドを用いて液晶
素子を作製した。その他の作製条件は実施例1と同じで
ある。
【0093】(比較例4)サンプルDの液晶材料を用
い、配向膜として250Å厚のナイロンを用いて液晶素
子を作製した。その他の作製条件は実施例1と同じであ
る。
【0094】以上作製した実施例1〜4、比較例1〜4
の素子の電極に基準電圧に対して+10V、及び−10
Vの2値のDC電圧をそれぞれ異なる画素に印加して、
隣接する2画素が互いに明と暗の異なるユニフォーム状
態となるようにした。
【0095】その後、電圧の印加をやめて148時間素
子をメモリー状態で放置した。
【0096】その後の液晶素子の各特性を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】表2に示すように実施例1〜4の素子も、
比較例1〜4の素子もDC電圧印加遮断直後は、各画素
は明又は暗状態をとり、画素内においてはユニフォーム
状態、明・暗2つの画素間ではツイスト状態となってい
たが、時間が経るにつれ比較例1〜4の素子では画素内
のユニフォーム状態がくずれツイスト状態に徐々に移行
していった。
【0099】これに対して、実施例1〜4の素子は明・
暗2つの画素間にツイスト状態とディスクリネーション
とが発生しており、長時間無電界の下に放置してもメモ
リー状態で良好な斜めブックシェルフ構造を呈してい
た。
【0100】また、その後暗画素を明状態に、明画素を
暗状態に変えるようDC電圧を印加したが、実施例1〜
4の素子は速やかに切り変わった。
【0101】(比較例5)実施例1の空セル(液晶注入
前の構成)を作製する際にラビング方向を上下基板共に
同じ向きにして、それ以外は実施例1と同様にして液晶
素子を作製した。こうして得られた素子もメモリー状態
で長期間放置しておくとユニフォーム状態が崩れてツイ
スト化してしまった。
【0102】(比較例6)実施例1の空セルを作製する
際にラビング方向を上下基板で5°交差させ互いに逆向
きになるようにした。その後は実施例1と同様に液晶素
子を作製した。こうして得られた素子も長期間の放置に
よりユニフォーム状態が崩れてツイスト化してしまっ
た。
【0103】(実施例5)実施例1の液晶素子を作製す
る際に、ITO膜に微細な凹凸を形成し、階調表示用の
信号をITO電極に印加して階調表示を行なえる液晶素
子を形成した。
【0104】該階調表示方法は金子等の発明した米国特
許第4,796,980号明細書に記述されている。
【0105】その他の作製工程は実施例1と同じであ
る。
【0106】図17は本実施例を説明するための模式図
である。液晶素子FLCDPには上下基板のITO電極
に接続される駆動回路が2つ設けられ、階調信号を発生
する。これらの回路は制御回路によって制御される。該
制御回路は外部のホストコンピュータにより制御され
る。
【0107】900は画素内の階調表示状態を示してお
り、901は一方の安定状態からなる暗ドメイン、90
3は他方の安定状態からなる明ドメイン、902は前述
してきたツイスト状態であり、ツイスト状態902と2
つの安定状態901、903の間にはディスクリネーシ
ョンラインが形成され、中間調表示状態を安定に保持し
ていた。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液晶素子
においては、各画素の表示状態が安定しており、且つ他
方の表示状態への切替えが速やかで、高品質な画像表示
を実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】強誘電性液晶のツイスト状態とユニフォーム状
態の模式図である。
【図2】強誘電性液晶のシェブロン構造の模式図であ
る。
【図3】本発明の一実施態様による液晶素子の配向状態
の模式図である。
【図4】液晶分子のらせんを示す模式図である。
【図5】自発分極の符号が負である液晶のツイスト状態
の模式図である。
【図6】自発分極の符号が正である液晶のツイスト状態
の模式図である。
【図7】比較例による液晶素子の配向状態を示す模式図
である。
【図8】本発明の液晶素子の配向状態の一例を示す模式
図である。
【図9】本発明の液晶素子の配向状態の他の例を示す模
式図である。
【図10】本発明の液晶素子の配向状態の他の例を示す
模式図である。
【図11】本発明の液晶素子の配向状態の他の例を示す
模式図である。
【図12】液晶分子のプレティルト角とスメクティック
層の傾き角との関係を説明するための模式図である。
【図13】スメクティック層が2箇所で折れ曲がってい
る液晶の配向状態を示す模式図である。
【図14】液晶素子の透過光の分光特性を示すグラフで
ある。
【図15】液晶素子の透過光の分光特性を示すグラフで
ある。
【図16】ツイスト状態の分子の捩じれを測定する際に
用いる基準サンプルの構成の模式図である。
【図17】本発明の液晶素子の実施例の模式図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子が一方の安定状態をとる第1のユニ
    フォーム状態の第1の液晶分子層と、分子が他方の安定
    状態をとる第2のユニフォーム状態の第2の液晶分子層
    と、それらの間に形成されたツイスト状態の第3の液晶
    分子層と、を有する強誘電性液晶層を一対の基板間に具
    備し、該基板界面の液晶分子のプレティルトの向きがそ
    れぞれの基板において互いに逆向きである液晶素子にお
    いて、 前記第1及び第2の液晶分子層との間にディスクリネー
    ションを有することを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 ディスクリネーションが画素間にあるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 ディスクリネーションが画素内にあるこ
    とを特徴とする請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の液晶素子と、該素子を駆
    動するための駆動回路と、該駆動回路を制御する制御回
    路と、を有することを特徴とする表示装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6417714A (en) * 1987-07-01 1989-01-20 Coors Co Adolph Vessel conveyor
JPH09152608A (ja) * 1995-06-12 1997-06-10 Nec Corp 液晶表示装置、その製造方法およびその駆動方法
JPH09197407A (ja) * 1996-01-12 1997-07-31 Nec Corp 液晶表示装置およびその製造方法

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