JPH067814U - 圧縮空気用フィルタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧縮空気中に含まれる１μｍ程度以下の微粒
子まで効率良く除去することができるフィルタ装置を提
供し、医療分野等で空気圧機器を衛生上問題なく使用で
きるようにする。 【構成】 開口部にリング状の支持部材２８を一体的に
備えた不織繊維シートからなる有底円筒状のフィルタ部
材２４を、該支持部材２８をキャップ１８とケース１０
の開口部１６の間に挟持させて、ケース１０内に収容
し、ケース１０内を圧縮空気の導入口側と送出口側とに
仕切ると共に、該フィルタ部材２４の内方への凹みを阻
止するように、フィルタ部材２４の内径に実質的に等し
い外径を有するコイルスプリング３６を、該フィルタ部
材２４の底部内面と前記支持部材２８に当接するように
して、該フィルタ部材２４の内側に収容した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】

本考案は、圧縮空気中に含まれる液状微粒子及び固形微粒子を、圧縮空気より 分離、除去し得る圧縮空気用フィルタ装置に関するものである。

【０００２】

【背景技術】

従来から、各種工場や医療分野及び原子力プラント等において用いられる種々 の空気圧機器に対して圧縮空気を供給するための管路上には、通常、それら空気 圧機器を保護したり、或いはそれら空気圧機器による作業の向上を図るために、 圧縮空気用フィルタ装置が設けられている。そして、圧縮空気が該フィルタ装置 に取り付けられた濾材（フィルタ）を通過せしめられることによって、圧縮空気 中に含まれる水分や油分、固形物等の除去が行なわれるようになっている。

【０００３】 ところで、従来では、かかる圧縮空気用フィルタ装置のフィルタとして、ステ ンレス等の金属繊維製のメッシュや木綿等からなる網目状構造体等が用いられて いる。また、それらフィルタは、圧縮空気の圧力に耐え得るように、特開昭５９ −１４７６１６号公報等に開示されている如く、一般に、巻回された巻回成形体 として所定のケース内に充填されて、使用されていたのである。

【０００４】 しかしながら、そのような従来のフィルタでは、圧縮空気中の１μｍ程度以上 の大きさの微粒子までは良好に除去することができるが、それより小さい微粒子 については、除去効率が悪く、かなりの量を通過させてしまう問題があった。そ して、その原因の一つとしては、従来のフィルタが巻回成形体であり、層と層の 間に隙間を有していることから、圧縮空気の一部がフィルタの目を通過せずに、 この隙間を通過してしまうことによって、微粒子の除去効率が低下することが考 えられる。それ故に、圧縮空気を既存のフィルタ装置に通しても、医療分野等で 使用されるエアーとして充分に清浄なエアーが得られず、歯科治療等で利用され るエアーに関して、衛生上の問題が指摘されてきているのである。

【０００５】

【解決課題】

本考案は、このような事情を背景として為されたものであり、その解決課題と するところは、圧縮空気中の１μｍ程度以下の微粒子まで良好に除去することが できる圧縮空気用フィルタ装置を提供し、医療分野等で空気圧機器を衛生上問題 なく使用できるようにすることにある。

【０００６】

【解決手段】

そして、上記課題を解決するために、本考案にあっては、（ａ）一方の端部に 圧縮空気の導入口が設けられた円筒状のケースと、（ｂ）該ケースの他端側の開 口部に気密に取り付けられる、圧縮空気の送出口を有するキャップと、（ｃ）開 口部にリング状の支持部を一体的に備え、該キャップの前記ケース開口部への取 付けによって該支持部がそれらケースとキャップの間に挟持されて、前記ケース 内に収容され、該ケース内を前記圧縮空気の導入口側と送出口側とに仕切る、不 織繊維シートからなる有底円筒状のフィルタ部材と、（ｄ）該フィルタ部材の内 方への凹みを阻止するように、該フィルタ部材の内径に実質的に等しい外径をも って、該フィルタ部材の内側に収容され、且つ該フィルタ部材の底部内面と前記 支持部に当接するように、それらの間に配置されたコイルスプリングとを、有す ることを特徴とする圧縮空気用フィルタ装置を、その要旨とするものである。

【０００７】

【作用・効果】

要するに、本考案に係る圧縮空気用フィルタ装置では、圧縮空気が流通させら れるケース内が、不織繊維シートからなる有底円筒状のフィルタ部材にて、該フ ィルタ部材の有底円筒形状の外側と内側に、換言すれば圧縮空気の導入口側と送 出口側とに仕切られており、該ケース内に導かれた圧縮空気は、該フィルタ部材 の目を必ず通過して、送出されるようになっている。それ故、不織繊維シートの 微細な目によって、１μｍ程度以下の微粒子まで極めて効率良く除去することが でき、医療分野等の各種空気圧機器に対して、衛生上問題のない清浄な圧縮空気 を供給することが可能となったのである。また、フィルタ部材が有底円筒状を呈 することから、濾過面積が広く確保され得ると共に、通過パスが短くなり、圧力 損失が非常に低く抑えられる利点も有している。

【０００８】 さらに、このフィルタ部材は、内部に配されたコイルスプリングにより補強さ れて、圧縮空気の圧力に対する優れた耐圧性を有していると共に、該フィルタ部 材に加わる衝撃や圧力変化等が、コイルスプリングの伸縮や曲げ変形によって効 果的に吸収・緩和され得るようになっていることから、耐衝撃性にも優れている のである。それ故に、該フィルタ部材の内方への凹みや破損が効果的に防止され 得るようになっており、本考案に係る圧縮空気用フィルタ装置では、安定したフ ィルタ性能が発揮され得るようになっているのである。

【０００９】

【実施例】

以下に、本考案をより具体的に明らかにするために、本考案の代表的な実施例 について、図面に基づいて詳細に説明することとする。

【００１０】 先ず、図１には、本考案に係る圧縮空気用フィルタ装置の一実施例が示されて いる。そこにおいて、１０は、略円筒状を呈する合成樹脂製のケースであり、一 方の端部が小径部１２とされ、該小径部１２の開口が圧縮空気の導入口１４とな っている一方、他端側の開口部１６の外周面には雄ねじが形成されている。そし て、該雄ねじに対して、有底円筒状を呈する合成樹脂製のキャップ１８が、その 側壁部の内周面に形成された雌ねじにて螺着され、気密に取り付けられるように なっている。また、このキャップ１８の底壁部中央には、外方へ突出する凸部２ ０が設けられており、該凸部２０及びキャップ１８の底壁部を貫通して形成され た貫通孔が、圧縮空気の送出口２２となっている。

【００１１】 そして、かかるケース１０の内部には、図２に示されている如きフィルタ部材 ２４が収容されているのである。このフィルタ部材２４は、有底円筒形状に成形 された所定の不織繊維シートからなるフィルタ本体２６と、該フィルタ本体２６ の開口部の内周面に接着固定され、一体的に取り付けられたステンレス製のリン グ状の支持部材２８とから構成されており、該フィルタ本体２６の開口部端面に は、該支持部材２８の外側端部に設けられた外フランジ部３０が当接せしめられ ている。また、かかるフィルタ部材２４の内部には、該フィルタ部材２４の内径 に実質的に等しい外径のステンレス製のコイルスプリング３６が収容され、且つ 前記フィルタ本体２６の底部内面と前記支持部材２８の内側端部に当接するよう にして、配置され、以て該フィルタ本体２６に対する外側から内側への圧力に対 して、該フィルタ本体２６が内方に凹まないようにされているのである。

【００１２】 そして、このようなフィルタ部材２４は、前記キャップ１８を前記ケース１０ の開口部１６へ螺着する際に、前記支持部材２８の外フランジ部３０が、それら キャップ１８とケース１０の開口部１６との間に挟持されることによって、ケー ス１０内に取り付けられるようになっている。また、それによって、ケース１０ 内が、該フィルタ部材２４にて、図１の如く、圧縮空気の導入口側と送出口側と に仕切られるようになっているのであり、圧縮空気がケース１０の導入口側から 送出口側へ流通するには、フィルタ部材２４の有底円筒形状の外側から内側へ、 必ずフィルタ部材２４の目を通過するようになっている。なお、３２，３４は、 支持部材２８の外フランジ部３０をケース１０とキャップ１８にて挟持したとき に、それらの間のシールを行なうための円環状のガスケットである。

【００１３】 ところで、前記フィルタ本体２６を形成する不織繊維シートとしては、公知の 各種のものが用いられ得、例えば、ホウケイ酸塩繊維（Borosilicate glass fib er）をアクリル樹脂やエポキシ樹脂等のバインダーを用いて、結合し、有底円筒 形状に成形したシート等が好適に使用されることとなる。そして、そのような不 織繊維シートが濾材（フィルタ）として用いられることによって、１μｍ程度以 下の大きさの微粒子まで良好に除去され得るのである。また、該フィルタ本体２ ６にあっては、図２に示されている如く、有底円筒状の壁部の全面にて圧縮空気 が濾過され得るため、濾過面積が大きく確保され、且つ通過パスが短いため、圧 力損失が極めて低くなっているのである。

【００１４】 そして、かかるフィルタ部材２４は、内部にコイルスプリング３６を収容して いることによって補強され、圧縮空気の圧力に対する充分な耐圧性を備えている のであり、フィルタ本体２６の内方への凹みが良好に阻止されるようになってい る。また、圧縮空気の流通管路内では、圧縮空気の流通を遮断した際に衝撃が生 じたり、コンプレッサーから供給される圧縮空気の圧力が変動したりするが、そ のような衝撃や圧力変動が圧縮空気用フィルタ装置に伝わり、該フィルタ部材２ ４に加わった場合にも、コイルスプリング３６の伸縮や曲げ変形によって、衝撃 が効果的に吸収・緩和され、圧力変動に対しても優れた順応性を示すようになっ ており、該フィルタ部材２４の耐衝撃性が効果的に改善されているのである。

【００１５】 従って、このような圧縮空気用フィルタ装置では、ケース１０の導入口１４よ り導かれた圧縮空気は、フィルタ部材２４の目を必ず通過して、送出口２２より 送出されるため、不織繊維シートの微細な目によって、１μｍ程度以下の微粒子 まで極めて効率良く除去され得る。それ故、医療分野等の空気圧機器に対して、 衛生上問題のない清浄な圧縮空気を、安定して供給することができるのである。 また、該フィルタ装置のフィルタ部材２４は、有底円筒形状を呈しており、濾過 面積が大きく、通過パスが短いため、圧力損失が非常に低くなる利点を有してい る。更には、このフィルタ部材２４は、内部にコイルスプリング３６が配されて いることによって、優れた耐圧性、耐衝撃性を有しているため、内方への凹みや 破損が効果的に防止され得て、安定したフィルタ性能を発揮し得るようになって いるのである。

【００１６】 因みに、図１の如き本考案に従う構造の圧縮空気用フィルタ装置を用いて、圧 縮空気流量：１００ｌ／min 、圧力：７kg／cm² の条件にて圧縮空気を流通せし め、圧縮空気中の微粒子の除去率を測定したところ、＜２μｍの微粒子では８１ ％、また＜１μｍの微粒子では９１％、更に＜０．５μｍの微粒子では９９％、 そして＜０．３μｍの微粒子では９９％の除去率となり、優れたフィルタ性能が 発揮されることが確認された。また、この圧縮空気用フィルタ装置において、不 織繊維シートからなるフィルタ部材２４の代わりに、従来の木綿からなる網目状 構造体の巻回成形体をケース１０内に充填して、同様にして圧縮空気中の微粒子 の除去率を測定したところ、＜２μｍの微粒子では８７％、＜１μｍの微粒子で は６８％、＜０．５μｍの微粒子では７８％、＜０．３μｍの微粒子では３４％ の除去率となり、１μｍよりも小さな微粒子の除去率が低いものであった。

【００１７】 以上、本考案の代表的な実施例について詳述したが、本考案が、そのような実 施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもない ところである。また、本考案には、上記の実施例の他にも、本考案の趣旨を逸脱 しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加 え得るものであることが、理解されるべきである。

【００１８】 例えば、不織繊維シートは一般に強度が低いため、前記実施例では、フィルタ 本体２６の開口部にステンレス製の支持部材２８を取り付けて、フィルタ部材２ ４を構成していたが、プラスチック製の支持部材も用いることができることは勿 論、また、不織繊維シートのみで充分な強度が得られる場合には、支持部材２８ を取り付けずに、開口部の厚みを増すこと等によって支持部を構成し、フィルタ 部材２４を一部品で構成することも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る圧縮空気用フィルタ装置の一実施
例を示す縦断面図である。

【図２】図１の圧縮空気用フィルタ装置のフィルタ部材
を示す断面説明図である。

【符号の説明】

１０ ケース １４ 導入口 １６ 開口部 １８ キャップ ２２ 送出口 ２４ フィルタ部材 ２６ フィルタ本体 ２８ 支持部材 ３０ 外フランジ部 ３６ コイルスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方の端部に圧縮空気の導入口が設けら
   れた円筒状のケースと、 該ケースの他端側の開口部に気密に取り付けられる、圧
   縮空気の送出口を有するキャップと、 開口部にリング状の支持部を一体的に備え、該キャップ
   の前記ケース開口部への取付けによって該支持部がそれ
   らケースとキャップの間に挟持されて、前記ケース内に
   収容され、該ケース内を前記圧縮空気の導入口側と送出
   口側とに仕切る、不織繊維シートからなる有底円筒状の
   フィルタ部材と、 該フィルタ部材の内方への凹みを阻止するように、該フ
   ィルタ部材の内径に実質的に等しい外径をもって、該フ
   ィルタ部材の内側に収容され、且つ該フィルタ部材の底
   部内面と前記支持部に当接するように、それらの間に配
   置されたコイルスプリングとを、 有することを特徴とする圧縮空気用フィルタ装置。