JPH068015B2 - 繊維強化熱可塑性合成樹脂の成形方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性合成樹脂の成形方法

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JPH068015B2
JPH068015B2 JP5358190A JP5358190A JPH068015B2 JP H068015 B2 JPH068015 B2 JP H068015B2 JP 5358190 A JP5358190 A JP 5358190A JP 5358190 A JP5358190 A JP 5358190A JP H068015 B2 JPH068015 B2 JP H068015B2
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均 吉田
昇 松永
和好 畔柳
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は合成樹脂の成形方法に係り、特に繊維強化熱可
塑性合成樹脂のプリプレグ材シートを用いての成形方法
に関するものである。
〔従来の技術〕 繊維強化合成樹脂は、単位重量当たりの剛性や機械的強
度である比剛性や比強度が金属材料に比べて優れ、ま
た、ある程度仕様に合わせた特性の材料を設計出来るの
で、いわゆるテーラードマテリアルと呼ばれ、航空、宇
宙産業をはじめとし、舟艇、船舶、自動車、スポーツ関
連等に急速に普及しつつある。
繊維強化合成樹脂は、従来は、熱硬化性合成樹脂ベース
として形成されていたが、最近は高性能の熱可塑性合成
樹脂が多く開発されたこともあって熱可塑性合成樹脂も
ベース樹脂として利用されるようになり、連続繊維に熱
可塑性合成樹脂を含浸させたシート状繊維強化熱可塑性
合成樹脂、すなわち、FRTPシートが、プレス成形用
のいわゆるスタンパブルシートとして開発された。
このFRTPシートとして、最近、英国ICI社からAr
omatic Polymer Composite としてPEEK(ポリ
エーテルエーテルケトン)樹脂を炭素繊維で強化したシ
ート材(APC−2)が開発され、PEEK樹脂は、耐
熱、耐スチーム、耐薬品、耐放射線性等や難燃性にすぐ
れていて、電線被覆、コンピュウター用ラッピングワイ
ヤ、航空機用のコネクタやエンジン周辺部品、原子力発
電用コネクタ、熱水ポンプ等種々の用途で利用されてい
ることから、このPEEK樹脂をベースにしたFRTP
も広い用途が期待される。
従来のFRTPシートの成形方法は、所定の成形温度に
加熱した成形材を加熱された型にセットしてプレスする
ホットプレス成形や、成形材がセットされた成形型の配
備された加圧室内を所定温度に加熱後圧搾空気を導入し
成形材を型に倣わせて押圧する空圧成形により行われ、
成形終了後は成形品を型内で所定温度に冷却した後、型
から取り出していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
PEEK樹脂のような結晶性樹脂をベース樹脂としたF
RTPシートの成形を行った場合、成形品の結晶化度の
バラツキによる物性への影響が問題となる。
すなわち、成形品は、成形後の冷却速度によって結晶化
度がバラツキ、例えば、冷却速度が10℃/分以下で徐冷
されると結晶化度が高まって靭性が低下し、冷却速度が
700℃/分と急冷されると結晶化度が低くなって強度、
剛性、耐薬品性等が低下する。
したがって、成形品の結晶化度をコントロールするため
には成形後の冷却速度の厳密なコントロールが必要とな
るが、前記したような従来の型内冷却による成形法では
これは容易なことではなく、成形品には結晶化度のバラ
ツキに基づいて物性のバラツキが発生する。
このため、結晶性合成樹脂をベースとする成形材を成形
した場合には、成形品を、成形終了直後に一旦急冷して
結晶化度の低い状態とした後、200〜300℃−20分程度の
アンニールを行って所定の結晶化度に戻すような調整を
行うことが好ましい。
しかしながら400℃程度と高温の成形直後の成形品を型
から取り出しての水冷等により急冷することは容易では
なく、しかもこの冷却作業の際に成形品に変形が生じて
しまうという問題があった。
本発明は、前記したような従来技術の欠点を解消し、成
形品の成形直後の急冷作業を成形品に変形を発生させる
ことなく容易に行うことができる繊維強化熱可塑性合成
樹脂のシート状成形材の成形方法を提供することを目的
とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、所定枚数の繊維強化熱可塑性合成樹
脂プリプレグ材シートを積層し両面から展延性に富んだ
金属材シートで挟持した成形材を成形型を基に成形し、
塑性変形性を持つ金属線材を成形型と同一形状で通水性
を持って圧縮成形により形成した冷却型に前記成形型か
ら成形直後に取り出した成形品を保持しつつ通水し成形
品を急冷することを特徴とする繊維強化熱可塑性合成樹
脂の成形方法である。
〔作用〕
本発明は前記したように構成され、先ず、成形品は、両
面から金属材シートによって保持されて成形されている
ので400℃と高温であっても成形終了直後に成形品を成
形型から取り出すことが容易であり、次いで、この成形
品を冷却型に保持しつつ急冷するので成形品は全く変形
することなく冷却され、しかも冷却型は、塑性変形性を
持つ金属線材の圧縮成形によって通水面積の大きい通水
路を設け冷却効果の大きな状態で安価に容易に形成され
る。
〔実施例〕
本発明の実施例について先ず成形材シートを空圧成形に
より成形する状態を第1図及び第2図により説明する。
第1図において、(1)は圧搾空気を導入するための給気
管(9)を持つ加圧室、(3)は通気性の成形型(8)をキャビ
テイ部を開口に臨ませて配備した排気管(10)を持つ成形
型保持室で、両室は開口を介して対向して加熱炉(11)中
に配備されている。
(5)は、FRTPのプリプレグ材シート(6)を所定枚数重
ね合わせ上下両面から展延性に富んだ金属材シート(7)
で挾んだシート状成形材で、このシート状成形材(5)
は、加圧室(1)及び成形型保持室(3)の開口の間に、開口
の周囲に設けられたフランジ部(2)、(4)で挾んで保持さ
れている。
次に、成形の具体的条件について説明すると、プリプレ
グ材シート(6)としては、PEEK樹脂をマトリックス
材とする炭素繊維プリプレグ材(化成ファイバーライト
社、APC−2、密度1.6g/cm3、炭素繊維体積分率61
%、樹脂含有率32%)の厚さ0.125mmのシートを用い、
このシートを第3図に示すように繊維配向を45°ずつ
ずらしての4枚重ねとし、この2組み合計8枚重ねを、
展延性に富んだ金属材シート(7)としての厚さ0.8mmの超
塑性アルミニウムシート(スカイアルミ、A7475)
で挾み成形材シート(5)とし、加圧室(1)及び成形型保持
室(3)の開口の間に保持した。加圧室(1)及び成形型保持
室(3)を収納する循環熱風炉のような加熱炉(11)は、成
形する材料のベース樹脂であるPEEK樹脂の成形温度
の400℃に保たれているので、成形材シート(5)が400℃
に達した後に、加圧室(1)に6kgf/cm2の圧力の圧搾空気
を送って加圧する。
これにより、所定の成形温度に加熱されている成形材シ
ート(5)は、成形型(8)のキャビテイに倣うよう徐々に変
形して行き、この際、成形型(8)がコンクリート型のよ
うな通気性を持った型であるので、キャビテイ内の空気
は成形材シート(5)の変形にともなう押圧によって排気
管(10)を通して型外に排出され一層変形が進み、最終的
にはキャビテイに密着し完全にキャビテイに倣って賦形
される。
成形材シート(5)を成形型(8)のキャビテイに押圧した状
態を所定時間保つと、第2図に示すような状態となって
成形を終了するが、この場合、プリプレグ材シート(6)
を上下両面から挾む金属材シート(7)として超塑性アル
ミニウムシートのような極めて展延性に富んだ金属材料
を利用すると、金属材シート(7)がプリプレグ材シート
(6)に良く密着して同時に変形して成形される。
次に前記したようにして成形された成形品を急冷するた
めの冷却型の形成方法についてキャビテイ側の型の作り
方を示す第4図を基に説明する。
(12)は、型枠(14)に収納されたコンクリート製のコア型
であり、(13)は、製品の肉厚分補填用としてコア型(12)
の表面に装着されたカプセル型であり、このカプセル型
(13)は、コア型(12)を基に、厚さ0.8mmの超塑性アルミ
ニウム合金シート(7475系)2枚の510℃、圧力4kgf
/cm2の条件での空圧成形により形成したものである。
(15)は、前記コア型(12)を収納する型枠(14)の上に装置
された通水口(16)及び排水口(17)を持つ冷却型枠であ
り、この冷却枠(15)内に5000系アルミニウム合金切
削くずのような塑性変形性を持つ金属線材(18)を充填
し、この金属線材(18)を油圧等の加圧機構にてプレス盤
(19)を介して適度の空隙度となるよう押圧し、通水性を
持つ冷却型を形成する。
(20)はプレス盤(19)の周囲に装着されたOリングであ
り、このOリング(20)の装着によって冷却型枠(15)とプ
レス盤(19)との気密性が保たれ、冷却型に通水した際の
漏水が防げ、さらに、金属線材のプレス成形の際のバッ
クラッシュの発生を防ぎ冷却型の形成を円滑に行わせる
ことができる。
前記したのと全く同様にしてコア側の冷却型も形成し、
キャビテイ側及びコア側の両冷却型に成形品を保持しつ
つ急冷を行う方法について、第5図及び第6図により説
明する。
第5図に示すように、前記した塑性変形性の金属線材か
ら冷却型を形成した圧縮成形装置がそのまま冷却装置と
して利用され、冷却型枠(15)にコア側冷却型(24)が収納
され上型(22)となり、キャビテイ側冷却型(25)が収納さ
れ下型(23)となっていて、この冷却装置に、成形型から
成形終了直後に取り出した成形品(21)を型が開いた状態
で先ずセットする。
次に、第6図に示すように、成形品(21)の型へのセット
が終わったなら直ちに型を閉じ、コア側及びキャビテイ
側の冷却型(24)(25)に冷却型枠(15)の通水口から高圧水
を通水し成形品(21)の冷却を行なう。
この場合、通水口(16)と排水口(17)とでは水圧に約2kg
f/cm2の差が生まれており、したがって、成形品(21)は
上下両面から加圧されつつ冷却され変形するのが防がれ
ている。
成形品(21)は、冷却後に型を開いて冷却装置から取り出
され、次の結晶化度を再調整するためのアンニーリング
処理に移る。
〔発明の効果〕
第7図は、本発明の冷却効果を示し、黒丸実線で示され
るaの曲線が本発明の冷却装置により急冷した場合の冷
却曲線であり、白丸点線で示されるbの曲線は比較例と
しての室温で自然冷却した場合の冷却曲線である。
この図から、本発明によると、成形品の取り出し温度す
なわち冷却開始温度が成形温度の400℃と一致してい
て、成形品は、上下両面に金属シートが貼着していて取
り扱いが容易で、成形終了直後に成形装置から取り出し
冷却装置にセットできたこと、及び、400℃から1分
足らずで常温まで冷却され、冷却速度が非常に速いこと
が明らかとなる。
この結果、急冷後の成形品は、結晶性合成樹脂の結晶化
は殆ど進んでおらず、その後のアンニーリング処理によ
って、結晶化度を適切な状態に容易に再調整し、物理及
び化学的性質がバラツクのを防ぐことができた。
また、急冷の終わった成形品はいかなる形状の場合でも
全く変形しておらず、これは、冷却型の形成方法が極め
て簡易であるにもかかわらず、製品形状に良く対応して
いることを示している。
以上のように、本発明は、熱可塑性合成樹脂、特に、結
晶性の熱可塑性合成樹脂をベースとするシート状繊維強
化合成樹脂成形材に対し、物性に優れた適確な製品を容
易に形成する成形法を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の実施例を示し、第1図及び第
2図は成形状態を示し、第1図は成形前を、第2図は成
形後を示す図、第3図はプリプレグ材シートを積層する
状態を示す図、第4図は冷却型の形成方法を示す図、第
5図及び第6図は急冷状態を示し、第5図は急冷前を、
第6図は急冷時を示す図、第7図は急冷効果を示す図で
ある。 (5)…成形材シート、(6)…プリプレグ材シート、(7)…
金属材シート、(8)…成形型、(18)…金属線材、(21)…
成形品、(24)(25)…冷却型。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:06 (72)発明者 畔柳 和好 東京都中央区京橋3丁目1番1号 蛇の目 ミシン工業株式会社内 審査官 野村 康秀 (56)参考文献 特開 昭61−58721(JP,A) 特開 昭61−2518(JP,A) 特開 昭63−144034(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定枚数の繊維強化熱可塑性合成樹脂プリ
    プレグ材シートを積層し両面から展延性に富んだ金属材
    シートで挟持した成形材を成形型を基に成形し、塑性変
    形性を持つ金属線材を成形型と同一形状で通水性を持っ
    て圧縮成形により形成した冷却型に前記成形型から成形
    直後に取り出した成形品を保持しつつ通水し成形品を急
    冷することを特徴とする繊維強化熱可塑性合成樹脂の成
    形方法。
JP5358190A 1990-03-07 1990-03-07 繊維強化熱可塑性合成樹脂の成形方法 Expired - Lifetime JPH068015B2 (ja)

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