JPH0645137B2 - タイヤ加硫用金型 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、タイヤ加硫用金型、特に、いわゆる割モール
ドに関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、タイヤ加硫用金型は加硫用の熱源を有してお
り、例えば、金型の内部にジャケット部が形成され、こ
のジャケット部内に加硫用の蒸気が熱源として循環され
るもの等が知られている。また、このような金型の周囲
には円筒状のシールド部が設置されており、このシール
ド部によって金型の保温が図られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記シールド部は、金型の保温を行うものであるが、金
型の外周部からその外側に離れた位置に設置されている
ので、金型の放熱を効果的に抑えることはできない。こ
のため、加硫用熱源の比較的大きなエネルギーロスが予
儀なくされているのが現状である。また、上記シールド
部は金型の周囲においてプレスの台上に固定される構造
物であるため、金型をプレスにセットする際には、上記
シールド部内で作業を進めなければならず、同シールド
部は上記作業の障害となり易い。

本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構造で、金型
自身のセット作業時の障害を招くことなく、そのエネル
ギーロスを効果的に抑制することができるタイヤ加硫用
金型を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、タイヤ加硫用金型において、その外周にリン
グ装着部を設け、このリング装着部に保温用リングを着
脱可能に装着したものである（請求項１）。

さらに、上記保温用リングを、中空状に形成されたリン
グカバー内に保温材が充填された二重構造とすることに
より、より効果的となる。

〔作用〕

上記構成によれば、金型外周部に装着される保温用リン
グにより、金型自身の保温が行われるとともに、この金
型の高温部の表面積が大幅に削減されることとなる。ま
た、この保温用リングは着脱可能であるため、金型をプ
レス等にセットした後に装着することができる。

さらに、上記保温用リングが、リングカバー内に保温材
が充填された二重構造である場合には、上記保温の度合
はより高められる。

〔実施例〕

本発明の一実施例をいわゆる割モールドにつき第１図〜
第３図に基づいて説明する。

ここに示されるタイヤ用割モールドは、タイヤ側壁部形
成用型である平面視略円形状の上部プレート１０および
下部プレート１２を備え、これらのプレート１０，１２
の周囲に、タイヤトレッド形成用型であるトレッドセグ
メント１４が配されている。このトレッドセグメント１
４は、第２図に示されるように、周方向に複数に分割さ
れており、各トレッドセグメント１４の内面には、タイ
ヤトレッドパターン形成用の凸部１５が金型中央に向け
て突設されている。

各トレッドセグメント１４は、セクターシュ１６によっ
て外側から支持されており、各セクターシュ１６は、金
型径方向（第１図では矢印Ａ方向すなわち左右方向）に
進退可能に下部プレート１２上に載置されている。この
セクターシュ１６の外周面は下方に向かうに従って拡径
する円錐面とされており、この面にはその母線方向に延
びる溝が形成されている。そして、このセクターシュ１
６の周囲にアクチュエータ１８が配されている。

このアクチュエータ１８は、加硫用熱源であるスチーム
が循環されるジャケット部１７を内部に有し、このジャ
ケット部１７にはスチーム給排管が接続されている。こ
のアクチュエータ１８の内周面は、上記セクターシュ１
６の外周面と合致する円錐面とされており、この面には
上記セクターシュ１６に設けられた溝に嵌合される溝が
形成されている。そして、このアクチュエータ１８が図
外のプレス開閉機構により上下方向に駆動されることに
より、上記セクターシュ１６およびトレットセグメント
１４が一体に金型径方向（上記矢印Ａ方向）に進退して
金型を開閉するようになっている。

そして、この金型の特徴として、上記アクチュエータ１
８の外周面の下部には、金型外側方向に突出するリング
載置部（リング装着部）１９が周方向全域に亘って形成
されており、このリング載置部１９上に、円筒状の保温
用リング２０がアクチュエータ１８の外周面に着脱可能
に載置されるようになっている。なお、この保温用リン
グ２０は、アクチュエータ１８の外周面と接触する状態
で装着すれば一層高い保温効果を得ることができる。

この保温用リング２０は、耐熱性プラスチックや金属薄
板等で中空状に形成されたリングカバー２２を備え、こ
のリングカバー２２内に石綿や空気等の保温材２４を入
れた二重構造となっている。なお、本発明ではこの保温
用リング２０の高さ寸法を問わないが、実用上はアクチ
ュエータ１８の高さ寸法Ｌの１／３以上で略同等以下で
あることが望ましい。

このような金型によれば、上記保温用リング２０がアク
チュエータ１８の外周部に接触する状態で載置されるこ
とにより、上記アクチュエータ１８内で循環されるスチ
ームからの放熱を効果的に抑え、これによって、従来の
シールド部を省略しながらも、エネルギーロスの大幅な
低減を図ることができる。具体的に、上記シールド部に
代えて保温用リング２０を適用したところ、エネルギー
ロスが従来の25％から10％以下まで低減されたことが確
認されている。

さらに、第３図に示されるように、この保温用リング２
０はアクチュエータ１８に対して容易に着脱が可能であ
るため、金型をプレス等にセットした後に装着すること
ができる。このため、従来のシールド部のように金型を
セットする際には邪魔とならず、その作業性は大幅に向
上する。

また、上記第３図に示されるようにアクチュエータ１８
の外周部にジャケット部１７へのスチーム出入口３１が
突設されている場合には、保温用リング２０において上
記スチーム出入口３１に対応する位置に、第３図に示さ
れるような下向きに開口する切欠部３０を設け、装着時
にもスチーム出入口３１はカバーしないようにすれば、
このスチーム出入口３１の機能を損うことなく上記の優
れた保温効果を得ることができる。

なお、本発明では上記保温用リング２０の具体的な構造
として種々のものがある。例えば、第４図（ａ）に示さ
れるように、上記リングカバー２２を、このリングカバ
ー２２よりもさらに一回り大きいリングカバー２６内に
入れ、小さい側のリングカバー２２内には石綿からなる
保温材２４１を入れ、このリングカバー２２と大きい側
のリングカバー２６との間の空間には保温材２４２とし
て空気層を形成するようにすれば、さらに優れた保温効
果を得ることが可能である。また、第４図（ｂ）に示さ
れるように、上記リングカバー２２内に保温材２４２と
して空気層を形成し、このリングカバー２２とリングカ
バー２６との間に石綿からなる保温材２４１う充填する
ようにしてもよい。

また、本発明では保温用リングが必ずしも２重構造でな
くてもよく、例えば石綿等の保温材のみで一体にリング
状に形成したものでも代用が可能である。

また、本発明では金型本体の具体的な構造を問わず、そ
の外周部にリング装着部を設け、これに保温用リングを
着脱可能に装着するようにすれば、上記と同様の効果を
得ることができる。例えば、上記実施例におけるアクチ
ュエータ１８の周縁部に上方に開口するリング状の溝を
設け、この溝内に保温用リング２０を挿入するようにし
てもよい。

〔発明の効果〕

以上のように本発明は、外周部に形成したリング装着部
に保温用リングを着脱可能に装着したものであるので、
この保温用リングによって従来のシールド部等と比べよ
り高い保温効果を得ることができ、これによって金型に
おけるエネルギーロスを大幅に低減させることができる
効果がある。しかも、この保温用リングは金型に対して
着脱可能であり、例えば金型をプレスにセットした後に
装着することができるため、従来のシールド部のように
金型のセット作業等の障害とならない。

さらに、上記保温リングを装着することにより、高温
（タイヤ加硫用割モールドでは約１８０℃）での使用を
終えた金型の高温部分の表面積を大幅に削減することが
できる。このため、作業者が上記高温部に接触すること
を未然に防ぐことができ、金型作業の安全性をより高め
ることができるとともに、取外し作業も金型の冷却を持
つことなく開始することができるため、工程の時間短縮
を図ることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例におけるタイヤ加硫用金型の
断面正面図、第２図は第１図のII−II線断面図、第３図
は同金型に対する保温用リングの取付要領を示す斜視
図、第４図（ａ）（ｂ）は他の実施例における保温用リ
ングの内部構造を示す断面図である。 １８……金型におけるアクチュエータ、１９……リング
載置部（リング装着部）、２０……保温用リング、２
２，２６……リングカバー、２４……充填材。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】タイヤの加硫を行うための金型において、
   その外周にリング装着部を設け、このリング装着部に保
   温用リングを着脱可能に装着したことを特徴とするタイ
   ヤ加硫用金型。
2. 【請求項２】上記保温用リングは、中空状に形成された
   リングカバー内に保温材が充填された二重構造であるこ
   とを特徴とする請求項１記載のタイヤ加硫用金型。