JPH0664191B2 - 放射性クラッドを化学的に溶解するための汚染除去方法 - Google Patents
放射性クラッドを化学的に溶解するための汚染除去方法Info
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- JPH0664191B2 JPH0664191B2 JP61104335A JP10433586A JPH0664191B2 JP H0664191 B2 JPH0664191 B2 JP H0664191B2 JP 61104335 A JP61104335 A JP 61104335A JP 10433586 A JP10433586 A JP 10433586A JP H0664191 B2 JPH0664191 B2 JP H0664191B2
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- cerium
- cladding
- dissolution
- sulfuric acid
- chromium
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は放射性クラツドの化学的溶解方法に関するもの
で、特にクロムを含有するクラツドの溶解方法である。
で、特にクロムを含有するクラツドの溶解方法である。
原子炉一次冷却系内で発生した腐食により生成した物質
は原子炉運転中に炉心の燃料集合体表面に付着し、また
中性子により放射化される、主たる放射性核種は60Co、
58Co、54Mn等で、これらの一部は懸濁粒子あるいはイオ
ンとして燃料集合体表面から脱離し、炉心外一次系配管
内の表面酸化物上へ付着・析出し、放射性クラツドを形
成する。これが放射線源となり、原子炉の定期検査や修
理等の作業時における作業員の被曝線量(マン・レム)
の増大をまねいている。従つて本発明は、これらの放射
性核種を含む表面酸化物、すなわちクラツドを溶解除去
することにより放射線被曝線量の低減化をはかることに
関するものである。
は原子炉運転中に炉心の燃料集合体表面に付着し、また
中性子により放射化される、主たる放射性核種は60Co、
58Co、54Mn等で、これらの一部は懸濁粒子あるいはイオ
ンとして燃料集合体表面から脱離し、炉心外一次系配管
内の表面酸化物上へ付着・析出し、放射性クラツドを形
成する。これが放射線源となり、原子炉の定期検査や修
理等の作業時における作業員の被曝線量(マン・レム)
の増大をまねいている。従つて本発明は、これらの放射
性核種を含む表面酸化物、すなわちクラツドを溶解除去
することにより放射線被曝線量の低減化をはかることに
関するものである。
従来の技術 原子炉一次冷却系で形成されるクラツドは沸騰水型原子
炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)とでその組成は大きく異
なる。
炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)とでその組成は大きく異
なる。
BWRにおける放射性クラツドは、ヘマタイト(α−Fe
2O3)およびマグネタイト(Fe3O4)を中心とする鉄酸化物
が大部分を占め、組成比でみると鉄80〜90%、クロムと
ニツケルで10〜20%である。一方、PWRにおける放射性
クラツドは、Fe3O4の一部の鉄(Fe)がクロム(Cr)とニツ
ケル(Ni)に置換された酸化物、すなわちCrxNiyFe3-x-yO
4(x+y<3)で表わされる化合物から成り、クロム
とニツケルで60〜80%を占める。この為に、BWRクラツ
ドの化学的溶解は、クラツドの主成分である3価の鉄を
2価に還元する溶解方法により行われており、シュウ
酸、クエン酸、ヒドラジン、アスコルビン酸、ギ酸、ホ
ルムアルデヒド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の有
機酸、還元剤およびキレート化剤を適当に組合せた混合
溶液が使用されている。一方、PWRクラツドは上記の溶
液で溶解除去することは困難である。従つて、クロム含
有量の高いクラツドに対する既存の化学的溶解方法は、
先ずi)クロムのみを3価から6価に酸化して溶解(酸化
前処理工程)、ii)残存している酸化剤を分解するため
の薬品添加、iii)クロム以外の未溶解クラツド組成(主
として3価の鉄)を溶解するための還元剤の添加、等の
いくつかの工程に分けて溶解する方法が一般に適用され
ている。これはi)の酸化前処理工程において、AP(alkal
i-permanganate)法(NaOHとKMnO4の水溶液を溶解液とし
て使用する方法)あるいはNP(nitric-acid permanganat
e)法(NHO3とKMnO4の水溶液を溶解液として使用する方
法)いずれを行うにしても、クラツド中のクロム成分の
みを溶解し、鉄とニツケルをほとんど溶解しないため
に、高い除染係数(DF)を得るには、上記のような多段階
処理を必要としている。そのために除染工程が複雑にな
り、除染廃液量も増えるという欠点を持つている。
2O3)およびマグネタイト(Fe3O4)を中心とする鉄酸化物
が大部分を占め、組成比でみると鉄80〜90%、クロムと
ニツケルで10〜20%である。一方、PWRにおける放射性
クラツドは、Fe3O4の一部の鉄(Fe)がクロム(Cr)とニツ
ケル(Ni)に置換された酸化物、すなわちCrxNiyFe3-x-yO
4(x+y<3)で表わされる化合物から成り、クロム
とニツケルで60〜80%を占める。この為に、BWRクラツ
ドの化学的溶解は、クラツドの主成分である3価の鉄を
2価に還元する溶解方法により行われており、シュウ
酸、クエン酸、ヒドラジン、アスコルビン酸、ギ酸、ホ
ルムアルデヒド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の有
機酸、還元剤およびキレート化剤を適当に組合せた混合
溶液が使用されている。一方、PWRクラツドは上記の溶
液で溶解除去することは困難である。従つて、クロム含
有量の高いクラツドに対する既存の化学的溶解方法は、
先ずi)クロムのみを3価から6価に酸化して溶解(酸化
前処理工程)、ii)残存している酸化剤を分解するため
の薬品添加、iii)クロム以外の未溶解クラツド組成(主
として3価の鉄)を溶解するための還元剤の添加、等の
いくつかの工程に分けて溶解する方法が一般に適用され
ている。これはi)の酸化前処理工程において、AP(alkal
i-permanganate)法(NaOHとKMnO4の水溶液を溶解液とし
て使用する方法)あるいはNP(nitric-acid permanganat
e)法(NHO3とKMnO4の水溶液を溶解液として使用する方
法)いずれを行うにしても、クラツド中のクロム成分の
みを溶解し、鉄とニツケルをほとんど溶解しないため
に、高い除染係数(DF)を得るには、上記のような多段階
処理を必要としている。そのために除染工程が複雑にな
り、除染廃液量も増えるという欠点を持つている。
本発明の硫酸−セリウム系溶液と類似の硝酸−セリウム
系溶液はウランおよびプルトニウム酸化物の溶解に使用
されており、当然クロムを含有しているクラツドの溶解
への適用が考えられ、本発明者も溶解試験を試みたが、
硫酸−セリウム系溶液より劣ることが明らかになつた。
第1に硝酸溶液中での4価のセリウムは不安定で水と反
応して3価のセリウムに還元される速度が非常に大き
く、クロムに対する酸化溶解能力が低下する。これを解
決するためには、硝酸濃度を数モル/と高くするか、
同一系内で電気化学的にセリウムを3価から4価に酸化
再生する方法が必要となる。第2にセリウムの析出は硫
酸より硝酸溶液中の方で起こりやすい。
系溶液はウランおよびプルトニウム酸化物の溶解に使用
されており、当然クロムを含有しているクラツドの溶解
への適用が考えられ、本発明者も溶解試験を試みたが、
硫酸−セリウム系溶液より劣ることが明らかになつた。
第1に硝酸溶液中での4価のセリウムは不安定で水と反
応して3価のセリウムに還元される速度が非常に大き
く、クロムに対する酸化溶解能力が低下する。これを解
決するためには、硝酸濃度を数モル/と高くするか、
同一系内で電気化学的にセリウムを3価から4価に酸化
再生する方法が必要となる。第2にセリウムの析出は硫
酸より硝酸溶液中の方で起こりやすい。
発明が解決しようとする問題点 上記の如く、従来行われている放射性クラツドの溶解処
理は、その処理工程が多工程になつて複雑であり、その
処理廃液量が多量であるという問題点があり、また上記
の硝酸−セリウム系溶液を使用する放射性クラツドの従
来の処理方法にあつては、硝酸濃度を1モル/以下に
すると処理過程で溶液中からのセリウムの析出が生ずる
という問題点があつた。
理は、その処理工程が多工程になつて複雑であり、その
処理廃液量が多量であるという問題点があり、また上記
の硝酸−セリウム系溶液を使用する放射性クラツドの従
来の処理方法にあつては、硝酸濃度を1モル/以下に
すると処理過程で溶液中からのセリウムの析出が生ずる
という問題点があつた。
問題点を解決するための手段 本発明はクロムを一部含有するクラツドに対し、硫酸−
セリウム系溶液(セリウムは硫酸セリウムとして溶解し
ている)を溶解液として使用することにより、実質的に
は一段階でクロムのみならず鉄とニツケルをも同時に溶
解し、かつ高DFを得ることのできる新しいクラツド溶解
による汚染除去法である。本発明は40〜90℃という比較
的低温で十分に適用可能であるという特徴を有すると共
に、セリウムの析出防止法を発見したことにより、硫酸
濃度および温度の制約がとりはらわれた。
セリウム系溶液(セリウムは硫酸セリウムとして溶解し
ている)を溶解液として使用することにより、実質的に
は一段階でクロムのみならず鉄とニツケルをも同時に溶
解し、かつ高DFを得ることのできる新しいクラツド溶解
による汚染除去法である。本発明は40〜90℃という比較
的低温で十分に適用可能であるという特徴を有すると共
に、セリウムの析出防止法を発見したことにより、硫酸
濃度および温度の制約がとりはらわれた。
クラツド溶解の観点からは温度の上昇と共に溶解速度は
増大することから、温度は高いほど好ましい。一方、硫
酸溶液中でのセリウム(Ce4+/Ce3+)の酸化還元電位は1.2
2V(VS Ag/AgC)と高いため、4価のセリウムが水
と反応して3価のセリウムに還元される。すなわちクロ
ムに対する酸化溶解能力が低下する。このセリウムの4
価から3価への還元反応は温度が高くなるほど速くなる
と共に、セリウム酸化物を生成し析出が起こる。この現
象はクラツドの溶解を阻害するため好ましくない。セリ
ウムの析出は主として硫酸濃度と温度により支配され、
硫酸濃度が低下するにつれて、また温度が高くなるにつ
れて析出しやすくなる。硫酸濃度が0.5mol/と高い場
合には90℃でもセリウムの析出は起こらないが、硫酸濃
度を0.1mol/前後に低下すると、80〜90℃で数時間〜
10時間後にセリウムの析出が起こり、クラツドの溶解を
阻害する。セリウムの析出を抑制するためには硫酸濃度
をある程度高くするか、あるいは温度を低くするかで解
決できるが、硫酸濃度を高くすると廃液処理に負荷がか
かり、また低温にすると溶解速度が遅くなり長時間を要
する。
増大することから、温度は高いほど好ましい。一方、硫
酸溶液中でのセリウム(Ce4+/Ce3+)の酸化還元電位は1.2
2V(VS Ag/AgC)と高いため、4価のセリウムが水
と反応して3価のセリウムに還元される。すなわちクロ
ムに対する酸化溶解能力が低下する。このセリウムの4
価から3価への還元反応は温度が高くなるほど速くなる
と共に、セリウム酸化物を生成し析出が起こる。この現
象はクラツドの溶解を阻害するため好ましくない。セリ
ウムの析出は主として硫酸濃度と温度により支配され、
硫酸濃度が低下するにつれて、また温度が高くなるにつ
れて析出しやすくなる。硫酸濃度が0.5mol/と高い場
合には90℃でもセリウムの析出は起こらないが、硫酸濃
度を0.1mol/前後に低下すると、80〜90℃で数時間〜
10時間後にセリウムの析出が起こり、クラツドの溶解を
阻害する。セリウムの析出を抑制するためには硫酸濃度
をある程度高くするか、あるいは温度を低くするかで解
決できるが、硫酸濃度を高くすると廃液処理に負荷がか
かり、また低温にすると溶解速度が遅くなり長時間を要
する。
また、本発明ではクロムの溶解がほぼ終了した時点(第
2図のA点)で還元剤を添加して残存している4価のセ
リウムを3価に還元することにより、セリウムの析出を
完全に防止できると共に、例え析出が起きたとしても還
元剤の添加により析出物を短時間に再溶解できる。さら
に、クラツド中のクロムの溶解速度は鉄およびニツケル
の溶解速度に比較してはるかに大きいため、クラツドの
溶解開始後1時間〜数時間でクロムはほとんど溶解する
(第2図)。この時点で還元剤を添加すると未溶解の鉄
の溶解が促進され、硫酸−セリウム系溶液のみの場合に
比べて高いDFが得られる。
2図のA点)で還元剤を添加して残存している4価のセ
リウムを3価に還元することにより、セリウムの析出を
完全に防止できると共に、例え析出が起きたとしても還
元剤の添加により析出物を短時間に再溶解できる。さら
に、クラツド中のクロムの溶解速度は鉄およびニツケル
の溶解速度に比較してはるかに大きいため、クラツドの
溶解開始後1時間〜数時間でクロムはほとんど溶解する
(第2図)。この時点で還元剤を添加すると未溶解の鉄
の溶解が促進され、硫酸−セリウム系溶液のみの場合に
比べて高いDFが得られる。
上記還元剤とはセリウム(Ce4+/Ce3+)の酸化還元電位よ
り低い(卑の)電位を有するもので、セリウムの析出を
発生させない物質である。BWRクラツドの溶解に使用さ
れている薬品ならばほとんど使用可能で、例えばシユウ
酸、クエン酸、アスコルビン酸、ヒドラジン、エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、過酸化水素等である。ギ酸およ
びホルムアルデヒドはセリウムの析出を発生し好ましく
ない。
り低い(卑の)電位を有するもので、セリウムの析出を
発生させない物質である。BWRクラツドの溶解に使用さ
れている薬品ならばほとんど使用可能で、例えばシユウ
酸、クエン酸、アスコルビン酸、ヒドラジン、エチレン
ジアミン四酢酸(EDTA)、過酸化水素等である。ギ酸およ
びホルムアルデヒドはセリウムの析出を発生し好ましく
ない。
作用 クラツドを溶解除去するための汚染除去剤の条件として
は、高DFであり、母材に対して低腐食性であるとともに
除染廃液処理が容易であることが重要である。ところ
で、本発明において硫酸−セリウム系溶液を汚染除去剤
として使用する場合、硫酸濃度を高くしてセリウムの析
出を抑制することは除染の際に発生する廃液処理上得策
ではない。そこで、本発明では汚染除去剤による溶解処
理の際に還元剤を添加するセリウムの析出が防止される
ことが発見されたので、100mol/前後の低濃度硫酸溶
液中でもクラツドの溶解が可能となり、その結果、除染
廃液処理は通常のイオン交換樹脂を用いて容易に処理す
ることが可能になり、また除染廃液にNaOHを添加して硫
酸イオンを芒硝として沈澱過除去することも可能とな
つた。
は、高DFであり、母材に対して低腐食性であるとともに
除染廃液処理が容易であることが重要である。ところ
で、本発明において硫酸−セリウム系溶液を汚染除去剤
として使用する場合、硫酸濃度を高くしてセリウムの析
出を抑制することは除染の際に発生する廃液処理上得策
ではない。そこで、本発明では汚染除去剤による溶解処
理の際に還元剤を添加するセリウムの析出が防止される
ことが発見されたので、100mol/前後の低濃度硫酸溶
液中でもクラツドの溶解が可能となり、その結果、除染
廃液処理は通常のイオン交換樹脂を用いて容易に処理す
ることが可能になり、また除染廃液にNaOHを添加して硫
酸イオンを芒硝として沈澱過除去することも可能とな
つた。
以下に本発明の実施例1〜5を例示するが、本発明はこ
れらの実施例によつて限定されるものではなく、本発明
の技術思想の範囲内で、これらを適宜変更および修正す
ることも可能である。
れらの実施例によつて限定されるものではなく、本発明
の技術思想の範囲内で、これらを適宜変更および修正す
ることも可能である。
実施例1. 平均粒子径5〜6μmの3種類の模擬クラツド試料CrxF
e2-xO4(x=0.15、0.3、1.0)5mgとあらかじめ所定濃
度に調製しておいた硫酸−セリウム(Ce4+)溶液10mを
試験管に入れ、60℃の恒温水槽にて、マグネチツクスタ
ラー撹拌条件下で溶解を24時間行つた。その後試料溶液
を0.45μmのミリポアフイルターで過した液を希釈
調製してから、導管結合プラズマ発光分析装置(ICP)
を用いて、クロムと鉄の濃度測定を行い、溶解量(%)
を算出した。試験結果を表1のNO.1からNO.15に示す。
またNO.16からNO.21に比較試験としてx=1の模擬クラ
ツド試料を用いて、硝酸−セリウム系、AP法およびNP法
で行つた結果を示す。硫酸−セリウム系はクロムのみな
らず鉄も溶解し、NO.16からNO.21に示す比較試験データ
より優れていることを示している。
e2-xO4(x=0.15、0.3、1.0)5mgとあらかじめ所定濃
度に調製しておいた硫酸−セリウム(Ce4+)溶液10mを
試験管に入れ、60℃の恒温水槽にて、マグネチツクスタ
ラー撹拌条件下で溶解を24時間行つた。その後試料溶液
を0.45μmのミリポアフイルターで過した液を希釈
調製してから、導管結合プラズマ発光分析装置(ICP)
を用いて、クロムと鉄の濃度測定を行い、溶解量(%)
を算出した。試験結果を表1のNO.1からNO.15に示す。
またNO.16からNO.21に比較試験としてx=1の模擬クラ
ツド試料を用いて、硝酸−セリウム系、AP法およびNP法
で行つた結果を示す。硫酸−セリウム系はクロムのみな
らず鉄も溶解し、NO.16からNO.21に示す比較試験データ
より優れていることを示している。
なお、NO.1〜NO.2、NO.6〜NO.7およびNO.10〜NO.11
は、硫酸のみを使用した場合の比較例である。
は、硫酸のみを使用した場合の比較例である。
実施例2. 平均粒子径5〜8μmの4種類の模擬クラツド試料CrxN
i0.6Fe2.4-xO4(x=0.14、0.30、0.60、1.0)について
実施例1と同様に溶解試験を行つた。硫酸−セリウム系
の試験結果を表2のNO.1からNO.19に示す。またNO.20
からNO.24に比較試験としてx=0.6の模擬クラツド試料
を用いて硝酸−セリウム系、AP法およびNP法で行つた結
果を示す。
i0.6Fe2.4-xO4(x=0.14、0.30、0.60、1.0)について
実施例1と同様に溶解試験を行つた。硫酸−セリウム系
の試験結果を表2のNO.1からNO.19に示す。またNO.20
からNO.24に比較試験としてx=0.6の模擬クラツド試料
を用いて硝酸−セリウム系、AP法およびNP法で行つた結
果を示す。
硫酸−セリウム系では模擬クラツドのクロム含有量が高
くなる(xが増す)につれてクロムは溶解しにくくなる
が硫酸200mmol/、セリウム(Ce4+)10mmol/の濃度
にするとほとんど溶解する。また、クロムのみならず鉄
とニツケルも同時に溶解する能力に優れている。一方、
AP法とNP法ではクロムは溶解するが鉄とニツケルはほと
んど溶解しない。硝酸−セリウム系についてはクロム以
外の鉄とニツケルをある程度溶解するが、全体の溶解量
は硫酸−セリウム系より劣る。なお、NO.1、NO.5、N
O.10およびNO.15は、硫酸のみを使用した場合の比較例
である。
くなる(xが増す)につれてクロムは溶解しにくくなる
が硫酸200mmol/、セリウム(Ce4+)10mmol/の濃度
にするとほとんど溶解する。また、クロムのみならず鉄
とニツケルも同時に溶解する能力に優れている。一方、
AP法とNP法ではクロムは溶解するが鉄とニツケルはほと
んど溶解しない。硝酸−セリウム系についてはクロム以
外の鉄とニツケルをある程度溶解するが、全体の溶解量
は硫酸−セリウム系より劣る。なお、NO.1、NO.5、N
O.10およびNO.15は、硫酸のみを使用した場合の比較例
である。
実施例3. 平均粒子径1.74μmの模擬クラツド試料Cr2O3につい
て、実施例1と同様に溶解試験を行つた結果を第1図に
示す。Cr2O3の溶解量は、硫酸濃度60〜500mmol/の範
囲では硫酸濃度の影響にほとんど依存しないで、セリウ
ム濃度の増加と共に増大する。
て、実施例1と同様に溶解試験を行つた結果を第1図に
示す。Cr2O3の溶解量は、硫酸濃度60〜500mmol/の範
囲では硫酸濃度の影響にほとんど依存しないで、セリウ
ム濃度の増加と共に増大する。
実施例4. 平均粒子径6μmの模擬クラツド試料Cr0.6Ni0.6Fe1.8O
4の硫酸−セリウム溶液中におけるクロム、ニツケル、
鉄各組成の溶解量(%)の経時変化を第2図に示す。
4の硫酸−セリウム溶液中におけるクロム、ニツケル、
鉄各組成の溶解量(%)の経時変化を第2図に示す。
試験は1000mのガラス製セパラブルフラスコに硫酸250
mmol/、セリウム(Ce4+)10mmol/の溶液700mを入
れ、所定温度に昇温した後、上記模擬クラツド140mgを
投入し溶解を行つた。溶解中はガラス製の撹拌羽根を用
いて撹拌を行つた。所定時間毎に溶液5mをサンプリン
グし、実施例1と同様にしてクロム、ニツケル、鉄の溶
解量(%)を求めた。溶解温度60℃および80℃いずれに
おいても溶解量はクロムが最大で、次いでニツケル、鉄
の順になつている。60℃の場合、クロムの溶解量が100
%に達した後の溶解時間2時間のところで還元剤として
1mol/のアスコルビン酸3mを添加した(第2図A
点)場合も示す。還元剤の添加によりニツケルの溶解は
抑制されるが、鉄の溶解は著しく促進され、全体の溶解
量は増す。
mmol/、セリウム(Ce4+)10mmol/の溶液700mを入
れ、所定温度に昇温した後、上記模擬クラツド140mgを
投入し溶解を行つた。溶解中はガラス製の撹拌羽根を用
いて撹拌を行つた。所定時間毎に溶液5mをサンプリン
グし、実施例1と同様にしてクロム、ニツケル、鉄の溶
解量(%)を求めた。溶解温度60℃および80℃いずれに
おいても溶解量はクロムが最大で、次いでニツケル、鉄
の順になつている。60℃の場合、クロムの溶解量が100
%に達した後の溶解時間2時間のところで還元剤として
1mol/のアスコルビン酸3mを添加した(第2図A
点)場合も示す。還元剤の添加によりニツケルの溶解は
抑制されるが、鉄の溶解は著しく促進され、全体の溶解
量は増す。
実施例5. 本実施例に使用した汚染試験片試料は原子炉(JPDR)浄化
系配管から採取したもので、クラツド付着量は約0.5mg/
cm2、クラツド組成は約クロム20%、ニツケル28%、鉄5
0%である。1回の試験に使用した試験片の表面積は約
5cm2である。実施例4で使用したセパラブルフラスコ
に所定濃度の硫酸−セリウム溶液700mを入れ、上記試
験片を浸漬した後、所定温度に昇温して試験を撹拌条件
下で行つた。24時間後に試験片を取出して放射能測定し
た後、再びセパラブルフラスコ内に試験片を戻し、試験
を継続し、所定時間後に再度試験片の放射能を測定し、
除染係数DFを求めた。結果をまとめて表3に示す。
系配管から採取したもので、クラツド付着量は約0.5mg/
cm2、クラツド組成は約クロム20%、ニツケル28%、鉄5
0%である。1回の試験に使用した試験片の表面積は約
5cm2である。実施例4で使用したセパラブルフラスコ
に所定濃度の硫酸−セリウム溶液700mを入れ、上記試
験片を浸漬した後、所定温度に昇温して試験を撹拌条件
下で行つた。24時間後に試験片を取出して放射能測定し
た後、再びセパラブルフラスコ内に試験片を戻し、試験
を継続し、所定時間後に再度試験片の放射能を測定し、
除染係数DFを求めた。結果をまとめて表3に示す。
40℃から90℃の範囲で硫酸−セリウムの濃度を変えて試
験した結果を表3NO.1からNO.8に示す。48時間〜52時
間の場合、80℃でDF57.4(NO.6)、40℃という低温で
もDF13.3(NO.2)が得られた。NO.3とNO.4は硫酸−
セリウムの濃度および温度は同じであるが、NO.4は除
染試験用のガラス製循環ループに汚染試験片にセツト
し、流通系(レイノズル数2500)で試験した場合であ
り、DFは24時間で9.0とNO.3の3.4より大きな値が得ら
れた。
験した結果を表3NO.1からNO.8に示す。48時間〜52時
間の場合、80℃でDF57.4(NO.6)、40℃という低温で
もDF13.3(NO.2)が得られた。NO.3とNO.4は硫酸−
セリウムの濃度および温度は同じであるが、NO.4は除
染試験用のガラス製循環ループに汚染試験片にセツト
し、流通系(レイノズル数2500)で試験した場合であ
り、DFは24時間で9.0とNO.3の3.4より大きな値が得ら
れた。
表3のNO.9からNO.14には比較試験の結果を示す。代表
的な除染剤であるCan-DeconLND 101A(商標名)、NS−
1(商標名)(0.7%)等ではDF1.5である。またPWR
クラツド用のPOD(PWR-oxidative decontamination)法で
もDFは4.6でいずれも硫酸−セリウム系によるDFより低
い。
的な除染剤であるCan-DeconLND 101A(商標名)、NS−
1(商標名)(0.7%)等ではDF1.5である。またPWR
クラツド用のPOD(PWR-oxidative decontamination)法で
もDFは4.6でいずれも硫酸−セリウム系によるDFより低
い。
発明の効果 本発明においては、放射性クラツドの溶解除去に当つ
て、硫酸−セリウム系溶液を使用することにより、実質
的には一段階の処理でクラツド中のクロムのみならず、
鉄とニツケルをも同時に溶解除去できるため、その溶解
処理工程が複雑にならず、簡単である。
て、硫酸−セリウム系溶液を使用することにより、実質
的には一段階の処理でクラツド中のクロムのみならず、
鉄とニツケルをも同時に溶解除去できるため、その溶解
処理工程が複雑にならず、簡単である。
また、クラツドの溶解処理過程において、還元剤を添加
することにより、セリウムの析出が防止される結果、セ
リウムの析出防止のために高濃度の硫酸を使用する必要
がなく、低濃度の硫酸で溶解処理が行われるので、その
後に生ずる除染廃液の処理が容易になる。
することにより、セリウムの析出が防止される結果、セ
リウムの析出防止のために高濃度の硫酸を使用する必要
がなく、低濃度の硫酸で溶解処理が行われるので、その
後に生ずる除染廃液の処理が容易になる。
第1図 Cr2O3模擬クラツドの硫酸−セリウム溶液中における溶
解量を示す図である。 60℃、24hr 硫酸濃度(mmol/):(●)60;(○)100; (△)200;(□)500 第2図 Cr0.6Ni0.6Fe1.8O4模擬クラツドの硫酸−セリウム溶液
中におけるCr、Ni、Fe各組成の溶解量と溶解時間との関
係を示す図である。 試験条件:硫酸250mmol/−セリウム(Ce4+)5mmol/
700m、模擬クラツド140mg (○)Cr;(△)Ni;(□)Fe 還元剤添加後Cr、Ni、Feの溶解量は●、▲、■で示す。 A点:1mmol/アスコルビン酸3m添加
解量を示す図である。 60℃、24hr 硫酸濃度(mmol/):(●)60;(○)100; (△)200;(□)500 第2図 Cr0.6Ni0.6Fe1.8O4模擬クラツドの硫酸−セリウム溶液
中におけるCr、Ni、Fe各組成の溶解量と溶解時間との関
係を示す図である。 試験条件:硫酸250mmol/−セリウム(Ce4+)5mmol/
700m、模擬クラツド140mg (○)Cr;(△)Ni;(□)Fe 還元剤添加後Cr、Ni、Feの溶解量は●、▲、■で示す。 A点:1mmol/アスコルビン酸3m添加
Claims (2)
- 【請求項1】原子炉一次冷却系の腐食により生成した付
着物であるクロム、鉄、ニッケル及び放射性核種を含む
放射性クラッドを、硫酸−セリウム系溶液からなる汚染
除去剤を用いて溶解処理し、クロムの溶解がほぼ終了し
た時点でセリウムの析出を防止するための還元剤を添加
することを特徴とする放射性クラッドを化学的に溶解す
る汚染除去方法。 - 【請求項2】還元剤が、シュウ酸、クエン酸、アスコル
ビン酸、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、及び/又は過酸化水素からなり、セリウム(Ce
4+/Ce3+)の酸化還元電位より卑の電位を有し、且
つセリウムの析出を発生させない物質である特許請求の
範囲第1項に記載の放射性クラッドを化学的に溶解する
汚染除去方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61104335A JPH0664191B2 (ja) | 1986-05-07 | 1986-05-07 | 放射性クラッドを化学的に溶解するための汚染除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61104335A JPH0664191B2 (ja) | 1986-05-07 | 1986-05-07 | 放射性クラッドを化学的に溶解するための汚染除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62261099A JPS62261099A (ja) | 1987-11-13 |
JPH0664191B2 true JPH0664191B2 (ja) | 1994-08-22 |
Family
ID=14378061
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61104335A Expired - Lifetime JPH0664191B2 (ja) | 1986-05-07 | 1986-05-07 | 放射性クラッドを化学的に溶解するための汚染除去方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0664191B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02222899A (ja) * | 1989-01-24 | 1990-09-05 | Toshiba Corp | 除染方法 |
DE102010028457A1 (de) * | 2010-04-30 | 2011-11-03 | Areva Np Gmbh | Verfahren zur Oberflächen-Dekontamination |
CN111100767A (zh) * | 2019-12-26 | 2020-05-05 | 郑州华核新材料科技有限公司 | 一种核电柔性吊装带去污剂及其制备方法和应用 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ZA853531B (en) * | 1984-05-29 | 1985-12-24 | Westinghouse Electric Corp | Ceric acid decontamination of nuclear reactors |
-
1986
- 1986-05-07 JP JP61104335A patent/JPH0664191B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62261099A (ja) | 1987-11-13 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |