JPH0673568A - ドライエッチング方法およびその装置 - Google Patents

ドライエッチング方法およびその装置

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JPH0673568A
JPH0673568A JP5149986A JP14998693A JPH0673568A JP H0673568 A JPH0673568 A JP H0673568A JP 5149986 A JP5149986 A JP 5149986A JP 14998693 A JP14998693 A JP 14998693A JP H0673568 A JPH0673568 A JP H0673568A
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plasma
max
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Atsuhiro Yamano
敦浩 山野
Masabumi Kubota
正文 久保田
Kenji Fukuto
憲司 服藤
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラズマを確実に均一化できると共にプラズ
マ密度を大きくできるようにする。 【構成】 プラズマ発生室1の周囲に磁気コイル6が設
けられており、マイクロ波発生器5により発生させられ
たマイクロ波と磁気コイル6により印加された磁界との
相互作用によって起きる電子サイクロトロン共鳴により
プラズマ発生室1内の電子が加速され、加速された電子
によってプラズマが発生する。プラズマ発生室1の下側
には反応室7が設けられており、プラズマ発生室1に発
生したプラズマは反応室7に導かれ、試料台8上の被エ
ッチング材料のエッチングに供される。マイクロ波発生
器5としては反射型クライストロンが用いられており、
該反射型クライストロンの空洞の長さを変化させること
により、空洞共振器の共振周波数を変化させ、これによ
り、マイクロ波発生器5からプラズマ発生室1に供給さ
れるマイクロ波の周波数は変調される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子サイクロトロン共
鳴により発生するプラズマを用いるドライエッチング方
法および該ドライエッチング方法に用いるドライエッチ
ング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路の高密度化には、トラン
ジスタや配線などの幅寸法が大きな役割を担っている。
これらの幅寸法を小さくすることによって1μm以下の
微細パターンを有する半導体集積回路の実用化が図られ
ている。このような微細パターンの実現は、フォトリソ
グラフィ技術およびドライエッチング技術の2つの技術
の発展に負うところが大きい。
【0003】ところで、プラズマによるドライエッチン
グ方法は、適当なガスに高周波(RF)電界を印加する
ことにより生成される反応性プラズマやラジカル中に被
エッチング材料をおくと、該被エッチング材料がエッチ
ングされるという現象を利用するものであって、微細パ
ターンを形成するために通常フォトレジストパターンを
マスク材料として用いる。
【0004】上記のようなドライエッチング方法として
は、最近、電子サイクロトロン共鳴(ECR)により発
生するプラズマを利用したECRドライエッチング装置
が開発され、実用化されている。
【0005】図6は、マイクロ波と磁界との相互作用に
より発生する電子サイクロトロン共鳴を用いるECRド
ライエッチング装置の模式図であって、同図において、
1は適当な圧力(数100mTorr)に制御されたプ
ラズマ発生室である。プラズマ発生室1には供給路2か
ら反応性ガスが供給され、供給された反応ガスは排出路
3から排出される。プラズマ発生室1には断面矩形状の
導波管4を介してマイクロ波発生器5が接続されてお
り、該マイクロ波発生器5により発生させられたマイク
ロ波エネルギーはプラズマ発生室1内に導入された反応
性ガスに与えられる。
【0006】プラズマ発生室1の周囲には磁気コイル6
が設けられており、磁気コイル6はプラズマ発生室1に
磁界を発生させる。マイクロ波発生器5により発生させ
られたマイクロ波と磁気コイル6により印加された磁界
との相互作用によって起きる電子サイクロトロン共鳴に
より電子は加速され、加速した電子によってプラズマが
発生するものである。
【0007】プラズマ発生室1の下側には反応室7が設
けられ、反応室7はプラズマ発生室1と連通しており、
プラズマ発生室1で発生したプラズマは反応室7に導か
れる。反応室7の内部における中央よりも下側には試料
台8が設けられており、該試料台8の上には、レジスト
パターンが付着された被エッチング材料である半導体基
板9が載置されている。
【0008】以下、上記のように構成されたECRドラ
イエッチング装置の動作について説明する。
【0009】プラズマ発生器5からプラズマ発生室1内
に周波数2.45GHzのマイクロ波エネルギーが供給
されると、プラズマ発生室1内の反応性ガスは電離して
電子とイオンとが生成される。また、プラズマ発生室1
の周囲に設けられた磁気コイル6によりプラズマ発生室
1内に875ガウスの磁場が印加される。これにより、
プラズマ発生室1内の電子は、マイクロ波と磁場との相
互作用により生じる電子サイクロトロン共鳴によってマ
イクロ波の電磁エネルギーを吸収して加速され、プラズ
マ発生室1内を高速で円運動する。
【0010】磁気コイル6によるプラズマ発生室1内の
磁場強度が875ガウスであり、マイクロ波の周波数が
2.45GHzであるときの電子サイクロトロン共鳴に
よって最も効率良く電子が加速される。高速で円運動す
る電子が反応性ガスに衝突することにより、プラズマ発
生室1内に高密度のプラズマが発生する。このプラズマ
は、拡散および電界により、磁気コイル6が形成する磁
力線に沿ってプラズマ発生室1から反応室7に移送さ
れ、反応室7内に設置された半導体基板9の表面の薄膜
形成又はエッチング処理に使用される。
【0011】上述したように、電子サイクロトロン共鳴
を利用したECRドライエッチング装置においては、マ
イクロ波エネルギーと磁場との相互作用によりプラズマ
発生室に電子サイクロトロン共鳴を発生させ、この電子
サイクロトロン共鳴によりプラズマ発生室内の電子を高
速度で円運動させ、高速度で円運動する電子を反応性ガ
スに衝突させることによってプラズマを発生させてい
る。
【0012】ところで、マイクロ波の周波数fと印加磁
場の強度Bとが、電子サイクロトロン共鳴条件(以下、
ECR条件と称する。)つまりf=q×B/2πm……
(1)の関係を満たすとき、電子に最も効率良くマイクロ
波エネルギーが与えられる。但し、q(=1.602×
10-19 C)は素電荷であり、m(=9.110×10
-31 kg)は電子の質量であって、磁気コイルによる磁
場強度Bが875ガウスのときに、マイクロ波の周波数
fは2.45GHzが最適な値となる。
【0013】ところが、磁気コイルによりプラズマ発生
室に印加される磁場の強度を均一にすることは現実には
困難であり、磁場強度Bは、プラズマ発生室の中央部付
近では強く、周端部では弱くなっている。このため、プ
ラズマ発生室内においては、中央部付近の電子は効率良
くマイクロ波エネルギーを吸収するので、中央部ではプ
ラズマ密度が高くなるのに対して、周端部の電子は効率
良くマイクロ波エネルギーを吸収できないために周端部
ではプラズマ密度は低くなる。
【0014】このように、従来のECRドライエッチン
グ装置においては、プラズマ発生室内のプラズマ密度に
場所的な不均一が生じるため、反応室内に設置された半
導体基板の表面に到達する反応性イオンの量が不均一に
なるので、半導体基板の表面を均一に処理するのが難し
いという問題があった。
【0015】そこで、特開昭63−251026号公報
に示されるように、磁気コイルに供給する電流の波形を
時間と共に変化させてプラズマ発生室に回転磁場を形成
することによりプラズマ流を回転させ、これにより、プ
ラズマ密度の均一化を図るプラズマ処理装置が提案され
ている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記プラズ
マ処理装置においては、プラズマ発生室内のプラズマ中
に分布を持つ磁場を制御しなければならないため、プラ
ズマ全体に効率的にマイクロ波の電磁エネルギーが吸収
されるように磁場分布を制御するのは非常に困難であ
る。従って、上記プラズマ処理装置においてはプラズマ
密度の均一化には限界がある。
【0017】また、プラズマ発生室の中央部においては
磁場強度が強いためにプラズマ密度が大きいが、周端部
においては磁場強度が弱いためプラズマ密度が小さいの
で、上記プラズマ処理装置によるとプラズマ発生室全体
におけるプラズマ密度は大きくなっていない。
【0018】上記に鑑みて、本発明は、プラズマを確実
に均一化することができると共にプラズマ密度を大きく
することができるプラズマ発生方法およびその装置を提
供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1の発明は、プラズマ発生室に供給されるマ
イクロ波の周波数を変調することにより、ECR条件を
満たすポイントを増加させると共に時間的に変化させ、
これにより、プラズマの高密度化と均一化を図るもので
ある。
【0020】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段
は、反応性ガスが導入されるプラズマ発生室に供給され
るマイクロ波と上記プラズマ発生室に印加される磁場と
の相互作用によって生じる電子サイクロトロン共鳴によ
り上記プラズマ発生室に生成される反応性ガスプラズマ
を用いてドライエッチングを行なうドライエッチング方
法を対象とし、上記マイクロ波の周波数を所定の帯域で
変調させるという構成である。
【0021】請求項2の発明は、請求項1の構成に、上
記プラズマ発生室に印加する磁場の最大磁場強度がB
max であり、最小磁場強度がBmin であるときの磁場強
度B0(Bmin <B0 <Bmax )に対して電子サイクロ
トロン共鳴条件を満足する周波数f0 のマイクロ波を上
記プラズマ発生室に供給し、上記所定の帯域は、f0
中心とし、max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0
((B0 −Bmin ) /B0) ×f0 )で与えられる振幅づ
つ増減する帯域に設定するという構成を付加するもので
ある。
【0022】請求項3の発明は、請求項2の構成に、上
記プラズマ発生室に印加する磁場の最大磁場強度がB
max であり、最小磁場強度がBmin であるときの磁場強
度B1(B1 =(Bmax +Bmin )/2)に対して電子
サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数f1 のマイク
ロ波を上記プラズマ発生室に供給し、上記所定の帯域
は、f1 を中心とし、((Bmax −Bmin ) / (Bmax
min ))×f1 で与えられる振幅づつ増減する帯域に設
定するという構成を付加するものである。
【0023】請求項4の発明は、請求項1〜3の構成
に、上記マイクロ波の周波数を変調する周波数を10H
z以上に設定するという構成を付加するものである。
【0024】請求項5の発明は、請求項1の発明に用い
るドライエッチング装置であって、具体的には、反応ガ
スが導入されるプラズマ発生室と、該プラズマ発生室に
マイクロ波を供給するマイクロ波発生手段と、上記プラ
ズマ発生室に上記マイクロ波発生器により供給されるマ
イクロ波との相互作用によって電子サイクロトロン共鳴
を生じる磁場を印加する磁場印加手段と、上記プラズマ
発生室に連通しており電子サイクロトロン共鳴によって
上記プラズマ発生室に生成された反応性ガスプラズマが
導入され被エッチング材料にエッチングを行なう反応室
とを備えたドライエッチング装置を対象とし、上記マイ
クロ波発生手段により上記プラズマ発生室に供給される
マイクロ波の周波数を所定の帯域で変調させる周波数変
調手段を備えている構成とするものである。
【0025】請求項6の発明は、請求項2の発明に用い
るドライエッチング装置であって、具体的には、請求項
5の構成に、上記マイクロ波発生手段は、上記磁場印加
手段が上記プラズマ発生室に印加する磁場の最大磁場強
度がBmax であり、最小磁場強度がBmin であるときの
磁場強度B0 (Bmin <B0 <Bmax )に対して電子サ
イクロトロン共鳴条件を満足する周波数f0 のマイクロ
波を上記プラズマ発生室に供給し、上記所定の帯域は、
0 を中心とし、max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×
0 ,((B0 −Bmin ) /B0 ) ×f0 )で与えられる
振幅づつ増減する帯域に設定されているに設定されてい
るという構成を付加するものである。
【0026】請求項7の発明は、請求項3の発明に用い
るドライエッチング装置であって、具体的には、請求項
5の構成に、上記マイクロ波発生手段は、上記プラズマ
発生室に印加する磁場の最大磁場強度がBmax であり、
最小磁場強度がBmin であるときの磁場強度B1 (B1
=(Bmax +Bmin )/2)に対して電子サイクロトロ
ン共鳴条件を満足する周波数f1 のマイクロ波を上記プ
ラズマ発生室に供給し、上記所定の帯域は、f1 を中心
とし、((Bmax −Bmin ) / (Bmax +Bmin))×f1
で与えられる振幅づつ増減する帯域に設定されていると
いう構成を付加するものである。
【0027】請求項8の発明は、請求項4の発明に用い
るドライエッチング装置であって、請求項5〜7の構成
に、上記周波数変調手段が上記マイクロ波の周波数を変
調する周波数は10Hz以上に設定されているという構
成を付加するものである。
【0028】請求項9および10の発明は、マイクロ波
発生手段をクライストロン又は進行波管に限定するもの
である。
【0029】
【作用】請求項1の構成のように、マイクロ波の周波数
を変調すると次のような現象が生じる。すなわち、プラ
ズマ発生室内における磁場印加手段による磁場は一定で
はなく、磁場に平行な面ではプラズマ発生部におけるマ
イクロ波導入部で最大となり反応室側で最小となる。従
って、周波数が変調されたマイクロ波を供給すると、E
CR条件を満たすポイントは複数個存在することになる
と共に時間の経過に伴って磁場と垂直な面を移動する。
このため、ECR条件を満たすポイントは増加すると共
にプラズマ発生室全体に亘って存在することになる。
【0030】請求項2の構成のように、マイクロ波の周
波数を、f0 を中心とし、 max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0 ,((B0 −B
min ) /B0 ) ×f0 ) で与えられる振幅づつ増減する帯域において変調させる
と、プラズマ発生室の内部全体が時間の経過に伴ってE
CR条件を満足することになる。
【0031】請求項3の構成のように、マイクロ波の周
波数を、f1 を中心とし、 ((Bmax −Bmin ) / (Bmax +Bmin ))×f1 で与え
られる振幅づつ増減する帯域(但し、周波数f1 は、磁
場強度B1 (B1 =(Bmax +Bmin )/2)に対して
電子サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数であ
る。)において変調させると、プラズマ発生室の内部全
体が時間の経過に伴って効率良くECR条件を満足する
ことになる。
【0032】請求項4の構成のように、マイクロ波の周
波数を変調する周波数を10Hz以上に設定すると、ド
ライエッチングの1プロセスは通常数100秒であるか
ら、マイクロ波の周波数は1プロセス中に1000回以
上変調する。
【0033】請求項5の構成によると、マイクロ波発生
手段によりプラズマ発生室に供給されるマイクロ波の周
波数を所定の帯域で変調させる周波数変調手段を備えて
いるため、プラズマ発生室に供給されるマイクロ波の周
波数を所定の帯域で変調させることができる。
【0034】請求項6の構成によると、周波数変調手段
がマイクロ波の周波数を変化させる帯域は、f0 を中心
とし、max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0 ,((B
0 −Bmin ) /B0 ) ×f0 )で与えられる振幅づつ増
減する帯域に設定されているため、プラズマ発生室に供
給されるマイクロ波の周波数は上記の帯域において確実
に変調される。
【0035】請求項7の構成によると、周波数変調手段
がマイクロ波の周波数を変化させる帯域は、f1 を中心
とし、((Bmax −Bmin ) / (Bmax +Bmin ))×f1
で与えられる振幅づつ増減する帯域(但し、周波数f1
は、磁場強度B1 (B1 =(Bmax +Bmin )/2)に
対して電子サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数で
ある。)に設定されているため、プラズマ発生室に供給
されるマイクロ波の周波数は上記の帯域において確実に
変調される。
【0036】請求項8の構成によると、周波数変調手段
がマイクロ波の周波数を変調する周波数は10Hz以上
に設定されているため、プラズマ発生室に供給されるマ
イクロ波の周波数は1プロセス中に1000回以上変調
することができる。
【0037】請求項9又は10の構成によると、周波数
を変調することができるマイクロ波発生手段を確実に得
ることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0039】図1は、本発明の一実施例に係るECRド
ライエッチング装置の模式図であって、同図において、
1は適当な圧力(数100mTorr)に制御されたプ
ラズマ発生室である。プラズマ発生室1には供給路2か
ら反応性ガスが供給され、供給された反応ガスは排出路
3から排出される。プラズマ発生室1には断面矩形状の
導波管4を介してマイクロ波発生手段としてのマイクロ
波発生器5が接続されており、該マイクロ波発生器5に
より発生させられたマイクロ波エネルギーはプラズマ発
生室1内に導入された反応性ガスに与えられる。本実施
例においては、マイクロ波発生器5としては反射型のク
ライストロンが用いられている。
【0040】プラズマ発生室1の周囲には磁場印加手段
としての磁気コイル6が設けられており、マイクロ波発
生器5により発生させられたマイクロ波と磁気コイル6
により印加された磁界との相互作用によって起きる電子
サイクロトロン共鳴によりプラズマ発生室1内の電子が
加速され、加速された電子によってプラズマが発生す
る。
【0041】プラズマ発生室1の下側には、該プラズマ
発生室1と連通した反応室7が設けられており、プラズ
マ発生室1において発生したプラズマは反応室7に導か
れる。反応室7の内部における中央よりも下側には試料
台8が設けられており、該試料台8の上には、レジスト
パターンが付着された被エッチング材料である半導体基
板9が載置されている。
【0042】本実施例の特徴として、図1に示すよう
に、マイクロ波発生器5には周波数変調手段としての周
波数変調器10が接続されている。反射型クライストロ
ンを用いて発振周波数を変調するには、空洞の長さを変
化させて空洞共振器の共振周波数を変化させる機械式同
調方式と、反射電極の電圧を変化させて電子の走行時間
を変化させる電子同調方式とがあるが、本実施例におい
ては、機械式同調方式を用いることにより発振周波数を
変調するようにした。つまり、反射型クライストロンの
空洞の長さを機械的に周期変化させることにより共振周
波数を変調するようにした。
【0043】尚、マイクロ波発生器5としては、反射型
クライストロンに代えて、進行波管などのように発振周
波数を変調できるものも用いることができる。進行波管
を用いる場合には、ソレノイド電磁石に流す電流を変化
させることにより、周波数を変調することができる。
【0044】図2は、今回の実験で測定したマイクロ波
発生器5の周波数の変調とプラズマ発生室1の磁場分布
との関係を示している。
【0045】プラズマ発生室1(直径30cm,高さ5
0cm)の内部における磁気コイル6による磁場の強度
は一定(例えば875ガウス)ではなく、一般的には、
磁場に垂直な面(図2においてA−A線で示す面)内で
は、プラズマ発生室1における中央部(x=0cm)で
磁場強度は大きくなり、周端部(x=±15cm)で磁
場強度は小さくなっている。また、磁場に平行な面(図
2においてB−B線で示す面)内では、プラズマ発生室
1におけるマイクロ波導入部1a(y=0)で大きくな
り、反応室側の部分1b(y=50cm)で小さくなっ
ている。プラズマ発生室1の内部においては、最大磁場
強度Bmax は920ガウスであり、最小磁場強度Bmin
は800ガウスであった。プラズマに効率良くマイクロ
波の電磁エネルギーを吸収させるには、ECRドライエ
ッチング装置において一般に採用されている磁場強度B
0 =875ガウスに対してECR条件を満たす周波数f
0=2.45GHzのマイクロ波が好ましい。
【0046】今、磁場に平行な面内で考えると、図3
(a)に示すように一定の周波数のマイクロ波を導入し
た場合には、ECR条件を満足する点(ECRポイン
ト)Pは一点しか存在しないのに対して、図3(b)に
示すように周波数変調したマイクロ波を導入した場合に
は、ECRポイントPは複数存在し、しかも各ECRポ
イントPは時間の経過と共にプラズマ発生室1の内部を
移動する。このため、周波数が変調されたマイクロ波を
導入する場合には、ECRポイントPがプラズマ発生室
1内にくまなく存在することになり、プラズマ発生室1
内に高密度で且つ均一なプラズマを発生させることがで
きる。
【0047】以下、磁気コイル6がプラズマ発生室1に
印加する磁場の磁場強度と、マイクロ波発生器5がプラ
ズマ発生室1に供給するマイクロ波の周波数と、該マイ
クロ波の変調帯域との関係について説明する。
【0048】まず、磁気コイル6が印加する磁場のプラ
ズマ発生室1における最大磁場強度がBmax であり、最
小磁場強度がBmin であるときにBmin <B0 <Bmax
を満足する磁場強度B0 例えば875ガウスに対して電
子サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数f0 例えば
2.45GHzのマイクロ波をプラズマ発生室1に供給
することが好ましい。
【0049】マイクロ波の周波数f0 は、f0 すなわち
2.45GHzを中心とし、max((( Bmax −B0 )
/B0 ) ×f0 ,((B0 −Bmin ) /B0 ) ×f0 )で
与えられる振幅すなわち0.21GHzづつ増減した帯
域である2.66GHz〜2.24GHzの帯域で変調
することが好ましい。このようにすると、プラズマ発生
室1の内部全体が時間の経過と共にECR条件を満足
し、マイクロ波の電磁エネルギーがプラズマ発生室1内
の電子に全体的に効率良く吸収され、高密度で且つ均一
なプラズマが発生する。
【0050】また、磁気コイル6が印加する磁場のプラ
ズマ発生室1における最大磁場強度がBmax であり、最
小磁場強度がBmin であるときにB1 =(Bmax +B
min )/2を満足する磁場強度B1 (860ガウス)に
対して電子サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数f
1 (2.41GHz)のマイクロ波をプラズマ発生室1
に供給し、マイクロ波の周波数f1 を、f1 すなわち8
60ガウスを中心とし、((Bmax −Bmin ) / (Bmax
+Bmin ))×f1 で与えられる振幅すなわち0.17G
Hzづつ増減した帯域である2.58GHz〜2.24
GHzの帯域で変調させることが特に好ましい。このよ
うにすると、マイクロ波の無駄な領域がカットされ、い
っそう高密度で且つ均一なプラズマを発生させることが
できる。
【0051】マイクロ波を変調する周波数は、空洞の長
さの機械的変化の周波数に等しく、10Hz以上が好ま
しい。その理由は、変調周波数は、適用されるプロセス
の時間に対して十分に高周波になっておればよく、ドラ
イエッチングの場合には、1プロセスに要する処理時間
は一般的には数100秒であり、1プロセス中に100
0回程度以上変調することが好ましいので、マイクロ波
を変調する周波数としては10Hz以上が適当である。
【0052】図4は、マイクロ波の周波数f1 (2.4
1GHz)を2.58GHz〜2.24GHzの帯域で
周波数10Hzで変調させたときの周波数の時間変化を
示している。
【0053】図5は、ポリシリコンのエッチングレート
のウエハー(6インチ)面内分布が、マイクロ波の周波
数を変調させた場合と、変調させなかった場合とでどの
ように変化するかを測定した結果を示している。尚、エ
ッチングガスとしては、HBr+Cl2 を用いた。図5
(a)はマイクロ波の周波数を変調させなかった場合で
あり、局所的に大きなエッチングレートが得られるが、
エッチングレートの面内分布の差が激しいことが理解で
きる。図5(b)はマイクロ波の周波数を変調させた場
合であり、エッチングレートの面内分布が略均一にな
り、平均的なエッチングレートが向上していることが理
解できる。これは、マイクロ波の周波数を変調させない
場合には、ECR条件を満たすのはプラズマ発生室1内
の限られた領域であるのに対して、マイクロ波の周波数
を変調させる場合には、プラズマ発生室1内におけるあ
らゆる場所がECR条件を満たすことができ、マイクロ
波の電磁エネルギーが効率良く均一に電子に吸収される
ためである。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係るドライエッチング方法によると、プラズマ発生室に
供給されるマイクロ波の周波数を所定の帯域で変調させ
るため、ECR条件を満たすポイントは複数個存在する
ことになると共に時間の経過に伴って磁場と平行な面を
くまなく移動するので、ECR条件を満たすポイントは
増加すると共にプラズマ発生室全体に亘って存在する。
このため、プラズマ発生室に高密度で且つ均一なプラズ
マが発生するので、半導体基板の表面を高効率且つ均一
にエッチングすることが可能になり、その実用的効果は
大きい。
【0055】請求項2の発明に係るドライエッチング方
法によると、マイクロ波の周波数をf0 を中心としma
x((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0 ,((B0
min ) /B0 ) ×f0 )で与えられる振幅づつ増減す
る帯域において変調させるため、プラズマ発生室の内部
全体が時間の経過に伴ってECR条件を満足することに
なるので、マイクロ波の電磁エネルギーがプラズマ発生
室内のすべての領域の電子に効率良く吸収され、いっそ
う高密度且つ均一なプラズマが発生する。
【0056】請求項3の発明に係るドライエッチング方
法によると、マイクロ波の周波数をf1 を中心とし((B
max −Bmin ) / (Bmax +Bmin ))×f1 で与えられ
る振幅づつ増減する帯域(但し、周波数f1 は、磁場強
度B1 (B1 =(Bmax +Bmin )/2)に対して電子
サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数である。)に
おいて変調させため、プラズマ発生室の内部全体が時間
の経過に伴って効率良くECR条件を満足することにな
るので、マイクロ波の電磁エネルギーがプラズマ発生室
内の電子に全体的に効率良く吸収され、よりいっそう高
密度で且つ均一なプラズマが発生する。
【0057】請求項4の発明に係るドライエッチング方
法によると、マイクロ波の周波数を変調する周波数が1
0Hz以上に設定されているため、マイクロ波の周波数
は1プロセス中に1000回以上変調することになるの
で、プラズマ発生室に高密度で均一なプラズマを確実に
発生させることができる。
【0058】請求項5の発明に係るドライエッチング装
置によると、マイクロ波発生手段によりプラズマ発生室
に供給されるマイクロ波の周波数を所定の帯域で変調さ
せる周波数変調手段を備えているため、プラズマ発生室
に供給されるマイクロ波の周波数を所定の帯域で変調さ
せることができるので、請求項1の発明を実現すること
ができる。
【0059】請求項6の発明に係るドライエッチング装
置によると、周波数変調手段がマイクロ波の周波数を変
化させる帯域は、f0 を中心とし、max((( Bmax
0) /B0 ) ×f0 ,((B0 −Bmin ) /B0 ) ×f
0 )で与えられる振幅づつ増減する帯域に設定されてい
るため、プラズマ発生室に供給されるマイクロ波の周波
数は上記の帯域において確実に変調されるので、請求項
2の発明を実現することができる。
【0060】請求項7の発明に係るドライエッチング装
置によると、周波数変調手段がマイクロ波の周波数を変
化させる帯域は、f1 を中心とし、((Bmax −Bmin )
/ (Bmax +Bmin ))×f1 で与えられる振幅づつ増減
する帯域(但し、周波数f1は、磁場強度B1 (B1
(Bmax +Bmin )/2)に対して電子サイクロトロン
共鳴条件を満足する周波数である。)に設定されている
ため、プラズマ発生室に供給されるマイクロ波の周波数
は上記の帯域において確実に変調されるので、請求項3
の発明を実現することができる。
【0061】請求項8の発明に係るドライエッチング装
置によると、周波数変調手段がマイクロ波の周波数を変
調する周波数は10Hz以上に設定されているため、プ
ラズマ発生室に供給されるマイクロ波の周波数を1プロ
セス中に1000回以上変調することができ、プラズマ
発生室に高密度で均一なプラズマを確実に発生させるこ
とができる。
【0062】請求項9又は10の発明に係るドライエッ
チング装置によると、周波数を変調できるマイクロ波発
生手段を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るECRドライエッチン
グ装置の模式図である。
【図2】マイクロ波発生器の周波数の変調とプラズマ発
生室の水平方向及び垂直方向の磁場分布との関係を示す
図である。
【図3】(a)は一定の周波数のマイクロ波を導入した
場合のECRポイントの分布を示す図であり、(b)は
周波数が変調されたマイクロ波を導入した場合のECR
ポイントの分布を示す図である。
【図4】周波数が変調されたマイクロ波の周波数の時間
変化を示す図である。
【図5】エッチングレートのウエハー面内分布を示す図
であり、(a)はマイクロ波の周波数が変調されない場
合であり、(b)はマイクロ波の周波数が変調される場
合である。
【図6】従来のECRドライエッチング装置の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 プラズマ発生室 2 供給路 3 排出路 4 導波管 5 マイクロ波発生器(マイクロ波発生手段) 6 磁気コイル(磁場印加手段) 7 反応室 8 試料台 9 半導体基板 10 周波数変調器(周波数変調手段)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応性ガスが導入されるプラズマ発生室
    に供給されるマイクロ波と上記プラズマ発生室に印加さ
    れる磁場との相互作用によって生じる電子サイクロトロ
    ン共鳴により上記プラズマ発生室に生成される反応性ガ
    スプラズマを用いてドライエッチングを行なうドライエ
    ッチング方法であって、上記マイクロ波の周波数を所定
    の帯域で変調させることを特徴とするドライエッチング
    方法。
  2. 【請求項2】 上記プラズマ発生室に印加する磁場の最
    大磁場強度がBmaxであり、最小磁場強度がBmin であ
    るときの磁場強度B0 (Bmin <B0 <Bma x )に対し
    て電子サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数f0
    マイクロ波を上記プラズマ発生室に供給し、 上記所定の帯域は、f0 が max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0 ,((B0 −B
    min ) /B0 ) ×f0 ) で与えられる振幅だけ増減された帯域であることを特徴
    とする請求項1に記載のドライエッチング方法。
  3. 【請求項3】 上記プラズマ発生室に印加する磁場の最
    大磁場強度がBmaxであり、最小磁場強度がBmin であ
    るときの磁場強度B1 (B1 =(Bmax +Bmin )/
    2)に対して電子サイクロトロン共鳴条件を満足する周
    波数f1 のマイクロ波を上記プラズマ発生室に供給し、 上記所定の帯域は、f1 が ((Bmax −Bmin ) / (Bmax +Bmin ))×f1 で与え
    られる振幅だけ増減された帯域であることを特徴とする
    請求項1に記載のドライエッチング方法。
  4. 【請求項4】 上記マイクロ波の周波数を変調する周波
    数を10Hz以上に設定することを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のドライエッチング方法。
  5. 【請求項5】 反応ガスが導入されるプラズマ発生室
    と、該プラズマ発生室にマイクロ波を供給するマイクロ
    波発生手段と、上記プラズマ発生室に上記マイクロ波発
    生器により供給されるマイクロ波との相互作用によって
    電子サイクロトロン共鳴を生じる磁場を印加する磁場印
    加手段と、上記プラズマ発生室に連通しており電子サイ
    クロトロン共鳴によって上記プラズマ発生室に生成され
    た反応性ガスプラズマが導入され被エッチング材料にエ
    ッチングを行なう反応室とを備えたドライエッチング装
    置であって、上記マイクロ波発生手段により上記プラズ
    マ発生室に供給されるマイクロ波の周波数を所定の帯域
    で変調させる周波数変調手段を備えていることを特徴と
    するドライエッチング装置。
  6. 【請求項6】 上記マイクロ波発生手段は、上記磁場印
    加手段が上記プラズマ発生室に印加する磁場の最大磁場
    強度がBmax であり、最小磁場強度がBminであるとき
    の磁場強度B0 (Bmin <B0 <Bmax )に対して電子
    サイクロトロン共鳴条件を満足する周波数f0 のマイク
    ロ波を上記プラズマ発生室に供給し、 上記所定の帯域は、f0 が max((( Bmax −B0 ) /B0 ) ×f0 ,((B0 −B
    min ) /B0 ) ×f0 ) で与えられる振幅だけ増減された帯域であることを特徴
    とする請求項5に記載のドライエッチング装置。
  7. 【請求項7】 上記マイクロ波発生手段は、上記プラズ
    マ発生室に印加する磁場の最大磁場強度がBmax であ
    り、最小磁場強度がBmin であるときの磁場強度B
    1 (B1 =(Bmax +Bmin )/2)に対して電子サイ
    クロトロン共鳴条件を満足する周波数f1 のマイクロ波
    を上記プラズマ発生室に供給し、 上記所定の帯域は、f1 が ((Bmax −Bmin ) / (Bmax +Bmin ))×f1 で与え
    られる振幅だけ増減された帯域であることを特徴とする
    請求項5に記載のドライエッチング装置。
  8. 【請求項8】 上記周波数変調手段が上記マイクロ波の
    周波数を変調する周波数は10Hz以上に設定されてい
    ることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載
    のドライエッチング装置。
  9. 【請求項9】 上記マイクロ波発生手段はクライストロ
    ンであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項
    に記載のドライエッチング装置。
  10. 【請求項10】 上記マイクロ波発生手段は進行波管で
    あることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記
    載のドライエッチング装置。
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