JPH0674340A - 高圧処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 支持フレームの下枠部1a側にシリンダー体４
を支持し、このシリンダー体４に形成されたシリンダー
室５内に、圧力室７を有する圧力容器６を出退自在に配
置するとともに、上記シリンダー室５内に、被処理物お
よび圧力媒体が挿入された圧力室７内の圧力媒体を加圧
するロッド部8bを有するピストン体８を設け、かつ支持
フレームの上枠部1b側に圧力室７の蓋体３を設けた高圧
処理装置である。 【効果】 被処理物に高圧を加える圧力室が形成された
圧力容器およびこの圧力室内に高圧を発生させるピスト
ン体を、昇降させ得るように構成したので、被処理物の
圧力室への挿入および取出しを、極めて容易に行うこと
ができるとともに、フレームの一部を揺動させたり、ま
たは圧力容器を移動させる装置とは異なり、必要な作業
用空間が非常に少なくて済む。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被処理物、例えば食品
に高圧を作用させる高圧処理装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近、食品に数千気圧の高圧を作用させ
ることにより、食品の殺菌作用、酵素の失活、酵素反応
の制御作用、タンパク質およびデンプンの変形作用を応
用し、食品における微生物の汚染防止、有害タンパク質
の不活性化、保存期間の延長化および半調理製品の製造
などの促進を図るための技術が提案されている。

【０００３】ところで、従来、被処理物に高圧を作用さ
せる高圧処理装置としては、圧力容器内に被処理物を挿
入した後、油圧によりピストンなどを移動させて被処理
物に高圧を加えるようにしたものであり、この場合、圧
力容器は矩形状のフレーム内に配置支持されていた。

【０００４】そして、上記高圧処理装置の構成におい
て、被処理物を圧力容器内に挿入する場合、フレームの
枠部を揺動自在にしておき、被処理物の挿入および取出
しの度に、フレームを揺動させるか、または圧力容器自
体をフレームから外部に移動させて、被処理物の挿入お
よび取出しが行われていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
高圧処理装置の構成によると、被処理物の挿入および取
出しを行う度に、フレームの枠部を揺動させるか、また
は圧力容器自体を外部に移動させる必要があり、したが
って作業用スペースを広くする必要があるとともに、装
置の構造が複雑になるという問題があった。

【０００６】そこで、本発明は上記問題を解消し得る高
圧処理装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の高圧処理装置は、作業用空間部が形成され
た支持フレームと、この支持フレームの作業用空間部内
の上枠部に取り付けられる蓋体と、上記支持フレームの
作業用空間部内の下枠部に支持されるとともに内部にシ
リンダー室が形成されたシリンダー体と、中央部に被処
理物が挿入される圧力室が形成されるとともに上記シリ
ンダー室内に上下方向で摺動自在に配置された筒状体
と、上記シリンダー室内にかつ上記筒状体の下方に配置
されるとともに、ピストン部の上面に上記圧力室内に嵌
入するロッド部が突設されたピストン体と、このピスト
ン体の下面と上記シリンダー体の内側底面との間に形成
される第１空間室、上記ピストン部の上面と筒状体の下
面との間に形成される第２空間室、および上記筒状体と
シリンダー室の内側上面との間に形成される第３空間室
に、加圧作動流体を給排出する加圧ユニットと、上記蓋
体に形成された穴部を介して、筒状体の圧力室内に圧力
媒体を供給する圧力媒体供給ユニットとから構成したも
のである。

【０００８】

【作用】上記の構成において、被処理物に高圧を加える
場合、まずピストン体および筒状体をシリンダー室の下
方に移動させた状態になした後、被処理物をロッド部の
先端面上に載置する。

【０００９】次に、第２空間室内に加圧作動流体を供給
して筒状体だけを上昇させ、圧力室内に被処理物を挿入
させた後、蓋体の穴部から圧力媒体を供給しながら、さ
らに筒状体を上昇させ、蓋体を筒状体の上面に当接させ
た状態にする。

【００１０】次に、第１空間室内に加圧作動流体を供給
して、ピストン体を上昇させて、圧力室内の圧力媒体を
所定の高圧となし、圧力室内の被処理物に例えば数千気
圧の圧力を作用させる。

【００１１】そして、この状態を、所定時間持続させ
て、高圧処理が終了すると、ピストン体および筒状体を
下降させる。すると、高圧処理が済んだ被処理物が自動
的に、筒状体の上面に現れるため、容易に被処理物を装
置から取り出すことができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例における高圧処理装
置を図１〜図３に基づき説明する。

【００１３】なお、本実施例における高圧処理装置は、
食品に数千気圧の高圧を加えるための装置として説明す
る。すなわち、この食品高圧処理装置は、図１および図
３に示すように、作業用空間部２が形成された正面視矩
形状の支持フレーム１と、この支持フレーム１の作業用
空間部２上方の上枠部１ａに取り付けられた蓋体３と、
上記支持フレーム１の作業用空間部２下方の下枠部１ｂ
上に載置されるとともに内部にシリンダー室５が形成さ
れたシリンダー体４と、中央部に処理物である食品（実
際には可撓性密封袋、具体的にはビニール袋などにより
覆われている）Ａが挿入される圧力室７が形成されると
ともに上記シリンダー室５内に上下方向で摺動自在に配
置された筒状の圧力容器（筒状体）６と、上記シリンダ
ー室５内にかつシリンダー体４の下方に配置されるとと
もに、ピストン部８ａの上面に上記圧力室７内に嵌入す
るロッド部８ｂが突設されたピストン体８と、このピス
トン体８の下面と上記シリンダー体４の内側底面との間
に形成される第１空間室１１、上記ピストン部８ａの上
面と圧力容器６の下面との間に形成される第２空間室１
２、および上記圧力容器６とシリンダー室５の内側上面
との間に形成される第３空間室１３に、油圧（加圧作動
流体の一例）をそれぞれ給排出する油圧ユニット（加圧
ユニット）１４と、上記蓋体３に形成された貫通穴（穴
部）９を介して、圧力容器６の圧力室７内に水（圧力媒
体の一例）を供給する給水ユニット（圧力媒体供給ユニ
ット）１５とから構成されている。なお、上記蓋体３の
下面には、上記圧力容器６側に形成された圧力室７内に
嵌入し得る突起部３ａが形成されている。

【００１４】上記圧力容器６は、圧力室７が中央に形成
された容器本体２１と、この容器本体２１の外周部に固
定された保護筒体２２とから構成され、またこの保護筒
体２２のシリンダー室５内に位置する下端部にフランジ
部２３が突設されており、このフランジ部２３の上面と
シリンダー室５の内側上面との間が第３空間室１３とさ
れている。なお、圧力容器６を、容器本体２１と保護筒
体２２とにより構成したが、勿論、一体物として構成し
てもよい。

【００１５】また、上記圧力容器６の保護筒体２２の所
定位置には、油圧の給排出用の貫通穴２４が上下に貫通
して形成されており、また保護筒体２２の外周縁部に
は、排水用トレイ２５が設けられている。

【００１６】さらに、上記油圧ユニット１４は、シリン
ダー体４に形成された油圧供給穴３１を介して、第１空
間室１１内に油圧を供給する第１油圧供給配管４１と、
上記シリンダー体４の保護筒体２２に形成された貫通穴
２４を介して第２空間室１２内に油圧を供給する第２油
圧供給配管４２と、上記シリンダー体４の上部に形成さ
れた油圧供給穴３２を介して、第３空間室１３内に油圧
を供給する第３油圧供給配管４３と、これら各油圧供給
配管４１，４２，４３と油圧ポンプ４４との間に介装さ
れた第１および第２電磁切換弁４５，４６と、油圧タン
ク４７とから構成されている。

【００１７】上記第１油圧供給配管４１と第２油圧供給
配管４２とは、第１電磁切換弁４５の各ポートに接続さ
れており、第１空間室１１（または第２空間室１２）内
に油圧が供給される時には、第２空間室１２（または第
１空間室１１）内の油圧が排出される。

【００１８】また、上記第２油圧供給配管４２と第３油
圧供給配管４３とは、第２電磁切換弁４６の各ポートに
接続されており、第２空間室１２（または第３空間室１
３）内に油圧が供給される時には、第３空間室１３（ま
たは第２空間室１２）内の油圧が排出される。

【００１９】なお、上記第２油圧供給配管４２は、両電
磁切換弁４５，４６に接続されているため、その先端部
は２つに分岐されている。さらに、上記給水ユニット１
５は、水ポンプ５１と、この水ポンプ５１から供給され
る水を上記蓋体３に形成された貫通穴９内に供給すると
ともに途中に電磁切換弁５２が介装された水供給配管５
３とから構成されている。また、排水用トレイ２５に
は、排水管５４が接続されている。

【００２０】次に、上記構成において、食品に高圧を加
える作業について説明する。まず、油圧ユニット１４を
作動させて、図２の実線にて示すように、ピストン体８
および圧力容器６をシリンダー室５の下方に移動させた
状態にする。この時、ピストン体８のロッド部８ｂの上
端面は圧力容器６の上面とほぼ同一面となっている。

【００２１】この状態において、密封容器内に入れられ
た食品Ａをロッド部８ｂの先端面上に載置する。次に、
第２電磁切換弁４６を（イ）位置に切り換えて、第２空
間室１２内に油圧を供給し、図２の仮想線にて示すよう
に、圧力容器６だけを上昇させて、圧力室７内に食品Ａ
を挿入させる。

【００２２】食品Ａがほぼ圧力室７内に入った時点で、
一旦、圧力容器６の上昇を停止させ、水ポンプ５１を駆
動して、水を圧力室７内に供給する。そして、水を供給
しながら、さらに圧力容器６を上昇させ、蓋体３の突起
部３ａを圧力室７内に嵌入させて、蓋体３を圧力容器６
の上面に当接させた状態になすとともに水の供給を停止
する。

【００２３】次に、第１電磁切換弁４５を（イ）位置に
切り換えて、第１空間室１１内に油圧を供給して、ピス
トン体８を上昇させて、圧力室７内の水を所定の高圧と
なし、圧力室７内の食品Ａに例えば数千気圧の圧力を作
用させる。

【００２４】そして、この状態を、所定時間持続させ
て、高圧処理が終了すると、第１および第２電磁切換弁
４５，４６を作動させて、第１空間室１１および第２空
間室１２内の油圧を排出するとともに、第３空間室１３
内に油圧を供給して、ピストン体８および圧力容器６を
下降させる。

【００２５】すると、高圧処理が済んだ食品Ａが自動的
に、圧力容器６の上面に現れるため、容易に食品Ａを装
置から取り出すことができる。なお、圧力容器６の下降
時に、圧力室７内から排出される水は、排水用トレイ２
５および排水管５４を介して、自動的に外部に排出され
る。

【００２６】ところで、上記実施例においては、被処理
物として食品について説明したが、食品以外のものにも
適用し得るものである。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明の構成によると、被
処理物に高圧を加える圧力室が形成された筒状体および
この筒状体の圧力室内に高圧を加えるピストン体を、昇
降させ得るように構成したので、被処理物の圧力室への
挿入および取出しを、極めて容易に行うことができると
ともに、従来のように、フレームの一部を揺動させた
り、または圧力容器を移動させる装置とは異なり、必要
な作業用空間が非常に少なくて済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における高圧処理装置の概略
構成を示す断面図である。

【図２】同実施例の高圧処理装置における加圧状態を説
明する要部断面図である。

【図３】同実施例の高圧処理装置の概略全体正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 支持フレーム ２ 作業用空間部 ３ 蓋体 ４ シリンダー体 ５ シリンダー室 ６ 圧力容器 ７ 圧力室 ８ ピストン体 ８ａ ピストン部 ８ｂ ロッド部 ９ 貫通穴 １１ 第１空間室 １２ 第２空間室 １３ 第３空間室 １４ 油圧ユニット １５ 給水ユニット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】作業用空間部が形成された支持フレーム
   と、この支持フレームの作業用空間部内の上枠部に取り
   付けられる蓋体と、上記支持フレームの作業用空間部内
   の下枠部に支持されるとともに内部にシリンダー室が形
   成されたシリンダー体と、中央部に被処理物が挿入され
   る圧力室が形成されるとともに上記シリンダー室内に上
   下方向で摺動自在に配置された筒状体と、上記シリンダ
   ー室内にかつ上記筒状体の下方に配置されるとともに、
   ピストン部の上面に上記圧力室内に嵌入するロッド部が
   突設されたピストン体と、このピストン体の下面と上記
   シリンダー体の内側底面との間に形成される第１空間
   室、上記ピストン部の上面と筒状体の下面との間に形成
   される第２空間室、および上記筒状体とシリンダー室の
   内側上面との間に形成される第３空間室に、加圧作動流
   体を給排出する加圧ユニットと、上記蓋体に形成された
   穴部を介して、筒状体の圧力室内に圧力媒体を供給する
   圧力媒体供給ユニットとから構成したことを特徴とする
   高圧処理装置。