JPH0667235U - マルチウエイカーのための減速機アセンブリ構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 マルチウエイカーの余裕のないスペースへも
流体式制動用の減速機を搭載できるようにすること。 【構成】 スペーサ３５を介して連結された二つの接続
用フランジ３３，３４を用いて、流体式制動用減速機３
０のアセンブリがマルチウエイカーの駆動伝動装置のケ
ーシングにフランジ接続される。減速機ケーシング３８
に接続される取付プレート３７によって、熱交換器４０
を減速機３０の油溜め４３に半径方向および軸方向へず
らせてフランジ接続する。スペース的に余裕がなくても
減速機３０をマルチウエイカーに搭載できると共に、熱
交換器４０を油溜め４３に直接機械的に接続することが
でき、路面や軌道を走行できるマルチウエイカーを軌道
走行させる場合に発生する大きい制動エネルギを効果的
に循環水へ放出させることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はマルチウエイカーのための減速機アセンブリ構造に係り、詳しくは、 路面および軌道を走行することができるマルチウエイカーの流体式制動を行うた めに、油溜めから供給される油を循環させる装置、および、その油循環装置内の インペラによって発生する制動エネルギを放出するために、油溜めに付設された 熱交換器を有する減速機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

重量の大きい業務用車両や乗合自動車を、勾配のある長い路線において機械的 制動装置を用いることなく所望する速度に維持するために、いわゆる減速機を利 用して制動することがよく知られている。この場合、制動力は減速機中の油が循 環する流動エネルギによって発生されるが、この油循環装置を小型化するために 油溜めの直後に熱交換器が設けられる。すなわち、発生した熱は、通常使用され るエンジン冷却水循環装置の一部分として構成される熱交換器によって循環水に 伝えられる。

【０００３】 一般に、上記のような減速機は車両の駆動シャフト系に配置され、フランジを 用いて車両の伝動装置に直接的に装着するようにしている。 上記した業務用車両においてはスペースが比較的広く確保でき、減速機を容易 に取り付けることができる。しかし、路面や軌道上を走行可能であり従って丘陵 地を運行でき、しかも、退避位置から動作位置へ降下するガイドローラを備える マルチウエイカーでは、減速機の装着が容易でない。 ところで、比較的軽量であっても、路面走行車ではゴム式車輪と軌道との摩擦 係数が大きくなるので、鉄道車両を動かすための大きい牽引力が発揮される。そ れゆえ、操車のために上記したマルチウエイカーが多数使用される。しかし、動 かされる重量が大きいと、マルチウエイカーに一般的に装備されている制動装置 によっては制動が容易でなく、特に勾配のある路線で運行するときの制動はより 一層困難なものとなる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

それゆえに、いわゆるマルチウエイカーのためにも上記したような流体式制動 をする減速機の採用が必要となるが、その車体構造がコンパクトであるために減 速機の取り付けが著しく困難である。マルチウエイカーは車長が比較的短かく、 減速機を駆動シャフト系に装着することはスペース的な面から不可能である。す なわち、丘陵地を運行できるようになっている車両では、既設の伝動装置と調和 を図りながら駆動シャフト系に装着するということができないからである。

【０００５】 本考案は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、装備させるべき車両 とりわけマルチウエイカーにおいて、余裕のないスペースへも前記した減速機を 取り付けることができるようにしたマルチウエイカーのための減速機アセンブリ 構造を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、路面および軌道走行に使用されるマルチウエイカーの流体式制動の ために油溜めから油が供給される油循環装置と、該油循環装置内のインペラによ って発生した制動エネルギを放出するために油溜めに直接取り付けた熱交換器と が備えられている減速機に適用される。 その特徴とするところは、図１および図２を参照して、マルチウエイカー１０ の駆動伝動装置１８のケーシングに減速機ケーシング３８をフランジ接続するた めの取付サポート３２が、スペーサ３５を介して接続した二つの接続用フランジ ３３，３４によって形成される。そして、減速機３０の油溜め４３に熱交換器４ ０を半径方向および軸方向にずらせてフランジ接続するための取付プレート３７ が、減速機ケーシング３８に取り付けられていることである。 なお、エンジン冷却水循環装置より分岐した冷却水循環装置２３を、減速機３ ０の熱交換器４０に連通してマルチウエイカー１０のプラットホーム２１に設け ておくとよい。

【０００７】

【作用】

スペーサ３５を介して連結した適当な寸法の与えられる二つの接続用フランジ ３３，３４を用いて、減速機３０のアセンブリをマルチウエイカー１０の駆動伝 動装置１８のケーシングにフランジ接続する。これによって、スペース的に余裕 がなくても減速機３０がマルチウエイカー１０に搭載される。一方、減速機ケー シング３８に接続される取付プレート３７にも適当な寸法を施しておき、熱交換 器４０を減速機３０の油溜め４３に半径方向および軸方向へずらせてフランジ接 続する。これによって、熱交換器４０を直接油溜め４３に機械的に接続すること ができる。 なお、減速機３０の熱交換器４０にマルチウエイカー１０のプラットホーム２ １に設けた冷却水循環装置２３を接続しておけば、マルチウエイカー１０を軌道 走行させる場合に発生する大きい制動エネルギを、低速走行においても放出させ ることができるようになる。

【０００８】

【考案の効果】

本考案によれば、マルチウエイカーの駆動伝動装置のケーシングに減速機アセ ンブリをスペーサを介して互いに連結した二つの接続用フランジを用いて接続す ることにより、狭隘なスペースにおいても既設の伝動装置との干渉を回避して減 速機の搭載が可能となる。また、減速機ケーシングに接続される取付プレートに よって熱交換器を油溜めにフランジ接続して、油溜めに熱交換器を直接機械的に 取り付け、その熱交換効果を上げることができる。 減速機の熱交換器にエンジン冷却水循環装置より分岐した冷却水循環装置を接 続しておけば、操車運転の場合などの走行風の得られない徐行運転においても放 熱効果を向上させることができる。

【０００９】

【実施例】

以下に、本考案に係るマルチウエイカーのための減速機アセンブリ構造を、図 面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。 図１に示すように、マルチウエイカー１０は、路面走行のために四つの通常の 空気タイヤ式車輪１２，１２と、軌道走行のために降下するガイドローラ１４， １４を前後に有している。なお、図は、そのガイドローラ１４が軌道走行のため に降下している状態を示す。 マルチウエイカー１０は、シャーシ１１の前後に固定した各一つのカップリン グブラケット１５を有する。このカップリングブラケット１５には、他のマルチ ウエイカーもしくは動かすべき鉄道車両との連結に必要なあらゆる構成部材、例 えばカップリングバー１６やネーブルプラグ１７などが取り付けられる。 後輪駆動軸１９および前輪駆動軸２０は、ここでは詳細を述べない駆動伝動装 置１８と伝動可能に接続されている。上記したシャーシ１１には、プラットホー ム２１，運転室２２および熱交換器２３が取り付けられている。

【００１０】 上記のようなマルチウエイカーは図１に示すように車体長が比較的短く、また 四輪駆動および丘陵地運転に適したように構成されている。それゆえに、流体式 制動をする減速機３０（図２参照）は、スペースの狭さや特に伝動装置との取付 上の兼ね合いを考慮すると、駆動シャフト系への装着が不可能となっている。 そのようにスペースが特に狭いにもかかわらず中央の駆動伝動装置１８に減速 機３０を取り付けられるようにするために、取付サポート３２が採用される。こ の取付サポート３２は、図２に示すように、二つの接続用フランジ３３，３４を 有する。これらのフランジ３３，３４は、ディスタンスピースとも指称されるス ペーサ３５を介して互いに堅固に接続される。さらに、熱交換器４０の設置のた めに取付プレート３７も設けられている。 接続用フランジ３３とスペーサ３５は一体の構成部材として作ることもでき、 その場合には、この構成部材にフランジ３４が溶接される。

【００１１】 接続用フランジ３４は、図１に示す駆動伝動装置１８のケーシングへの接続に 使用され、また、接続用フランジ３３は減速機３０のケーシング３８へのフラン ジ接続に使用される。したがって、図２のアセンブリは、左右を逆にして図１の 駆動伝動装置１８に取り付けられる。 スペーサ３５を介して互いに接続されたフランジ３３，３４は、中央において 伝動シャフト４１が貫通されている。この伝動シャフト４１は、徐行運転する場 合に減速機３０の油中で回転するインペラ４２と駆動伝動装置１８とを接続する ものである。 取付プレート３７はボルトで減速機ケーシング３８に固定され、減速機ケーシ ング３８の油溜め４３に隣接して直接的に取り付けるようにして配置される。経 路を図示しないが、この油溜め４３から減速機の油循環装置に油が供給され、こ の油循環装置中で固定ベーン４４と共に配置されたインペラ４２が回転する。 なお、この流体式制動をする減速機３０自体は、本考案の対象でないから、こ こでは詳細な説明を省く。

【００１２】 熱交換器４０は、油溜め４３に対して半径方向および軸方向にずらせて、取付 プレート３７に固定される。加熱された油を冷却するために、その熱を熱交換器 ４０によって水循環装置へ伝達することができるようになっている。減速機の一 部分を構成する熱交換器４０も、ここでは詳細に示されずまた説明もしない。油 循環装置中において熱に変換されることになる減速機で発生した制動エネルギは 大きいので、この熱を熱交換器４０で放出しなければならず、それゆえ、この熱 交換器４０は油溜め４３に接近して取り付けられている。 取付サポート３２，取付プレート３７およびこれらの接続用の孔を適当な寸法 にしておけば、取り付け操作が容易でないにしても、丘陵地を運行するマルチウ エイカーに減速機３０を搭載し、かつ、油溜め４３と熱交換器４０との隣接配置 を可能にして、その伝動や制動機能を発揮させることができる。 マルチウエイカーの軌道運転に際して発生する大きい制動力による熱を放出す るために、マルチウエイカーはさらにもう一つの熱交換器２３（図１参照）を備 えている。この熱交換器２３はプラットホーム２１上に設けられ、図示されない 導管を介して、油溜め４３に隣接する熱交換器４０と接続されている。なお、そ の熱交換器２３は、図示しないエンジン冷却水循環装置より分岐した冷却水循環 装置となっている。

【００１３】 上記の説明から分かるように、本考案に従いマルチウエイカー１０の駆動伝動 装置１８のケーシングに減速機３０のアセンブリを接続するのは、スペーサ３５ を挟んで連結した二つの接続用フランジ３３，３４によって達成され、また、減 速機３０の油溜め４３に熱交換器４０を半径方向および軸方向にずらせてフラン ジ接続することが、減速機ケーシング３８に取り付けられた一つの取付プレート ３７を使用して実現される。 スペーサ３５および取付プレート３７ならびにその取付プレート上の熱交換器 ４０をずらせて配置するために適当な寸法を選定すれば、減速機３０を駆動伝動 装置１８のケーシングにフランジ接続することができ、また、制動エネルギの放 出に必要な熱交換器４０を油溜め４３に直接機械的および熱的効果をもって接続 できる。いずれの接続によっても、既設の伝動装置との干渉が回避される。 業務用車両において一般に行われている熱交換器と既設のエンジン冷却水循環 装置との接続では、マルチウエイカーにおいては所望する成果が望め得ない。こ れは、マルチウエイカーが軌道走行する場合、特に操車運転の場合に通常は徐行 速度であって極めて低速走行であり、放熱のための走行風を十分に利用すること ができないからである。 それゆえ、本考案のいま一つの特徴である減速機３０の熱交換器４０に特殊な 冷却水循環装置２３である前記した熱交換器を接続すれば、マルチウエイカー１ ０を軌道走行させる場合に発生する大きい制動エネルギを、低速時においても放 出することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る減速機アセンブリを搭載したマ
ルチウエイカーの側面図。

【図２】 本考案の取付サポートおよび取付プレートを
有する減速機アセンブリの部分的に破断した全体図。

【符号の説明】

１０…マルチウエイカー、１８…駆動伝動装置、２１…
プラットホーム、２３…冷却水循環装置（熱交換器）、
３０…減速機、３２…取付サポート、３３，３４…接続
用フランジ、３５…スペーサ、３７…取付プレート、３
８…減速機ケーシング、４０…熱交換器、４２…インペ
ラ、４３…油溜め。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 エンゲルバート ケルシュナー ドイツ連邦共和国 5653 ライヒリンゲン １ オーバビッシャーホフ 34 (72)考案者 ディルク レシャー ドイツ連邦共和国 5650 ゾーリンゲン １ ブランデンベーク 12 (72)考案者 リチャード ビッターマン ドイツ連邦共和国 8200 ローゼンハイム ダンツィガーシュトラーセ ８

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 路面および軌道走行に使用されるマルチ
   ウエイカーの流体式制動のために油溜めから油が供給さ
   れる油循環装置と、該油循環装置内のインペラによって
   発生した制動エネルギを放出するために油溜めに直接取
   り付けた熱交換器とが備えられている減速機において、 前記マルチウエイカー（１０）の駆動伝動装置（１８）
   のケーシングに減速機ケーシング（３８）をフランジ接
   続するための取付サポート（３２）が、スペーサ（３
   ５）を介して接続した二つの接続用フランジ（３３，３
   ４）によって形成され、 減速機（３０）の油溜め（４３）に熱交換器（４０）を
   半径方向および軸方向にずらせてフランジ接続するため
   の取付プレート（３７）が、前記減速機ケーシング（３
   ８）に取り付けられていることを特徴とするマルチウエ
   イカーのための減速機アセンブリ構造。
2. 【請求項２】 エンジン冷却水循環装置より分岐した冷
   却水循環装置（２３）が、前記減速機（３０）の熱交換
   器（４０）に接続されて前記マルチウエイカー（１０）
   のプラットホーム（２１）に設けられていることを特徴
   とする請求項１に記載されたマルチウエイカーのための
   減速機アセンブリ構造。