JPH0680065U - 密封装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 組合せシールに対して摺動リップシールと非
摺動シール部とを配設し低回転トルクと長寿命の密封材
を提供する。 【構成】 一対でなる密封要素（２）（４）にシールリ
ップ（５）を配し、該シールリップ（５ａ）（５ｂ）に
ラビリンス部（６）を設けたことを特徴としている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は相互に可動する二部材間に装着して該二部材の内部と外部とを 密封するシール装置に関し、具体的には回転トルクを低減せしめ強い耐久 力を持つ一対の組合せ構造からなる密封装置の形状改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の複数の密封材を組み合わせて形成する密封構造としては 、図面によって説明すると、図３に示すような構造が広く実施されている 。 すなわち、外輪部材（１）と内輪部材（３）に装着される互いで空洞を 形成しうる外側部材（８）と内側部材（９）を備え、それぞれに相手部材 へ摺接するシールリップ（５）を配設せしめて、その摺接圧力で外部から 浸入しようとする泥水・異物等に密封作用を働かせている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記のような密封構造は、その密封力を高めるためにシ ールリップ（５）の接触面と接触圧力を多く設ける傾向があり、そうなる と該密封構造の回転トルクは過大なものとならざるを得ず、起動部に負担 がかかるのは云うに及ばず該密封装置自体も発熱を起こしてシールリップ （５）の寿命を早めたり著しい摩耗を引き起こす恐れを常に有するもので あった。 また、この構造では内部に侵入した泥水・異物に対し、奥方にその移動 を停止せしめる手段を持たないから奥側のシールリップ（５１）も入口側 のシールリップ（５２）と状況が変わらず、悪くすると侵入した泥水は瞬 時にシールリップ（５）全体に届き簡単に該密封装置の密封性能を低下さ せる危険性を有している。

【０００４】 このような不具合を解消するために、摺動トルクの少ない滑性に富んだ 弾性体を用いてシールリップ（５）を多重形成することも考えられたが、 このような材料は高価であるばかりでなく造形性も悪いなど歓迎できない 欠点も有している。 本考案はこのような欠点を除去し、外部から浸入しようとする異物・泥 水等の遮断に対して有効であり、内部に侵入した泥水も制止し得る密封装 置を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は図１で示すように、相対回転する外輪部材（１）に固定された 断面略Ｌ字形状の外輪密封要素（２）と、内輪部材（３）に固定される断 面略逆Ｌ字形状の内輪密封要素（４）とを備え、これらの密封要素（２） （４）にそれぞれ弾性体製のシールリップ（５）を配設してなる密封装置で あって、前記内輪密封要素（４）と前記外輪密封要素（２）に形成されたシ ールリップ（５ａ）（５ｂ）の軸方向途中部あるいは軸方向に突出する延長 部をそれぞれ接近せしめラビリンス部（６）を設けたことを特徴としている 。

【０００６】 また、図２に示すように、前記ラビリンス部（６）を構成する軸方向途中 部あるいは延長部の対向する表面を条または独立状の凹凸形状（７）に造形 したことを特徴としている。

【０００７】

【作用】

本考案は上記のような構造をもって、下記に示す優れた作用をなす。 すなわち、前記密封装置は直接相手部材に接触して密封をなすシールリップ （５）を利用し、その途中部をそれぞれ近接せしめてラビリンス部（６）が 設けられている。このラビリンス部（６）は、流体がラビリンス（絞り）部 分を通過する際、狭い隙間を流れるうちにその絞り効果により圧力が低下す るのを利用するものであり、一般的な圧縮性流体（ガス等の気体）を密封す るに限らず、非圧縮性流体（水．油等の液体）に対しても利用される。

【０００８】 前記密封装置の運転時は、内輪密封要素（４）に形成された最外側のシー ルリップ（５ａ）が外方に飛散する泥水を密封しそのほとんどの水分を遮断 する。しかしこれから内部に漏れ来る水分は該シールリップ（５ａ）の途中 に位置するラビリンス部（６）がその圧力差によってそれを押し戻し内方へ の侵入を阻止する役割をなす。従って、外輪密封要素（２）に設けられた奥 方のシールリツプ（５ａ）は長期間にわたり泥水から隔離されており、通常 は内部に在るグリース等の保持作用を完壁にこなし、突発的な外的要因に対 しては二重三重の密封手段となり得るなど万全の密封構造となっている。

【０００９】

【実施例】

本考案を実施するに、形成するラビリンス部（６）は、シールリップ（５ ａ）（５ｂ）の途中部あるいは部分的にこれを延長せしめて形成されるが、 図１に示したような直線形状に限定するものでなく、狭い隙間と広い隙間と を交互に形成すると絞り効果が高まって強いラビリンス効果が期待できるの で、例えば、図２の如くのラビリンス部（６）を構成するそれぞれの対向す る表面を凹凸形状（７）に造形するとか、図示していないが螺条突起を設け るなど様々な形状を実施可能である。

【００１０】 また、前記ラビリンス部（６）を設ける配置としては、図１、図２に記し たような軸方向と径方向の両方向に対して傾斜せしめて設けると、軸方向の 組立誤差と運転による径方向の偏芯運動に対して許容範囲の大きいものとな り密封性に有利な配置角度となる。

【００１１】

【考案の効果】

本考案は上記の構造により、回転トルクを高め発熱．振動などの不具合を 招くシールリップ（５）の増設あるいは接触圧力の増加をなすことなく強力 な密封作用と長いシール寿命を得た。すなわち、外部を飛散する泥水は外方 のシールリップ（５ａ）で遮断され、僅かに漏れても内方にあるラビリンス 部（６）によってその奥方のシールリップ（５ｂ）にまで届かない構造とな っている。従って、摩耗を促進する泥水から守られたシールリップ（５ｂ） は内・外部に対し長期間衰えることの無い密封作用を発揮するものとなった 。

【００１２】 また、該ラビリンス部（６）は運転中に外部から侵入した泥水によってよ りその絞りが狭まり新たなるラビリンス構造が形成されることも期待できる 。

【００１３】

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の密封装置の一実施例を示した断面図で
ある。

【図２】本考案の密封装置の他の実施例を示した断面図
である。

【図３】本考案を使用しない従来の構造を示した断面図
である。

【００１４】

【符号の説明】

１ 外輪部材 ２ 外輪密封要素 ３ 内輪部材 ４ 内輪密封要素 ５ シールリップ ５ａ 外側のシールリップ ５ｂ 奥側のシールリップ ６ ラビリンス部 ７ 凹凸形状

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対回転する外輪部材（１）に固定され
   た断面略Ｌ字形状の外輪密封要素（２）と、内輪部材
   （３）に固定される断面略逆Ｌ字形状の内輪密封要素
   （４）とを備え、これらの密封要素（２）・（４）にそ
   れぞれ弾性体製のシールリップ（５）を配設してなる密
   封装置であって；前記内輪密封要素（４）と前記外輪密
   封要素（２）に形成されたシールリップ（５ａ）（５
   ｂ）の軸方向途中部あるいは軸方向に突出する延長部を
   それぞれ接近せしめラビリンス部（６）を設けたことを
   特徴とする密封装置。
2. 【請求項２】 前記ラビリンス部（６）を構成するそれ
   ぞれの対向する表面を凹凸形状（７）に造形したことを
   特徴とする請求項１記載の密封装置。