JPH0665745B2 - マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造方法 - Google Patents

マンガン−アルミニウム−炭素系合金磁石の製造方法

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JPH0665745B2
JPH0665745B2 JP736085A JP736085A JPH0665745B2 JP H0665745 B2 JPH0665745 B2 JP H0665745B2 JP 736085 A JP736085 A JP 736085A JP 736085 A JP736085 A JP 736085A JP H0665745 B2 JPH0665745 B2 JP H0665745B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、永久磁石の製造方法に関するものである。さ
らに詳細には、多結晶マンガン−アルミニウム−炭素系
(Mn−Al−C系)合金磁石の製造方法に関し、特に高性
能な多極着磁用Mn−Al−C系合金磁石の製造方法に関す
るものである。
(従来の技術) Mn−Al−C系合金磁石は、主として強磁性相である面心
正方晶(τ相、L10型規則格子)の組織で構成され、C
を必須構成元素として含むものであり、不純物以外に添
加元素を含まない3元系および少量の添加元素を含む4
元系以上の多元系合金磁石が知られており、これらを総
称するものである。
また、このMn−Al−C系合金磁石の製造方法としては、
鋳造・熱処理によるもの以外に、温間押出加工等の温間
塑性加工工程を含むものが知られている。特に後者は、
高い磁気特性、機械的強度、耐候性、機械加工性等の優
れた性質を有する異方性磁石の製造方法として知られて
いる。
多極着磁用Mn−Al−C系合金磁石の製造方法としては、
等方性磁石、圧縮加工によるもの、あらかじめ温間押出
加工等の公知の方法で得た一軸異方性の多結晶Mn−Al−
C系合金磁石に異方性方向への温間自由圧縮加工による
もの(特開昭56−119762号公報)、およびあらかじめ異
方性化した多結晶Mn−Al−C系合金磁石からなる中空体
状のビレットの軸方向に圧縮ひずみを与える各種の塑性
加工によるもの(例えば特開昭58−182206ないし182208
号公報)が知られている。
(発明が解決しようとする問題点) 多極着磁用磁石の形状は一般に円筒体であり、主な着磁
としては、第2図に示したような着磁がある。同図は円
筒磁石の内周面に多極着磁した場合の磁石内部での磁路
の形成を模式的に示したものである。このような着磁を
ここでは内周着磁と称する。
前述したあらかじめ異方性化した多結晶Mn−Al−C系合
金磁石からなる中空体状のビレットの軸方向に圧縮ひず
みを与える各種の塑性加工によって得られた磁石では、
前記の内周着磁を施した場合、局部的には磁路に沿った
方向に異方性化しているが、全体をみた場合には望まし
い方向に異方性化していない。また、前述した公知の方
法で、円筒磁石の内周部は径方向に異方性化し、外周部
では周方向(弦方向)に異方性化したものが得られてい
るが、磁路が径方向から周方向(弦方向)に変化する途
中ではその方向に沿った異方性構造ではなく、さらに高
温度での塑性加工を2回以上行なう必要がある。
(問題点を解決するための手段) 以上述べてきた問題点を解決するために本発明は、あら
かじめ異方性化した多結晶Mn−Al−C系合金磁石からな
る(2n+2)角柱(n=1,2,3,……)状の中空部を有し
た中空体状のビレットを、530ないし830℃の温度で、前
記ビレットの軸方向に圧縮加工を施してビレットの中空
部の内周面を円周面状に成形する第1工程と、この第1
工程における圧縮加工前の前記ビレットの(2n+2)角
柱状の中空部の各角部に対応する圧縮加工後の前記ビレ
ットの中空部の内周面の各部分に極着磁する第2工程と
を有するものである。
(作 用) この方法によって、つまり圧縮加工によってビレットの
内周面を円周面状に成形し、圧縮加工後に(2n+2)極
着磁を行うことにより、第2図に示した内周着磁を施し
た場合の磁路に沿って異方性化させることができ、高い
磁気特性を示す異方性磁石を得ることができる。
(実施例) 本発明はあらかじめ異方性化した多結晶Mn−Al−C系合
金磁石からなる(2n+2)角柱(n=1,2,3,……)状の
中空部を有した中空体状のビレットに、530ないし830℃
の温度で、前記ビレットの軸方向に圧縮加工を施すこと
によって、前記ビレットの内周面を円周面状に成形する
ものである。
すなわち、公知のMn−Al−C系磁石用合金、例えば68な
いし73質量%のMnと(1/10Mn−6.6)ないし(1/3Mn
−22.2)質量%のCと残部のAlからなる合金530ないし8
30℃の温度域で押出加工等の塑性加工を施すことによっ
て異方性化した多結晶Mn−Al−C系合金磁石を得ること
ができる。前記の磁石として代表的なものとしては、前
記の塑性加工を押出加工とした場合に得られる。押出方
向に磁化容易方向を有する一軸異方性磁石と押出加工
後、さらに押出加工に自由圧縮加工して得られる面異方
性磁石などがある。前記の異方性化した多結晶Mn−Al−
C系合金磁石からなる(2n+2)角柱(n=1,2,3,…
…)状の中空部を有する中空体状のビレットに、ビレッ
トの内周面が円周面状になるようにビレットの軸方向に
圧縮加工を施すことによって、第2図に示した内周着磁
において高い磁気特性を示す磁石を得ることができる。
前記のビレットが中空体の軸方向に磁化容易方向を有す
る多結晶Mn−Al−C系合金磁石(一軸異方性磁石)から
なる場合には、前記の圧縮加工における対象軸の方向の
圧縮ひずみは対数ひずみの絶対値で0.05以上必要であ
る。これは圧縮加工前のビレットは圧縮ひずみを与える
方向に異方性化したものであり、内周着磁において高い
磁気特性を示すような構造の変化に最低0.05の圧縮ひず
みが必要であるためである。
前記のビレットが中空体の軸方向に垂直な平面に平行に
磁化容易方向を有し、しかも前記平面内では磁気的に等
方性であり、かつ前記軸方向と前記平面に平行な直線を
含む平面内では異方性である多結晶Mn−Al−C系合金磁
石(面異方性磁石)からなる場合には、圧縮加圧前のビ
レットはすでに、径方向と弦方向を含む平面内のすべて
の方向に高い磁気特性を示しているが、本発明の圧縮加
工を施すことによって、内周着磁において高い磁気特性
を示す磁石を得ることができる。
前述した圧縮加工は、必ずしも連続的な圧縮加工である
必要はなく、複数回に分割して与えてもよい。また、前
記のビレットとして、一軸異方性磁石および面異方性磁
石の場合について示したが、放射状に磁化容易方向を有
する磁石、周方向に磁化容易方向を有する磁石などでも
よく、必要なことはMn−Al−C系磁石合金用に所定の温
度域でなんらかの塑性加工が施されていることである。
前述した本発明の圧縮加工の一例をビレットの形状を外
周面の断面形状が円形で、内周面の断面形状が正方形
(つまり、n=1の場合)である中空体状として第1図
を用いて説明する。第1図(a)は圧縮加工前の状態を
ビレットの軸方向からみた断面図である。1は正四角柱
状の中空部を有した外周面が円周面である中空体状のビ
レットである。2は外型で、圧縮加工時にビレット1の
外周面を拘束するための金型である。第1図(b)は
(a)に垂直な方向からの断面図である。3および4は
ポンチで、ビレット1を圧縮加圧するためのものであ
り、ポンチ3の先端は図に示すように、径の小さくなっ
た段付き部を有し、ポンチ4はポンチ3の先端部とはめ
あう穴を有す。ポンチ3の先端部によって、ビレット1
の内周面を成形することができる。よって、第1図を示
した例では、圧縮加工後のビレット1の形状はほぼ円筒
体になる。圧縮加工は、ビレット1の内周面がほぼ完全
な円周面になるまで行なう必要はなく、ほぼ円周面にな
った時点で終了してもよい。また、第1図に示した一例
では圧縮加工前からすでにビレット1の外周面は外径2
の内面と接触し、拘束状態にあるが、ビレット1の外径
が小さくて外型2と接触していなくてもよい。この場合
は圧縮加工の進行にともなってビレット1の外径が大き
くなり、やがて第1図に示した状態になる。ビレット1
の中空部(空洞)の大きさはポンチ3の先端部に接触す
る大きさまで小さくすることができる。この場合、圧縮
加工前にすでにビレット1の内面の一部分がポンチ3の
先端部と接触し、拘束された状態にある。
圧縮加工過程において、最も早く内周面が拘束された部
分は弦方向に磁化容易方向を有する部分となり、最後に
内周面が拘束された部分または最後まで内周面が拘束さ
れなかった部分は径方向に磁化容易方向を有する部分と
なる。その中間の部分の磁化容易方向は弦方向から径方
向へ順次変化していく部分である。第1図に示した例で
はビレット1の中空部の形状が正四角柱であるため、内
周に4極着磁を施して用いるのに望ましい異方性構造と
なっており、極数によって中空部の形状を何角柱にする
か決めればよい。(2n+2)角柱状の中空部を有すると
いう限定は、前述したように中空部の形状が偶数の多角
柱である必要があり、n=1のとき4極用、n=2のと
き6極用………というようになる。nが小さいほど前述
した位置による異方性構造が明確になり、大きくなるに
つれて次第に不明確になる。
本発明でいう(2n+2)角柱(n=1,2,3,……)状の中
空部というのは、幾何学的な正確な(2n+2)角形の断
面形状である必要はなく、多少の面取り等があっても問
題はない。
ビレットが中空体の軸方向に磁化容易方向を有する多結
晶Mn−Al−C系合金磁石からなる場合は、前述したよう
に、前記の圧縮ひずみが対数ひずみの絶対値で0.05以上
必要である。しかし、実際の応用上磁石の一部分を一軸
異方性のまま磁化容易方向を保存させておきたい場合
は、ビレットの一部分の内周面を拘束することによっ
て、局部的に圧縮ひずみを与えない領域を作る方法でも
よい。
前記の一例で述べたように、本発明はビレットの軸方向
に圧縮加工する際に、金型(ポンチ)等を用いてビレッ
トの内周面が円周面状になるように成形圧縮加圧するこ
とによって、内周着磁を施した場合に高い磁気特性を示
す異方性構造を有する磁石を得るものである。
前述したような圧縮加圧の可能な温度範囲については、
530ないし830℃の温度領域において、加工が行なえた
が、780℃を越える温度では、磁気特性がかなり低下し
た。より望ましい温度範囲としては560ないし760℃であ
った。
次に本発明の更に具体的な実施例について説明する。
配合組成で69.5質量%(以下単に%で示す)のMn、29.3
%のAl、0.5%のCおよび0.7%のNiを溶解鋳造し、直径
70mm、長さ50mmの円柱ビレットを作製した。このビレッ
トを1100℃で2時間保持したのち、室温まで放冷する熱
処理を行なった。次に潤滑剤を介して、720℃の温度で
直径45mmまでの押出加工を行なった。さらに潤滑剤を介
して680℃の温度で直径31mmまでの押出加工を行なっ
た。この押出棒を長さ20mmに切断し、切削加工して外周
面は円周面で外径30mm、中空部の形状は正方形で一辺18
mmの中空体状のビレットを作製した。このビレットを用
いて、第1図に示した金型を用い圧縮加工を行なった。
外径2の内径は30mm、ポンチ3の先端部の直径は14mmで
あった。圧縮加工は高さ13.8mmまで行なった。
圧縮加工後のビレットを内径15mmまで切削加工し、4極
の内周着磁を施した。着磁は2000μFのオイルコンデン
サーを用い1500Vでパルス着磁した。内周面の表面磁束
密度をホール素子で測定した。比較のために、直径22m
m、長さ20mmの円柱ビレットを680℃の温度を円柱軸方向
に自由圧縮加工した。なお、圧縮加圧後のビレットの高
さは13.8mmであった。加工後のビレットは面異方性磁石
であり、前記と同様に切削加工し、着磁し、表面磁束密
度を測定した。
以上の両者の値を比較すると、本発明の方法で得た磁石
の表面磁束密度の値は、面異方性磁石のそれの約1.6倍
であった。
本発明の方法によって得た磁石は、磁気トルク測定の結
果、前述したように磁化容易方向は、圧縮加工前のビレ
ットの中空部の角部では径方向に沿い、中間では弦方向
に沿い、それらの間では、径方向から弦方向(周方向)
に連続的に変化していることが判明した。
(発明の効果) 本発明によれば、あらかじめ異方性化した多結晶Mn−Al
−C系合金磁石からなる(2n+2)角柱(n=1,2,3,…
…)状の中空部を有した中空体状のビレットに、ビレッ
トの軸方向に圧縮加工を施してビレットの中空部の内周
面を円周面状に成形し、さらに圧縮加工前の前記ビレッ
トの(2n+2)角柱状の中空部の各角部に対応する圧縮
加工後の前記ビレットの中空部の内周面の各部分に極着
磁することによって、高い磁気特性を示す磁石を得るも
のである。
公知の方法によって得られる磁石と比較すると、本発明
の方法によって得られた磁石は内周着磁を施した場合、
公知の方法による磁石より優れた磁気特性を示し、さら
に公知の方法で磁石の内周部が径方向に磁化容易方向を
有し、それよりも外周部で周方向(弦方向)に磁化容易
方向を有する構造を得るには少なくとも2回以上の塑性
加工を必要としたが、本発明の方法では少なくとも1回
でそれよりも望ましい異方性構造を有する磁石を得るこ
とができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例の圧縮加工で用いる金型の
断面図、第2図は円筒状磁石の内周面に多極着磁を施し
た場合の磁石内部での磁路の形成を模式的に示す図であ
る。 1……ビレット、2……外型、3,4……ポンチ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】あらかじめ異方性化した多結晶マンガン−
    アルミニウム−炭素系合金磁石からなる(2n+2)角柱
    (n=1,2,3,……)状の中空部を有した中空体状のビレ
    ットに、530ないし830℃の温度で、前記ビレットの軸方
    向に圧縮加工を施してビレットの中空部の内周面を円周
    面状に成形し、さらに圧縮加工前の前記ビレットの(2n
    +2)角柱状の中空部の各角部に対応する圧縮加工後の
    前記ビレットの中空部の内周面の各部分に極着磁するこ
    とを特徴とするマンガン−アルミニウム−炭素系合金磁
    石の製造方法。
  2. 【請求項2】ビレットが、中空体の軸方向に磁化容易方
    向を有する多結晶マンガン−アルミニウム−炭素系合金
    磁石からなり、しかも前記圧縮ひずみが対数ひずみの絶
    対値で0.05以上であることを特徴とする特許請求の範囲
    第(1)項記載のマンガン−アルミニウム−炭素系合金
    磁石の製造方法。
  3. 【請求項3】ビレットが、中空体の軸方向に垂直な平面
    に平行に磁化容易方向を有し、しかも前記平面内では磁
    気的に等方性であり、かつ前記軸方向と前記平面に平行
    な直線を含む平面内では異方性である多結晶マンガン−
    アルミニウム−炭素系合金磁石からなることを特徴とす
    る特許請求の範囲第(1)項記載のマンガン−アルミニ
    ウム−炭素系合金磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】圧縮加工が、前記ビレットの内周面の一部
    分を拘束した状態で行なうものであることを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)項記載のマンガン−アルミニウ
    ム−炭素系合金磁石の製造方法。
  5. 【請求項5】圧縮加工が、前記ビレットの外周面を拘束
    した状態で行なうものであることを特徴とする特許請求
    の範囲第(1)項記載のマンガン−アルミニウム−炭素
    系合金磁石の製造方法。
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