JPH0680509A - 害虫駆除材 - Google Patents

害虫駆除材

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JPH0680509A
JPH0680509A JP23727792A JP23727792A JPH0680509A JP H0680509 A JPH0680509 A JP H0680509A JP 23727792 A JP23727792 A JP 23727792A JP 23727792 A JP23727792 A JP 23727792A JP H0680509 A JPH0680509 A JP H0680509A
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clay
insect pest
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尚明 山本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘土鉱物を用いて物理的に害虫を駆除する害
虫駆除材において、その害虫駆除効果を安定的に発揮で
きること。 【構成】 固形物からなり,害虫1に付着させる害虫駆
除材41,42,43,81,82,83であって、前
記固形物には、その粒径が駆除対象とする害虫1の体毛
3の間隔寸法Pより小さい粉状の粘土鉱物が含有される
とともに、シリカゲルが添加されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、害虫駆除材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】シロアリやツメダニ等をはじめとする,
害虫を駆除する場合、化学的殺虫剤を用いることが一般
的であり、例えばシロアリやダニの駆除を目的とする場
合有機りん系薬剤やピレスロイド系薬剤のように急性毒
性の強い化学的殺虫剤が広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の化
学的殺虫剤はその化学的成分の薬効により害虫を駆除す
るものであるが、その化学的成分が人畜への悪影響を有
することが多く、急性毒性の強い化学物質の散布を原因
とする環境汚染も懸念される。
【0004】また、化学的殺虫剤の使用に伴って、害虫
が殺虫剤抵抗性(抵抗性)を次第に備え、当初有効であ
った化学的殺虫剤が最終的に殺虫剤としての効果を奏し
なくなることが生じる。
【0005】このような背景から、本願発明者は毒性の
少ない各種の物質を用いて鋭意研究した結果、粘土鉱物
に後述する物理的な害虫駆除効果のあることを見いだし
た。
【0006】そして、このような粘土鉱物を用いた害虫
駆除材においては、その粘土鉱物が粉状であることが、
その害虫駆除効果を奏するうえで重要であるが、粉状の
粘土鉱物は湿気等の水分を吸着して塊状になりがちで、
塊状となった粘土鉱物はその害虫駆除効果が低下する。
【0007】この発明は、このような事情に基づいてな
されたもので、粘土鉱物を用いて物理的に害虫を駆除す
る害虫駆除材において、その害虫駆除効果を安定的に発
揮できることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、固形物からなり,害虫に付
着させる害虫駆除材であって、前記固形物には、その粒
径が駆除対象とする害虫の体毛の間隔寸法より小さい粉
状の粘土鉱物が含有されるとともに、吸湿性を有する物
質が添加されていることを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1記載の発明によれば、この害虫駆除材
には粉状の粘土鉱物の他に、吸湿性を有する物質が添加
されているので、湿気等の水分は吸湿性を有する物質に
吸着され、粉状の粘土鉱物が塊状になることが軽減さ
れ、粘土鉱物は粉状の状態を維持することができる。
【0010】そのため、粉状でその粒径が駆除対象とす
る害虫の体毛の間隔寸法より小さい粘土鉱物が、害虫の
体毛に妨げられずに害虫に付着しやすく、これによって
害虫駆除効果を安定的に発揮することができる。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照しつつ実施例によりこの発
明を説明するが、最初に、粘土鉱物による害虫駆除効果
について説明する。
【0012】本願発明者の研究によれば、粘土鉱物によ
る物理的な害虫駆除効果は、次の2つのメカニズムによ
り生じるものと考えられる。
【0013】まず、第1のメカニズムを図1により説明
する。
【0014】図1は、害虫の体表面の平面模式図であっ
て、1は害虫、2は害虫の体表面の皮膚、3は害虫の体
毛であり、41,42,43,44は粉状の粘土鉱物か
らなる害虫駆除材である。
【0015】かかる害虫1は、気門(不図示)あるいは
皮膚2を通じて体内に酸素を取入れており、体外への炭
酸ガスの排出は直接皮膚2を通じて行なっている。
【0016】そして、このように炭酸ガスの排出を行な
う皮膚2には、散点状に複数の体毛3が形成されてい
る。
【0017】このような体毛3は、害虫1の種類に応じ
てそれぞれ所定の位置に形成されており、これらの体毛
3の間隔寸法も異なるものとなっているが、各種の害虫
を勘案して標準的に模式化すると、害虫1の皮膚2上で
の体毛3の配列は図1のようであり、以下の説明の単純
化のため各体毛3の間隔寸法Pは一律であるものとす
る。
【0018】また、害虫駆除材41,42,43,44
は現実には当然種々の形状のものであるが、以下のメカ
ニズムの説明を単純化するために図面においては円形と
して表示し、それぞれはその粒径のみが異なるものとす
る。
【0019】このように体毛3が形成されている皮膚2
上への害虫駆除材41,42,43,44の付着の状況
は次のようである。
【0020】すなわち、害虫駆除材41は、その粒径D
1が体毛3の間隔寸法Pより若干小さいがほぼ同等のも
のである。
【0021】そのため、害虫駆除材41は、体毛3の間
隙を経て害虫1の皮膚2に到達することができる。
【0022】そして、害虫1の皮膚2上に達した害虫駆
除材41は皮膚2上の脂質や水分等により皮膚2上に付
着することとなる。
【0023】これによって、害虫駆除材41の下方に位
置する部分の皮膚2は、その表面からの炭酸ガスの排出
作用が妨げられる。なお、皮膚2から酸素の取入れを行
なう害虫の場合には、この害虫駆除材41により、当該
部位の皮膚2からの酸素の取入れも同時に妨げられる。
【0024】害虫駆除材42はその粒径D2が、前記害
虫駆除材41より小さく、害虫駆除材43は前記害虫駆
除材42の粒径D2より一層その粒径が小さいものであ
る。
【0025】前記害虫駆除材41よりその粒径が小さ
い,害虫駆除材42,43は、図1からもあきらかなよ
うに前記体毛3に妨げられずに、害虫1の皮膚2に到達
することができ、前記害虫駆除材41と同様に、皮膚2
上に付着し,害虫1の炭酸ガスの排出作用等を妨げる。
【0026】なお、害虫駆除材44はこの説明の例にお
いては比較例であって、その粒径D4が、前記体毛3の
間隔寸法Pより大きいものである。かかる粒径の害虫駆
除材44は、図1からあきらかなように、いずれかの体
毛3がその付着を妨げることとなるので前記害虫駆除材
41,42,43のように害虫1の皮膚2からの炭酸ガ
スの排出作用等を妨げることはできないものである。
【0027】前記害虫駆除材41,42,43の付着に
より、その部分の皮膚2からの炭酸ガスの排出が妨げら
れている場合、害虫1の呼吸作用は概ねその付着した部
分の面積に応じて機能が低下し、その部分の面積が許容
範囲を越えると呼吸不全となり、ついには害虫1が死亡
することとなる。
【0028】したがって、このような害虫駆除材を用い
て、害虫の駆除を行なう場合には、皮膚2への害虫駆除
材41,42,43の付着した面積の拡大が極めて重要
であり、害虫駆除材の粒径を害虫に応じて適宜選定する
ことにより、前記付着面積の拡大を通じて害虫駆除の目
的が達成される。
【0029】次に、図2により第2のメカニズムを説明
するが、この第2のメカニズムは駆除対象の害虫が気門
を有するものである場合に限られる。
【0030】図2は害虫の気門での断面を模式的に示し
たもので、1は気門を有する害虫、2は害虫の体表面、
3は害虫の体毛である。
【0031】気門を有する害虫1においては、その害虫
1の体内から延びる気管5が体表面2に開口して気門6
を形成しており、これらの気管5および気門6は、害虫
1の気管系7を構成するものであって、気管系7は害虫
1が体内に取り入れる酸素を体内に導く通路としての機
能を有するものである。
【0032】このような気門6を有する害虫1におい
て、気門6の近傍で体毛3の間隔寸法をPとし、気門6
の開口寸法(直径)をWとする。
【0033】そして、図2において、81,82,8
3,84はそれぞれ粉状の粘土鉱物からなる害虫駆除材
であり、これらの害虫駆除材81,82,83,84は
現実には当然種々の形状のものであるが、以下のメカニ
ズムの説明を単純化するために図面においては球形とし
て表示し、それぞれはその粒径のみが異なるものとす
る。
【0034】害虫1の気門6近傍においては、害虫駆除
材81,82,83,84はその粒径の如何によりその
挙動が異なり、以下の説明において害虫駆除材81,8
2,83は有効成分として機能し、害虫駆除材84は比
較例として位置づけられるものである。
【0035】すなわち、害虫駆除材81はその粒径D5
が、体毛3の間隔寸法Pより小さく,かつ気門6の開口
寸法Wより大きいものである。
【0036】そのため、害虫駆除材81は、体毛3の間
隙を経て害虫1の体表面2に到達し、気門6の表面側に
位置することができる。そして、害虫1の体表面2上に
達した害虫駆除材81は体表面2上の脂質や水分等によ
り体表面2上に付着することとなり、気門6は前記害虫
駆除材81で覆われて閉塞され、その気門6からの酸素
の取り込みが阻害される。
【0037】害虫駆除材82はその粒径D6が、体毛3
の間隔寸法Pおよび気門6の開口寸法Wよりやや小さい
ものである。
【0038】そのため、害虫駆除材82は、前記害虫駆
除材81と同様に害虫1の体表面2に到達するが、さら
に気門6から気管5内に侵入することができる。
【0039】害虫駆除材82が気管5中に侵入すると、
気管5の通気面積が大幅に小さくなるので、害虫1の酸
素の取入れが損なわれ、かつ侵入した害虫駆除材82が
気管5から容易には脱落しないので、害虫1は長時間の
酸素欠乏によって最終的には確実に死亡する。
【0040】前記害虫駆除材82より粒径がさらに小さ
い害虫駆除材83においては、前記体毛3は害虫駆除材
83が害虫1の体表面2へ到達するうえでの支障となる
ことがほとんどなく、そのうえ、気門6も害虫駆除材8
3よりかなり大きい寸法であるので、害虫駆除材83は
比較的高い確率で気管5内に侵入することができる。
【0041】このようにして気管5内に侵入した害虫駆
除材83は、単一の粒子のみでは前記害虫駆除材82の
ように気管5の閉塞は困難であるが、前記のように比較
的高い確率で気管5内に侵入するので、複数個の害虫駆
除材83が付着し蓄積されることによって、気管5の通
気断面積が小さくなり、害虫1は酸素欠乏状態となる。
【0042】害虫駆除材84は前記害虫1の場合には比
較例となるものであって、その粒径D7は前記体毛3の
間隔寸法Pよりも大きいものである。
【0043】このような場合、害虫駆除材84は体毛3
によって害虫1の体表面2に到達し得ないので、気門6
に対する閉塞機能を期待することができない。しかし、
前記体毛3の間隔寸法Pおよび気門6の開口寸法Wは、
害虫の種類により異なる値をとるので、害虫の種類によ
ってはこの害虫駆除材84が前記した害虫駆除材81〜
83に相当するものとして作用することができる。
【0044】このように、以上説明した場合には害虫駆
除材81,82,83は、害虫1の気管系7に付着し
て、害虫1の気門6からの酸素の取入れを妨げるので、
害虫1は酸素欠乏により死亡し、害虫駆除の目的を達成
するものである。
【0045】これらの第1および第2のメカニズムの双
方に共通する利点は、従来の化学的殺虫剤による殺虫と
は異なり害虫を駆除すべき空間内に急性毒性の強い化学
物質を高濃度に蒸散させずに害虫を駆除できることであ
り、このことに起因して人畜に対する化学的殺虫剤の影
響や環境汚染を回避できるとともに害虫が抵抗性を次第
に備えることもなく、粉状の固形物の物理的性質により
行なわれるので、長期に渡って害虫を駆除することがで
きることである。
【0046】次に、前記害虫駆除メカニズムの実証試験
について説明する。
【0047】この実証試験は、シャーレにロ紙を敷き、
このロ紙上に粉状の粘土鉱物からなる害虫駆除材を均等
に敷きならし、この状態のシャーレ中に10匹の害虫を入
れて経時的に害虫の活動状態を観察するものである。
【0048】以下に説明する実証試験は、害虫としてイ
エシロアリの職蟻を用いるものであり、この場合の前記
体毛の間隔寸法Pは概ね63μm,気門の開口寸法Wは概
ね30μmである。
【0049】そして、以下に説明する場合においては、
クレーを害虫駆除材として用いたもので、クレーとは岩
石中の鉱物が分解,破壊されてできた微粒子の集合体で
あり,いわゆる粘土に該当するものである。
【0050】このクレーは、丸尾カルシウム株式会社製
「0Sクレー」(商品名)であって、その粒径は44μm
以下とされており、その粒度分布は図3に示すとおりで
ある。
【0051】この害虫駆除材においては、その全量の粒
径が前記イエシロアリの職蟻の体毛の間隔寸法Pより小
さく、イエシロアリの職蟻に対する,前記第1のメカニ
ズムでの有効成分であり、前記害虫駆除材42,43に
相当するものである。
【0052】また、この害虫駆除材の全量は、前記した
第2のメカニズムでの有効成分となるものであるが、図
3からあきらかなように、重量%で95%強が気門の開口
寸法Wの30μmより小さく、第2のメカニズムでの害虫
駆除材82,83に該当する有効成分である。
【0053】なお、この実証試験で用いたシャーレは、
直径9cmのものであり、前記害虫駆除材を0.64g(100g/m
2の割合で害虫駆除材を散布した状態に相当する)だけ
入れて行なった。
【0054】その観察結果は次のようである。
【0055】害虫駆除材としてのクレーを配置したシャ
ーレへのシロアリの投入から1時間経過後においては、
投入された10匹のシロアリは害虫駆除材としてのクレー
を体表面に付着させており、2匹は死亡し、残りの8匹は
触角,脚をバタバタさせていた。 シロアリの投入から
2時間経過後、7匹が死亡しており、残りの3匹もわずか
に触角が動くのみであった。
【0056】シロアリの投入から3時間経過後、残りの3
匹も死亡しており、投入された全てのシロアリが死亡し
た。
【0057】そして、死亡したシロアリの顕微鏡観察に
より、シロアリの体表面の皮膚上には気門の部分を含
み、粉状の前記害虫駆除材が付着していた。
【0058】前記の観察結果のうち、とくに、シロアリ
の投入から1時間経過後に2匹のシロアリが死亡している
こと、および死亡したシロアリの気門の部分を含んでそ
の体表面上に粉状の前記害虫駆除材が多量に付着してい
たことを考慮すれば、これらのシロアリは前記第1のメ
カニズムで皮膚2からの炭酸ガスの排出が阻害され、あ
るいは前記第2のメカニズムによる酸素欠乏により死亡
したものと推定することができ、前記害虫駆除メカニズ
ムが実証されたものと考えられる。
【0059】このように害虫としてのシロアリに対し
て、粉状のクレーで実証された前記第1および第2のメ
カニズムは、前記したように害虫駆除材である粉状のク
レーの粒径と駆除対象とする害虫1の体毛3の間隔寸法
Pあるいは気門6の開口寸法Wとの関係で物理的に成立
するものであるので、各種の害虫に対して使用すること
が可能である。
【0060】本願発明の害虫駆除材を用いての駆除対象
とすることのできる害虫を挙げると、例えば、その他の
シロアリ類や家ダニ類のツメダニ,チリダニ,コナダニ
あるいはゴキブリ類はもちろんのこと、カ類,ハエ類,
ノミ類,シラミ類,ヒラタキクイムシ,シバンムシ類,
ノシメマダラメイガ,ノコギリヒラタムシ,コクヌスト
モドキ,コクゾウムシ,アズキゾウムシ,ヒメマルカツ
オブシムシ,ヒメカツオブシムシ,イガ,ユスリカ類,
チョウバエ類,カメムシ類,アブ類,マダニ類,サシバ
エ,ニカメイガ,ウンカ,ツマグロヨコバイ,ヒメコガ
ネ,シロイチモジマダラメイガ,シンクイムシ類,カイ
ガラムシ類,ハダニ類,アブラムシ類,コナガ,ヨトウ
ムシ,ヤサイゾウムシ,マツノマダラカミキリ,キクイ
ムシ類,コガネムシ類,スジキリヨトウ,シバツトガ等
である。
【0061】なお、前記の害虫のうち、家ダニ類のチリ
ダニやコナダニは、気門を有さず,皮膚2からの酸素の
取入れを行なうものであるので、本願発明の害虫駆除材
を用いた場合、前記第2のメカニズムは機能しないが、
第1のメカニズムにより皮膚に付着したクレーは、炭酸
ガスの排出のみならず酸素の取入れをも阻害することが
でき、これによりその駆除を確実に行なうことができ
る。
【0062】そして、シロアリとは異なる前記の害虫を
対象とする場合、前記した第1および第2のメカニズム
から明らかなように、その対象とする害虫の体毛の間隔
寸法P等に応じて、害虫駆除材の有効成分となるものの
粒径が定まるので、使用する害虫駆除材の粒度分布を適
宜調整することが好ましく、駆除対象を特定種類の害虫
とする害虫駆除材の場合には、その害虫の体毛の間隔P
より小さい粒径のもののみを分別して、これを害虫駆除
材として用いることが効率的である。
【0063】例えば、家ダニ類のツメダニを駆除対象の
害虫とする場合、その体毛の間隔寸法は概ね30μmであ
る。
【0064】かかるツメダニを対象として、前記クレー
からなり,シロアリに用いた前記の害虫駆除材(図3の
粒度分布のもの)を用いると、重量%で概ね95%強のも
のがツメダニの皮膚に到達し得る有効成分として機能す
るが、残りの5%弱は前記害虫駆除材44に相当するもの
となって害虫駆除材として機能せず無駄となる。
【0065】また、ツメダニの気門の開口寸法Wは概ね
1μmであるので、前記第2のメカニズムにおいて、害
虫駆除材82,83として機能し得る有効成分は、重量
%で10%強である。
【0066】したがって、この場合には、用いる害虫駆
除材の粒度分布を細粒分の多いものに調整し、またその
害虫の体毛3の間隔寸法P,すなわち30μmより粒径の
大きいものを除外することとすれば、使用する害虫駆除
材の無駄が少なく,害虫駆除材がツメダニの皮膚上に付
着する確率が高まるので害虫駆除効果が一層顕著にな
る。
【0067】このようなメカニズムにより害虫駆除を行
なうクレーは、必然的に粒径の小さな粉状であることが
求められるが、このような粉状のクレーは、物理的に吸
湿性を帯び、粉状のクレーは吸湿することにより塊状と
なりがちである。
【0068】そして、塊状となったクレーの場合、前記
第1および第2のメカニズムが有効に機能しなくなるこ
とはあきらかである。
【0069】そこで、本願においては、前記クレーを含
有する害虫駆除材に、吸湿性を有する物質を添加して、
クレーによる前記第1および第2のメカニズムの機能を
安定的に確保することとしている。
【0070】なお、本願発明でいう吸湿性とは調湿性を
も含む広い概念であり、単に吸湿性を有する物質のみな
らず、例えば、シリカゲル,無水けい酸等のものであっ
てもよい。
【0071】そして、このような吸湿性を有する物質
は、ブロック状あるいはペレット状として粉状のクレー
を含有する害虫駆除材に添加することとしても良いが、
前記クレーと同様に粉状として、クレーと混合して添加
することが好ましい。有効成分である粉状のクレーの吸
湿を全体的に均一に軽減できるからである。
【0072】次に、このような観点に立って、吸湿性を
有する物質として粉状のシリカゲルを前記クレーに混合
して添加した実施例につき説明する。
【0073】この実施例に用いるシリカゲルは、富士デ
ヴィソン化学株式会社製「フジ・ホームゲルG」(商品
名)を粉砕して粉状に形成したものであり、その粒度分
布は図4に示すとおりである。
【0074】本願発明の実施例としての害虫駆除材は、
それぞれ重量で前記クレーを50%と前記シリカゲル50%と
を、計量して混合した混合物である。
【0075】このような混合物からなる害虫駆除材の害
虫駆除効果の確認試験は、用いる害虫駆除材のみを代
え、前記実証試験と同様に行なった。
【0076】その観察結果は、次のとおりである。
【0077】害虫駆除材としての混合物を配置したシャ
ーレへのシロアリの投入から1時間経過後においては、
投入された10匹のシロアリは体中に害虫駆除材を付着さ
せ、そのうち5匹は死亡し、残り5匹のうち3匹は触角や
脚をたまにわずかに動かすのみであり、2匹は触角や脚
をバタバタさせていた。
【0078】シロアリの投入から2時間経過後、10匹の
シロアリが死亡しており、確認試験を終了した。
【0079】死亡したシロアリの顕微鏡観察により、シ
ロアリの体表面の気門を含む皮膚上には、粉状の害虫駆
除材が付着していたことを確認した。
【0080】したがって、この実施例においても、前記
クレーの単味の害虫駆除材に準じて前記第1および第2
のメカニズムによりシロアリが死亡したものと考えられ
る。
【0081】この害虫駆除材による駆除効果は、前記し
たクレー単味の害虫駆除材の駆除効果より若干強化され
ており、シリカゲルの添加によクレーが粉状に維持され
たことおよびシロアリのシリカゲルとの接触による脱水
現象が前記第1および第2のメカニズムとともに生じた
ことによるものと推測することができる。
【0082】すなわち、この実施例の害虫駆除材には前
記のように吸湿性を有する物質として粉状のシリカゲル
が添加されているので、害虫駆除材の保存中や害虫駆除
材の散布後においてシリカゲルが粘土鉱物と混在してお
り、有効成分としての粉状のクレーが湿気により塊状と
なることが軽減され、前記第1または第2のメカニズム
による害虫駆除効果を安定的に維持することができる。
【0083】以上の実施例においては、クレーを用いた
ものを説明したが、本願においてはクレーに限らない。
【0084】詳述を省略するが、セピオライト,ベント
ナイト,タルク等のその他の粘土鉱物についても、本願
発明者は前記と同様にしてそれぞれが害虫駆除効果を有
することを確認しており、これらの粘土鉱物を用いるこ
ととしてもよい。
【0085】なお、セピオライトとはその化学組成がMg
9Si12O30(OH)6(OH2)4・6H2Oで表わされるマグネシウム
粘土鉱物の一種で海泡石とも称するものであり、ベント
ナイトとはモンモリロナイト,バイデラナイト等を主成
分鉱物とする粘土鉱物の一種で膨潤土とも称するもので
ある。また、タルクとはその化学成分がMg3Si4O10(OH)2
とされるマグネシウム粘土鉱物の一種で、滑石とも称さ
れるものである。
【0086】これらの粘土鉱物を用いて、本願発明の害
虫駆除材を構成する場合、前記クレーの場合と同様にシ
リカゲルや無水けい酸等を添加すればよい。
【0087】なお、前記の実施例においては、有効成分
としての粉状のクレーと吸湿性を有する物質としてのシ
リカゲルとの2種類の物質からなる混合物であるが、本
願発明は、これに限らず、これにさらに別の物質を添加
して害虫駆除材を構成してもよく、これらの場合の各材
料の配合割合は適宜選定すればよい。さらに、場合によ
りほう酸等の薬効の弱い薬剤を補助的に添加することと
してもよい。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、この害虫駆除材には粉状の粘土鉱物の他
に、吸湿性を有する物質が添加されているので、湿気等
の水分は吸湿性を有する物質に吸着され、粉状の粘土鉱
物が塊状になることが軽減され、粘土鉱物は粉状の状態
を維持することができる。
【0089】そのため、粉状でその粒径が駆除対象とす
る害虫の体毛の間隔寸法より小さい粘土鉱物が、害虫の
体毛に妨げられずに害虫に付着しやすく、これによって
害虫駆除効果を安定的に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘土鉱物による害虫駆除に関する第1メカニズ
ムの説明用模式図である。
【図2】粘土鉱物による害虫駆除に関する第2メカニズ
ムの説明用模式図である。
【図3】クレーの粒度分布図である。
【図4】シリカゲルの粒度分布図である。
【符号の説明】
P (体毛の)間隔寸法 1 害虫 3 体毛 41,42,43,81,82,83 害虫駆除材(粘
土鉱物)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形物からなり,害虫に付着させる害虫
    駆除材であって、前記固形物には、その粒径が駆除対象
    とする害虫の体毛の間隔寸法より小さい粉状の粘土鉱物
    が含有されるとともに、吸湿性を有する物質が添加され
    ていることを特徴とする害虫駆除材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の害虫駆除材において、前
    記吸湿性を有する物質が粉状で添加されていることを特
    徴とする害虫駆除材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の害虫駆除材に
    おいて、前記吸湿性を有する物質としてシリカゲルを用
    いたことを特徴とする害虫駆除材。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の害虫駆除材に
    おいて、前記吸湿性を有する物質として無水けい酸を用
    いたことを特徴とする害虫駆除材。
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