JPH0654120B2 - 自浄フイルタ付水中ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は濾材表面に沈積しようとする流体中の混在異物
を、濾過操作中に自動的に除去させることのできる自浄
フィルタ付水中ポンプに関する。

［従来の技術］ ポンプを使用して圧送される流体の流路に除塵用フィル
タを介在させることによって流体の移送と流体中に混在
する異物の除去とを同時に行うことは、あらゆる産業分
野にわたって広く行われている。この種のフィルタとし
ては回転ドラムの外周面に濾布を巻きつけたものとか、
フレーム体に濾材を張設したもの、あるいは一端が封止
された短筒状の金網製フィルタエレメントの開口端にカ
ートリッジ式の取付用基部を接合させたものなどが使わ
れて来た。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記の如き従来の除塵用フィルタは、濾過すべき流体中
に混在する異物の粒径が小さければ小さい程網目の細か
い濾材を必要とし、殊に異物混入量が多い場合には短期
間で濾材の表面に異物が堆積して濾過能力が著しく低下
するので、はなはだしい時間と労力の浪費を伴うフィル
タの洗浄作業を頻繁に繰り返さなければならず、生産性
低下の一要因をなしていた。

本発明は、濾過作業中に濾材表面に沈積しようとする被
濾過液中の異物を自動的に排除させるための機構を備え
た、いわば自浄式フィルタを組付けた水中ポンプを提供
することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、水中ポンプと、筒状の側壁の一端が遮蔽部材
で塞がれて前記側壁の一端には、周方向に濾材が取付け
られると共に吸い込もうとする流体が全周方向から前記
濾材により濾過されて流入する吸入部が設けられ、流入
した流体を前記水中ポンプの吸入口に導入る導入部が前
記側壁の他端に接続した筒状フィルタと、前記吸入部の
内部に配されると共に、前記吸入部の内周面に接近した
位置で前記吸入部から流入した流体に抗する複数個のブ
ルードを保持し前記内周面に沿って回転させる回転体
と、この回転体の回転手段とを備え、前記複数個のブレ
ードは、前記回転体の回転の向きに末広がりの楔形状の
間隙部を前記吸入部の内周面と共に形成して前記回転体
に保持されている自浄フィルタ付水中ポンプを技術的手
段として採用する。

［作用および発明の効果］ 本発明は自浄フィルタ付水中ポンプが吸い込もうとする
流体中に設置され、水中ポンプが起動する。流体は水中
ポンプの吸引力によって吸入部の濾材の網目を通過して
濾過され、筒状フィルタ内に全周方向から流入する。一
方、回転手段の駆動によって回転体が回転する。これに
より濾過された流体の一部が、回転体に保持されている
ブレードと吸入部の内周面との間の楔形状の間隙部に流
入する。そして各ブレードは間隙部に流入した濾過され
た流体に圧迫力ないしは遠心作用力を及ぼす。このため
間隙部に流入した濾過された流体は濾材の網目を通過し
て再び筒状フィルタの外へ押し戻される。その際、水中
ポンプの吸引力によって網目に引っ掛っていた異物が、
押し戻される濾過された流体の圧力によって脱落する。

このように本発明の自浄フィルタ付水中ポンプは、異物
の混合した流体の濾過作業を連続して行いつつ濾材の網
目に沈積しようとする異物を周期的に外部へ脱落させる
ことができる。

従って従来のフィルタ装置を使用した液体の濾過作業に
は必然的に伴わざるを得なった、労力と時間の浪費を多
く行うフィルタ洗浄作業あるいはフィルタ交換作業の必
要回数を著しく少なくすることができる。

［実施例］ 以下に付図に示す実施例に基づいて本発明の構成を具体
的に説明する。

第１図は本発明の一実施例としての水中ポンプの側断面
図、第２図は第１図の（イ）−（イ）断面図であって、
Ａは水中ポンプ、Ｂは筒状フィルタである。 1はターボ
型ポンプのインペラ、1aはインペラの回転軸であって中
空筒状をなしており、ポンプＡの吸入口を兼ねている。
2はポンプＡの駆動用モータ、 3はモータ 2の出力軸で
あり中空筒状をなして、ポンプＡの吸入口とフィルタＢ
の吐出口との連通手段の一部を構成しており、インペラ
回転軸1aはモータ 2の出力軸 3に嵌着されている。 4は
ポンプケーシング、4aはポンプＡの吐出口、 5は吐出口
4aと濾過済み流体の貯槽を結ぶ配管である。

10は筒状フィルタのケーシングであって閉鎖された内空
部を有する偏平な円筒体をなしている。10a はケーシン
グ10の周壁面に一定間隔を隔てて穿たれた縦長のスリッ
ト状通液孔、11は通液孔10a に張設された濾材であっ
て、適宜のメッシュ数の金網や濾布などの帯状材からな
りケーシング10を包囲している。12はケーシング10内の
頂壁面に接して回転する回転体、12a は回転体１２の回
転軸嵌着用孔、14は回転体12の周縁部に一定間隔を隔て
て下向きに取付けられたブレード群であって、巾方向に
円弧形状を有する縦長の帯状板からなり、回転体12と同
様に金属や硬質合成樹脂などで作られている。15はブレ
ード14の植設用ボルトである。この実施例ではブレード
14の下端部は自由端をなしているが、ケーシング10内の
底面側に別の回転体を設けてこの回転体に固定させるよ
うにしてもよい。

17は回転体12の回動用モータ、18はモータ17の出力軸で
あって中空筒状をなしており、筒状フィルタＢの液出口
と水中ポンプＡの吸入口との連通手段の一部をなしてい
る。そしてポンプ用のモータ 2とフィルタ用のモータ17
の出力軸 3と18は同軸上に連接されて両者の内空部は筒
状フィルタＢの液出口とポンプＡの吸入口の連通路をな
している。16は回転体12をモータ17の出力軸18に嵌合固
定させるためのナット、19と20はモータ2 と17のそれぞ
れの取付け用ボルト、10b はポンプケーシング 4と筒状
フィルタＢとを連結させるためのケーシング10の周壁を
上方に延長させた部分、22は連結用ボルト、23はケーシ
ング10の延長部分10b の内部空隙を埋める充填材、24と
25はそれぞれモータ 2と17への給電線である。

第３図は本発明による水中ポンプの使用状況を例示した
見取図であって、30は被濾過液体31が満たされた濾過
槽、32は濾過済み流体の貯槽、33と34はそれぞれポンプ
用モータ 2とフィルタ用モータ17の作動制御箱である。

次に上記実施例装置の作動について説明する。水中ポン
プを第３図に例示されたように設置し、ポンプＡの吐出
口部に取付けたこの図では省かれている吐出バルブを絞
り込んだ状態のもとにポンプＡの駆動用モータ 2を起動
させると同時に、筒状フィルタＢの回転体12の駆動用無
段変速モータ17を低速でスタートさせる。ケーシング10
内が濾過液で満たされておらず、また濾材11の網目が極
めて細かい場合にはあらかじめケーシング10内に濾過液
を満たしておく、 濾材11による被濾過液中の混入異物の除去能力は、濾材
11の網目に混入異物がある程度沈着して網目が狭められ
ることによって向上されるので、幾分かの異物沈着はむ
しろ好ましい。装置の起動御モータ17の制御装置を操作
して回転体12を第２図に矢印（ロ）で示された方向に向
けて次第に回転数を高めて行くと、回転体12の周縁部に
は筒状フィルタのケーシング10の内周面に近接させるよ
うにして、且つこの内周面に漸近するような取付け角度
をもってブレード14が植設されているので、ポンプＡの
吸引力によってケーシング10内に吸入された濾過液のう
ち、このブレード14とケーシング10の内壁面との間に形
成されたクサビ状空隙内に存在する濾過液は、矢印
（ハ）で示された如くこのクサビ状空隙に押し込まれる
ような作用力を受けることによって液圧が上昇し、遂に
は矢印b で描かれているように濾材11の網目からケーシ
ング10の外側に向けて押し出されるに至る。そしてこの
時網目に詰っていた異物もまた網目から押し出されて脱
落し、いわばフィルタの自浄作用が営まれることにな
る。回転体12の回転数が更に上昇すれば、ブレード14の
表面に生ずる遠心作用力が上記の流体の押圧作用力に付
加されることとなって自浄作用力は一段と増強される。

ところで前述の如く濾材11の表面への異物の幾分かの沈
積を許容して異物の除去能力を高めることは望ましい
が、一方では濾過作業の効率化という要求もあるので濾
過済み液体中の異物残存量をチェックしながら、回転体
12の回転数を調節し、同時に吐出バルブの開度も変化さ
せて筒状フィルタＢのケーシング10内に吸入される濾過
液量とポンプＡからの吐出量とのバランスを計る。濾過
システムの最適制御条件が決定された後は、同一の濾過
操業を反復する限り以後はこの設定条件下に操業すれば
よい。

濾過槽30内の被濾過液31には濾材11の表面に一旦吸着さ
れようとして前述の如く脱落させられた異物が次第に蓄
積されて来るので、一定期間毎に別の一時貯溜タンクに
移し替えたうえで沈降法や濾過法等によって異物を分別
させるか、または濾過槽30の休止時を利用してこの槽内
で蓄積異物の除去作業を行うようにしてもよい。もっと
も濾過槽30の容積が極めて大きい、例えば池とか河川な
どであれば、そのような配慮は全く不要である。

次に上記実施例に示された構成を備えたテスト装置を使
って、回転体12を回転させた場合と回転させなかった場
合の装置の濾過能力（吐出量）の経時変化を比較したい
くつかの実験の結果を各実験条件の一覧表としての表１
と、これらの各々の実験について求めたポンプ吐出量対
運転時間の相関グラフとしての第４図ないし第７図を参
照しながら説明する。各グラフには同一条件のもとで５
回繰返して行われた実験の測定値をプロットし、このプ
ロットの分布域を帯状斜線領域として（イ）〜（ト）の
如く表示した。

表１のNo.1の実験結果を図示した第４図において、回転
体12を回転させなかった場合には、帯状グラフ（ロ）に
みられるように、装置の作動直後から吐出量は減少の一
途をたどり、約 4分後に半減し、 8分後には1/10程度に
低落しているのに対して回転体12を200rpmで回転させた
場合にはグラフ（イ）に描かれているように10分経過後
においても目立った吐出量の低下はみられず本発明装置
の濾過性能の卓抜さが明確に組み取れる。

第２および第３の実験は第１の実験に混入異物として使
われた鉄粉に比べてはるかに濾材11に目詰りを生じさせ
やすい紙パルプを用いたので、回転体12の自浄作用の効
果は第５図と第６図にそれぞれ明らかなように回転体12
を回転させた場合と回転させない場合のグラフ（ハ）と
（ニ）および（ホ）と（ヘ）とでは極端なまでに下降曲
線の傾度が相異している。

第４の実験は回転体12の回転数と吐出量以外は第３の実
験と同一のテスト条件に保たせて回転数と濾過性能の相
関性を求めるべく行ったものである。そのテスト結果を
まとめた第７図にみられるように回転体12の回転数が80
0rpm時には10分経過後にもグラフＡに見られるように目
立った濾過能力の低下は認められず、400rpm時のグラフ
ＢもグラフＡに較べてさして相異がなく、100rpm時のグ
ラフＤに至って始めて 5分経過後に濾過性能は運転開始
時の80％内外にまで低下するもの以後はほぼこの能力水
準に維持されており、回転休止時のグラフ（ト）とは比
ぶべくもないことが示されている。勿論回転体12の最適
回転数は濾過条件の相異するごとに変動するが、いくつ
かの実験結果を総合的に勘案すれば、 200〜400rpmの範
囲においてすこぶる優秀な濾材の自浄効果を生ずるもの
と解される。勿論それ以上に回転数を上げれば更に幾分
かの性能向上が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例としての水中ポンプの側断面
図、第２図は第１図の（イ）−（イ）断面図、第３図は
第１図に示さた水中ポンプの使用状況の一例を説明した
見取図であり、第４図ないし第７図は本発明による水中
ポンプと従来のそれとの濾過能力の優劣の比較データグ
ラフである。 図中、Ａ……水中ポンプ、Ｂ……筒状フィルタ、 1……
ポンプインペラ、 2……ポンプ用モータ、 3、18……ポ
ンプとフィルタの連通手段部分、10……筒状フィルタの
ケーシング、10a ……通液孔、11……濾材、12……回転
体、14……ブレード、17……回転体駆動モータ

フロントページの続き (72)発明者 石黒 修一 愛知県宝飯郡御津町大字御馬字梅田１番地 36 (56)参考文献 実開 昭60−39800（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水中ポンプと、 筒状の側壁の一端が遮蔽部材で塞がれて前記側壁の一端
   には、周方向に濾材が取付けられると共に吸い込もうと
   する流体が全周方向から前記濾材により濾過されて流入
   する吸入部が設けられ、流入した流体を前記水中ポンプ
   の吸入口に導入する導入部が前記側壁の他端に接続した
   筒状フィルタと、 前記吸入部の内部に配されると共に、前記吸入部の内周
   面に接近した位置で前記吸入部から流入した流体に抗す
   る複数個のブレードを保持し前記内周面に沿って回転さ
   せる回転体と、 この回転体の回転手段と を備え、 前記複数個のブレードは、前記回転体の回転の向きに末
   広がりの楔形状の間隙部を前記吸入部の内周面と共に形
   成して前記回転体に保持されていることを特徴とする自
   浄フィルタ付水中ポンプ。