JPH0663720A - 減圧吸上鋳造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 精密鋳造を可能ならしめる減圧吸上鋳造法に
関し、さらに詳しくはその鋳型として金型を使用し得る
ようにして鋳造コストを軽減させる。 【構成】 金型１の下部に吸上口８を設け、該吸上口８
と連通する該金型１内のキャビティ９中に通気性の中子
１０をセットし、該中子１０を介して該金型１内の空気
が排出されるように該金型１に排気キャップ１４を被着
して前記吸上口８より溶湯３をキャビティ９中に吸上げ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、薄肉鋳造を可能ならし
める減圧吸上鋳造法に関し、さらに詳しくはその鋳型と
して金型を使用した鋳造法を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】減圧吸上鋳造法は、特公昭５２−３８９
２４号公報，特公昭６０−３５２２７号公報、或いは本
出願人の出願に係る特開平３−５７５４９号公報等に示
されるように、通気性の鋳型を真空チャンバ内にセット
し、該鋳型に形成された吸上口を該チャンバの底部開口
から溶湯中に垂下し、該チャンバ内を真空吸引により減
圧することにより、鋳型内を負圧にし溶湯を鋳型内に吸
上げるようにしたもので、湯回りが良いので薄肉鋳造が
可能であると共に溶湯が外気と接触しないので汚染，酸
化等の割合が少なく品質が向上するなど種々の利点を備
えている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし従来の減圧吸上
鋳造法に用いられる通気性の鋳型は、ロウにより製作し
た原型の表面にスラリーを塗着しその粘性によりセラミ
ック粉を多層にコーティングした後、加熱し内部のロウ
を溶かし出すことにより中空殻状に製作されるもので、
製作に多数の工程が必要で、しかも一度の使用で該鋳型
は破壊されるので、いわゆる型コストが高いという問題
がある。

【０００４】一方、金型を鋳型として用いることは、例
えばアルミニウム鋳造する場合において、溶湯の自重で
鋳込む方法（重力鋳造法）、或いは湯槽を圧縮空気によ
り加圧して溶湯を金型中に低圧力で圧送する方法（低圧
鋳造法）、或いはパワーシリンダにより溶湯を金型中に
高圧力で圧送する方法（プレッシャーダイカスト法）等
が従来から知られている。

【０００５】しかし上記重力鋳造法は、湯回りが悪く、
薄肉鋳造に適さず、また押湯が大であるので材料歩留り
が悪いなどの問題がある。また、上記低圧鋳造法は、湯
槽の溶湯面を圧縮空気により加圧するための湯槽周囲の
気密性保持を必要とし、装置が大がかりになるという問
題、および多種少量生産に向かないなどの問題があっ
た。さらに上記プレッシャーダイカスト法は、砂中子を
使用できないので、複雑な中空形状の製品が鋳造できな
いこと、および鋳造品の熱処理が出来ないことなどの問
題がある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の金型を用いる減
圧吸上鋳造法は上記課題を解決しようとするもので、金
型の下部に吸上口を設け、該吸上口と連通する該金型内
のキャビティ中に通気性の中子をセットし、該中子を介
して該金型内の空気が排出されるように該金型に排気キ
ャップを被着して前記吸上口より溶湯をキャビティ中に
吸上げるようにしたことを特徴としたものである。

【０００７】

【作用】通気性の中子を介して金型内の空気を排出させ
ることで複雑な薄肉中空状の製品も金型での鋳造が可能
となり、製作コストが低減できる。

【０００８】

【実施例】次に本発明の実施例を図と共に説明する。 （実施例１）図１，図２に示した実施例は、横方向に開
閉する金型１を使用することによってアルミニウムによ
り中空円筒状の製品を鋳造する例を示し、図中２はアル
ミニウム溶湯３が保持された湯槽、５は該溶湯３中に下
端が浸漬するようにアーム４に支持されたストーク（吸
上管）で、該ストーク５の上端に形成されたフランジ部
６の上面にはリング状にシールパッキン７が配設されて
いる。なお該ストーク５の外周には溶湯の冷却を防ぐた
めのヒータが設けられる。

【０００９】しかして金型１は横方向に２分割された半
型１ａ，１ｂを開閉し得るように組合わせてなり、その
下部には前記ストーク５に連通する吸上口８が設けられ
る。９は該吸上口８と連通するよう半型１ａ，１ｂの合
せ面に形成されたキャビティである。１０はレジンコー
テッドサンドを焼結することにより通気性をもって形成
された円柱状の中子で、該中子１０の一端に一体に形成
した幅木部１１を該キャビティ９の上端部に形成された
仕切室１２に緊締状に配置することにより、該中子１０
がキャビティ９中にその周囲に溶湯が入り得る隙間が在
するようにセットされる。なお１３は吸上口８の内周に
突設されたスぺーサで、該スぺーサ１３の先端を中子１
０の下端部外周に当接させることによりキャビティ９中
での該中子１０の移動を防いでいる。

【００１０】１４は真空吸引ポンプ（図示せず）にフレ
キシブルホース１９を介して連通している排気キャップ
で、該排気キャップ１４はアクチュエータ（図示せず）
により昇降自在に支持され、下面開口の周囲に形成され
たフランジ１５の下面にはシールパッキン１６が設けら
れている。

【００１１】金型１の上面には前記仕切室１２を介して
キャビティ９と連通する吸気口１７が開設されている。
そして該金型１上に排気キャップ１４を被着し得るよう
にしている。なお１８は半型１ａ，１ｂの合着面に設け
られたシールパッキンを示す。

【００１２】さて、この鋳型設備においては、上記のよ
うにキャビティ９中に中子１０をセットし半型１ａ，１
ｂを閉じて該金型１をストーク５上に吸上口８が連通す
るように配置する。そして該金型を３００〜４００℃程
度に予熱すると共に、該金型１上に排気キャップ１４を
被着し真空吸引することにより排気キャップ１４内を減
圧する。これによりキャビティ９中の空気が中子１０，
幅木部１１，吸気口１７を介して排出され、溶湯３がス
トーク５，吸上口８を通って該キャビティ９中に吸上げ
られる。なおその際の排気キャップ１４中の気圧は中子
１０の通気性やキャビティ形状等によって最適値は異な
るが、湯回りを良好ならしめかつ気泡の発生を防ぐため
に−２００ｍｍＨｇ〜−７６０ｍｍＨｇの範囲で任意に
変更し得る。

【００１３】なお、キャビティ９の内面に予め例えばＣ
_a ＣＯ₃ ，水ガラス，Ｈ₂ Ｏ等からなる耐熱性塗型剤を
塗布しておくことでキャビティ９内面に断熱性を持たせ
溶湯の急冷を防ぐと共に、通気性を持たせガス吸収作用
をなさしめ、さらにはキャビティ内面の消耗を防ぐよう
にすることもできる。また、中子１０の表面には例えば
Ａｌ₂ Ｏ₃ ，水ガラス，Ｈ₂ Ｏ等からなる耐熱性塗型剤
を塗布しておくことにより該中子１０の表面を平滑にし
製品肌を滑らかにすると共に該中子１０の通気度を調整
させることもできる。

【００１４】こうして吸上げられた溶湯はキャビティ９
内で冷却固化するので半型１ａ，１ｂを開けば中子１０
と共にその製品を金型１外に取り出し得る。そして該中
子１０を排除すれば肉厚１ｍｍ程度の中空筒状の高品質
の薄肉鋳造品が得られる。

【００１５】（実施例２）図３の実施例に示した金型１
は、上下に２分割される半型１ｕ，１ｄを組合わせてな
り、下方の半型１ｄにテーパ状の吸上口８が形成されて
いる。そして両半型１ｕ，１ｄによって形成されるキャ
ビティ９中に両端に幅木部１１を有した中子１０をセッ
トし、上方の半型１ｕには該幅木部１１を介してキャビ
ティ９中と連通する吸気口１７を形成し、該吸気口１７
に合致する排気キャップ１４が該金型１上に被着される
ようになっている。

【００１６】この実施例の場合も、排気キャップ１４内
を真空ポンプにより減圧することによりキャビティ９中
の空気が中子１０，幅木部１１，吸気口１７を介して吸
引され溶湯３がストーク５，吸上口８を通ってキャビテ
ィ９中に吸上げられ、キャビティ９中でこれが冷却固化
する。そこで半型１ｕ，１ｄを上下に開けばその鋳造品
を中子１０と共に金型１外に取り出し得る。このため金
型１はこの減圧吸上鋳造法において繰り返し使用可能で
ある。

【００１７】

【発明の効果】このように本発明は、通気性の中子を介
して金型内の空気を排出することによりキャビティに溶
湯を吸上げるようにしたので、該金型は鋳造品取り出し
の度に破壊する必要なく繰り返し使用でき、従って鋳型
コストを大幅に軽減することができる。しかも減圧吸上
鋳造法の特質としての湯回りのよさから薄肉鋳造が可能
であること、歩留りがよいこと、湯汚染がなく品質がよ
いことなど種々の利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の減圧吸上鋳造法の一実施例を示した鋳
造設備の縦断面図。

【図２】図１のＸーＸ線断面図。

【図３】本発明の他の実施例を示した鋳造設備の縦断面
図。

【符号の説明】

１ 金型 ３ 溶湯 ５ ストーク ８ 吸上口 ９ キャビティ １０ 中子 １１ 幅木部 １４ 排気キャップ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金型の下部に吸上口を設け、該吸上口と
   連通する該金型内のキャビティ中に通気性の中子をセッ
   トし、該中子を介して該金型内の空気が排出されるよう
   に該金型に排気キャップを被着して前記吸上口より溶湯
   をキャビティ中に吸上げるようにしたことを特徴とする
   減圧吸上鋳造法。