JPH067457A - 所与合計量の有効成分を患者に経皮投与するためのイオン導入デバイス - Google Patents

所与合計量の有効成分を患者に経皮投与するためのイオン導入デバイス

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JPH067457A
JPH067457A JP5047464A JP4746493A JPH067457A JP H067457 A JPH067457 A JP H067457A JP 5047464 A JP5047464 A JP 5047464A JP 4746493 A JP4746493 A JP 4746493A JP H067457 A JPH067457 A JP H067457A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被験体に所与の合計量の有効成分を経皮投与
するためのイオン導入デバイスを提供する。 【構成】 前記装置の電極の少なくとも1個は、絶縁支
持体又は特定電子伝導支持体に関連する電気化学的に消
耗可能な材料から形成された消耗電極からなる。単独の
消耗電極又は複数の消耗電極のうちの1つは、制限量の
電気化学的に消耗可能な材料からなり、該制限量は電気
化学的消耗に必要な電気量が、所与の総量の有効成分を
被験体に投与するために必要な電気量に対応するように
選択され、操作の開始時における有効成分の量は前記所
与の総量よりも多量である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所与の合計量の有効成
分を患者に経皮投与するためのイオン導入デバイスに係
わる。
【0002】
【従来の技術】現在多くの疾患の治療において、医薬ま
たは他の有効成分を患者に、制御方式でしかも多くは長
時間にわたって投与することが必要である。薬剤師が使
用可能な多数の方法のなかで、イオン導入法は、薬物の
ような有効成分を患者の体内に投与するのを制御するた
めの有利な方法を与える。1つのかかる方法は、患者の
皮膚を通して送達する有効成分の量だけでなく、その速
度をも制御するために電流を使用することからなる。多
くの場合で、この方法は、電流なしで送達される量と比
較して、電流による有効成分の供給を顕著に増大するこ
とにおいて極めて有効である。
【0003】イオン導入法による有効成分の患者への経
皮投与は一般に、少なくとも一部分はイオン化された形
態または中性形態の有効成分を含む水溶液または水性ゲ
ルから出発し、一方では、投与されるべき有効成分のイ
オンと同じ極性かまたは有効成分が中性である場合には
正の極性を有し、有効成分を含み且つ患者の皮膚の第1
領域と接触して置かれる収容エレメントと接触してい
る、能動電極と称される第1電極と、他方では有効成分
とは反対の極性を有し、第1領域とは離れた患者の皮膚
の第2領域と直接にまたは無関係電解液(indiff
erent electrolyte)を介して置かれ
る、対電極または受動電極と称される第2電極との間
に、電気信号を与えることにより行われる。電極間に電
圧を印加することにより生成された電流が通過する間、
このように生成された回路内で、有効成分のイオンが同
じ極性の電極(能動電極)から患者の皮膚及び組織を通
って反対の極性の電極(対電極)に向かって移動し、患
者の循環系を通過することになる。同様にして、有効成
分の中性分子も、正極から、患者の皮膚及び組織を通っ
て水性電気浸透流内を負極(対電極)に向かって連行さ
れ、やはり患者の循環系を通過することになる。
【0004】イオン導入法によって所与の合計量の有効
成分を患者に投与する公知の方法は、一定強度の電流I
を印加することにより処置を開始し、電気量Q=I×t
が所与の合計量の有効成分を投与するのに必要な理論的
電気量に対応するような時間tの経過後に治療を中止す
ることからなる。このような方法において、電流強度を
一定値に維持することは、皮膚のインピーダンスは時間
によって一定ではなく、更に個人によって、または同じ
個人でも有効成分を投与する場所によって著しく変化し
得るが故に、電極間に印加される電圧に実質的な変動を
もたらし得る。これは、不耐、火傷、場合によっては投
与すべき有効成分が酸化または還元によって破壊される
ことによる二次化合物の形成、多くの場合にあまり容認
されないpHの著しい変化といった現象が現れる結果と
なる。従って、イオン導入回路内に一定強度電流を生成
するのに使用される電気回路において電圧を制限する安
全装置を加える必要があるが、この装置は、それらに伴
なう追加コストに加えて、更なる故障または事故の危険
性を含む。
【0005】イオン導入法によって所与の合計量の有効
成分を患者に投与する別の公知の方法は、電極間に一定
電圧を印加することにより開始し、治療の開始から使用
された電気量を連続的に測定し、前記電気量が、所与の
合計量の有効成分を投与するのに必要な理論的電気量に
対応する値に到達したときに治療を中止することからな
る。この方法の主な欠点は、治療の間に使用された電気
量を測定するために電量計を使用する必要があることで
あり、実際このような装置の存在はイオン導入デバイス
の電気回路の構造を複雑化し、このデバイスの製造及び
その使用はより高くつく。更に、電量計を使用すること
はパルス電流の使用には不適当である。
【0006】本発明者らは、一方で、能動電極に接続さ
れている有効成分溶液を含む媒質と対電極に接続されて
いる無関係電解液を含む媒質、他方で、イオン導入系に
与えられる電気信号が明確化されていれば、患者の皮膚
を通して拡散する有効成分の合計量は、患者ごとにまた
は治療ごとに著しく変化し得る電流密度にはほとんど依
存せず、電極間に流される電流の合計量に比例すること
を見い出した。言い換えれば、電気効率、即ち同じ量の
電流の作用下に皮膚を通して拡散する有効成分の量は、
反応媒質及び電極間に与えられた信号には依存するが、
患者には極めてわずかしか依存しない。かかる知見を使
用し、本発明者らは、イオン導入系の少なくとも一方の
電極を、所定量の電気が通過した後には初期状態に対し
て有意に過電位となるかまたは使用されている電気化学
的連鎖に破断をもたらし、電流が実質的に切断される消
耗電極によって製造することにより、所与の合計量の有
効成分がイオン導入法によって患者の皮膚を通して極め
て単純に投与され得ることを見い出した。
【0007】本発明に従って処置することにより、上述
の従来の既知の欠点にみまわれることなく、所与の合計
量の有効成分をイオン導入法によって経皮的に患者に投
与することができる。
【0008】従って本発明は、所与の合計量の有効成分
を患者に経皮投与するためのイオン導入デバイスであっ
て、一方では少なくとも一部分はイオン化された形態ま
たは中性形態の前記有効成分を含む電解液を収容するよ
う、また他方では患者の皮膚の領域と接触して置かれた
ときに、第1電極と前記領域との間のイオン伝導の連続
性を保証するようにされている収容エレメントと接触し
ており、有効成分のイオンと同じ極性かまたは有効成分
が中性の場合には正の極性を有する、能動電極と称され
る第1電極からなる第1電極アセンブリと、(i)有効
成分と反対の極性を有する、対電極と称される第2電
極、または好ましくは(ii)無関係電解液を含む受容エ
レメントと接触しているタイプの第2電極であって、前
記受容エレメントが、患者の皮膚の一部分と接触して置
かれたときに、該第2電極と前記部分との間のイオン伝
導の連続性を保証するように構成されている第2電極か
らなる第2電極アセンブリと、前記2つの電極に接続さ
れている電気信号発生機とを含むタイプのものであり、
前記収容エレメントと接触している第1電極及び/また
は前記受容エレメントと接触している第2電極が、絶縁
性支持体または導電性支持体のいずれかを伴なう電気化
学的消耗材で形成された消耗電極からなり、前記導電性
支持体が、電流の不在下で電極と係わる電解液による腐
食に耐性を示し、且つ消耗電極がカソードタイプのもの
である場合には電解液の存在下には少なくともアルミニ
ウムに等しい水素過電圧を有するか、または消耗電極が
アノードタイプのものである場合には電気化学的酸化に
よって消耗されない材料でできており、消耗電極が、支
持体と共に限定量の電気化学的消耗材を有しており、限
定量は、電極間の電流の流れが、限定量の消耗材を有し
ており制限消耗電極と称される電極の消耗材が消耗され
たときに事実上破断されるように、その電気化学的消耗
に必要な電気量が、所与合計量の有効成分を患者に投与
するのに必要な電気量に対応するように選択されてお
り、有効成分が処置開始時には収容エレメント内に、患
者に投与されるべき所与の合計量より多い量で存在する
ことを特徴とするデバイスを提供する。
【0009】収容エレメントが、処置の開始時に、投与
されるべき有効成分の所与合計量に等しい量の有効成分
しか含まず、この量が患者の皮膚を通して完全に拡散さ
れるまで電流を通したとすると、この電流は、処置が終
わるころにはとりわけ有効成分以外のイオンを輸送する
よう作用し、これは過剰なエネルギー消費となり、治療
時間も長くなる。従って、上記欠点を避けるために、作
業開始時の収容エレメント内に存在する有効成分の量は
所与の合計量に対して過剰であるのが好ましく、この過
剰は例えば、所与の合計量の約2%〜1000%、特に
約2%〜500%とし得る。
【0010】限定量の電気化学的消耗材とその支持体、
即ち上記特性を有する導電性支持体または絶縁性支持体
の組合せによって形成されている、本明細書においては
“制限消耗電極(limiting consumab
le electrode)”と称する電極は、能動電
極または対電極として使用することができ、アノードタ
イプまたはカソードタイプのものとし得る。いずれの場
合も、電気化学的に消耗されない対電極と共に制限消耗
電極タイプの能動電極を使用するか、または制限消耗電
極タイプの対電極と共に電気化学的に消耗されない能動
電極を使用することができる。更に、両方が消耗電極で
あるが、一方は制限消耗電極であり他方は非制限消耗電
極である、能動電極及び対電極を使用することもでき
る。非制限消耗電極(non−limiting co
nsumable electrode)なる用語は、
制限消耗電極の電気化学的消耗材の量を消耗する電気量
の通過によって消耗されるであろう量に対して過剰の量
の電気化学的消耗材を有する電極を意味して使用する。
【0011】カソードタイプの消耗電極においては、そ
れが制限消耗電極であろうと非制限消耗電極であろう
と、電気化学的消耗材は還元によって消耗される。これ
は、金属イオンが対応する金属に電気化学的に還元され
得るイオン化可能な金属化合物から選択するのが有利と
なり得る。このような金属化合物としては、非限定的に
は化合物AgCl及びCuClを挙げることができる。
【0012】アノードタイプの消耗電極においては、そ
れが制限消耗電極であろうと非制限消耗電極であろう
と、電気化学的消耗材は酸化によって消耗される。これ
は、電気化学的酸化によって消耗される金属、特にA
l、Cu、Mg、Zn及びAgのような金属から選択し
得る。
【0013】制限消耗電極の支持体は、絶縁性材料、特
にポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、ポリアミド
のような絶縁性有機プラスチック材料または前述の特性
を有する金属もしくは非金属導電性材料から製造するこ
とができるが、かかる導電性材料は、制限消耗電極がカ
ソードである場合には、チタン、アルミニウム、銀、タ
ンタル、バナジウム、ステンレススチール、亜鉛、炭
素、黒鉛または伝導性ポリマーのようなもの、また制限
消耗電極がアノードである場合には、白金、チタン、ス
テンレススチール、金、炭素、黒鉛及び伝導性ポリマー
のようなものが有利となり得る。非制限消耗電極もまた
制限消耗電極と同様の構造を有し得、従って上述のごと
き支持体を含み得る。
【0014】本発明のデバイスにおいてカソードとして
使用可能な制限消耗電極または非制限消耗電極の非限定
的な例としては、銀、銅、ステンレススチール、チタ
ン、炭素、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは伝導性
ポリマー支持体上のAgClまたはCuClをベースと
する電極を挙げることができる。本発明のデバイスにお
いてアノードとして使用可能な制限消耗電極または非制
限消耗電極の例としては、非限定的には、Al、Ag、
Cu、Mg及びZnから選択された電気化学的酸化によ
って消耗可能な金属をベースとする非制限電極、及び、
ポリプロピレンもしくはポリエチレンのような絶縁性支
持体、またはチタン、ステンレススチール、白金、炭
素、黒鉛及び伝導性ポリマーから選択された導電性支持
体上に堆積された上記のごとき金属をベースとする制限
電極を挙げることができる。
【0015】先に述べたように、制限消耗電極の電気化
学的消耗材は、該電極内に、電気化学的消耗に必要な電
気量が、所与の合計量の有効成分を患者に投与するのに
使用される電気量に対応するような量で存在する。使用
するイオン導入系、即ち能動電極と対電極とに接触して
いる反応媒質と、電極間に与えられる電気信号と、前記
電極の特性とに実質的に依存するこの後者の電気量は、
使用する各種のイオン導入系に対して事前テストによっ
て決定される。
【0016】本発明のデバイスにおいて能動電極または
対電極として使用される、電気化学的に消耗されない電
極は、イオン導入法に通常使用されている電気化学的に
消耗されない電極のなかから選択し得る。特に、炭素、
白金、チタン、ステンレススチール、黒鉛または伝導性
ポリマーでできた電極を使用することができる。
【0017】発電機は、強度を測定基準とする信号(i
ntensiometric signal)、即ち例
えば一定の平均強度設定信号(強度一定信号)、または
好ましくは、電圧を測定基準とする信号(potent
iometric signal)、即ち例えば一定の
平均電圧設定信号(電圧一定信号)を能動電極と対電極
との間に与える。強度一定タイプまたは電圧一定タイプ
の電気信号は、連続またはパルス状、恒常的または間欠
的、更に一時的な極性反転を含むまたは含まないものと
し得る。周波数は0〜500kHz、特に0〜100k
Hzとすることができる。電気信号がパルス状である場
合には、この信号は0.05〜0.95、特に0.1〜
0.8の衝撃係数、即ちその繰返しによってパルス信号
が形成される単位パルスの継続時間と、連続して出現し
た2つの単位パルスを分ける間隔時間との比を有し得
る。
【0018】能動電極と対電極との間に与えられる信号
の平均電圧は、電極間に生成される平均電流強度が5m
A/cm2未満、特に1mA/cm2以下、例えば0.0
3〜0.5mA/cm2の値を有するように、0.1〜
50ボルト、特に0.5〜20ボルトで選択される。
【0019】本発明のデバイスの電気信号発生機は、連
続またはパルス状、恒常的または間欠的、更に一時的極
性反転を含むまたは含まないものであって、上述の特性
を有する平均強度設定または平均電圧設定電気信号を発
生し得る任意の公知のタイプのものとし得る。
【0020】収容エレメント内に能動電極と接触して存
在する電解液は、少なくとも一部分はイオン化した形態
または中性形態の投与されるべき有効成分を含む水溶液
または粘着質もしくはそうでない水性ゲルを含むのが有
利である。同様に、場合によっては対電極と接触してい
る無関係電解液は、少なくとも部分的には、水溶液また
は粘着質もしくはそうでない水性ゲルの形態である。か
かる水溶液またはゲルは、収容エレメント内に存在する
電解液または無関係電解液の全部を構成することもでき
るし、またはこれらの電解液の一部のみを占め、電極と
皮膚の間のイオン伝導の連続性を壊さないよう且つ電極
と皮膚の間の粘着度を増大するように選択された、電解
液の残りの部分を形成する非水性媒質中に分散されてい
てもよい。かかる水溶液または水性ゲルは、イオン導入
法において良く知られているように得ることができる。
水性ゲルまたは濃水溶液の例は特に米国特許出願第4,
764,164号及び米国特許出願第3,163,16
6号にそれぞれ記載されている。
【0021】有効成分を含む水性媒質、及び無関係電解
液を構成する水性媒質は、イオン導入法においては良く
知られているように、該媒質のpHを調節し得る緩衝剤
を含むこともできる。更に、可逆的消耗電極(reve
rsible consumable electro
de)を使用することにより、緩衝剤源なくして該水性
媒質のpHを調節することもでき、こうすると、有効成
分を含む水性媒質から皮膚に異質イオンが導入するのを
避けたり、または少なくとも大幅に低減することができ
る。
【0022】本発明のイオン導入デバイスによって、種
々の有効成分、特に、例えばインシュリン、メトプロロ
ール(metoprolol)、ヒドロコドン(hyd
rokodone)、テトラサイクリン、サルブタモー
ル(salbutamol)、バルプロン酸(valp
roic acid)、プロプラノロール、アルギニン
−デスモプレシン(arginin−desmopre
ssin)、デスポプレシン(despopressi
n)等の治療用分子を患者に経皮投与し得る。
【0023】本発明のデバイスは、一方の電極、即ち能
動電極または対電極を本発明の制限消耗電極、即ち上述
の電極で置き換えるように改良された任意の公知のイオ
ン導入デバイスから出発して製造することができる。
【0024】特に本発明のデバイスは、腕輪によって固
定したり場合によっては皮膚に接着される、各々が50
cm2未満、特に1〜40cm2の面積を有する電極と、
小型電気信号発生機とを含む携帯用自蔵式デバイスとす
ることができる。従って本発明の自蔵式携帯用デバイス
は、一方の電極が本発明の制限消耗電極であり、この制
限電極及び非制限電極は各々が50cm2未満、特に1
〜40cm2の面積を有するという条件で、例えば米国
特許出願第4,325,367号、米国特許出願第4,
557,723号、欧州特許出願第0,060,452
号及び仏国特許出願第2,509,182号に記載の自
蔵式携帯用イオン導入デバイスと類似の構造を有し得
る。例えば、銀、銅、炭素、ポリプロピレン、ポリエチ
レンまたは伝導性ポリマー支持体上のAgClまたはC
uClをベースとするカソードタイプの制限消耗電極を
使用し、非制限電極、即ち従来のアノードであり得るア
ノードは、例えばチタン、Pt、ステンレススチールの
ような金属もしくは金属合金、または炭素もしくは黒鉛
のような非金属性導電性材料でできたアノード、非可逆
的もしくは可逆的消耗アノード、例えば場合によっては
ポリプロピレンまたはポリエチレンのような絶縁性支持
体またはチタン、ステンレススチール、白金、炭素、黒
鉛及び伝導性ポリマーから選択される導電性支持体上に
堆積されたAl、Cu、Mg、Zn及びAgのような金
属でできたアノードとすることができる。また、例えば
ポリプロピレン、ポリエチレン、チタン、ステンレスス
チール、白金、炭素、黒鉛または伝導性ポリマー支持体
上に堆積されたAl、Ag、Cu、Mg及びZnから選
択される金属をベースとするアノードタイプの制限消耗
電極を使用し、非制限電極、即ち従来のカソードであり
得るカソードは、例えば炭素、黒鉛、チタン、ステンレ
ススチールもしくは伝導性ポリマーでできたカソード、
または、例えば銀、銅、炭素、ポリプロピレン、ポリエ
チレンもしくは導電性ポリマー支持体上のAgClもし
くはCuClをベースとする非制限消耗カソードとする
ことができる。
【0025】非限定的な以下の実施例によって本発明を
更に説明する。
【0026】
【実施例】実施例1イオン導入によるナトリウム塩形態のフルオ
レセインの経皮導入の検討 同一構造のイオン導入セルで操作した。各イオン導入セ
ルは相互に隣接する断面積2cm2の2つの同軸状円柱
形コンパートメント、即ち供与コンパートメントと受容
コンパートメント乃至対電極コンパートメントから構成
し、これらの2つのコンパートメントは経皮拡散試験用
膜として使用されるヌードラット皮膚片(OFA hr
/hr)により相互に気密に分離した。容積3mlの供
与コンパートメントには、フルオレセインのナトリウム
塩の0.1重量%水溶液を充填し、溶液をホモジナイズ
するための磁気棒を取り付けた。供与コンパートメント
と同様の受容コンパートメント乃至対電極コンパートメ
ントには、NaN3500重量ppmを加えた生理食塩
水を充填し、同様に磁気棒により撹拌した。受容コンパ
ートメントと反対側の供与コンパートメントの端部に
は、予め塩化しておいた(chloridised)、
厚さ25μm及び作用表面積2cm2の純銀フィルムか
ら構成される電極を配置した。この塩化は10mAの直
流を流すことにより電気化学的に行い、前記銀フィルム
は0.1N塩酸浴に浸漬させ、同様に同一のHCl浴に
浸漬させた銅電極に対して正極を構成するようにし、回
路に接続した電量計により電流量を制御し、銀フィルム
上に所望量のAgClを形成するようにした。対電極コ
ンパートメントには2cm2の弱塩化銀電極(elec
trode of slightly chlorid
ised silver)を配置した(AgCl量は
0.1クーロン/cm2に対応する)。各電極の塩化面
をラット皮膚膜の側に向けた。
【0027】ラット皮膚サンプルは、皮下組織を除去
し、NaN30.05重量%を加えた生理食塩水に室温
で15分間通した後、イオン導入セルに入れるまで皮膚
面が受容コンパートメント側に向くようにして−40℃
で凍結することにより保存しておいた。
【0028】実施した試験の各々は、4個の同様のイオ
ン導入セル(セルA、B、C及びD)で同時に開始し
た。有効交換表面積は各皮膚とも2cm2であった。
【0029】交流発電器により、ピーク電圧4V、衝撃
係数30%及び周波数20kHzの電圧を測定基準とす
るタイプの電気信号を、並列に接続した4個のセルの電
極間に同時に設定した。100Ωの抵抗を回路に直列に
接続した。
【0030】この抵抗の端子の電圧を監視し、該電圧の
急激な降下を検出することにより、どの時点で塩化銀が
完全に消費されたかを検出した。
【0031】発電器により発生された交流を6時間流
し、フルオレセインを含むセルの各供与コンパートメン
トを該発電器の負極に接続し、セルの対電極を正極に接
続した。
【0032】前記時間後、受容コンパートメントに含ま
れる媒体を採取し、各セルの供与コンパートメントと受
容コンパートメントとを分離する皮膚を通過したフルオ
レセインの量を蛍光定量法により定量した。
【0033】5種の試験1a〜1eは次のように行っ
た。
【0034】・試験1a:6時間にわたって受動的経皮
拡散を決定するために、電極に電流を流さなかった。
【0035】・試験1b:供与コンパートメント内の塩
化銀電極のAgCl含有量を20クーロンに対応する
量、即ちイオン導入操作の運転時間(6時間)中に消費
され得る量よりも著しく多くした(非制限電極)。
【0036】・試験1c〜1e:供与コンパートメント
内の塩化銀電極のAgCl含有量を夫々1クーロン(試
験1c)、2クーロン(試験1d)及び4クーロン(試
験1e)に対応する量、即ちイオン導入操作の運転時間
(6時間)中に消費され得る量よりも少なくした(制限
電極)。
【0037】試験の各々で各セル毎に以下の値、即ち: −受容コンパートメント内に6時間で拡散したフルオレ
セインの総量Q、 −供与コンパートメントの電極の活動時間、即ち制限電
極を用いない試験1a及び1bの場合にはイオン導入操
作時間、制限電極を用いる試験1c〜1eの場合には制
限電極の塩化銀が消耗されるまでの時間、 −量Qを活動時間及び電極の表面積で除した商を表す流
束F、及び −クーロンで表した消費塩化銀量に対する量Qの比Q/
nを決定した。
【0038】得られた結果を表1に示す。
【0039】
【表1】 実施例2バルプロン酸ナトリウム(イソオクタン酸ナ
トリウム)の経皮導入の検討 実施例1で使用したセルと同一構造を各々有するイオン
導入セルで操作した。各セルとも、供与コンパートメン
トには殺菌剤としてNaN3500ppmを加えた5重
量%バルプロン酸ナトリウム水溶液を充填し、受容コン
パートメント乃至対電極コンパートメントには実施例1
で使用したと同一の液体を充填した。受容コンパートメ
ントと反対側の供与コンパートメントの端部には、実施
例1に記載したような方法で予め塩化しておいた厚さ2
5μm及び作用表面積2cm2の純銀フィルムから構成
される電極を配置し、対電極コンパートメントには2c
2の弱塩化銀電極(0.1クーロン/cm2に対応する
塩化銀量)を配置し、各電極の塩化面をラット皮膚膜の
側に向けた。
【0040】ラット皮膚サンプルは実施例1に記載した
ように作成した。
【0041】実施した試験の各々は、4個の同様のイオ
ン導入セル(セルA、B、C及びD)で同時に開始し
た。有効交換表面積は各皮膚とも2cm2であった。
【0042】交流発電器により、ピーク電圧2V、衝撃
係数70%及び周波数10kHzを有する電圧を測定基
準とするタイプの電気信号を、並列に接続した4個のセ
ルの電極間に同時に設定した。100Ωの抵抗を回路に
直列に接続した。
【0043】この抵抗の端子の電圧を監視し、該電圧の
急激な降下を検出することにより、どの時点で塩化銀が
完全に消費されたかを決定した。
【0044】発電器により発生した交流は6時間流し、
バルプロン酸ナトリウムを収容する各セルの供与コンパ
ートメントの電極を該発電器の負極に接続し、セルの対
電極を正極に接続した。
【0045】前記時間後、各セルの受容コンパートメン
トに含まれる媒体を採取し、各セルの供与コンパートメ
ントと受容コンパートメントとを分離する皮膚を通過し
たバルプロン酸ナトリウムの量を定量した。
【0046】4種の試験2a〜2dは次のように行っ
た。
【0047】・試験2a:6時間にわたって受動的経皮
拡散をを決定するために、電極に電流を流さなかった。
【0048】・試験2b:各セルの供与コンパートメン
ト内の塩化銀電極のAgCl含有量を30クーロンに対
応する量、即ちイオン導入操作の運転時間(6時間)中
に消費され得る量よりも著しく多くした(非制限電
極)。
【0049】・試験2c及び2d:各セルの供与コンパ
ートメント内の塩化銀電極のAgCl含有量を夫々6ク
ーロン(試験2c)及び12クーロン(試験2d)に対
応する量、即ちイオン導入操作の運転時間(6時間)中
に消費され得る量よりも少なくした(制限電極)。
【0050】試験の各々で各セル毎に以下の値: −受容コンパートメント内に6時間で拡散したバルプロ
ン酸の総量Q、 −供与コンパートメントの電極の可逆性時間、即ち制限
電極を用いない試験2a及び2bの場合にはイオン導入
操作の持続時間、制限電極を用いる試験2c及び2dの
場合には制限電極の塩化銀が消耗されるまでの時間、 −量Qを活動時間及び電極の表面積で除した商を表す流
束F、及び −クーロンで表した塩化銀消費量に対する量Qの比Q/
nを決定した。
【0051】得られた結果を表2に示す。
【0052】
【表2】 実施例1及び2で得られ、表1及び2に夫々示した結果
から明らかなように、受動経路により拡散される流束及
び量(表1、試験1a及び表2、試験2a)は、46.
4〜50%の変動率が示すように非常に再現性が低い。
一定ピーク電圧信号を同一時間電極に加えた場合に非制
限電極を用いるイオン導入により拡散される量について
も同様のことが言える(表1、試験1b及び表2、試験
2b)。これは主に、皮膚の構造の差異が大きいことか
ら、受動的拡散及びインピーダンスが個々に著しく異な
るためである。
【0053】本発明により得られた結果(表1、試験1
c〜1e並びに表2、試験2c及び2d)を検討する
と、同一静電容量を有する(即ち同一量のAgClを含
有する)可逆電極の使用時間の変動が大きいことから明
らかなように実験毎のイオン導入電流が著しく異なるに
も拘わらず、6時間で放出される有効成分の総量は電極
の容量、実際にはシステムにより消費される総電流量に
正比例し、変動率は従来方法の5分の1〜10分の1で
ある。これは、電気効率即ちイオン導入法で使用された
電流量に対する拡散した有効成分の量の比(Q/n)の
再現性が高いことを意味する。
【0054】本発明の制限電極は、与えられた総電流量
を制限することが可能であり、投与すべき有効成分の所
与の総量に対応する所定の電流量に到達したときに、複
雑及び/又は高価な電子素子を必要とすることなしに、
電流を遮断又は少なくとも著しく低下させることが可能
な化学的カウンターとして機能する。
【0055】更にこの効果は、直流であるか交流である
かに関係なく特に得易い一定ピーク電圧を電極間、従っ
て皮膚に印加することにより得られたという点に留意す
べきである。このアプローチは、印加電圧が適切に選択
されるならば、有効成分、周囲媒体又は皮膚の酸化又は
還元という副反応を生じず、毒性又は許容し難い副産物
が出現しないので最も安全である。
【0056】電極容量が調節されない装置(実施例、試
験1b及び実施例2、試験2b)を用いて分配される電
流量を同様に制御するためには、設定電圧で装置により
発生される電流量を計数する装置(電量計)を配置する
か又は、装置が一定強度の電流を供給する場合には処理
適用時間を厳密に制御することが必要である。前者の場
合、電子装置は特に交流の場合に製造費用が高く且つ困
難であるが、危険は少なく、後者の場合、不良接触の結
果として又は被験体によってインピーダンスが異常に高
い結果として、装置は過度に高い電圧に達し、皮膚許容
度の観点で又は有効成分を破壊する無制御反応の出現に
より危険になる。従って、このような装置にタイムスイ
ッチ以外に電極の電圧を制限する装置を組み込むことが
不可欠である。その結果、余分に費用がかかり、信頼性
が低下する危険がある。
【0057】実施例3:アルミニウムをベースとする制
限対電極によるバルプロン酸ナトリウムの経皮導入の検
実施例1で使用したセルと同一構造を各々有するイオン
導入セルで操作した。各セルとも供与コンパートメント
(カソードコンパートメント)には殺菌剤としてNaN
3500ppmを加えた10重量%バルプロン酸ナトリ
ウム水溶液を充填した。受容コンパートメント乃至対電
極コンパートメント(アノードコンパートメント)には
pH7の緩衝生理食塩水を充填した。受容コンパートメ
ントと反対側の供与コンパートメントの端部には、作用
表面積2cm2を有しており且つ4クーロン/cm2に対
応する量のAgClを含有する塩化銀電極を配置した。
対電極コンパートメントには、厚さ200nmのアルミ
ニウムデポジットで被覆したポリプロピレンシート(こ
のアルミニウム被覆ポリプロピレンシートは市販品であ
る)から切り取った2cm2の電極を配置した。対電極
上に存在するアルミニウム量は0.6クーロン/cm2
に対応した。銀エポキシド型の電子伝導性ワニスで予め
被覆した金属コンパートメントの一部に配置したジョー
クランプにより接触させた。供与コンパートメントの電
極の塩化面と受容コンパートメントの制限電極のアルミ
ニウムデポジットをラット皮膚膜の側に向けた。
【0058】ラット皮膚サンプルは実施例1に記載した
ように作成した。
【0059】本実施例では、4個の同様のイオン導入セ
ル(セルA、B、C及びD)を使用した。有効交換表面
積は各皮膚とも2cm2であった。
【0060】商品名PHORESOR(登録商標)で市
販されている装置を使用して、各セルのアノード及びカ
ソード間に生成される電圧に関係なく一定強度0.6m
A(電流密度0.3mA/cm2)を有する直流を4個
のイオン導入セルの各々の電極に設定した。
【0061】電量計をセルの電気回路に接続して、回路
の全体を通過した直流電流の量をクーロンとして直接測
定し、電圧計を並列に接続して、セルのアノード及びカ
ソード間の電圧値を測定した。
【0062】電流は、バルプロン酸ナトリウムを収容す
る各セルの供与コンパートメントの電極が関連する発電
器の負極に接続され、セルの対電極が該発電器の正極に
接続されるように加えた。
【0063】開始後、各セルはポリプロピレンフィルム
上に堆積されたアルミニウムアノードの完全な消耗によ
り電流が遮断されるまで作動した。開始から6時間後、
各セルの受容コンパートメントに含まれる媒体を採取
し、各セルの供与コンパートメントと受容コンパートメ
ントとを分離する皮膚を通過したバルプロン酸ナトリウ
ムの量を定量した。
【0064】セルの各々について以下の値、即ち: −セルの電気回路に配置した電量計で読み取られる電流
量K、 −セルの電極間で測定される平均電圧V、 −実験開始からアノードのアルミニウムの完全消費によ
り電流が遮断されるまでの経過時間t、 −実験中に受容コンパートメント内に拡散したバルプロ
ン酸の総量Q、及び −クーロンで表した電流量Kに対するアルミニウム総消
費量の比(Q/K)を決定した。
【0065】得られた結果を表3に示す。
【0066】
【表3】 表3に示した結果から以下の点に留意することができ
る。
【0067】・アルミニウムをベースとする全電極はア
ルミニウム被覆ポリプロピレンシートの同一サンプルか
ら切り取り、相互に非常に近接する電気容量を有してお
り、アルミニウム被覆ポリプロピレンシートのこの品質
は電解質との接触面上のアルミニウムデポジットを完全
に消費させ得ることが予想外に判明した。
【0068】・実験時間は非常に再現性が高く、従っ
て、電極は消費電流量の電気化学的カウンターとして十
分良好に機能したことが判明した。
【0069】・電極間で測定した電圧のレベルに著しい
偏差が観察された。これらの偏差は試験により皮膚のイ
ンピーダンスが著しく異なるためである。より高い電流
を加える場合、又は皮膚と有効成分槽及び/又は有効成
分に関連する電極との間の接触が不備である場合、これ
らの電圧は許容し難いような値又は望ましくない副反応
を生じるような値に達し得ることが理解されよう。
【0070】・これらの著しい電圧変動にも拘わらず、
各実験中に皮膚を通過した有効成分の量は十分な再現性
を示し、各制限電極の容量に完全に相関する。
【0071】・従って、アルミニウムをベースとする制
限電極即ち制御された電気容量を有する電極は、この一
定強度接続の場合にタイマーカウンターとして首尾よく
機能し、電子又は機械的装置が不要であるため、費用の
増大や、潜在使用者自身が皮膚に装着するように構成さ
れている場合には重量増加の問題がなく、全く安全に使
用できる。
【0072】実施例4:アルミニウムをベースとする制
限対電極及び交流印加電圧によるバルプロン酸ナトリウ
ムの経皮導入の検討 実施例1で使用したとセルと同一構造を各々有するイオ
ン導入セルで操作した。各セルとも供与コンパートメン
ト(カソードコンパートメント)には殺菌剤としてNa
3500ppmを加えた10重量%バルプロン酸ナト
リウム水溶液を充填し、受容コンパートメント乃至対電
極コンパートメントにはpH7の緩衝生理食塩水を充填
した。受容コンパートメントと反対側の供与コンパート
メントの端部には、作用表面積2cm2を有しており且
つ4クーロン/cm2に対応する量の塩化銀を含有する
塩化銀電極を配置した。対電極コンパートメントには、
厚さ200nmのアルミニウムデポジットで被覆したポ
リプロピレンシートから切り取った2cm2の電極を配
置し、対電極上に存在するアルミニウム量は0.6クー
ロン/cm2に対応した。銀エポキシド型の電子伝導ワ
ニスで被覆した金属コーティングの一部の上に配置した
ジョークランプにより接触させた。供与コンパートメン
トの電極の塩化面及び受容コンパートメントの制限電極
のアルミニウムデポジットをラット皮膚膜の側に向け
た。
【0073】ラット皮膚サンプルは実施例1に記載した
ように作成した。
【0074】本実施例は、4個の同様のイオン導入セル
(セルA、B、C及びD)で同時に開始した。有効交換
表面積は各皮膚とも2cm2であった。
【0075】交流発電器により、ピーク電圧3V、衝撃
係数50%及び周波数30kHzを有する電圧を基準と
するタイプの電位差計型の電気信号を、並列に接続した
4個のセルの電極間に同時に設定した。100Ωの抵抗
を回路内で直列に接続した。
【0076】この抵抗の端子の電圧を監視し、電圧の急
激な降下を検出することにより、どの時点で制限電極の
アルミニウムが完全に消費されたかを決定した。
【0077】発電器により供給される交流を6時間加
え、バルプロン酸ナトリウムを含む各セルの供与コンパ
ートメントの電極を該発電器の負極に接続し、セルの対
電極を正極に接続した。
【0078】前記時間後、各セルの受容コンパートメン
トに含まれる媒体を採取し、各セルの供与コンパートメ
ントと受容コンパートメントとを分離する皮膚を通過し
たバルプロン酸ナトリウムの量を定量した。
【0079】セルの各々について以下の値、即ち: −受容コンパートメント内に6時間(実験時間)で拡散
したバルプロン酸の総量Q、 −電流がイオン導入に有効な値を有している時間、即ち
対電極のアルミニウムが完全に消費されるまでの時間
t、 −量Qを時間t及び電極の表面積で除した商を表す流束
F、 −0.21クーロン(実施例3の平均値)とする消費ア
ルミニウム量に対する量Qの比Q/nを決定した。
【0080】得られた結果を表4に示す。
【0081】
【表4】 表4に示す結果から以下の結論を得た。
【0082】・実験時間は非常にばらつきがあり、各皮
膚サンプルのインピーダンスに明らかに依存する。
【0083】・経皮流束Fは各実験毎に著しく異なる。
【0084】・信号の活動時間tのばらつきが大きいに
も拘わらず、放出される量Q及び比Q/nの値に対応す
る標準偏差は低く、これらのQ及びQ/nの値は非常に
再現性が高いことが認められる。
【0085】・加えた電流は全く異なるにも拘わらず、
比Q/nは実施例3の比Q/nと同一オーダーであっ
た。
【0086】実施例5:アルミニウムをベースとする制
限対電極及び直流印加電圧によるバルプロン酸ナトリウ
ムの経皮導入の検討 バルプロン酸ナトリウム水溶液の濃度を15重量%と
し、アルミニウムの真空スパッタリングによりアルミニ
ウムを増大させたコーティングを有するアルミニウム被
覆ポリプロピレンシートから約400nmのアルミニウ
ム厚さを有する対電極を切り取り、交流発電器の代わり
に、1.5Vの直流電圧を発生する直流発電器を使用
し、電量計及びミリアンペア計を各イオン導入セルと直
列に接続した以外は、実施例4と同様に操作した。
【0087】4個のセルA、B、C及びDの各々につい
て以下の値、即ち: −受容コンパートメント内に実験時間(6時間)中に拡
散したバルプロン酸の総量Q、 −電流がイオン導入に有効な値を有している時間、即ち
対電極のアルミニウムが完全に消費されるまでの時間
t、 −時間tの終わりに電量計で読み取られる電流量K、 −ミリアンペア計で読み取られる電流の平均強度I、 −量Qを時間t及び電極の表面積で除した商を表す流束
F、及び −クーロンで表した消費アルミニウム量Kに対する量Q
の比Q/Kを決定した。
【0088】得られた結果を表5に示す。
【0089】
【表5】 表5の結果から以下の結論が得られる。
【0090】・有害な酸化還元副反応を避ける唯一の手
段である定電圧では、電流の強度及び持続時間は実験毎
に著しく異なる。
【0091】・逆に、皮膚を通って拡散した有効成分の
総量は非常に再現性が高い。
【0092】・本実施例では供与コンパートメント内の
有効成分(バルプロン酸ナトリウム)の濃度が高かった
ため、本実施例でクーロン当たりに拡散される量は実施
例3及び4よりもやや多い。
【0093】以上の実施例から明らかなように、電気信
号が交流であるか直流であるか、電気信号が設定ピーク
電圧を有するか設定強度を有するかに関係なく、本発明
で提案するようにシステムで制限電極を使用することに
より、皮膚を通って放出される有効成分の量を十分に制
御することができ、有効成分を過剰に投与する必要も、
イオン導入用電気信号を発生する装置以外の電子装置を
使用する必要もなしに確実に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ダニエル・ミユレール フランス国、64000・ポー、リユ・フレデ リク・ミストラル、12 (72)発明者 ジヤン−ピエール・シモナン フランス国、75009・パリ、リユ・コンド ルセ、70

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所与の合計量の有効成分を患者に経皮投
    与するためのイオン導入デバイスであって、一方では少
    なくとも一部分はイオン化された形態または中性形態の
    前記有効成分を含む電解液を収容するよう、また他方で
    は患者の皮膚の領域と接触して置かれたときに、第1電
    極と前記領域との間のイオン伝導の連続性を保証するよ
    うにされている収容エレメントと接触しており、有効成
    分のイオンと同じ極性かまたは有効成分が中性の場合に
    は正の極性を有する、能動電極と称される第1電極から
    なる第1電極アセンブリと、(i)有効成分と反対の極
    性を有する、対電極と称される第2電極、または好まし
    くは(ii)無関係電解液を含む受容エレメントと接触し
    ているタイプの第2電極であって、前記受容エレメント
    が、患者の皮膚の一部分と接触して置かれたときに、該
    第2電極と前記部分との間のイオン伝導の連続性を保証
    するように構成されている第2電極からなる第2電極ア
    センブリと、前記2つの電極に接続されている電気信号
    発生機とを含むタイプのものであり、前記収容エレメン
    トと接触している第1電極及び/または前記受容エレメ
    ントと接触している第2電極が、絶縁性支持体または導
    電性支持体のいずれかを伴なう電気化学的消耗材で形成
    された消耗電極からなり、前記導電性支持体が、電流の
    不在下で電極と係わる電解液による腐食に耐性を示し、
    且つ前記消耗電極が負極もしくはカソードである場合に
    は前記電解液の存在下には少なくともアルミニウムに等
    しい水素過電圧を有するか、または前記消耗電極が正極
    もしくはアノードである場合には電気化学的酸化によっ
    て消耗されない材料でできており、前記消耗電極が、前
    記支持体と共に限定量の電気化学的消耗材を有してお
    り、前記限定量は、前記電極間の電流の流れが、前記限
    定量の消耗材を有しており制限消耗電極と称される電極
    の消耗材が消耗されたときに事実上破断されるように、
    その電気化学的消耗に必要な電気量が、所与合計量の有
    効成分を患者に投与するのに必要な電気量に対応するよ
    うに選択されており、前記有効成分が処置開始時には収
    容エレメント内に、患者に投与されるべき所与の合計量
    より多い量で存在することを特徴とするデバイス。
  2. 【請求項2】 前記処置開始時に収容エレメント内に存
    在する有効成分の量が、投与されるべき有効成分の所与
    の合計量に対して約2%〜1000%、特に約2%〜5
    00%過剰であることを特徴とする請求項1に記載のデ
    バイス。
  3. 【請求項3】 前記能動電極が制限消耗電極であり、前
    記対電極が電気化学的に消耗されない電極であることを
    特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
  4. 【請求項4】 前記能動電極が電気化学的に消耗されな
    い電極であり、前記対電極が制限消耗電極であることを
    特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
  5. 【請求項5】 前記能動電極及び対電極の両方が電気化
    学的消耗電極であり、これらの電極の一方が制限消耗電
    極であり、他方が非制限消耗電極、即ち制限消耗電極の
    電気化学的消耗材の量を消耗する量の電気の通過によっ
    て消耗されるであろう量に対して過剰量の電気化学的消
    耗材を有する電極であることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のデバイス。
  6. 【請求項6】 前記制限消耗電極または非制限消耗電極
    がアノードとして使用されており、前記電極の電気化学
    的消耗材が、電気化学的酸化によって消耗可能な材料、
    特にAl、Cu、Mg、Zn及びAgのような金属から
    選択されていることを特徴とする請求項3から5のいず
    れか一項に記載のデバイス。
  7. 【請求項7】 前記アノードタイプの消耗電極が、A
    l、Ag、Cu、Mg及びZnから選択された金属をベ
    ースとする非制限電極であるか、または、ポリプロピレ
    ンもしくはポリエチレンのような絶縁性支持体またはチ
    タン、ステンレススチール、白金、炭素、黒鉛及び伝導
    性ポリマーから選択された導電性支持体上に堆積された
    前記金属をベースとする制限電極であることを特徴とす
    る請求項6に記載のデバイス。
  8. 【請求項8】 前記制限消耗電極または非制限消耗電極
    がカソードとして使用されており、前記電極の電気化学
    的消耗材が、金属イオンが対応する金属に電気化学的に
    還元され得るイオン化可能な金属化合物、特に化合物A
    gCl及びCuClから選択されていることを特徴とす
    る請求項3から5のいずれか一項に記載のデバイス。
  9. 【請求項9】 前記カソードタイプの消耗電極が化合物
    AgClまたはCuClをベースとする電極であり、前
    記化合物が、銅、銀、ステンレススチール、チタン、炭
    素、ポリプロピレン、ポリエチレンまたは伝導性ポリマ
    ーの支持体上に堆積されていることを特徴とする請求項
    8に記載のデバイス。
  10. 【請求項10】 前記電気信号発生機が前記能動電極と
    前記対電極との間に、強度を測定基準とする信号、即ち
    平均強度設定信号、または電圧を測定基準とする信号、
    即ち平均電圧設定信号を与え、前記信号が連続またはパ
    ルス状、恒常的または間欠的、更に一時的極性反転を含
    むまたは含まないものであり、且つ0〜500kHz、
    特に0〜100kHzの周波数を有することを特徴とす
    る請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
  11. 【請求項11】 前記電気信号が、0.05〜0.9
    5、特に0.1〜0.8の衝撃係数、即ちその繰返しに
    よってパルス信号が形成される単位パルスの継続時間
    と、連続して出現する2つの単位パルスを分ける間隔時
    間との比を有することを特徴とする請求項10に記載の
    デバイス。
  12. 【請求項12】 前記能動電極と対電極との間に与えら
    れた電気信号が電圧を測定基準とするタイプのものであ
    り、前記電極間に生成される平均電流強度が5mA/c
    2未満、特に1mA/cm2以下、例えば0.03〜
    0.5mA/cm2の値を有するように、0.1〜50
    ボルト、特に0.5〜20ボルトの平均電圧を有するこ
    とを特徴とする請求項10または11に記載のデバイ
    ス。
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