JPH0663048U - ダイアライザ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 透析の残血量を減少し、しかも透析の性能を
確保することができるダイアライザを提供する。 【構成】 ダイアライザ本体２の長さ方向両端の蓋体１
１は、それぞれ同一方向の側面に開口する血液回路と接
続するポート管１０が設けられてなり、しかもそれぞれ
の蓋体１１内の血液滞留領域２１ の位置がダイアラ
イザ本体２の断面方向で互いに一致しない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、血液を中空糸内側に、透析液を中空糸外側にそれぞれ潅流させるこ とにより血液を浄化するダイアライザに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えばダイアライザにあっては、血液を中空糸内側に、透析液を中空糸外側に それぞれ潅流させることにより血液を透析する構成が一般的である。 図５ないし図９に示すように、前記ダイアライザ１は、円筒状の本体２と、該 本体２の両端部に取り付けられた蓋体３とで概略構成され、例えば、チューブ４ を介して第１のチャンバ５及び第２のチャンバ６と接続されることにより、一連 の血液回路を形成するようになっている。第１のチャンバ５は、血液ポンプ７を 介して上方に設けられた洗浄及び充填用生理的食塩液のボトル８に接続されてい る。また、第２のチャンバ６は、透析時には患者に取り付けられ、また、洗浄及 び充填時は、ドレイン９へと、チューブ４を介して接続されている。 本体２は、内部に中空糸が充填されている。前記中空糸は、本体２の長さ方向 に沿って束ねられ、内部に血液を、外部に透析液をそれぞれ潅流させることによ り血液の浄化を行うようになっている。 蓋体３は、ロート状であって、中央にポート管１０が取り付けられている。ポ ート管１０は、蓋体３に平行、かつ本体２と同軸方向に設けられている。そして 、各ポート管１０には、チューブ４を介して第１のチャンバ５又は第２のチャン バ６が接続されている。

【０００３】 以下、前記ダイアライザ１の作用を説明する。 図５及び図６に示すように、前記ダイアライザ１は、通常、ボトル８内の液に よる洗浄及び充填の後、透析患者の血液の透析に用いるようになっている。前記 洗浄及び充填は、ダイアライザ１を、血液ポンプ７と接続されている側の蓋体３ を下方として立設状態に設置するとともに、血液ポンプ７を作動することにより 、ボトル８内の整理的食塩液をドレイン９方向に流してチューブ４や、チューブ ４で接続された各機器の内部を洗浄及び充填する。前記洗浄及び充填の後、ダイ アライザ１の上下を反転させ、血液ポンプ７を動作させて患者の血液を流すこと により、ダイアライザ１において、血液の浄化を行うようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記のようなダイアライザの場合、以下のような問題が生じて いた。 すなわち、前記ダイアライザ１は、反転する際に、ポート管１０と第１のチャ ンバ５又は第２のチャンバ６との間が離間する場合が生じ、チューブ４を長く採 る必要がある。チューブ４が長くなれば、血液回路内の充填量が増大し、治療上 不満が大きい上、血液回路のコストが増大するといった問題が生じる。しかも、 前記ダイアライザ１は、反転の際に、第１のチャンバ５や第２のチャンバ６に対 する相対角度によって、チューブ４が折れ曲がって、血液に悪影響を与える可能 性もあるため、設置及び反転作業に細心の注意を払う必要があり、取り扱いが不 便であった。

【０００５】 図７及び図８に示すように、前記問題に鑑みて、近年では、ポート管１０が側 部に設けられた構成の蓋体１１を本体２の一方の端部に設けたダイアライザ１２ が提案されている。前記ダイアライザ１２は、蓋体３の側方に設けられたポート 管１０を第１のチャンバ５又は第２のチャンバ６の設置方向に向けて設置するこ とで、チューブ４が短縮する。しかしながら、前記ダイアライザ１２は、前述の ダイアライザ１に比して、チューブ４が１８ｃｍ程短縮するものの、十分な改善 効果を得るためにさらなる短縮が求められている。 一方、ダイアライザ１２の両端部に蓋体１１を取り付けた場合には、蓋体１１ が、内部の血液の流量の偏在が大きいので、ダイアライザ１２内部に血液の蓋体 １１内での滞留部分が形成されて、滞留した血液が凝固するなどの透析性能の低 下が懸念される。すなわち、図９に示すように、蓋体１１は、本体２内に充填さ れている中空糸束１３の端部との間に蓋体内部空間１４を形成している。蓋体内 部空間１４は、ポート管１０の開口位置及び開口方向によって、内部において液 体の流量が偏在して滞留領域を形成するが、蓋体１１の両端で蓋体内部空間１４ の前記滞留領域の位置がダイアライザ１２の断面方向で一致すれば、ダイアライ ザ１２内に特に流量の低い領域が形成されることとなり、残血，血栓形成等で前 記透析性能の低下が顕著になるのである。

【０００６】 本考案は、前述の課題に鑑みてなされたもので、血液回路を短縮しかつ透析の 残血量を減少し、しかも透析の性能を確保することができるダイアライザを提供 することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案のダイアライザでは、内部に中空糸束が挿入され、かつ中空系外側に透 析液を潅流させる出入口を備えた円筒状のダイアライザ本体と、該ダイアライザ 本体の長さ方向両端のそれぞれに設けられ、かつ中空糸束の内側と血液回路を接 続する一対の蓋体とを備え、対を形成する蓋体は、それぞれ同一方向の側面に開 口して血液回路と接続されるポート管が設けられてなり、しかもそれぞれの蓋体 内の血液滞留領域の位置がダイアライザ本体の断面方向で互いに一致しないこと を前記課題の解決手段とした。

【０００８】

【作用】

本考案のダイアライザによれば、ポート管を介して一方の蓋体に導入された血 液が、蓋体内での流速に応じて中空糸を流れ、反対側の蓋体に出る。両端の蓋体 の血液滞留領域は、ダイアライザ本体の断面方向で互いに一致していないので、 結果的に、ダイアライザ本体は、血液の流量が断面方向でより平均的になってい る。 一方、ダイアライザは、血液が出入りする対を形成するポート管をいずれも接 続すべき機器の方向に向けて設置すれば、接続流路が短縮することは勿論、反転 時においても、前記接続用のチューブ等に、前記機器に対して無理の無い相対角 度を確保する。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の一実施例を、図１ないし図４を参照して説明する。 図中符号２０はダイアライザ、２１は蓋体内の血液滞留領域である。 なお、図中、前記図５ないし図９と同一の構成部分については同一の符号を付 し、その説明を簡略化する。

【００１０】 図１及び図２に示すように、ダイアライザ２０は、前記本体２の両端に蓋体１ １を取り付けて構成されている。 対を形成する蓋体１１は、互いのポート管１０をダイアライザ２０の同じ側の 側面に突設されている。 図３に示すように、動脈側（図３（ａ））の蓋体１１は、ポート管１０が概略 接線の位置で設けられているので、ポート管１０の開口部の近傍でポート管１０ の軸線に対して垂直方向に位置する部分に蓋体内滞留領域２１が形成される。一 方、静脈側（図３（ｃ））の蓋体１１は、ポート管１０の開口部から最も遠い部 分に蓋体内滞留領域２１が形成される。そして、対向する蓋体１１の蓋体内滞留 領域２１の位置は、ダイアライザ２０の断面方向において一致しないようになっ ている。

【００１１】 以下、本実施例の作用及び効果を説明する。 前記ダイアライザ２０は、動脈側の蓋体１１に導入した血液が、該蓋体１１内 におけるポート管１０の延長線上に位置する部分程中空糸への流入圧力が大きく 、かつ静脈側の蓋体１１内におけるポート管１０の近傍程蓋体内の血液の流量が 大きいので、断面方向で全体的に平均した流速で中空糸束１３に血液が流れる。 また、各蓋体１１のポート管１０を前記第１のチャンバ５や第２のチャンバ６方 向に向けてダイアライザ２０を配設すれば、通常時の第１のチャンバ５や第２の チャンバ６とポート管１０との離間距離が短縮する上、ダイアライザ２０の反転 時においても、前記離間距離の増大が減少する。

【００１２】 したがって、前記ダイアライザ２０は、第１のチャンバ５又は第２のチャンバ ６とポート管１０とを連結するチューブ４を短縮して透析における血液充填量を 減少することは勿論、製造コストの低減を可能にし、しかも、中空糸束１３内部 に血液の滞留領域を形成することなく、透析の性能を確保するとともに、残血， 血栓形成を少なくすることができる。

【００１３】 なお、蓋体１１へのポート管１０の取り付け位置は、蓋体１１内に形成される 蓋体内滞留領域２１の位置がダイアライザの両端の蓋体１１で一致しない関係で あれば、図４に示す位置であってもよい。図４に示すダイアライザの場合、本実 施例のダイアライザ２０と同様、ダイアライザの両端でポート管１０の離間距離 が短縮されているので、チューブ４の短縮が可能である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案のダイアライザによれば、内部に中空糸束が挿入 され、かつ中空系外側に透析液を潅流させる出入口を備えた円筒状のダイアライ ザ本体と、該ダイアライザ本体の長さ方向両端のそれぞれに設けられ、かつ中空 糸束の内側と血液回路を接続する一対の蓋体とを備え、対を形成する蓋体は、そ れぞれ同一方向の側面に開口して血液回路と接続されるポート管が設けられてな り、しかもそれぞれの蓋体内の血液滞留領域の位置がダイアライザ本体の断面方 向で互いに一致しないことを特徴とするから、チャンバとポート管とを連結する チューブを短縮して透析における血液充填量を減少することは勿論、製造コスト の低減を可能にし、しかも、中空糸束内部に血液の滞留領域を形成することなく 、透析の性能を確保するとともに、残血，血栓形成を少なくすることができると いった優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例のダイアライザを用いた血液
回路を示す全体図である。

【図２】前記図１におけるダイアライザの反転時を示す
全体図である。

【図３】（ａ）前記ダイアライザを示す平面図である。
（ｂ）前記（ａ）の側面図である。（ｃ）前記（ｂ）の
底面図である。

【図４】（ａ）本考案の他の実施例を示す平面図であ
る。（ｂ）前記（ａ）の側面図である。（ｃ）前記
（ｂ）の底面図である。

【図５】従来のダイアライザを用いた血液回路を示す全
体図である。

【図６】前記図５のダイアライザの反転時を示す全体図
である。

【図７】蓋体を改善した従来のダイアライザを用いた血
液回路を示す全体図である。

【図８】前記図７のダイアライザの反転時を示す全体図
である。

【図９】前記蓋体を示す拡大断面図である。

【符号の説明】

２ 本体 １０ ポート管 １１ 蓋体 １３ 中空糸束 １４ 蓋体内部空間 ２１ 蓋体内滞留領域

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に中空糸束が挿入され、かつ中空系
   外側に透析液を潅流させる出入口を備えた円筒状のダイ
   アライザ本体と、該ダイアライザ本体の長さ方向両端の
   それぞれに設けられ、かつ中空糸束の内側と血液回路を
   接続する一対の蓋体とを備え、対を形成する蓋体は、そ
   れぞれ同一方向の側面に開口して血液回路と接続される
   ポート管が設けられてなり、しかもそれぞれの蓋体内の
   血液滞留領域の位置がダイアライザ本体の断面方向で互
   いに一致しないことを特徴とするダイアライザ。