JPH067152U - ハロゲン電球 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 点灯中にハロゲン電球を取り付けた器具を移
動させた場合に強度の衝撃を受けても、簡単な構成でも
って、２重コイルフィラメントが容易に断線しないよう
にする。 【構成】 ２重コイルフィラメント２をガラス管１の中
心軸に保持するために配置されているアンカー線６の２
重コイルフィラメント２の２重コイル部３への引っかけ
部７を２重コイルフィラメント２の２重コイル部３の中
央よりも１〜２ターン口金１２側に形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はガラス管内に２重コイルフィラメントを設けたハロゲン電球に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

一端に排気および封入ガス導入用のチップオフ部を有し、他端にピンチシール 部を有するガラス管の内部にその管軸上に位置するよう２重コイルフィラメント を設け、前記ガラス管内に不活性ガスおよびハロゲン等を封入し、このガラス管 の外面に赤外線反射膜を形成することにより、効率や寿命を改善するようにした ハロゲン電球は公知である。

【０００３】 ハロゲン電球では、よう素、臭素、塩素等のハロゲンをガラス管内に封入しハ ロゲンサイクルを働かせて光出力を低下させずに長寿命を得ている。特に赤外反 射膜を形成しランプの効率を改善するために、２重コイル部分の外径を太く全長 を長くしガラス管の中心軸に位置させる必要がある。そこで長短２本の内部導入 線を固定するビードガラスにアンカー線を配置してステムマウントを形成し、２ 重コイルフィラメントをガラス管の中心軸に位置させるために、このアンカー線 の先端を２重コイルフィラメントの中央付近に引っかけるようにしていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

近年、この種のミニハロゲン電球の小型、軽量、簡便さがデザインの新規性を 生み市場用途が広がり点灯中に移動可能な、例えば電気スタンドなどで使用され るようになってきた。しかし、点灯中にその器具が移動され、その強度の衝撃に よる振動でコイルフィラメントが断線するといった安全上の問題が生じた。この ２重コイルフィラメントの断線事故を解析すると、２重コイルフィラメントの中 央よりも口金側の部分と長い方の内部リード線とが強度の衝撃による振動でタッ チし、ここでできた短絡回路に商用電圧が直接加わったためと推定される。

【０００５】 本考案はこのような問題点に鑑みなされたもので、２重コイルフィラメントに 引っかけるアンカー線の位置を規制することのみで、不測の事態での安全性を確 保できるハロゲン電球を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案のハロゲン電球は、一端にチップオフ部を、他端に封止部をそれぞれ有 し、かつ表面に赤外線反射膜を形成したガラス管と、このガラス管内に設けられ た長短２本の内部導入線と、前記長短２本の内部導入線間に接続され中心軸が前 記ガラス管の中心軸と一致するように配置せられた２重コイルフィラメントと、 この２重コイルフィラメントを引っかけて固定するアンカー線と、前記ピンチシ ール部に固着された口金とを備え、前記長短２本の内部導入線の各先端部に前記 ２重コイルフィラメントの端部を固定するとともに、前記アンカー線の前記２重 コイルフィラメントの２重コイルへの引っかけ部を、この２重コイルの中心位置 より１〜２ターン口金側に形成したものである。

【０００７】

【作用】

かかる構成によれば、電球に強度の衝撃が加わると、２重コイルフィラメント が振動するが、その中央より１ないし２ターン目にアンカー線が引っかけられて いるので、特に振動に敏感なほどの２重コイルフィラメントのアンカー線の引っ かけ部の左右の重量バランスが崩れておらず、また、たとえ、この振動が大きく 、しかも長い方の内部導入線と接触する方向であっても、アンカー線の位置が口 金方向に近い側にかけられているので、口金より遠い側の２重コイルフィラメン トが長い方の内部リード線と接触することとなり、その短絡回路に過電流が加わ ることがなく、２重コイルフィラメントの断線には至らず安全性が確保できる。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の一実施例について図面を用いて説明する。

【０００９】 図１は本考案の一実施例である一端封止型ハロゲン電球の一部切欠正面図を示 す。

【００１０】 所定の長さの長短２本の内部リード線４，５と、種々に長さを変更したアンカ ー線６とを有するビードガラス８付きのステムを準備し、２重コイル部３が１１ ターンの１１０Ｖ８５Ｗの２重コイルフィラメント２を長短２本の内部リード線 ４，５の両先端部に接続し、２重コイルフィラメント２の中央ターン部分および 、各０．５ターンずつ、口金１２側へのターン数を３ターンまで、口金１２より 遠くになる方向へのターン数を＋０．５ターンまでの位置にアンカー線６を取り 付けた合計８種類のステムマウントを準備した。このステムマウントの内部リー ド線４，５にモリブデン箔１１ａ，１１ｂおよび外部リード線（図示せず）を溶 接し、赤外反射膜９付きガラス管１内にこのステムマウントを挿入し、封止、排 気、ハロゲンガス封入、ガラス管１の封止部１０への口金１２の固着といった通 常の工程を経て図１に示す赤外反射膜付きミニハロゲン電球１１０Ｖ８５Ｗを各 々２０本ずつ合計１６０本製作した。

【００１１】 これらの電球を落下衝撃試験機に長い方の導入線４が下側になるように取り付 け、定格電圧１１０Ｖで点灯中に衝撃値３５Ｇ、衝撃保持時間６ｍｓｅｃなる条 件で、点灯落下衝撃試験を同じ電球について最大２０回まで行い、その残存率を 計算した。つまり、２重コイルフィラメント２に断線を生じなければ、２０回ま で点灯落下衝撃試験を継続し、断線しなかった電球の数を総試験電球数で除して 算出した。図２はアンカー線６を２重コイルフィラメント２の２重コイル部３の 中央よりも口金１２側に引っかけ部７を形成した場合の２重コイルフィラメント ２と長い方の内部線４とが接触した状態を示しており、また図３はアンカー線６ を２重コイルフィラメント２の２重コイル部３の中央よりも口金１２より遠い側 に引っかけ部７を形成した場合の２重コイルフィラメント２と長い方の内部線４ とが接触した状態を示す。図４に残存率を縦軸に、２重コイルフィラメント２の ２重コイル部３におけるアンカー線６の引っかけ部７のターン数を横軸にした残 存率曲線を示す。この残存率曲線は２重コイルフィラメント２の２重コイル部３ の中央位置、および口金１２側へのターン数をマイナス（−）で、口金１２より 遠くになる方向のターン数をプラス（＋）として示すものである。強い衝撃を受 けた場合に、図３に示すような形で２重コイルフィラメント２の２重コイル部３ が長い方の内部導入線４と接触すると、短絡回路が形成され、この短絡部分に単 位長当たり定格点灯時の約３〜４倍程度の電圧が加わり、接触が短時間でも２重 コイルフィラメント２が溶断する。図２に示すような形で２重コイルフィラメン ト２の２重コイル部３が長い方の内部導入線４と接触すると、同様の短絡回路が 形成されるが、この短絡部分には単位長当たり定格点灯時の約１．５倍程度の電 圧しか加わらず、２重コイルフィラメント２が溶断するまでには至らない。特に 短時間であれば問題がない。２重コイルフィラメント２の２重コイル部３の引っ かけ部７が中央部にあると、衝撃を受けた場合の変形は、引っかけ部７の左右ど ちらか重量の大きいほうが先に変形し、その結果図２に示すような形になるか、 図３に示すような形になるかであるが、口金１２が固着されているので、口金１ ２側への変形つまり図３に示す形が多い結果となった。同様の状況で、中央より 口金１２側へ０．５ターン近いところに、引っかけ部７を形成しても、まだ、図 ３のような形の変形が発生した。中央より口金１２側へ１〜２ターン近い個所に 引っかけ部７を形成した場合は、総て図２のような形の変形が起こり残存率は１ ００％となった。しかし、中央より口金１２側へ２．５ターン近い個所に引っか け部７を形成すると、図２のような形の変形を生じるが、簡単に変形を生じて残 存率が低下した。また、２重コイルフィラメント２をガラス管１の中心軸に保持 する役割も損なわれる。

【００１２】 すなわち、２重コイルフィラメント２をガラス管１の中心軸に保持するために 配置されているアンカー線６の２重コイルフィラメント２の２重コイル部３への 引っかけ位置を２重コイルフィラメント２の２重コイル部３の中央より１〜２タ ーン口金１２側の範囲に引っかけ部７を形成するだけで、２重コイルフィラメン ト２をガラス管１の中心軸に保持する役割が損なわずに、この電球の点灯中に器 具を移動させたことによる強度の衝撃に対しても、余分な工程を付加することな しに、安全な電球を提供することができる。

【００１３】 また、同様のコイルマウント形状の電球であれば、安全性の面からは同様の効 果が得られる。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、２重コイルフィラメントをガラス管の 中心軸に保持するために配置されているアンカー線の２重コイルフィラメントの ２重コイル部への引っかけ位置を、２重コイルフィラメントの２重コイル部の中 央よりも１〜２ターン口金１２側に形成することにより、２重コイルフィラメン トをガラス管の中心軸に保持する役割が損なわずに、余分な工程を付加すること なしに、ランプの点灯中に器具を移動させたことによる強度の衝撃に対しても、 安全な白熱電球を安価に提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例であるハロゲン電球の一部切
欠正面図

【図２】長い方の内部リード線と２重コイルフィラメン
トの２重コイル部とが点灯落下衝撃試験で接触している
状態を示す図

【図３】長い方の内部リード線と２重コイルフィラメン
トの２重コイル部とが点灯落下衝撃試験で接触している
別の状態を示す図

【図４】同ハロゲン電球のアンカー線の引っかけ部の位
置を変更した場合の点灯落下強度試験結果を示す図

【符号の説明】

１ ガラス管 ２ ２重コイルフィラメント ３ ２重コイル部 ４ 長い方の内部導入線 ５ 短い方の内部導入線 ６ アンカー線 ７ 引っかけ部 １０ 封止部 １２ 口金

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端にチップオフ部を、他端に封止部をそ
   れぞれ有し、かつ表面に赤外線反射膜を形成したガラス
   管と、このガラス管内に設けられた長短２本の内部導入
   線と、前記長短２本の内部導入線間に接続され中心軸が
   前記ガラス管の中心軸と一致するように配置せられた２
   重コイルフィラメントと、この２重コイルフィラメント
   を引っかけて固定するアンカー線と、前記ピンチシール
   部に固着された口金とを備え、前記長短２本の内部導入
   線の各先端部に前記２重コイルフィラメントの端部を固
   定するとともに、前記アンカー線の前記２重コイルフィ
   ラメントの２重コイルへの引っかけ部を、この２重コイ
   ルの中心位置より１〜２ターン口金側に形成したことを
   特徴とするハロゲン電球。