JPH0652049B2 - 加減弁ウオ−ミング制御方法および装置 - Google Patents

加減弁ウオ−ミング制御方法および装置

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JPH0652049B2
JPH0652049B2 JP60117044A JP11704485A JPH0652049B2 JP H0652049 B2 JPH0652049 B2 JP H0652049B2 JP 60117044 A JP60117044 A JP 60117044A JP 11704485 A JP11704485 A JP 11704485A JP H0652049 B2 JPH0652049 B2 JP H0652049B2
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warming
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housing
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直泰 寺尾
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、原子力発電プラントにおいて、主タービンへ
の主蒸気流量を調節する加減弁を、原子炉昇圧時、特に
原子炉昇圧過程からタービン起動の直前までの間にウォ
ーミングする加減弁ウォーミング制御方法および装置に
関する。
〔発明の技術的背景とその問題点〕
一般に、原子力発電プラントにおいて、安全性や操作性
等を向上させるために、プロセス計算機システムを使用
したプラント自動制御システムによってプラント全体を
関連動作させている。
このプラント自動制御システムによるプラントの自動制
御範囲は、原子炉起動時から、途中のタービン起動、併
入、給水ポンプ切替、出力上昇のプラント起動、プラン
ト一定運転、出力下降、給水ポンプ切替、解列、原子炉
停止のプラント停止に至るまで全般にわたっている。
このうち従来は、第5図から第8図に示す装置等によ
り、加減弁の原子炉昇圧過程からタービン起動の直前ま
での間に亘って加減弁のウォーミング制御を行なってい
る。
第5図は加減弁ウォーミングに関与する部分のプラント
の系統を示している。
同図において、原子炉圧力容器1内で核加熱によって発
生した蒸気は、主蒸気ライン2を通って主タービン3へ
送給されて、主タービン3の回転に供される。この主蒸
気ライン2には上流側から順に主蒸気隔離弁4、加減弁
ウォーミング弁5および加減弁6を設けて、主タービン
3への主蒸気流入量の調整を行なっている。また、主タ
ービン3の回転に供された蒸気は、復水器7において冷
却され復水せしめられる。また、加減弁ウォーミング弁
5および加減弁6のそれぞれの上流側から、ドレンを復
水機7へ導びくドレンライン8,9が設けられており、
各ドレンライン8,9には加減弁ウォーミング弁シート
前ドレン弁8aと加減弁シート前ドレン弁9aが設けら
れている。
第6図は加減弁6をウォーミングする場合に関連動作す
る部分のみを誇張して表わしている。すなわち、このウ
ォーミング時には加減弁は全閉であり、加減弁シート前
ドレン弁9aは全開であり、主蒸気隔離弁4は全開であ
る。
第6図中、符号6aは加減弁6の蒸気室である。原子炉
圧力容器1からの主蒸気は、主蒸気ライン2を通り加減
弁ウォーミング弁5によって流量を制御されて、蒸気室
6aに流入し、加減弁6が全閉のため唯一の流出路であ
るドレンライン9を通って復水器7へ流出する。
実際に加減弁6をウォーミングする場合には、加減弁ウ
ォーミング弁5の弁開度を制御していて、蒸気室6a内
への主蒸気流入量を調節して、蒸気室6aを形成する筺
体6bを所定昇温速度で所定温度まで昇温させている。
そして、蒸気室6aの筺体6bの昇温に供された主蒸気
は、真空ポンプ10によって室内圧力を常に約40mmH
gabs前後に保持されている復水器7内へ吸引されて行
く。
このウォーミングを良好に行なうために、各部の所定量
を監視計測する計装品として、原子炉圧力容器1内の圧
力を計測する原子炉圧力センサ11、主蒸気ライン2内
における主蒸気の温度を計測する主蒸気温度センサ1
2、加減弁6の蒸気室6a内の圧力を計測する加減弁蒸
気室圧力センサ13、蒸気室6aの筺体6b自身のメタ
ル温度を内外から計測する加減弁蒸気室外面メタル温度
センサ14と加減弁蒸気室内面メタル温度センサ15を
設けている。
ところが、運転員が手動により加減弁6のウォーミング
を行なう場合には、運転員の経験を基にして加減弁蒸気
室内面メタル温度センサ15が表示する筺体6bの内面
温度を15分おき位に監視しながら、適度に加減弁ウォ
ーミング弁5を開閉操作する必要があり、運転員に非常
に大きな負担がかかるものであった。
そこで、従来は第7図および第8図に示すように、更に
プロセス計算機を用いた自動制御システムによって加減
弁6のウォーミングを行なうようにしている。
すなわち、第7図に示すように、加減弁蒸気室内面メタ
ル温度センサ15から蒸気室6aの筺体6b自身の内面
温度を信号Sとして常にプロセス計算機16へ入力さ
せ、制御プログラム17に応じて所定の加減弁ウォーミ
ング弁5の駆動量を求めて信号Sとして加減弁ウォー
ミング弁開度設定器18から開度信号Sを出力させて加
減弁ウォーミング弁5を開閉駆動させている。
この制御プログラム17は、第8図に示すフローチャー
トによって加減弁ウォーミング弁5の駆動量を決定して
いる。すなわち、加減弁蒸気室内面メタル温度センサ1
5から送られて来る信号Sから、蒸気室6aの筺体6
b自身の内面温度の変化率を最小2乗法等の方式によっ
て算出し、その変化率が80℃/H以上であるならば閉
駆動(−α%)の信号Sを発生させ、60℃/H以下
であるならば開駆動(−α%)の信号Sを発生させ、
60℃/H以上80℃/H以下ならば現状維持の駆動量
(0%)の信号Sを発生させる。
ところが、この従来方式によって加減弁6のウォーミン
グを自動制御する場合には、次の2つの問題点がある。
第1図は蒸気室6aの筺体6b自身の内面温度の変化率
の計算値にバラ付きが生じてしまう点がある。
この筺体6b自身の内面温度の変化率のサンプリング
は、プロセス計算機16のメモリ容量および加減弁蒸気
室内面メタル温度センサ15のノイズを考慮すると、1
5秒間隔で過去6ポイント位が現状の限界である。とこ
ろが、温度センサとなる熱電対の特性から、信号S
ゆらぎ等の誤差が生じてしまい、変化率妥当な範囲で調
整するのが非常に困難となり、変化率がバラ付いてしま
うものであった。
第2は原子炉圧力容器1内の圧力の状態によって蒸気室
6aの筺体6b自身の内面温度の上昇率すなわち変化率
が極端に異なって来るので、この内面温度の変化率のみ
に応じて加減弁ウォーミング弁5を開閉制御しても、適
正なウォーミングを行なうことができない可能性があ
る。
通常の原子炉昇圧過程における加減弁6のウォーミング
の時間的経緯を第9図に示す。原子炉は脱気状態で制御
棒を操作することにより核加熱し、蒸気が発生するが、
その蒸気は飽和状態となっており、炉圧の上昇と炉水温
度の上昇は、ほぼ同じ傾向を示す。従って、通常の昇圧
過程においては、主蒸気温度tは炉圧の上昇に伴って
ゆるやかに上昇する。この主蒸気温度tの上昇率は沸
騰水型原子炉の場合最高55℃/Hに制限されている。
通常の加減弁ウオーミング操作は、加減弁ウオーミング
弁5を少しずつ開放することにより行なわれる。その操
作範囲は現状炉圧7kg/cm2、主蒸気温度160℃ぐら
いから開始される。この場合、蒸気室6aの筺体6b自
身の内面温度tは、主蒸気温度の上昇率が30℃/H
前後のため、急激には変化せず、ゆるやかに上昇する。
また、筺体6b自身の外面温度tもほぼ同様な上昇率
である。そして、加減弁ウォーミング弁5の弁開度0は
+α%ずつ開駆動され、蒸気室6a内の圧力Pもゆるや
かに上昇する。
しかしながら、原子力プラントにおける加減弁6のウォ
ーミングは、前記の通常パターンだけではなく、原子炉
圧力が定格圧力となってからウォーミング操作を開始す
る場合や、原子炉が定格圧力となってから一度未臨界の
状態として原子炉格納容器内を点検した後にウォーミン
グ操作を開始する場合がある。これらの場合にはウォー
ミングを開始する炉圧の条件が通常パターンの場合と異
なるため、蒸気室6aの筺体6bの内面温度tが激し
く上下してしまう。
原子炉が定格圧力の場合の加減弁6のウォーミングの時
間時経緯を示す第10図により更に説明する。原子炉が
定格圧力の場合、主蒸気温度も280℃前後で一定であ
る。加減弁ウォーミング弁5の開度0が40%の開き始
め開度を越してから、この加減弁ウォーミング弁5を+
α%の開駆動すると、蒸気室6a内の圧力Pは炉圧が6
5kg/cm2のため、急激に、例えば10kg/cm2前後も上
昇してしまう。この時筺体6bの内面温度tは1〜2
分の時間遅れ上昇し、20℃以上一気に上昇してしまい
変化率としては、80℃/Hを軽く越えてしまう。この
変化率を計測し直ちに加減弁ウォーミング弁5を−α%
の閉駆動すると、蒸気室6a内の圧力Pは10kg/cm2
〜20kg/cm2前後急激に下降し、同時に筺体6bの内
面温度tも変化率が60℃/Hを下まわるという現象
が生じる。従って筺体6bの内面温度tは無制御状態
のハンチング現象を繰り返し非常に不安定となってしま
う。
一方、筺体6bの内面温度tの変化率のサンプリング
間隔を短くすることも考えられるが、逆に内面温度t
の定常ゆらぎやノイズを微分してしまうので採用するこ
とはできない。
従って、第7図および第8図に示した従来の方式ではあ
らゆる炉圧の状況に良好に適応することができず、ま
た、蒸気室6aの筺体6bの内面温度の上昇率を安定し
て制御することができなかった。
〔発明の目的〕
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、
原子力プラントにおいて原子炉の炉圧のいかなる状態に
おいても加減弁のウォーミング制御を安定して行なうこ
とのできる加減弁ウォーミング制御方法および装置を提
供することを目的とする。
〔発明の概要〕
本発明の第一の発明である加減弁ウォーミング制御方法
は、原子炉で発生した主蒸気の流量を制御する加減弁ウ
ォーミング弁の弁開度を調節して、加減弁の蒸気室の筺
体を所定の温度上昇速度によって昇温させる加減弁ウォ
ーミング制御方法において、 前記蒸気室に送給される主蒸気の温度と筺体の内面温度
とを計測してその温度差を算出し、この温度差を所定値
と比較し、 主蒸気の温度が筺体の内面温度より高すぎる場合には、
その内面温度から算出した蒸気室の目標圧力とフィード
バック入力される蒸気室の実圧力とを比較して、その圧
力差が許容範囲内になるように前記加減弁ウォーミング
弁を開閉させ、 前記主蒸気の温度が筺体の内面温度より低すぎる場合に
は、加減弁ウォーミング弁を全閉とさせ、 前記主蒸気の温度と筺体の内面温度との差が所定範囲内
にある場合には、加減弁ウォーミング弁を全開とさせる
こと を特徴とする。
本発明の第二の発明である加減弁ウォーミング制御装置
は、 原子炉で発生した主蒸気が流入される蒸気室を有する加
減弁と、弁開度を調節して前記蒸気室内へ流入する主蒸
気量を制御することによりその蒸気室の筺体を所定の温
度上昇速度によって昇温せしめる加減弁ウォーミング弁
を有する加減弁ウォーミング制御装置において、 前記蒸気室の圧力を計測する加減弁蒸気室圧力センサ
と、前記筺体の内面温度を計測する加減弁蒸気室内面メ
タル温度センサと、蒸気室へ流入する主蒸気の温度を計
測する主蒸気温度センサとを設け、 これらの蒸気室圧力、筺体の内面温度および主蒸気温度
の関係に応じて前記加減弁ウォーミング弁を開閉制御す
るプロセス計算機であって、主蒸気温度と筺体の内面温
度により算出した温度差と所定値とを比較し、主蒸気の
温度が筺体の内面温度より高すぎる場合には、その内面
温度から算出した蒸気室の目標圧力とフィードバック入
力される蒸気室の実圧力と比較して、その圧力差が許容
範囲内になるように前記加減弁ウォーミング弁を開閉さ
せ、前記主蒸気の温度が筺体の内面温度より低すぎる場
合には加減弁ウォーミング弁を弁閉とさせ、前記主蒸気
の温度と筺体の内面温度との差が所定範囲内にある場合
には加減弁ウォーミング弁を全開とさせるプロセス計算
機を設けて 形成したことを特徴とする。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例を第1図から第4図について説明
する。
第1図は本発明の第二の発明である加減弁ウオーミング
制御装置の一実施例を示し、従来と同一部分には同一符
号を付してある。
第2図は本発明の第一の発明である加減弁ウォーミング
制御方法に沿って加減弁ウォーミング弁5の駆動量を決
定して出力する制御プログラムを示し、従来と同一部分
には同一符号を付してある。
本発明装置は、第1図に示すように、プロセス計算機2
0内に本発明方法によって加減弁ウォーミング弁5の駆
動量を決定して加減弁ウォーミング弁開度設定器18へ
出力する制御プログラム21を設けて形成したものであ
る。そして、制御プログラム21によって駆動量を演算
し、決定するファクタとして、加減弁蒸気室内面メタル
温度センサ15からの蒸気室6aの筺体6b自身の内面
温度信号Sだけでなく、その他に主蒸気温度センサ1
2からの主蒸気温度信号S、加減弁蒸気室圧力センサ
13からの蒸気室6a内の圧力信号Sおよび加減弁蒸
気室外面メタル温度センサ14からの筺体6b自身の外
面温度信号Sをも制御プログラム21へ入力するよう
に形成している。更に、本発明においては、蒸気室6a
の圧力信号Sを主たる制御対象とし、内面温度信号S
を補助的に用い、また、主蒸気温度信号Sおよび外
面温度信号S等をも監視するように形成してているこ
とを特徴とする。
次に、本発明装置の作用を本発明方法と共にその内容を
示す第2図の制御プログラム21によって説明する。
先ず、ステップST1において、加減弁蒸気室内面メタ
ル温度センサ15から送られて来る蒸気室6aの筺体6
bの内面温度信号Sを5分毎にサンプリングすると同
時に、主蒸気温度センサ12から送られてくる主蒸気温
度信号Sから内面温度信号Sを減算して温度差ΔT
を算出する。
次に、ステップST2において温度差ΔTの判定を行
なう。すなわち、温度差ΔTが、加減弁6のウォーミ
ング完了を示す下限温度差−εと上限温度差εとの
間にあるか否かを次のように判定する。このε,−ε
の値は予め設定しておく。
この温度差ΔTが−ε℃以下の場合、すなわち主蒸
気温度が筺体6bの内面温度より低くなった場合には、
ステップST7にて加減弁ウォーミング弁5を急閉駆動
し全閉とさせ、筺体6bの内面温度を低下させないよう
に保持する。このような場合としては、原子炉定格圧力
の後に原子炉格納容器内点検を行なうために未臨界操作
を行なう場合がある。
また、温度差ΔTが、−ε<ΔT<εの範囲で
あるならば、加減弁6のウォーミングが完了したので、
ステップST7にて加減弁ウォーミング弁5を急開駆動
して全開とさせ、その後の加減弁6の開放を待つ。
また、温度差ΔTがε以上の温度には筺体6bの内
面温度が主蒸気温度より低いので、加減弁ウォーミング
弁5をステップST3からST7に示すように開閉制御
し、筺体6bの内面温度を60℃/Hの昇温速度で上昇
させる。
すなわち、ステップST3において筺体6bの内面温度
に5℃を加算した値を算出する。この算出の温度は、5
分後の筺体6bの目標内面温度である。
次に、ステップST4において、ステップST3で算出
した目標温度をプロセス計算機20のメモリ部に記憶し
ている蒸気表に照合して圧力に換算し、5分後の蒸気室
6a内の圧力の目標値とする。
次に、ステップST5において、算出した目標圧力から
加減弁蒸気室圧力センサ13より入力した圧力信号S
によって示される蒸気室6a内の実際の実圧力を減差し
て、圧力差ΔPを計算する。この圧力差ΔPは5秒毎に
計算する。
次に、ステップST6において圧力差ΔPの判定を行な
う。すなわち、5分後の目標圧力に対する圧力差ΔPの
大きさが、加減弁ウォーミング弁5の開閉を必要とする
か否かを、正負の限界値±εと比較して判定する。ε
は実圧力が目標圧力より高くてもよい上限を示し、−
εは実圧力が目標圧力より低くてもより下限をしてお
り、これらの限界値±εは予め設定しておく。
この圧力差ΔPがεより大きい場合には、蒸気室6a
内の実圧力が目標圧力より高すぎるので、ステップST
7にて加減弁ウォーミング弁5を微少量の−α%だけ閉
駆動させる。
また、圧力差ΔPが−εより小さい場合には、蒸気室
6a内の実圧力が目標圧力より低すぎるので、ステップ
ST7にて加減弁ウォーミング弁5を微少量のα%だけ
開駆動させる。
また、圧力差ΔPが−ε≦ΔP≦εの場合には、蒸
気室6a内の実圧力が目標圧力と対比して許容範囲内に
あるので、ステップスST7にて加減弁ウォーミング弁
5の駆動量を0%として現状の弁開度を維持させる。
次に、ステップST8において、駆動出力を出力する前
に加減弁蒸気室外面メタル温度センサ14からの外面温
度信号Sと加減弁蒸気室内面メタル温度センサ15か
らの内面温度信号Sとの偏差温度ΔTの計算を行な
う。
次に、ステップST9において、算出した偏差温度ΔT
が許容範囲εより大きい場合には制御を停止し警報
を発生させる。一方、偏差温度ΔTが許容範囲ε
り小さい場合にはステップST7で決定された駆動量を
信号Sとして加減弁ウォーミング弁開度設定器18へ
出力する。これにより、加減弁ウォーミング弁開度設定
器18が信号Sに応じて加減弁ウォーミング弁5を開
閉制御し、所定量の主蒸気が加減弁6の蒸気室6a内に
送給され、ウォーミングされる。
次に、第3図により本実施例による加減弁ウォーミング
時における諸量の時間経緯を説明する。
同図は最もきびしい状態といえる原子炉定格圧力一定運
転中の加減弁6のウォーミングを示したものであり、主
蒸気温度tは280℃付近で一定である。加減弁6の
蒸気室6aの筺体6bの内面温度tから算出した目標
圧力Pは5分毎に更新される。その目標圧力Pにな
るように、加減弁ウォーミング弁5の開度0を5秒毎等
で調節し、前記蒸気室6aの蒸気室圧力Pをコントロー
ルする。蒸気は飽和しているため、温度上昇はほぼ蒸気
室圧力Pの傾向と同様となり、蒸気室6aの筺体6bの
内面温度tを安定して60℃/Hの温度上昇速度で上
昇させることができる。この場合、圧力で制御するため
温度上昇の時間遅れは、関係なくなることになる。
次に、第4図により加減弁ウォーミング弁5の急閉、急
開時における諸量の時間経緯を説明する。
炉圧の上昇に伴いながら加減弁6のウォーミングを行な
い、主蒸気温度tがある程度上昇したところで、主蒸
気温度tと蒸気室6aの筺体6bの内面温度t
が、近ずいた場合、加減弁ウォーミング弁5の弁開度0
は全開となる。同時にプロセス計算機20の制御プログ
ラム21によるプログラム処理も停止するので計算機2
0の負荷は下がる。その後、原子炉格納容器内点検で未
臨界操作を行なうために主蒸気温度tが下降して、筺
体6bの内面温度tとの温度差ΔTがΔT<−ε
となると加減弁ウォーミング弁5を全閉となる。これ
により加減弁6の筺体6bのメタル温度を下げないよう
に保護する。その後点検作業が完了し再びウォーミング
制御を開始することになる。尚、40%まで加減弁ウォ
ーミング弁5を一気に開動作するのは同弁5に遊びがあ
るためで、実際は40%から蒸気が加減弁6の蒸気室6
aに入るようになっている。
このように本実施例によって行なう加減弁6のウォーミ
ング制御は、加減弁ウォーミング弁5の微小な開閉操作
にほぼ時間遅れなくして追従する加減弁6の蒸気室6a
内に圧力をメインフィードバック量として用いており、
このフィードバックによる演算ループを5秒周期等のダ
イレクト・デジタル制御方式(DDC方式)で制御する
ことによって、加減弁6の蒸気室6a内圧力の急激な上
昇を防止することができる。
また、蒸気室6bの筺体6bの内外面における温度の偏
差温度ΔTが非常に大きくなり、加減弁6のメタルの
保護ができなくなるような範囲では、ウォーミング制御
を停止しアラームを出力するので、運転員に異常を通知
することができ、信頼性を一層向上させることができ
る。
また、加減弁ウォーミング弁5を急開、急閉することが
できる。これにより原子力特有の原子炉格納容器内点検
時の降圧過程等において、供給される主蒸気の温度が蒸
気室6aの筺体6bの内面温度より下がった場合、同弁
5を急閉して筺体6b自身のメタル温度を下げないよう
に保護することができる。また、主蒸気温度と筺体6b
の内面温度が近づいた場合に、ウォーミング完了という
ことで同弁5を急開して無駄なDDC制御処理を停止
し、計算機の負荷を下げることができる。
このように本実施例によれば、原子炉の炉圧がいかなる
状態にあっても、加減弁の蒸気室の筺体自身の温度お安
定的に上昇させることができ、かつ安全で適確なウォー
ミング制御を行なうことができる。
なお、本実施例によるウォーミング制御は、タービンの
羽根をウォーミングするシェルとウォーミング制御にも
応用できる。
〔発明の効果〕
このように本発明は、原子炉の炉圧がいかなる状態にお
いても加減弁のウォーミングを安定して行なうことがで
きる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の加減弁ウォーミング制御装置の一実施
例を示すブロック図、第2図は本発明の加減弁ウォーミ
ング制御方法を行なわせる制御プログラムのフローチャ
ート図、第3図は本発明方法による場合の諸量の時間的
経緯特性図、第4図は加減弁ウォーミング弁の急閉、急
開時の第3図同様の図、第5図は加減弁ウォーミングに
関与するプラントの系統図、第6図は加減弁ウォーミン
グ時に関連動作する部分のみを誇張した図、第7図は従
来の第1図同様の図、第8図は従来の第2図同様の図、
第9図は通常の原子炉昇圧過程における従来方法による
諸量の時間的経緯特性図、第10図は原子炉が定格圧力
の場合第9図同様の図である。 5……加減弁ウォーミング弁、6……加減弁、6a……
蒸気室、6b……筺体、12……主蒸気温度センサ、1
3……加減弁蒸気室圧力センサ、15……加減弁蒸気室
内面メタル温度センサ、20……プロセス計算機、t
……主蒸気温度、t……筺体の内面温度、P……目
的圧力、P……蒸気室内の圧力。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子炉で発生した主蒸気の流量を制御する
    加減弁ウォーミング弁の弁開度を調節して、加減弁の蒸
    気室の筺体を所定の温度上昇速度によって昇温させる加
    減弁ウォーミング制御方法において、 前記蒸気室に送給される主蒸気の温度と筺体の内面温度
    とを計測してその温度差を算出し、この温度差を所定値
    と比較し、 主蒸気の温度が筺体の内面温度より高すぎる場合には、
    その内面温度から算出した蒸気室の目標圧力とフィード
    バック入力される蒸気室の実圧力とを比較して、その圧
    力差が許容範囲内になるように前記加減弁ウォーミング
    弁を開閉させ、 前記主蒸気の温度が筺体の内面温度より低すぎる場合に
    は、加減弁ウォーミング弁を全閉とさせ、 前記主蒸気の温度と筺体の内面温度との差が所定範囲内
    にある場合には、加減弁ウォーミング弁を全開とさせる
    こと を特徴とする加減弁ウォーミング制御方法。
  2. 【請求項2】原子炉で発生した主蒸気が流入される蒸気
    室を有する加減弁と、弁開度を調節して前記蒸気室内へ
    流入する主蒸気量を制御することによりその蒸気室の筺
    体を所定の温度上昇速度によって昇温せしめ加減弁ウォ
    ーミング弁を有する加減弁ウォーミング制御装置におい
    て、 前記蒸気室の圧力を計測する加減弁蒸気室圧力センサ
    と、前記筺体の内面温度を計測する加減弁蒸気室内面メ
    タル温度センサと、蒸気室へ流入する主蒸気の温度を計
    測する主蒸気温度センサとを設け、 これらの蒸気室圧力、筺体の内面温度および主蒸気温度
    の関係に応じて前記加減弁ウォーミング弁を開閉制御す
    るプロセス計算機であって、主蒸気温度と筺体の内面温
    度により算出した温度差と所定値とを比較し、主蒸気の
    温度が筺体の内面温度より高すぎる場合には、その内面
    温度から算出した蒸気室の目標圧力とフィードバック入
    力される蒸気室の実圧力とを比較して、その圧力差が許
    容範囲内になるように前記加減弁ウォーミング弁を開閉
    させ、前記主蒸気の温度が筺体の内面温度より低すぎる
    場合には加減弁ウォーミング弁を全閉とさせ、前記主蒸
    気の温度と筺体の内面温度との差が所定範囲内にある場
    合には加減弁ウォーミング弁を全開とさせるプロセス計
    算機を設けたこと、 を特徴とする加減弁ウォーミング制御装置。
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