JPH0682106B2 - 熱特性計測方法及び装置 - Google Patents

熱特性計測方法及び装置

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JPH0682106B2
JPH0682106B2 JP63242993A JP24299388A JPH0682106B2 JP H0682106 B2 JPH0682106 B2 JP H0682106B2 JP 63242993 A JP63242993 A JP 63242993A JP 24299388 A JP24299388 A JP 24299388A JP H0682106 B2 JPH0682106 B2 JP H0682106B2
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temperature
measurement
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正之 須田
宏 村松
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、化学、高分子化学、及び化学工業分野にお
ける、融解、凝固などの熱力学的状態変化を伴う反応の
分析、及びそれを利用した材料の熱特性の試験、評価を
行なう装置に関する。
〔発明の概要〕
この発明の熱特性計測方法及び装置は、圧電素子に試料
を接触させ、熱による試料の粘弾性変化を圧電素子の共
振周波数の変化もしくは、インピーダンスの変化として
検出し、計測を行なうことを特徴としている。
この発明のうち熱特性計測装置の方は、少なくとも圧電
素子と共振周波数を測定する装置もしくはインピーダン
スを測定する装置のいずれかより構成される。
〔従来の技術〕
従来、試料の熱的特性を計測する方法及び装置としては
示差熱分析(DTA)法や示差熱量分析(DSC)法が主に用
いられてきた。これらは基準物質と試料を同時に一定の
速度で加熱し、試料に相変化や熱分解などの熱的特性の
変化が生じたときに、基準物質と試料との間に発生する
温度差を検出することにより試料の熱特性を分析する装
置である。
この他に、熱的性質を計測する手法としては、熱膨張を
測定する方法、比熱を測定する方法などがある。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の測定法では、試料の量がある程度必要であった。
示差熱分析法や示差熱量分析法では、測定の基準物質と
して、測定温度範囲で熱特性に変化を生じない物質が必
要である。比熱測定、熱膨張測定では、測定に長時間を
要し、また連続的に測定を行なうことが困難であるとい
う問題点を有している。さらに従来の測定方法では、微
少量の試料や液晶、LB膜などの試料については測定が困
難であった。
さらに、これまで圧電素子を用いて試料の粘弾性変化を
検出することにより熱特性の計測を行なった例はなく、
本発明はまったく新しい熱特性計測方法及び装置に関す
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の熱特性計測方法及び装置は、例えばATカット水
晶振動子を検出器とし、水晶振動子の共振周波数変化、
もしくはインピーダンス変化を連続的に計測することに
よって、ごく少量のサンプル量で、標準物質を使用する
ことなく短時間での熱特性の計測を可能にするものであ
る。
また、試料を水晶振動子表面に接触させるだけで、測定
が可能であるため、液晶やLB膜などの従来の技術では測
定が困難であった試料についても測定を可能とした。
〔作用〕
圧電素子は共振周波数付近の周波数の電圧を印加するこ
とにより機械的な振動を起こす。この振動はきわめて微
小であるが、物質が接した状態で物質と圧電素子表面と
の間のせん断応力による抵抗を受ける。この機械的抵抗
の抵抗係数は、圧電素子の機械的な振動と電気的な振動
とを対応づけて考えると電気的抵抗と同等であると考え
ることができる。従って、共振周波数における損失抵抗
は、圧電素子表面の摩擦係数を反映した値と考えられ、
この損失抵抗を連続的に計測することによって、物質の
粘弾性変化を計測することができる。また、水晶振動子
のせん断応力が水晶振動子の弾性体として振動する力と
釣りあうことから、共振周波数の変化も、粘弾性変化と
対応する従って、共振周波数変化を測定することによっ
ても、試料の粘弾性変化を追跡することができる。ここ
で水晶振動子の共振周波数は、試料の弾性、粘性、重量
変化によって変化し、損失抵抗は粘性変化のみによって
変化することが知られている。従って重量変化がない場
合には、共振周波数と損失抵抗値とを比較することによ
り、試料の粘性的変化と弾性的変化を考察することがで
きる。
一方、試料に溶解や、ガラス転移などの熱力学的な転移
が生じる前後で、粘弾性に変化が生じることが知られて
おり、よって、この2つの性質を応用することにより、
試料の熱特性を計測することが可能となった。圧電素子
としては、水晶振動子の他、SAWデバイスや圧電セラミ
ック発振子などが利用可能である。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。第
1図は、本発明の熱特性計測装置の模式図を示したもの
である。第1図において、ATカット水晶振動子セル1
は、恒温槽2に入れられ、測定周波数が任意に設定でき
るインピーダンス測定器4に接続されている。また、恒
温槽2は、温度制御装置3に接続されている。温度制御
装置3、インピーダンス測定器4は、さらに演算または
制御を行なうためのコンピュータ5に接続され、コンピ
ュータ5にはプリンタ6、ディスプレイ7が接続されて
いる。第2図(A),(B)は第1図の熱特性計測装置
の模式図のうち、ATカット水晶振動子セル1部分の構造
を示したものである。ATカット水晶振動子8は、片面の
みが試料と接するような構造を持つプラスチック製のホ
ルダー9にシリコーン樹脂で封入されている。
本発明の計測方法は、試料をATカット水晶振動子セル1
上に固定して恒温槽2と温度制御装置3により試料の温
度を一定の速度で変化させていき、同時にATカット水晶
振動子8の共振周波数付近でのインピーダンスの測定を
連続的に行ない、温度に対するATカット水晶振動子8の
共振周波数および、損失抵抗値の変化を得るものであ
る。
本発明の計測装置において、試料はATカット水晶振動子
セル1上に固定され、恒温槽2中に入れられている。恒
温槽2の温度は、コンピュータ5によって設定された温
度に、温度制御装置3により制御されている。コンピュ
ータ5で設定する温度を一定の速度で変化させることに
より、恒温槽2の温度を一定の速度で変化させることが
可能である。
試料をATカット水晶振動子セル1上に固定すると、TAカ
ット水晶振動子8の共振周波数および、損失抵抗値は、
測定時の温度での試料の粘弾性を反映したものとなり、
共振周波数及び、損失抵抗値は、インピーダンス測定器
4を用いて測定される。第3図は本実施例で用いたイン
ピーダンス測定器のブロックダイアグラムである。信号
発生部10でTAカット水晶振動子8の共振周波数付近の周
波数を発生させ、信号分配部11で信号発生部10で得られ
た信号を2つに分配する。2つに分配された信号の内、
一方はそのまま増幅部A12、アッテネータ部A13、対数増
幅部A14を経て演算部19に入る。他方はATカット水晶振
動子8を経た後、増幅部B15、アッテネータ部B16、対数
増幅部B17を経て演算部19に入る。また、アッテネータ
部B16から出てきた信号は、途中、ATカット水晶振動子
8を通過しているため、アッテネータ部A13から出てき
た信号との間には位相差がある。この位相差は位相差検
出部18で検出され、演算部19に入力される。演算部19で
は入力された信号から、ATカット水晶振動子8のコンダ
クタンスおよびサセプタンスを求め、表示部20に表示す
る。
インピーダンス測定は、具体的には、アドミッタンスの
虚数部であるサセプタンスの最大値と最小値を与える周
波数の間に共振周波数があることから、まず最初にサセ
プタンスの最大値、最小値を周波数掃引して求め、この
間の周波数について等間隔の周波数で、コンダクタンス
とサセプタンスの測定を行なった。測定値は、コンダク
タンス及びサセプタンスのデータを円の最小自乗法によ
って処理し、円の直径を求めこの逆数を損失抵抗の値と
した。また、円の中心を求め、この中心点のサセプタン
スの値と同じサセプタンス値を示すような円上の周波数
をサセプタンスと測定周波数の多項式近似より求めこれ
を共振周波数とした。
インピーダンス測定および損失抵抗値、共振周波数を求
めるための演算の処理は、コンピュータ5によって自動
的に行なわれ、その結果はディスプレイ6およびプリン
タ7に表示、印刷される。
また、本実施例では、ATカット水晶振動子を検出器とし
たが、GTカット水晶振動子や他の圧電材料、例えば、SA
Wデバイスや圧電セラミック発振子を用いても同様の測
定が可能であることが示されている。
次に本計測方法及び装置を用いて、測定を行なった結果
について説明する。
(液晶材料の相転移温度測定への応用) 第4図に示す構造を持つ、液晶材料(K21)を試料と
し、温度を20〜70℃まで変化させた場合の損失抵抗値の
変化を測定した結果を第5図(a)に、及び共振周波数
の変化を測定した結果を第5図(b)にそれぞれ示す。
本実施例で用いた液晶の液晶から液体への相転移点は、
42.8℃であるが、その付近の温度において相転移に起因
する応答が現れている(第5図(a)A部分、第5図
(b)B部分)。即ち、本測定法および本測定装置によ
り、液晶材料の相転移温度の測定が可能であることが示
された。
(高分子フィルムの融点測定への応用) 高分子フィルム(ポリエチレンMarlex50)を試料とし測
定を行った結果、液晶材料の場合と同様に高分子フィル
ムの融点である137℃で相転移に起因する応答が得られ
た。即ち、本測定法および本測定装置により、高分子フ
ィルムの融点の測定が可能であることが示された。
(累積LB膜の相転移温度測定への応用) アラキジン膜カドミウム塩をLB法により水晶振動子上に
累積させた後、液晶材料の場合と同様に測定を行なった
結果、相転移点である78℃付近で相転移に起因する応答
が得られた。即ち、本測定法及び本測定装置により、累
積LB膜の相転移点の測定が可能であることが示された。
〔発明の効果〕
本発明の熱特性計測方法及び装置により、従来の方法は
困難であった微少量の試料や、液晶材料、LB膜などの試
料についても熱特性の測定が可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の熱特性計測装置の模式図、第2図
(A)はATカット水晶振動子セルの正面図、第2図
(B)はATカット水晶振動子セルの側面図、第3図は本
実施例で用いたインピーダンス測定器のブロックダイア
グラム、第4図は本実施例で用いた液晶材料の構造式の
説明図、第5図(a)は液晶材料を試料とした場合の温
度による損失抵抗の変化を示す説明図、第5図(b)は
液晶材料を試料とした場合の温度による共振周波数の変
化を示す説明図である。 1……ATカット水晶振動子セル 4……インピーダンス測定器 5……コンピュータ 8……ATカット水晶振動子

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電素子の少なくとも片面を試料と接触さ
    せ、前記圧電素子のずり振動によるせん断応力を前記試
    料に加えるとともに、前記試料の温度を連続的に変化さ
    せながら、前記圧電素子の共振周波数および/または損
    失抵抗値を連続的に測定して前記試料の粘弾性変化を検
    出することにより、前記試料の熱特性の計測を行うこと
    を特徴とする熱特性計測方法。
  2. 【請求項2】ずり振動によるせん断応力を試料に加える
    圧電素子と、前記圧電素子の共振周波数および/または
    損失抵抗値を測定するインピーダンス測定手段と、前記
    圧電素子の少なくとも片面に試料を接触させる測定部
    と、前記測定部の温度を連続的に制御する温度制御手段
    と、前記温度制御手段により連続的に制御された各温度
    における前記インピーダンス測定手段からの出力を受け
    て前記圧電素子の共振周波数および/または損失抵抗値
    を連続的に測定して試料の粘弾性変化を検出する演算制
    御手段と、前記演算制御手段の演算結果による試料の熱
    特性の計測結果を表示する表示手段から構成されたこと
    を特徴とする熱特性計測装置。
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