JPH0645860B2 - 耐摩耗性に優れたTi―A▲l▼金属間化合物基合金製部材およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性に優れたTi―A▲l▼金属間化合物基合金製部材およびその製造方法

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JPH0645860B2 JP2011069A JP1106990A JPH0645860B2 JP H0645860 B2 JPH0645860 B2 JP H0645860B2 JP 2011069 A JP2011069 A JP 2011069A JP 1106990 A JP1106990 A JP 1106990A JP H0645860 B2 JPH0645860 B2 JP H0645860B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、 TiAl金属間化合物基合金またはTi3Al金
属間化合物基合金(以下、まとめて「Ti−Al金属間化
合物基合金」と記すことがある)で製造されたエンジン
バルブ、タービンブレード、バネ等の機械部品(この明
細書では、機械部品、その他の製品、半製品をまとめて
「部材」という)であって、その表層部の少なくとも一
部が耐摩耗性に極めて優れた組織になっているもの、お
よびそのような部材の製造方法に関する。
(従来の技術) Ti−Al金属間化合物基合金は、下記のような優れた特
性を有することが知られている。
比重がおよそ 3.8と、極めて軽い。
高温における耐酸化性が良好である。
高温クリープ特性に優れる。
高温強度および比強度が例えばNi基合金のインコネ
ル713(商品名)よりも高い。
このような特性に着目して、Ti−Al金属間化合物基合
金を自動車や航空機のエンジンバルブ等の軽量耐熱機械
部品材料として実用化しようとする試みがなされてい
る。
特に、TiAlはL10型の結晶構造を有しており、TiとAl
の2元系においては、化学量論組成(Ti−36wt%Al)
からAl側に広い固溶範囲を形成するとともに、第3元
素もある程度固溶することができる。ところが、TiAl
金属間化合物基合金は上記のような優れた特徴をもつ反
面、Ni基合金、耐熱鋼、通常のTi基合金(例えば、Ti-6
Al-4V)等に比べて常温延性が著しく低く、塑性加工
が困難であるという欠点がある。従って、TiAl金属間
化合物基合金の機械部品を実用化するためにはこの欠点
を解消する必要がある。
TiAl金属間化合物基合金の常温延性を改善するため方
法は既に幾つか提案されている。(以下、成分含有量に
関する「%」は全て「重量%」を意味する。) 例えば、特開昭61−41740号公報には、第3元素としてM
nを添加したTi−(30〜36)%Al−(0.1〜5.0)%Mn合金
が、また特開昭63−125634号公報には、第3元素として
Bを添加したTi−(33〜38)%Al−(0.05〜0.20)%B合
金が、それぞれ示されており、これらの合金は、常温延
性がある程度改善されている。
しかしながら、TiAl系合金を軽量耐熱機械部品等とし
て実用化するためには、もう一つの問題を解決する必要
がある。それは、耐摩耗性の向上である。即ち、機械部
品には前記のエンジンバルブのように他の部品と常に摺
動しながら動くものが多く、そのような部品において
は、自身が激しく摩耗するだけでなく、相手部品をも損
傷させることがある。ところが TiAl金属間化合物基合
金そのものの実用化研究が未だ緒についたばかりである
ため、この合金がどれほどの耐摩耗性をもっているのか
ということさえ十分には知られておらず、ましてその耐
摩耗性向上の対策は殆ど検討すらなされていない。この
ような事情は、Ti3Al金属間化合物基合金でも同じであ
る。この合金もTiAl金属間化合物基合金と同様に軽量
で優れた耐熱性を有しているが、耐摩耗性については未
知であった。そこで、本発明者らがTiAl基およびTi3A
l基合金の摺動耐摩耗性を調べた結果、耐熱機械部品と
して用いることができるほど十分な耐摩耗性を具備して
いないことが判明した。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の課題は、TiAl金属間化合物基合金およびTi3A
l金属間化合物基合金のもつ軽量でかつ高温強度および
比強度に優れた特性を損なうことなく、その合金製の部
材の耐摩耗性を改善することにある。本発明の直接的な
目的は、表層部の少なくとも一部(摺動摩耗にさらされ
る部分)に耐摩耗性に優れた組織を持たせたTi−Al金
属間化合物基合金製の部材を提供すること、およびその
ような部材を容易に製造できる方法を提供することにあ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明の要旨は、次のとにある。
TiAl金属間化合物基合金またはTi3Al金属間化合
物基合金製の部材であって、その表層部の少なくとも一
部が、β相チタン合金の素地に晶出または/および析出
した炭化チタン、さらに必要に応じて分散した硬質セラ
ミックスを含む組織であることを特徴とする耐摩耗性に
優れたTi−Al金属間化合物基合金製部材。
TiAl基金属間化合物基合金またはTi3Al金属間化
合物基合金製の部材の表面の少なくとも一部に、チタン
または/およびチタン合金の粉末と、炭化タングステン
または/および炭化クロムの粉末と、さらに必要に応じ
て加えられる硬質セラミックス粉末を主成分とする肉盛
材料を用いて肉盛し、表層部に上記に記載の組織を形
成させるTi−Al金属間化合物基合金製部材の製造方
法。
本発明者は、前記の目的を達成する手段として、肉盛法
によって部材の所定箇所の表層部を耐摩耗性に優れた組
織にする方法を採用した。肉盛法によれば、部材の大部
分に影響を与えず、即ち、Ti−Al金属間化合物基合金
の本来の特性に影響を及ぼさずに、部材の摺動摩耗を受
ける部分だけに耐摩耗性を持たせることができる。肉盛
法自体は、すでに機械部品に耐摩耗性を付与する手段と
して周知の技術であるが、本発明の対象となるTi−Al
金属間化合物製の部材にこれを適用するには、以下に述
べる特別の条件によらねばならない。即ち、肉盛材料を
適切に選定し、TiAl基およびTiAl基合金表面に耐摩耗
性に優れ、かつ硬化処理中にも割れや気泡などの発生が
なく、また使用中にも割れの発生のない硬化肉盛層を形
成させる必要がある。以下、そのための諸条件を詳しく
説明する。
(作用) 本発明の対象になる部材の原材料となるTiAl金属間化
合物基合金は、Tiをベースにして32〜36%のAlを含有
する合金である。Al含有量が36%を超えると室温から
約1500℃までの間が単相領域となって、所望の常温延性
(延びが1.5%以上)が得られず、一方、Al含有量が32
%未満の場合には、合金は〔TiAl+Ti3Al〕の2相組
織となるものの、Ti3Alの比率が高くなりすぎて高温強
度が低下する。このTiAl金属間化合物基合金中には、
常温強度、延性、耐熱性、高温強度等を改善するため
に、Mo、 Nb、 Cr、 Mn、 Ag、V等の1種以上を0.1〜5%
の範囲で含有させてもよい。また、上記の元素ととも
に、或いは単独で0.05〜0.2%のBを含有させてもよ
い。
Ti3Al金属間化合物基合金は、Tiをベースとして Alを
12〜16%含む合金、または更にV、Mo、 Nb、 Ta、W、C
r、 Mn、 Fe、 Co、 Ni、 Cuなどのβ相安定化元素を1種以
上、およそ20%程度まで含む合金である。
上記のTi−Al金属間化合物基合金のインゴットは、Ar
アーク溶解法、プラズマアーク溶解法、真空アーク溶解
法等によって製造し、それを精密鋳造法、恒温鍛造法等
で素形材とする。その後、偏析軽減と加工歪除去のため
に1000〜1250℃の焼鈍を行うことが望ましい。つづい
て、切削加工等によって所定形状の部材とする。
こうして得られた部材の表面の少なくとも摺動摩擦にさ
らされる部分を、β相チタン合金に晶出または/および
析出した炭化チタン、または更に分散した硬質セラミッ
クスを含む組織にする。
なお、硬質セラミックスとは、Al2O3、 Cr2O3、 ZrO2、Si
O2、 TiO2、 TaO 等の金属酸化物、TiC、W2C、 WC、 Cr3C2
HfC、 SiC、 TaC、 MoC、 VC、 Fe3C、 NbC等の金属炭化物、B
N、 TiN、 Cr3N、 NbN、 ZrN、 Mo2N、 HfN、 TaN等の金属窒化
物、TiB2、 VB2、 CrB2等の金属硼化物であり、さらにMo2
Si、 NiTi等の金属間化合物も本発明では硬質セラミック
スと呼ぶことにする。これらは肉盛り時に全てまたは一
部が溶解するものがあるが、溶解せずに残留したものが
分散した硬質セラミックスである。
前記のような組織とするのは、下記の肉盛法による。即
ち、PTA法(Plasma Transferred Arc法)、プラズマ
トーチ法、TIG法、レーザービーム法或いは電子ビー
ム法などの公知の方法を用いて肉盛層を形成するに際し
て、肉盛材料としてチタン(工業用純チタン)またはチ
タン合金(周知のα型Ti合金、α+β型Ti合金、β型Ti
合金のいずれでもよい)の粉末、或いはこれらの混合粉
末をベース粉とし、これに炭化タングステン(W2C)また
は/および炭化クロム(Cr2)の粉末を加えた混合粉末を
使用する。この混合粉末はチタン系であるため、TiA
l、Ti3Alの金属間化合物基の母材とのぬれ性および溶
け込み性が良好で、その結果、肉盛処理中に割れや気泡
などの欠陥発生がない。後に実施例の項で示すように、
Ni基、Co基、或いはFe基の肉盛材料では、健全な肉盛が
できない。
チタン材料と混合する炭化タングステン(W2C)または/
および炭化クロム(Cr3C2)は、肉盛作業において容易に
溶融混合する物質である。本発明方法によれば、この溶
融金属が凝固する際に晶出するか、または、凝固後に析
出する炭化チタンの耐摩耗性向上の作用を利用する。溶
融金属はチタン系であるから、上述のように金属間化合
物とのぬれ性は良好である。
チタン粉としてチタン(工業用チタン)、α型チタン合金
またはα+β型合金を使用する場合、タングステンまた
は/およびクロムはこれらのチタン系物質中に溶解して
β相合金となり、一般に肉盛り材はマスの大きな母材に
よって急冷され、室温においてβ相の素地となる。すな
わち肉盛層はβ相の素地に微細に晶質または/および析
出した炭化チタンを含む組織となる。タングステンまた
は/およびクロムを含む素地は高靭性であって、炭化チ
タンを強固に保持し、耐摩耗性を向上させる。
チタン粉としてβ型チタン合金を用いる場合も上述と同
じ結果となる。したがってチタン粉は、所望の耐摩耗性
を得るために、肉盛材料として必要な炭化タングステン
または/および炭化クロム量、さらに必要に応じて若干
の金属または合金粉末を混合する場合に、肉盛りのため
の溶融後の冷却時に、容易に素地がβ相になる種類の型
のものを選べば良い。Ti−6Al−4V合金はそのための
好適な材料であり、安価に、また容易に入手が可能であ
る。
上述の作用を有する肉盛材料中の炭化物としては、一般
に金属炭化物が用いられるが、特にβ相を安定化させる
元素、例えばW、Cr、 Fe、 V、Mo、 Nbを含む炭化物があ
る。これらのうち製造の容易さからみて好適な炭化物
は、炭化タングステンおよび炭化クロムであり、さらに
好適な炭化物はW2CおよびCr3C2である。
上述のように肉盛材料中のタングステンまたはクロムの
炭化物は、その一部または全部が溶解して炭素(C)を
遊離し、これが肉盛材料および母材のTiと結合して炭化
チタン(TiC)を作る。これを反応式で示すと、下記の
とおりである。
WC+Ti → TiC+W W2C+Ti → TiC+2W Cr3C2+2Ti → 2TiC+3Cr 遊離したタングステン(W)、クロム(Cr)は強力なβ相安
定化元素であるから、基地に固溶してこれをベータ相に
変える。こうして高靭性β相の基地に高硬度のTiCが微
細に分散した組織が得られる。未溶解のタングステンま
たはクロムの炭化物(W2C、 Cr3C2)も同じくβ相の基地に
分散して耐摩耗性の向上に寄与する。
以上の結果、肉盛層と母材との境界部は急激な成分の傾
斜があり、金属間化合物からβ相までの組織変化を有
し、特に肉盛層には炭化チタンが晶出または/および析
出した組織となる。組織の例を第1図の写真に示す。第
1図の肉盛層には、微細な炭化チタンが存在することが
わかる。
耐摩耗性向上の目的を充分に達成するには、第1に溶解
時に容易に解離する金属炭化物を用いることが必要であ
り、第2に炭化チタンの存在だけでなく、素地のβ相化
と、その高強度化と高靭性化との相乗効果を出さなけれ
ばならない。両者の性質を兼ね備えたものとした炭化タ
ングステンまたは/および炭化クロムが好適である。
前記のβ相素地にTiC(場合によっては更にCr3C2、 W
2C)の微細粒子が晶出または/および析出した組織は、
肉盛だけで形成できる。
肉盛材料には、必要に応じてMo、 Sn、 Zr、 Ni等の純金属
または合金の粉末、および前述した硬質セラミックスの
粉末を加えることができる。前者(純金属または合金粉)
を加える目的は、素地の高強度化と高靭性化とβ相化の
容易さの調整のためであり、後者(硬質セラミックス粉)
の添加目的は、肉盛層の硬度の調整である。即ち、β層
の素地にTiCが晶出または/および析出した、または更
に微量の未溶解Cr3C2、 W2C の粒子が分散した組織だけ
ではなお耐摩耗性が不十分な場合に、他の硬質セラミッ
クスの粒子をも分散させてそれを改良するのである。
このようにして得られる本発明のTi−Al金属間化合物
基合金製部材は、その製造が容易であるだけでなく、使
用中に割れが発生することもない。また、ガイド材等と
の摺動に際し、肉盛層も相手材も摩耗しないという良好
な耐摩耗適合性を発揮する。
以下、本発明の肉盛方法に使用する粉末の好ましい条件
について述べる。
チタンまたはチタン合金粉末の粒度としては60メッシュ
から 250メッシュまでが望ましい。60メッシュを超えた
粗粒粉末があると、硬化肉盛部で未溶解となる場合が発
生し母材との融合性が低下して、健全な肉盛層が得られ
ないことがある。一方、 250メッシュ未満の細粒粉末が
あると添加粉末の流動性が低下し、粉末供給設備中で目
づまりが生じるようになって、円滑な粉末供給が難し
い。
チタンまたはチタン合金粉末の形状は多角形状が望まし
い。PREP法やアトマイズ法などにより製造された球
状粉末に比して、肉盛作業時の溶解性および分散、均質
化性が良好であるとともに、炭化タングステンや炭化ク
ロムの粉末、前記の純金属粉末および硬質セラミックス
粉末との混合も均一になりやすい。
なお、粉末供給装置を2台用いてチタンまたはチタン合
金粉と炭化物粉等を別々に供給する場合は、肉盛溶着部
でこれらが混合されるから、チタンまたはチタン合金粉
末は球状であっても差し支えない。
チタンまたはチタン合金粉末の含有酸素量は、0.2〜0.5
重量%であることが望ましい。酸素は、母材へのぬれ性
および溶け込み性を良好ならしめ、かつ硬さを向上せし
めて摺動中の肉盛部の塑性変形を防止する。
炭化タングステン粉末、炭化クロム粉末は単独で使用し
てもよく、2種複合して使用してもよい。これらは、単
独または複合で肉盛材料(混合粉末)の3〜70重量%とす
るのが適当である。3%未満では耐摩耗性向上効果が乏
しい。70%を超えると肉盛部に割れが生じやすくなり、
また靭性が劣化する。また、炭化タングステン粉末、炭
化クロム粉末の粒度は溶解性の観点から60メッシュ以下
の細粒が望ましい。なお、W2C粉末の場合、W2Cの未溶解
粒子が肉盛部に残る場合があるが、基地をβ相にするに
足りる量以上のWが溶け込んでいれば耐摩耗性には問題
がない。
(実施例1) Arアーク溶解により第1表記載の組成のTi−Al金属間
化合物基合金のインゴットを作った。
上記4種のインゴットを1200℃で恒温鍛造した後、切削
し、直径100mm、長さ10mmの肉盛用母材を作成した。な
お、第1表の(a)、(b)、(c)、(p)の合金はすべて常温で
1.5%以上の伸びを示し、耐熱機械部品として適用可能
である。
一方、肉盛材料として第2表に示す6種類を準備した。
第2表のTi-6Al-4V合金粉末は、水素化チタン粉砕法に
より多角形状とするとともに、80〜200メッシュの粒度
範囲に調整したものである。また、Cr3C2およびW2Cは10
0〜350メッシュ、TiO2は700メッシュの粉末である。
第1表の母材と第2表の肉盛材料とを組み合わせて、P
TA法およびプラズマトーチ法により厚さ4mmの肉盛を
行った。肉盛操作の条件は第3表に示すとおりである。
第4表は、肉盛部分の表面拡大観察および断面の顕微鏡
観察により調べた割れ、欠陥の有無をまとめたものであ
る。
第4表から、Ti−Al金属間化合物基合金への肉盛用粉
末材料としては、チタンベース粉末しか使用できないこ
とがわかる。
(実施例2) 第1表に示した(a)、(b)、(c)と(p)の母材を使用して、
第3表の条件でPTA法またはプラズマトーチ法で厚さ
4mmの肉盛を行った。
使用した肉盛材料を第5表に示す。本発明の条件に沿う
のは材料〜である。比較例として炭化物粉末のみの
〜、肉盛材料を用いずに酸素の吹き込みだけを行う
、さらにチタン合金粉末と肉盛部の硬度を上げるため
高酸素材またはTiO2のみを混合した粉末を用いた、
、他の硬質セラミックス粉末のみを混合した〜、
α型チタンまたはチタン合金を使用した、、の試
験を行った。
こうして肉盛した母材から直径10mm×長さ40mmの摩耗試
験片(第2図参照)を切り出し、その表面を研摩した状
態で摩耗試験に供した。摩耗試験は第2図に概略斜視図
で示すような、ピンオンディスク方式で行った。試験条
件は次のとおりである。
荷重: 2kg重 摺動速度: 62.8m/分 摺動距離: 2.5×104m 相手材: ハイテン(HT60)鋼 潤滑油: なし 試験後の摩耗試験片の重量減を測定した。これらの測定
結果を併せて第5表に示す。なお、第5表には肉盛層の
硬さHvと、肉盛層の観察結果も示した。
第5表に示すように、W2Cまたは/およびCr3C2粉末を混
合したチタン合金粉末(〜)を用いて形成した肉盛
層は、TiAl合金母材との硬さ(約Hv250)との比較から明
らかなように、表面硬さが著しく上昇している。さら
に、摩耗減量がきわめて少なくなっており、耐摩耗性の
向上がみられる。しかも肉盛層には割れや気泡の発生が
なく、良好な状態を示している。特に、硬質セラミック
ス(TiO2)粉を添加したは、他の本発明例と比較して摩
耗量が少ない傾向にある。これらの本発明例優れた特性
は、素地が全てβ相化されていることに大きく依存す
る。
これに対して、〜で形成された肉盛層は、いずれも
硬さは極めて高いが割れや気泡が発生し、このような欠
陥は疲労破壊の起点ともなるため、実用に供することは
できない。また、、では肉盛層の硬度は高く、気泡
の発生はないが、耐摩耗性の改善は認められない。さら
に、〜に示すように単に硬質セラミックスを混合し
ただけでは素地がβ相になっていないため耐摩耗性の改
善は図れない。
〜は素地のα相のものであり、硬度が高くても耐摩
耗性の改善はない。
結局、適正量のW2CまたはCr3C2を含み、素地がβ相化し
た場合にのみ耐摩耗性改善の効果が十分に達成されてい
る。
(発明の効果) 本発明によれば、元来、高い耐熱性と比強度を有するTi
AlまたはTi3Alの金属間化合物基合金の部品に優れた
耐摩耗性を持たせることができる。例えば、エンジンバ
ルブのフェース面などのように、部品の必要な箇所だけ
に簡単に耐摩耗性の層を形成させることができるから、
自動車、航空機等の耐熱機械部品でしかも優れた耐摩耗
性を要求される部品の製造方法として実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のTi− Al金属間化合物基部材の表層
部(肉盛部)付近の金属組織を示す顕微鏡写真(倍率 1
00)である。 第2図は、摺動摩擦による摩耗試験の方法を説明する図
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiAl金属間化合物基合金またはTi3Al金
    属間化合物基合金製の部材であって、その表層部の少な
    くとも一部が、β相チタン合金の素地に晶出または/お
    よび析出した炭化チタンを含む組織であることを特徴と
    する耐摩耗性に優れたTi−Al金属間化合物基合金製部
    材。
  2. 【請求項2】表層部の少なくとも一部が、β相チタン合
    金の素地に晶出または/および析出した炭化チタンと分
    散した硬質セラミックスを含む組織である請求項(1)の
    部材。
  3. 【請求項3】 TiAl基金属間化合物基合金またはTi3Al
    金属間化合物基合金製の部材の表面の少なくとも一部
    に、チタンまたは/およびチタン合金の粉末と、炭化タ
    ングステンまたは/および炭化クロムの粉末を主成分と
    する肉盛材料を用いて肉盛し、表層部にβ相チタン合金
    の素地に晶出または/および析出した炭化チタンを含む
    組織を形成させる請求項(1)の部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 TiAl金属間化合物基合金またはTi3Al金
    属間化合物基合金製の部材の表面の少なくとも一部に、
    チタンまたは/およびチタン合金の粉末と、炭化タング
    ステンまたは/および炭化クロムの粉末と、硬質セラミ
    ックス粉末を主成分とする肉盛材料を用いて肉盛し、表
    層部にβ相チタン合金の素地に晶出または/および析出
    した炭化チタンと分散した硬質セラミックスを含む組織
    を形成させる請求項(2)の部材の製造方法。
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