JPH066519Y2 - イオンレ−ザ管 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、イオンレーザ管に関する。更に詳細には、新
規な構造の放電路を有するイオンレーザ管に関する。

従来の技術 ガスレーザは、レーザ媒質として気体放電を用い、放電
励起された気体原子の放射光を一対の対向するミラー間
で共振させてレーザ光を取り出している。

ガスレーザのうち、励起原子にネオン、アルゴン等の希
ガスや酸素などの１価あるいは多価の電離イオンを用い
たイオンレーザは、可視・紫外領域において高出力のレ
ーザ光が得られるため医療、分析機器等にさかんに使用
されている。

かかるイオンレーザは、気体放電の電流密度が極めて高
いため、レーザ細管にセラミックス等の耐熱材料を用い
た特殊な構造を有している。

従来、この種のイオンレーザ管として、特願昭60−2865
67号に記載された外部ミラー型イオンレーザ管が知られ
ており、第２図に該レーザ管の断面図を示す。

第２図において、イオンレーザ管は、図面右側のコイル
状陰極９を収容するレーザ管陰極部７と、図面左側のテ
ーパ状陽極５を収容するレーザ管陽極部８と、さらに陰
極部７および陽極部８に挟まれたレーザ管中央部６とか
ら主に構成されている。

レーザ管陰極部７および陽極部８はそれぞれレーザ管軸
上で且つその端部壁面にブリュスター窓10を装着する。

レーザ管中央部６は、レーザ管と同軸上に高熱伝導性の
セラミックスの円板状部材１が連設し、隣接する各円板
状部材１の間には筒状部材４が配設された構造を有す
る。

各円板状部材１は、円板中心部に中央開孔部12を有し、
さらに該中央開孔部12の周囲に複数の開孔部13を有して
いる。各中央開孔部12および各開孔部13は、円板状部材
１が第２図に示すようにレーザ管軸方向に連設すること
により、気体放電が発生する放電路２、および陰極部７
および陽極部８のガス圧の均衡を保持するためのガス帰
還路３を形成している。

考案が解決しようとする問題点 上述したイオンレーザ管では、第２図に示すように、円
板上部材１の中央開孔部12が放電路２を形成すると同時
に、円板状部材１の外周部がレーザ管中央部６の外周壁
の一部を形成している。

ところでこのようなレーザ管を製造する際、放電路形成
用の中央開孔部12を同軸上に精度良く配置しかつレーザ
管中央部６の外周面を軸方向に真直になるように製造す
ることが要望されている。

というのは、各円板状部材１の中央開孔部12が同一位置
に形成され且つ精度良く配列してないと、放電路２が真
直に形成されず、気体放電の発生部である放電路２に軸
方向に凹凸部が形成される。このため、好適な気体放電
は得られず、レーザ発振のしきい値が高くなる原因とな
る。

また、レーザ管中央部６の外周部は軸方向に冷却水の通
路を形成しており、各円板状部材１がレーザ管と同軸上
に精度良く配列せずレーザ管中央部６の外周部に軸方向
に凹凸ができると、冷却水に対する抵抗となり極端な場
合にはレーザ管を破損してしまうことがある。

イオンレーザ管において、このような問題に対処するに
は、各円板状部材の軸合わせを高精度に行う必要があ
り、このため特別の治具を必要とするという問題があっ
た。

さらにイオンレーザ管は、構成部品が多くしかも組み立
て工程が煩雑であるという問題があった。

そこで、本考案の目的は構成部品が少なく、組み立てが
容易であり、しかも同軸上に高精度に形成された放電路
を有する新規な構造のイオンレーザ管を提供することに
ある。

問題点を解決するための手段 本考案者は上記問題を解決するために鋭意検討した結
果、レーザ管中央部を構成している円板状部材の各面に
互いに相補的な凹凸形状を設け該形状により直接円板状
部材を嵌合させることで、より少ない構成部品で、容易
に同軸上に精度良く放電路を形成させることに成功し
た。

すなわち本考案は、中央開孔部と該中央開孔部の周囲に
複数の開孔部とを有する非導電性且つ高熱伝導性のセラ
ミックス製の複数の円板状部材を、該中央開孔部が放電
路を形成し、該周囲の開孔部がガス帰還路を形成するよ
うにそれぞれ同軸上に連設し、該放電路の両側に陽極と
陰極とを設けたイオンレーザ管であって、 該円板状部材の各々は、その一方の面が同心状に中央部
が隆起した凸部を有し、他方の面が該凸部と相補的な形
状の凹部を有し、互いに隣接する該円板状部材は、該凸
部と該凹部とを嵌合して同軸状に連設されていることを
特徴とするイオンレーザ管を提供するものである。

作用 イオンレーザ管の中央部構造において、従来、筒状部材
を介して円板状部材を連設させた構造を採用していた
が、本考案においては上記筒状部材を用いず円板状部材
の一方の面に円板状の隆起した凸部を設け他方の面に該
凸部と相補的な凹部を設け、隣接した円板状部材のそれ
ぞれ凸部と凹部を嵌合して連設する構造とした。

本考案で用いる凸部と凹部を有する円板状部材は高精度
に加工できる形状であり、このような円板状部材を直接
嵌合することにより、これまで組み立て工程を煩雑化さ
せていた各円板状部材の軸合わせの作業が不要となる。

すなわち、本考案により円板状部材を互いに嵌合するこ
とにより、各円板状部材の中央開孔部はレーザ管軸方向
に同軸上に配列し、放電路もレーザ管軸の周囲に同軸状
に精度良く形成される。

またレーザ管中央部の外周部についても、同様にしてレ
ーザ管軸方向に凹凸がないように真直に形成される。

本考案は、隣接する円板状部材の凹部と凸部とを直接嵌
合して連設するため、円板状部材はレーザ管外囲器と放
電路とを同時に構成することができ、従来のイオンレー
ザ管に比べ部品点数を大幅に削減することが可能とな
る。

さらに本考案のイオンレーザ管は、複雑な組み立て工程
を必要とせず、簡単な製造工程で得られる。

実施例 次に本考案の具体例について、図面を参照しながら詳細
に説明するが、本考案はこれらに何ら限定されない。

第１図に本考案の一具体例であるイオンレーザ管の断面
図を示す。

第１図において、イオンレーザ管は、図面右側のコイル
状陰極９を収容するレーザ管陰極部７と、図面左側のテ
ーパ状陽極５を収容するレーザ管陽極部８と、さらに陰
極部７および陽極部８に挟まれたレーザ管中央部６とか
ら主に構成されている。

レーザ陰極部７および陽極部８はレーザ管軸上で且つそ
の両端の壁面にブリュスター窓10を装着する。

レーザ管中央部６は、レーザ管の軸上に円板状部材11が
連設した構造を有する。

各円板状部材11は、円板中心部に中央開孔部12を有し且
つ該中央開孔部12の周囲に複数の開孔部13を有してい
る。さらに各々の円板状部材11は、その一方の面が同心
状に中央部が隆起した凸部を有し、他方の面が該凸部と
相補的な形状の凹部を有している。

かかる円板状部材11は、レーザ管中央部６において、互
いに隣接する円板状部材11がその凸部と凹部とを嵌合し
あってレーザ管の軸上に且つそれらが同軸状になるよう
連設される。

円板状部材11の各中央開孔部12は、第１図に示すように
円板状部材11か連設されることにより、気体放電が発生
する放電路２を形成する。

また円板状部材11の各開孔部13は、陰極部７および陽極
部８のガス圧の均衡を保持するためのガス帰還路３を形
成する。

本考案において、各円板状部材11を嵌合する際、低融点
封着用ガラス等を凹凸部に塗布して用いることが好まし
い。

この円板状部材11には、非導電性であり、耐熱性に優
れ、更に比較的熱伝導性に優れる窒化アルミニウムセラ
ミックスス等が好適である。

考案の効果 以上説明したように本考案は、イオンレーザ管におい
て、円板状部材の各面に互いに相補する形状の凹部およ
び凸部を設け該形状を嵌合させて円板状部材を連設させ
ることにより、特別な治具を必要とせず、放電路および
レーザ管外囲器を真直に形成させることができる。

また、本考案のイオンレーザ管は簡単な構造でしかもレ
ーザ管の部品点数がより少ない優れた製品である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案のイオンレーザ管の一具体例の断面図
を示す。 第２図は、従来のイオンレーザ管の断面図を示す。 （主な参照番号） １……円板状部材、２……放電路、 ３……ガス帰還路、 ４……筒状部材、５……陽極、 ６……レーザ管中央部、７……レーザ管陰極部、 ８……レーザ管陽極部、９……陰極、 10……ブリュースター窓、 11……円板状部材、12……中央開孔部、 13……開孔部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】中央開孔部と該中央開孔部の周囲に複数の
   開孔部とを有する非導電性且つ高熱伝導性のセラミック
   ス製の複数の円板状部材を、該中央開孔部が放電路を形
   成し、該周囲の開孔部がガス帰還路を形成するようにそ
   れぞれ同軸上に連設し、該放電路の両側に陽極と陰極と
   を設けたイオンレーザ管であって、 該円板状部材の各々は、その一方の面が同心状に中央部
   が隆起した凸部を有し、他方の面が該凸部と相補的な形
   状の凹部を有し、互いに隣接する該円板状部材は、該凸
   部と該凹部とを嵌合して同軸状に連設されていることを
   特徴とするイオンレーザ管。