JPH067986A - 低延性鋼パイプの溶接開先 - Google Patents
低延性鋼パイプの溶接開先Info
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- JPH067986A JPH067986A JP17042692A JP17042692A JPH067986A JP H067986 A JPH067986 A JP H067986A JP 17042692 A JP17042692 A JP 17042692A JP 17042692 A JP17042692 A JP 17042692A JP H067986 A JPH067986 A JP H067986A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 低延性鋼パイプの突合せアーク溶接におい
て、溶接ビードの止端部を起点とする割れの発生を、溶
接工程における作業性を低下させずに防止し得る手段を
提供する。 【構成】 突合せ部1,2に対して開先加工が施される
箇所のうち、溶接ビードの形成後に溶接止端部を起点と
する割れが発生し難い内周側箇所Xには、予定される溶
接ビードの表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜
面となる開先加工が施され、且つ、前記突合せ部1,2
に対して前記開先加工が施される箇所のうち、前記溶接
ビードの形成後に溶接止端部を起点とする割れが発生し
易い外周側箇所Yには、予定される溶接ビードの表面に
対してそれと接する母材表面が緩傾斜面となる開先加工
が施されている。
て、溶接ビードの止端部を起点とする割れの発生を、溶
接工程における作業性を低下させずに防止し得る手段を
提供する。 【構成】 突合せ部1,2に対して開先加工が施される
箇所のうち、溶接ビードの形成後に溶接止端部を起点と
する割れが発生し難い内周側箇所Xには、予定される溶
接ビードの表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜
面となる開先加工が施され、且つ、前記突合せ部1,2
に対して前記開先加工が施される箇所のうち、前記溶接
ビードの形成後に溶接止端部を起点とする割れが発生し
易い外周側箇所Yには、予定される溶接ビードの表面に
対してそれと接する母材表面が緩傾斜面となる開先加工
が施されている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低延性鋼パイプの溶接
開先に関し、更に詳しくは、低延性鋼パイプの突合せ部
に、突合せアーク溶接のための多層の溶接ビードを形成
すべく、予め開先加工が施されている低延性鋼パイプの
溶接開先に関する。
開先に関し、更に詳しくは、低延性鋼パイプの突合せ部
に、突合せアーク溶接のための多層の溶接ビードを形成
すべく、予め開先加工が施されている低延性鋼パイプの
溶接開先に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、Ni,Cr,W,Mo,Co等
の合金元素から複数の元素を適宜選択し、各元素を適量
ずつ含有させた耐熱鋼(例えば、Cr:30重量%、N
i:50重量%、W:重量10%を含有し、残部が実質
的にFeよりなる耐熱鋼)は、一般に常温伸びが5%以
下(例えば、2%)と非常に小さい低延性鋼であるが、
耐熱性という観点からは、1100℃を越える高温にも
耐えるという非常に優れた性質を備えている。そこで、
前記高温に耐える耐熱鋼よりなる耐熱パイプは、常温伸
びが非常に小さいことを考慮しつつ、耐熱性が特に要求
される条件下で、有効に利用されている。
の合金元素から複数の元素を適宜選択し、各元素を適量
ずつ含有させた耐熱鋼(例えば、Cr:30重量%、N
i:50重量%、W:重量10%を含有し、残部が実質
的にFeよりなる耐熱鋼)は、一般に常温伸びが5%以
下(例えば、2%)と非常に小さい低延性鋼であるが、
耐熱性という観点からは、1100℃を越える高温にも
耐えるという非常に優れた性質を備えている。そこで、
前記高温に耐える耐熱鋼よりなる耐熱パイプは、常温伸
びが非常に小さいことを考慮しつつ、耐熱性が特に要求
される条件下で、有効に利用されている。
【0003】ところで、前記耐熱パイプ等の低延性鋼パ
イプを突合せ溶接するときの溶接法としては、通常、交
流アーク溶接、TIG溶接、パルスアーク溶接(パルス
MIG溶接)等のアーク溶接が採用されるが、そのアー
ク溶接を実施するときには、前記低延性鋼パイプの突合
せ部に、多層の溶接ビードをパイプの内側から外側へ積
層形成するための溶接開先が予め形成される。前記溶接
開先としては、従来、JIS規格溶接用語(JIS−Z
−3001)等に規定されている、U型開先4(具体的
には図4示す如く、開先角度θが20〜30°となるよ
うに、且つ、ルート半径rが4〜5mmとなるように開
先加工が施されたU型開先4)、又は、V型開先6(具
体的には図6に示す如く、開先角度θが40〜60°と
なるように開先加工が施されたV型開先6)が採用され
ていた。尚、図4、図6中、1,2は、前記溶接開先が
形成される低延性鋼パイプの突合せ部(端部)である。
イプを突合せ溶接するときの溶接法としては、通常、交
流アーク溶接、TIG溶接、パルスアーク溶接(パルス
MIG溶接)等のアーク溶接が採用されるが、そのアー
ク溶接を実施するときには、前記低延性鋼パイプの突合
せ部に、多層の溶接ビードをパイプの内側から外側へ積
層形成するための溶接開先が予め形成される。前記溶接
開先としては、従来、JIS規格溶接用語(JIS−Z
−3001)等に規定されている、U型開先4(具体的
には図4示す如く、開先角度θが20〜30°となるよ
うに、且つ、ルート半径rが4〜5mmとなるように開
先加工が施されたU型開先4)、又は、V型開先6(具
体的には図6に示す如く、開先角度θが40〜60°と
なるように開先加工が施されたV型開先6)が採用され
ていた。尚、図4、図6中、1,2は、前記溶接開先が
形成される低延性鋼パイプの突合せ部(端部)である。
【0004】然るに、前記U型開先4又はV型開先6が
形成された、従来のパイプ端部の突合せ部1,2に、多
層の溶接ビード3を形成することにより、前記低延性鋼
パイプを突合せ溶接する場合は、溶接止端部3aを起点
とする割れA(図5、図7参照)が、溶接パス数が少な
い段階では発生しないが、溶接パス数が一定の回数以上
となった段階で(これまでの経験では、前記U型開先4
が形成されている場合、図5に示す如く溶接ビード3が
パイプ肉厚の1/2を越える段階で、また、前記V型開
先6が形成されている場合、図7に示す如く溶接ビード
3がパイプ肉厚の3/4を越える段階で)発生するよう
になる。これは、前記溶接止端部3aには溶接応力に基
づくノッチ効果が働いてその部分を起点とした割れAが
発生する可能性が存在するが、溶接パス数が少ない段階
では溶接ビード形成に基づく溶接応力の蓄積が少なくて
前記ノッチ効果が働いても前記割れAの発生には至らな
いのに対し、パス数が一定の回数以上となった段階で
は、前記ノッチ効果が働いて前記割れAの発生に至るに
足るだけ前記溶接応力が蓄積されるからである。
形成された、従来のパイプ端部の突合せ部1,2に、多
層の溶接ビード3を形成することにより、前記低延性鋼
パイプを突合せ溶接する場合は、溶接止端部3aを起点
とする割れA(図5、図7参照)が、溶接パス数が少な
い段階では発生しないが、溶接パス数が一定の回数以上
となった段階で(これまでの経験では、前記U型開先4
が形成されている場合、図5に示す如く溶接ビード3が
パイプ肉厚の1/2を越える段階で、また、前記V型開
先6が形成されている場合、図7に示す如く溶接ビード
3がパイプ肉厚の3/4を越える段階で)発生するよう
になる。これは、前記溶接止端部3aには溶接応力に基
づくノッチ効果が働いてその部分を起点とした割れAが
発生する可能性が存在するが、溶接パス数が少ない段階
では溶接ビード形成に基づく溶接応力の蓄積が少なくて
前記ノッチ効果が働いても前記割れAの発生には至らな
いのに対し、パス数が一定の回数以上となった段階で
は、前記ノッチ効果が働いて前記割れAの発生に至るに
足るだけ前記溶接応力が蓄積されるからである。
【0005】そこで、従来は、溶接パス数が多い段階で
の前記割れAの発生を防止すべく、溶接前の被溶接部及
びその近傍を例えば500〜800℃に加熱保持すると
いう予熱処理を実施し、その予熱によって被溶接材の延
性を回復させた上で、前記突合せ溶接を実施していた。
また、前記割れAの発生を防止すべく、一定量の溶接ビ
ード3を形成した後(又は、溶接ビード3の形成前)、
爾後に溶接ビード3の形成が予定される部分の開先表面
をチッパー等でたたく処理(所謂、ピーニング処理)を
実施していた。
の前記割れAの発生を防止すべく、溶接前の被溶接部及
びその近傍を例えば500〜800℃に加熱保持すると
いう予熱処理を実施し、その予熱によって被溶接材の延
性を回復させた上で、前記突合せ溶接を実施していた。
また、前記割れAの発生を防止すべく、一定量の溶接ビ
ード3を形成した後(又は、溶接ビード3の形成前)、
爾後に溶接ビード3の形成が予定される部分の開先表面
をチッパー等でたたく処理(所謂、ピーニング処理)を
実施していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】然るに、溶接工程にお
いて、前記予熱処理や前記ピーニング処理等の作業を実
施する場合、その作業性が極めて悪いという問題があっ
た。本発明は、かかる実情に着目してなされたものであ
り、前記割れの発生を、溶接工程における作業性を低下
させずに防止し得る手段を提供することを目的としてい
る。
いて、前記予熱処理や前記ピーニング処理等の作業を実
施する場合、その作業性が極めて悪いという問題があっ
た。本発明は、かかる実情に着目してなされたものであ
り、前記割れの発生を、溶接工程における作業性を低下
させずに防止し得る手段を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る低延性鋼パ
イプの溶接開先は、突合せ部に対して開先加工が施され
る箇所のうち、溶接ビードの形成後に溶接止端部を起点
とする割れが発生し難い内周側箇所には、予定される溶
接ビードの表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜
面となる開先加工が施され、且つ、前記突合せ部に対し
て前記開先加工が施される箇所のうち、前記溶接ビード
の形成後に溶接止端部を起点とする割れが発生し易い外
周側箇所には、予定される溶接ビードの表面に対してそ
れと接する母材表面が緩傾斜面となる開先加工が施され
ている点に特徴を有している。
イプの溶接開先は、突合せ部に対して開先加工が施され
る箇所のうち、溶接ビードの形成後に溶接止端部を起点
とする割れが発生し難い内周側箇所には、予定される溶
接ビードの表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜
面となる開先加工が施され、且つ、前記突合せ部に対し
て前記開先加工が施される箇所のうち、前記溶接ビード
の形成後に溶接止端部を起点とする割れが発生し易い外
周側箇所には、予定される溶接ビードの表面に対してそ
れと接する母材表面が緩傾斜面となる開先加工が施され
ている点に特徴を有している。
【0008】
【作用】前記内周側箇所には、予定される溶接ビードの
表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜面となる開
先加工が施されているので、前記内周側箇所における開
先形状は比較的幅狭になっていて、前記内周側箇所にお
ける溶接ビード形成スペースが比較的小さくなってお
り、従って、そのスペースに形成すべき溶接ビードの量
は少なくて済み、溶接パス数を低減できて高能率の溶接
が実行できるようになる。また、前記内周側箇所におい
ては、溶接止端部を起点とする割れが前記急傾斜面の存
在によるノッチ効果に基づいて発生し易い傾向にある
が、前記内周側箇所は、溶接パス数が未だ少なくて前記
溶接応力の蓄積が少なく、前記ノッチ効果が働いても前
記割れの発生には至らない状況下にあるので、前記割れ
の発生が実質的に抑えられるようになる。一方、前記外
周側箇所においては、溶接パス数が一定の回数以上とな
って前記溶接応力が蓄積されるので、溶接止端部を起点
とする割れが発生し易い状況にあるが、前記外周側箇所
には、予定される溶接ビードの表面に対してそれと接す
る母材表面が緩傾斜面となっているので、その部分にお
ける切欠き角度が鈍角となってノッチ効果が低減され、
もって、実質的に前記割れの発生が抑えられるようにな
る。
表面に対してそれと接する母材表面が急傾斜面となる開
先加工が施されているので、前記内周側箇所における開
先形状は比較的幅狭になっていて、前記内周側箇所にお
ける溶接ビード形成スペースが比較的小さくなってお
り、従って、そのスペースに形成すべき溶接ビードの量
は少なくて済み、溶接パス数を低減できて高能率の溶接
が実行できるようになる。また、前記内周側箇所におい
ては、溶接止端部を起点とする割れが前記急傾斜面の存
在によるノッチ効果に基づいて発生し易い傾向にある
が、前記内周側箇所は、溶接パス数が未だ少なくて前記
溶接応力の蓄積が少なく、前記ノッチ効果が働いても前
記割れの発生には至らない状況下にあるので、前記割れ
の発生が実質的に抑えられるようになる。一方、前記外
周側箇所においては、溶接パス数が一定の回数以上とな
って前記溶接応力が蓄積されるので、溶接止端部を起点
とする割れが発生し易い状況にあるが、前記外周側箇所
には、予定される溶接ビードの表面に対してそれと接す
る母材表面が緩傾斜面となっているので、その部分にお
ける切欠き角度が鈍角となってノッチ効果が低減され、
もって、実質的に前記割れの発生が抑えられるようにな
る。
【0009】
【発明の効果】かくして、本発明方法によれば、従来の
ような予熱処理やピーニング処理等のような作業性の悪
い処理を実施せずとも、前記外周側箇所における溶接止
端部を起点とする割れの発生が抑えられ、しかも、前記
内周側箇所における溶接効率もよい。従って、前記割れ
の発生を、溶接工程における作業性を低下させずに防止
することができるようになる。
ような予熱処理やピーニング処理等のような作業性の悪
い処理を実施せずとも、前記外周側箇所における溶接止
端部を起点とする割れの発生が抑えられ、しかも、前記
内周側箇所における溶接効率もよい。従って、前記割れ
の発生を、溶接工程における作業性を低下させずに防止
することができるようになる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1には、本発明に係る溶接開先の一実施例が示
されており、図2には、その要部が予定される溶接ビー
ドと共に示されている。尚、図面において従来例と同一
の符号で表示した部分は同一又は相当の部分を示してい
る。
する。図1には、本発明に係る溶接開先の一実施例が示
されており、図2には、その要部が予定される溶接ビー
ドと共に示されている。尚、図面において従来例と同一
の符号で表示した部分は同一又は相当の部分を示してい
る。
【0011】図1において、1,2は、一定の肉厚(例
えば、20mmの肉厚)を有する低延性鋼パイプ(具体
的には、Cr:30重量%、Ni:50重量%、W:重
量10%を含有し、残部が実質的にFeよりなる耐熱鋼
の素材として遠心力鋳造した耐熱パイプ)の突合せ部で
あり、その突合せ部1,2には、突合せアーク溶接のた
めの多層の(例えば、10層の)溶接ビード3(図2参
照)を形成すべく、予め開先加工が施されている。
えば、20mmの肉厚)を有する低延性鋼パイプ(具体
的には、Cr:30重量%、Ni:50重量%、W:重
量10%を含有し、残部が実質的にFeよりなる耐熱鋼
の素材として遠心力鋳造した耐熱パイプ)の突合せ部で
あり、その突合せ部1,2には、突合せアーク溶接のた
めの多層の(例えば、10層の)溶接ビード3(図2参
照)を形成すべく、予め開先加工が施されている。
【0012】前記溶接開先は、図1に示す如く、パイプ
の内周側箇所Xと外周側箇所Yとで異なる形態に形成さ
れている。更に詳しくは、予定される溶接ビード3の形
成後に溶接止端部3aを起点とする割れA(図4又は図
6参照)が発生し難い内周側箇所X(具体的には、パイ
プの内側から外側へ肉厚の2/3の部分)と、予定され
る溶接ビード3の形成後に溶接止端部3aを起点とする
割れAが発生し易い外周側箇所Y(具体的には、パイプ
の外側から内側へ肉厚の1/3の部分)とで異なる形態
に形成されている。
の内周側箇所Xと外周側箇所Yとで異なる形態に形成さ
れている。更に詳しくは、予定される溶接ビード3の形
成後に溶接止端部3aを起点とする割れA(図4又は図
6参照)が発生し難い内周側箇所X(具体的には、パイ
プの内側から外側へ肉厚の2/3の部分)と、予定され
る溶接ビード3の形成後に溶接止端部3aを起点とする
割れAが発生し易い外周側箇所Y(具体的には、パイプ
の外側から内側へ肉厚の1/3の部分)とで異なる形態
に形成されている。
【0013】前記内周側箇所Xにおける開先形状は、予
定される溶接ビード3の表面に対してそれと接する母材
表面が急傾斜面となる開先形状である。具体的には、開
先角度θが20〜30°となるように、且つ、ルート半
径rが4〜5mmとなるように形成されたU型開先(図
1参照)である。
定される溶接ビード3の表面に対してそれと接する母材
表面が急傾斜面となる開先形状である。具体的には、開
先角度θが20〜30°となるように、且つ、ルート半
径rが4〜5mmとなるように形成されたU型開先(図
1参照)である。
【0014】前記外周側箇所Yにおける開先形状は、予
定される溶接ビード3の表面に対してそれと接する母材
表面が緩傾斜面となる開先形状である。具体的には、R
加工(半径:2mm)が施された内周側曲壁部分nと、
その上に連なる鉛直面加工(高さ:1mm)が施された
外周側直壁部分mとの組合せよりなるU型状小形開先
を、上下多段(但し、上側のU型状小形開先は両加工寸
法を必要に応じて変化させる)に形成したもの(図2参
照)である。そして、各U型状小形開先においては、前
記R加工が施された内周側曲壁部分nの最下部(その部
分が上下多段開先形状における不連続点となる)の位置
で、予定される溶接ビード3(その溶接ビード3は、ビ
ード形成後に溶接止端部3aを構成するビード縁部が図
2に示す如く前記不連続点に合致するように溶接条件を
設定し、その溶接条件下でのアーク溶接を行って形成す
る)の表面に対してそれと接する母材表面が緩傾斜面と
なる(本実施例においては、図3中の仮想線にも示す如
く傾斜角が0°又はそれに近い角度となる)ようになっ
ている。
定される溶接ビード3の表面に対してそれと接する母材
表面が緩傾斜面となる開先形状である。具体的には、R
加工(半径:2mm)が施された内周側曲壁部分nと、
その上に連なる鉛直面加工(高さ:1mm)が施された
外周側直壁部分mとの組合せよりなるU型状小形開先
を、上下多段(但し、上側のU型状小形開先は両加工寸
法を必要に応じて変化させる)に形成したもの(図2参
照)である。そして、各U型状小形開先においては、前
記R加工が施された内周側曲壁部分nの最下部(その部
分が上下多段開先形状における不連続点となる)の位置
で、予定される溶接ビード3(その溶接ビード3は、ビ
ード形成後に溶接止端部3aを構成するビード縁部が図
2に示す如く前記不連続点に合致するように溶接条件を
設定し、その溶接条件下でのアーク溶接を行って形成す
る)の表面に対してそれと接する母材表面が緩傾斜面と
なる(本実施例においては、図3中の仮想線にも示す如
く傾斜角が0°又はそれに近い角度となる)ようになっ
ている。
【0015】前記内周側箇所Xには前記急傾斜面を備え
る開先が形成され、その開先は比較的幅狭になって溶接
ビード形成スペースが比較的小さくなるので、そのスペ
ースに形成すべき溶接ビード3の量は少なくて済み、溶
接パス数が少なくできて高能率の溶接が実行できるよう
になる。また、前記内周側箇所Xにおいては、前記割れ
Aが前記急傾斜面の存在によって発生し易い傾向にある
が、溶接パス数が未だ少なくて前記溶接応力の蓄積が少
なく前記ノッチ効果が働いても前記割れAの発生には至
らない状況下にあるので、前記割れAの発生が実質的に
抑えられるようになる。一方、前記外周側箇所Yにおい
ては、溶接パス数が一定の回数以上となって前記溶接応
力が蓄積されるので、前記割れAが発生し易い状況にあ
るが、前記外周側箇所Yには前記緩傾斜面を備える開先
が形成されているので、その部分における切欠き角度が
鈍角となってノッチ効果が低減され、実質的に前記割れ
Aの発生が抑えられるようになる。
る開先が形成され、その開先は比較的幅狭になって溶接
ビード形成スペースが比較的小さくなるので、そのスペ
ースに形成すべき溶接ビード3の量は少なくて済み、溶
接パス数が少なくできて高能率の溶接が実行できるよう
になる。また、前記内周側箇所Xにおいては、前記割れ
Aが前記急傾斜面の存在によって発生し易い傾向にある
が、溶接パス数が未だ少なくて前記溶接応力の蓄積が少
なく前記ノッチ効果が働いても前記割れAの発生には至
らない状況下にあるので、前記割れAの発生が実質的に
抑えられるようになる。一方、前記外周側箇所Yにおい
ては、溶接パス数が一定の回数以上となって前記溶接応
力が蓄積されるので、前記割れAが発生し易い状況にあ
るが、前記外周側箇所Yには前記緩傾斜面を備える開先
が形成されているので、その部分における切欠き角度が
鈍角となってノッチ効果が低減され、実質的に前記割れ
Aの発生が抑えられるようになる。
【0016】更に、本実施例においては、前記外周側箇
所Yにおいて前記U型状小形開先が上下多段に形成され
ているので、溶接応力に基づく表面応力が分散され、応
力集中緩和効果が生じ、その効果も、前記割れAの発生
防止に有効に作用する。
所Yにおいて前記U型状小形開先が上下多段に形成され
ているので、溶接応力に基づく表面応力が分散され、応
力集中緩和効果が生じ、その効果も、前記割れAの発生
防止に有効に作用する。
【0017】次に、別実施例について説明する。前記U
型状小形開先を上下多段に形成するのに、図3中の実線
に示す如く、上段ほど、前記傾斜面を緩傾斜面にする
(例えば、一番下の部分の傾斜角αを30°又はそれに
近い角度とし、その上の部分の傾斜角αを15°又はそ
れに近い角度とし、一番上の部分の傾斜角を0°又はそ
れに近い角度にする)実施例が考えられる。この実施例
によれば、上段よりも下段の方が前記割れ発生の確率が
低いので、下段の傾斜面を前記割れ発生を抑える条件下
で急傾斜面にして、溶接ビード形成スペースを小さくす
ることにより、前記割れ発生を抑えつつ、溶接能率を上
げることができる。尚、前記上下多段開先形状における
不連続点を面取りすることも好ましい実施例として考え
られる。その部分を面取りしておけば、溶接ビードを前
記不連続点に合致させるときの位置合わせ誤差が生じた
ときの対応策となる。
型状小形開先を上下多段に形成するのに、図3中の実線
に示す如く、上段ほど、前記傾斜面を緩傾斜面にする
(例えば、一番下の部分の傾斜角αを30°又はそれに
近い角度とし、その上の部分の傾斜角αを15°又はそ
れに近い角度とし、一番上の部分の傾斜角を0°又はそ
れに近い角度にする)実施例が考えられる。この実施例
によれば、上段よりも下段の方が前記割れ発生の確率が
低いので、下段の傾斜面を前記割れ発生を抑える条件下
で急傾斜面にして、溶接ビード形成スペースを小さくす
ることにより、前記割れ発生を抑えつつ、溶接能率を上
げることができる。尚、前記上下多段開先形状における
不連続点を面取りすることも好ましい実施例として考え
られる。その部分を面取りしておけば、溶接ビードを前
記不連続点に合致させるときの位置合わせ誤差が生じた
ときの対応策となる。
【0018】上述の実施例における開先形状及びその寸
法は、低延性鋼パイプの形状に応じて適宜変更されるの
はいうまでもない。
法は、低延性鋼パイプの形状に応じて適宜変更されるの
はいうまでもない。
【0019】上述の実施例においては、突合せ溶接の対
象としての低延性鋼パイプが、Cr:30重量%、N
i:50重量%、W:重量10%を含有し、残部が実質
的にFeよりなる耐熱鋼の素材として遠心力鋳造した耐
熱パイプであったが、本発明方法は、突合せ溶接の対象
としての低延性鋼パイプが、前記耐熱パイプ以外のパイ
プであっても、適用できるのはいうまでもない。
象としての低延性鋼パイプが、Cr:30重量%、N
i:50重量%、W:重量10%を含有し、残部が実質
的にFeよりなる耐熱鋼の素材として遠心力鋳造した耐
熱パイプであったが、本発明方法は、突合せ溶接の対象
としての低延性鋼パイプが、前記耐熱パイプ以外のパイ
プであっても、適用できるのはいうまでもない。
【0020】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図1】本発明に係る低延性鋼パイプの溶接開先を示す
断面図
断面図
【図2】その開先要部を予定される溶接ビードと共に示
す断面図
す断面図
【図3】別実施例の開先要部を示す断面図
【図4】従来の低延性鋼パイプの溶接開先を示す断面図
【図5】その開先部分に形成された溶接ビードを示す断
面図
面図
【図6】従来の低延性鋼パイプの溶接開先を示す断面図
【図7】その開先部分に形成された溶接ビードを示す断
面図
面図
1,2 突合せ部 3 溶接ビード 3a 止端部 A 割れ X 内周側箇所 Y 外周側箇所
Claims (1)
- 【請求項1】 低延性鋼パイプの突合せ部(1),(2)
に、突合せアーク溶接のための多層の溶接ビード(3)
を形成すべく、予め開先加工が施されている低延性鋼パ
イプの溶接開先であって、 前記突合せ部(1),(2)に対して前記開先加工が施さ
れる箇所のうち、前記溶接ビード(3)の形成後に溶接
止端部(3a)を起点とする割れ(A)が発生し難い内
周側箇所(X)には、予定される溶接ビード(3)の表
面に対してそれと接する母材表面が急傾斜面となる開先
加工が施され、 且つ、前記突合せ部(1),(2)に対して前記開先加工
が施される箇所のうち、前記溶接ビード(3)の形成後
に溶接止端部(3a)を起点とする割れ(A)が発生し
易い外周側箇所(Y)には、予定される溶接ビード
(3)の表面に対してそれと接する母材表面が緩傾斜面
となる開先加工が施されている低延性鋼パイプの溶接開
先。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17042692A JPH067986A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 低延性鋼パイプの溶接開先 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17042692A JPH067986A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 低延性鋼パイプの溶接開先 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH067986A true JPH067986A (ja) | 1994-01-18 |
Family
ID=15904700
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17042692A Pending JPH067986A (ja) | 1992-06-29 | 1992-06-29 | 低延性鋼パイプの溶接開先 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH067986A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010105036A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd | 鋼板の溶接方法 |
-
1992
- 1992-06-29 JP JP17042692A patent/JPH067986A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010105036A (ja) * | 2008-10-31 | 2010-05-13 | Asahi Kasei Construction Materials Co Ltd | 鋼板の溶接方法 |
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