JPH0671365B2 - 一粒播種機の播種ユニツト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ケーシングと、該ケーシングに着脱可能に連
結されるカバーと、ケーシングとカバーによって画成さ
れる空間を負圧室と種収容室とに分割している有孔板と
を有し、有孔板が、負圧室の負圧により種を吸着させる
ための複数個の吸着孔を周方向に備え、且つ回転駆動可
能な駆動軸で支持されている、一粒播種機の播種ユニッ
トに関するものである。

従来技術 この種の公知の播種装置では、片面に負圧を作用せしめ
られる回転する有孔板が、該有孔板の他の面に設けられ
る個々の吸着孔にて保持されている種を、種容器から連
行するようになっている。この場合、各吸着孔に種を１
つずつ振り分けるために、一方各吸着孔が空所になるこ
とも確実に避けられるように、振り分け要素が用いられ
る。吸着孔は、吸込圧が作用していない領域を通過する
ように案内され、この領域で種は、掻き取り部材、送風
ノズル等の補助手段により畝間に落下する。

この種の播種装置は、トウモロコシ、インゲン豆、サト
ウダイコンのような比較的粒の大きな種に対しても、ま
たニンジンの種とかタマネギの種のような粒の小さな種
に対しても知られている。

例えば、回転するドラムが設けられている一粒播種機が
公知である（ドイツ特許公告第2242272号公報）。回転
するドラムの１つの端面は有孔板によって閉塞されてい
る。この有孔板の外面には種室が境を接している。

ドラムは、該ドラムの内部空間を負圧源に接続させてい
る軸に支持されている。この公知の装置は、適宜な大き
さの列間隔を必要とするような比較的粒の大きな種の播
種に特に適している。しかしこの公知の播種機は、粒の
小さな種を短い列間隔で播く必要がある場合に難点が生
じる。

さらに、直径の小さな種の播種のために特定されている
一粒播種機が公知である（ドイツ実用新案第7530329号
公報）。この公知の播種機では、有孔板が負圧室と種収
容室との間に設けられ、駆動軸によって駆動されるとと
もに、負圧室に設けられるパッキンに接している該負圧
室の外縁でのみ支持されている。この公知の一粒播種機
は、有孔板の支持とシールに欠点があることが判明して
いる。さらに、有孔板の交換に時間がかかること、種収
容室内に種の撹拌手段が設けられていないことも欠点で
ある。またこの公知の播種機はかなりの幅を必要とし、
従って列間隔を短くしようとするときに制限を受ける。

目的 本発明の目的は、次のような一粒播種機の播種ユニット
を提供すること、即ち有孔板の取付け及び交換が簡単
で、種収容室内での種の撹拌を効果的に行なうことがで
きるような播種ユニットを提供することである。

構成 本発明は、上記目的を達成するため、有孔板が、駆動軸
に固定される支持板を介して駆動軸で支持され、該支持
板が、種収容室側へ突設されるピン部材を有し、有孔板
が、ピン部材と係合可能な穴を有していること、ピン部
材と穴の係合状態でピン部材が有孔板を越えて種収容室
内へ突出していること、弾性的に支持される棒状の撹拌
部材が設けられ、該撹拌部材の一部は、種収容室内に延
在し、有孔板の回転に伴いピン部材に衝突して揺動する
ように構成したことを特徴とするものである。

効果 本発明によれば、ケーシングとカバーによって画成され
る空間を負圧室と種収容室とに分割している有孔板が、
該有孔板を支持している支持板に突設したピン部材を受
容する穴を備えているので、有孔板の穴に支持板のピン
部材を係合させるだけで有孔板を支持板に取り付けるこ
とができ、よって有孔板の取付け及び交換が極めて容易
である。

支持板に突設したピン部材は、有孔板の穴との係合状態
で有孔板を越えて種収容室内へ突出するので、種収容室
内での撹拌効果の機能をも有している。

種収容室内での撹拌は、種収容室内に一部が延在してい
る撹拌部材が有孔板の回転に伴いピン部材に衝突して揺
動するので、さらに効果的になる。

実施例 次に、本発明の実施例を添付の図面を用いて説明する。

本発明の播種ユニットは、負圧室１を形成しボス３を備
えた鍋状のケーシング２を有している。ボス３には、駆
動軸４に相対回転不能に取り付けられるボス部分５が設
けられている。ケーシング２は、保持体６を介して通常
の態様で一粒播種機のフレームと結合可能である。駆動
軸４は、図示していない駆動要素を介して回転せしめら
れる。ボス部分５には、駆動軸４の回転にともなって該
駆動軸とともに回転する支持板７が装着されている。支
持板７には有孔板８が結合され、該有孔板８には、一定
の間隔で円弧状に吸着孔９が配置されている。これらの
吸着孔９の直径は、播種されるべき種の直径よりも小さ
い。有孔板８の半径方向にて外側の縁には、黒鉛を含ん
だフェルトから成るパッキンリング10が接している。有
孔板８の外径は、ケーシング２の円筒状の外壁11の内径
よりも小さい。

有孔板８は、負荷されていない状態では容易に截頭円錐
形を呈し、従って取り付け状態では、有孔板８の外縁は
パッキンリング10の方向へ締付けられる。

有孔板８は長穴12を具備している（第４図）。図面で
は、有孔板８の回転方向を矢印13で示す。長穴12は、回
転方向にて後方の端部に直径の大きな部分14を有し、こ
の直径の大きな部分14には、これよりも幅の狭い部分15
が続いている。

支持板７には、互いに軸線平行に配置されるピン部材16
が駆動軸４の軸芯を中心とする円に沿って支持板７の周
方向に互いに間隔をもって装着されている。これらのピ
ン部材16は、長穴12の直径の大きな部分14を貫通するこ
とができるようにその直径と位置を選定されている。各
ピン部材16は、支持板７のすぐ上方に、ほぼ有孔板８の
壁厚に対応するような保持溝を有している。即ち有孔板
８を支持板７に固定するためには、支持板７のピン部材
16を有孔板８の長穴12の直径の大きな部分14に係合さ
せ、そしてピン部材16の前記保持溝に有孔板８を係合さ
せるだけでよい。次に、有孔板８を支持板７に対して回
転方向13とは逆の方向へ回転させることにより、有孔板
８の長穴12の前記幅の狭い部分15に支持板７のピン部材
16が嵌合し、有孔板８の支持板７への取付けが完了す
る。

負圧室１のケーシング２は、後壁17を有している。この
後壁17には、吸気接続部19のための大きな開口部18が設
けられている。吸気接続部19の大きさは、低真空で作業
することができるような、従って種を傷つけないように
処理できるような大きさである。

後壁17には、ばね21によって有孔板８に対して押圧され
る結合管20が設けられている。結合管20の自由横断面
は、有孔板８の個々の吸着孔９がこの自由横断面を通過
するように配置されている。結合管20の、後壁17から外
部へ突出している端部は、大気圧に通じている。これ
は、吸着孔９が結合管20の前にある場合には、負圧室１
にて支配的な吸込圧が一時中断されて、その代わりに大
気圧が支配的になることを意味している。従って、吸着
孔９で保持される種の保持力が一時中断し、種は落下す
る。

結合管20の横には圧縮空気接続部22が設けられている。
圧縮空気接続部22は圧縮空気管23に接続し、種の落下
後、有孔板８の吸着孔９を送風により清浄するために設
けられている（第２図）。

有孔板８は、支持板７の半径方向にて外側の縁とパッキ
ンリング10の間の環状領域を蔽っている。この環状領域
には、ユニットの下部部分に（第４図）前記結合管20と
圧縮空気接続部22がある。有孔板８の回転方向（矢印1
3）に見て圧縮空気接続部22の前方には挿入体24が設け
られ、該挿入体24は、有孔板８の負圧室１側を前記環状
領域にて密閉している。

負圧室１のケーシング２には、Ｕ字形のクランプ30を介
してカバー部31が着脱可能に結合されている。駆動軸４
が貫通することができるこのカバー部31は、同様に鍋状
に形成されている。その外縁は32は、ケーシング２の外
壁11に接する。外壁11と外縁32は、その間を種が通過で
きないほどに密に接していなければならない。しかし気
密に結合している必要はない。

カバー部31はベース33を有している。ベース33からは仕
切壁34が突出している。仕切壁34は前記外縁32の面まで
突出し、即ち組立てた状態では有孔板８のすぐ前まで延
びている。外縁32を備えた円筒形の壁部分35には、種の
送入穴36が設けられ、種は種容器37から送入穴36を通っ
て、仕切壁34の上方に形成される種室38のなかへはい
る。

第５図に示すように、仕切壁34は送入穴36の下端に起点
を発し、ここから上方へ斜めに延びている。種容器37
は、仕切壁34の上記起点を終端としている。この終端で
種容器37は開閉板39によって閉塞され、この開閉板39を
用いて、播種ユニットのなかにある種を完全に空にする
ことができる。

第４図に示すように、２個のピン部材16の間に位置する
ように有孔板８に撹拌ピン43が設けられる。ピン部材16
と撹拌ピン43は、第３図に示すようにカバー部31によっ
て成される種収容室44のなかに異なった長さで突出して
いる。仕切壁34には、棒状の弾性的な撹拌部材41を担持
するゴム状部材40が装着されている。撹拌部材41は、仕
切壁34の下方に位置する部分42、即ちカバー部31をケー
シング２に取り付けた状態で種収容室44の中に位置する
部分42と、仕切壁34の上方にして送入穴36の中に位置す
る部分43aとを有している。従って、支持板７及びこれ
に連結されている有孔板８が回転すると、種収容室44側
へ突出するように支持板７に取り付けられているピン部
材16と、有孔板８に設けられている撹拌ピン43とが撹拌
部材41の前記部分42に衝突して、撹拌部材41は揺動せし
められる。これにより、撹拌効果が高められる。

クランプ30（第２図）は、旋回ピン45のまわりに旋回可
能にケーシング２に取り付けられている。

カバー部31のベース33には窓46が設けられ、有孔板８の
個々の吸着孔９が種によって占拠されているかどうかを
監視することができる。

さらにベース33には偏心輪47が取り付けられ、該偏心輪
47の外端（第１図）には、スケール49と協働する補正部
材48が設けられている。偏心輪47には、カバー部31の内
部で弾性的なメタルバンド50が接し（第５図）、該メタ
ルバンド50は、符号51で示した位置でカバー部31の円筒
状の壁部分35と結合されている。このメタルバンドは、
種を一つずつ吸着孔９に振り分ける振り分け要素として
形成されている。メタルバンド50と、有孔板８の吸着孔
９が並んでいる円弧との間隔は、補正部材48を適宜に位
置調整することによって変化させることができる。

カバー部31の円筒状の壁部分35は、その下部領域（第５
図）を開口されていて、掻き取り部材52を形成してい
る。従って、有孔板８の吸着孔９から離れた種を落下さ
せるための自由空間が形成されている。

ベース33の穴53は、圧縮空気接続部22から流出する空気
を通過させるためのものである。

負圧室１のケーシング２とカバー部31とは、本実施例に
よれば、薄板を深絞り加工して製造される。

以上説明した実施例を総括すると次のようになる。

上記構成では、有孔板は、ケーシングによって形成され
円筒状の形状をもつ負圧室の閉塞部と見なすことができ
る。支持板は有孔板を担持し、有孔板をしっかりと保持
する。支持板の径は、該支持板の半径方向にて外側の縁
と負圧室の縁との間に幅狭の環状空間だけが存在するよ
うに選定することができる。有孔板の半径方向にて外側
の縁は、負圧室の縁で緊密に支持されている。しかし支
持板の外縁とパッキンとの間隔を小さく選定することが
できるので、有孔板は、板厚の薄い材料からつくられて
いる場合ですら、十分安定した状態でパッキンに接して
いる。カバー部は、簡単に負圧室のケーシングと結合さ
せることができる。カバー部とケーシングの間のシール
を気密にする必要はなく、ただ種が種室から落下しない
ように保証されていればよい。カバー部とケーシングと
の簡単な結合により、有孔板を迅速に取りはずして、交
換を行なうことができる。

またカバー部の簡潔な構成により、比較的浅いカバー部
を比較的深いカバー部と交換して（その逆も可）、カバ
ー部の収容容積を変えることができる。つまり、粒の小
さな種の播種には容積の小さなカバー部を組み込み、粒
の比較的大きな種の播種には容積の大きなカバー部を組
み込むことができる。

本発明による播種ユニットは、有孔板が差し込み継ぎ手
式に支持板と結合されているように構成することができ
る。従って、支持板への有孔板の着脱に際しては、何ら
補助手段を必要とすることなく有孔板を支持板に対して
周方向に回転させるだけでよい。

さらに本発明による播種ユニットは、支持板上に、種収
容室の方向に突出し且つ駆動軸の軸線に対して同心的に
延びる円上に配置される複数個のピン部材が設けられ、
該ピン部材は、有孔板の壁厚にほぼ対応する保持溝を有
し、且つ有孔板の回転方向に幅を減縮された有孔板の穴
に係入するように構成することができる。

従って、有孔板を支持板に着脱可能に固定するために設
けられるピン部材は、一種の撹拌効果を付加的にもたら
すことができる。

さらに本発明による播種ユニットは、有孔板上に、種収
容室の方向に突出し且つ駆動軸の軸線に対して同心的に
延びる円上に配置される複数個の撹拌ピンが設けられて
いるように構成することができる。

さらに本発明による播種ユニットは、ピン部材と撹拌ピ
ンが共通の円弧状にあるように構成することができる。
このように構成すると、１つの共通の円弧上に、種収容
室のなかへ突出する一連の撹拌要素が得られる。

さらに本発明による播種ユニットは、カバー部のなか
に、種容器と連通している上部種室を下部で閉塞する仕
切壁が取り付けられているように構成することができ
る。従って、特に粒の小さな種の使用に合目的な、比較
的小さな種室が得られる。この種室はその最も深い位置
に閉塞部を具備し、必要な場合には完全に空にすること
ができる。

さらに本発明による播種ユニットでは、棒状の撹拌部材
が仕切壁で弾性的に支持されており、この撹拌部材の一
部は、支持板に設けられるピン部材及び有孔板に設けら
れる撹拌ピンとともに種収容室に延在し、一方撹拌部材
の他端は、種容器と上部種室の間の送入穴の領域へ突出
している。

さらに本発明による播種ユニットは、ピン部材と撹拌ピ
ンとが、種収容室のなかで異なった長さで延びるように
構成することができる。これにより撹拌効果はさらに改
善される。

さらに本発明による播種ユニットは、負圧室の縁に設け
られるパッキンがフェルトリングとして形成されている
ように構成することができる。

さらに本発明による播種ユニットは、有孔板が、負圧室
の縁に設けられるパッキンの方向へ負圧により押圧され
るように構成することができる。これによって負圧室
を、その半径方向にて外側の縁にて特に確実にシールす
ることができる。

さらに本発明による播種ユニットは、負圧室のケーシン
グとカバー部を薄板から深絞り加工により製造すること
ができる。これによって製造コストが著しく低下し、重
量もかなり軽減する。

さらに本発明による播種ユニットは、カバー部が、クラ
ンプを介して負圧室のケーシングと着脱可能に結合して
いるように構成することができる。クランプはほぼＵ字
形に形成され、負圧室のケーシングおよびカバー部と半
径方向にて外側から係合することができる。クランプ
は、例えば、ケーシングまたはカバー部に旋回可能に装
着されているレバーに取り付けることができる。従って
有孔板の着脱、即ち交換が簡単になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による播種ユニットの側面図、第２図は
本発明による播種ユニットの負圧室のケーシングの側面
図、第３図は第２図の線３−３による断面図、第４図は
カバー部を取りはずし有孔板を装着した状態で示した負
圧室のケーシングの側面図、第５図はカバー部の内部を
示す図である。 １……負圧室、２……ケーシング ４……駆動軸、７……支持板 ８……有孔板、10……パッキン 16……ピン部材、31……カバー部 34……仕切壁、36……送入穴 37……種容器、38……種室 41……撹拌部材、43……撹拌ピン 44……種収容室

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシング（２）と、該ケーシング（２）
   に着脱可能に連結されるカバー（31）と、ケーシング
   （２）とカバー（31）によって画成される空間を負圧室
   （１）と種収容室（44）とに分割している有孔板（８）
   とを有し、有孔板（８）が、負圧室（１）の負圧により
   種を吸着させるための複数個の吸着孔（９）を周方向に
   備え、且つ回転駆動可能な駆動軸（４）で支持されてい
   る、一粒播種機の播種ユニットにおいて、 有孔板（８）が、駆動軸（４）に固定される支持板
   （７）を介して駆動軸（４）で支持され、該支持板
   （７）が、種収容室（44）側へ突設されるピン部材（1
   6）を有し、有孔板（８）が、ピン部材（16）と係合可
   能な穴（12）を有していること、 ピン部材（16）と穴（12）の係合状態でピン部材（16）
   が有孔板（８）を越えて種収容室（44）内へ突出してい
   ること、 弾性的に支持される棒状の撹拌部材（41）が設けられ、
   該撹拌部材（41）の一部は、種収容室（44）内に延在
   し、有孔板（８）の回転に伴いピン部材（16）に衝突し
   て揺動するように構成したこと、 を特徴とする播種ユニット。
2. 【請求項２】複数個のピン部材（16）が、駆動軸（４）
   の軸芯を中心とする円に沿って支持板（７）の周方向に
   互いに間隔をもって配置されていることを特徴とする、
   特許請求の範囲第１項に記載の播種ユニット。
3. 【請求項３】複数個の前記穴（12）が、前記円に沿って
   有孔板（８）の周方向に互いに間隔をもって配置され、
   それぞれの穴（12）が、有孔板（８）の回転方向へ幅を
   減縮されていることを特徴とする、特許請求の範囲第１
   項または第２項に記載の播種ユニット。
4. 【請求項４】撹拌部材（41）が、種収容室（44）を仕切
   るようにカバー（31）に装着される仕切壁（34）に設け
   たゴム状部材（40）で支持されていることを特徴とす
   る、特許請求の範囲第１項に記載の播種ユニット。