JPH0658683A - 蓄熱型熱供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価で性能に優れた蒸発部を有する蓄熱型熱
供給装置を提供する。 【構成】 蒸発部２０は、ヒートパイプの一部となる管
路と電気ヒーター２９とを内蔵した蒸発ブロック２１
と、蓄熱ブロック２３とを積層状態に密着させかつ一体
化して構成されている。したがって各ブロックには、そ
の作用に適した材料を選択して使用でき、その結果、コ
ストを低廉化し、また小型軽量化ならびに耐久性の向上
を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は蓄熱体の有する熱をル
ープ型ヒートパイプにより水や空気に供給する装置に係
り、特に蓄熱体を固形ブロック体になした装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】例えば家庭用などの比較的小規模な熱供
給装置である給湯設備として温水ボイラを有する型式の
もの、貯湯槽を備えた型式のもの、蓄熱体に蓄えた熱に
よって水を加熱する型式のものなどが知られている。こ
れらのうち温水ボイラを備えた型式のものは、全体とし
ての装置が大型化するので、個人住宅などの小容量の給
湯設備としては、設備コスト（イニシャルコスト）が高
くなる不都合がある。また貯湯槽を備えた型式のもの
は、深夜電力などの比較的安価なエネルギーを利用でき
るので、運転コスト（ランニングコスト）を低廉化する
ことができるが、その反面、容積の大きい貯湯槽を設置
する必要があるので、スペース上の制約を受ける不都合
がある。

【０００３】これに対して蓄熱体に蓄えた熱エネルギー
によって水を加熱する型式の設備では、深夜電力などの
比較的安価なエネルギーを利用できるばかりか、設備の
小型化を図ることができるなどの種々の利点がある。し
かしながら蓄熱体を用いる場合、その設置場所の選択の
自由度が高いこと、熱応答性が良いこと、蓄熱特性の長
期安定性があることなどの要請があるので、本出願人等
はこれらの要請に応えることのできる給湯設備を既に開
発し、提案した。

【０００４】その基本的な構造を模式的に示すと図６の
とおりであって、ループ型ヒートパイプ１の蒸発部２と
される部分に蓄熱体を設けるとともに、凝縮部４とされ
る部分に、水Ｗを加熱する熱交換器５を設けたものであ
る。すなわち蒸発部２は、上部ヘッダー管６と下部ヘッ
ダー管７とをそれらの間に設けた多数本の蒸発管８によ
って接続するとともに、これらを金属ブロック３などの
内部に設けてブロック状とし、さらにその外部に蓄熱体
を設けるとともに、その蓄熱体を加熱するヒーター９を
設けたものである。また熱交換器５は、例えば蛇行管１
０の外周に水を流して熱交換する構造のものであり、そ
の蛇行管１０の流入口と前記上部ヘッダー管６とが蒸気
管１１によって接続され、また流出口が下部ヘッダー管
７に液戻り管１２および制御弁１３を介して接続されて
いる。

【０００５】そして上述した蒸発部２、蒸気管１１、熱
交換器５ならびに液戻り管１２によって形成された密閉
管路の内部に、空気などの非凝縮性流体を排気した状態
でフロンなどの凝縮性流体が作動流体として封入され、
ここにループ型ヒートパイプが形成されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで上に述べた給
湯設備における蒸発部２では、ヒーター９によって加熱
する作用や蓄熱作用ならびに作動流体に熱を与えて蒸発
させる作用などの互いに全く異質な作用を行う。したが
ってそれらの作用を過不足なく行い、しかも小型化を図
るには特別な構造とする必要があるが、上述した各作用
を充分に満たす構造が開発されていないのが実情であ
る。

【０００７】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たもので、互いに異質な作用、すなわち蓄熱作用と発熱
作用とを充分行わせることのできる蒸発部を備えた蓄熱
型熱供給装置を提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めにこの発明は、密閉管路の内部に作動流体を封入し、
その密閉管路の一部を、蓄熱体から熱を受ける蒸発部と
しかつ前記密閉管路の他の一部を、外部の水や空気と接
して熱交換を行う凝縮部とした蓄熱型熱供給装置におい
て、前記蒸発部が、前記密閉管の一部をなす管路および
熱源となる電気ヒーターを内部に備えた蒸発ブロックと
蓄熱材からなる蓄熱ブロックとを積層状態に配列して一
体化した構造であることを特徴としている。

【０００９】また、前記蒸発部が蒸発ブロックと蓄熱ブ
ロックとを積層状態で金属によって鋳包んで一体化した
構造とすることができる。

【００１０】

【作用】この発明の熱供給装置では、蒸発ブロックに組
込まれた電気ヒーターに通電することにより蓄熱ブロッ
クを加熱してここに蓄熱し、同時に蒸発ブロックを加熱
する。蒸発ブロックの内部には、ヒートパイプ用管路の
一部が設けられているから、そのヒートパイプの作動流
体はこの蒸発ブロックの内部で蒸発し、その蒸気が凝縮
部に流れた後、ここで放熱して外部流体を加熱する。放
熱して凝縮した作動流体は再度蒸発ブロックの内部に還
流する。蒸発ブロックと蓄熱ブロックとは、積層状態に
配列されて密着しているから、蓄熱ブロックに充分蓄熱
して電気ヒーターへの通電を断った後は、蓄熱ブロック
によって蒸発ブロックが加熱される。したがって蒸発ブ
ロックはその管路内を流れる作動流体を加熱することを
主たる作用とするものであるから、金属の塊など気密性
に優れ、また加工性に富む材料が使用され、これに対し
て蓄熱ブロックは、熱を蓄えることをその主たる作用と
するものであるから、比熱が大きくまた軽量であるなど
の特性を持つ材料によって形成される。

【００１１】また鋳包むことにより、蒸発ブロックと蓄
熱ブロックとの間の熱抵抗が低減され、熱応答性が向上
する。

【００１２】

【実施例】この発明にかかる熱供給装置も、基本的に
は、蓄熱体に蓄えた熱をヒートパイプによって凝縮部で
ある温水用熱交換器に運んで温水を得るよう構成されて
おり、したがってその全体としての配管系統は図６に示
すものと同じである。そしてこの発明の熱供給装置はそ
の蒸発部に特徴を有しており、これを給湯設備に適用し
た実施例を図１ないし図５に基づいて説明する。

【００１３】図１ないし図３はこの発明の一実施例を示
すもので、蒸発部２１は、蒸発ブロック２２と、蓄熱ブ
ロック２３と、保護ブロック２４とを主体として構成さ
れている。すなわち蒸発ブロック２２は図３に一部を破
断した正面図として示すように、上下のヘッダー管２
５，２６の間にこれらを連通するよう複数本の蒸発管２
７を設けるとともに、蒸発管２７の両外側に電気ヒータ
２８，２８を、前記ヘッダー管２５，２６と平行に配設
し、これらのパイプをステンレス鋼などの鉄系金属２９
で鋳包んで直方体としたものである。そして上部ヘッダ
ー管２５に例えば図６に示す蒸気管１１を接続し、また
下部ヘッダー管２６に図４に示す液戻り管１２を接続す
ることにより上下の各ヘッダー管２５，２６および蒸発
管２７がループ型ヒートパイプの一部の管路を形成して
いる。

【００１４】さらに蓄熱ブロック２３はアルミナなどの
非金属の蓄熱材料を直方体状に焼き固めたセラミックス
である。そしてまた保護ブロック２４は後述するように
外周部分に配置されるものであって、鋼製の直方体とし
て形成されている。

【００１５】図１および図２に示す蒸発部２１は、上記
の各ブロックを以下に述べるように組合せて構成されて
いる。すなわち一対の蒸発ブロック２２，２２の間およ
び両外側には、複数の蓄熱ブロック２３がそれぞれマト
リックス状に配置されるとともに、これらの蓄熱ブロッ
ク２３の長手方向（図１の左右方向）の両端部には保護
ブロック２４がそれぞれ配置されている。

【００１６】上記のように組合わされた各ブロックは全
体として直方体状になっており、その外周の上下２箇所
に帯状の固定板３０が配置され、これを前記保護ブロッ
ク２４に水平方向に貫挿した締付けボルト３０ａによ
り、各ブロックが密着した状態に締結一体化されてい
る。

【００１７】なお、不必要な放熱を防ぐために断熱被覆
を施し、また蓄熱容量を大きくするために図１および図
２に示す蒸発部２１を複数組連結することは必要に応じ
て行われる。

【００１８】したがって電気ヒーター２８に通電して発
熱させれば、蓄熱ブロック２３が加熱昇温されて顕熱と
して蓄熱するとともに蒸発ブロック２２が加熱される。
また蓄熱を行った後は蓄熱ブロック２３から伝達される
熱によって蒸発ブロック２２が加熱される。その結果、
蒸発ブロック２２内の管路に供給された作動流体は蒸発
し、その蒸発潜熱として熱を輸送する。

【００１９】また、図４および図５は別の実施例を示す
もので、前記実施例において蒸発ブロック２２と蓄熱ブ
ロック２３とを、その外周に帯状の固定板３０を配置
し、これを保護ブロック２４に溶接やボルトなどの手段
で取付けて密着した状態に一体化したが、代りに蒸発ブ
ロック２２と蓄熱ブロック２３とを、密着させた状態で
その外周を金属で鋳包んで一体化したもので、前記実施
例と同一の構成部分には同一の符号を付して詳細な説明
を省略する。

【００２０】蒸発部３１は、一対の蒸発ブロック２２，
２２の間および両外側に、複数の蓄熱ブロック２３がそ
れぞれマトリックス状に配置されている。全蒸発ブロッ
ク２２は、ループ型ヒートパイプの管路の一部を形成し
ているヘッダー管２５，２６および蒸発管２７と、この
蒸発管２７の両外側に電気ヒータ２８，２８を高さ方向
に三段に配置して、金属で一体に鋳込んでブロック状に
形成したもので、また前記蓄熱ブロック２３は、アルミ
ナなどの非金属製の蓄熱材料を直方体状に焼き固めたも
のである。

【００２１】そして、これら蒸発ブロック２２と蓄熱ブ
ロック２３との長手方向（図４の左右方向）の両端部に
は保護ブロック２４がそれぞれ配置されて全体として直
方体状に配置されており、各ブロック２２，２３が、互
いに密着した状態でその外側全体を、ステンレス鋼等の
金属によって鋳包まれて一体に形成され、図４において
左右の側面には、ヘッダー管２５，２６および電気ヒー
タ２８がそれぞれ延出している。

【００２２】なお、不必要な放熱を防ぐために断熱被覆
を施し、また蓄熱容量を大きくするために図１および図
２に示す蒸発部３１を複数組連結することは必要に応じ
て行われる。特に、この実施例においては、蒸発部３１
の外周を金属で鋳包んで一体化したので、蒸発部２１の
表面が滑かに形成されて密着性が良いため、この蒸発部
２１を複数個連設した際の蒸発部２１，２１間の接触熱
抵抗が低減されるとともに、蓄熱ブロック２２の熱出力
を大きくできる。

【００２３】また上記実施例においては、この発明の蓄
熱型熱供給装置を給湯設備に適用した場合について説明
したが、空調設備等の他の熱機器や設備にも適用するこ
とができる。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明
の熱供給装置では、蒸発ブロックと蓄熱ブロックとの二
種類のブロックを組合わせて蒸発部を構成したから、複
数の作用を行う蒸発部の各作用に適した材料を選択し
て、各ブロックの材料として使用することができ、その
結果、小型軽量化さらには耐久性の向上を図ることがで
きる。また、蒸発部の外周を金属で鋳包んで一体化すれ
ば、蒸発部の表面が滑かとなって密着性が向上し、この
蒸発部を複数個連設した際の蒸発部間の接触熱抵抗を低
減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の熱供給装置における蒸発部の一実施
例を示す平面図である。

【図２】その蒸発部の側面図である。

【図３】蒸発ブロックの一部破断した正面図である。

【図４】別の実施例の熱供給装置における蒸発部を示す
平面図である。

【図５】その蒸発部の側面図である。

【図６】蓄熱型熱供給装置式熱供給装置の基本構造を説
明するための模式図である。

【符号の説明】

２１…蒸発部、 ２２…蒸発ブロック、 ２３…蓄熱ブ
ロック、 ２５…上部ヘッダー管、 ２６…下部ヘッダ
ー管、 ２７…蒸発管、 ２８…電気ヒーター、 ２９
…金属、 ３１…蒸発部、 ３２…鋳包み金属。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 皓三 東京都千代田区神田神保町二丁目２番30号 東京電力株式会社開発研究所内 (72)発明者 杉田 吉秀 東京都千代田区神田神保町二丁目２番30号 東京電力株式会社開発研究所内 (72)発明者 望月 正孝 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 益子 耕一 東京都江東区木場一丁目５番１号 藤倉電 線株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 密閉管路の内部に作動流体を封入し、そ
   の密閉管路の一部を、蓄熱体から熱を受ける蒸発部とし
   かつ前記密閉管路の他の一部を、外部の水や空気と接し
   て熱交換を行う凝縮部とした蓄熱型熱供給装置におい
   て、 前記蒸発部が、前記密閉管の一部をなす管路および熱源
   となる電気ヒーターを内部に備えた蒸発ブロックと蓄熱
   材からなる蓄熱ブロックとを積層状態に配列して一体化
   した構造であることを特徴とする蓄熱型熱供給装置。
2. 【請求項２】 前記蒸発部が蒸発ブロックと蓄熱ブロッ
   クとを積層状態で金属によって鋳包んで一体化した構造
   である請求項１記載の蓄熱型熱供給装置。