JPH06727U - 多層フィルムの押出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多層の合成樹脂フィルムを成形するための押
出し装置において、押出し用ダイ上のヘッドアダプタに
設置されているフィルム構成切換え用のセレクタプレー
トの交換に要する時間を短縮する。 【構成】 セレクタ通路１５の入口側および出口側にセ
レクタプレート２０を載せることができるセレクタ台３
０を設け、入口側のセレクタ台３０にセレクタ台３０上
のセレクタプレート２０の加熱用ヒータ３５を取付け、
かつセレクタプレート２０の挿入方向前端面の上縁およ
び下縁にセレクタ通路１５の天井および底面に接するス
クレーパ２３を取付ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、多層の合成樹脂フィルムを成形するための押出し装置に関し、押 出し用ダイ上のヘッドアダプタに設置されているフィルム構成切換え用のセレク タプレートを短時間で交換できるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】

コア成分と表裏両面のシース成分とからなる多層の合成樹脂フィルムを押出し 成形するための装置として、上記の合成樹脂フィルムを下向きに押出すための押 出し用ダイ上に上記のコア成分およびシース成分を供給するためのヘッドアダプ タを設置し、このヘッドアダプタに上下方向のコア成分通路およびシース成分通 路にまたがってヘッドアダプタを水平に貫通するセレクタ通路を形成し、このセ レクタ通路にシース成分切換え用のセレクタプレートを挿入・押出しにより着脱 するようにしたものが知られている。

【０００３】 上記の装置では、セレクタプレートとしてシース成分通路を有しないもの、表 裏のシース成分通路のいずれか一方のみを有するもの等の各種を用意し、これを 必要に応じて交換することにより、単層フィルム、２層フィルムおよび３層フィ ルム等を適宜に成形することができるが、従来は、旧いセレクタプレートをセレ クタ通路から押出し、次いで上記セレクタ通路の天井や底面のシール面を掃除し 、しかるのち別の予熱装置で加熱されている新しいセレクタプレートを上記のセ レクタ通路に挿入し、固定していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来は、使用済みのセレクタプレートを取外した後、セレクタ 通路を掃除し、次いで予熱された新しいセレクタプレートを運搬して取付けてい たので、その間に新しいセレクタプレートの温度が低下し、その取付け後に再び 昇温させる必要があり、そのため押出し装置の停止時間が長くなり、稼働率が低 下するという問題があった。

【０００５】 この考案は、上記セレクタプレートの交換時の停止時間を大幅に短縮し、装置 の稼働率を向上させるようにしたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この考案に係る多層フィルムの押出し装置は、多層の合成樹脂フィルム押出し 用ダイ上に上記フィルムのコア成分およびシース成分を供給するためのヘッドア ダプタを設置し、このヘッドアダプタに上下方向のコア成分通路およびシース成 分通路にまたがってヘッドアダプタを水平に貫通するセレクタ通路を形成し、こ のセレクタ通路にシース成分切換え用のセレクタプレートを挿入・押出しにより 着脱するようにした多層フィルムの押出し装置において、上記セレクタ通路の入 口側および出口側に上記のセレクタプレートを摺動自在に載せることができるセ レクタ台を設け、入口側のセレクタ台に該セレクタ台上のセレクタプレートを加 熱することができるヒータを取付け、かつ上記セレクタプレートの挿入方向前端 面の上縁および下縁にそれぞれ上記セレクタ通路の天井および底面に接するスク レーパを取付けたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

使用中のセレクタプレートを交換するに先立ち、入口側のセレクタ台上に新し いセレクタプレートを載せて予熱する。そして、上記押出し装置が停止した後、 旧いセレクタプレートの固定を緩め、上記の予熱された新しいセレクタプレート をセレクタ通路に入口側から押し込むと、この押し込みに伴って旧いセレクタプ レートがセレクタ通路から出口側のセレクタ台上に押出される。そして、新しい セレクタプレートの挿入に伴って、上記セレクタ通路の上下のシール面が新しい セレクタプレート前端のスクレーパで掃除され、掃除の終了と共に新しいセレク タプレートの装着が完了する。この場合、予熱用のヒータを有する入口側のセレ クタ台から新しいセレクタプレートを直接セレクタ通路に押し込むので、セレク タプレートの温度低下はない。なお、新しいセレクタプレートを押し込む際、旧 いセレクタプレートとの間に当て板を挟むことが好ましい。

【０００８】

【実施例】

図１および図２において、１０は多層の合成樹脂フィルムの押出し用ダイであ り、その上にヘッドアダプタ１１が固定されている。このヘッドアダプタ１１は 、上部アダプタ１２と下部アダプタ１３とからなり、上下のアダプタ１２、１３ は、下部アダプタ１３の前後（図２の左右）上端に突設したフランジ１３ａの下 面から複数本のボルト１４を上向きに挿入し、締付けることによって一体化され る。ただし、上下のアダプタ１２、１３間には、位置決め用のストッパ（図示さ れていない）が介設され、かつ上記のボルト１４を緩めた際に上部アダプタ１２ が位置ずれ、脱落するのを防止するための係止手段（図示されていない）が設け られる。

【０００９】 そして、上下のアダプタ１２、１３の合わせ部に、上下のアダプタ１２、１３ からなるヘッドアダプタ１１を左右に貫通する断面長方形のセレクタ通路１５が 形成され、このセレクタ通路１５に直方体形状のセレクタプレート２０が挿入さ れ、上記ボルト１４の締付けによって上下のアダプタ１２、１３と一体化される 。このセレクタプレート２０は、上板２１および下板２２をボルト（図示されて いない）で締付け一体化して作られ、その左端面（図１参照）の上下にその全幅 にまたがるスクレーパ２３、２３が固定される。

【００１０】 上記の一体化されたヘッドアダプタ１１およびセレクタプレート２０には、コ ア成分通路１６およびシース成分通路１７がそれぞれ設けられる。ただし、この 実施例では、コア成分通路１６がヘッドアダプタ１１およびセレクタプレート２ ０の中央部を上下に貫通するように設けられる。また、シース成分通路１７は、 ヘッドアダプタ１１の上部右側面（図１参照）から上記のコア成分通路１６に水 平に向かい、コア成分通路１６の右側で垂直に下降してセレクタプレート２０に 達し、ここで前後に分岐し、コア成分通路１６の前後に向かい、更にコア成分通 路１６の前後で垂直に下降するように設けられる。そして、上記のセレクタプレ ート２０として、シース成分通路１７を有しないもの、シース成分通路１７がセ レクタプレート２０において分岐せずに前後の一方のみに向かうもの等が各種用 意される。

【００１１】 上記のヘッドアダプタ１１を構成する下部アダプタ１３の右側面（図１参照） および左側面にそれぞれセレクタ台３０が固定される。このセレクタ台３０は、 下部アダプタ１３にＬ字金具３１を介して固定された台板３２と、該台板３２の 周囲（ただし、Ｌ字金具３１側端部を除く）を囲む縁金３３と、台板３２の下面 に沿って前後の縁金３３間に支架されたステー３４とからなり、台板３２は、上 記セレクタプレート２０を載せることが可能な大きさを有し、その表面が上記セ レクタ通路１５の底面と等しい高さになるように設けられる。そして、セレクタ 通路１５の入口側（図１において右側）の台板３２の下面には、電熱ヒータ３５ が固定される。

【００１２】 上記の構造において、セレクタプレート２０の交換時期が接近すると、入口側 のセレクタ台３０の台板３２上に新しいセレクタプレート２０が置かれ、下の電 熱ヒータ３５に通電され、セレクタプレート２０が所望の温度まで加熱される。 そして、ダイ１０およびヘッドアダプタ１１の運転が終わったとき、ヘッドアダ プタ１１を構成する上下のアダプタ１２、１３の締付けボルト１４を弛め、かつ ヘッドアダプタ１１のセレクタ通路１５内の旧いセレクタプレート２０とセレク タ台３０上の新しいセレクタプレート２０との間に当て板２５を挟み（図３参照 ）、しかるのち新しいセレクタプレート２０をセレクタ通路１５に押し込むと、 新しいセレクタプレート２０に固定されているスクレーパ２３でセレクタ通路１ ５の天井および底面が掃除されると共に、旧いセレクタプレート２０がセレクタ 通路１５から出口側（図１の左側）のセレクタ台３０上に押出される。そして、 新しいセレクタプレート２０の位置決めをした後、上記のボルト１４を締付け、 上下のアダプタ１２、１３および新しいセレクタプレート２０を一体化した後、 運転が再開される。

【００１３】

【考案の効果】

上記のとおり、この考案は、ヘッドアダプタに形成したセレクタ通路の入口側 および出口側にセレクタプレート用のセレクタ台を設け、入口側のセレクタ台に ヒータを取付けて予熱台とし、かつセレクタプレートの挿入方向前端面の上縁お よび下縁にセレクタ通路の天井および底面に接するスクレーパを取付けたもので あるから、セレクタプレートを交換する際、セレクタ台上で予熱されたセレクタ プレートをセレクタ通路に押し込むことにより、旧いセレクタプレートが出口側 のセレクタ台上に押出され、かつセレクタ通路の上下のシール面が自動的に掃除 され、そのため新しいセレクタプレートの装着後に再昇温させる必要がなくなり 、装置の停止時間が短縮され、稼働率を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の実施例の一部破断正面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】セレクタプレート交換時の断面図である。

【符号の説明】

１０：押出し用ダイ １１：ヘッドアダプタ １２：上部アダプタ １３：下部アダプタ １４：ボルト １５：セレクタ通路 １６：コア成分通路 １７：シース成分通路 ２０：セレクタプレート ２３：スクレーパ ３０：セレクタ台 ３２：台板 ３５：電熱ヒータ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多層の合成樹脂フィルム押出し用ダイ上
   に上記フィルムのコア成分およびシース成分を供給する
   ためのヘッドアダプタを設置し、このヘッドアダプタに
   上下方向のコア成分通路およびシース成分通路にまたが
   ってヘッドアダプタを水平に貫通するセレクタ通路を形
   成し、このセレクタ通路にシース成分切換え用のセレク
   タプレートを挿入・押出しにより着脱するようにした多
   層フィルムの押出し装置において、上記セレクタ通路の
   入口側および出口側に上記のセレクタプレートを摺動自
   在に載せることができるセレクタ台を設け、入口側のセ
   レクタ台に該セレクタ台上のセレクタプレートを加熱す
   ることができるヒータを取付け、かつ上記セレクタプレ
   ートの挿入方向前端面の上縁および下縁にそれぞれ上記
   セレクタ通路の天井および底面に接するスクレーパを取
   付けたことを特徴とする多層フィルムの押出し装置。