JPH0675492B2 - レトルト飲食品の製法 - Google Patents

レトルト飲食品の製法

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JPH0675492B2
JPH0675492B2 JP9157985A JP9157985A JPH0675492B2 JP H0675492 B2 JPH0675492 B2 JP H0675492B2 JP 9157985 A JP9157985 A JP 9157985A JP 9157985 A JP9157985 A JP 9157985A JP H0675492 B2 JPH0675492 B2 JP H0675492B2
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retort
container
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drink
heat
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筒井  秀也
徹 宮秋
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カネボウ食品株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、熱収縮性プラスチツク容器入りのレトルト
飲食品の製法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、レトルト飲食品は、耐熱性のプラスチツクフイ
ルムとアルミ箔の複合材料によるいわゆるレトルトパウ
チ詰飲食品として市販されている。レトルトパウチは、
アルミ箔を芯とする薄層のプラスチツクフイルムからな
り、アルミ箔が、空気中の酸素を完全に遮断する役割
と、プラスチツクフイルムの加熱時の熱収縮を防止する
役割を果たしている。
上記レトルトパウチ詰飲食品は、軽量で携帯に便利であ
るが、レトルトパウチが薄層で柔軟な性質を有するた
め、一定の容器の形、例えば缶や丼の形に成形できず、
したがつて、内容物として選択される飲食品の種類、商
品のイメージ等がかなり限定されていた。また、上記レ
トルトパウチ詰飲食品は、レトルトパウチの芯としてア
ルミ箔を用いるためコストが高くなること等が問題であ
つた。
最近、この分野に立体形状をもつプラスチツク容器を採
用することが試みられ注目をあつめている。プラスチツ
ク容器は成形の自由度が高いことから所望の形状へ賦形
が容易であり、かつコストが安いという利点を有してお
り、これを用いることに対する期待は大きい。このよう
なプラスチツク容器を用いたレトルト食品の製造に関し
ては、容器の内部温度とレトルト圧の変換曲線をつく
り、これに基づいてレトルト圧を容器内圧と同圧に制御
する方法が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記の方法は、主としてプラスチツク容
器の、レトルト殺菌時における加熱膨張破裂等の防止を
主目的とするものであり、プラスチツク容器の熱収縮に
よつて生じる熱収縮応力を考慮していないため、レトル
ト殺菌後プラスチツク容器が収縮変形を生じるという欠
点があつた。特にレトルト殺菌を高温、長時間行うとこ
の傾向が大となるのであり、したがつて、プラスチツク
容器のなかでも、熱収縮性の比較的大きなプラスチツク
容器を用いることはできなかつた。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、比
較的安価な熱収縮性プラスチツク容器を使用し、多彩な
形状の容器を備えたレトルト飲食品の製法を安価に提供
することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明は、飲食品を容器
に充填し密封したのち、レトルトに入れてレトルト殺菌
することによりレトルト飲食品を製造するレトルト飲食
品の製法であつて、上記容器を熱収縮性プラスチツク材
料で構成し、かつ上記レトルト殺菌を、容器自体の熱収
縮にもとづく容器内圧の上昇にみあう圧力分だけレトル
ト内の圧力を低くして行うという構成をとる。
すなわち、本発明者らは、熱収縮性プラスチツク容器の
レトルト殺菌時における熱収縮を防止するため、レトル
ト内の圧力調節を中心に研究を重ねた結果、従来のよう
にレトルト殺菌時にレトルト圧をプラスチツク容器の内
圧と同圧に保つのではなく、加熱殺菌時に、プラスチツ
ク容器自体の熱収縮に基づく容器内圧の上昇分だけレト
ルト圧を低下させることが有効であることを見いだし、
この発明に到達した。
このように、プラスチツク容器自体の熱収縮に基づく容
器内圧の上昇分だけレトルト圧を低下させてレトルト殺
菌処理を行うと上記熱収縮性プラスチツク容器の熱収縮
変形を防止できるのは、つぎのような理由によると考え
られる。すなわち、容器が変形しないためには、容器内
圧と容器外圧であるレトルト圧が容器壁を介して平衡に
保たれていることが必要であるが、レトルト殺菌を開始
すると、その際の加熱によつて容器内圧が上昇し、容器
が破裂する恐れがある。先に述べた従来例は、これの防
止を主目的としてレトルト圧を常に容器内圧と同圧にな
るよう調整するものである。しかしながら、熱収縮性プ
ラスチツク容器は加熱によつて熱収縮を起こすため、レ
トルト殺菌時には熱収縮応力が発生し容器壁を内側へ押
すことになる。したがつて、レトルト圧を、熱収縮応力
分だけ低圧にすれば熱収縮応力が打ち消され、容器壁を
介して容器内圧とレトルト圧が平衡に保たれるので、容
器の変形は防止されるのである。
この発明で用いる熱収縮性プラスチツク容器は、特に制
限するものではなく、各種のプラスチツク材料製のもの
があげられ、またその形状も自由である。その代表的な
材料を例示すると、ポリプロピレン,ナイロン,ポリカ
ーボネート,ポリ塩化ビニリデン,ポリエチレン等があ
げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいはそ
れらの数種以上を組み合わせて複合材として用いてもよ
い。その複合材の代表例としては、ナイロンとポリプロ
ピレン、ポリカーボネートとポリプロピレン、ポリオレ
フインとエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とポリ
オレフイン、ポリプロピレンとポリ塩化ビニリデンとポ
リプロピレン、ポリエチレンとポリ塩化ビニリデンとポ
リエチレン、ポリプロピレンとエチレン−酢酸ビニル共
重合体ケン化物とポリプロピレン、ポリエチレンとエチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とポリエチレン等が
あげられる。このなかでもポリプロピレンとエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物とポリプロピレンの三層構
造複合体が気密性に富んでおり、長期保存性の点におい
て好結果をもたらす。しかしながら、中心層に上記エチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を用いたハイバリヤ
ータイプの複合体は熱収縮性が高いため、レトルト殺菌
時において、その操作に注意を要するのである。また、
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に代えて、
ポリ塩化ビニリデンを用いたハイバリヤータイプの複合
材も上記と同様熱収縮性が高いため、これもレトルト殺
菌条件等の設定において注意を要するのである。
上記熱収縮性プラスチツク容器に充填される飲食品とし
ては、コーヒー,スープ,カレー,シチュー等の液体を
主とする飲食品の他、ハンバーグ類、飯類,麺類等のよ
うなものでもよく、広く選択できる。
この発明のレトルト飲食品は、例えばつぎのようにして
製造することができる。すなほち、上記のような熱収縮
性プラスチツク容器に上記例示の飲食品を適宜に選択し
て充填し、これをヒートシール等の公知の密封方法によ
り密封する。つぎに、これを圧力制御可能な蒸気式レト
ルト機等のレトルト内に入れ、115℃で15分程度加熱加
圧殺菌する。この場合、上記レトルト殺菌は、上記加圧
加熱に基づく容器自体の熱収縮による容器内圧の上昇分
にみあう圧力分だけ、レトルト内の圧力を低くし、殺菌
処理をすることにより行われる。上記のような加圧加熱
時における容器自体の熱収縮にもとづく容器内圧の上昇
圧力は、予め同種の試料を用いて試験をすることにより
求めることができ、それにもとづいて加圧加熱条件を設
定し、連続的な殺菌が行われる。
このようにして得られたレトルト飲食品は、熱収縮性プ
ラスチツク容器自体の熱収縮変形が防がれているため、
容器の美麗な形状が初期のまま保たれている。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の方法によれば、比較的安価な
熱収縮性プラスチツク容器を用い、それを熱収縮変形さ
せることなくレトルト処理して熱収縮性プラスチツク容
器入りのレトルト飲食品を安価に提供することができる
であり、これが最大の特徴である。すなわち、この発明
は、従来のレトルトパウチのようにアルミ箔を用いず、
比較的安価な熱収縮性プラスチツク容器を用いうるため
製品のコストを安くでき、また、上記容器が成形の自由
度が高いため充填される飲食品に合わせた細やかなパツ
ケージデザインを施すことができる。さらに、その形状
がレトルトパウチのように袋状に限られないのでカップ
形状や丼形状容器を使用しうるという利点を有してい
る。特に、この発明の製法では、レトルト殺菌時に容器
が熱収縮変形を起こさないので加熱殺菌時間を、従来よ
りも長くすることができ、内容物の種類および材料を細
かく切る等の下ごしらえを適用することと相俟つて、未
調理食品を容器内に密封充填し、これをレトルト殺菌時
の加熱を利用して加熱調理することができるという利点
も有するのである。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 まず、飲食品を充填する熱収縮性プラスチツク容器とし
てポリプロピレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
加物(エバール)とポリプロピレンの三層複合体からな
る内容積500ml、直径70mm、高さ130mmの円筒形ブロー成
形ボトル容器を用意した。
上記内容積500mlのブロー成形ボトル内に、一般的な方
法で抽出されたコーヒー抽出液50%,グラニュー糖8%
および水42%の組成からなるコーヒー飲料450mlを常温
で充填し、ヒートシールにより密封した。この場合の蓋
は、ポリエステルとアルミニウムとポリプロピレンのラ
ミネートシール蓋を用いた。つぎに、この密封体を圧力
制御可能な蒸気式レトルト機に入れ、115℃,15分の条件
のレトルト殺菌を施し製品とした。この場合のレトルト
殺菌は、予めテストにより、上記容器の加圧加熱時にお
ける熱収縮にもとづく圧力を測定し、それにもとづいて
実際の製品製造時には上記レトルト機内の圧力を上記熱
収縮にもとづく容器内圧の上昇にみあう圧力分だけ圧力
を低くして殺菌を行つた。
〔比較例1〕 実施例1と同様にしてレトルトコーヒー飲料を製造した
が、この場合のレトルト殺菌を従来の同圧レトルト方式
(レトルト圧を容器内圧と常時同圧に制御して殺菌す
る)により行つた。それ以外は実施例1と同様にして製
品を製造した。
以上の実施例および比較例で得られた熱収縮性プラスチ
ツク容器入りコーヒー飲料を各々30個づつサンプルとし
て容器の変形試験に供した。その結果はつぎのとおりで
ある。
(容器変形の比較試験) 実施例1,比較例1のサンプル各々30個について、その容
器変形について外部観察を行つた上で容器の直径と高さ
と内容積を測定し、30個の平均値を求めた。その結果は
第1表のとおりである。基準となる容器は直径70mm,高
さ130mm内容積500mlであるからこの発明の製法による容
器は従来の製法である同圧レトルト方式に比べ、ほとん
ど容器変形がないといえる。
〔実施例2〕 まず、ポリプロピレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン加物(エバール)とポリプロピレンの三層複合体か
らなる内容積500mlの丼形形状に成形した容器を用意し
た。
上記内容積500mlの丼形容器に、白米45g、かやく(むき
エビ,にんじん,ほうれんそう,わかめ)適量、調味料
(貝エキス,こんぶエキス,食塩,かつお節エキス,み
りん,砂糖,化学調味料、醤油)適量、水380mlを常温
で入れてよくまぜ合わせたのち,加熱調理せずそのまま
ヒートシールにより密封した。シール材はポリエステル
はアルミニウムとポリプロピレンのラミネートシールを
用いた。
つぎに、この密封体について実施例1と同様にしてレト
ルト殺菌処理を行つた。
こうして得られた製品は、レトルト殺菌時の加圧加熱に
よつて密封体内の材料が調理されて雑炊となつていた。
したがつて、そのままレトルト雑炊として市場に提供で
きる。しかも、上記製品は、容器が丼形形状に形成され
ているので、上記レトルト雑炊は加熱後、他の食器に移
し替えることなく、そのまま食することができるという
利点を備えている。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】飲食品を容器に充填し密封したのち、レト
    ルトに入れてレトルト殺菌することによりレトルト飲食
    品を製造するレトルト飲食品の製法であつて、上記容器
    を熱収縮性プラスチツク材料で構成し、かつ上記レトル
    ト殺菌を、容器自体の熱収縮にもとづく容器内圧の上昇
    にみあう圧力分だけレトルト内の圧力を低くして行うこ
    とを特徴とするレトルト飲食品の製法。
  2. 【請求項2】熱収縮性プラスチツク製容器が、相互に材
    質の異なる数種のプラスチツク材料を複合してなる複合
    材によつて構成されている特許請求の範囲第1項記載の
    レトルト飲食品の製法。
  3. 【請求項3】複合材が、ポリプロピレンとエチレン−酢
    酸ビニル共重合体ケン化物とポリプロピレンの三層複合
    体である特許請求の範囲第2項記載のレトルト飲食品の
    製法。
  4. 【請求項4】飲食品が、コーヒー飲料である特許請求の
    範囲第1項または第2項記載のレトルト飲食品の製法。
  5. 【請求項5】飲食品が、雑炊である特許請求の範囲第1
    項または第2項記載のレトルト飲食品の製法。
  6. 【請求項6】レトルト殺菌時の加熱を利用して飲食品の
    調理を行う特許請求の範囲第1項記載のレトルト飲食品
    の製法。
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