JPH0657336U - 褥瘡防止ベッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベッドの脚部に設けた伸縮脚を交互に伸縮
させることにより、ベッドを交互に傾動させて病人の姿
勢を変えて床擦れを防止する。 【構成】 ベッドの四隅部に伸縮脚を有する脚部を取
付け、夫々の伸縮脚を交互に伸縮させて対をなすシリン
ダ筒をロック弁を介して配管で連結して油圧回路を構成
してあるため、ベッドを左右に傾動させるには短尺方向
の油圧回路のロック弁を開いてベッドの片側を上下動さ
せてベッドを傾動することができる。また短尺方向のロ
ック弁を閉じて長手方向の油圧回路のロック弁を開き、
ベッドの片側を上下動させることによりベッドを傾動さ
せて病人の身体とベッドが接する部分を変えて患者の血
行障害部分を解消または改善させるものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はベッドの脚部に設けた伸縮脚を交互に伸縮させることにより、ベッド を交互に傾動させて病人の姿勢を変えて床擦れを防止する褥瘡防止ベッドに関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、病院に長期間入院している寝たきり患者が同じ姿勢で寝ているとベッド と身体との接する部分が体重により圧着されて血行阻害を生じて褥瘡、所謂床擦 れができるということが問題になっている。そのため、長期間寝ている患者に床 擦れが生じるのを防止するため看護婦や看護人等が一定時間ごとに寝ている患者 の姿勢を変えて床擦れを防いでいる。例えば、病人の身体とベッドとの間に枕や 空気マット等を挿入させて病人の姿勢を変え、それによってベッドと身体の接す る部分を変えて血行障害部分が生じるのを防止している。しかし、看護婦や看護 人等が一定時間ごとに見回って、多くの患者の身体とベッドが接する部分を時々 変えることは看護婦等にとって大変な労力であると共に、昨今のように人手不足 時には大きな負担である。更に、空気マットを病人の体の下に敷いてマット内の 空気を移動させることにより姿勢を変える程度では病人の床擦れを防止すること が不十分であるという問題点を有している。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来、ベッドの片側を油圧で昇降動させものはあるが、それは病人が寝ている 姿勢から上半身を起こして食事をとる場合等に使用するもので、ベッドのマット 面を油圧で長手方向に傾動させるものは構造が複雑で高価なため、この種のベッ ドを一度に多数購入することはなかなかできなかった。本考案はかかる従来の問 題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、油圧を利用した簡単な 装置によってベッドを交互に傾動させることにより、病人の体とベッドの接する 部分を定期的または任意に変えることにより血行障害部分を解消して病人の床擦 れを防止する装置を提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、下端にキャスタを取付けてなる伸縮脚の上部に設けたピストンを、 シリンダ筒内に上下動可能に収容させた脚部の上部をベッドの四隅部に取付け、 対をなすシリンダ筒を同じく対をなす配管で夫々連結して油圧回路を形成すると 共に少なくとも一方の配管にロック弁を装着し、対をなすシリンダ筒の一方に取 付けた昇降モ−タに連動して上下動するラックの下端を前記伸縮脚に連結し、該 昇降モ−タ及びロック弁を制御するコントロ−ル装置を設ける構成を、上記課題 を解決するための手段とするものである。

【０００５】

【作用】

ベッドの四隅部に伸縮脚を有する脚部を取付け、夫々の伸縮脚を交互に伸縮さ せて対をなすシリンダ筒をロック弁を介して配管で連結して油圧回路を構成して あるため、ベッドを左右に傾動させるには短尺方向の油圧回路のロック弁を開い てベッドの片側を上下動させてベッドを傾動することができる。また短尺方向の ロック弁を閉じて長手方向の油圧回路のロック弁を開き、ベッドの片側を上下動 させることによりベッドを傾動させて病人の身体とベッドが接する部分を変え、 患者の姿勢を変えて血行障害部分を解消または改善させている。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１、２は本考案の第１実施例を示すもので、第１のベッド１は方形に形成し た枠体２上にマット３を載置し、該枠体の長手方向の両端に略Ｕ字形をしたフレ −ム５、５を下向きに設け、このフレ−ム５、５の下端には後記する脚部７、７ を夫々連結してベッドを構成してある。各脚部７はシリンダ筒８を有しており、 該シリンダ筒８の上部にはフレ−ム５の下端に連結させる連結部６を設けてある 。４はベッドの両側に着脱可能に取付ける転落防止用の側枠である。

【０００７】 １０は前記シリンダ筒８内を昇降動するピストンを上端に連結させた伸縮脚で 、この伸縮脚の下端にはキャスタ１２を取付けてある。枠体の両端に取付けて対 をなすシリンダ筒８の何れか一方の外部に装着した取付板１４にブレ−キを有し たモ−タからなる昇降モ−タ１５を装着し、このモ−タにより回転するピニオン （図示せず）と噛合するラック１６の下端を取付片１７で該伸縮脚１０の下部に 固着し、該ラック１６はシリンダ筒８と平行に取付けてある。なお、図示してな いが、各キャスタ１２には夫々ストッパが装着してある。

【０００８】 図２Ａ、２Ｂにおいて、昇降モ−タ１５のハウジングに取付けたリミットスイ ッチ１８、１８と掛止する第１及び２突起（図示せず）を該ラック１６の上方及 び下方に取付けてある。また、シリンダ筒８の各上下部分は対をなす配管１９、 １９で連結して油圧回路を形成し、一方の配管１９にロック弁２０を取付けてあ る（図３）。昇降モ−タ１５を駆動させるとラック１６がシリンダ筒８に沿って 昇降動し、それによって伸縮脚１０も同様に伸びたり（図２Ｂ）、縮んだり（図 ２Ａ）して脚部７を伸縮させることによりベッド１を一定間隔毎にまたは任意間 隔毎に傾動させることができる。

【０００９】 図３は本考案の第１実施例を簡略化して示したもので、ベッド１の角隅部に取 付ける脚部７、７は油圧により伸縮脚１０を伸縮させるシリンダ筒８を有してお り、ベッドの長手方向両端に取付けた対をなすシリンダ筒８、８の上下部分を夫 々対をなす配管１９、１９で連結し、一方の配管１９にロック弁２０を取付けて 油圧回路を形成してある。このシリンダ筒８内には、油圧により昇降動するピス トン（図示せず）を収容してあり、該ピストンを上端に連結させた伸縮脚１０の 下端にはキャスタ１２を取付けてある。各シリンダ筒３の上部にはベッド１に取 付けるための連結部６を設けてある。

【００１０】 図４は本考案の第２実施例を示すもので、第２のベッド２１は、第１実施例の ベッドと同様に形成してある。このベッドの角隅部で且つ長手方向両側端に取付 けた脚部７、７は、油圧により伸縮脚１０を伸縮させるシリンダ筒８、８を設け てある。このベッドの長手方向両側端に位置して取付けた脚部７、７に存する各 シリンダ筒８、８の上下部の間を、対をなす配管１９ａ、１９ａで連結し、夫々 一方の配管１９ａにロック弁２０ａを夫々取付けて油圧回路を形成してある。こ のシリンダ筒８内には油圧により昇降動するピストン（図示せず）を収容してあ り、該ピストンを上端に連結させた伸縮脚１０の下端にはキャスタ１２を夫々取 付け、各シリンダ筒８の上部にはベッドの四隅部に取付ける連結部６、６を取付 けてある。

【００１１】 図５は本考案の第３実施例を示すもので、第３のベッド３３は、第１、２実施 例のベッドと同様に形成し、該ベッドの角隅部に取付けた脚部７、７は、油圧に よって伸縮脚１０を伸縮させるシリンダ筒８、８を設けてある。この脚部７、７ のシリンダ筒８、８の間には対をなす配管３９、３９及び４０、４０で夫々連結 し、夫々一方の配管３９及び４０に第１のロック弁４１、４１および第２のロッ ク弁４２、４２を夫々取付けてベッドの両端部分及び両側部分を夫々傾動させる 油圧回路を形成してある。このシリンダ筒８、８内には、油圧で昇降動するピス トン（図示せず）を収容してあり、該ピストンを上端に連結させた伸縮脚１０の 下端には夫々キャスタ１２を取付け、各シリンダ筒８の上端にはベッドに取付け る連結部６を設けてある。

【００１２】 以下、各実施例の作用について夫々説明する。 第１実施例のベッド１は、各脚部７、７に存するシリンダ筒８を連結している 配管１９、１９の内、一方の配管１９に存するロック弁２０を閉じれば、シリン ダ内の圧油が移動しなくなるので、ベッドのマット３を水平に保って通常のベッ トとして使用することができる。次いで、寝ている患者の姿勢を変えるためにベ ッド１を左右に傾動させる場合、コントロ−ル装置Ａを操作する。即ち、図３に 示すようにロック弁２０、２０を夫々開いた状態で、図２Ａに示すように昇降モ −タ１５を駆動させると、昇降モ−タ１５のピニオンの回転によりラック１６が 上昇してラック１６が一定位置まで上昇すると、リミットスイッチ１８と前記第 １突起（図示せず）が掛止してラックが停止する。この場合、ラック１６と同時 に伸縮脚１０も縮んでベッドの一側端部は下降するが、一方のシリンダ筒８内の 油は配管１９、１９を通って他方のシリンダ筒内に移動し、他方の伸縮脚が反対 に下方に伸ばされてベッドの他側端は上昇し、それによってベッドを左右方向に 傾動させる。そのため、ベッドのマット３上に寝ている患者の体とマット３との 接する部分が変わって血行障害部分を解消または改善することができる。

【００１３】 次いで、一定時間又は任意時間後に、図２Ｂに示すように昇降モ−タ１５を駆 動させてラック１６を下方に伸ばすと、それと同時に伸縮脚１０が伸び、それに よってベッドの端部を上昇させるもので、これを繰り返すことによりベッドを傾 斜させる。この場合、油圧回路は閉回路になっており、一方の配管１９にロック 弁２０を設けてあるため、該ロック弁２０を開放してあれば、油が配管内を移動 して対をなすシリンダ筒は対象的な動きをするが、ロック弁２０を閉じれば配管 １９内の油は移動出来なくなり、伸縮脚１０を伸縮させることが出来なくなる。

【００１４】 第２実施例のベッド２１は、各脚部７、７に存するシリンダ筒８を連結した配 管１９ａ、１９ａの内、一方の配管１９ａに存するロック弁２０ａを閉じればシ リンダ筒８内の圧油が移動しないため、ベッドのマット３を水平に保って通常の ベットとして使用することもできる。さらに、ベッドを傾斜させた状態のまま保 つことができるものである。

【００１５】 次に、ベッド２１を長手方向に傾動させる場合には、コントロ−ル装置Ｃを操 作して図４に示す如くロック弁２０ａ、２０ａを夫々開いた状態で、一方の脚部 ７に設けたシリンダ筒８に存する昇降モ−タ１５を駆動させるとピニオン（図示 せず）が回転してラック１６を下降させ、それと同時にラック１６の側面に設け た突起（図示せず）が、リミットスイッチ１８に係止するまで、該伸縮脚１０が 伸びて、ベッド１の片側が上昇する（図２Ｂ）。この場合、シリンダ筒８内の圧 油が配管 １９ａ内を通って移動し、他端に位置するシリンダ筒８内に収容した 伸縮脚１０が油圧により縮んでベッド２１が傾動する。そのため、該ベッドのマ ット３上に寝ている患者の体とマットの接する部分が変わって血行障害部を解消 または改善することができる。

【００１６】 本考案の第３実施例のベッド３３は、図５に示す如く、ベッドの頭部及び足部 側端部の両側に位置する脚部７、７を配管３９、３９で連結し、且つ、一方の配 管３９、３９に第１のロック弁４１、４１を装着し、また該ベッドの両側に位置 する脚部７、７のシリンダ筒８、８は対をなす配管４０、４０で連結され、一方 の配管４０には第２のロック弁４２、４２を夫々装着し、コントロ−ル装置Ｃを 制御することにより、第１のロック弁４１を開いて第２のロック弁４２を閉じた 状態で頭部及び足部側に位置した脚部７、７の内、一方の脚部に存するシリンダ 筒８に装着した昇降モ−タ１５を駆動させ伸縮脚１０を伸ばすと、該伸縮脚が伸 びた側のベッドの片側が上昇する。

【００１７】 ついで、第１のロック弁４１、４１を閉じてから第２のロック弁４２、４２を 開いて一方の脚部７に存する昇降モ−タ１５を駆動させると伸縮脚１０が伸び、 該伸縮脚側のベッド３３の端部は上昇する。このように、第１及び２のロック弁 ４１、４２を制御して各昇降モ−タ１５を駆動させることにより、ベッドの頭部 及び足部側を傾動させたり、該ベッドの左右側を傾動させることができる。これ を連続させて一定時間毎または任意時間毎に頭部及び足部側や左右側を順次傾動 させることが可能である。

【００１８】 この昇降モ−タ１５による伸縮した伸縮脚１０の高さの調整は、該ラックの上 方および下方に設けた突部の位置を調整することによりリミットスイッチ１８、 １８との掛止位置を調節することによって制御することができる。また、油圧回 路はあくまでもベッドを前後左右方向に傾動させて病人の血行障害部分を解消ま たは改善するためのものであるから、上記実施例の油圧回路ではベッドの頭部側 をお起こすことはできないが、更に別の油圧回路を設けることによりベッドの頭 部側を上昇させるようにすることも可能である。

【００１９】

【考案の効果】 本考案は、キャスタを下端に設けた伸縮脚を有するシリンダ筒の上部に連結部 を設けた各伸縮脚をベッドの脚部に取付け、各伸縮脚の対をなすシリンダ筒を配 管で連結し、一方の配管にロック弁を取付けると共に、対をなすシリンダ筒の一 方に昇降モ−タ及び伸縮脚と連動するラックを設けただけの簡単な構造で、患者 の床擦れを防止するベッドにすることができるので大変経済的ある。また、操作 が簡単であるから誰れでも簡単に操作することができるし、自動的に作動させる こともできるため看護婦の労力等の負担を著しく軽減させることができる。その 上、従来のベッドの脚部を取り外して本装置の伸縮脚を有した脚部を装着するこ とにより従来のベッドを傾動可能なベッドに簡単に変更して有効利用することが できる利点も有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る第１実施例のベッドの斜視図であ
る。

【図２】昇降モ−タでラックと共に伸縮脚を昇降動させ
る状態を示すもので、２Ａは伸縮脚を縮めた状態の要部
の側面図、２Ｂは伸縮脚を伸ばした状態の要部の側面図
である。

【図３】第１実施例のベッドの脚部及び配管状態を簡易
化して示した説明図である。

【図４】本考案に係る第２実施例のベッドの脚部及び配
管状態を簡易化して示した説明図である。

【図５】本考案に係る第３実施例のベッドの脚部及び配
管状態を簡易化して示した説明図である。

【符号の説明】

１ ベッド ６ 連結部 ７ 脚部 ８ シリンダ筒 １０ 伸縮脚 １２ キャスタ １５ 昇降モ−タ １６ ラック １９ 配管 ２０ ロック弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 下端にキャスタを取付けてなる伸縮脚の
   上部に設けたピストンを、シリンダ筒内に上下動可能に
   収容させた脚部の上部をベッドの四隅部に取付け、対を
   なすシリンダ筒を同じく対をなす配管で夫々連結して油
   圧回路を形成すると共に少なくとも一方の配管にロック
   弁を装着し、対をなすシリンダ筒の一方に取付けた昇降
   モ−タに連動して上下動するラックの下端を前記伸縮脚
   に連結し、該昇降モ−タ及びロック弁を制御するコント
   ロ−ル装置を設け、該コントロ−ル装置を操作すること
   により前記脚部を交互に伸縮させてベッドを傾動させる
   ことを特徴とする褥瘡防止ベッド。