JPH0665952B2 - 酸素昇温装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルミニウムの直接還元精錬等、鉄、非鉄の精
錬等において必要とされる高温酸素を製造する酸素昇温
装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、溶鉱炉によるアルミニウムの精錬方法の開発が進
められているが、この方法においては米国特許第366156
1号明細書に記載されている如く、溶鉱炉の下部に設け
られた複数個の羽口から約1000℃に予熱した酸素を吹き
込むことが行なわれている。そして、この高温酸素を如
何に効率良く生成させ供給するかが上記溶鉱炉によるア
ルミニウム精錬法を成功させる重要な課題の一つのなっ
ている。

実験規模の装置においては、この高温酸素は常温酸素を
他の熱源により得られた流体と熱交換することによって
得ている。しかし、実装置の場合には、数万Nm^３／ｈ程
度の規模となり、上記方法であると他に有効に利用し得
る熱源が存在する時は有利であるが、酸素を昇温するた
めに専用の熱源を用意する場合には効率が悪い。

また、鉄鋼の分野あるいは亜鉛の分野等においてもその
精錬工程に高温酸素を利用する試みが提案されており、
大容量の高温酸素を効率良く且つ安全に製造し供給する
ことが望まれている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記の如く、鉄，非鉄の精錬等において、近時、酸素を
高温に加温して精錬炉に吹き込むことが計画あるいは実
験されているが、非常に大容量の酸素を純度はあまり問
題にせずに効率良く昇温し、且つその際に用いる装置の
安全性、耐久性等を充分考慮した酸素昇温装置は得られ
ていない。

本発明は上述の要請を満たす酸素昇温装置を提供するこ
とを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記に鑑みなされたもので、供給酸素の一部を
燃焼用酸素として用いて酸素を昇温する酸素昇温装置に
おいて、該酸素昇温装置内に、下流側に火炎噴出口を開
口する燃焼室を形成した燃焼室形成体を設け、該燃焼室
形成体の上流側に、燃焼供給路を有する燃料供給導管を
配設し、該燃料供給路を前記燃焼室に連通すると共に、
前記燃料供給導管の周囲に酸素供給路を形成し、前記燃
焼室形成体に、前記酸素供給路からの供給酸素の一部を
前記燃焼室に導入する燃焼用酸素導入路を形成し、前記
酸素供給路からの供給酸素の残部を前記燃焼室で生成し
た火炎と酸素昇温装置内壁との間に噴出してガスカーテ
ンを形成するガスカーテン用酸素噴出路を、前記燃焼室
を囲繞して設け、前記燃焼室で生成した火炎の下流側
に、該火炎による燃焼生成ガスとガスカーテン形成酸素
とを混合して昇温酸素を得る混合部を設けたことを特徴
としている。

また、上記構成において、前記ガスカーテン用酸素噴出
路は、複数個のノズルあるいは少なくとも１個のスリッ
トにより構成してもよく、さらに多層に構成してもよ
い。前記ガスカーテン用酸素噴出路を多層に構成した場
合は、内側のガスカーテン用酸素噴出路から噴出する酸
素ガスの流速が外側のガスカーテン用酸素噴出路から噴
出する酸素ガスの流速より速くなるように構成してもよ
い。

また、酸素昇温装置装置の内壁が金属の場合は、外壁に
断熱層あるいは冷却ジャケットの一方または双方を設け
てもよい。

さらに、燃焼用の燃料としては、気体燃料あるいは液体
燃料のいずれでもよく、燃焼室は使用燃料の種類に応じ
た形状にすればよい。

供給酸素は通常の工業用酸素即ち99.8％程度であるが、
PSA装置により得られる純度90％程度の酸素も適用可能
であることは勿論である。

〔作 用〕

上記構成によれば、燃焼室に燃料供給路から燃料を供給
すると共に酸素供給路からの供給酸素の一部を分岐して
燃焼用酸素導入路を介して導入し、燃焼室で火炎を生成
して火炎噴出口から噴出させ、一方、酸素供給路からの
供給酸素の残部を燃焼室を囲繞して設けたガスカーテン
用酸素噴出路から噴出させ、前記火炎と酸素昇温装置内
壁との間にガスカーテンを形成し、下流側の混合部で火
炎による燃焼生成ガスとガスカーテン形成酸素とを混合
することにより昇温酸素を得ることができる。

この昇温酸素は需要先へ供給されるが、この場合の酸素
昇温装置出口の最高温度は燃焼生成ガスと常温酸素との
完全混合ガス温度である。そして、酸素昇温装置出口の
昇温酸素温度が700〜1000℃程度であれば、酸素による
ガスカーテンの冷却作用により、酸素昇温装置の内壁が
金属の場合も、この外壁に冷却用のジャケットを設ける
必要はない。昇温酸素の温度が1200℃以上になると、内
壁が金属の場合は水冷ジャケット等の冷却機構が必要と
なる。

また、酸素によるガスカーテンにより、内壁の局部的過
熱を防ぎ、且つ内壁が金属の場合は該内壁からの放熱を
少なくし、耐火物あるいは金属でなる内壁の保護を行な
う。さらに、酸素によるガスカーテンは燃焼室形成体を
も冷却する。

酸素によるガスカーテンが多層の場合は、カーテン層流
が安定して酸素昇温装置内壁の保護がより効果的に行な
われる。また、その際、燃焼室側の流速を速くすること
により内壁に接する側のガスカーテンが保持されやすく
なり、内壁の保護が完全になる。

なお、本発明の酸素昇温装置は、大量の高温酸素を必要
とする精錬用酸素供給用として考えられたものである
が、これに限らず高温酸素を必要とする他の用途にも適
用し得ることは勿論である。

〔実施例〕

図は本発明装置の一実施例を示す断面図である。

供給酸素の一部を燃焼用酸素として用いて酸素を昇温す
る酸素昇温装置１は、耐火物あるいは金属の内壁２を有
し、その内部に燃焼室形成体３を設けている。該燃焼室
形成体３には、燃焼室４と、該燃焼室４に連通する燃料
供給路を有する燃料供給導管５と、該燃料供給導管５の
周囲に形成された酸素供給路６と、該酸素供給路６から
の供給酸素の一部を分岐して前記燃焼室４に導入する燃
焼用酸素導入路７と、前記燃焼室４を囲繞して設けられ
たガスカーテン用酸素噴出路８とが形成されている。

該ガスカーテン用酸素噴出路８は、前記酸素供給路６か
らの供給酸素の残部を前記燃焼室４で生成して火炎噴出
口９から噴出する火炎10と内壁２との間に噴出してガス
カーテンを形成する。

前記燃焼室４で生成した火炎10の下流側には、火炎10に
よる燃焼生成ガスとガスカーテン用酸素噴出路８から噴
出したガスカーテン形成酸素とを混合して昇温酸素を得
る混合部11が設けられている。

また、ａは燃料、ｂは供給酸素、ｃは供給酸素ｂの一
部、ｄはガスカーテン形成酸素、ｅは昇温酸素の流れを
夫々示している。

この酸素昇温装置１の燃焼室４には、燃料供給導管５の
燃料供給路から気体または液体燃料ａが供給されると共
に酸素供給路６からの供給酸素ｂの一部ｃが分岐して燃
焼用酸素導入路７を介して導入される。燃焼室４で燃料
ａと供給酸素ｂの一部ｃとが混合して燃焼し、生成され
た火炎10を火炎噴出口９から噴出させる。

一方、酸素供給路６からの供給酸素ｂの残部、即ち大部
分が燃焼室４を囲繞して設けたガスカーテン用酸素噴出
路８から噴出し、前記火炎10と内壁２との間にガスカー
テンを形成する。

そして、前記火炎10による燃焼生成ガスとガスカーテン
形成酸素ｄとが混合部11で混合し、その結果温度分布が
平均化して所期の昇温酸素ｅが得られ、需要先へ供給さ
れる。

このように、昇温用の火炎と昇温されるべき酸素の流れ
および混合部を配置したことにより、熱損失を少なくし
て効率よく高温酸素を生成することができると共に、酸
素昇温装置自体をコンパクトに構成することができる。

また、酸素によるガスカーテンにより、火炎10の内壁２
への熱放射を吸収し且つ伝導、対流によるる熱移動をも
遮断して内壁２の局部的過熱を防ぎ、内壁２の損傷を防
止する。さらに、酸素によるガスカーテンは燃焼室形成
体３をも冷却する。

尚、前記燃焼用酸素導入路７は、図示の如く、火炎噴出
口９の方向の燃焼室４の中心部の一点に収斂するように
向けて形成すると、燃料ａと供給酸素ｂの一部ｃとの混
合が非常によく行なわれ、安定した火炎が得られる。

また、前記ガスカーテン用酸素噴出路８は、複数個のノ
ズルあるいは少なくとも１個のスリットにより構成する
ことができ、さらに多層に構成することもできる。前記
ガスカーテン用酸素噴出路８を多層にした場合は、カー
テン層流が安定して内壁２の保護がより効果的に行なわ
れる。

さらに、前記ガスカーテン用酸素噴出路８を多層に構成
した場合は、例えば、内側のガスカーテン用酸素噴出路
８の入口断面積を出口断面積より大きく形成して、外側
のガスカーテン用酸素噴出路８からの噴出する酸素ガス
の流速より速くなるように構成することにより内壁２に
接する側のガスカーテンが保持されやすくなり、内壁２
の保護が完全になる。

〔発明の効果〕

以上の如く、本発明による酸素昇温装置は、供給酸素の
一部を燃焼用酸素として用いて酸素を昇温する酸素昇温
装置内に、下流側に火炎噴出口を開口する燃焼室を形成
した燃焼室形成体を設け、燃焼室形成体の上流側に、燃
料供給路を有する燃料供給導管を配設し、燃料供給路を
燃焼室に連通すると共に、燃料供給導管の周囲に酸素供
給路を形成し、燃焼室形成体に、酸素供給路からの供給
酸素の一部を燃焼室に導入する燃焼用酸素導入路を形成
し、酸素供給路からの供給酸素の残部を燃焼室で生成し
た火炎と酸素昇温装置内壁との間に噴出してガスカーテ
ンを形成するガスカーテン用酸素噴出路を燃焼室を囲繞
して設け、燃焼室で生成した火炎の下流側に、該火炎に
よる燃焼生成ガスとガスカーテン形成酸素とを混合して
昇温酸素を得る混合部を設けたので、温度分布が平均し
た大量の高温酸素を少量の熱源用燃料で効率よく得られ
る。

また、酸素によガスカーテンにより、酸素昇温装置内壁
を通して外部へ放熱される熱量を最小限にすることがで
き、その分燃焼量を少なくすることができる結果、得ら
れる昇温に比し純度の高い高温酸素が得られる。

さらに、酸素によるガスカーテンにより、酸素昇温装置
内壁の過熱を防ぎ、燃焼室形成体をも冷却し、酸素昇温
装置の安全性、耐久性を向上させることができ、且つ装
置全体をコンパクトにすることができる。

前記ガスカーテン用酸素噴出路は、複数個のノズルある
いは少なくとも１個のスリットにより構成してもよく、
さらに多層に構成してもよい。

ガスカーテンが多層の場合は、カーテン層流が安定して
酸素昇温装置内壁の保護がより効果的に行なわれる。ま
た、内側のガスカーテン用酸素噴出路から噴出する酸素
ガスの流速を外側のガスカーテン用酸素噴出路から噴出
する酸素ガスの流速より速くなるように多層に構成した
場合は、内壁に接する側のガスカーテンが保持されやす
くなり、内壁の保護がより完全になる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明装置の一実施例を示す断面図である。 １……酸素昇温装置、２……内壁、３……燃焼室形成
体、４……燃焼室、５……燃料供給導管、６……酸素供
給路、７……燃焼用酸素導入路、８……ガスカーテン用
酸素噴出路、９……火炎噴出口、10……火炎、11……混
合部、ａ……燃料、ｂ……供給酸素、ｃ……供給酸素ｂ
の一部、ｄ……ガスカーテン形成酸素、ｅ……昇温酸素

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】供給酸素の一部を燃焼用酸素として用いて
   酸素を昇温する酸素昇温装置において、該酸素昇温装置
   内に、下流側に火炎噴出口を開口する燃焼室を形成した
   燃焼室形成体を設け、該燃焼室形成体の上流側に、燃料
   供給路を有する燃料供給導管を配設し、該燃料供給路を
   前記燃焼室に連通すると共に、前記燃料供給導管の周囲
   に酸素供給路を形成し、前記燃焼室形成体に、前記酸素
   供給路からの供給酸素の一部を前記燃焼室に導入する燃
   焼用酸素導入路を形成し、前記酸素供給路からの供給酸
   素の残部を前記燃焼室で生成した火炎と酸素昇温装置内
   壁との間に噴出してガスカーテンを形成するガスカーテ
   ン用酸素噴出路を、前記燃焼室を囲繞して設け、前記燃
   焼室で生成した火炎の下流側に、該火炎による燃焼生成
   ガスとガスカーテン形成酸素とを混合して昇温酸素を得
   る混合部を設けたことを特徴とする酸素昇温装置。
2. 【請求項２】前記ガスカーテン用酸素噴出路は復数個の
   ノズルにより構成したことを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の酸素昇温装置。
3. 【請求項３】前記ガスカーテン用酸素噴出路は少なくと
   も１個のスリットにより構成したことを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の酸素昇温装置。
4. 【請求項４】前記ガスカーテン用酸素噴出路は多層に構
   成したことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の酸
   素昇温装置。
5. 【請求項５】前記多層でなるガスカーテン用酸素噴出路
   は、内側のガスカーテン用酸素噴出路から噴出する酸素
   ガスの流速が外側のガスカーテン用酸素噴出路から噴出
   する酸素ガスの流速より速くなるように構成したことを
   特徴とする特許請求の範囲第４項記載の酸素昇温装置。