JPH0646184Y2 - 高圧バイパス接続装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は高圧配電線路におい
て、柱上に設置した開閉器等の機器類が故障した場合、
取替え修理をする前に電柱頭部に引留クランプで引留め
た電源側と負荷側の高圧配電線とにバイパス線を接続し
て早期に仮送電を可能とする高圧バイパス接続装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来は柱上開閉器等の機器類が故障した
場合は停電状態とし、開閉器の修理とか取替えを行なっ
た後に送電することが普通であったが、これでは修理、
取替えに長時間を要し、送電復旧が遅れることは避けら
れなかった。

【０００３】しかし、近年社会のハイテク化、情報化、
快適な生活の追求という環境下において、柱上開閉器等
の故障時に、停電状態を如何に早く復旧させるかが重要
な課題となっている。

【０００４】従来の対応としては柱上開閉器の上部で電
柱頭部の両側に引留クランプで引留めた電源側と負荷側
の高圧配電線にバイパスケーブルを直接接続し下方へ垂
下していたが、下方での作業に危険を伴い安全性、作業
性に問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】作業に支障を来たさな
いように、バイパスケーブルを直線状に配設しようとし
ても、２、３ｍの長さを要し撓みの発生は当然のこと、
バイパスケーブルの相間隔の保持が困難で危険であり、
十分防護する必要がある。３相一括のケーブルを使用す
れば重量と撓みにより取扱いが一層困難となる。

【０００６】また電柱に引留めた電源側と負荷側の高圧
配電線との間隔は電柱を挟む配電線の屈曲度とか支持碍
子の構成等により１ｍ程度の差は避けられないので、バ
イパスケーブルをその都度間隔に合わせた長さとしなけ
ればならず、従って、バイパスケーブル接続が甚だ煩雑
な工法となり、開閉器等の修理、取替をする前に仮送電
を先行するにしては時間がかかり過ぎて問題となってい
た。

【０００７】この考案は従来の問題点を解決するため、
一対の支持管を中央の接続管で屈曲可能として直線又は
所望角度とし、支持管のガイド管を進退させ両端のバイ
パス接続線の長さを調整し、一体の装置として高圧配電
線の引留クランプの電源側と負荷側とに短時間で安全か
つ容易に接続可能とし、早期送電、早期復旧を可能とし
た高圧バイパス接続装置を提供するにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この考案の高圧バイパス
接続装置は一対の絶縁支持管１、２を絶縁ゴム、合成樹
脂製等からなる屈曲自由な接続管３で接続し、両支持管
１、２内に導体管４、５を固定し、屈曲可能なバイパス
接続線６を前記接続管３内に挿通し、その両端を両側の
導体管４、５に通電可能な接触状態を保って摺動自由に
結合し、かつ、該支持管１、２の他端部には導体管との
間に絶縁ガイド管７、８を一定ストローク出没可能に備
え、前記導体管４、５の他端には配電線Ｃに接続する屈
曲自由なバイパス接続線９を通電可能な接触状態を保っ
て摺動自由に結合し、前記接続管３の両側の支持管１、
２を電柱Ａの腕金Ｂ等に架設する支持板１０の両側に回
動自由に備えた回動受台１１、１２に支承し、支持管
１、２を回動受台と共に回動して直線又は所望の屈曲角
度に調整すると共に両側の絶縁ガイド管を進退し、両端
のバイパス接続線９の端子を電柱両側に施設した高圧配
電線Ｃに適宜接続具で接続可能としたものである。

【０００９】前記支持管１、２の角度調整手段として、
両回動受台１１、１２の支持孔１３に支持管１、２を挟
持し、該回動受台１１、１２を支持板１０の両側に穿設
した円弧状のガイド孔１４に結合軸１５で移動調整して
固定可能に備える。

【００１０】

【作用】この考案の構成によれば、柱上に引留クランプ
で張設した電源側と負荷側の配電線の直線又は屈曲角度
にほぼ合せるため、地上において回動受台１１、１２の
支持管１、２の固定を緩めて支持管の角度を設定した後
固定し、この高圧バイパス接続装置を作業車のクレーン
で吊り上げ、支持板１０を電柱Ａ上の腕金Ｂに適宜取付
金具を介して装着し、支持管１、２の絶縁ガイド管７、
８のフックに操作棒の係合突起を引掛け進退調整して配
電線の接続箇所の附近に位置させ、両端のバイパス線の
端子部のフックを同じく操作棒で引張りバイパス線をガ
イド管より引出して適宜接続具で接続箇所へ接続する。

【００１１】

【実施例】図１乃至図６において、１、２は一対の長尺
の絶縁支持管、３は絶縁ゴム、合成樹脂製で両側にベロ
ーズ１６、１６を設けて屈曲自由とした接続管で、該接
続管を支持管１、２の対向端に嵌合固定して接続する。

【００１２】４、５は導電性の導体管で、前記支持管
１、２と略同じ長さで、後述のガイド管７、８より小径
とし、該支持管１、２と該導体管の外面間に環状の固定
具１７を介在しねじ１８で固定する。該導体管４、５の
両端の内周には後述の接触端子２０の抜け止め用ストッ
パー１９を設ける。

【００１３】６は屈曲自由なバイパス接続線で両端に接
触端子２０を設け、前記接続管３内に該バイパス接続線
を挿通し、両端の接触端子２０、２０を両側の導体管
４、５に通電可能な接触状態を保って摺動自由に挿入す
る。

【００１４】該接触端子２０は一端にバイパス接続線６
を挿入する挿入孔２１を設け、他端に帯状の接触バネ２
４を環状に装着する細径部２２とバネ端を係合する大径
部２３とを交互に設け、その細径部２２に接触バネ２４
を湾曲状に屈曲して細径部の両側の大径部２３の傾斜面
に係止して装着し、導体管４、５の内面に圧接せしめて
通電可能とする。

【００１５】７、８は支持管１、２の他端部に導体管
４、５との間に一定ストローク出没可能に備えた絶縁ガ
イド管で、支持管先端にストッパー２５を嵌合し、保護
キャップ２６を被嵌し、かつガイド管７、８の内端外周
にそのストッパー２５に対向するストッパー２７を設
け、ガイド管を所望ストローク進退自由に備える。該ガ
イド管７、８の先端部にフック２８を設け、適宜操作棒
の係合突起をフック２８に引掛けて進退する。

【００１６】９は、屈曲自在なバイパス接続線で、その
一端に前記と同じように接触端子２０を設け、他端に接
続端子２９を設ける。該接続端子２９は一端に接続線を
挿入する挿入孔３０、他端に接続部３１を設け、該接続
部３１には予め配電線に接続する適宜の電線接続具Ｆを
接続固定し、かつ中途にフック３２を設けて該フック３
２に操作棒の係合突起を引掛けてバイパス接続線９を引
出すようになす。１９′はバイパス接続線の抜け止めス
トッパーである。

【００１７】１０は長方形の支持板で、その上面両側に
支持管１、２を支持する回動受台１１、１２を回動自由
に備え、その下面中央を電柱Ａの腕金Ｂに取付金具３
３、碍子体３４を介在して取着する。３５は吊上げ用の
フックである。

【００１８】１１、１２は支持板１０の両側に所定角度
回動自由に備える回動受台で、上部に支持管１、２を挿
入支持する支持孔１３を設け、その上面より支持孔１３
まで切断して二つ割とした挟持部３６を設けてそれに直
交する方向にボルト３７を締付け固定可能とし、かつ支
持板１０の両側に円弧状ガイド孔１４を穿設し、回動受
台１１、１２の両側に縦方向に設けた取付孔３８に結合
軸１５を挿入し、ガイド孔１４を挿通し支持板１０の下
面の止め板３９に結合する。実施例では結合軸１５を締
付けねじとし、ねじにカラー４０を嵌めてガイド孔１４
に沿って回動自由として、止め板３８に螺合し、回動受
台１１の位置決め後、締付けねじを締付けて回動受台１
１を支持板１０に固定する。又、４１は前記止め板３９
を所定角度以上廻らないように受止めるストッパーで、
支持板１０の下面に固定してある。

【００１９】図７において電柱に電源側および負荷側の
配電線Ｃを引留めクランプ４２で引留め、両配電線Ｃを
開閉器Ｄを介して接続線Ｅで接続してあり、その引留め
クランプ４２の絶縁カバー４３の端部を蝶番式に開放可
能構造として開放すると絶縁配電線Ｃの一部の被覆が剥
がされており、分岐、バイパス、アース等の接続が可能
となっているのでここへ本装置の端部に取付けた電線接
続具Ｆを接続すればよい。

【００２０】而して、柱上開閉器が故障した場合、故障
区間の送電を止めて地上において電柱上の配電線の直線
或いは屈曲角度に支持管１、２を略適合させるために回
動受台１１の締付けねじ１５を緩めて回動受台１１をガ
イド孔１４に沿って回動し、支持管１、２の向きを調整
し回動受台１１の位置決めをして締付け固定した後、本
装置全体を作業車のクレーンで吊り上げ、装置中央下部
の取付金具３３を電柱Ａの腕金Ｂに装着する。作業者は
作業車のバケットから安全な態勢で装着作業等を行う。

【００２１】次いでガイド管７、８のフック２８に操作
棒を引掛けて高圧配電線の分岐接続部の近くまで引出
す。この時バイパス接続線９もガイド管と同時に引出さ
れる。しかる後、そのバイパス接続線９の端子部のフッ
ク３２を高圧配電線の分岐接続部へ引出して接続し、バ
イパス接続作業を完了し、仮送電を行うものである。

【００２２】

【考案の効果】この考案によれば、高圧配電線路におけ
る柱上に設置された開閉器等の機器類が故障により送電
不能となった場合、本装置の支持管を配電線の屈曲度に
合うように直線或いは所望の角度に調整して、当該電柱
の腕金上に本装置を設置し、その両端のガイド管、バイ
パス接続線を操作棒で引出して電源側と負荷側の配電線
に迅速かつ安全に接続することができ、従って短時間で
仮送電でき、早期送電、早期復旧させることができる。

【００２３】支持管、接続管は撓みを生ずることなく安
全に設置でき、配電線の屈曲箇所に対応して接続管で屈
曲して支持管を配電線に沿わせることができ、かつガイ
ド管、バイパス接続線を配電線の接続間隔に応じた長さ
に調節が可能であるから仮送電のバイパス接続作業を短
時間で安全かつ容易に行うことができる。従って、下方
での故障した開閉器等の取替え作業も支障なく安全に行
うことが可能となった。

【００２４】本装置は小型軽量で取扱い易く、装置全体
の吊上げは作業用のクレーンにより機動力を用い、クレ
ーンのバケットの中から直接手を触れず操作棒により、
特に熟練を要さず作業は安全・迅速・適確・容易に行な
うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の高圧バイパス接続装置を示す正面図
である。

【図２】同平面図である。

【図３】要部拡大正面図である。

【図４】要部拡大平面図である。

【図５】支持管と接続管等の拡大断面図である。

【図６】支持管、ガイド管等の拡大断面図である。

【図７】本装置の設置状態を示す正面図である。

【符号の説明】

１ 絶縁支持管 ２ 絶縁支持管 ３ 接続管 ４ 導体管 ５ 導体管 ６ バイパス接続線 ７ 絶縁ガイド管 ８ 絶縁ガイド管 ９ バイパス接続線 １０ 支持板 １１ 回動受台 １２ 回動受台 １３ 支持孔 １４ ガイド孔 １５ 結合軸 Ａ 電柱 Ｂ 腕金 Ｃ 配電線

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の絶縁支持管（１）（２）を絶縁ゴ
   ム、合成樹脂製等の屈曲自由な接続管（３）で接続し、
   両支持管（１）（２）内に導体管（４）（５）を固定
   し、屈曲可能なバイパス接続線（６）を前記接続管
   （３）内に挿通しその両端を両側の導体管（４）（５）
   に通電可能な接触状態を保って摺動自由に結合し、か
   つ、該支持管（１）（２）の他端部には導体管との間に
   絶縁ガイド管（７）（８）を一定ストローク出没可能に
   備え、前記導体管（４）（５）の他端には配電線（Ｃ）
   に接続する屈曲自由なバイパス接続線（９）を通電可能
   な接触状態を保って摺動自由に結合し、前記接続管
   （３）の両側の支持管（１）（２）を電柱（Ａ）の腕金
   （Ｂ）等に架設する支持板（１０）の両側に回動自由に
   備えた回動受台（１１）（１２）に支承し、支持管
   （１）（２）を回動受台と共に回動して直線又は所望の
   屈曲角度に調整すると共に両側の絶縁ガイド管を進退
   し、両端のバイパス接続線（９）の端子を電柱両側に施
   設した高圧配電線（Ｃ）に接続可能としたことを特徴と
   する高圧バイパス接続装置。
2. 【請求項２】 支持管（１）（２）の角度調整手段とし
   て、両回動受台（１１）（１２）の支持孔（１３）に支
   持管（１）（２）を挟持し、該回動受台（１１）（１
   ２）を支持板（１０）の両側に穿設した円弧状のガイド
   孔（１４）に結合軸（１５）で移動調整して固定可能に
   備えた請求項１記載の高圧バイパス接続装置。