JPH0682599U - 原子炉格納容器の機器搬出入用ハッチ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案の目的は機器の搬出入作業を容易とす
ると共に、ハッチ内での被爆を低減させることができる
新規な原子炉格納容器の機器搬出入用ハッチ構造を提供
するものである。 【構成】 本考案は原子炉圧力容器２を格納する格納容
器１に設けられ、該格納容器１の機器等２７を搬出入す
るための原子炉格納容器の機器搬出入用ハッチにおい
て、上記格納容器１に、先端部が鏡板１７で閉じられた
筒状のハッチ本体１５をこれを貫通してその内部に臨む
ように設けると共に、上記格納容器１内に臨んだハッチ
本体１５の上端部に開口部１８を形成し、該開口部１８
に開閉自在にハッチカバー１９を備えると共に、上記ハ
ッチ本体１５底部にそのハッチカバー１９下方まで延び
る台車用レール２３を設けたことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は原子炉格納容器に係り、特に、検査機器等を原子炉格納容器内に搬出 入するための機器搬出入用ハッチ構造の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、原子炉格納容器としては、いわゆるＭＡＲＫ−Ｉ、ＭＡＲＫ−IIと称 されるものの他に図４に示すような新型の原子炉格納容器が知られている。この 新型の原子炉格納容器は図示するように、略円筒状をした鉄筋コンクリート製の 格納容器１内の中央部に原子炉圧力容器２を支持するペデスタル３が立設されて おり、また、この格納容器１内部は、ペデスタル３と格納容器１内壁間に設けら れたダイヤフラムフロア４とによって上部ドライウェル５と下部ドライウェル６ とサプレッションチャンバ７とに区画されており、上部ドライウェル５内におい て万一、冷却器等が故障して蒸気噴出した場合に、これをペデスタル３内に設け られたベント管８を介してサプレッションチャンバ７内の冷却水Ｗ中に導き、こ こで冷却凝縮することで上部ドライウェル５内の圧力上昇を抑制して安全性を補 償している。

【０００３】 また、図示するように、この鉄筋コンクリート製の格納容器１には、これを貫 通するように機器搬出入用ハッチ９が設けられている。この機器搬出入用ハッチ ９は図５及び図６に示すように、筒状のハッチ本体１０は建屋の上方部に円板状 のハッチカバー１１を着脱自在に取り付けたものであり、機器搬出入の際には図 ５及び図７に示すように、建屋の天井裏に設置されたギアトロ等の移動手段１３ によってハッチカバー１１を取り外して開口した後、機器搬出入用台車（図示せ ず）を案内するためのレール１４を建屋側のフロアー２２から格納容器１内に臨 ませて敷設するような構造となっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】 ところで、このような従来の機器搬出入用ハッチ９では上述したように、ハッ チカバー１１の移動手段１３が必要な上に、レール１４を建屋側のフロアー２２ から格納容器１内に臨ませて敷設しなければならないため、機器の搬出入作業が 煩わしいものであった。また、このハッチカバー１１は原子炉圧力容器２に直接 面しているため、ハッチカバー１１を取り外してレール１４を敷設する際や、機 器を台車から格納容器１内へ搬出入する際に作業員が被爆することもある。

【０００５】 そこで、本考案はこの問題点を有効に解決するために案出されたものであり、 その目的は機器の搬出入作業を容易とすると共に、ハッチ内での被爆を低減させ ることができる新規な原子炉格納容器の機器搬出入用ハッチ構造を提供するもの である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案は原子炉圧力容器を格納する格納容器に設け られ、該格納容器の機器を搬出入するための原子炉格納容器の機器搬出入用ハッ チにおいて、上記格納容器に、先端部が鏡板で閉じられた筒状のハッチ本体をこ れを貫通してその内部に臨むように設けると共に、上記格納容器内に臨んだハッ チ本体の上端部に開口部を形成し、該開口部に開閉自在にハッチカバーを備える と共に、上記ハッチ本体底部にそのハッチカバーの下方まで延びる台車用レール を設けたものであり、また、上記原子炉圧力容器とハッチ本体の鏡板との間に、 放射線を遮蔽する遮蔽壁を形成したものである。

【０００７】

【作用】

本考案は上述したような構成のため、格納容器内に検査機器等を搬入する場合 には、ハッチ本体の開口部に設けられたハッチカバーを開いて開口した後、ハッ チ本体底部に設けられた台車用レールを利用して、検査機器等を載置した台車を 開口部下部に移動させ、その後、格納容器内に設けられたギアトロ等の移送装置 を用いてこの検査機器等を吊り上げて格納容器内に搬入することになる。また、 反対に格納容器内の検査機器等を搬出する場合には、再びハッチカバーを開いて 開口した後、この吊上装置を用いて開口部の下部に位置している台車に載置し、 その後、これをレールに沿って格納容器外へ移送することで格納容器外へ搬出す ることになる。従って、従来のように、台車を格納容器内に移動させる際に、新 たにレールを繋ぎ合わせたりする必要がなく、搬出入作業が迅速に行え、また、 ハッチカバーの移動手段が不要となり、コストの低減が達成できる。さらに、原 子炉圧力容器とハッチ本体の鏡板との間に、放射線を遮蔽する遮蔽壁を形成した ため、ハッチ本体内での作業の際に、作業員の被爆を防止することができる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を添付図面を参照しながら詳述する。

【０００９】 図１は本考案に係る原子炉格納容器の機器搬出入用ハッチ付近を示したもので あり、図２は図１中Ａ−Ａ矢視図である。図示するように、この機器搬出入用ハ ッチは格納容器１の側壁を貫通して、その先端部が格納容器１の上部ドライウェ ル５内に臨むように、筒状のハッチ本体１５が設けられており、上部ドライウェ ル５内に臨んだその先端部は鏡板１７によって閉じられている。また、上部ドラ イウェル５内に臨んだハッチ本体１５の上端部には作業員や検査機器などが十分 通過できる程度の大きさをした開口部１８が形成されており、また、この開口部 １８にはこれを開閉するためのハッチカバー１９が開口部１８の周縁部の一部に ヒンジ結合によって取り付けられている。また、このヒンジ部にはこのハッチカ バー１９を開閉動するための開閉手段２５が備えられており、Ｌ字形をした開閉 治具２５ａを駆動することで、図示するように、ハッチカバー１９を水平状態か ら垂直状態に制御している。また、ハッチ本体１５の底部には、その長さ方向に 沿って一対の台車用レール２３が敷設されており、その一端部は開口部１８の真 下まで位置し、他端部は建屋フロアー２２まで連続的に延出されている。また、 この開口部１８の上方に位置するトップスラブ１２の下面には、モノレール２６ が設けられており、さらに、これにはギアトロ等の移送装置２０が走行自在に設 けられている。 また、上部ドライウェル５内には上記建屋フロアー２２と略同 じ高さの架台２１が設けられており、さらに、この上部にはハッチ本体１５の鏡 板１７と略並行に遮蔽壁１６が立設されている。この遮蔽壁１６は格納容器壁と 略同じ厚さを有した鉄筋コンクリートや鉛等の放射線遮蔽材からなっており、上 部ドライウェル５中央部にある原子炉圧力容器２からの放射線を遮蔽するような 働きをしている。

【００１０】 次に、本考案の作用を説明する。

【００１１】 図３に示すように、上部ドライウェル５内の機器等２７を格納容器１の外に搬 出する場合には、先ずこの搬出する機器等２７を、モノレール２６に走行自在に 設けられた移送装置２０によってハッチ本体１５の開口部１８の上方に移送した 後、この開口部１８を塞いでいるハッチカバー１９を開閉手段２５によって垂直 状態に回動して開口部１８を開口する。次に、この開口部１８の真下に台車２４ を位置させ、移送装置２０によって移送されてきた機器等２７を降ろして台車２ ４に載置した後、この台車２４をレール２３に沿って移動させることで上部ドラ イウェル５内の機器等２７を格納容器１の外に搬出することになる。そして、搬 出が終了したならば、開閉手段２５によってハッチカバー１９を水平状態に回動 して開口部１８を再び閉じることになる。尚、格納容器１外の機器等２７を上部 ドライウェル５内に搬入する場合は、これの逆の手順で行うことで達成できる。

【００１２】 このように、本考案はハッチ本体１５の上端部に開口部１８を形成し、この開 口部１８にハッチカバー１９を開閉自在に取り付けたため、従来構造のように、 台車２４を格納容器１内に移動させる際に、新たにレールを繋ぎ合わせたりする 必要がなく、搬出入作業が迅速に達成でき、また、ハッチカバー１９を開口部１ ８にヒンジ結合したため、これの移動手段が不要となり、コストの低減が達成で きる。また、図示するように、ハッチ本体１５の鏡板１７の前方には、原子炉圧 力容器（図示せず）から放射される放射線を遮蔽することができる遮蔽壁１６を 立設したため、ハッチ本体１５内での機器搬出入作業の際に、作業員の被爆を未 然に防止することができる。

【００１３】

【考案の効果】

以上要するに本考案によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。

【００１４】 ハッチ本体の上端部に開口部を形成し、この開口部にハッチカバーを開閉自在 に取り付けたため、台車を格納容器内に移動させる際に、新たにレールを繋ぎ合 わせたりする必要がなく、搬出入作業が迅速に達成できる。

【００１５】 ハッチカバーを開口部にヒンジ結合したため、これの移動手段が不要となり、 コストの低減が達成できる。

【００１６】 原子炉圧力容器とハッチ本体との間に遮蔽壁を設けたため、ハッチ本体内での 機器搬出作業の際に、作業員の被爆を未然に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す側面図である。

【図２】図１中Ａ−Ａ矢視図である。

【図３】本考案の作用を示す説明図である。

【図４】従来の格納容器を示す全体図である。

【図５】従来のハッチ構造を示す側面図である。

【図６】図５中Ａ−Ａ矢視図である。

【図７】図５中Ｂ−Ｂ矢視図である。

【符号の説明】

１ 格納容器 ２ 原子炉圧力容器 １５ ハッチ本体 １６ 遮蔽壁 １７ 鏡板 １８ 開口部 １９ ハッチカバー ２３ 台車用レール

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 原子炉圧力容器を格納する格納容器に設
   けられ、該格納容器の機器を搬出入するための原子炉格
   納容器の機器搬出入用ハッチにおいて、上記格納容器
   に、先端部が鏡板で閉じられた筒状のハッチ本体をこれ
   を貫通してその内部に臨むように設けると共に、上記格
   納容器内に臨んだハッチ本体の上端部に開口部を形成
   し、該開口部に開閉自在にハッチカバーを備えると共
   に、上記ハッチ本体底部にそのハッチカバー下方まで延
   びる台車用レールを設けたことを特徴とする原子炉格納
   容器の機器搬出入用ハッチ構造。
2. 【請求項２】 上記原子炉圧力容器とハッチ本体の鏡板
   との間に、放射線を遮蔽する遮蔽壁を形成したことを特
   徴とする請求項１記載の原子炉格納容器の機器搬出入用
   ハッチ構造。