JPH0657246B2 - 抗血栓性医用材料の製造方法 - Google Patents

抗血栓性医用材料の製造方法

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JPH0657246B2
JPH0657246B2 JP61292246A JP29224686A JPH0657246B2 JP H0657246 B2 JPH0657246 B2 JP H0657246B2 JP 61292246 A JP61292246 A JP 61292246A JP 29224686 A JP29224686 A JP 29224686A JP H0657246 B2 JPH0657246 B2 JP H0657246B2
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次郎 岡本
誠亮 田崎
忠之 大西
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリオレフィン系高分子にポリエチレングリ
コール基を有するモノマーをグラフト重合した抗血栓性
医用材料の製造方法に関する。
[従来技術] 医用材料として、高分子材料は、成形の容易さを、延伸
性、涸撓性等の理由により、各種の素材が幅広く使用さ
れている。しかし、生体内で使用される場合において
は、生体に悪影響を及ぼさず、周辺の組織との親和性が
良好であることが必要である。特に、血液と接する部分
においては、血液自体が本来異物との接触により凝固す
る性質を有するため、血液の凝固を招かない性質である
抗血栓性を有することが、医用材料として使用される場
合に必要とされる。他の分野において一般的に使用され
ている高分子材料は、医用材料として使用する場合に
は、抗血栓性が不十分であるため、十分な抗血栓性を有
する高分子材料の開発が試みられている。
抗血栓性を有する抗分子材料の開発としては、新たな高
分子材料を作成する試みと従来からの高分子材料に表面
処理を行う試みが行なわれている。前者に関しては、高
分子基材自体の組成を変える方法であり、特にポリウレ
タンに関して多くの試みが行なわれており、各種セグメ
ント化ポリウレタン等が市販あるいは研究開発されてい
る。しかしこれら新規な高分子材料は、医用材料として
使用するに際して成形性や力学的特性等の性質も満足さ
せる必要があり、問題は多く残されて入る。一方、後者
の方法では従来からの一般的な高分子材料に表面処理を
行うため、現在使用されている医用材料をそのまま利用
できる等の利点が大きい。
[発明が解決しようとする問題点] 表面処理による抗血栓性の付与の方法としては、抗血栓
性を示す生理活性物質を担持させる方法や高分子材料表
面に血液凝固に対して不活性な構造を形成させる方法が
検討されている。前者の方法に関しては、抗凝固剤であ
るヘパリンを担持させた例として特開昭57−119756号公
報、特開昭51−194 号公報、プロスタグランジンを担持
させた例として特開昭54−135494号公報等各種の生理活
性物質を使用した方法が開示されている。しかし、この
方法では生理活性物質の遊離や失活等により、効果は永
続しない欠点を有している。一方、後者である血液凝固
に対して不活性な表面構造を形成させる方法は、永続的
な抗血栓性表面を作成できる可能性を有しているが、血
液と高分子材料との相互作用や、血液凝固過程の開始機
構に関しては未だ未知の部分が多く、基本的な研究が必
要とされている。
一方、高分子材料の方面改質の一方法としてグラフト重
合法がある。この方法は、高分子材料に他のモノマーに
よるグラフト鎖を生成させる方法であり、各種分野にお
いて応用が行なわれている。抗血栓性材料への応用も試
みられており、2−ヒドロキシメタアクリレート(HE
MA)やアクリルアミド(AAm)を始めとして各種モ
ノマーの使用例が、特公昭50−32554 号、53−15556 号
公報、特開昭54−72294 、58−5320、60−242857号公報
等に開示されている。この方法による抗血栓性の機構に
関しては、幾らによる詳細な研究が行なわれており、高
分子表面におけるグラフト鎖が散浸層構造を生成し、血
液との界面自由エネルギーが低下することにより、血小
板や凝固因子との相互作用が減少することによると報告
している(幾 義人や,Polymer Preprint,Jopan.Vol.2
9,No. 7 p1461〜1464,1980年,人工臓器 15巻1号 p1
2〜15,1986年)。グラフト重合による抗血栓性表面の
作成に関しては、基礎的研究が行なわれ動物実験におけ
る抗血栓性の向上も報告されており(林 和子ら 高分
子論文集 39巻p179〜182,1982 年,42巻,p77 〜83,
1985年)抗血栓性表面作成のための方法として期待され
る方法である。
[問題点を解決するため手段] 本発明は、グラフト重合法の応用による抗血栓性材料の
製造方法に関して種々検討を重ねた結果、ポリエチレン
グリコール基を有するモノマーを電離性放射線を使用し
た前照射法によりグラフト重合することにより抗血栓性
に優れた医用材料の作成に成功したものである。その目
的とするところは、従来より一般的に使用されている高
分子材料に本発明を適用することにより、抗血栓性に優
れた医用材料の製造方法を提供することにある。
即ち本発明はポリオレフィン系高分子に予め、電離性放
射線を照射した後、これを次の一般式で示されるモノマ
ーの溶液中に浸漬して、グラフト重合鎖を生成させるこ
とを特徴とする抗血栓性医用材料の製造方法である。
一般式 式中RはHまたはCH基 RはCHまたはC基でnは2以上20以下の整
数 [作 用] 本発明において使用されるモノマーは、一般式に示され
る様に、末端をメチルまたはエチル化された、ポリエチ
レングリコール基を有するアクリレートまたはメタクリ
レート誘導体であり、グラフト重合法により、基材にグ
ラフト鎖を生成して導入される。基材に導入されたグラ
フト鎖が抗血栓性表面を形成するためには、表面散浸層
を構成し海面自由エネルギーを低下させる必要がある。
本モノマーは、ポリエチレングリコール基が非イオン型
の親水性基であり、末端の水酸基がアルキル化されてい
るため、血液とイオン的相互作用がなく、また水分子と
の水素結合の形成も少なく、水分子との親水−疎水性相
互作用を主とした緩やかな結合状態を保持できる。ま
た、本モノマーは、架橋反応性の少ないモノマーであ
り、他の例で使用されている。ヒドロキシエチルメタク
リレートやアクリルアミド等と異なり、ポップコーン重
合等の架橋反応体の生成はほとんど見られない。本モノ
マーは以上の様な特性を有することにより、表面散漫層
の形成にも最も適したモノマーである。
また、ポリエチレングリコール基自体が重合体であるた
め、親水基の鎖長を長くすることが可能であり、長鎖の
場合においては界面におけるグラフト鎖の易動性が増大
し、血餅の付着を防止する効果が期待される。しかし、
長鎖の場合は、モノマー自体の分子量が増大するためグ
ラフト重合に寄与するビニル基の濃度が低下するため、
グラフト重合の効率が低下し、好ましくない。逆に短鎖
の場合は、グラフト重合の効率は高いが、親水性におい
て劣るため、ポリエチレングリコールの鎖長は一般式に
おいて、2≦n≦20の範囲が好ましく、4≦n≦10の範
囲が更に好ましい。
本発明において用いられるがポリオレフィン系高分子は
グラフト重合の基材となるものであり、機械的強度と形
状の保持に寄与する。本発明を適用するためにはグラフ
ト重合性に優れ、また毒性がない等医用材料としての適
性を有する必要があり、ポリオレフィン系高分子が望ま
しい。ポリオレフィン系高分子としては、炭素−炭素不
飽和結合を有するモノマーの重合により生成された高分
子材料である。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
タジエン等が挙げられる。
本発明において用いられるグラフト重合法は、基材とな
る高分子材料に対してグラフト鎖を生成させる方法であ
り、かつ、電離性放射線を使用した前照射法により行な
う方法である。グラフト重合法としては、多種類の方法
が行なわれているが、電離性放射線を使用する方法は、
透過性、ラジカル生成効率に優れ、グラフト重合効率の
高い方法である。また、前照射法は、基材を予じめ、電
離性放射線により照射を行い、ラジカルを生成させた後
にモノマーの水またはアルコール溶液に浸漬し、グラフ
ト鎖を生成させる方法である。本方法は反応性の点より
モノマー濃度60〜90%の高モノマー濃度を必要とするが
モノマー溶液と共に照射を行う同時照射法に比べて、反
応溶液中におけるラジカル生成が起こらないため、架橋
や分岐の少ないより直鎖に近いグラフト鎖の生成が可能
であり、生成したグラフト鎖の易動性が高く、本発明の
目的に好適な方法である。電離性放射線としては、基材
である高分子材料に対して直接的または間接的に電離作
用を及ぼす放射線であれば、使用可能であり、具体的に
は、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線ある
いは、加速電子線等の加速粒子線が挙げられる。
抗血栓性を改良するに必要なグラフト率は、抗血栓性が
表面のみに依存する性質であるため、基材の形式により
異なり、グラフト率で厳密に特定することはできない
が、例えば、厚さ50μmのフィルムの場合では、グラフ
ト率で12〜50%好ましくは15〜45%が望ましい。
[発明の効果] 本発明は、日常一般的に使用されている高分子材料であ
るポリオレフィンの表面を改質することにより、高い抗
血栓性を有する医用材料を提供する方法であり血液に接
触する部分に使用されるチューブ、シート、カテーテ
ル、カニューラ、生体埋入材料、人工血管、人工臓器等
において有用な医用材料を提供する。
[実施例] 以下、本発明を実施例に基いて説明する。
実施例 低密度ポリエチレンフィル(厚さ50μm)に電子線を窒
素雰囲気にて30Mrad の前照射を行った後ガラス容器中
で、窒素雰囲気下にて、モノマーA,B,Cの溶液に浸
漬し、45℃恒温水槽中でグラフト重合反応を行った。所
定時間経過後ガラス容器を開封し、フィルムを取り出
し、水洗後減圧乾燥を行い、フィルムの反応前後の重量
差よりグラフト率を測定した。
結果を第1表に示す。
生成したフィルムはいづれも透明で平滑であった。
比較例 低密度ポリエチレンフィルム(厚さ50μm)に電子線を
窒素雰囲気下にて20Mrad の前照射を行った後、ガラス
容器中で窒素雰囲気下にて、2−ヒドロキシエチルメタ
アクリレート(HEMA)およびアクリルアミド(AA
m)の溶液に浸漬し、それぞれ25℃,40℃の恒温水槽中
でグラフト重合反応を行った。所定時間経過後、ガラス
容器を開封し、フィルムを取り出し水洗後、減圧乾燥を
行いフィルムの反応前後の重量差よりグラフト率を測定
した。
結果を第2表に示す。
生成したフィルムは、HEMAに関しては白色化し、数
ミクロンの球状構造が生成したAAmに関しては、透明
であるが、表面に凸凹が生成した。
抗血栓性の測定 今井法により、作成したフィルムの血餅生成率の測定を
行った。新鮮ウサギACD血 250μlに0.8 %CaCl
液25μlを添加した後、2枚のフィルムの間に保持し
37℃の恒温槽上にて血液凝固を進行させた。各測定毎に
標準試料として医療用塩ビシートについて同時に行い、
標準試料の血餅の生成率が完全凝固の50〜80%になるよ
うに血液凝固の時間を設定し、測定試料において生成し
た血餅重量を表運試料において生成した血餅重量で除し
て、相対血餅生成率を求め、各測定時における血液の凝
固能の相違を消去した。
結果を第3表に示す。
血小板粘着性の測定 新鮮ウサギ血よりPRP(多血小板血漿)を作成し、測
定試料を37℃にて10分間接触させた。終了試料を生理食
塩水を洗浄し、グルタルアルデヒド固定、エタノール洗
浄の後、ギムザ染色を行い、光学顕微鏡(1000倍)にて
試料表面に粘着した血小板数を計数した。また、粘着血
小板数はグラフト反応前の基材である低密度ポリエチレ
ンフィルムとの比を計算した。
結果を第4表に示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系高分子に予め、電離性放
    射線を照射した後、これを下記の一般式で示されるモノ
    マーの溶液中に浸漬して、グラフト重合鎖を生成させる
    ことを特徴とする抗血栓性医用材料の製造方法。 一般式 式中RはHまたはCH基 RはCHまたはC基でnは2以上20以下の整
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DE3883777T2 (de) * 1987-09-11 1994-01-27 Agency Ind Science Techn Poröse membran aus hydrophilem polypropylen, verfahren zu deren produktion und gerät zur zerlegung von blutplasma.
US5186835A (en) * 1987-09-11 1993-02-16 Agency Of Industrial Science And Technology Porous hydrophilic polypropylene membrane, method for production thereof, and blood plasma separation apparatus
JP7150550B2 (ja) * 2018-10-02 2022-10-11 日本製紙株式会社 樹脂組成物及びその用途

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