JPH0680180B2 - 超硬質合金及びその製法 - Google Patents

超硬質合金及びその製法

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JPH0680180B2
JPH0680180B2 JP60040725A JP4072585A JPH0680180B2 JP H0680180 B2 JPH0680180 B2 JP H0680180B2 JP 60040725 A JP60040725 A JP 60040725A JP 4072585 A JP4072585 A JP 4072585A JP H0680180 B2 JPH0680180 B2 JP H0680180B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は特に高温耐摩耗性に優れた切削工具用超硬質合
金及びその製法に関する。
(従来技術) 超硬質合金としてはTiC基焼結合金(サーメット)及びW
C基焼結合金(超硬合金)がよく知られている。TiCはWC
に対しそれ自体耐酸化性及び鉄との耐反応性に優れてい
るため、TiC基焼結合金はWC基焼結合金と比べ高温使用
時、即ち高速切削時の耐摩耗性が本来的に優れている。
しかしながら、一般にTiC基焼結合金はこれに含有するT
iCと鉄属金属とのぬれ性向上の目的でMO化合物(MO2Cな
ど)を添加している。そのため焼結後の組織は第2図に
示す如くTiC粒子を中心組織Aとしてその周囲にMOを含
む固溶相である周辺組織Bが被覆した2重組織Cを呈し
ており、この2重組織C間は他の金属及びその固溶相D
で結合された構造となっている。これは高温焼成段階で
一旦金属相(Ni等)に溶解したMO化合物が冷却段階で高
融点で溶解せずして存在するTiC粒子の周囲に集中的に
析出するためと考えられる。この様な2重組織を有する
従来のTiC基焼結合金はWC基焼結合金と比べ高温耐摩耗
性が優れているとは云え、未だ充分ではない。その理由
は前記周辺組織BはTi金属成分に富んだ中心組織Aと比
べ硬度が低くかつ耐高温酸化性も劣り、高速切削時にお
ける高温雰囲気及び被切削金属(例えば鉄)との反応に
より焼結体表面が食われ、前記2重組織Cが中心組織A
(TiC)を内包したまま脱粒するものと考えられ、高温
耐摩耗性に優れたTiC本来の特性が充分発揮され得ない
組織となっている。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明者は上記現状に鑑み鋭意研究の結果、前記Ti金属
成分に富んだ擬TiC相(他の金属が若干固溶したTiC相)
が少なくともMOを含む硬質相と分離して焼結体中に単独
で一定量分散した組成を有する超硬質合金は前記擬TiC
相が中心組織としてMOを含む固溶相に包含される2重組
織Cを呈するものと比べ高温耐摩耗性が著じるしく向上
していることを知見した。
したがって、本発明は高温耐摩耗性に優れた超硬質合金
及びその製法を提供することを目的とする。
本発明によればNb,Ta,Ti,WおよびMoより選ばれる少なく
とも1種からなる金属の炭窒化物からなる硬質相と、Ti
C成分に富んだ擬TiC相と、これら各相を結合する金属結
合相とからなり、前記擬TiC相が焼結体の全体積に対し
て0.01〜20体積%存在し、かつこの擬TiC相が焼結体中
に前記硬質相と分離して単独で分散している超硬質合金
が提供される。
本発明の結晶組織は第1図に示す通りである。Nb,Ta,T
i,WおよびMoより選ばれる少なくとも1種からなる金属
の炭窒化物からなる硬質相2…間に高温耐摩耗性に優れ
たTi金属成分に富んだ擬TiC相1…が単独で分散しこれ
らが金属結合相3で結合された結晶組織はこの擬TiC相
1…が高速切削時に直接被切削物に作用するので高温耐
摩耗性に優れた擬TiC相1…の特性を充分活かすことが
できると共に硬質相2…の脱粒を抑制することができ
る。擬TiC相1…が焼結体の全体積に対して0.01体積%
未満であると前記の擬TiC相の高温耐摩耗特性を充分活
かすことができず、擬TiC相が20体積%を超えると焼結
の靱性が劣化するものと考えられる。擬TiC相の好まし
い含有量は0.1〜15体積%であり、より好ましくは0.2〜
10体積%である。
Nb,Taの炭化物、窒化物および炭窒化物より選ばれる少
なくとも1種と、TiCとがモル比で1/1〜3/1の割合で配
合された主成分に対し、WCを10〜30重量%と、TiNを5
〜15重量%と、Mo2Cを5〜20重量%とその他鉄属金属を
5〜20重量%とを添加し混合した圧粉体を焼成する超硬
質合金の製法が提供される。
Nb,Taの炭化物、窒化物、炭窒化物より選ばれる少なく
とも1種と、TiCとがモル比で1/1〜3/1の割合で配合し
た主成分を用いると、液相中で未溶解のNb,Taの炭化
物、窒化物、炭窒化物の少なくとも一種と未溶解のTiC
とがほぼ同量となる。一方、Nb及びTaの原子半径はTiの
原子半径より小さく、ぬれ性向上成分であるMoと靱性向
上成分であるWは前記Nb及びTaよりも小さい。したがっ
て、一旦液相(金属相)に溶解したMo及びWは原子半径
の近いNb,Taの炭化物,窒化物,炭窒化物上に選択的に
析出して前記硬質相2の固溶体を形成する。実際、該硬
質相2はNb及び/又はTaの炭窒化物を主成分とする固溶
体2bを中心としてその周囲にMo及びWの炭窒化物を主体
とする固溶体2aが形成された組織を呈している。その結
果として、液相中の未溶解TiCは前記Nb及びTaより原子
半径が大きいのでMo及びWが固溶し難くなり、若干は固
溶したとしてもTiCに富んだ擬TiC相が単独で結晶組織内
に分散して残存することとなる。またTiNはTiCよりも融
点が低いため焼成時にTiCより先に金属相に溶解し、未
溶解成分として残存する量が極めて少ない。
NbおよびTaの炭化物、窒化物,炭窒化物より選ばれる少
なくとも一種とTiCとのモル比が1/1〜3/1の範囲外であ
ると擬TiC相が結晶組織中に単独で存在し難くなり高温
耐摩耗性(この摩耗性はフランク摩耗性で測定する)が
劣化する。WCが10〜30重量%の範囲外の場合、Mo2Cが20
重量%を超える場合、TiNが5重量%未満の場合及び鉄
属金属が20重量%を超える場合は前記耐摩耗性が劣化す
る。また、Mo2Cが10重量%未満の場合、TiNが15重量%
を超える場合及び鉄属金属が5重量%未満の場合焼結が
充分に行われない。
(実施例1) 炭化ニオブ(NbC,平均粒径1μm)、窒化ニオブ(NbC,
平均粒径1μm)、炭窒化ニオブ(NbCN.平均粒径1μ
m)、炭化タンタル(TaC、平均粒径1μm)、窒化タ
ンタル(TaN、平均粒径1μm)、炭窒化タンタル(TaC
N・平均粒径1μm)、炭化チタン(TiC・平均粒径1μ
m)、窒化チタン(TiN・平均粒径1μm)、炭化タン
グステン(WC・平均粒径1μm)、炭化モリブデン(Mo
2C・平均粒径2μm)及び鉄属金属成分としてニッケル
及び/又はコバルト(Ni,Co,平均粒径2μm)の各粉末
を第1表の組成比となるように秤量し、アセトン等の適
当な液状媒体を加え、振動ミルにより湿式混合を行ない
混合スラリーを作成した。混合終了後、乾燥して液体媒
体を蒸発除去するとともにパラフィンワックスを添加
し、40メッシュパスして造粒した。かくして得られた粉
末を1000〜2000kg/cm2の圧力で成形し、その後300℃で
仮焼してワックスを除去し、さらに非酸化性雰囲気中で
約1500℃の焼成温度にて焼成することにより第1表に示
す各試料1〜44を得た。
第1表中試料1〜8は炭化ニオブ(NbC)と炭化チタン
(TiC)とのモル比を1/1〜3/1に変化させた場合のTiC単
独相存在量、及びフランク摩耗量を比較したものであ
る。試料9〜18は炭化ニオブ(NbC)及び炭化チタン(T
iC)と、それ以外のNb,Taの炭化物、窒化物もしくは炭
窒化物より選ばれる2種又は3種をTiCに対しモル比を3
/2で夫々組成を変えることによりTiC単独相の残存量及
びフランク摩耗量を比較したものである。試料19〜44は
炭化タングステン(WC)、窒化チタン(TiN)炭化モリ
ブデン(Mo2C)及び鉄属金属(CO及び又はNi)の組成比
を変化させたものである。
尚、得られた各試料のフランク摩耗量は三角形インサー
ト(内接円9.5mm、厚み4.8mm)に加工し、下記切削条件
及び被削材を用いて高速摩耗切削試験を行った。
切削条件:a速度 V=200m/min b切込みd=2mm c送り f=0.3mm/rev d5分間連続切削 被削材:SCM435(クロム・モリブデン鋼JIS規格) また、TiCの単独相残存量は得られた各試料を3μmの
ダイヤモンドペーストで鏡面研摩し、その表面をエッチ
ングした後、走査型電子顕微鏡にて観察した。
主成分をNbc,TiCに固定し、これらのモル比を変えて検
討した結果、Nbc/TiCがモル比1/1〜3/1の範囲内である
試料2〜6は焼結体中に単独で存在する擬TiC相が2.0体
積%存在しており、このような焼結体のフランク摩耗量
は約0.25mm)以下に抑えられている。これに対し、Nbc/
TiCが上記範囲外である試料1,2,7及び8は焼結体中に単
独で存在する擬TiC相が全く存在せず、このような焼結
体のフランク摩耗量は0.35mm以上であった。
また、Nbc以外のNb及びTaの炭化物、窒化物又は炭窒化
物の1種又は2種とTiCとを組合せた試料9〜18におい
ては、前記と同様TiCとのモル比が1/1〜3/1の範囲内で
あれば焼結体中に擬TiC相が約2体積%は単独で存在し
ており、これらのフランク摩耗量は0.28mm以下であっ
た。
さらに、主成分以外の組成、即ちWC,TiN,Mo2C、及び金
属結合成分であるCO及び又はNiが上記発明の範囲内(但
しNbc/TiCが3/2)のものは焼結体中に擬TiC相が少なく
とも1.0体積%は存在しており、このような焼結体のフ
ランク摩耗量は、0.29mm以下であった。
これに対し、上記各組成が発明の範囲外である試料19,2
3,24,29,30,34,35,40のものは焼結不良となるか、また
は擬TiC相が焼結体中に単独で存在しなくなり、フラン
ク摩耗量も0.35mm以上である。
〔実施例2〕 実施例1の試料3と同様の組成について焼成温度を1400
℃及び1600℃として夫々数本焼成した。上記温度範囲を
選択した理由は1400℃未満では焼成不足となり焼結体の
硬度が低下するためフランク摩耗量は著じるしく劣化す
るものと考えられ、1600℃を超えると過焼結となって粒
成長が生じ上記同様に焼結体の硬度が低下してフランク
摩耗量が劣化するものと考えられるからである。上記焼
成温度での実験結果は、1400℃での焼結体はこれに単独
で存在する擬TiC相の量は平均約15〜20体積%程度であ
り、1600℃での焼結体はこれに単独で存在する擬TiC相
の量は平均約0.01〜0.1体積%程度でであった。また、
これらの両温度で焼成した焼結体のフランク摩耗量は0.
34以下であった。
これらの実験例から焼結体中に擬TiC相の量を0.01〜20
体積%としかつフランク摩耗量が少ない焼結体を得るに
は少なくとも前記1400〜1600℃の温度範囲内で焼成温度
を制御すれば第1表の試料3の組成のもののみならず、
上述の広い添加組成範囲にも同様の結果が得られるもの
と考えられる。
(発明の効果) 上述の如く本発明は焼結体中に擬TiC相が硬質相と分離
して単独で分散し、この擬TiC相が焼結体中に0.01〜20
体積%存在する組織としたので、耐摩耗性に優れたTiC
自体の特性を高速切削時に被切削物に直接作用させるこ
とができ、従来のTiCがMoを含む周辺組織内の中心組織
となったものと比べ高温耐摩耗性が著じるしく向上した
超硬質合金を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の超硬質合金を研摩後エッチングした表
面を走査型電子顕微鏡写真にて観察した4000倍の結晶組
織図、第2図は上記と同様の方法にて観察した従来サー
メットの4000倍の結晶組織図である。 1……擬TiC相 2……硬質相 3……金属相

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Nb,Ta,Ti,WおよびMoより選ばれる少なくと
    も1種からなる金属の炭窒化物からなる硬質相と、TiC
    成分に富んだ擬TiC相と、これら各相を結合する金属結
    合相とからなり、前記擬TiC相が焼結体の全体積に対し
    て0.01〜20体積%存在し、かつこの擬TiC相が焼結体中
    に前記硬質相と分離して単独で分散していることを特徴
    とする超硬質合金。
  2. 【請求項2】Nb,Taの炭化物、窒化物および炭窒化物よ
    り選ばれる少なくとも1種と、TiCとがモル比で1/1〜3/
    1の割合で配合された主成分に対し、WCを10〜30重量%
    と、TiNを5〜15重量%と、Mo2Cを5〜20重量%と、そ
    の他鉄族金属を5〜20重量%とを添加し混合した圧粉体
    を1400〜1600℃で焼成することを特徴とする超硬質合金
    の製法。
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JP2710934B2 (ja) * 1987-07-23 1998-02-10 日立金属株式会社 サーメット合金
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