JPH0674826U - 焼却炉におけるクリンカ発生防止装置 - Google Patents

焼却炉におけるクリンカ発生防止装置

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JPH0674826U
JPH0674826U JP1251493U JP1251493U JPH0674826U JP H0674826 U JPH0674826 U JP H0674826U JP 1251493 U JP1251493 U JP 1251493U JP 1251493 U JP1251493 U JP 1251493U JP H0674826 U JPH0674826 U JP H0674826U
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cooling
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furnace wall
clinker
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JP1251493U
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明彦 三谷
明夫 田中
準一 道山
義人 福間
良二 鮫島
晃一郎 土井
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Takuma KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼却炉におけるクリンカの発生を確実に防止
しうるクリンカ発生防止装置を提供する。 【構成】 クリンカが発生し易い炉壁部分2aに、周壁
13cを鋼板で構成した冷却室13を埋設し、この冷却
室13の上部13aに、炉壁2外に位置して自由水面1
2bが形成される蒸気放出室14を連設し、冷却室13
の上下部13a,13b間を、炉壁2外を通過する冷却
水循環路15で連通接続すると共に、この冷却液循環路
15に、冷却室13及び冷却液循環路14を冷却水12
の充満状態に保持させる冷却液補給槽16を連通接続2
2させる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、都市ごみ等の一般廃棄物や産業廃棄物を焼却処理する焼却炉におい て、炉壁面におけるクリンカの発生を防止するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、焼却炉で焼却処理される都市ごみ等の廃棄物については、その質が多様 化しており、焼却による発熱量も増大している。このため、炉内温度が異常に上 昇して、飛灰や焼却残渣が溶融状態となって炉壁面に付着し、耐火構造物である 炉壁の表面性状の変化や高温での熱変動によって、炉壁面にクリンカが形成され 、これが成長肥大して、被焼却物や燃焼用空気,燃焼ガスの流動を阻害する、所 謂クリンカトラブルの発生が多くなる傾向にある。
【0003】 そこで、従来からも、炉壁をクリンカとの親和反応性の低い炭化珪素質煉瓦 等で構成することによってクリンカの生成を抑制する、炉壁面に沿って水を噴 射して炉壁面の温度上昇を抑制する、炉壁面に沿って水蒸気を噴射し、焼却過 程における炭素と水蒸気との水性化反応による吸熱原理を利用して、炉壁面の温 度上昇を抑制する、炉壁を耐火煉瓦で構成した空冷壁構造となし、炉壁面の温 度上昇を空冷により抑制する、廃熱ボイラを有する比較的大型のごみ焼却炉に おいて、ボイラ水管壁をメンブレン構造として燃焼室側に配置する、といったク リンカ発生防止手段が講じられている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、の手段では、炉壁の構成材たる炭化珪素が高温で酸化,膨張して、 炉壁が膨出するため、炉壁面が欠損したりする等の変形,損耗を生じ易く、耐久 性上問題がある。また、の手段では、燃焼状態の変動に対応した炉壁面温度の 制御が困難であるため、耐火物の損傷,ごみ層が過度に増湿される等、運転上問 題があり、安定した焼却を行い難い。また、の手段では、のように水を噴射 させる場合に比して、冷却効果が頗る低く、クリンカを抑制させるために大量の 水蒸気を必要とする。したがって、廃熱ボイラを有するような場合に適用できる にすぎない。勿論、の場合と同様に、燃焼状態の変動に応じて制御することが 困難であり、安定した焼却を行い得ない。また、の手段では、比較的大型の特 殊耐火煉瓦を使用するため、その組付け構造上、炉壁に亀裂が生じ易い。そして 亀裂が生じると、冷却空気が炉内に漏洩して、却ってクリンカ発生を助長する虞 れがある。さらに、大量の冷却空気を必要とするため、送風用電力費も大きく、 排温風の有効利用方法にも制約があり、広く実用されるには至っていない。さら に、の手段では、ごみ層との接触による摩耗防止対策として耐久性ある方法が 確立されておらず、実用上問題がある。しかも、クリンカ発生箇所がボイラ水管 を配置し難い場所(例えば、階段式ストーカを有する焼却炉におけるストーカ段 落部分の壁面)である場合、特別な対応が必要となる。
【0005】 本考案は、このような実情に鑑みてなされたもので、上記した問題を生じるこ となく、クリンカの発生を確実に防止することができるクリンカ発生防止装置を 提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本考案のクリンカ発生防止装置は、クリンカが発生し易い炉 壁部分に、周壁を鋼板等の金属板で構成した冷却室を埋設し、この冷却室の上部 に、炉壁外に位置して自由液面が形成される蒸気放出室を連設し、冷却室の上下 部間を、炉壁外を通過する冷却液循環路で連通接続すると共に、この冷却液循環 路に、冷却室及び冷却液循環路を冷却液充満状態に保持させる冷却液補給槽を連 通接続させたものである。このクリンカ発生防止装置にあっては、更に、冷却室 の上部である高温液領域から冷却液補給槽に冷却液の一部を強制循環させて、そ の循環液から熱回収する熱回収機構を設けておくことが好ましい。
【0007】
【作用】
冷却室内の冷却液は炉内燃焼熱を吸収して昇温され、冷却室の上部へと上昇す るが、冷却室の上下部間が炉壁外を通過する冷却液循環路により連通接続されて いることから、冷却室と冷却液循環路との間で対流による自然循環流が形成され ることになる。したがって、冷却室の周壁が耐火材に比して熱伝導率の高い鋼板 等の金属板で構成されていることとも相俟って、上記循環流の作用により冷却室 が埋設された炉壁部分の炉壁面が効果的に冷却される。また、冷却室で発生する 気泡は、蒸気放出室の自由液面下に気泡滞留領域が存在しないことから、蒸気放 出室へと上昇し、水蒸気が自由液面から放出されることになる。すなわち、冷却 室つまり炉内に面する冷却水貯留領域に蒸気溜が生じないことから、これが過熱 されることがなく、沸騰が冷却室から蒸気放出室への方向に生じ、冷却液が冷却 液補給槽から冷却液循環路の上部に補給されることと相俟って、上記炉壁面の冷 却が効果的に行なわれる。したがって、上記炉壁部分においては、クリンカの発 生が確実に防止される。
【0008】 また、各冷却室の上部における高温水の一部は、熱回収された上で冷却液補給 槽に循環され、その回収熱を給湯,暖房設備等の熱源として利用することができ る。すなわち、炉内燃焼ガスの熱エネルギを有効に活用することができる。さら に、かかる循環作用により前記循環流の形成が促進され、炉壁面の冷却効果を更 に高めることができる。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の構成を図1〜図3に示す実施例に基づいて具体的に説明する。 この実施例は、本考案を階段式ストーカ炉に適用した例に係る。すなわち、この 焼却炉1は、図1に示す如く、耐火材製の炉壁である左右側壁2,2間に後方へ 下り傾斜する階段状のストーカ3,4,5を設けてなるもので、ホッパ6から供 給されたごみ7が乾燥ストーカ3,燃焼ストーカ4,後燃焼ストーカ5上を順次 流下せしめられる間において乾燥,燃焼,後燃焼され、その焼却残渣が排出口8 から炉1外に排出されるように構成されており、本考案に係るクリンカ発生防止 装置11により、特に、燃焼ストーカ4の始端部両側における炉壁部分2a,2 aでのクリンカ発生を防止するように工夫されている。
【0010】 この実施例のクリンカ発生防止装置11は、冷却液12として水を使用したも ので、図1〜図3に示す如く、クリンカが発生し易い上記各炉壁部分2aに、周 壁を鋼板で構成した冷却室13を埋設し、この冷却室13の上部13aに、炉壁 2外に位置する蒸気放出室14を連設し、冷却室13の上下部13a,13b間 を、炉壁2外を通過する冷却水循環路15で連通接続すると共に、この冷却水循 環路15の上部に、冷却室13及び冷却水循環路15を冷却水充満状態に保持さ せる冷却水補給槽16を連通接続し、更に冷却室13の上部13aである高温水 領域から冷却水補給槽16に冷却水12の一部12aを強制循環させて、その循 環水12aから熱回収する熱回収機構17を設けてなる。
【0011】 各冷却室13は、図2及び図3に示す如く、鋼板を溶接してなる周壁で囲繞形 成されており、前面周壁部分13cが炉壁面2´上にこれと面一状に露出する形 態で炉壁部分2aに埋設されている。すなわち、鋼板製の周壁部分13cが当該 炉壁部分2aの炉壁面を構成するように工夫してあり、この炉壁面13cを除く 冷却室13の周囲には適宜のキャスタブル耐火物2cが充填,施工されている。 ところで、周壁を構成する鋼板の材質,板厚は、ごみ焼却による熱負荷に応じて 適宜に設定されるが、この実施例では、板厚12mmの軟鋼板(熱伝導率は約5 0Kcal/m・h・℃)を使用している。なお、各冷却室13の下部13bに は、電熱ヒータ18が内装されていると共にドレン管19が接続されている。電 熱ヒータ18は、例えば焼却炉1が準連式のもので断続運転を行なう場合におい て、炉の始動に先立って冷却水12を加温しておくことによって、冷却室13を 構成する鋼板壁の低温腐食を抑制するためのものであり、必要に応じて設けてお く。また、ドレン管19は、冷却水12の循環濃縮によるスケール成分や沈澱物 を冷却室13から排出させるためのもので、ブロー弁19aにより開閉される。 勿論、ドレン管19の炉壁通過部分は軟質耐熱材等により保護されていて、熱応 力やガス洩れを生じないように工夫されている。
【0012】 各蒸気放出室14は、図2及び図3に示す如く、炉壁2外において冷却室13 の上部13aに一体連設されている。この蒸気放出室14には、その上部に蒸気 放出管20及び溢流管21並びに後述する冷却水補給槽16との連通路23が接 続されており、自由水面12bが形成されている。
【0013】 各冷却水補給槽16の下部は冷却水補給路22を介して循環路15の上部に連 通されており、その上部は連通路23を介して蒸気放出室14の上部に連通され ている。両路22,23は、冷却室13の容積等に応じた充分な断面積を有する ものとされている。なお、蒸気放出室14,循環路15,補給槽16,補給路2 2,連通路23の周壁は、冷却室13の周壁と同一の鋼板で構成されている。
【0014】 各冷却水補給槽16には焼却設備のプラント水槽24から給水されるようにな っており、その給水をボールタップ弁25により制御することによって、補給槽 16の水位を一定範囲に保持するように工夫されている。すなわち、図2に示す 如く、焼却設備のプラント水槽24から導いた給水管26を各補給槽16の給水 口16aに分岐接続26aして、プラント水槽24の貯留水を冷却水12として 各補給槽16に供給するようになっている。また、各補給槽16の給水口16a には、図3に示す如く、ボールタップ弁25が設けられていて、補給槽16の水 位を連通路23のやや下方位に保持すべく給水口16aからの給水を制御し、冷 却室13及び循環路15を冷却水充満状態に保持するようになっている。なお、 給水管26には、必要に応じて(冷却水供給源24の水質に応じて)水質軟化器 27を介設して、冷却室13等におけるスケール発生を防止するようにしておく ことが好ましい。
【0015】 熱回収機構17は、図2に示す如く、冷却室13,13と補給槽16,16と を循環水路30で接続し、この循環水路30に下流側から順に循環水ポンプ31 ,流量調節弁32,熱交換器33を介設してなる。すなわち、循環水路30は、 ポンプ31の下流側において各冷却室13の上部13aたる高温水領域に分岐連 通30aされると共に、熱交換器33の上流側において各補給槽16の下部たる 貯留水領域に分岐連通30bされていて、各冷却室13の上部13aにおける高 温水の一部12aを各補給槽16に強制循環し、その循環水12aから熱交換器 33により熱回収するようになっている。この回収熱は、給湯,暖房設備等の適 宜の熱利用設備34に供給される。各冷却室13に接続された高温水取出管30 aには、冷却室13からの流出水温度を検出する温度検出器35及びその検出値 に基づいて開閉制御される自動弁36が介設されていて、冷却室13内の水温が 鋼板製周壁の低温腐食温度領域にまで低下した場合には自動弁36が閉制御され るようになっている。循環水ポンプ31は、その有効吸込水頭(NPSH)を考 慮して、必要な押込水頭が得られる位置に配置されており、両自動弁36,36 が閉作動されたときに停止されるものである。なお、各高温水取出管30aには 、自動弁36の下流側に配して流量バランス弁37が介設されている。
【0016】 以上のように構成されたクリンカ発生防止装置11によれば、燃焼ストーカ4 の始端部両側における炉壁部分2a,2aの温度上昇を抑制して、該部分2a, 2aにおけるクリンカ発生を効果的に防止することができる。
【0017】 すなわち、各冷却室13内の冷却水12は炉内燃焼熱を吸収して昇温され、冷 却室13内を上昇するが、冷却室13の上下部13a,13b間が炉壁2外を通 過する循環路15により連通接続されていることから、冷却室13と循環路15 との間で対流による自然循環流12´が形成されることになる。つまり、図3に 示す如く、冷却室13内を上昇して、その上部13aから循環路15に至り、更 に循環路15を下降して冷却室13の下部13bに還流する循環流12´が形成 されることになる。したがって、炉壁面13cが耐火材に比して熱伝導率の高い 鋼板材で構成されていることとも相俟って、上記循環流12´の作用により炉壁 部分2aの炉壁面13cが効果的に冷却される。また、冷却室13で発生する気 泡は、蒸気放出室14の自由水面12b下に気泡滞留領域が存在しないことから 、蒸気放出室14へと上昇し、水蒸気が自由水面12bから放出され、更に蒸気 放出管20へと排出されることになる。すなわち、冷却室13つまり炉内に面す る冷却水貯留領域に蒸気溜が生じないことから、これが過熱されることがなく、 沸騰が冷却室13から蒸気放出室14への方向に生じ、冷却水12が補給路22 から循環路15の上部に補給されることと相俟って、炉壁面13cの冷却が効果 的に行なわれる。なお、蒸気放出室14からの蒸発に伴って水位は低下するが、 この場合、ボールタップ弁25による補給槽16への給水制御により水位は自動 的に回復される。また、沸騰が激しい場合、冷却水12が溢流管21から溢流排 出されるが、かかる溢流水による水位低下も上記同様にして回復される。
【0018】 したがって、各炉壁部分2aにおいては、クリンカの発生が確実に防止され、 その鋼板製炉壁面13cの温度が高温腐食領域まで上昇することがない。
【0019】 また、各冷却室13の上部13aにおける高温水の一部12aは、熱交換器3 3により熱回収された上で補給槽16に循環される。回収熱は熱利用設備34の 熱源として使用され、炉内燃焼ガスの熱エネルギを有効に活用することができる 。しかも、高温水12aの循環により、前述した循環流12´の形成が促進され 、炉壁面13cの冷却効果を高めることができる。また、熱利用設備34の熱負 荷が過大である等により冷却室13の水温が低温腐食温度域まで低下するような 場合には、前述した如く自動弁36により循環水12aの取出しが停止され、温 度回復が図られる。なお、この実施例のものでは、例えば熱利用設備34が給湯 設備又は暖房設備である場合、炉壁面13cにおける1m2 当たり100000 〜200000Kcal/hの吸収熱量を得ることができ、20℃→60℃,2 .5〜5t/hの給湯又は500〜1000m2 ,200Kcal/m2 ・hの 暖房が可能であることが確認されている。
【0020】 ところで、炉内に面する鋼板製周壁部分13cの外表面(炉内側の表面)の温 度(以下「外表面温度」という)は、焼却に伴って発生する酸性ガス(HCl, SOx等)によって鋼板が腐食(低温腐食及び高温腐食)しない適正範囲に維持 されることが必要である。具体的には、低温腐食を生じないためには、水冷壁1 3cの外表面温度t1 が150℃以上に維持されることが必要であり、高温腐食 を生じないためには、上記外表面温度t1 が400℃未満に維持されることが必 要である。
【0021】 ここで、水冷壁13cとして軟鋼板(板厚δは12mmであり、熱伝導率λを 50Kcal/m・h・℃とする)を使用した場合において、150℃≦t1 < 400℃に維持されるための冷却室温度t0 を求めてみる。すなわち、水冷壁1 3cの外表面温度t1 と内表面温度(冷却水12に接触する面の温度)t2 との 間には、水冷壁熱負荷をqとすると、Δt1 =t1 −t2 =q/(λ/δ)の関 係があり、内表面温度t2 と水温t0 との間には、水冷壁13cから冷却水12 への熱伝達率をαとすると、t2 −t0 =q/αの関係がある。したがって、q =100000〜200000Kcal/m2 ・hとし(一般に、廃棄物焼却炉 における燃焼ストーカ部分においては、ストーカ上のごみ層厚さや燃焼状態の変 動を考慮しても、炉壁熱負荷は100000〜200000Kcal/m2 ・h であると認められている)、冷却室13内では冷却水12が上記した如く盛んに 循環されていることからα=4000Kcal/m2 ・h・℃とすると、t1 ≧ 150℃となるためには、t0 ≧101〜52℃(q=100000Kcal/ m2 ・hのときt0 ≧101℃となり、q=200000Kcal/m2 ・hの ときt0 ≧52℃となる)であることが必要であり、t1 <400℃となるため には、t0 <351〜302℃(q=100000Kcal/m2 ・hのときt 0 <351℃となり、q=200000Kcal/m2 ・hのときt0 <302 ℃となる)であることが必要である。
【0022】 而して、上記実施例のものについて、高温水12aからの熱回収を行なわない 状態で連続運転を行い、図3に示す3箇所における鋼板表面温度T1 ,T2 ,T 3 を測定したところ、T1 =96℃,T2 =90〜91℃,T3 =44℃であっ た。したがって、低温腐食回避条件(t0 ≧101〜52℃)を概ね満足してい ることを窺い知ることができ、部分的に核沸騰が生じていても、熱が周辺低温部 に鋼板壁面を伝って移動し、全体として平均的に低温腐食を生じない状態が保た れていると認められる。また、高温腐食回避条件(t0 <351〜302℃)も 満足していることが理解される。実験運転は約1年6ケ月間に亘って継続したが 、周壁部分13cの外表面について損耗は認められず、酸性ガスの影響による腐 食を生じないことが確認された。
【0023】 これらの点から、熱負荷qに応じて鋼板の材質,板厚を適宜に選定することに よって、クリンカの発生を効果的に防止でき、耐久性にも優れた水冷壁構造とな し得ることが理解される。なお、図5には、かかる選定資料として使用されるも のの一例を示してある。すなわち、図5は、軟鋼板(λ=50Kcal/m・h ・℃)又は硬鋼板(λ=30Kcal/m・h・℃)を使用した場合において、 t1 ≧150℃に維持するための板厚δ(mm)と水温t0 (℃)との関係を示 したもので、実線はq=200000Kcal/m2 ・hとした場合、鎖線はq =100000Kcal/m2 ・hとした場合、破線はq=80000Kcal /m2 ・hとした場合(熱負荷qの大幅な変動(低下)を見込む場合)を夫々示 している。
【0024】 なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、本考案の基本原理を逸 脱しない範囲において適宜に改良・変更することができる。
【0025】 例えば、冷却室13の前面周壁部分13cを、図4に示す如く、炉内に露出さ せることなく、炭化珪素系,クロム系等のキャスタブル耐火物層2´cで被覆さ せて、鋼板壁13cの低温腐食等をより確実に防止すべく図るようにしておいて もよい。この場合において、鋼板壁13cに適当数のスタッド13d…を突設し て、耐火物層2´cの接着度を高めておくことが望ましい。
【0026】 また、冷却室13等の形状は任意であり、クリンカ発生防止を図ろうとする炉 壁形状等に応じて適宜に設定することができる。また、冷却液12としては、水 の他、熱媒体油等を使用することができ、必要に応じて適宜に選定することがで きる。更に、周壁構成材も鋼板に限定されないが、一般には、耐食性等を考慮し て鋼板を使用するのがよい。
【0027】 また、冷却室13はクリンカの発生し易い箇所に設置されるものであり、その 設置箇所及び設置数は適用される炉構造等の諸条件に応じて適宜に設定すること ができる。例えば、上記した焼却炉1において、燃焼ストーカ4の両側部分2a ,2aの他、乾燥段3から燃焼段4への落口や燃焼段4から後燃焼段5への落口 等にも冷却室13を設置するようにしてもよい。勿論、本考案が適用される焼却 炉は、上記した階段式ストーカ炉に限定されない。
【0028】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、本考案のクリンカ発生防止装置は、焼却炉に おけるクリンカの発生を、冒頭で述べた如き問題を生じることなく、確実に防止 することができるものであり、構造簡単にして、建設費が安価でメンテナンスも 容易であるといった、極めて実用的価値大なるものである。しかも、熱回収機構 を設けておくことにより、炉内の熱エネルギを有効に活用しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るクリンカ発生防止装置を装備した
焼却炉の一例を示す縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う縦断正面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す縦断正面図である。
【図4】変形例を示す要部の縦断正面図である。
【図5】鋼板を使用した場合における、低温腐食を生じ
ないための板厚と水温との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…焼却炉、2…炉壁、2a…クリンカが発生し易い炉
壁部分、11…クリンカ発生防止装置、12…冷却水
(冷却液)、12a…循環水(循環液)、12b…自由
水面(自由液面)、13…冷却室、14…蒸気放出室、
15…冷却水循環路(冷却液循環路)、16…冷却水補
給槽(冷却液補給槽)、17…熱回収機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 三谷 明彦 大阪府富田林市津々山台5丁目9番16号 (72)考案者 田中 明夫 大阪府松原市小川町486番地 (72)考案者 道山 準一 大阪府守口市八雲東町2丁目18番8号 (72)考案者 福間 義人 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内 (72)考案者 鮫島 良二 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内 (72)考案者 土井 晃一郎 大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号 株式会社タクマ内

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クリンカが発生し易い炉壁部分に、周壁
    を鋼板等の金属板で構成した冷却室を埋設し、この冷却
    室の上部に、炉壁外に位置して自由液面が形成される蒸
    気放出室を連設し、冷却室の上下部間を、炉壁外を通過
    する冷却液循環路で連通接続すると共に、この冷却液循
    環路に、冷却室及び冷却液循環路を冷却液充満状態に保
    持させる冷却液補給槽を連通接続させたことを特徴とす
    る焼却炉におけるクリンカ発生防止装置。
  2. 【請求項2】 冷却室の上部である高温液領域から冷却
    液補給槽に冷却液の一部を強制循環させて、その循環液
    から熱回収する熱回収機構を設けたことを特徴とする、
    請求項1に記載の焼却炉におけるクリンカ発生防止装
    置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008032383A (ja) * 2006-06-28 2008-02-14 Mitsuo Kaneko バーナー

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