JPH0657438A - めっき老化液の処理法と異種金属被覆鉄系粉の製造法 - Google Patents

めっき老化液の処理法と異種金属被覆鉄系粉の製造法

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JPH0657438A
JPH0657438A JP23294892A JP23294892A JPH0657438A JP H0657438 A JPH0657438 A JP H0657438A JP 23294892 A JP23294892 A JP 23294892A JP 23294892 A JP23294892 A JP 23294892A JP H0657438 A JPH0657438 A JP H0657438A
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Hiroshi Kawakami
浩 川上
Tokuzo Kanbe
徳蔵 神戸
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無電解めっき老化液から含有金属成分を分離
回収する処理法と、この処理法を利用して異種金属被覆
鉄系粉を製造するための方法を提供する。 【構成】 無電解めっき老化液に水酸化ナトリウム溶液
を加えてpH 5.5〜8.5の範囲に調整した希釈液に金属
粉末を分散させてスラリーを形成し、このスラリーを加
温撹拌しながら無電解めっき老化液を制御された流速で
添加する処理法。異種金属被覆鉄系粉の製造方法は、前
記処理法において金属粉末に鉄またはその合金粉末を芯
材とすることにより、緻密で導電性の異種金属めっき鉄
粉を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の無電解金属めっ
き老化液から含有めっき金属成分を分離回収するための
処理法と、この処理プロセスを利用して異種金属被覆鉄
系粉を製造するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、無電解めっき技術は、装飾品から
磁気ディスク、磁気テープなど機能性電子部品に至る多
様な産業分野で広く実用されている。この無電解めっき
法は、通常、予め建浴しためっき液に被めっき基材を浸
漬して所定の時間反応させるプロセスでおこなわれる
が、めっき処理後においてもNi2+のようなめっき金属
イオンや次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤成分が多量
に残存している。
【0003】このように一定のめっき反応を終了した液
はめっき老化液と称され、有価金属などが多く含有され
ているにも拘らず、従来は海洋投棄等の手段で廃棄され
てきた。しかしながら、公害防止、環境浄化の面から要
請と高価な有価金属を回収再利用しようとする目的か
ら、めっき老化液を処理する技術が開発されている。
【0004】例えば、めっき老化液からNi2+を分離回
収する手段として、電解法によりNiを析出して回収
する方法、鉄粉やパラジウム塩をめっき老化液に多量
投入して自己分解を誘発させて分離回収する方法、イ
オン交換樹脂に吸着させる方法、めっき老化液をアル
カリ性にしてAl板又は箔を投入して析出させたNiを
硝酸で回収し、母液中の残存Niをキレート樹脂に吸着
させる方法(特開昭51−6136号公報)、添加法による
粉体の無電解めっき粉の製法においてめっき老化液を適
用する方法(特開昭61−276979号公報)などが知られて
いる。
【0005】ところが、これらの方法にはそれぞれに次
のような問題点がある。すなわち、の方法はめっき老
化液中のNiイオンを完全に除去するために大量の電力
と時間を要するため工業手段として経済的ではない。
の方法は生成する粒子が微細となって分離が困難なだけ
でなく、回収した金属粉中に大量のリンが混入するため
再利用するには更に脱リン処理が必要となる。および
の方法は、処理費用がかかる割りには回収物の付加価
値が小さく、工業用として優れた方法とは言えない。
の方法は、めっき老化液をそのままめっき薬液として活
用しうる点で他の方法に比べて優れた利点がある。しか
し、この方法では基材粉体をSn2+やPd2+等による前
処理が不可欠な工程となる関係で操作の煩雑性が避けら
れないため製造コストが高まり、また有価金属イオンを
回収しためっき粉末を多量に使用する用途が確立されな
い限り、この方法による単なる適用では処理することが
できないという未解決の課題が残されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように無電解めっ
き老化液の処理については、環境問題および稀少金属資
源の有効利用の両面から合理的な処理技術の確立が急が
れているが、処理コストが低廉で、含有金属が活用し易
い状態で回収しうる高付加価値の処理法は開発されてい
ない。
【0007】本発明者らは、かかる実情に鑑み前記の
特開昭61−276979号公報記載の処理技術を一層改良して
実用性を高めるために鋭意研究を重ねた結果、特定pH
範囲の希釈無電解めっき老化液に金属粉体を分散させた
スラリーに撹拌状態で無電解めっき液を一定流速で添加
すると、めっき老化液中の有価金属が効率的に回収で
き、さらに鉄系金属以外の無電解めっき液を用い、鉄系
金属を分散金属粉体として前記の操作を施すと優れた性
状の異種金属被覆鉄系粉が得られることを確認した。
【0008】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的は、溶存する有価金属イオンを効率よ
く回収し得るめっき老化液の処理法と、この処理手段を
利用して優れた被覆性状を備える異種金属被覆鉄系粉の
製造法を提供しようとするところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるめっき老化液の処理法は、無電解めっ
き老化液を中性付近にpH調整した希釈液に金属粉体を
分散させてスラリーを調製し、該スラリーを加温撹拌し
ながら前記無電解めっき老化液を制御された流速で添加
することを構成上の特徴とする。
【0010】本発明の処理対象となる無電解めっき老化
液は特に限定されないが、代表的にはニッケルめっき老
化液、コバルトめっき老化液、ニッケル−コバルト合金
めっき老化液など有価金属を含有したものである。かか
る無電解めっき老化液は、まず希釈したのち中性付近に
pH調整して金属粉体の分散媒を調製する。pH調整
は、水酸化ナトリウムの添加によりpH 5.5〜8.5 の範
囲、好ましくはpH7近傍になるように制御する。無電
解めっき老化液の希釈化は、pH調整の前後でおこな
い、5〜20倍の範囲とすることが望ましい。
【0011】ついで、pH調整された無電解めっき老化
液の希釈液に、金属粉体を分散させてスラリーを調製す
る。金属粉体としては、例えば鉄あるいはこれらの合金
からなる粉末が使用される。該金属粉体の粒度及び形状
には特に限定はないが、少なくとも水に分散して容易に
均質なスラリーを形成し得る程度の粒度であることが好
ましい。回収反応を速やかに進行させるためには、穏や
かな加温状態、好適には60〜70℃の液温において金属粉
体を投入し、十分に撹拌分散させる。なお、前記の加温
は金属粉を投入した後におこなっても差支えない。
【0012】このように無電解めっき老化液の希釈液に
金属粉体を分散させる理由は、液中の還元剤により金属
粉体表面の酸化皮膜を除去すると共にNi2+などのめっ
き金属イオンをその表面に置換析出させてめっき触媒核
を形成させるためである。この場合、単に水を分散媒と
すると、寧ろ金属粒子の酸化が進行するために従来技術
のようなめっき前処理を施さない限り以後の操作でめっ
き反応を進行させることができなくなる。
【0013】スラリーの加温撹拌を継続すると、やがて
無電解めっき老化液中に溶存するめっき金属イオンと金
属粉体が反応して発泡現象が生ずる。この反応が開始さ
れたら、同一の無電解めっき老化液を制御された流速で
添加して反応を維持させる。ここで制御された流速と
は、前記したpHならびに温度を終始一定の範囲に維持
すると共に、液中の金属イオン濃度が常に実質的に0に
近い状態になるように調整された流速を意味する。この
際、金属イオンの存在は液の呈色で識別できるから、容
易にその有無を判別することができる。
【0014】なお、無電解めっき老化液の添加に当って
は、同時にアルカリ剤や次亜リン酸塩を添加することも
できる。アルカリ剤は、液のpHを常に中性付近に維持
するために添加されるもので、通常、pH調節器と連動
させるか、計算量の水酸化ナトリウムを定速で添加する
方法でおこなわれる。また、老化液中の次亜リン酸イオ
ンは一般に金属イオン、例えばNi2+の3倍モル以上存
在しているので、別途に追加しなくとも液中の金属イオ
ンを完全に還元回収すことが可能であるが、老化液中の
次亜リン酸塩濃度がめっき金属イオンを完全に還元させ
るに不十分な場合には、不足分の次亜リン酸塩を単独溶
液として、もしくは水酸化ナトリウムに混合し老化液の
添加速度に合わせて反応当量に見合う量を添加する。
【0015】所定量の無電解めっき老化液の添加が終了
したら、反応が完全に終了するまで撹拌を継続する。こ
の処理によりめっき老化液中に溶存するめっき金属イオ
ンは還元されて金属粉体の粒子表面に緻密なめっき皮膜
として析出し、完全に分離回収される。
【0016】上記の処理に伴い、無電解めっき老化液中
に存在する次亜リン酸イオンも同時に亜リン酸イオンに
酸化される。したがって、金属粉体を分離回収した後の
母液はキレート剤を含有するほぼ中性の亜リン酸塩を主
組成とするものとなる。この分離母液を処理する場合に
は、不溶性亜リン酸塩を生成するような、例えばカルシ
ウム塩を反応させて亜リン酸カルシウムとして沈殿させ
て分離回収する。分離回収した亜リン酸カルシウムは、
防錆顔料、白色顔料あるいは樹脂添加剤などに有用であ
る。
【0017】異種金属被覆鉄系粉を得るための本発明に
よる製造法は、上記しためっき老化液の処理操作を利用
したものである。すなわち、その構成は、無電解めっき
液を中性付近にpH調整した希釈液に鉄系金属粉体を分
散させてスラリーを調製し、該スラリーを加温撹拌しな
がら前記無電解めっき液を制御された流速で添加するこ
とを特徴とする。
【0018】この構成においては、被めっき芯材として
鉄もしくはその合金からなる鉄系金属粉体が選択的に使
用され、無電解めっき液にはめっき老化液に限らず新た
なめっき液が適用される。しかし、無電解めっき老化液
を用いる場合には、上述した含有金属粉体の分離回収処
理と併せて異種金属被覆鉄系粉を製造することができる
ため工業的に有利に展開させることが可能となる。芯材
として鉄系金属粉体を使用する理由は、該金属が極めて
触媒活性に優れているため、粒子表面の酸化膜を除去す
るのみで容易にめっき皮膜が形成されるためである。し
たがって、通常、無電解めっき基材に施されるエッチン
グ、増感、および活性化などを目的とする塩化パラジウ
ム等の貴金属塩による前処理は不要となる。
【0019】製造条件としては、上記しためっき老化液
の処理法がそのまま適用されるが、この際、鉄系金属粉
体を分散させたスラリー濃度を50〜500g/l、望ましくは
80〜200g/lの範囲に設定することが好適である。このス
ラリー濃度が 50g/l未満ではめっき反応が不十分となっ
て液中に金属イオンが残留する現象を招き、他方、500g
/lを越えるスラリー濃度になると反応が激しくなって、
自己分解によるめっき皮膜の劣化が起こる危惧がある。
【0020】本発明の製法によって得られる異種金属被
覆鉄系粉は、リンの含有量が極めて少ない点に特徴があ
り、全重量当りPとして 0.2重量%以下の含リン量であ
る。一般に無電解ニッケル液は、Ni2+の還元剤として
次亜リン酸ナトリウムを用いているためニッケルめっき
皮膜には不可避的にリンが合金として混入してくる。め
っき皮膜中の含リン量はめっき条件に大きく依存し、多
くの場合10重量%前後の含有率となるが、本発明の製造
条件によれば前記のように含リン量が微量であり、この
ため緻密で導電性に優れためっき皮膜が形成される。し
たがって、例えば粉末冶金材料、溶射材料、導電性粉
体、鉄系合金原料などへの適用することが可能となる。
【0021】
【作用】本発明によるめっき老化液の処理法は、無電解
めっき老化液の一部を希釈して金属粉体の分散スラリー
を形成し、残りの無電解めっき老化液を金属粉体を分散
したスラリーに添加する2段階操作を介しておこなわれ
る。このうち、前者の無電解めっき老化液は金属粉体ス
ラリーを形成するための分散媒として機能するほかめっ
き反応が進行し易い液状態の形成化に寄与し、その後に
添加する後者の無電解めっき老化液は金属粉体のめっき
薬剤としての作用を営む。これらの作用によって無電解
めっき老化液中に溶存する有価金属イオンは金属粉体に
めっき皮膜として析出し、完全に分離回収される。
【0022】処理過程における作用機構の詳細について
は未だ解明するに至っていないが、ニッケル老化液を用
いた本発明による異種金属被覆鉄系粉の製造例について
推測すると、概ね次のようになる。まず、鉄系粉体スラ
リーの分散媒が無電解めっき老化液の希釈液であるため
に、液中の薄い次亜リン酸ナトリウムにより金属粒子表
面の酸化皮膜が還元除去されて活性な金属粒子表面が露
出し、これが触媒核として機能する。このため、通常の
無電解めっき前に不可欠とされているPd2+などによる
芯材前処理を施さなくとも、正常なめっき処理が可能と
なる。
【0023】そのうえ、めっき薬剤となる無電解めっき
老化液をスラリー分散系に添加する方式を採っているか
ら、分散系の温度およびpH条件をめっき薬液とは別途
に芯材金属粒子に対する最適なめっき条件として調整す
ることができる。分散系を加温して中性付近に保持する
と、めっき反応の進行は速まる。さらに、めっき老化液
の流速を制御して添加することにより、分散系にはNi
2+が実質的に存在せず、かつめっき反応が速いために副
生する亜リン酸ソーダの濃度が高くなっても、めっき液
の自己分解や添加に伴う亜リン酸ニッケルの沈殿を生成
する副反応は生じない。したがって、リン含有量の少な
い緻密で導電性に優れるニッケル被覆鉄粉が得られる。
【0024】また、本発明による異種金属被覆鉄系粉の
製造法によれば、前記の処理法を利用して例えば無電解
ニッケル被覆鉄粉などを効率よく製造することができる
が、この場合にはめっき薬液として無電解めっき老化液
に限らず新たな無電解めっき液を使用することができ
る。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0026】実施例1 pH4.78、ニッケル 0.075モル/l、次亜リン酸ナトリウ
ム0.29モル/l、亜リン酸塩1.37モル/lおよびキレート剤
を含有する無電解ニッケルめっき老化液を水酸化ナトリ
ウムで中和(pH:7.0)としたのち、5倍に希釈した。
この溶液 200mlを 500mlガラスビーカーに採り、湯浴内
に入れて65℃に加温した。ついで、溶液を撹拌しながら
鉄粉〔(株)神戸製鋼所製“アトメル300M”)20gを加
え、十分に撹拌分散させてスラリーを調製した。暫くし
て発泡が始まったら、スラリーを撹拌しながら前記と同
一の無電解ニッケルめっき老化液 239mlを5ml/分の添
加速度で、同時に水酸化ナトリウムの160g/l溶液60mlを
1.25ml/分の添加速度で添加した。この添加の間、スラ
リー液の呈色現象はほとんど認められなかった。全量を
添加したのち、発泡が治まるまで撹拌を継続した。処理
後のスラリーを濾過し、残渣を3回水洗したのち105 ℃
の温度で乾燥してニッケルめっき鉄粉を得た。
【0027】濾過処理後の濾液は無色透明で、定量分析
によってもニッケルイオンは検出されなかった。一方、
得られたニッケルめっき鉄粉を分析したところ、ニッケ
ル5.0 重量%、リン 0.105重量%(皮膜中のリン含有量
2.05重量%)であった。また顕微鏡で観察したところ、
めっき皮膜の被覆性は良好であった。
【0028】実施例2 pH9.3 、ニッケル 0.106モル/l、コバルト 0.178モル
/l、次亜リン酸ナトリウム0.717 モル/l、亜リン酸塩0.
801 モル/lおよびキレート剤を含有する無電解ニッケル
−コバルト合金めっき老化液に硫酸を加えpHを8.0 に
調整したのち、5倍に希釈した。この希釈液 200mlを 5
00mlガラスビーカーに採り、湯浴内に入れて80℃に加温
した。ついで、溶液を撹拌しながら実施例1と同一の鉄
粉 20gを加え、十分に撹拌分散させてスラリーを調製し
た。暫くして発泡が始まったら、スラリーを撹拌しなが
ら前記と同一の無電解ニッケル−コバルト合金めっき老
化液93mlを2ml/分の速度で添加し、同時に水酸化ナト
リウムの160g/l溶液を0.4ml /分の速度で添加した。こ
の添加の間、スラリーはほとんど呈色しなかった。全量
を添加したのち、発泡が治まるまで撹拌を継続した。処
理後のスラリーを濾過し、残渣を3回水洗したのち 105
℃の温度で乾燥してニッケル−コバルト合金めっき鉄粉
を得た。
【0029】得られた無電解ニッケル−コバルトめっき
鉄粉を分析したところ、ニッケル3.72重量%、コバルト
6.28重量%(皮膜中のリン含有量3.03重量%)であ
り、顕微鏡観察した結果、めっき皮膜の被覆性は良好で
あった。
【0030】実施例3 pH9.0 、コバルト0.142 モル/l、次亜リン酸ナトリウ
ム 0.377モル/l、亜リン酸塩0.801 モル/lおよび錯化剤
を含有する無電解コバルトめっき老化液を10倍に希釈
し、この溶液 200mlをガラスビーカー(500ml)に採り、
湯浴内に入れて85℃に加温した。ついで、溶液を撹拌し
ながら実施例1と同一の鉄粉20g を加えて十分に撹拌分
散させてスラリーを調製した。暫くして発泡が始まった
ら、スラリーを撹拌しながら前記と同一の無電解コバル
トめっき老化液を 246mlを2ml/分の速度で添加し、同
時に水酸化ナトリウムの160g/l溶液を 0.4ml/分の速度
で添加した。この添加の間、スラリーの呈色はほとんど
認められなかった。全量を添加したのち、発泡が治まる
まで撹拌を継続した。処理後のスラリーを濾過し、残渣
を3回水洗したのち 105℃の温度で乾燥してコバルトめ
っき鉄粉を得た。
【0031】得られた無電解コバルトめっき鉄粉を分析
したところ、コバルト含有量は10.01 重量%(皮膜中の
リン2.73重量%) で、顕微鏡観察により良好な被覆性の
めっき皮膜であることが確認された。
【0032】比較例1 実施例1と同一の無電解めっき老化液 240mlを 500mlガ
ラスビーカーに採り、95℃に加温したのち、実施例1と
同一の鉄粉を 20g投入した。反応過程で液のpHを測定
し、pHが 4.5を保持するように160g/l水酸化ナトリウ
ム溶液を添加した。発泡が止まって反応が終了したこと
を確認したのち、得られたニッケルめっき鉄粉を濾過
し、水洗を3回おこなって 105℃で乾燥した。この場合
には、反応終了後の液は青色を呈し、定量分析によって
ニッケルイオン1.4g/lが検出された。得られたニッケル
めっき鉄粉を分析したところ、ニッケル3.06重量%、リ
ン0.53重量%(皮膜中のリン含有量14.8重量%)であっ
た。
【0033】比較例2 実施例1と同一の無電解めっき老化液 240mlを 500mlガ
ラスビーカーに採り、160g/lの水酸化ナトリウム溶液を
加えて液のpHを 7.0とし、95℃に加温したのち実施例
1と同一の鉄粉を 20g投入した。反応過程で液のpHを
測定し、pH 7.0を保持するように160g/l水酸化ナトリ
ウム溶液を添加した。この例では、反応途中でめっき液
は自己分解を始め、ニッケル塩の沈澱や微細なニッケル
金属粉末が生成していた。このため、反応終了後の濾過
による分離は困難であるのみならず、めっき皮膜による
Niの回収は不可能であった。
【0034】比較例3 めっき対象の芯材粉体として通常の前処理方法で触媒化
処理した平均粒径2μm のフェノール系樹脂粉末〔鐘紡
(株)製“ベルパール”〕を使用し、その他は全て実施
例1と同一条件の操作によりニッケルめっき樹脂粉末を
得た。反応終了後の液は青色を呈し、定量分析によって
ニッケルイオン 0.75g/lが検出された。得られたニッケ
ルめっき樹脂粉末を分析したところ、ニッケル 3.5重量
%、リン0.13重量%(皮膜中のリン 3.7重量%)であ
り、老化液中のNi2+の回収は不完全であった。
【0035】実施例4 pH7.0 、次亜リン酸ナトリウム0.3g/l、酒石酸ナトリ
ウム10g/l の混合溶液100ml をガラスビーカー(500ml)
に採り、湯浴内に入れて60℃に加温した。この無電解め
っき液を撹拌しながら実施例1と同一の鉄粉 50gを加
え、十分に撹拌分散させてスラリーを調製した。暫くし
て発泡が始まったら、スラリーを撹拌しながら224g/lの
硫酸ニッケル溶液 111mlを4ml/分の添加速度で、同時
に120g/l水酸化ナトリウムと225g/l次亜リン酸ナトリウ
ムの混合溶液を4ml/分の添加速度で添加した。この添
加の間、スラリー液の呈色はほとんど認められなかっ
た。全量を添加したのち、発泡が治まるまで撹拌を継続
した。処理後のスラリーを濾過し、残渣を3回水洗した
のち105 ℃の温度で乾燥してニッケルめっき鉄粉を得
た。得られた無電解ニッケルめっき鉄粉を分析したとこ
ろ、ニッケル含有量10.0重量%(皮膜中のリン含有量2.
04重量%) で、顕微鏡観察の結果、めっき皮膜の被覆性
は良好であった。
【0036】
【発明の効果】以上のとおり、本発明に従えば特定の操
作で無電解金属めっき老化液を処理することにより、低
廉なコストでめっき老化液中に溶存する有価金属を効率
よく分離回収することができる。さらに、この処理法を
鉄系粉体のめっき手段として活用する本発明に係る異種
金属被覆鉄系粉の製造法によれば、鉄系粉の表面に緻密
で被覆性に優れる異種金属のめっき皮膜を形成すること
ができる。とくに無電解めっき老化液を適用した場合に
は、めっき老化液中の有価金属が均質なめっき皮膜とし
て円滑に形成されるから、回収資源の有効利用を図るこ
とが可能となる。そのうえ、この方法で得られる異種金
属被覆鉄系粉はリン含有量が僅少で、導電性を備えてい
るため、導電粉体として利用できるほか粉末治金や溶射
材料としても有用性が期待できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無電解めっき老化液を中性付近にpH調
    整した希釈液に金属粉体を分散させてスラリーを調製
    し、該スラリーを加温撹拌しながら前記無電解めっき老
    化液を制御された流速で添加することを特徴とするめっ
    き老化液の処理法。
  2. 【請求項2】 無電解めっき老化液に水酸化ナトリウム
    を加えてpH 5.5〜8.5 の範囲に調整した希釈液に金属
    粉体を分散させてスラリーを調製する請求項1記載のめ
    っき老化液の処理法。
  3. 【請求項3】 無電解めっき液を中性付近にpH調整し
    た希釈液に、鉄系粉体を分散させてスラリーを調製し、
    該スラリーを加温撹拌しながら前記無電解めっき液を制
    御された流速で添加することを特徴とする異種金属被覆
    鉄系粉の製造法。
  4. 【請求項4】 無電解めっき液が、無電解ニッケルめっ
    き老化液である請求項3記載の異種金属被覆鉄系粉の製
    造法。
JP23294892A 1992-08-06 1992-08-06 めっき老化液の処理法と異種金属被覆鉄系粉の製造法 Pending JPH0657438A (ja)

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JP23294892A Pending JPH0657438A (ja) 1992-08-06 1992-08-06 めっき老化液の処理法と異種金属被覆鉄系粉の製造法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013205074A (ja) * 2012-03-27 2013-10-07 Dowa Eco-System Co Ltd イオン交換樹脂の交換時期決定方法
CN113264607A (zh) * 2021-05-14 2021-08-17 深圳市小荷环保技术有限公司 化学镀镍废液中高浓度镍的促进还原回收方法

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