JPH0675506B2 - 試験管内遺伝子合成 - Google Patents

試験管内遺伝子合成

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JPH0675506B2
JPH0675506B2 JP2170341A JP17034190A JPH0675506B2 JP H0675506 B2 JPH0675506 B2 JP H0675506B2 JP 2170341 A JP2170341 A JP 2170341A JP 17034190 A JP17034190 A JP 17034190A JP H0675506 B2 JPH0675506 B2 JP H0675506B2
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dna
stranded dna
dna sequence
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ベンジャミン シッカレリ リチャード
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、遺伝子のような二本鎖DNA配列の調製方法
に関する。
〔従来の技術〕
最近のDNA化学、機器および酵素学上の進歩は、特異的
なDNAオリゴヌクレオチド類からの試験管内遺伝子合成
を可能ならしめた。試験管内で合成された遺伝子(合成
遺伝子類)は、それらのクローン化された天然の相対物
を凌駕する数々の利点を有する。それらは、一般に、イ
ントロン領域を含まないので真核遺伝子より遥かに簡潔
である。また、それらは天然の遺伝子が細胞から単離さ
れるとき通常存在する大きなDNAの非翻訳配列を含まな
い。その上、遺伝暗号の縮重に帰因し、アミノ酸コドン
は選ばれたクローニング宿主によって利用される最適コ
ドンにマッチするように選択することができ、より高い
レベルの遺伝子および/またはタンパク質の発現をもた
らす。特有のDNA制限酵素部位を遺伝子中に設計するこ
とができるか、あるいは遺伝子の末端に付加することが
できる。後者は、発現ベクターへのその遺伝子のクロー
ニングを可能にする。前者は、クローニング後にその遺
伝子のスクリーニングを可能にする。試験管内で合成さ
れた遺伝子は、重要な商業上および製薬上のタンパク質
の生産に使用されている。
合成遺伝子は、「天然の」遺伝子によってコードされた
タンパク質配列と正確にマッチするタンパク質配列をコ
ードするように設計することができ、あるいはその合成
遺伝子は安定性が増強されるような天然のタンパク質を
凌駕する利点を持つ可能性のある変異(変性)タンパク
質をコードすることができる。さらに、合成遺伝子は全
く新規なタンパク質または新規な組み合わせもしくはタ
ンパク質部(領域)をコードするように設計することが
できる。
〔発明が解決しようとする課題〕
試験管内化学合成遺伝子合成遺伝子に対するいろいろな
手段が多種多様な遺伝子を構築するのに使用されてき
た。化学合成手段の殆どは、遺伝子の両DNA鎖を含むオ
リゴヌクレオチド類の調製工程と完全な二本鎖遺伝子を
与えるため最終的にそれらを一緒に結合する工程を伴
う。
最も広範に使用されてきた手段は、一連の短い両方の鎖
の化学合成、アニール化し次いで共に結合(連結)した
とき完全な遺伝子を含むようにオリゴヌクレオチド類を
重複(それぞれほぼ40ヌクレオチドの鎖長で)させるこ
とを含む。課題は、比較的小さな400塩基対(bp)の遺
伝子を化学合成するにしても、この手段は、(a)合計
800塩基(400×2本鎖)を合成することが必要であり、
そして(b)それぞれ40塩基未満の20種のオリゴヌクレ
オチド類を別々に合成し、次いでゲル電気泳動および/
または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって別
々に精製する必要があることである。
精製後、これらのオリゴヌクレオチド類はリン酸化、混
合、加熱そしてそれらの類縁の相対物とアニール化され
る。この混合物にDNAリガーゼが加えられ、二本DNAセグ
メントに連結されて完全な遺伝子が形成される。この連
結反応は、予期した寸法(すなわち、400bp)の断片が
得られたことを確認するためゲル電気泳動によって特性
決定しなければならない。
アニーリング工程および連結工程におけるオリゴヌクレ
オチド混合物の複雑さのため、正確な寸法の一片が得ら
れても新たな遺伝子が正しい配列を有することを保証す
るものでない。従って、合成遺伝子はDNAの塩基配列を
決定することによる特性決定のためのプラスミドにクロ
ーニングされる。別の課題は、その配列が正しくない場
合には遺伝子を修復しなければならないか、または面倒
な全処理を再度実施しなければならないことにある。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は遺伝子のような二本鎖DNA配列を調製する方
法を提供する。この方法は、 A)i)限定されたオリゴヌクレオチド鎖長を有するDN
Aオリゴヌクレオチド類とそれらの不完全な配列、また
は ii)前記不完全な配列のみ、をそれぞれ含んでなる第一
合成ブロスおよび第二合成ブロスを調製する工程であっ
て、かつその第一合成ブロスが標的二本鎖DNA配列の上
部(top)鎖を含むDNAオリゴヌクレオチド類を含んでお
り、そしてその第二合成ブロスが前記標的二本鎖DNA配
列の下部(bottom)鎖を含むDNAオリゴヌクレオチド類
を含んでいるような前記工程、 B)前記第一合成ブロスと第二合成ブロスを共に混合す
る工程、 C)A)のDNAオリゴヌクレオチド類の3′末端に相補
的であるDNAオリゴヌクレオチドプライマー類を加える
工程、 D)C)の混合物にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)処理
を施すことにより、標的二本鎖DNA配列の濃度を指数的
に増幅する工程、 E)前記標的二本鎖DNA配列を単離する工程、 F)ファージの複製開始点を有するクローニングベクタ
ーに前記標的二本鎖DNA配列を挿入する工程、 G)突然変異を確認するために前記標的二本鎖DNA配列
の塩基配列を決定する工程、ならびに H)特定部位の突然変異誘発によってそれぞれの突然変
異体を修復する工程を含んでなる。
限定された鎖長のオリゴヌクレオチド類の合成中に、そ
の限定された鎖長より短い鎖長を有する数多くのオリゴ
ヌクレオチド類もまた合成される。この合成が標的二本
鎖(ds)DNA配列の上部鎖と下部鎖について実施される
場合、a)オーバーラップ(重複)し、b)上部鎖と下
部鎖の末端DNA配列を有し、かつc)目的の鎖長より短
い鎖長を有するような上部鎖と下部鎖を含むこれらのオ
リゴヌクレオチド類を、本明細書では不完全な配列と定
義する。
以下、この発明をより具体的に説明する。
本質的にこの発明の方法は、合成遺伝子のような標的二
本鎖DNA配列を、合成オリゴヌクレオチド類ならびにそ
の遺伝子の上部鎖(5′→3′)および下部鎖(3′→
5′)に対応するオリゴヌクレオチドの不完全な配列類
のPCR増幅、次いで適正な突然変異体へ特定部位の突然
変異誘発によって調製することを含んでなる。この方法
は、増幅前に標的DNA配列の各末端に隣接した合成DNA配
列を包含させることによって単純化される。このことが
特定部位の突然変異誘発およびDNA配列の分析を実施す
る目的でファージの複製開始点を含むプラスミド〔例え
ば、F1(IG)〕への最終的な二本鎖配列(例えば、遺伝
子)のクローニング(挿入)を可能にする。
PCR増幅は、前記オリゴヌクレオチド類ならびに相互に
(塩基対)が部分的に重複する上部鎖(5′→3′)お
よび下部鎖(3′→5′)に対応するオリゴヌクレオチ
ドの不完全な配列を含有する粗合成ブロスについて実施
される。このような部分的に重複するDNA配列は自動DNA
シンセサイザーから生ずる粗合成ブロス中に副生成物と
して多量存在する。これらの部分的に重複するDNA配列
は、本明細書において不完全な配列として定義されてい
る。例えば(第1図、参照のこと)自動DNAシンセサイ
ザーによる400個の塩基遺伝子(n=400)の上部鎖
(5′→3′)の合成は、n個の塩基の完全なオリゴヌ
クレオチドならびにn−1,n−2,n−3…等の不完全な配
列を含む可能性のある粗合成ブロスをもたらす。
各塩基の付加反応は、ほぼ98%の収率(カプリング効率
としても知られている)を有する。各段階におけるカプ
リング効率は100%未満であるため、DNAオリゴヌクレオ
チドの完全な鎖長の生成物の最終収率は、合成ブロス中
の総DNAの100%未満となるであろう。従って、合成ブロ
ス中の残余のDNAは不完全な配列が占める。
実際的には、このような不完全な配列が粗合成ブロスに
おけるDNA生成物の過半数(モル濃度基準で)を占め
る。さらに、完全な鎖長のDNA(n)も不完全な配列
(n−1,n−2,n−3など)もすべて共通の3′末端を有
する。これは、自動DNAシンセサイザーによって開始さ
れるDNA合成で最初に付加される塩基が所期の配列の
3′末端に存在するからである。以降の塩基付加は3′
→5′方向へ連続的に起こる。連鎖の成長はオリゴヌク
レオチドの3′末端から連続的に起こる。
従って、最終的な粗合成ブロスは、完全な鎖長のオリゴ
ヌクレオチド(n)は全く含まないかもしくはほんの少
量を含むにすぎない場合があるが、すべて共通する3′
末端を有する不完全な配列(完全な鎖長未満の重複オリ
ゴヌクレオチド類)は含む。これはまた、遺伝子の下部
鎖(3′→5′)に対応する完全な鎖長のオリゴヌクレ
オチド(n′)の合成に関する状態でもある。この粗合
成ブロスは複数の3′末端を含んでなる。
次に、この発明の方法は前記2種の粗合成ブロスを共に
混合することを必要とする。さらに、上部鎖(n)と不
完全な配列(n−1,n−2…)ならびに下部鎖(n′)
と不完全な配列(n′−1,n′−2,n′−3…)の共通す
る3′末端とマッチする2種の短いDNA配列(プライマ
ー類)が加えられる(第1図のPを参照のこと)。
次に、ポリメラーゼ連鎖反応を実施する。この発明の方
法は、上部鎖の不完全な配列のPCR生成物が下部鎖の不
完全な配列のPCR生成物と重複するという実際的な利点
をもたらす。このような状況が生じる場合には、たとえ
完全な鎖長のオリゴヌクレオチド類がブロス中に全く存
在しなくても完全な標的DNA配列の増幅に必要な情報
(塩基配列)のすべてが存在する。PCRの連続的な周期
が究極的に完全な遺伝子配列を増幅する。実際問題とし
て、PCR増幅の最初の3回の周期は、PCR連鎖反応を開始
するために非常に長い時間(通常1分に代え30分未満)
実施されるのが事実である。
例えば、400塩基対の二本鎖配列の合成は以下のように
実施される。
上部鎖(n=400)ならびに上部鎖の不完全な配列399
(n−1),398(n−2)および397(n−3)を含ん
でなる粗DNAオリゴヌクレオチド合成ブロスと、下部鎖
(n′=400)ならびに下部鎖の不完全な配列399(n′
−1),398(n′−2)および397(n′−3)を含ん
でなる粗DNAオリゴヌクレオチド合成ブロスを用意す
る。これらの2種の合成ブロスを一緒に混合して部分的
に重複している配列をもたらす。例えば、n/2より大き
い鎖長を有する上部鎖配列は、PCR伸長反応を可能にす
る重複に際して十分な相補性を有するような鎖長
(L′)のn′−L塩基よりも大きな配列を有する下部
鎖と重複するであろう。今や、ポリメラーゼ連鎖反応を
開始するために上部鎖配列とまた下部鎖配列の3′末端
に対する塩基対である2種のDNAプライマー配列(15〜2
0塩基配列)を添加してもよい。
実際問題として、PCRは単一分子の二本鎖DNAを増幅しう
るので現実に重複するDNAオリゴヌクレオチド類、(n
…n−199)および(n′…n′−199)の量は極端に限
定することができる。また、この発明の方法を実施する
のにブロス類は完全な鎖長のオリゴヌクレオチド類を全
く含む必要がない。次に、第一周期のPCRは次の周期のP
CRで使用されうる、上部鎖と下部鎖に由来するDNA生成
物を提供して完全な400bp遺伝子配列を与えるであろ
う。
制限酵素開裂部位に対応する都合のよいDNA配列が前記
遺伝子配列中に構築され、そしてまたPCRによってその
遺伝子と共に増幅される。このような部位は増幅された
遺伝子をプラスミドに直接挿入することも考慮に入れら
れている。このプラスミドはファージの復製開始点を含
む。これはPCR生成物の都合のよいDNA配列分析を可能に
する。このことはまた、オリゴヌクレオチド合成中また
はPCR増幅段階中に生ずるいずれかの突然変異を修復す
るために都合のよい特定部位の突然変異誘発をも考慮に
入れている。
400塩基対より大きな二本鎖DNA配列(例えば、遺伝子)
もまた、この方法によって直接、あるいは逐次的にこの
方法を実施することによって間接的に都合よく合成され
る。例えば、非常に大きなDNA配列の合成は、工程A〜
Hに従って一系列(一組)の大きな配列部分を最初に作
製することによって実施されるであろう。次に、これら
の部分を酵素DNAリガーゼによって連結(結合)して完
全な鎖長の配列を与えることができる。また、これらの
部分を配列中で相互い重複するように設計することもで
きる。次に、完全な大きさの配列をPCRによって増幅し
てもよい。
従って、400bpより大きな標的二本鎖DNA配列は次のよう
に調製される: A)i)限定されたオリゴヌクレオチド鎖長を有するDN
Aオリゴヌクレオチド類とそれらの不完全な配列、また
は ii)前記不完全な配列のみ、をそれぞれ含んでなる第一
合成ブロスおよび第二合成ブロスを調製する工程であっ
て、かつ a)それぞれ通し番号が付いた系列の前記第一ブロスが
前記標的二本鎖DNA配列の上部鎖の限定された部位に等
価なDNAオリゴヌクレオチド類を含んでおり、 b)それぞれ通し番号が付いた系列の前記第二ブロスが
前記標的二本鎖DNA配列の限定された部位に等価なDNAオ
リゴヌクレオチド類を含んでおり、そして c)全系列が一緒になって完全な標的二本鎖DNA配列に
等価となるような前記工程、 B)それらの系列の各番号が付いた第一合成ブロスと第
二合成ブロスを一緒にして個々に混合する工程、 C)各混合物における前記DNAオリゴヌクレオチド類の
3′末端に対して相補的であるDNAオリゴヌクレオチド
プライマー類を前記系列の各混合物に加える工程、 D)各混合物にポリメラーゼ連鎖反応処理を施すことに
より各混合物中で標的二本鎖DNA配列等価物の濃度を指
数的に増幅する工程、 E)それぞれの系列の各混合物から標的二本鎖DNA配列
等価物を単離する工程、 F)ファージ複製開始点を有するクローニングベクター
に前記等価物をそれぞれクローニングする工程、 G)いずれの突然変異体か確認するために各等価物の塩
基配列を決定する工程、 H)特定部位の突然変異誘発によっていずれかの突然変
異体を修復する工程、 I)クローニングベクターから前記系列の各等価物を取
り出す工程、ならびに J)全系列の等価物を一緒に連結して400個を越える塩
基対を有する標的二本鎖DNA配列を形成する工程。
標的ds DNA配列とそれらの不完全な配列を含んでなるオ
リゴならびに適切に組み合わされたフラグメントを増幅
するのに使用されるプライマー類は、従来技術または自
動化された態様の例えば亜リン酸トリエステル、リン酸
トリエステルおよびリン酸ジエステル法などの適当ない
ずれかの方法を使用して調製することができる。これら
の自動化された方法の一つではジエチルホスホラミジト
類が出発原料として使用される。それらは、L.J.Mc Bri
deら、Tetrahedron Letters,24:25(1983)、米国特許
第4,458,066号明細書およびBeaucageら、Tetrahedron L
etters(1981)、22:1859〜1862に記載されるように合
成してもよい。変性固体支持体によるオリゴの合成方法
はまた、米国特許第4,458,066号明細書にも記載されて
いる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 少量の大きなオリゴヌクレオチド類は、米国特許第4,68
3,195号および同4,683,202号明細書に記載されるポリメ
ラーゼ連鎖反応の変法を用いて増幅される。この反応は
プライマー類と重合剤を使用する。
このPCR技法は、概念的に、核酸を増幅するための非常
に単純な方法である。それはポリメラーゼ連鎖反応によ
って生ずる多数のDNA分子が各周期後に2倍となる点で
天然のDNA複製工程をある程度模倣しており、ある意味
で生体内DNA複製に類似する。
この方法は、一系列の3工程の反復に基づくものであ
り、幾分相違しそして制御された温度条件下で全体が連
続的に行われる。これらの工程は、変性、アニーリング
およびプライマーエクステンションである。
本明細書で使用する「プライマー」の語は、サーマス・
アクアティカス(Thermus aquticus)を初めとするDNA
ポリメラーゼのような重合剤がそのプライマーがアニー
ル化されるヌクレオチド配列(鋳型)に相補的であるヌ
クレオチド類を付加することができる末端を提供するよ
うなオリゴヌクレオチド配列をいう。この付加は、適当
な温度とpHにおいてデオキシリボヌクレオシド三リン酸
(dNTP)の存在下で起こる。プライマーは、一本鎖また
は一本鎖と二本鎖オリゴヌクレオチド類の混合物であ
る。プライマーは重合剤の存在下でエクステンション
(伸長)生成物の合成を誘発するために十分な長さでな
ければならない。これらのプライマー類の正確な長さ
は、温度およびプライマーの起源を初めとする多くの要
因により左右されるであろう。例えば、標的配列の複雑
さに応じて、典型的には、オリゴプライマーは15〜25ま
たはそれ以上のヌクレオチド類を含むが、それはより少
ないヌクレオチド類を含んでもよい。一般に、短いプラ
イマー分子は鋳型と十分安定なハイブリッド複合体を形
成するのにより低い温度を必要とする。
これらのプライマーは、それらの鋳型と「実質的」に相
補的となるように選ばれる。このことは、これらのプラ
イマーがそれらの鋳型とハイブリライゼーションするの
に十分相補的であることを意味する。従って、プライマ
ー配列は鋳型の正確な配列を反映する必要がない。例え
ば、非相補的なヌクレオチドフラグメントは、プライマ
ー配列の残余部がその鎖に相補的であればプライマーの
5′末端に付着するかも知れない。また、より長い配列
の非相補的な塩基はプライマー中に散在してもよく、そ
のプライマー配列がその場所でハイブリダイゼーション
するように増幅せしめられる鎖の配列と十分な相補的を
有し、それによって他のプライマーのエクステンション
生成物の合成用鋳型を形成するように提供されうる。
プライマー類は、遺伝子が調製されるオリゴフラグメン
トを調製するのに使用されるのと同一の方法を用いて調
製される。
変性 所期の二本鎖DNA配列の単離後、それらを鋳型としてそ
れぞれ個々に使用することができるように各鎖を分離す
ることが必要である。これらの鎖の分離は、独立した工
程かまたはプライマーエクステンション生成物の合成と
同時に起こすことができる。この鎖の分離は、物理的、
化学的または酵素的手段を初めとするいずれか適当な変
性方法で行うことができる。
これらの鎖の物理的分離方法の一つとしては、核酸が完
全(>99%)に変性されるまでそれを加熱することが挙
げられる。典型的な加熱変性としては、1〜10分間の時
間内の80℃〜105℃の温度範囲を挙げることができる。
標準的な分離はまた、ヘリカーゼのような既知の酵素に
属する酵素によって誘導してもよい。ヘリカーゼにより
核酸鎖を分離するのに適する反応条件は、Cold Spring
Harbor Symosia on Quantitative Biology,Vo.XLIII“D
NA:Replication and Recombination"(New York:Cold S
pring Harber Laboratory,1978),B.Kuhnら、“DNA Hel
icase",63〜67ページ、ならびにC.RaddingによるAnn.Re
v.Gene-tics,16:405〜437ページ(1982)総説に記載さ
れている。
一度解離した二本の鎖は、温度がアニーリングするのに
十分低くなるまで溶液中でばらばらのまま残存するであ
ろう。
プライマーエクステンションのアニーリング 核酸または核酸類の相補的鎖が分離された場合、これら
の鎖は追加の核酸鎖の合成用鋳型として使用される用意
が整う。
これらのエクテンションプライマーは、増幅せしめる鋳
型のフランキング領域部位にアニールする合成オリゴの
対となる。対となる各プライマーは一種のDNA鎖のみに
アニールしうるであろう。これらのプライマーの配列
は、増幅せしめる境界領域におけるDNA鋳型の配列によ
って決定される。これらのプライマーは逆向きの鎖にア
ニールするので、それらが相互に向い合ったそれらの
3′末端を有するものとみなすことができる。典型的に
は、これらのプライマーは各種の配列を有し相互に相補
的でない。
一般的に、これらのプライマーはDNA鋳型に対して大過
剰存在する。これが温度が低い場合に、プライマー類の
アニーリング部位における2種のDNA鎖の再会合を通じ
てプライマーと鋳型の複合体形成に役立つ。
プライマーエクステンション(増幅) この方法の第三の工程は、DNAポリメラーゼによって促
進されるプライマーの(5′→3′)エクステンション
(伸長)である。このエクステンション工程が行われる
条件は、使用されるDNAポリメラーゼの種類に直接左右
される。この処理を介してエクステンションプライマー
類は増幅生成物中に組み入れられるであろう。
PCR技法では、典型的な一連の段階(すなわち、変性、
アニーリング、エクステンション)が一周期と称されて
いる。米国特許第4,683,195号および同4,683,202号明細
書で教示されるように、この技法はDNAの長い断片につ
いて実施される。目的の増幅生成物は「短鎖生成物」と
称されており、このものがエクステンションプライマー
類の5′末端間を占める領域として限定されている。プ
ライマー類は十分に限定された配列を有するので、それ
ぞれのプライマー配列に対応する短鎖生成物は個別の末
端を有するであろう。周期の数が増加するに従い、短鎖
生成物は急にエクステンションプライマー類がアニール
しうる主な鋳型となってくるであろう。理論上、短鎖生
成物の量は各周期後に2倍になり、指数的な蓄積をもた
らすであろう。
実際のプライマーエクステンションと増幅は次のように
実施される。合成混合物にデオキシリボヌクレオシド三
リン酸(dATP,dCTP,dGTPおよびdTTP)が適当量加えら
れ、得られた溶液が1〜10分、好ましくは1〜4分間90
℃〜100℃に加熱される。この加熱期間後に溶液を20℃
〜55℃まで冷却し、このことがプライマーのハイブリダ
イゼーションにとって好ましい。重合剤はこの冷却混合
物に加えられる。この反応は当該技術分野で既知の条件
下で起こすことができる。この合成反応は、重合剤の作
用効率が失われることとなる温度未満の室温で起こすこ
とができる。従って、例えば、重合剤としてDNAポリメ
ラーゼIが使用される場合には、一般的に温度は45℃未
満である。
重合剤は、酵素を初めとするプライマーエクステンショ
ン生成物の合成を遂行する機能を有しうるどのような化
合物または系であってもよい。この目的に適する酵素と
しては、例えば、大腸菌DNAポリメラーゼI、大腸菌DNA
ポリメラーゼIのクレノウフラグメント、T4 DNAポリメ
ラーゼ、他の入手可能なDNAポリメラーゼ、逆転写酵素
および耐熱性酵素を初めとする各核酸鎖に相補的である
プライマーエクステンション生成物を形成するのに適す
る状態にヌクレオチド類の組み合わせを促進しうる他の
酵素類が挙げられる。サーマス・アクアティカス(Ther
mus aquaticus)ポリメラーゼのような耐熱性重合剤(D
NAポリメラーゼ)は、65℃〜75℃までの高温で使用され
る。一般に、この合成は鋳型鎖に沿って各プライマーの
3′末端で開始して合成が停止するまで5′方向に進
む。
しかしながら、前述したのと同様な方法を用いて5′末
端で開始しもう一つの方向に進む剤が存在するかも知れ
ない。
新に合成された鎖とその鋳型は、この発明の方法の次の
工程で使用される二本鎖分子を形成する。この方法の次
の工程は、再度一連の3つの段階(変性、アニーリング
およびプライマーエクステンション)の反復適用を伴
う。
新な核酸は、一本の鎖分子で合成される。前述の条件下
で進められる反応にとって必要な場合には、さらなる誘
発剤、ヌクレオチド類およびプライマー類を加えてもよ
い。また、合成がオリゴプライマー類一端で開始し、一
本鎖の鋳型に沿って進行して追加の核酸を生成するであ
ろう。この工程後、エクステンション生成物の半分は、
2種のプライマーによって結合された特異的な核酸配列
からなるであろう。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、各段階後に新な試薬
を添加する逐次的な形式で実施することができる。ま
た、それは最初にすべての試薬を加えて同時に行うか、
あるいは与えられた数の段階後に新鮮な試薬を加える一
部逐次的にそして一部同時に行うこともできる。
熱安定性重合剤の場合に、重合剤を不活化しうる加熱の
ような鎖の分離方法が使用されるときは、毎回の鎖分離
工程後に重合剤を補給することが必要である。
ヘリカーゼのような酵素手段を初めとする数々の精製成
分が鎖の分離工程に使用される場合には同時方向が有用
であるかも知れない。同時方法では、反応混合物は所期
の配列を含有する核酸鎖に加え、(1)鎖を分離する酵
素(例えば、ヘリカーゼ)、(2)鎖を分離する酵素の
ための適当なエネルギー源、例えばATP、(3)前記4
種のデオキシリボヌクレオチド類、(4)過剰モル濃度
のオリゴヌクレオチドプライマーおよび(5)重合剤を
含めてもよい。
同時方法で変性に加熱が使用される場合には、前記で触
れた耐熱性ポリメラーゼのような熱安定性重合剤が使用
されるであろう。この発明の方法の各工程は、最初にす
べての試薬類が存在するにもかかわらず連続的に起こる
であろう。必要に応じて追加の原料を加えてもよい。所
定量の特異的核酸配列を生成するために適当な長さの時
間が経過した後、いずれか既知の方法で酵素を不活化す
るかまたは反応成分を分離することによって反応を停止
してもよい。
PCRで増幅された合成DNA配列は、一般に突然変異を含
む。PCRで使用されるサーマス・アクアティカス(Therm
us aquaticus)は、重合された9,000個の塩基当たり1
個の割合で単一塩基の置換エラーを生ずる。
さらに、フレームシフト突然変異(ヌクレオチド類の削
除および挿入)は、41,000個当たり1個の割合で生ず
る。400bpのds DNA配列の合成では、PCRの11周期(1周
期当たり800個のヌクレオチド類が合成される)当たり
ほぼ1塩基の置換突然変異が起こる。DNA標的配列を与
える増幅には一般にPCRのほぼ30周期が必要である。従
って、400bp遺伝子の合成によって約2〜3個の塩基置
換突然変異とほぼ1フレームシフト突然変異が生ずる可
能性がある。この状況は、突然変異の発生(増幅)が初
期のPCR段階で起こるので幾分さらに複雑(有害)にな
る。
PCRから生ずるこれらの突然変異は、一本鎖DNA(ssDN
A)のファージ複製開始点を含有するプラスミドに容易
に連結するための制限端を有する標的ds DNAを設計する
ことによって簡単に修復することができる。これがDNA
塩基配列決定による突然変異体の特性決定を可能にし、
特定部位の突然変異誘発による修復を可能にする。
従って、この方法は、(1)突然変異体を含む可能性の
あるds DNA配列を与える標的ds DNA配列の対向する上部
鎖と下部鎖に相当する長鎖オリゴヌクレオチド類のPCR
増幅、(2)F1(IG)のようなファージ複製開始点を含
有するプラスミドへのこのds DNA配列のクローニング、
ならびに(3)正しい二本鎖DNA配列を与えるための特
定部分の突然変異誘発による突然変異体の固定、を包含
する。
特定部位の突然変異誘発は、この発明の方法の工程E)
で遺伝子が挿入されたプラスミドについて実施される塩
基配列決定によって明らかにされるいずれかの突然変異
体の修復のために使用される。この突然変異誘発は次の
ように実施された。
1)i)dUPaseとウラシルN−グリコシラーゼが欠失
し、かつ ii)F′要素を含む、大腸菌株への前記プラスミドの導
入、 2)f1ヘルパーファージを用い1)で得られた大腸菌を
感染してf1ファージ遺伝子間領域とウラシル塩基(ss
P)を含有する1)のプラスミドの一本鎖DNA転換体の形
成、 3)感染された大腸菌によって分泌されるウラシルおよ
びf1ファージ遺伝子間領域〔f1(IG)〕を含有する一本
プラスミド(ssP)の単離、 4)突然変異を伴うプラスミドのDNA配列に相補的であ
るDNA配列を有する突然変異誘発オリゴヌクレオチド
(オリゴ)i)の各突然変異部位へのアニーリング、 5)DNAポリメラーゼならびにdATP,dTTP,dCTPおよびdGT
Pによる4)のプラスミドを処理し、4)のプラスミド
に相補的な第二のDNA鎖を合成して二本鎖プラスミドの
形成をもたらす工程、 6)5)のプラスミドで野生型大腸菌を感染することに
よる修復された遺伝子配列を担う一本鎖プラスミドの形
成、ならびに 7)前記工程5)に記載するような通常のクローニング
技法を用いる二本鎖形に6)の一本鎖プラスミドを転換
する工程。
〔実施例〕
この発明の方法の具体例:HIV−1 REV遺伝子の設計と合
成 HIV−1単離BH10由来の天然REV遺伝子(形式上、ARTま
たはTRS)のヌクレオチド配列と新に設計した合成REV遺
伝子のヌクレオチド配列を第2図に示す。天然遺伝子か
ら合成遺伝子に変化するすべてのコドンは中抜きのタイ
プで示す。代替コドンの使用によって遺伝子中に特異的
な制限部位(SacI,KpnI,BssHII,EcoRV,SalI,EagI,BspMI
I,BgIIおよびNarI)を組み入れた。他の代替コドンはタ
ンパク質発現の目的上大腸菌にとって好ましいコドンと
マッチするように選んだ。遺伝暗号を使用する天然また
は合成REV遺伝子のいずれかの翻訳は正確に同一のタン
パク質配列を示す。
合成REV遺伝子は、この遺伝子の5′末端と3′末端の
側面にエキストラ配列が並ぶように設計した。このよう
なエキストラ配列は5′末端に制限酵素部位Bam HIと
3′末端に制限酵素部位Eco R1を含めた。これらの部位
は、PCR増幅遺伝子がファージ複製開始点〔F1(IG)〕
を含有するpKH7またはM13mp9のようなプラスミド中に簡
単にクローン化されうるように前記遺伝子内に設計され
た。ファージ複製開始点を含んでなるすべてのベクター
は特定部位の突然変異誘発による修復に有用であろう。
これらの制限部位はまた、遺伝子の特性決定(DNA塩基
配列決定による)およびタンパク質発現のために使用さ
れるプラスミド中に遺伝子をクローニングするのにも有
用である。
REV遺伝子の合成は次のように実施された。制限部位Bam
HI突然変異EcoR1を含有する5′および3′フランキン
グ配列(示していない)を含む完全なREV遺伝子の上部
鎖と下部鎖の両方は、0.2マイクロモルDNAカラムを使用
するBio Search自動DNAシンセサイザーによって標準的
な試薬と標準的な技法で合成された。
DNA合成効率は標準的な技法で測定したところ添加塩基
当たり98%以上であった。それは、各全鎖長393mer(上
部鎖と下部鎖の両方)の約6ナノモルが作製されたもの
と推定された。各鎖の3′末端に相補的なDNA合成プラ
イマー類(20mer)もまた合成された。
これらの粗合成ブロスはゲル濾過クロマトグラフィーに
よって脱塩された。この工程後、前記粗DNA合成生成物
は純水1.5ml中に存在した。2種の393mer配列(上部鎖
と下部鎖)およびそれらの不完全な配列を含有する前記
DNA溶液の各々のアリコート(10μl)を、2種のDNA合
成プライマー(10μM)ならびに10mM Tris−Cl(pH8.
4),2.5mM MgCl2,50mM KClおよび1.0mMの各dNTP(dATP,
dCTP,dGTP,dTTP)およびtaqポリメラーゼ10単位と共
に、総量100μlとなるようにマイクロチューブ中で一
緒に混合した。
このマイクロチューブを70℃におけるプログラマブル加
熱ブロック中に置いた。次に、この試料を1分間70℃〜
95℃で加熱してDNAを変性し、55℃でアニール化し、こ
のDNAのtaqポリメラーゼで促進されたポリメリゼーショ
ンのために最初の3周期を20分間70℃で加熱工程を続け
た。この手順をさらに32PCR周期反復した。このPCR反応
混合物のアリコート(10μl)を第二のマイクロチュー
ブに入れ、前述のように緩衝組成物とtaqポリメラーゼ
を加えた。この混合物についてさらに30周期PCRを実施
した。
PCR増幅後、PCR反応混合物約10μlを1%アガロースゲ
ルによりDNA電気泳動することにより特性決定したとこ
ろ、約400bpのDNAバンドが観察された。従って、残りの
PCR反応混合物を60分間−20℃において95%エタノール
2.5倍容量で処理した。得られた沈殿DNAを10,000×gで
遠心することによって集めた。このDNAを緩衝液に溶解
し、1%アガロースゲルによる分取DNA電気泳動によっ
て分離した。400bpのDNAバンドをエチジウムブロミド染
色によって可視化した。可視化されたDNAバンドの前面
のゲルを鋭利なかみそりの刃でスライスした。DEAEセル
ロースDNAバインディング紙の小片を前記ゲルのスライ
ス中に挿入した。DNA電気泳動は400bpのすべてがその紙
に結合するまで続けた。
次に、65℃で2M NaClで処理することによって紙からDNA
を溶離した。n−ブタノールで抽出することによってDN
Aからエチジウムブロミドを除去した。このDNAを前記の
ように沈殿させ、次いで遠心して集めた。DNAペレット
を水中75%エタノールで洗浄した。精製した400bpのDNA
フラグメントを、0.5μgのプラスミドpKH7,BamHI(10
単位)およびEcoR1(10単位)含有の制限酵素緩衝液10
μlに再溶解し、そして37℃で60分間消化を行った。こ
の溶液を、フェノール/クロロホルム/イソアミルアル
コール(24/24/1)で一度抽出した。次に、pKH7(第1
図)を含有するDNAを前記のように沈殿させた。このDNA
をDNAリガーゼ400単位を含有する緩衝液で溶解した。連
結を5時間13℃で行った。この連結混合物を使用して大
腸菌TB1株をトランスフェクションした。トランスフェ
クタントをXGALプレート上で白色コロニーとして選抜さ
れた。プラスミドは常法のミニプレプ(miniprep)手順
によって数個のコロニーから調製し、次いでPuvIIによ
って消化した。
プラスミドpKH7は、300bp離れた2つのPuvII部位を含
む。pKH7はまた細菌複製開始点とファージ複製開始点を
も含む。これらの2つの部位の間で400bpのREV遺伝子の
挿入が起こるので、挿入部を含有するプラスミドはPuvI
I消化後に700bp(300bpの挿入)のより大きなフラグメ
ントを与える。PuvII消化の18個のプラスミドは、1%
アガロースゲルで分離し、次いで18個中11個のプラスミ
ドは700bpのフラグメントを与えた。
700bpのPuvIIフラグメントを含有するこれらの8個のプ
ラスミドをさらにSscI,EcoRVおよびBglIIで消化した。
これらの酵素はREV遺伝子を含有するプラスミドを切断
するだけであろう。EcoRVとBglIIは一度切断されるだけ
である。従って、各々の切断はプラスミドを線状化する
にちがいない。SacIはこの遺伝子の開始点と終止点付近
で切断し、350bpのフラグメントを与えねばならない。
これらのプラスミドの制限消化物を1%アガロースゲル
で分離した。700bpのPuvIIフラグメント含有プラスミド
は、a)EcoRVとBglIIで線状化され、b)Sac1によって
350bpのフラグメントを与えた。
このREV挿入鎖の両方ともDNA塩基配列決定によって分析
した。この結果、REV遺伝子が完全に合成されたことが
確認された。しかしながら、ヌクレオチド配列中に数個
の塩基の置換する突然変異体が観察された。これらの突
然変異体は、残基103におけるC→Tの塩基置換、残基1
81におけるT→Cの塩基置換、残基186のT塩基の欠損
(フレームシフト)および残基235におけるG塩基の挿
入(フレームシフト)を含む。
DNAオリゴヌクレオチドは、103位の突然変異周辺の20塩
基(残基91〜110)に対応して合成された。プラスミドp
REV1はデオキシウラシルを含有する一本鎖鋳型として単
離された。特定部位の突然変異誘発は、103位の突然変
異を修復するために試験管内で実施された。他の突然変
異も特定部位の突然変異誘発によって同様に修復され
た。突然変異誘発を実施した後のDNA塩基配列決定は最
終的なREV配列が修復されたことが確認された。
〔発明の効果〕
この発明の方法によって数々の利点が提供される。
より少ないオリゴヌクレオチド類が合成に必要であるに
すぎない。400bpのds DNAについて遺伝子の各鎖に対応
する2つの長いオリゴヌクレオチド類と2つの短い合成
プライマー類が合成に必要とされるにすぎない。それら
は、脱塩後の粗合成ブロスから直接使用される。
標的ds DNA配列は、発現を増強するのに好ましいアミノ
酸コドンならびにクローニングおよびDNA塩基配列決定
による特性決定のために都合のよい制限部位を含ませる
ことができる。
標的ds DNAは、ほんの数時間で完全に増幅することがで
きる。
構築のエラーは、ファージ複製開始点を含有するプラス
ミド中に標的ds DNA配列を挿入した後、突然変異を誘発
することによって修復することができる。
遺伝子は、合成遺伝子産物(タンパク質)が宿主細胞に
毒性を有する場合には、生ずる可能性のある問題を避け
るためにプラスミド遺伝子発現系を有する翻訳枠外で構
成することができる。この遺伝子は後に突然変異誘発に
よって枠(フレーム)内に入れることができる。
遺伝子は新規なキメラ遺伝子を作出する第二遺伝子と枠
内(in-frame)遺伝子との融合物として直接合成するこ
とができる。
合成遺伝子はサブクローニング工程を必要とすることな
く特定部位の突然変異誘発によって直接変異することが
でき、タンパク質の構造、機能研究をより簡便に行うこ
とを可能にする。
タンパク質の機能領域またはタンパク質ドメインに対応
する遺伝子部分および遺伝子のエクソン領域が都合よく
合成される。
生化学、酵素、製薬学、ワクチン、診断試薬または農業
で使用することができるタンパク質をコードする遺伝子
または遺伝子もしくはキメラ遺伝子部分が都合よく合成
される。
【図面の簡単な説明】 第1図は、二本鎖DNA配列の構築を行う上でどのように
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が使用されるかを略図的
に示す。 第2図は、この発明お方法を具体的に説明するのに使用
された天然および合成HIV−1 REV遺伝子のDNA配列を示
す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の各工程を含んでなる標的二本鎖DNA配
    列の調製方法: A)i)限定されたオリゴヌクレオチド鎖長を有するDN
    Aオリゴヌクレオチド類とそれらの不完全な配列、また
    は ii)前記不完全な配列のみ、をそれぞれ含んでなる第一
    合成ブロスおよび第二合成ブロスを調製する工程であっ
    て、かつその第一合成ブロスが標的二本鎖DNA配列の上
    部鎖を含むDNAオリゴヌクレオチド類を含んでおり、そ
    してその第二合成ブロスが前記標的二本鎖DNA配列の下
    部鎖を含むDNAオリゴヌクレオチド類を含んでいるよう
    な前記工程、 B)前記第一合成ブロスと第二合成ブロスを共に混合す
    る工程、 C)A)のDNAオリゴヌクレオチド類の3′末端に相補
    的であるDNAオリゴヌクレオチドプライマー類を加える
    工程、 D)C)の混合物にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)処理
    を施すことにより、標的二本鎖DNA配列の濃度を指数的
    に増幅する工程、 E)前記標的二本鎖DNA配列を単離する工程、 F)ファージの複製開始点を有するクローニングベクタ
    ーに前記標的二本鎖DNA配列をクローニングする工程、 G)突然変異を確認するために前記標的二本鎖DNA配列
    の塩基配列を決定する工程、ならびに H)特定部位の突然変異誘発によってそれぞれの突然変
    異体を修復する工程。
  2. 【請求項2】次の各工程を含んでなる400個を越える塩
    基対を有する標的二本鎖DNA配列の調製方法: A)i)限定されたオリゴヌクレオチド鎖長を有するDN
    Aオリゴヌクレオチド類とそれらの不完全な配列、また
    は ii)前記不完全な配列のみ、をそれぞれ含んでなる第一
    合成ブロスおよび第二合成ブロスを調製する工程であっ
    て、かつ a)それぞれ通し番号が付いた系列の前記第一ブロスが
    前記標的二本鎖DNA配列の上部鎖の限定された部位に等
    価なDNAオリゴヌクレオチド類を含んでおり、 b)それぞれ通し番号が付いた系列の前記第二ブロスが
    前記標的二本鎖DNA配列の限定された部位に等価なDNAオ
    リゴヌクレオチド類を含んでおり、そして c)全系列が一緒になって完全な標的二本鎖DNA配列に
    等価となるような前記工程、 B)それらの系列の各番号が付いた第一合成ブロスと第
    二合成ブロスを一緒にして個々に混合する工程、 C)各混合物における前記DNAオリゴヌクレオチド類の
    3′末端に対して相補的であるDNAオリゴヌクレオチド
    プライマー類を前記系列の各混合物に加える工程、 D)各混合物にポリメラーゼ連鎖反応処理を施すことに
    より各混合物中で標的二本鎖DNA配列等価物の濃度を指
    数的に増幅する工程、 E)それぞれの系列の各混合物から標的二本鎖DNA配列
    等価物を単離する工程、 F)ファージ複製開始点を有するクローニングベクター
    に前記等価物をそれぞれクローニングする工程、 G)どのような突然変異体から確認するために各等価物
    の塩基配列を決定する工程、 H)特定部位の突然変異誘発によっていずれかの突然変
    異体を修復する工程、 I)クローニングベクターから前記系列の各等価物を取
    り出す工程、ならびに J)全系列の等価物を一緒に連結して400個を越える塩
    基対を有する標的二本鎖DNA配列を形成する工程。
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