JPH0647578A - ブレージングシートおよびそれを用いたろう付け方法 - Google Patents

ブレージングシートおよびそれを用いたろう付け方法

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JPH0647578A
JPH0647578A JP601292A JP601292A JPH0647578A JP H0647578 A JPH0647578 A JP H0647578A JP 601292 A JP601292 A JP 601292A JP 601292 A JP601292 A JP 601292A JP H0647578 A JPH0647578 A JP H0647578A
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brazing sheet
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alloy
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 3層以上の合わせ板からなるろう付け用のア
ルミニウムブレージングシート1A,1B,1Cにおい
て、内側の芯材2のうち少なくとも一層をろう材Bと
し、このろう材Bを挟むその他の層3は、固相線温度が
ろう材Bの液相線温度よりも高いアルミニウム合金材か
ら成るものとした。 【効果】 ろう材Bが内部層に形成されており、ろう付
け時にはこの内部層のろう材が流れ出す構成であるの
で、ろう付け後もきれいな表面外観を呈するものとな
る。また、ろう材はろう付け時に溶融して初めて外界と
接するため保管中におけるろう材の劣化もない。さら
に、特に真空ろう付けにおいては、ろう材中に含有され
たMgの蒸気の発生量が少なく、半密閉状の空間を有す
るものの内側部分にも充分なフィレットを形成すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はブレージングシートおよ
びそれを用いたろう付け方法に係わり、特に、3層以上
の合わせ板に形成し、ろう材からなる芯材を中間層に形
成した、ブレージングシートおよびそれを用いたろう付
け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレージングシートすなわちろう付け用
シート材は、ろう材が既にクラッドされているため、ろ
う付けの際に別途ろう材を供給する必要がなく極めて有
用性が高い。このブレージングシートとしては従来よ
り、一般にアルミニウムブレージングシートが提供され
ている。従来のアルミニウムブレージングシートとして
は、アルミニウム合金からなる芯材の片面または両面に
ろう材としてのAl−Si系合金をクラッドした合わせ
板が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来
の、ろう材を芯材の外面にクラッドしたブレージングシ
ートにおいては下記の如き不都合があった。すなわち、 i)ろう付け後、ろう材が形成していたシート表面が溶
融のため凹凸面となり、外観が劣る。 ii )溶融したろう材が芯材の表面を流れ落ちるため、
不要な部分にまでろうが流れる場合がある。 iii)真空ろう付けの場合、内部ろう付け性(半密閉空
間の内側でのろう付け性)がよくない。すなわち、従来
のブレージングシートでは、板表面からMg等の含有金
属が蒸発するため、溶融ろうの融点が外部と内部とで変
わる(Mgは融点を下げる)、あるいは半密閉空間が蒸
発金属の多い雰囲気となる等の理由により、外部のフィ
レットが大きく内部のフィレットが小さくなる(ほとん
ど形成されない場合もある)といった弊害があった。 iv)同じく真空ろう付けの際、Mgその他ろう材中の金
属元素の蒸発により真空炉を汚染する。 といったことである。
【0004】なお、真空ろう付けの分野においては、比
較的低真空中でのろう付けを可能とするために、従来の
ブレージングシートの改良として、ろう材の外側に薄い
純アルミニウムをクラッドしたブレージングシートが提
案されている(米国特許第3,917,151号)。このブレー
ジングシートでは、ろう材を純アルミニウム材で保護す
ることによりろう材の酸化を防止し、それによって低真
空でのろう付けを可能としている。また、このブレージ
ングシートは、ろう付けの際に前記純アルミニウム材は
ろう材と共に溶融してろう材中に溶け込むものとなって
いる。しかしながら、このブレージングシートにおいて
も特に上記i),ii )の問題は解決せず、また上記 ii
i),iv)の問題についても多少の改善は見られるもの
の依然として根本的な解決までには至らない。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、上記欠点を排除し得、特に仕上りがきれいでありか
つ真空ろう付けの際の内部ろう付けをも確実に行なうこ
とのできるブレージングシートおよびそれを用いたろう
付け方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
3層以上の合わせ板からなるブレージングシートにおい
て、内側の芯材のうち少なくとも一層をろう材とし、該
ろう材を挟むその他の層は、固相線温度が前記ろう材の
液相線温度よりも高い合金材としたことを特徴とするも
のである。
【0007】請求項2に係る発明は、請求項1記載のブ
レージングシートにおいて、前記ろう材および該ろう材
を挟む前記その他の層がアルミニウム合金であることを
特徴とするものである。
【0008】請求項3に係る発明は、請求項2記載のブ
レージングシートにおいて、ろう材から成る前記芯材
が、Siを5〜20重量%含有するAl−Si系合金で
あることを特徴とするものである。
【0009】請求項4に係る発明は、請求項2記載のブ
レージングシートにおいて、ろう材からなる前記芯材
が、Siを5〜20重量%、Mgを0.3〜3.0重量%
含有するAl−Si−Mg系合金であることを特徴とす
るものである。
【0010】請求項5に係る発明は、上記請求項1ない
し4の何れかに記載のブレージングシートを用いたろう
付け方法であって、前記ブレージングシートの端部と前
記被ろう付け部材のろう付け部との間に微小隙間を形成
し、少なくとも前記ブレージングシートを加熱すること
により前記ろう材を溶融せしめ、該ろう材により前記ブ
レージングシートの端部と前記被ろう付け部材のろう付
け部との間にフィレットを形成することを特徴とするも
のである。
【0011】請求項6に係る発明は、上記請求項1ない
し4の何れかに記載のブレージングシートを用いたろう
付け方法であって、前記ブレージングシートにおける板
厚を形成する所要の端面を閉塞することにより溶融ろう
材の流出量を調整することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】請求項1に係るブレージングシートでは、ろう
材は合わせ板の内部層を形成し、皮材によって保護され
た状態にあるため、ろう材の腐食による劣化がほとんど
ない。ろう材の溶融温度となるとろう材はシートの端面
より流れ出し、被ろう付け部材のろう付け面との間にフ
ィレットを形成する。ろう材はブレージングシートの内
部層に形成されているためろう材が溶融した後も皮材が
シート表面を形成する。また、皮材と溶融ろうとの表面
張力のためと思われるが、溶融ろうが片側のみに片寄っ
て流れることが少なくなる。
【0013】請求項2に係るブレージングシートでは、
汎用性の高いブレージングシートを構成することに加
え、ろうがろう付け部において初めて外界と接触するた
め、特に真空ろう付けにおいてもMg等の含有金属の蒸
発が少ないものとなる。
【0014】請求項3に係るブレージングシートでは、
Siがろう材の溶融温度を効果的に下げ、このSiの含
有量を調整することによりろう材の液相線温度を調整す
ることも可能である。
【0015】請求項4に係るブレージングシートでは、
請求項3に係る発明の作用に加え、Mgのゲッター効果
により良好なろう付け性を得られる。
【0016】請求項5に係るブレージングシートを用い
たろう付け方法では、溶融したろう材が隙間を介して被
ろう付け部材のろう付け面に流れ出してフィレットを形
成する。
【0017】請求項6に係るブレージングシートを用い
たろう付け方法では、溶融ろうの流れ出し量を調整して
フィレット量を調整可能である。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。図1は本発明に係るブレージングシートの第
一実施例を示す断面図である。このブレージングシート
1Aはいわゆるアルミニウムブレージングシートであ
り、アルミニウム合金製の板体を3層にクラッドしたも
のである。この3層に形成されたブレージングシート1
Aにおいて、中間層を形成する芯材2はAl合金400
4、そしてその芯材2を両面側から挟んだ皮材3,3は
共にAl合金3003より成る。
【0019】ここで、前記芯材2を構成するAl合金4
004は、Siを9.0〜10.5重量%,Mgを1.0
〜3.0重量%含有するAl−Si−Mg系合金であ
り、その液相線温度は591℃である。また、前記皮材
3を構成するAl合金3003の固相線温度は643℃
である。すなわち、前記芯材2がこのブレージングシー
ト1Aのろう材Bを構成している。
【0020】前記ブレージングシート1Aの板厚はこの
場合約0.5mm であり、そのうち前記芯材2が26%、
また、前記皮材3,3がそれぞれ37%の板厚を有して
いる。また、皮材3は、ろうの染み込み防止のため均熱
後所定の板厚に熱間圧延し、前記芯材2とクラッド圧延
したものである。
【0021】次に、前記ブレージングシート1Aの作用
・効果について説明する。上記ブレージングシート1A
を用いて、図2に示す如く逆T字形のT継手5を作成す
る。このT継手5において立設板5Aとして前記ブレー
ジングシート1Aを用い、底板5BはAl合金3003
とした。立設板5Aおよび底板5Bの寸法は共に0.5
×25×50(mm) である。
【0022】また、比較のため、図4に示す如く、立設
板5A′として従来構成のブレージングシート1′を用
いて同様にT継手5′を作成した。この従来構成のブレ
ージングシート1′は芯材2をAl合金3003、皮材
3,3をAl合金4004として3層にクラッドしたも
のである。すなわち、このブレージングシート1′では
皮材3,3がろう材Bである。また、このブレージング
シート1′のクラッド率は芯材2が74%、皮材3,3
が共に13%ずつとなっている。
【0023】ろう付け条件は、双方共5×10ー5 Torr
の真空度で605℃に加熱、5分間保持した後冷却し
た。なお、立設板5Aとして本発明に係るブレージング
シート1を用いた上記T継手5を製作するにあたって
は、そのブレージングシート1のろう付けすべき端面1
aと底板5Bのろう付け面との間に僅かな間隙6を設け
た。
【0024】完成された双方のT継手5,5′を比較す
ると、図3および図5に示すように両者とも、立設板5
A,5A′下端と底板5B上面との間に滑らかで連続的
なフィレット7が形成された。なお、双方のT継手5,
5′の仕上がり後の寸法的な比較結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示されるように、かかるT継手の場
合はフィレット7の形成に両者の間に差は生じなかった
が、ろう材Bに含有されたMgの蒸発量は上記実施例に
よるブレージングシート1Aを用いたT継手5の方が少
ない(後述の実施例より明らか)。また、双方の立設板
5A,5A′の表面を比較すると、ブレージングシート
1による立設板5Aの方が外観に優れている。なお、表
1からはさらに、双方のブレージングシート1A,1′
とも全板厚に対するろう材Bの占める割合が等しいの
に、芯材2をろう材Bとされた上記実施例によるブレー
ジングシート1Aの方がろう付け後の板厚が大きいこと
が解る。
【0027】また、立設板5Aとして前記ブレージング
シート1Aを用いたT継手5においては、前述の如くブ
レージングシート1Aの前記端面1aと底板5Bのろう
付け面との間に間隙6を設けた。これは、中間層である
芯材2を形成したろう材Bが溶融して、その間隙6から
毛細管現象により外部に流れ出るようにするためであ
る。このように、間隙6は溶融ろうが流出できる程度の
ものであればよい。実作業においては、ブレージングシ
ート1Aをシャー切断あるいはブランキング切断すれば
切断面には自ずと微小な凹凸が形成されるので、意図的
に間隙を形成する必要はない。ただし、前記端面1aを
フライス切削加工すると端面1aが平滑となるため、か
かる場合には前記間隙6を積極的に設けるようにする。
【0028】次に、図6ないし図11は本発明の第一実
施例に係る他の構成例を示すものである。この例では、
図6に示す複数の円板部品10を図7に示す3本の短冊
状部品11により平行につないだ骨格体12(図9)の
外周に図8に示す板状部品13を巻き付けて、図9の如
き円筒組立体14を作成した。この円筒組立体14にお
いて、前記円板部品10および前記短冊状部品11を上
記実施例に示したものと同じ構成のブレージングシート
1Aにより製作した。板状部品13は双方ともAl30
03合金である。また、比較のため、前記両部品を皮材
3,3がろう材Bを形成した従来構成のブレージングシ
ート1′により同円筒組立体14を製作した。ろう付け
条件は共に、5×10ー5 Torr の真空度で605℃に加
熱、5分間保持した後冷却した。
【0029】図10は前記円板部品10と、短冊状部品
11および板状部材13とのろう付け部を、それら円板
部品10,短冊状部品11に前記ブレージングシート1
Aを用いたものについて示したものである。これら図9
および図10に示すように、ブレージングシート1Aを
用いたものでは、各段においてフィレット7は上下共ほ
ぼ同じ大きさに形成された。これは、半密閉空間となる
この円筒組立体14の内部についても同様である。
【0030】一方、従来構成のブレージングシート1′
を用いたものでは、図11に示す如く両ろう付け部と
も、上部が外部に面している部分では外部のフィレット
7が大きく内部はほとんどフィレットが形成されない。
また、円筒組立体14の内部では、接合部の上部のフィ
レット7が小さく下部のフィレットが大きいものとなっ
た。さらに、最下部に位置した円板部品10の接合部上
部には、上部のろうが流れてきて大きなフィレットがで
きてしまった。
【0031】本実施例のものにおいて、円筒組立体14
の内部においてもフィレット7が良好に形成されるの
は、ろう材Bである芯材2は溶融して接合部に染み出る
まで外部に露出せず、ろう材B中に含有されたMg等の
蒸気が円筒組立体14の内部に大量に充満することがな
いからと推察できる。
【0032】次に図12は、図13に示す如きブレージ
ングシートよりなる多数の板状部材15,15,…を溝
部16どうしを合わせて格子状に組み立てたものであ
る。ここで、前記板状部材15を構成するブレージング
シート1Bは本発明の第二実施例に係るもので、前記ブ
レージングシート1Aと同様にろう材Bを芯材2として
3層に形成したものであるが、芯材2であるろう材Bと
してAl合金4045、皮材3,3としてAl合金30
03としている。Al合金4045は液相線温度590
℃、Siを9.0〜11.0重量%を含有したAl−Si
系合金である。なお、既に述べたようにAl合金300
3の固相線温度は643℃である。また、このブレージ
ングシート1Bの板厚は1.5mm、クラッド率は芯材2
が20%、皮材3が40%ずつとなっている。ろう付け
条件は、N2 ガス中において605℃で5分間加熱し
た。
【0033】比較品として、皮材3をAl合金4045
すなわちろう材とし、芯材2をAl合金3003とし、
クラッド率を上記ブレージングシート1Bと等しくAl
合金4045を片側10%ずつ計20%とした従来構成
のブレージングシートより成る板状部材15により上記
同様の格子体17を製作した。ろう付け条件は上記同様
である。
【0034】上記の結果、板状部材15を前記ブレージ
ングシート1Bにより構成した格子体17では、板状部
材15を従来構成のブレージングシートにより構成した
格子体17に比して表面に凹凸がなく、きれいな外観を
呈するものとなった。また、板状部材15をブレージン
グシート1Bにより構成したものにおいても、下方に溶
融したろうが流れ込みろう溜りが生ずることがあった
が、その量は従来構成のブレージングシートより板状部
材15を構成したものよりは少なかった。
【0035】図14は、前記ブレージングシート1Bに
より前記板状部材15を製作するにあたり、前記溝部1
6,16,…を形成する前に、前記格子体17の上面お
よび下面を形成する板状部材15の上端面15aおよび
下端面15bに純アルミニウム18を溶射することによ
り塞いだものである。そして、このように上端面15a
および下端面18bを塞いだ後に前記溝部16を形成し
た。かかる板状部材15により前記格子体17を製作し
た場合には上記の如きろう溜りが発生しない。また、本
実施例においては前記上端面15aおよび下端面15b
を純アルミ18の溶射により塞ぐようにしたが、その他
の合金およびその他の方法によって塞ぐようにしても無
論構わない。
【0036】次に図15は、本発明に係るブレージング
シートの第三実施例を示すものである。このブレージン
グシート1Cは5層に形成された合わせ板からなるもの
で、芯材2がAl合金4N04よりなる。芯材2の両面
側は皮材3,3となっているが、これら皮材3は前記芯
材2とクラッドされた第1の皮材3aと、この第1の皮
材3aのさらに外側にクラッドされた第2の皮材3bか
ら成るものである。第1の皮材3aはAl合金7N0
1、また第2の皮材3bはAl合金3003である。
【0037】ここで、前記芯材2を構成するAl合金4
104の液相線温度は579℃、また前記皮材3を構成
する前記Al合金7N01,Al合金3003の固相線
温度はそれぞれ615℃,643℃である。また、Al
合金4N04はSiを11.0〜13.0重量%、Mgを
1.0〜2.0重量%含有したAl−Si−Mg系合金で
ある。また、このブレージングシート1Cは全厚1.5m
m、また、クラッド率は前記芯材2が20%、皮材3を
40%(うち、第2の皮材3bは0.05%)ずつとし
ている。
【0038】前記ブレージングシート1Cを図16に示
すようにコ字状にプレス成形し、その中央部に長手方向
に沿って等間隔(300mm 間隔)で36φの複数の穴
19を形成した後、それらコ字状部材20を2つ対向さ
せて立設させ、さらに前記穴19にAl合金6951
(固相線温度616℃)より成る35φのパイプ21を
挿入してはしご状組立体22を構成し、真空ろう付けを
実施した。ろう付け条件は、真空度5×10ー5 Torr の
雰囲気において595℃で5分間加熱した。
【0039】図17は前記はしご状組立体22のろう付
け部を示した断面図であり、この図に示すように、前記
コ字状部材20の内面および外面とも前記パイプ7の周
囲にわたってフィレット7がきれいに形成された。な
お、本例の場合にもコ字状部材20における端部よりろ
う材Bの染み出しが見られたが、このことが何らかの弊
害となる場合には、既に説明したようにその端面を溶射
等により塞ぐことによってかかる現象を阻止することが
可能である。
【0040】なお、前記各実施例によるブレージングシ
ート1A,1B,1Cにおいては何れもろう材Bをクラ
ッド層の中心の層に構成したが、前記ブレージングシー
ト1Cの如き多層のものとした場合に、ろう材Bの構成
する層を中間部に2層以上形成することも可能である。
【0041】以上のように、前記ブレージングシート1
A,1B,1Cによれば、きれいな外観を有し、かつ不
要部分へのろう垂れの極めて少ないものとなる。また、
特に真空ろう付けにおいては、ろう材B中に含有された
Mg等の蒸気の発生量が少ないために半密閉状の空間を
有するものの内側部分にも充分なフィレット7が形成さ
れ、充分なろう接強度を確保することができる。さら
に、このように真空ろう付けにおいてMg蒸気等の発生
が抑さえられるため、真空炉の汚染も抑制することがで
きる。さらにまた、ろう材がシートの板厚部端面のみに
露出しているため、このシート端面を塞ぐことによって
溶融ろうの流出量を制限することができ、これによって
フィレット量を調整することも可能である。
【0042】また、本発明に係るブレージングシート、
特に上記各実施例に示した如きアルミニウムブレージン
グシートにおいて、ろう材Bを構成するAl−Si系合
金のSiの含有量は5〜20重量%の範囲とすることが
望ましい。これは、Siはある添加量の範囲においてア
ルミニウムの融点を低下させる働きがあり、その含有量
が5重量%未満であるとその作用が充分に発揮されず、
また20重量%を越えるとAlの融点を高める方向に作
用するためである。かかる条件に適合するAl合金とし
ては、上記4045の他、4343,4045,414
5,4047等がある。
【0043】さらに、前記ろう材Bを構成するAl−S
i−Mg系合金におけるMgの含有量は下記の理由に基
づき0.3〜3.0重量%の範囲とすることが望ましい。
Mgはアルミニウムよりも酸化しやすくかつ蒸気圧が高
い金属なので、ろう付け温度直前に蒸発し、ろう材表面
を覆っている酸化被膜を破壊し、また、雰囲気中の微量
水分あるいは酸素分子を除去する働き(ゲッター効果)
を有する。すなわち、Mgの含有量が0.3重量%未満
であるとこの作用が充分に発揮されず、また、3.0重
量%を越えると、ろう付け時のMg蒸気の発生量をいた
ずらに増やすばかりでなく、板材製造時の鋳造性・圧延
性を低下させるおそれがあるからである。 かかる条件
に適合するAl合金としては、上記4004の他、例え
ば4003,4005,4N04等がある。
【0044】ただし本明細書中において、例えばAl−
Si系合金、あるいはAl−Si−Mg系合金というの
は、AlとSi以外の成分あるいはAlとSi,Mg以
外の成分を含有しないことを意味するものではない。こ
れら合金は上記成分以外に不可避不純物が当然含有され
ているものであり、また、例えばMgの低含有率時にお
けるろう付け性の欠点を排除できる等の根拠に基づきB
i(ビスマス)等他の成分を含有させてもよい。また、
本発明に係るブレージングシートを構成する合金(純金
属を含む)はアルミニウム合金に限定されるものではな
く、従来提供されているブレージングシートを構成する
合金について同様に適用することができる。
【0045】なお、上記各実施例においてはそれぞれT
継手(図2)、板どうしの組合せ継手(図9,図1
2)、管・板継手(図17)等の継手を構成する例につ
いて説明したが、本発明に係るブレージングシートはそ
の他の継手、例えば隅継手,せぎり継手,片面当金継手
等にも好適に適用することができる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したとおり請求項1に係るブレ
ージングシートによれば、ろう材が内部層に形成されて
おり、ろう付け時にはこの内部層のろう材が流れ出す構
成であるので、ろう付け後もきれいな表面外観を呈する
ものとなる。また、ろう材はろう付け時に溶融して初め
て外界と接するため保管中におけるろう材の劣化もな
い。さらに、ろう材がシートの板厚部端面のみに露出し
ているため、シート端面を塞ぐことによって溶融ろうの
流出量を制限することも可能である。
【0047】請求項2に係るブレージングシートによれ
ば、上記効果を奏する汎用性の高いブレージングシート
を提供できることに加え特に真空ろう付けにおいて、ろ
う材中に含有されたMgの蒸気の発生量が少ないために
半密閉状の空間を有するものの内側部分にも充分なフィ
レットを形成することができ、充分なろう接強度を確保
することができる。しかも、このように真空ろう付けに
おいてMg蒸気の発生が抑さえられるため、真空炉の汚
染も抑制することができる。
【0048】請求項3に係るブレージングシートによれ
ば、Siがろう材の溶融温度を効果的に下げ、本発明に
係るブレージングシートに好適なろう材を得ることがで
きる。また、Siの含有量を調整することによりろう材
の液相線温度を調整することも可能である。
【0049】請求項4に係るブレージングシートによれ
ば、請求項3に係る発明の効果に加え、Mgのゲッター
効果により良好なろう付け性を得られる。
【0050】請求項5に係るろう付け方法によれば、微
小隙間より溶融ろうを確実に染み出させるとともに毛細
管現象を効果的に生じせしめて確実なフィレットを形成
することができる。
【0051】請求項6に係るろう付け方法によれば、ろ
う付け部への溶融ろうの流出量を調整することによりフ
ィレットの大きさを調整でき、また溶融ろうの不要部分
への流出を防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレージングシートの第一実施例
を示す断面図である。
【図2】図1に示したブレージングシートのろう付けの
状態を示す立断面図である。
【図3】図2に示したろう付けにより完了したT継手を
示す立断面図である。
【図4】従来構成のブレージングシートによるろう付け
の状態を示す立断面図である。
【図5】図4に示したろう付けにより完了したT継手を
示す立断面図である。
【図6】図9に示した円筒組立体を構成する円板状部材
を示す平面図である。
【図7】図9に示した円筒組立体を構成する短冊状部材
を示す平面図である。
【図8】図9に示した円筒組立体を構成する板状部材を
示す平面図である。
【図9】一実施例によるブレージングシートを用いて構
成した円筒組立体を一部破断して示す斜視図である。
【図10】図9に示した円筒組立体におけるろう付け部
を示す部分立断面図である。
【図11】図9に示した円筒組立体を従来のブレージン
グシートにより構成した場合のろう付け部を示す部分立
断面図である。
【図12】本発明の第二実施例によるブレージングシー
トを用いて構成した格子体を示す部分斜視図である。
【図13】図12に示した格子体を構成する短冊状部材
を示す平面図である。
【図14】第二実施例に係るブレージングシートの端面
を塞いだ状態を示す断面図である。
【図15】本発明の第三実施例によるブレージングシー
トを示す断面図である。
【図16】図14に示したブレージングシートを用いて
構成したはしご状組立体を示す部分斜視図である。
【図17】図15に示したはしご状組立体におけるろう
付け部を示す部分立断面図である。
【符号の説明】
1A,1B,1C ブレージングシート 2 芯材 3 皮材 6 間隙(微小隙間) B ろう材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 ここで、前記芯材2を構成するAl合金
4004は、Siを9.0〜10.5重量%,Mgを1.
0〜2.0重量%含有するAl−Si−Mg系合金であ
り、その液相線温度は591℃である。また、前記皮材
3を構成するAl合金3003の固相線温度は643℃
である。すなわち、前記芯材2がこのブレージングシー
ト1Aのろう材Bを構成している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】 次に、図6ないし図11は本発明の第一
実施例に係る他の構成例を示すものである。この例で
は、図6に示す複数の円板部品10を図7に示す3本の
短冊状部品11により平行につないだ骨格体12(図
9)の外周に図8に示す板状部品13を巻き付けて、図
9の如き円筒組立体14を作成した。この円筒組立体1
4において、前記円板部品10および前記短冊状部品1
1を上記実施例に示したものと同じ構成のブレージング
シート1Aにより製作した。板状部品13は双方ともA
合金3003である。また、比較のため、前記両部品
を皮材3,3がろう材Bを形成した従来構成のブレージ
ングシート1′により同円筒組立体14を製作した。ろ
う付け条件は共に、5×10-5 Torr の真空度で605
℃に加熱、5分間保持した後冷却した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】 ここで、前記芯材2を構成するAl合金
04の液相線温度は579℃、また前記皮材3を構
成する前記Al合金7N01,Al合金3003の固相
線温度はそれぞれ615℃,643℃である。また、A
l合金4N04はSiを11.0〜13.0重量%、Mg
を1.0〜2.0重量%含有したAl−Si−Mg系合金
である。また、このブレージングシート1Cは全厚1.
5mm、また、クラッド率は前記芯材2が20%、皮材3
を40%(うち、第2の皮材3bは%)ずつとしてい
る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】 図17は前記はしご状組立体22のろう
付け部を示した断面図であり、この図に示すように、前
記コ字状部材20の内面および外面とも前記パイプ21
の周囲にわたってフィレット7がきれいに形成された。
なお、本例の場合にもコ字状部材20における端部より
ろう材Bの染み出しが見られたが、このことが何らかの
弊害となる場合には、既に説明したようにその端面を溶
射等により塞ぐことによってかかる現象を阻止すること
が可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3層以上の合わせ板からなるブレージン
    グシートにおいて、内側の芯材のうち少なくとも一層が
    ろう材とされ、該ろう材を挟むその他の層は、固相線温
    度が前記ろう材の液相線温度よりも高い合金材から成る
    ことを特徴とするブレージングシート。
  2. 【請求項2】 前記ろう材および該ろう材を挟む前記そ
    の他の層がアルミニウム合金である請求項1記載のブレ
    ージングシート。
  3. 【請求項3】 ろう材から成る前記芯材が、Siを5〜
    20重量%含有するAl−Si系合金であることを特徴
    とする請求項2記載のブレージングシート。
  4. 【請求項4】 ろう材からなる前記芯材が、Siを5〜
    20重量%、Mgを0.3〜3.0重量%含有するAl−
    Si−Mg系合金であることを特徴とする請求項2記載
    のブレージングシート。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4の何れかに記載のブレ
    ージングシートの端部を被ろう付け部材にろう付けする
    に際し、前記ブレージングシートの端部と前記被ろう付
    け部材のろう付け部との間に微小隙間を形成し、少なく
    とも前記ブレージングシートを加熱することにより前記
    ろう材を溶融せしめ、該ろう材により前記ブレージング
    シートの端部と前記被ろう付け部材のろう付け部との間
    にフィレットを形成することを特徴とするブレージング
    シートを用いたろう付け方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4の何れかに記載のブレ
    ージングシートの端部を被ろう付け部材にろう付けする
    に際し、前記ブレージングシートにおける板厚を形成す
    る所要の端面を閉塞することにより溶融ろう材の流出量
    を調整することを特徴とするブレージングシートを用い
    たろう付け方法。
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