JPH066757Y2 - 椅子の背もたれ板ないし座板の取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、学習椅子等において、ブロー成形による硬
質合成樹脂の中空成形体からなる背もたれ板ないし座板
をその左右両側面部で椅子フレームにねじ止めするよう
にした取付装置に関する。

従来の技術とその問題点 学習椅子等の背もたれや座体には従来よりベニヤ合板に
クッション材付きカバーを被せたものが汎用されていた
が、近年では上記ベニヤ合板に代えてブロー成形による
硬質合成樹脂の中空成形体が使用される傾向にある。す
なわち、このようなブロー成形による中空成形体は、耐
荷重強度に優れると共に製法的に簡単で低コストで製作
でき、凹凸部の形成によってさらに強度増大を図ること
も容易である等の利点がある。

ところで、学習椅子等では、デザイン上あるいは座の高
さ調整等の機能上から、背もたれ板や座板をその左右両
側面部で椅子フレームにねじ止めする構成としたものが
ある。しかしながら、このような構成における背もたれ
板や座板として上記の中空成形体を使用する場合、該中
空成形体の側面に直接ねじ止めすると取付け部の強度が
不充分となり、またブロー成形時に側面部の内側にナッ
トを挿入する手段では成形に手間を要してコスト高を招
くという問題点があった。

問題点を解決するための手段 この考案は、上記従来の問題点を解決すべくなされたも
ので、上記の中空成形体からなる背もたれ板ないし座板
に孔加工を行うだけでこれらを簡単に椅子フレームに取
付けることができ、しかも大きな取付強度が得られる取
付装置を提供することを目的としている。

すなわち、この考案に係る椅子の背もたれ板ないし座板
の取付装置は、上記目的を達成するために、背もたれ板
（１）と座板（２）の少なくとも一方が左右両側縁部に
二重壁の立ち上がり部（12）を備えたブロー成形による
硬質合成樹脂の中空成形体（10）にて構成され、該立ち
上がり部（12）にはボルト挿通孔（12a）が穿設され、
且つ少なくとも一方がねじ孔（４）である透孔を両側片
部（３ａ）（３ｂ）に対向形成したＵ字状の金属板から
なるナット金具（３）が上記ボルト挿通孔（12a）の内
側にねじ孔（４）が位置するように跨嵌され、椅子フレ
ーム（６）に貫通したボルト（13）をボルト挿通孔（12
a）を通してナット金具（３）のねじ孔（４）に螺合締
着することにより、上記中空成形体（10）がその左右両
側面部で椅子フレーム（６）に固着されてなる。

実施例 以下、この考案を図示実施例に基いて説明する。

図において、（１）は背もたれ板、（２）は座板であ
り、共にブロー成形によって製作された硬質合成樹脂の
扁平な中空成形体（10）からなっている。そして各中空
成形体（10）は、ブロー成形時に一主面の左右両側縁部
に各２ケ所の略矩形の凹所（11）を設けることにより、
周壁部（10a）と該凹所（11）の側壁部（11a）との二重
壁の立ち上がり部（12）が構成され、かつこの立ち上が
り部（12）には側方外部と凹所（11）の内側とを透通す
るボルト挿通孔（12a）が穿設されている。

（３）は、ばね弾性を備えたＵ字状の金属板からなるナ
ット金具であり、下端部を外側へく字状に曲折した一方
の側片部（３ａ）にねじ孔（４）が穿設されると共に、
他方の側片部（３ｂ）に該ねじ孔（４）に対向して且つ
径大のばか孔（５）が穿設されている。尚、ねじ孔
（４）は、打ち抜き時にその周縁を膨出状として且つ割
り溝（４ａ）（４ｂ）にて上下に区割すると共に、上下
の口縁をずらせることにより、両口縁がめねじのねじ山
を構成するようになされている。（３ｃ）は金属板の曲
げ加工を容易にするためにＵ字状折曲位置に打ち抜き形
成した切欠部である。

このナット金具（３）は、ねじ孔（４）を有する側片部
（３ａ）を内側として中空成形体（10）の立ち上がり部
（12）にこれを挟むように跨嵌することにより、側片部
（３ａ）の下端が凹所（11）の底面に達した状態におい
てボルト挿通孔（12a）とねじ孔（４）およびばか孔
（５）とが同一軸線上に各中心を位置させて配置し得る
ように設定されている。

（６）は左右の側枠（７）（７）とこれらを下部で連結
する前後の横杆（８）（８）とで構成される木製の椅子
フレームである。そして、各側枠（７）は前後の脚杆
（７ａ）（７ｂ）と上下の横杆（７ｃ）（７ｄ）とを連
結して矩形に枠組みしたものであり、後部脚杆（７ｂ）
の上部が上方へ延出して背もたれ取付部（６ａ）を形成
している。また、前部脚杆（７ａ）の上部と後部脚杆
（７ｂ）の中間部には複数のボルト挿通孔（９ａ）が上
下に一定間隔を置いて配列し且つ両脚杆（７ａ）（７
ｂ）で同高さに位置するように穿設されると共に、後部
脚杆（７ｂ）の上部つまり背もたれ取付部（６ａ）には
上下２ケ所にボルト挿通孔（９ｂ）が穿設され、更に両
脚杆（７ａ）（７ｂ）の下部にもねじ孔（９ｃ）（９
ｃ）が同高さ位置に穿設されている。

上記構成において背もたれ板（１）および座板（２）を
椅子フレーム（７）に取付けるには、まず中空成形体
（10）の立ち上がり部（12）にナット金具（３）をねじ
孔（４）が内側に位置するように跨嵌させる。これによ
り、ナット金具（３）は両側片部（３ａ）（３ｂ）間の
ばね弾性による挟着力にて立ち上がり部（12）に定位置
で保持される。次に中空成形体（10）を所定のクッショ
ン付きカバー（14）にて被包した上で、椅子フレーム
（６）の各ボルト挿通孔（９ａ）または（９ｂ）に外面
側から挿入したボルト（13）をカバー（14）を貫通し
て、ナット金具（３）のばか孔（５）と中空成形体（1
0）のボルト挿通孔（12a）に挿通し、ナット金具（３）
のねじ孔（４）に螺合締着すればよい。

尚、両側枠（７）（７）と横杆（８）（８）との連結
は、前後脚杆（７ａ）（７ｂ）の下部の各ねじ孔（９
ｃ）を通して木ねじ（15）を各横杆（８）に螺入するこ
とによって行われる。また座板（２）は上下に配設した
ボルト挿通孔（９ａ）に対応する多段階に高さ調整可能
である。

上記実施例では、背もたれ板（１）と座板（２）とが共
に中空成形体（10）からなる椅子を示したが、この考案
は一方のみが中空成形体である椅子や背もたれ板と座板
とが一体の中空成形体からなる椅子にも同様に適用でき
る。また椅子フレームは金属製であってもよい。更にナ
ット金具としては両側片部にねじ孔を穿設したものであ
っても差し支えない。

考案の効果 この考案に係る取付装置によれば、椅子フレームに対し
てブロー成形による硬質合成樹脂の中空成形体からなる
背もたれ板ないし座板をＵ字状のナット金具を利用する
ねじ止めによって極めて簡単に取付けることができ、し
かも中空成形体のねじ止め部分が二重壁の立ち上がり部
にて構成されていることから大きな取付け強度が得られ
るという効果が奏される。また、上記中空成形体は、そ
のブロー成形時に立ち上がり部を同時に形成でき、二次
加工としてはボルト挿通孔の孔開け加工を施すだけでよ
いから、容易に且つ低コストで製作できるという利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１図は椅子
全体の分解斜視図、第２図はナット金具の斜視図、第３
図は中空成形体に対するナット金具の取付け操作を示す
要部斜視図、第４図は椅子フレームに対する中空成形体
の取付状態を示す要部縦断面図である。 （１）……背もたれ板、（２）……座板、（３）……ナ
ット金具、（３ａ）（３ｂ）……側片部、（４）……ね
じ孔（透孔）、（５）……ばか孔（透孔）、（６）……
椅子フレーム、（10）……中空成形体、（12）……立ち
上がり部、（12a）……ボルト挿通孔、（13）……ボル
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】背もたれ板と座板の少なくとも一方が左右
   両側縁部に二重壁の立ち上がり部を備えたブロー成形に
   よる硬質合成樹脂の中空成形体にて構成され、該立ち上
   がり部にはボルト挿通孔が穿設され、且つ少なくとも一
   方がねじ孔である透孔を両側片部に対向形成したＵ字状
   の金属板からなるナット金具が上記ボルト挿通孔の内側
   にねじ孔が位置するように跨嵌され、椅子フレームに貫
   通したボルトをボルト挿通孔を通してナット金具のねじ
   孔に螺合締着することにより、上記中空成形体がその左
   右両側面部で椅子フレームに固着されてなる椅子の背も
   たれ板ないし座板の取付装置。