JPH067155B2 - 超電導量子干渉素子 - Google Patents
超電導量子干渉素子Info
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- JPH067155B2 JPH067155B2 JP63177703A JP17770388A JPH067155B2 JP H067155 B2 JPH067155 B2 JP H067155B2 JP 63177703 A JP63177703 A JP 63177703A JP 17770388 A JP17770388 A JP 17770388A JP H067155 B2 JPH067155 B2 JP H067155B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は高感度な磁力計として用いる超電導量子干渉
素子(Superconducting Quantum Interference Devic
e,略してSQUIDと呼ぶ)中でも直流バイアス電流を用い
て駆動するDC−SQUIDに関するものである。
素子(Superconducting Quantum Interference Devic
e,略してSQUIDと呼ぶ)中でも直流バイアス電流を用い
て駆動するDC−SQUIDに関するものである。
第8図は従来のDC−SQUIDを示す平面図,第9図は上記
第8図中に点線で囲んだジョセフソン素子形成部分(1)
の拡大平面図,第10図は上記第8図中A−B間の断面
図である。これらの第8図から第10図において,例え
ばSiやSiO2等で形成された基板(2)の表面には以下のも
のが設けられている。即ち,(3)は主コイル,(4),(5)は
上部電極,(6),(7)は主コイル(3)と上部電極(4),(5)と
の間にそれぞれ形成されたジョセフソン素子である。配
線I(13)により互いに接続されているシャント抵抗(8),
(9)の中央部分は共に第一の絶縁層(10)により被覆され
ている。そして上部電極(4),(5)は接続層(11)により配
線I(13)に接続され,この配線I(13)の先端はボンディ
ングパッド(15)となっている。主コイル(3)と接続層(1
1)との絶縁は第二の絶縁層(12)により実現されている。
一方、主コイル(3)の一部は配線II(14)として延びてお
り、その先端はボンディングパッド(16)となっている。
ここに,シャント抵抗(8),(9)は例えばMoやAuなどから
形成されており,又,第一の絶縁層(10)及び第二の絶縁
層(12)は例えばSiO,SiO2,Nb2O5などの絶縁体により形成
されている。さらに,主コイル(3),上部電極(4),(5),
接続層(11),配線(13),配線II(14),ボンディングパッ
ド(15),(16)はPb合金やNb等の金属系,あるいはY−Ba
−Cu−O等のセラミクス系超電導材料により形成されて
おり,特に主コイル(3),上部電極(4),(5),接続層(1
1),配線I(13)は単一の超電導リングを形成している。
第8図中に点線で囲んだジョセフソン素子形成部分(1)
の拡大平面図,第10図は上記第8図中A−B間の断面
図である。これらの第8図から第10図において,例え
ばSiやSiO2等で形成された基板(2)の表面には以下のも
のが設けられている。即ち,(3)は主コイル,(4),(5)は
上部電極,(6),(7)は主コイル(3)と上部電極(4),(5)と
の間にそれぞれ形成されたジョセフソン素子である。配
線I(13)により互いに接続されているシャント抵抗(8),
(9)の中央部分は共に第一の絶縁層(10)により被覆され
ている。そして上部電極(4),(5)は接続層(11)により配
線I(13)に接続され,この配線I(13)の先端はボンディ
ングパッド(15)となっている。主コイル(3)と接続層(1
1)との絶縁は第二の絶縁層(12)により実現されている。
一方、主コイル(3)の一部は配線II(14)として延びてお
り、その先端はボンディングパッド(16)となっている。
ここに,シャント抵抗(8),(9)は例えばMoやAuなどから
形成されており,又,第一の絶縁層(10)及び第二の絶縁
層(12)は例えばSiO,SiO2,Nb2O5などの絶縁体により形成
されている。さらに,主コイル(3),上部電極(4),(5),
接続層(11),配線(13),配線II(14),ボンディングパッ
ド(15),(16)はPb合金やNb等の金属系,あるいはY−Ba
−Cu−O等のセラミクス系超電導材料により形成されて
おり,特に主コイル(3),上部電極(4),(5),接続層(1
1),配線I(13)は単一の超電導リングを形成している。
以上の説明のように,DC−SQUIDは2個のジョセフソン
素子を含む超電導リングを基本構造とする。ここに各部
の寸法の一例を示すと,基板(2)の大きさは4mm×4m
m,主コイル(3)の外径は300μm×300μm,線幅は15μ
m,膜厚は200nmである。ジョセフソン素子(4),(5)の大
きさは4μm×4μm,配線I(13),配線II(14)の線幅
は50μm,膜厚は200nmである。又,ボンディングパッ
ド(15),(16)の大きさは300μm×300μm,膜厚は300nm
である。
素子を含む超電導リングを基本構造とする。ここに各部
の寸法の一例を示すと,基板(2)の大きさは4mm×4m
m,主コイル(3)の外径は300μm×300μm,線幅は15μ
m,膜厚は200nmである。ジョセフソン素子(4),(5)の大
きさは4μm×4μm,配線I(13),配線II(14)の線幅
は50μm,膜厚は200nmである。又,ボンディングパッ
ド(15),(16)の大きさは300μm×300μm,膜厚は300nm
である。
次の動作について説明する。素子全体を基板(2)ごと液
体ヘリウムに浸すなどして冷却し,超電導状態に転移さ
せる。超電導体内では電子クーパーペアと呼ばれる対を
形成している。このクーパーペアの往来により,ジョセ
フソン素子(6),(7)にはそれぞれ位相差θ1,θ2に依存し
た直流ジョセフソン電流I1,I2がそれぞれ流れる。ここ
でθ1,θ2はそれぞれ主コイル(3)と上部電極(4)を形成
する超電導体の位相差,主コイル(3)と上部電極(5)を形
成する超電導体の位相差である。これより,ボンディン
グパッド(15)−(16)間に流すことの出来る超電導電流I
は第(1)式のようになる。
体ヘリウムに浸すなどして冷却し,超電導状態に転移さ
せる。超電導体内では電子クーパーペアと呼ばれる対を
形成している。このクーパーペアの往来により,ジョセ
フソン素子(6),(7)にはそれぞれ位相差θ1,θ2に依存し
た直流ジョセフソン電流I1,I2がそれぞれ流れる。ここ
でθ1,θ2はそれぞれ主コイル(3)と上部電極(4)を形成
する超電導体の位相差,主コイル(3)と上部電極(5)を形
成する超電導体の位相差である。これより,ボンディン
グパッド(15)−(16)間に流すことの出来る超電導電流I
は第(1)式のようになる。
ここでIcはジョセフソン素子(6),(7)それぞれの臨界電
流値である。
流値である。
一方,超電導リングにおけるフラクソイドの量子化条件
から,超電導リング(3)に鎖交する磁束φとθ1,θ2と
の間には第(2)式のような関係が成立する。
から,超電導リング(3)に鎖交する磁束φとθ1,θ2と
の間には第(2)式のような関係が成立する。
ただし,φ0は磁束量子であり,その大きさは2.07×10
-15wbである。第(1)式,第(2)式よりθ1−θ2を消去す
ると, となる。これより,ボンディングパッド(15)−(16)間に
電位差を生じることなく流すことの出来る超電導電流の
最大値Imは第(14)式のようになり,鎖交磁束φの関数と
なる。
-15wbである。第(1)式,第(2)式よりθ1−θ2を消去す
ると, となる。これより,ボンディングパッド(15)−(16)間に
電位差を生じることなく流すことの出来る超電導電流の
最大値Imは第(14)式のようになり,鎖交磁束φの関数と
なる。
第(4)式よりImはφ=nφ0の時に最大値2Ic,φ=(n
+1/2)φ0の時に最小値0の値をとり,φに対して磁束
量子φ0を周期として変化することがわかる。ただしこ
れは超電導リングのインダクタンスが0の場合の話であ
り,実際には有限のインダクタンスを有すため,最小値
は0とはならない。
+1/2)φ0の時に最小値0の値をとり,φに対して磁束
量子φ0を周期として変化することがわかる。ただしこ
れは超電導リングのインダクタンスが0の場合の話であ
り,実際には有限のインダクタンスを有すため,最小値
は0とはならない。
DC−SQUIDのこのような電流−電圧(I−V)特性を示
したのが第11図(a)であり,I−V特性はφ=nφ0,φ
=(n+1/2)φ0の時にそれぞれ第11図の(a)中の曲線
C,曲線Dのようになり,φの値に応じてこの間をφ0
を周期として連続的に変化する。そこでφ=nφ0の時
の臨界電流値Ic1よりも若干大きな直流バイアス電流Ib
を配線I(13),配線II(14)を通して流し,ボンディング
パッド(15)−(16)間の電位差Vを測定するとVはφに対
して磁束量子φ0を周期として第11図(b)のように変化す
る。そこでこのDC−SQUIDを被測定磁界中に配置し,被
測定磁界の変化を超電導リングに鎖交する磁束の変化と
して獲え,電圧に変換して出力する。
したのが第11図(a)であり,I−V特性はφ=nφ0,φ
=(n+1/2)φ0の時にそれぞれ第11図の(a)中の曲線
C,曲線Dのようになり,φの値に応じてこの間をφ0
を周期として連続的に変化する。そこでφ=nφ0の時
の臨界電流値Ic1よりも若干大きな直流バイアス電流Ib
を配線I(13),配線II(14)を通して流し,ボンディング
パッド(15)−(16)間の電位差Vを測定するとVはφに対
して磁束量子φ0を周期として第11図(b)のように変化す
る。そこでこのDC−SQUIDを被測定磁界中に配置し,被
測定磁界の変化を超電導リングに鎖交する磁束の変化と
して獲え,電圧に変換して出力する。
ところで超電導体はマイスナー効果と呼ばれる完全反磁
性の性質を有しており,外部磁束は超電導体を貫通する
ことが出来ないことは周知の事実である。このため,例
えば第8図中のx軸方向から紙面に対して斜め下に一様
な被測定磁界イが入射した場合,主コイル(3)付近の磁
束密度(磁界強度)分布を第8図中A−Bの断面にそっ
て図示すると第10図のように歪む。これはバイアス電流
Ibを流したり,又,超電導ループに発生する電圧を検出
するために用いる配線I(13)や配線II(14)がマイスナー
効果による完全反磁性の性質を持つからである。
性の性質を有しており,外部磁束は超電導体を貫通する
ことが出来ないことは周知の事実である。このため,例
えば第8図中のx軸方向から紙面に対して斜め下に一様
な被測定磁界イが入射した場合,主コイル(3)付近の磁
束密度(磁界強度)分布を第8図中A−Bの断面にそっ
て図示すると第10図のように歪む。これはバイアス電流
Ibを流したり,又,超電導ループに発生する電圧を検出
するために用いる配線I(13)や配線II(14)がマイスナー
効果による完全反磁性の性質を持つからである。
従来のDC−SQUIDは上記のように被測定磁界を検出する
主コイル(3)の近傍に超電導体から形成される配線I(1
3),配線II(14)が配置されているために被測定磁界を歪
ませてしまい,高精度な磁界検出が出来ないというとい
う問題点があった。
主コイル(3)の近傍に超電導体から形成される配線I(1
3),配線II(14)が配置されているために被測定磁界を歪
ませてしまい,高精度な磁界検出が出来ないというとい
う問題点があった。
具体的には特に第8図x軸方向から磁界が入射すると配
線I(13)で反射された磁束が超電導リングに鎖交してし
まい,感度が高まってしまうという問題点があった。
線I(13)で反射された磁束が超電導リングに鎖交してし
まい,感度が高まってしまうという問題点があった。
この発明は上記のような課題を解消するためになされた
もので,被測定磁界を歪ませることなく精度良く測定出
来るDC−SQUIDを得ることを目的とする。
もので,被測定磁界を歪ませることなく精度良く測定出
来るDC−SQUIDを得ることを目的とする。
この発明に係る超電導量子干渉素子はバイアス電流を供
給し,又,出力電圧を検出するために超電導リングに接
続した配線を非磁性の常電導材料で形成したものであ
る。
給し,又,出力電圧を検出するために超電導リングに接
続した配線を非磁性の常電導材料で形成したものであ
る。
この発明に係る超電導量子干渉素子は超電導リングに接
続した配線を非磁性の常電導材料により形成したため,
マイスナー効果などの被測定磁界を歪める要因がなく,
被測定磁界を精度良く測定することが出来る。
続した配線を非磁性の常電導材料により形成したため,
マイスナー効果などの被測定磁界を歪める要因がなく,
被測定磁界を精度良く測定することが出来る。
以下,この発明一実施例を図について説明する。第1図
はこの発明の一実施例であるDC−SQUIDを示す平面図,
第2図は上記第1図における点線で囲んだジョセフソン
素子形成部分(17)の拡大図,第3図は上記第1図ないし
第2図における点線E−F間の断面図である。(2)〜(1
1)は上記従来の実例で説明したものである。(18)は例え
ばAu,Cu,A等の非磁性常電導材料により形成した配線
I.(19)は同じく非磁性常電導材料により形成した配線
IIである。ここでは主コイル(3)を覆う第二の絶縁層(1
2)の一部を従来の実施例と比べて縮少させて主コイル
(3)の一部を露出させ,配線II(19)を主コイル(3)に接続
した場合を示している。第2図において(22)は接続電極
であり,従来の実施例における配線I(13)と同様,シャ
ント抵抗(8),(9),及び接続層(11)と接続している。こ
の接続電極(22)はシャント抵抗(8),(9)との接続を確実
にするため主コイル(3)と同じ超電導薄膜により形成さ
れている。配線I(18)は上記接続電極(22)に接続してい
る。(20),(21)はそれぞれ配線I(18),配線II(19)の先
端に接続したボンディングパッドである。一例として,
配線I(18),配線II(19)の線幅は50μm,膜厚は900n
mであり,ボンディングパッド(20),(21)の大きさは300
μm×300μm,膜厚は300nmである。
はこの発明の一実施例であるDC−SQUIDを示す平面図,
第2図は上記第1図における点線で囲んだジョセフソン
素子形成部分(17)の拡大図,第3図は上記第1図ないし
第2図における点線E−F間の断面図である。(2)〜(1
1)は上記従来の実例で説明したものである。(18)は例え
ばAu,Cu,A等の非磁性常電導材料により形成した配線
I.(19)は同じく非磁性常電導材料により形成した配線
IIである。ここでは主コイル(3)を覆う第二の絶縁層(1
2)の一部を従来の実施例と比べて縮少させて主コイル
(3)の一部を露出させ,配線II(19)を主コイル(3)に接続
した場合を示している。第2図において(22)は接続電極
であり,従来の実施例における配線I(13)と同様,シャ
ント抵抗(8),(9),及び接続層(11)と接続している。こ
の接続電極(22)はシャント抵抗(8),(9)との接続を確実
にするため主コイル(3)と同じ超電導薄膜により形成さ
れている。配線I(18)は上記接続電極(22)に接続してい
る。(20),(21)はそれぞれ配線I(18),配線II(19)の先
端に接続したボンディングパッドである。一例として,
配線I(18),配線II(19)の線幅は50μm,膜厚は900n
mであり,ボンディングパッド(20),(21)の大きさは300
μm×300μm,膜厚は300nmである。
次にこの発明によるDC−SQUIDの動作について説明す
る。素子全体を基板(2)ごと液体ヘリウムに浸すなどし
て冷却し,超電導材料により形成されている部分を超電
導状態に転移させる。従来と同様に,主コイル(3),上
部電極(4),(5),接続層(11),接続電極(22)から構成さ
れる超電導リングにフラクソイドの量子化条件が成立
し,超電導リングに電位差を生じることなく流すことの
出来る超電導電流の大きさは第(4)式のように鎖交磁束
φの関数となり,磁束量子φ0を周期として変化する。
これに対応してI−V特性もφ0を周期として変化す
る。第4図(a)はこの発明によるDC−SQUIDのボンディン
グパッド(20)−(21)間のI−V特性であり,曲線G,曲
線Hはそれぞれφ=nφ0,φ=(n+1/2)φ0の時の
I−V特性に相当する。第11図に示した従来の場合と異
なり,I<Ic1又はI<Ic2の範囲で抵抗が存在してい
る。これは配線I(18),破線II(19)を常電導材料で形成
しているためであり,この抵抗値は高々1Ω程度であ
る。Ib>Ic1なる直流バイアス電流Ibを流すことによ
り,従来と同様に鎖交磁束φに対しφ0を周期とした出
力電圧を取り出す。次に一例として第1図中のx軸方向
から紙面に対して斜め下に一様な被測定磁界が入射した
場合の主コイル(3)付近の磁束密度(磁界強度)分布を
第3図に示す。配線I(18),配線II(19)が非磁性の常電
導材料により形成されているため,素子を被測定磁界中
に置いても磁界を歪めることなく精度良く測定すること
が出来る。ここで被測定磁界の強度をB,主コイル
(3),上部電極(4),(5),接続層(11),接続電極(22)から
構成される超電導リングの面積をS,この超電導リング
を含む平面,すなわち基板(2)と被測定磁界とがなす角
度θを第5図のように定めると,φとBとの間には第
(5)式のような関係が成立し,DC−SQUIDは外部磁界に対
してベクトルセンサとして動作する。
る。素子全体を基板(2)ごと液体ヘリウムに浸すなどし
て冷却し,超電導材料により形成されている部分を超電
導状態に転移させる。従来と同様に,主コイル(3),上
部電極(4),(5),接続層(11),接続電極(22)から構成さ
れる超電導リングにフラクソイドの量子化条件が成立
し,超電導リングに電位差を生じることなく流すことの
出来る超電導電流の大きさは第(4)式のように鎖交磁束
φの関数となり,磁束量子φ0を周期として変化する。
これに対応してI−V特性もφ0を周期として変化す
る。第4図(a)はこの発明によるDC−SQUIDのボンディン
グパッド(20)−(21)間のI−V特性であり,曲線G,曲
線Hはそれぞれφ=nφ0,φ=(n+1/2)φ0の時の
I−V特性に相当する。第11図に示した従来の場合と異
なり,I<Ic1又はI<Ic2の範囲で抵抗が存在してい
る。これは配線I(18),破線II(19)を常電導材料で形成
しているためであり,この抵抗値は高々1Ω程度であ
る。Ib>Ic1なる直流バイアス電流Ibを流すことによ
り,従来と同様に鎖交磁束φに対しφ0を周期とした出
力電圧を取り出す。次に一例として第1図中のx軸方向
から紙面に対して斜め下に一様な被測定磁界が入射した
場合の主コイル(3)付近の磁束密度(磁界強度)分布を
第3図に示す。配線I(18),配線II(19)が非磁性の常電
導材料により形成されているため,素子を被測定磁界中
に置いても磁界を歪めることなく精度良く測定すること
が出来る。ここで被測定磁界の強度をB,主コイル
(3),上部電極(4),(5),接続層(11),接続電極(22)から
構成される超電導リングの面積をS,この超電導リング
を含む平面,すなわち基板(2)と被測定磁界とがなす角
度θを第5図のように定めると,φとBとの間には第
(5)式のような関係が成立し,DC−SQUIDは外部磁界に対
してベクトルセンサとして動作する。
φ=B・S・sinθ………(5) なお,φ0の何周期分にも相当する広い入力磁束範囲に
渡って入出力間の線形性を維持出来れば磁力計として便
利であるが,入出力間の線形を維持するためにDC−SQUI
Dを磁力計として使用する際には第6図に示すような駆
動回路が用いられる場合が多い。この駆動回路はFlux−
Locked Loop回路と呼ばれ,例えばReview of Scientifi
c Instrument Vol.55,1984年の第952頁〜第957頁等に詳
細な説明が記載されている公知のものである。第6図に
おいて(23)は直流電流源,(24)は発振器,(25)は前置増
幅器,(26)は位相検波器,(27)は積分器,(28)は帰還抵
抗,(29)は主コイル(3)と磁気的に結合した変調帰還コ
イルである。次に第6図に示した駆動回路の動作につい
て述べる。直流電流源(23)からバイアス電流Ibを流し,
次に発振器(24)から変調帰還コイル(29)を介して例えば
周波数f=100KHzの正弦波変調磁束を加える。ここでφ
=nφ0でDC−SQUIDの動作点が第4図(b)中のI又はJ
点に設定されているとボンディングパッド(20),(21)間
に発生する出力電圧の周波数は2fになる。又,動作点が
K点にあれば変調信号と同相で周波数がfの電圧が出力
される。逆に動作点がL点にあれば変調信号と逆相で周
波数がfの電圧が出力される。このような性質を持つ出
力電圧を前置増幅器(25)で増幅した後,位相検波器(26)
を用いて周波数fで位相検波する。位相検波器(26)の出
力は積分器(27)により積分され,帰還抵抗(28)を流れる
帰還電流Ifとして変調帰還コイル(29)からDC−SQUIDに
負帰還される。この負帰還により動作点は常にI点又は
J点,すなわち極大又は極小の位置に固定され,被測定
磁界の変化量に比例した出力を帰還抵抗(28)に発生する
電位差として得ることが出来る。以上がこの駆動回路の
動作原理であるが,ここで変調帰還コイル(29)を例えば
第7図に示すように主コイル(3)を覆う第二の絶縁層(1
2)上にストリップラインとして一体化して形成すれば振
動などの外乱に対して主コイル(3)との位置関係が常に
一定に保たれ,主コイル(3)と変調帰還コイル(29)との
相互インダクタンスの値が安定し,測定系の信頼性が向
上する。
渡って入出力間の線形性を維持出来れば磁力計として便
利であるが,入出力間の線形を維持するためにDC−SQUI
Dを磁力計として使用する際には第6図に示すような駆
動回路が用いられる場合が多い。この駆動回路はFlux−
Locked Loop回路と呼ばれ,例えばReview of Scientifi
c Instrument Vol.55,1984年の第952頁〜第957頁等に詳
細な説明が記載されている公知のものである。第6図に
おいて(23)は直流電流源,(24)は発振器,(25)は前置増
幅器,(26)は位相検波器,(27)は積分器,(28)は帰還抵
抗,(29)は主コイル(3)と磁気的に結合した変調帰還コ
イルである。次に第6図に示した駆動回路の動作につい
て述べる。直流電流源(23)からバイアス電流Ibを流し,
次に発振器(24)から変調帰還コイル(29)を介して例えば
周波数f=100KHzの正弦波変調磁束を加える。ここでφ
=nφ0でDC−SQUIDの動作点が第4図(b)中のI又はJ
点に設定されているとボンディングパッド(20),(21)間
に発生する出力電圧の周波数は2fになる。又,動作点が
K点にあれば変調信号と同相で周波数がfの電圧が出力
される。逆に動作点がL点にあれば変調信号と逆相で周
波数がfの電圧が出力される。このような性質を持つ出
力電圧を前置増幅器(25)で増幅した後,位相検波器(26)
を用いて周波数fで位相検波する。位相検波器(26)の出
力は積分器(27)により積分され,帰還抵抗(28)を流れる
帰還電流Ifとして変調帰還コイル(29)からDC−SQUIDに
負帰還される。この負帰還により動作点は常にI点又は
J点,すなわち極大又は極小の位置に固定され,被測定
磁界の変化量に比例した出力を帰還抵抗(28)に発生する
電位差として得ることが出来る。以上がこの駆動回路の
動作原理であるが,ここで変調帰還コイル(29)を例えば
第7図に示すように主コイル(3)を覆う第二の絶縁層(1
2)上にストリップラインとして一体化して形成すれば振
動などの外乱に対して主コイル(3)との位置関係が常に
一定に保たれ,主コイル(3)と変調帰還コイル(29)との
相互インダクタンスの値が安定し,測定系の信頼性が向
上する。
一例として,このストリップラインの構造は,主コイル
(3)の線幅が15μm,膜厚が200nm,第二絶縁層(12)の膜
厚が500nm,変調帰還コイル(29)の線幅が5μm,膜厚
が900nmである。
(3)の線幅が15μm,膜厚が200nm,第二絶縁層(12)の膜
厚が500nm,変調帰還コイル(29)の線幅が5μm,膜厚
が900nmである。
なお,(30),(31)は変調帰還コイル(29)の先端に接続し
て配置したボンディングパッドである。一例として,そ
の大きさは300μm×300μm,膜厚は300nmである。製
造プロセスを容易にする目的で従来は変調帰還コイル(2
9)を配線部(11)と同じ超電導材料で形成していた。この
ため,マイスナー効果による完全反磁性により主コイル
(3)に鎖交する被測定磁界を歪ませてしまうという問題
点があった。そこでこの変調帰還コイルを配線I(18),
配線II(19)と共に例えばCu,A,Auなどの非磁性の常電
導金属で形成すれば,被測定磁界を精度よく測定出来
る。
て配置したボンディングパッドである。一例として,そ
の大きさは300μm×300μm,膜厚は300nmである。製
造プロセスを容易にする目的で従来は変調帰還コイル(2
9)を配線部(11)と同じ超電導材料で形成していた。この
ため,マイスナー効果による完全反磁性により主コイル
(3)に鎖交する被測定磁界を歪ませてしまうという問題
点があった。そこでこの変調帰還コイルを配線I(18),
配線II(19)と共に例えばCu,A,Auなどの非磁性の常電
導金属で形成すれば,被測定磁界を精度よく測定出来
る。
またさらに,製造プロセスを容易にする目的で従来はボ
ンディングパッド(15),(16),及び(30),(31)を超電導材
料で形成していた。このためマイスナー効果による完全
反磁性の性質を有するボンディングパッドが例えば4mm
×4mmの基板(2)上で主コイル(3)の近くに配置され,配
線I(13)や配線II(14)と同じように被測定磁界を歪ませ
ていた。これらのボンディングパッドを例えばCu,A,A
uなどの非磁性の常電導金属により形成すればマイスナ
ー効果の影響がなくなり,被測定磁界を歪めることなく
精度よく測定することが出来る。
ンディングパッド(15),(16),及び(30),(31)を超電導材
料で形成していた。このためマイスナー効果による完全
反磁性の性質を有するボンディングパッドが例えば4mm
×4mmの基板(2)上で主コイル(3)の近くに配置され,配
線I(13)や配線II(14)と同じように被測定磁界を歪ませ
ていた。これらのボンディングパッドを例えばCu,A,A
uなどの非磁性の常電導金属により形成すればマイスナ
ー効果の影響がなくなり,被測定磁界を歪めることなく
精度よく測定することが出来る。
以上の説明のように,この発明に係るDC−SQUIDは,DC
−SQUIDの超電導リングに接続した配線を例えばAやCu
やAu等の非磁性の常電導物質で形成したため,被測定磁
界を歪めることなく精度よく測定出来るという効果があ
る。なお,超電導リングに磁気的に結合した変調帰還コ
イル、上記配線や変調帰還コイルの先端に配置したボン
ディングパッドを同様に非磁性の常電導物質で形成すれ
ばさらに精度良く測定を行なえるという効果がある。
−SQUIDの超電導リングに接続した配線を例えばAやCu
やAu等の非磁性の常電導物質で形成したため,被測定磁
界を歪めることなく精度よく測定出来るという効果があ
る。なお,超電導リングに磁気的に結合した変調帰還コ
イル、上記配線や変調帰還コイルの先端に配置したボン
ディングパッドを同様に非磁性の常電導物質で形成すれ
ばさらに精度良く測定を行なえるという効果がある。
第1図はこの発明の一実施例であるDC−SQUIDを示す平
面図,第2図は上記第1図におけるジョセフソン素子形
成部分(17)の拡大平面図、第3図は上記第1図における
E−F間の断面図とE−F間の被測定磁界強度分布図,
第4図は上記実施例におけるDC−SQUIDの電流−電圧特
性,及び出力電圧特性の例示図,第5図は上記実施例に
おける被測定磁界の入射角度の例示図,第6図はFlux−
Locked Loop駆動回路の構成図,第7図はこの発明のさ
らに他の発明によるDC−SQUIDの平面図,第8図は従来
のDC−SQUIDの平面図,第9図は上記第8図におけるジ
ョセフソン素子形成部分(1)の拡大平面図,第10図は第
8図におけるA−B間の断面図とA−B間の被測定磁界
強度分布図,第11図は従来のDC−SQUIDの電流−電圧特
性,及び出力電圧特性の例示図である。 図において,(3)は主コイル,(4),(5)は上部電極,(6),
(7)はジョセフソン素子,(11)は接続層,(22)は接続電
極,(18)は配線I,(19)は配線II,(20),(21)はボンデ
ィングパッド,(29)は変調帰還コイル,(30),(31)はボ
ンディングパッドである。 図中,同一符号は同一又は相当部分を示す。
面図,第2図は上記第1図におけるジョセフソン素子形
成部分(17)の拡大平面図、第3図は上記第1図における
E−F間の断面図とE−F間の被測定磁界強度分布図,
第4図は上記実施例におけるDC−SQUIDの電流−電圧特
性,及び出力電圧特性の例示図,第5図は上記実施例に
おける被測定磁界の入射角度の例示図,第6図はFlux−
Locked Loop駆動回路の構成図,第7図はこの発明のさ
らに他の発明によるDC−SQUIDの平面図,第8図は従来
のDC−SQUIDの平面図,第9図は上記第8図におけるジ
ョセフソン素子形成部分(1)の拡大平面図,第10図は第
8図におけるA−B間の断面図とA−B間の被測定磁界
強度分布図,第11図は従来のDC−SQUIDの電流−電圧特
性,及び出力電圧特性の例示図である。 図において,(3)は主コイル,(4),(5)は上部電極,(6),
(7)はジョセフソン素子,(11)は接続層,(22)は接続電
極,(18)は配線I,(19)は配線II,(20),(21)はボンデ
ィングパッド,(29)は変調帰還コイル,(30),(31)はボ
ンディングパッドである。 図中,同一符号は同一又は相当部分を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】2個のジョセフソン素子を含む超電導リン
グと,上記超電導リングに接続された非磁性の常電導物
質で形成してなる配線とを具備したことを特徴とする超
電導量子干渉素子。 - 【請求項2】超電導リングに磁気的に結合された非磁性
の常電導物質より形成してなる変調帰還コイルとを具備
したことを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の超
電導量子干渉素子。 - 【請求項3】超電導リングに接続する配線又は変調帰還
コイルの先端に接続した非磁性の常電導材料で形成して
なるボンディングパッドを備えたことを特徴とする特許
請求の範囲第(1)項又は第(2)項記載の超電導量子干渉素
子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63177703A JPH067155B2 (ja) | 1988-07-16 | 1988-07-16 | 超電導量子干渉素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63177703A JPH067155B2 (ja) | 1988-07-16 | 1988-07-16 | 超電導量子干渉素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0227280A JPH0227280A (ja) | 1990-01-30 |
JPH067155B2 true JPH067155B2 (ja) | 1994-01-26 |
Family
ID=16035628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63177703A Expired - Fee Related JPH067155B2 (ja) | 1988-07-16 | 1988-07-16 | 超電導量子干渉素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH067155B2 (ja) |
-
1988
- 1988-07-16 JP JP63177703A patent/JPH067155B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0227280A (ja) | 1990-01-30 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |