JPH0651902B2 - 二酸化マンガン電解精錬用アノード材の製造方法 - Google Patents

二酸化マンガン電解精錬用アノード材の製造方法

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JPH0651902B2
JPH0651902B2 JP33949889A JP33949889A JPH0651902B2 JP H0651902 B2 JPH0651902 B2 JP H0651902B2 JP 33949889 A JP33949889 A JP 33949889A JP 33949889 A JP33949889 A JP 33949889A JP H0651902 B2 JPH0651902 B2 JP H0651902B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、アノード用材料、特に電解二酸化マンガン
製造用アノード材料の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
電解二酸化マンガンは、主に乾電池の活物質として使用
されるが、この二酸化マンガンは一般には硫酸マンガン
0.5〜1.0mol/、遊離硫酸濃度0.2〜0.6m
ol/よりなる硫酸・硫酸マンガン水溶液の電解により
製造されている。
すなわち、上記水溶液を0.8A/dm前後の直流に
て電解することにより、陽極に二酸化マンガンを析出さ
せ、これがある程度蓄積した段階で剥離し二酸化マンガ
ンを採取する。
なお、その際陰極からは水素が発生する。
最近ではこのような電解二酸化マンガン製造用陽極材料
としてチタンが用いられている。これは、チタン電極が
耐食性・比強度・加工性に優れているためである。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、前記のチタン陽極は電流密度を高くする
と表面に不働態膜が成長し、浴電圧が上昇してしまい、
さらになお通電を継続すると遂には通電不能となるとい
う問題がある。そのために電流密度は0.8A/dm
前後に押さえておく必要があった。
このように電流密度は電解工業においては直接生産性に
結びつく問題であり、同じ電解槽であれば電流密度が高
い程大量生産が可能となり、また生産量一定とすれば電
流密度が高い程電解槽を小さくすることができ、電解槽
建設のための設備費を小さくすることがでるという利点
がある。
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、従来使
用されていたチタン陽極材に代わり、より多くの高電流
密度が流せることを特徴とするチタン合金の電解二酸化
マンガン製造用のアノード材料を安価に提供することを
目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記目的を達成するために、本発明者が鋭意努
力した結果以下の発明を完成するに到った。
つまり本発明はニッケル2重量%以上10重量%以下、
残チタン及び不可避的不純物からなるチタン合金を、β
領域の温度に加熱し加工を加えた後、さらにα+β領域
もしくはα領域の温度にて加工度を7%以上加えること
により優れた二酸化マンガン電解精錬用アノード材を得
ることを特徴とする製造方法であり、またニッケル2重
量%以上10重量%以下、白金族元素(金、白金、パラ
ジウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウム)の合計
濃度が10wt%以下、残チタン及び不可避的不純物か
らなるチタン合金を、β領域の温度に加熱し加工を加え
た後、さらにα+β領域もしくはα領域の温度にて加工
度を7%以上加えることにより優れた二酸化マンガン電
解精錬用アノード材を得ることを特徴とする製造方法で
ある。
本発明が、チタンにニッケルを添加するのは、チタン中
にTiNiの金属間化合物を形成させることを目的と
しているが、ニッケルをチタンに添加すると非常に加工
が行い難くなり、したがって二酸化マンガン電解精錬用
の電極まで加工するにはインゴットを熱間で加工する必
要が生じる。この際、加工を容易にするにはβ領域の温
度で熱間加工するのが良く、したがってβ領域の温度に
加熱し熱間加工する必要が生じる。
しかしながら、β領域では本発明のニッケル量はすべて
チタンに固溶しており目的とするTiNiは現われて
こない。そのため熱間加工の最終段階においては試料の
温度をα+β領域もしくはα領域の温度に低下させ、さ
らに加工度を7%以上加えることにより非常に微細で、
しかも均質に分散したTiNiの析出物が得られるこ
とが判り、本発明を完成するに到った。
すなわち、この試料を用い二酸化マンガンの電解試験を
実施したところ、純チタンを電極として用いた場合より
も、より多くの電流を流すことが可能となり、しかも浴
電圧も若干低くなった。
本発明においてニッケルの濃度範囲の下限を2重量%と
したのは、これより少ない量では必要とするTiNi
の量が確保できず、より高い電流密度を流すことが不可
能となるからあり、ニッケルの濃度範囲の上限を10重
量%としたのは、これより多くニッケルを添加するとβ
領域の温度域でも熱間加工が非常に難しくなり実質的に
二酸化マンガン電解精錬用の電極の製造が不可能となる
からである。
熱間加工の最終段階において試料の温度をα+β領域も
しくはα領域の温度に低下させるのは、この温度領域に
おいてTiNiの析出を起こさせるためであるが、た
だ単にこの温度領域に放置するだけでは適切なTi
iの析出を得ることはできない。適切なTiNiの析
出を得るためには、温度と共に歪を加える必要がある。
これにより均質でしかも微細なTiNiが得られ良好
な二酸化マンガン電解精錬用電極が得られる。
ただし、上記現象が起こるのは加工度が少なくても7%
必要であるため、本発明の加工度の下限を7%とした。
さらに、チタンにニッケルを添加すると同時に、白金族
元素を添加することにより、より多くの電流が流せると
共に耐食性が格段に向上し、腐食環境が非常に厳しい電
解溶液中でも腐食することなく使用できることが可能と
なり、本発明の第2項を完成するに到った。この際、白
金族元素の合計の濃度の上限を10wt%としたのは、
これより多く添加しても経済的負担に較べその効果が小
さいためである。
〔実施例〕
次に、本発明を具体的な実施例に基づき説明する。
実験は市販のスポンジチタンに純ニッケルを添加し、真
空アーク溶解にてインゴットを作製した後、950℃に
加熱し熱間鍛造を実施した後、本発明方法にしたがって
熱間圧延した試料と、そうでない試料を作製し、サンド
ブラスト処理した後比較試験を実施した。
評価試験方法としては、第1図に示すように、まず実操
業とほぼ同等な条件にて定電流電気分解で供試材表面に
二酸化マンガンを析出させ、そのときの浴電圧上昇を調
べることにより、どこまで高い電流密度が流せるかを評
価した。
判断基準として、100時間浴電圧が5V以下であれば
その電流密度で二酸化マンガンが問題なく製造できるも
のとみなした。
まず、チタンに5%Niを添加した供試材を種々の方法
で熱間圧延し、これを上記のような判断基準にしたがい
試験した。得られた結果を第1表に示す。この表から判
るように、現実の実操業において使用されている純チタ
ン材(No.1)は、実操業で流されている0.8A/d
よりやや高く電流密度を上げるとすぐに使用不可能
となることが判かる。
ニッケルを添加した試料の内、α+βもしくはα領域の
温度に加熱し熱間圧延を行なった試料は、いずれも加工
途中で割れが入り目標の板厚まで加工するのが不可能で
あった。これから、ニッケルを含むチタン合金は熱間圧
延時の加熱をβ領域まで高める必要があることが判る。
次に、熱間加工する際その温度をβ領域のみで行なう場
合と、最終部分の加工をα+βもしくはα領域の温度に
て実施した場合の違いを見ると、明らかにβ領域の温度
で熱間圧延を行った試料はそうでない試料に比べ、流せ
る電流密度が低くなっており、二酸化マンガン電解精錬
用の電極として好ましくないことが判かる。
これに対し、最終段階にてα+βもしくはα領域の温度
で熱間圧延した試料は、より多くの電流密度を流すこと
ができるが、その中でも加工度を7%以上とし、α+β
もしくはα領域で加工を加えた試料、特にα領域の温度
で7%以上の加工度を加えた試料が最も多くの電流密度
を流すことができることが判かる。
以上のことから、良好な二酸化マンガン電解精錬用電極
を作製するには、チタンにニッケルを添加すると共に、
電極を作成する過程において、目標の板厚近くまでは加
工性が良好なβ領域の温度にて熱間圧延を実施し、最終
加工度が7%以上になるようにα+βもしくはα領域熱
間加工すると、二酸化マンガン電解精錬用電極として非
常に優れた材料ができることが上記試験結果から判る。
次に、上記結果から得られた最善の熱間圧延方法を用い
ニッケルの濃度を種々変化させた供試材を作成し、第1
表と同様な方法で試験した。その結果第2表に示す。こ
の表から判かるように最善の熱間圧延方法を用いニッケ
ルの濃度が2%未満の場合、明らかにニッケル添加効果
がそれより多く添加した試料に比べ低下しており、これ
よりニッケルの濃度の限界を2%とする必要があること
が判かる。
ニッケル濃度を増すにしたがいより多くの電流密度を流
せることが明かであるが、10%を越えるとたとえβ領
域での熱間圧延と言えども非常に難しくなり実質的には
不可能となる。したがって、ニッケル濃度の上限を10
%とした。
次に、第3表にTi−3%Niに白金族元素を添加した
場合の耐食性の変化を調べた結果を示す。明らかに白金
族元素を添加する事により耐食性は向上しており、白金
族元素添加の効果を認めることができる。特にその効果
は白金族元素の添加量が増すと大きくなるが、10wt
%を越えるとあまり大きな変化がなくなってくるためそ
の上限を10wt%とした。
なお、本発明方法にしたがった電極を用い製造された二
酸化マンガンは品質的にも優秀であることは確認されて
いる。また、本発明方法にしたがった電極を用い二酸化
マンガンの電気分解を行う際、高い電流密度が流せると
いう長所と共に、従来の純チタンの電極と比べ同じ電流
密度であれば浴電圧がより低いという長所も有してい
る。
〔発明の効果〕
上記の本発明によれば、純チタンより格段に高い電流量
を流せるアノード材が得られ、しかも耐食性も高いアノ
ード用材料が得られる。さらに、非常に優れたアノード
電極特性を有するから、特に電解二酸化マンガン製造時
のアノード材として工業用途に好適に使用できる効果は
大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は電解二酸化マンガンの製造装置の説明図であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ニッケル2重量%以上10重量%以下、残
    チタン及び不可避的不純物からなるチタン合金を、β領
    域の温度に加熱し加工を加えた後、さらにα+β領域も
    しくはα領域の温度にて加工度を7%以上加えることに
    より優れた二酸化マンガン電解精錬用アノード材を得る
    ことを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】ニッケル2重量%以上10重量%以下、白
    金族元素(金、白金、パラジウム、ルテニウム、オスニ
    ウム、イリジウム)の合計濃度が10wt%以下、残チ
    タン及び不可避的不純物からなるチタン合金を、β領域
    の温度に加熱し加工を加えた後、さらにα+β領域もし
    くはα領域の温度にて加工度を7%以上加えることによ
    り優れた二酸化マンガン電解精錬用アノード材を得るこ
    とを特徴とする製造方法。
JP33949889A 1989-12-27 1989-12-27 二酸化マンガン電解精錬用アノード材の製造方法 Expired - Lifetime JPH0651902B2 (ja)

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