JPH0649272B2 - 研削制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、研削制御装置に関し、特に被加工物（以下ワ
ークと記す）の取代の大きさに応じた黒皮研削量でもっ
て研削ができるようにした研削制御装置に関する。

〔従来技術〕

従来、ワークの例えば内面を研削加工する場合は、砥石
を回転させつつ軸方向送りをかけて、ワーク内に挿入
し、次にワークを軸直角方向にその被加工面が砥石の真
近に位置するまで高速でおくる、いわゆる準急送りをか
け、しかる後ワークにさらに軸直角方向の切込送りをか
けて順次黒皮研削，荒研削，仕上研削を施し、最後にス
パークアウトするようにしており、また、上記黒皮研削
は被加工部表面の凹凸の激しい偏肉部を研削するもので
あり、また砥石のダメージはその仕事量、すなわち（加
工量×荷重）によって表され、砥石の切込速度が速いほ
ど砥石の切込み深さが増加し、該砥石に加わる荷重が増
大してダメージが大きくなるため、次工程の荒研削より
相当低速の切込速度でもって研削するようにしている。

そして従来の黒皮研削では、黒皮研削量は、異なる種類
のワーク、例えば材質，サイズあるいは前工程での熱処
理が異なるワークについてはワーク種毎に設定し直すよ
うにしているが、同一種類のワークについては黒皮量は
同一程度となるものと考えられることから、どのワーク
に対しても同じ黒皮研削量に設定している。

しかしながら、現実には、同種のワークであっても黒皮
量にバラツキがあり、黒皮量が上記設定黒皮研削量より
大きいワークの場合は黒皮研削において黒皮残りが生
じ、次の荒研削時に砥石ダメージが大きくなり、結局従
来装置では砥石寿命が短くなるという問題があった。一
方このような黒皮残りを防止するために上記ワークの種
類から予想される量より大きい黒皮研削量でもって研削
するようにすると、黒皮量の小さいワークについては必
要以上の黒皮研削を行うこととなり、その分だけサイク
ルタイムが長くなるという問題が生じる。

〔発明の目的〕

本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもの
で、砥石の寿命を延長でき、かつサイクルタイムを短縮
できる研削制御装置を提供することを目的としている。

〔発明の構成及び作用〕

ところで一般にワークはその未加工径にバラツキがあ
り、従って未加工径と仕上径との差である加工代、いわ
ゆる取代にはワーク間でバラツキが生じることとなる。
本発明者は、同種のワークの場合、偏肉量の大きさによ
って取代の大きさが決まり、逆に言えば取代が大きいほ
ど被加工面の偏肉量、つまり黒皮量が大きくなる点を見
い出し、従ってワーク毎に取代を求め、この取代に対応
した各ワーク毎の黒皮研削量でもって研削すれば上記目
的を達成できるものと考えた。

そこで本発明は、研削制御装置において、第１図の機能
ブロック図に示されているように、ワークに研削加工を
施す研削装置１と、該装置１の研削量を制御する切込制
御手段６１と、ワークの取代を求めるためのワークセン
サ６２と、ワークセンサ６２の出力によりワークの取代
を演算する取代演算部，およびワークの取代の平均取代
に対する取代増減量を演算する取代増減量演算部からな
る取代演算手段６３と、上記切込制御手段６１による黒
皮研削量を上記取代増減量に応じて補正する補正手段６
４とを設けたものである。

上記構成になる本発明では、ワークセンサ６２，取代演
算手段６３により、ワークの取代、及び平均取代に対す
る取代増減量が求められ、黒皮研削量補正手段６４によ
り取代増減量が小さいほど平均取代に対する設定黒皮研
削量より黒皮研削量を小さくするための黒皮研削量補正
信号が切込制御手段６１に入力され、これにより取代ひ
いては黒皮量に応じた最適の黒皮研削がなされ、黒皮量
の大きいワークについても黒皮残りが生じることはな
く、つまり砥石ダメージが大きくなることはなく、また
黒皮量の小さいワークについてはサイクルタイムが短縮
される。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図について説明する。

第２図及び第３図は本発明の一実施例による研削制御装
置を示し、その全体構成を示す第２図において１はワー
クＷの内面に研削加工を施す研削装置であり、これは砥
石駆動装置７，ワーク駆動装置１４，及び砥石ドレッシ
ング装置１５から構成されている。

上記砥石駆動装置７の砥石テーブル２はベッド１ａの上
面に図示左右方向に摺動自在に載置され、該砥石テーブ
ル２の下面に固着されたメネジボックス（図示せず）に
は砥石テーブル移動用ボールネジ３が螺合され、該ボー
ルネジ３にその出力軸が連結された砥石送りモータ４は
上記ベッド１ａに固着されている。また上記砥石テーブ
ル２上にホイールヘッドモータ５が装着され、該モータ
５の出力軸には砥石６が連結されている。

上記ワーク駆動装置１４のワークテーブル８はベッド１
ａの上面に図示上下方向に摺動自在に載置され、該ワー
クテーブル８の下面に固着されたメネジボックス（図示
せず）にはワークテーブル移動用ボールネジ９が螺合さ
れ、該ボールネジ９にその出力軸が連結された切込送り
モータ１０は上記ベッド１ａに固着されている。そして
上記ワークテーブル８上には、ワークＷをチャックする
ための主軸台１１が装着され、該主軸台１１と、これの
近傍に装着された駆動モータ１２とは駆動ベルト１３に
より連結されている。

上記砥石ドレッシング装置１５はワークテーブル８に装
着された揺動タイプのもので、その揺動アーム１５ａに
はドレッシング工具１５ｂが取付けられている。

２０は切込制御装置であり、これはパルスエンコーダ２
８からの切込速度，切込量信号を受け、研削装置１の切
込速度，切込量を設定値になるようフィールドバック制
御するためのものである。

この切込制御装置２０等のブロック構成を示す第３図に
おいて、２１は準急送り，黒皮送り，荒送り，仕上送り
及び早送りのワークの種類に応じた各切込速度を設定す
る切込速度設定部、２２は準急送り量，黒皮研削量，荒
研削量，仕上研削量及びドレススパーク位置から研削開
始位置までのドレス後切込控え量をワークの種類に応じ
た大きさに設定する切込量設定部であり、これらの設定
値は、例えば黒皮研削量は平均取代Ｓ（未加工径の平均
値と仕上加工径との差）のワークにおいて黒皮残りの生
じない黒皮研削量Ｑｏを予め実験で求め、この値が設定
されるものであり、これが平均取代に対する設定黒皮研
削量である。２３，２４はそれぞれ切込速度設定値，切
込量設定値を選択信号作成部２５からの選択信号Ｅに応
じて選択する切込速度選択部，切込量選択部であり、上
記選択信号Ｅはシーケンス制御部２６からのシーケンス
信号Ｆに応じて作成される。また２７は駆動制御信号作
成部であり、これは上記切込速度選択部２３，切込量選
択部２４にて選択された設定値を目標値としてこれと、
切込送りモータ１０の回転速度，回転量を検出するパル
スエンコーダー２８からの現在値とを比較し、両者が一
致するようフィードバック制御するための駆動制御信号
Ｃを作成出力する。そして２９は該駆動制御信号Ｃに応
じた駆動信号Ｄを出力するドライバである。

３０は砥石６がワークＷの被加工面に接触したことをホ
イールヘッドモータ５の電力変化から検知するギャップ
エリミネータであり、これはワークＷの未加工内径Ｄｓ
を検知するためのワークセンサとなっている。

４０はワークＷの取代Ｂ′の平均取代Ｓに対する増減量
Ｂを演算する取代演算装置であり、これは取代演算部４
１と、取代増減量演算部４２とから構成されている。上
記取代演算部４１は上記ギャップエリミネータ３０から
の砥石６とワークＷとの接触検知信号を受け、該検知時
の切込送り位置から得られる未加工内径Ｄｓと、予め設
定されている仕上内径Ｄｆから下記式(1)により該ワー
クＷの取代Ｂ′を演算する。

Ｂ′＝（Ｄｆ−Ｄｓ）／２ …(1) また上記取代増減量演算部４２は上記取代Ｂ′の平均取
代Ｓに対する増減量Ｂ＝Ｓ−Ｂ′を演算する。

５０は黒皮研削量補正装置であり、これは上記切込量設
定部２２にて設定されている平均取代Ｓのワークに対す
る設定黒皮研削量Ｑｏを下記式(2)により上記取代増減
量Ｂに応じた実際黒皮研削量Ｑに変換する。

Ｑ＝Ｑｏ＋Ｋ＊Ｂ …(2) 次に作用効果について説明する。

ここで第４図は実際黒皮研削量Ｑと取代増減量Ｂとの関
係を示す特性図であり、該特性線の傾きが上記式(2)の
比例係数Ｋに相当し、これはワークの種類及び前加工、
例えば熱処理の程度によって決定される実験値である。
図から明らなかなように、取代増減量ＢがＯ、即ち平均
取代Ｓのときは実際黒皮研削量Ｑは設定値と同じＱｏで
あり、またＢ１，Ｂ２のときはそれぞれＱ１，Ｑ２であ
り、取代が小さいほど黒皮研削量は少なくなっている。

また、第５図(a)，(b)は本実施例装置による研削加工を
説明するためのもので、第５図(a)は時間一切込位置特
性を示し、図において、Ｐ１〜Ｐ５はそれぞれ、準急送
り、黒皮研削，荒研削，仕上研削，及びスパークアウト
の特性を示し、各直線部分の傾きが切込速度を、また各
直線部分と水平線及び垂直線とで囲まれた面積が研削量
を示す。また第５図(b)は黒皮研削特性Ｐ２の拡大図で
あり、図において破線は平均取代Ｓのワークの場合、実
線は取代Ｂ′の場合を示し、図から明らかなように、平
均取代Ｓのワークの黒皮研削量Ｑｏに対し、これより大
きい取代Ｂ′のワークの黒皮研削量Ｑの方が大きくなっ
ている。

以下、動作について上記第２図ないし第５図を用いて詳
述する。

本実施例装置では、各設定部２１，２２により各種の切
込速度，切込量が設定されており、主軸台１１にワーク
Ｗをローディングし、本装置を始動すると、シーケンス
制御部２６からシーケンス信号Ｆが選択信号作成部２５
に入力され、該作成部２５から選択信号Ｅが切込速度選
択部２３，及び切込量選択部２４に入力される。すると
まず、この両選択部２３，２４において目標値である設
定準急送り速度，設定準急送り量が選択され、この両目
標値は駆動制御信号作成部２７においてパルスエンコー
ダ２８から入力された現在値と比較され、両者の差に応
じた駆動制御信号Ｃがドライバ２９に入力され、該制御
信号Ｃに応じた駆動信号Ｄが切込送りモータ１０に入力
され、これによりワークＷは軸直角方向に送られ、また
この際の切込速度，切込量はパルスエンコーダ２８を介
して駆動制御信号作成部２７にフィードバックされる。
このようにしてワークＷの送りは所定の設定送り速度，
送り量に切込制御される（第５図(a)の直線Ｐ１参
照）。

そして上記準急送りにおいて、ワークＷの内面が砥石６
に接触すると、目標値と現在値とが一致することとな
り、この一致信号Ｇが選択信号作成部２５に入力され、
該作成部２５から黒皮送り速度，黒皮研削量を選択すべ
き信号Ｅが各選択部２３，２４に入力される。また上記
ワークＷが砥石６に接触すると、ギャップエリミネータ
３０によりこの接触の際のホイールヘッドモータ５の電
力変化から両者の接触が検知され、この検知信号が取代
演算部４１に入力される。ここで第５図(b)に示すよう
に、取代Ｂ′が平均取代ＳよりＢ_１だけ大きイワークを
考えると、上記演算部４１において、上記式(1)により
取代Ｂ′が演算され、さらに取代増減量演算部４２にお
いて平均取代Ｓに対する増量Ｂ_１が演算され、該取代増
量Ｂ_１は黒皮研削量補正装置５０に入力される。該装置
５０において上記設定黒皮研削量Ｑｏから上記式(2)に
より取代増量Ｂ_１に応じた実際黒皮研削量Ｑ_１が演算さ
れ（第４図参照）、これは切込量選択部２４に入力され
る。すると該実際黒皮研削量Ｑ_１は該選択部２４にて選
択されて、駆動制御信号作成部２７に入力され、この取
代Ｂ′に応じた実際黒皮研削量Ｑ_１を目標値として黒皮
研削制御が行われる。

上記黒皮研削において目標値と現在値が一致し、該黒皮
研削が終了すると、順次荒研削Ｐ_３，仕上研削Ｐ_４等が
所定の設定切込速度，研削量でもって上記と同様にして
行なわれる。

このように本実施例では、ワークＷの取代を求め、該取
代ひいては黒皮量に応じた黒皮研削量でもって黒皮研削
を行うようにしたので、標準より黒皮量の多いワークで
あっても黒皮残りが生じることはなく、従って従来のよ
うな荒研削において砥石６に大きなダメージが生じるこ
とはない。また標準より黒皮量の少ないワークについて
は研削速度の遅い黒皮研削を必要以上に行うことはな
く、従ってその分従来に比べてサイクルタイムを短縮で
きる。

なお、上記実施例では、ワークセンサとしてギャップエ
リミネータ３０を例にとって説明したが、このワークセ
ンサは例えばワークＷ内径をローディング前に計測する
プリケージ，ローディング後に計測するインプロセスゲ
ージであってもよい。また上記実施例ではワークの内面
を研削する場合について説明したが、本発明は勿論外面
研削にも適用できる。

〔発明の効果〕 以上のように、本発明に係る研削制御装置によれば、各
ワークの取代を求め、この取代に応じて黒皮研削量を制
御するようにしたので、砥石ダメージを小さくして砥石
寿命を延長できる効果があり、また、サイクルタイムを
短縮して加工能率を向上できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示す機能ブロック図、第２図は
本発明の一実施例による研削制御装置の全体構成図、第
３図はそのブロック構成図、第４図はその取代増減量−
実際黒皮研削量特性図、第５図(a)，(b)はその動作を説
明するための研削特性図である。 １……研削装置、２０……切込制御装置、３０……ギャ
ップエリミネータ（ワークセンサ）、４０……取代演算
装置、５０……黒皮研削量補正装置、６１……切込制御
手段、６２……ワークセンサ、６３……取代演算手段、
６４……黒皮研削量補正手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】同一種類の被加工物の内面又は外面に順
   次、設定黒皮研削量で研削する黒皮研削，荒研削及び仕
   上研削加工を施す研削装置と、 該研削装置の各研削工程における研削量を制御する切込
   制御手段と、 被加工物の内径又は外径を検出するワークセンサと、 該センサの検出出力から被加工物の加工代である取代を
   演算する取代演算部，複数のワークの未加工径の平均値
   と仕上加工径との差である平均取代に対する、被加工ワ
   ークの取代増減量を演算する取代増減量演算部とからな
   る取代演算手段と、 上記平均取代を有するワークに対して最適の値となる上
   記設定黒皮研削量が予め設定され、上記取代増減量が小
   さいほど平均取代に対する設定黒皮研削量を小さくする
   ための黒皮研削量補正信号を上記切込制御手段に与える
   黒皮研削量補正手段とを備えたことを特徴とする研削制
   御装置。