JPH0643511A - 分極反転構造を有する光導波路及びその製造法並びに光導波路に分極反転構造を付与する装置 - Google Patents

分極反転構造を有する光導波路及びその製造法並びに光導波路に分極反転構造を付与する装置

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JPH0643511A
JPH0643511A JP3151773A JP15177391A JPH0643511A JP H0643511 A JPH0643511 A JP H0643511A JP 3151773 A JP3151773 A JP 3151773A JP 15177391 A JP15177391 A JP 15177391A JP H0643511 A JPH0643511 A JP H0643511A
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optical
coherence length
polarization inversion
waveguide
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JP3151773A
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Akio Hayashi
昭男 林
Seizo Miyata
清蔵 宮田
Toshiyuki Watanabe
敏行 渡辺
Kunoburotsuho Hararudo
ハラルド・クノブロッホ
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Nippon Oil and Fats Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 導波層がコヒーレンス長レベルの周期的分極
反転構造を有し、該導波層が非線形光学特性を有する光
学材料からなり、且つ該光学材料が、周期的分極反転構
造を形成する前後において組成が同一であることを特徴
とする光導波路及びその製造法並びに該光導波路に周期
的分極反転構造を付与する装置。 【効果】本発明の光導波路は、導波層が、周期的分極反
転構造の形成前後において同一組成の光学材料で形成さ
れているので、屈折率が光導波路内で均一であり、光散
乱による伝搬損失を少なくすることができ、またコヒー
レンス長レベルの周期的分極反転構造を有するので、特
に二次高調波の変換高率に優れる。また本発明の方法及
び装置では、電界配向法及び干渉縞を利用した配向法に
よりコヒーレンス長レベルの周期的分極反転構造を形成
するので、容易にしかも優れた精度で分極反転構造を有
する光導波路を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コヒーレンス長レベル
の周期的分極反転構造を有する光導波路及びその製造法
並びに光導波路に分極反転構造を付与する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、レーザー光の強電界
下で二次以上の非線形応答や電気光学効果を示す材料で
あり、波長変換、増幅、変調、超高速光スイッチング、
双安定メモリ、論理素子等の数多くの素子機能をもたら
すことから、オプトエレクトロニクスや光コンピュータ
ーの基幹素材として注目されている。従来KDP(KH2P
O4)、LiNbO3等の無機強誘導体や半導体を中心に開発が
成されており、また近年、尿素、2−メチル−4−ニト
ロアニリン、メチル−(2,4−ジニトロフェニル)ア
ミノプロパネート、3−メチル−4−ニトロピリジン−
1−オキサイド等の有機非線形光学材料が、従来の無機
材料に比して非線形応答性に優れていることが指摘さ
れ、この様な有機非線形材料についても注目されてい
る。
【0003】一方、周期的に非線形係数の方向だけを逆
転させた周期的分極反転構造では、各層の分極波の進行
方向の厚さをコヒーレンス長(位相不整合成分がπとな
る長さ)の奇数倍とした際に、各層で発生した非線形分
極により生ずる波が互いに同位相となり強め合うことが
知られている(J.A.Armstrong,N.Bloembergen,J.Ducuin
g and P.S.Persh-an,Physical Review.127,(1962),P191
8,D.Feng,N-B Ming,J-F Hong et.al.Appl-ied Physical
Letters,37,(1980),P607〜P609)。また従来、光導波路
において行われているモード分散位相整合は、数十Å単
位の膜厚制御が必要であり、温度条件も厳密であり、更
にチェレンコフ放射型位相整合は、出射光パターンが特
異な三日月状になるので実用上の問題がある。これに対
し、非線形光学媒質の周期的分極反転構造による疑似位
相整合は、比較的条件が緩やかである。そこでこのよう
な点から、最近、LiNbO3、LiTaO3等の無機強誘電性材料
について、プロトン交換、チタン熱拡散等による内拡
散、外拡散による異種物質の導入又は物質の放出による
ミクロレベルの分極反転構造が製造され、規格化変換効
率20〜400%/Wcm2程度の高効率の高調波発生
が実現されている。
【0004】しかしながら、このような内拡散又は外拡
散による外部からのイオン種の導入又は放出による方法
では、膜厚方向と膜面方向との拡散が均等に生じ、膜厚
方向に十分なイオン種導入を行うことができず、矩形型
の制度の良い分極反転構造の精密加工が困難であり、更
に該加工に長時間を要するという欠点がある。また異種
物質を含有しているので、周期毎に屈折率の不均一が生
じ、周期界面での光散乱による損失や発生する高調波ビ
ームが拡散する等の問題がある。即ち、従来の周期的分
極反転構造を、コヒーレンス長の奇数倍とした光導波路
は、その製造法から異種物質の導入又は物質の放出をさ
せる必要があり、屈折率を均一とすることが可能な周期
的分極反転構造の形成前後における組成が同一の光学材
料からなる導波層を有する光導波路及びその製造法、更
にはこのような光導波路を製造するための装置について
は全く知られていないのが現状である。
【0005】更にまた、有機高分子非線形材料において
も、周期的分極反転構造の作成が検討されているが、従
来の周期的分極反転構造は、真の分極反転構造ではな
く、10μm程度の櫛型電極を用いた部分電界配向や部
分光分解による周期的分極構造であるために、所望の高
効率は達成されておらず、また櫛型電極による配向で
は、電界の周り込みによって、周期構造の精度に問題が
生じる。従って、従来、各層の厚さをコヒーレンス長の
奇数倍とした周期的分極反転構造について提案されてい
るものの、実際には、各層の厚さをコヒーレンス長の1
倍、即ち交互に周期的分極反転構造を付与した光導波路
については全く製造されておらず、更にこのような光導
波路を製造するための装置についても知られていないの
が実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、屈折率が光導波路内で均一であり、光散乱による伝
搬損失を少なくすることができ、従って二次高調波の変
換高率に優れた分極反転構造を有する光導波路を提供す
ることにある。
【0007】本発明の別の目的は、光導波路に、コヒー
レンス長レベルの周期的分極反転構造を容易に、しかも
優れた精度で形成することができる分極反転構造を有す
る光導波路の製造法を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、光導波路に、コヒー
レンス長レベルの周期的分極反転構造を容易に、しかも
優れた精度で形成することができる装置を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、導波層
がコヒーレンス長レベルの周期的分極反転構造を有し、
該導波層が非線形光学特性を有する光学材料からなり、
且つ該光学材料が、周期的分極反転構造を形成する前後
において組成が同一であることを特徴とする光導波路が
提供される。
【0010】また本発明によれば、周期的分極反転構造
を有する光導波路の製造法であって、光導波路を電界配
向法により一定方向に分極配向させた後、光導波路上
に、コヒーレンス長レベルの干渉縞を照射又は照射・加
熱しながら、前記分極配向とは逆向きの電界を印加し
て、前記照射又は照射・加熱部分のみを選択的に分極反
転させることを特徴とする周期的分極反転構造を有する
光導波路の製造法が提供される。
【0011】更にまた本発明によれば、光導波路にコヒ
ーレンス長レベルの周期的分極反転構造を付与する装置
であって、光導波路を固定する保持部材と、該光導波路
に電界を印加する電極部材と、少なくとも2つの平行な
光によって、該光導波路上にコヒーレンス長レベルの干
渉縞を照射するための照射手段とを備えることを特徴と
する光導波路に周期的分極反転構造を付与する装置が提
供される。
【0012】以下本発明を更に詳細に説明する。
【0013】本発明の分極反転構造を有する光導波路
は、導波層が、屈折率を均一にすることが可能な非線形
光学特性を有し、且つ周期的分極反転構造を形成する前
後において組成が同一である光学材料から成り、コヒー
レンス長レベルの周期的分極反転構造を有する。例えば
図1に示すようなコヒーレンス長で交互に周期的に分極
反転した構造13を有する導波路11を、基板12上に
備える光導波路10等を挙げることができる。この際図
1中のΛ/2は、コヒーレンス長を示す。
【0014】本発明の光導波路を構成する光学材料は、
非線形光学特性を有するものであれば特に限定されるも
のではなく、例えばN−メチル−N−(ニトロフェニ
ル)アミノメチルスチレンポリマー、アセタール化p−
ニトロアニリンポリビニルアルコール等の有機高分子非
線形光学材料;シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合
体等の強誘電性を有するポリマー;4−ニトロフェニル
イソシアン酸イソプロピル、尿素、2−メチル−4−ニ
トロアニリン、メチル−(2,4−ジニトロフェニル)
アミノプロパネート、3−メチル−4−ニトロピリジン
−1−オキサイド、4−ブロモ−4’−メトキシカルコ
ン等のカルコン誘導体等の有機非線形光学材料;KDP、L
iNbO3等の無機非線形光学材料等を挙げることができ、
特に作業性及びその優れた特性から有機非線形光学材
料、更には、基板上にスピンコーター等で容易に形成す
ることが可能な有機高分子非線形光学材料を好ましく用
いることができる。また該導波層下に形成する基板の材
料は、導波層を形成する材料よりも屈折率が低い物質で
あれば特に限定されるものではなく、例えばパイレック
スガラス、コーニングガラス等の光学研磨した透明材料
を好ましく挙げることができる。
【0015】本発明の光導波路において、導波層は、前
記光学材料により構成されておれば良いが、屈折率を均
一にし、光散乱等を少なくするために、前記光学材料を
周期的分極反転構造形成前後において組成を同一とする
必要がある。即ち製造の際に例えば内拡散又は外拡散に
よる異種物質の導入又は物質の放出により周期的分極反
転構造を作成したものではなく、同一組成の物質のみか
ら構成させる必要がある。
【0016】本発明の光導波路において、導波層の膜厚
は0.1〜100μmであるのが好ましく、また該導波
層に形成する周期的分極反転構造は、ミクロンレベル、
具体的には周期幅がサブミクロン〜数十ミクロンの範囲
における反転構造を有しておれば良い。即ちコヒーレン
ス長の奇数倍毎に反転した周期的分極構造であって、好
ましくは、波長変換の効率に特に優れ、且つ周期幅をな
るべく狭くして光導波路自体の小規模化が可能なコヒー
レンス長で交互に周期的に分極反転した構造であるのが
望ましい。ここでコヒーレンス長とは、導波層に用いる
材料により異なり、下記数式1により表すことができ
る。
【0017】
【数式1】
【0018】本発明の光導波路を製造するには、導波層
を構成する光学材料の組成を変えることなく、該導波層
に前記周期的分極反転構造を形成することが可能であれ
ば特に限定されるものではなく、例えば、まず基板上に
非線形光学材料を設置し、コロナポーリング法等の電界
配向法により、一定方向に分極配向させる。その後、該
導波層を一定方向に分極配向させた光導波路を冷却し、
該光導波路の導波層上に、コヒーレンス長レベルの干渉
縞を照射又は照射・加熱しながら、前記分極配向とは逆
向きの電界を印加して、前記照射又は照射・加熱部分の
みを選択的に分極反転させることにより得ることができ
る。前記電界の印加は、例えば1〜1000MV/cm
2の電界を、1〜100分間程度印加すれば良い。また
前記干渉縞は、例えば連続発振型赤外線レーザ、パルス
発振型赤外線レーザ等の光源を用い、該光源から照射さ
れる光を平行光線として、反射干渉法又は二光束干渉法
等により形成することができる。この際周期的分極反転
構造が形成されるのは、前記導波層上に形成される干渉
縞の明暗部分における温度差により、電界のかかり方に
差異が生じたり、高温部の可動性が大きくなるために、
明部のみが分極反転するからである。従って、干渉縞の
明暗部分における温度差を生じさせるために、干渉縞を
照射するが、無機の強誘電体物質のように、キューリ温
度が高い場合には、干渉縞を照射しながら、更に導波層
を加熱するのが好ましい。該分極反転を行わせる際の温
度は、導波層を形成する光学材料により異なり、例え
ば、無機及び有機の強誘電体物質の場合キュリー温度、
低分子有機材料の場合融点、また有機高分子材料の場合
ガラス転移温度の各温度付近の温度とするのが好まし
い。前記温度を超える場合には、熱運動が大きくなり電
界配向による効果が失われるので好ましくない。
【0019】前記方法を本発明の装置を参照して更に詳
細に説明する。
【0020】図2〜5は、本発明の装置の実施態様を示
す概略図であって、光導波路を固定する保持部材と、該
光導波路に電界を配向する電極部材と、少なくとも2つ
の平行な光によって、該光導波路上にコヒーレンス長レ
ベルの干渉縞を照射するための照射手段とを備えておれ
ば、これらに限定されるものではない。
【0021】図2において、20は光導波路に分極反転
構造を付与する装置であって、レーザ等の光線21と、
照射される光線21を平行光線に変換するアパーチャ
ー、レンズ22と、スリット23と、該平行光線を反射
させて、導波層24b上に干渉縞を形成させるためのミ
ラー24aとからなる照射手段が設けられており、該ミ
ラー24aには、絶縁部材24dを介して、導波層24
b及び基板24cからなる光導波路24がミラー24a
に対して垂直に保持されている。この場合、ミラー24
aは、照射手段を構成する部材であるとともに、光導波
路24を保持する保持部材としても作用する。また電極
部25は、導波層24bの上方に設置される線状又は針
状電極25aと、前記基板24cの底面に設置される黒
色平面電極25bとを備える。
【0022】即ち光導波路24に分極反転構造を付与す
るには、まず導波層24bを、コロナポーリング法等の
電界配向法により一定方向に分極配向させた後、オーブ
ン等により所望の温度に加熱処理した光導波路24を、
図2に示すように装置20に設置し、光線21を照射
し、レンズ22により平行光線に変換される照射光と、
ミラー24aの反射光との干渉縞を導波層24b上に形
成する。この際導波層24b上に形成される干渉縞の明
部のみが選択的に温度上昇する。また該干渉縞の間隔Λ
は、Λ=照射光の波長(λ)/2sinθ(θは光導波
路24の法線と照射入射光とのなす角度である)で表す
ことができ、導波層24bに形成される周期的分極反転
構造が、コヒーレンス長の奇数倍となるように、該θを
導波層24bの材料に応じて設定することができる。次
いで電極部25により光導波路24に、予め一定方向に
分極配向した分極配向とは逆向きの電界を印加すること
によって、前記選択的に温度上昇した導波層24b上の
明部のみが分極反転し、全体的にコヒーレンス長レベル
で周期的分極反転構造を有する光導波路を作成すること
ができる。
【0023】図3は本発明の装置の他の実施態様を示す
概略図であって、図に示される番号は20台の番号を3
0台の番号に変えたものである。但し、電極部材35に
おいて、35aは、基板34cに接続された電極であ
り、また35bは、グリッド状、剣山状又は平面状等の
電極である。
【0024】装置30において、光導波路34は、IT
O等の透明基板34cを、導波層34bの上方に設置し
たものであり、光源31から照射され、レンズ32によ
り平行光線に変換された照射光とミラー34aにより反
射される反射光とによって形成される干渉縞は、透明基
板34cを通って、導波層34b上に形成され、その後
は図2の装置と同様に、コヒーレンス長レベルで周期的
分極反転構造を有する光導波路を作成することができ
る。
【0025】図4は本発明の装置の他の実施態様を示す
概略図であって、40は二光束干渉法により光導波路に
分極反転構造を付与する装置である。装置40におい
て、2つの平行な光によって、光導波路上にコヒーレン
ス長レベルの干渉縞を照射するための照射手段は、光導
波路47の上方に設けられており、ランプ又はレーザ等
の光源41、照射光を平行光線に変換するためのアパー
チャー42、ミラー43a,43b,43c、スリット
46、レンズ44及び平行光線を2つに分割するビーム
スプリッター45により構成される。該照射手段におい
て、光源41から照射される照射光は、アパーチャー4
2を通過してミラー43aにより、一旦反射され、該反
射光はレンズ44を通過することにより、平行光線に変
換される。該平行光線は、ビームスプリッター45によ
って、2つの光線に分割され、それぞれの平行光線はス
リット46を通って、ミラー43b及び43cにおいて
反射し、導波層47a及び基板47bからなる光導波路
47の該導波層47a上に、干渉縞を形成する。この際
光導波路47は、ホルダー等の保持部材(図示せず)に
より固定されている。前記基板47bの下面には、高圧
電源からなる電極部48に接続される平面電極48bが
設置され、また導波層47aの上方には、電極部48に
接続される線状電極48aが設けられており、図2の装
置と同様に、電極部48により光導波路47に、予め一
定方向に分極配向した分極配向とは逆向きの電界を印加
することによって、前記選択的に温度上昇した導波層4
7b上に形成される干渉縞の明部のみが分極反転し、全
体的にコヒーレンス長レベルで周期的分極反転構造を有
する光導波路を作成することができる。このような装置
40は、大面積の光導波路を形成するのに適している。
【0026】図5は本発明の装置の他の実施態様を示す
概略図であって、図4に示す装置において、照射手段を
光導波路の下方に設置し、下方から平行光線を照射でき
るようにし、また電界の印加を加熱下に行うことができ
るように、光導波路を窓付きのオーブン等の加熱部材内
に設置した装置あり、図に示される番号は、図4におけ
る40台の番号を50台の番号に変えたものである。但
し、59は平行光線が通過する窓59a及び59bを備
える加熱部材であり、該加熱部材59内は、化学変化や
内拡散、該拡散による組成変化を防ぐために、アルゴ
ン、窒素等の不活性ガス、水蒸気、酸素、空気等により
置換されている。
【0027】図5に示される装置は、加熱部材59を備
えるので、周期的分極反転構造の付与に高温を必要とす
る場合に有効であり、またこのような加熱部材59を設
ける場合には、加熱干渉縞の熱揺らぎによる乱れを防ぐ
ために、また導波層57aに周期的分極反転構造を付与
した後、速やかに加熱した熱を逃がすために、図5に示
す装置のように、加熱部材59を照射手段の上方に設置
するのが好ましい。
【0028】
【発明の効果】本発明の光導波路は、導波層が、周期的
分極反転構造の形成前後において同一組成の光学材料で
形成されているので、屈折率が光導波路内で均一であ
り、光散乱による伝搬損失を少なくすることができ、ま
たコヒーレンス長レベルの周期的分極反転構造を有する
ので、特に二次高調波の変換高率に優れる。また本発明
の方法及び装置では、内拡散、外拡散による異種物質の
導入又は物質の放出により周期的分極反転構造を形成す
るのではなく、電界配向法及び干渉縞を利用した配向法
によりコヒーレンス長レベルの周期的分極反転構造を形
成するので、容易にしかも優れた精度で分極反転構造を
有する光導波路を製造することができる。
【0029】
【実施例】以下本発明を、実施例により更に詳細に説明
するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【実施例1】N−メチル−N−(ニトロフェニル)アミ
ノメチルスチレンポリマー[Mw=15000,Tg=
103℃,n(ω、1064nm)=1.677,n
(2ω、532nm)=1.794]をパイレックスガ
ラス基板上にスピンコーターを用いて製膜した。得られ
た基板を十分に加熱乾燥したところ、膜厚は1.8μm
であった。次いで110℃のオーブン中において、線状
電極側を正極に、基板裏面の黄銅製平面電極を負極とし
て、60MV/cmの電界を印加し、室温に冷却後電界
を除去した。次いで、図2に示される装置に前記基板を
設置して、θ=6.7度でパルス発振Nd−YAGレー
ザ(1.064μm,10mW)を数十秒間照射しなが
ら電極の正負を逆転させ60MV/cmで電界配向を行
った。照射を停止し冷却して、コヒーレンス長で交互に
周期的分極反転構造を有する光導波路を製造した。
【0031】次いで得られた光導波路について、導波試
験を行った。まず基板の入射、出射両端面を低反射コー
ティングし、20mWのTi:サファイアレーザの基本
波を端面入射させ5mm導波した後、端面出射させた。
波長を走査し836nmで疑似位相整合が実現し出射高
調は強度が最大になった。この際取り出したSH波(4
18nm)強度より求めた規格化変換効率は280%/
Wcm2であった。
【0032】
【実施例2】p−ニトロアニリンユニットをアセタール
化してポリビニルアルコールに修飾したp−NAn−P
VA[Tg=115℃,n(ω、1064nm)=1.
587,n(2ω、532nm)=1.677]をパイ
レックスガラス基板上にスピンコーターを用いて製膜し
た。得られた基板を十分に加熱乾燥したところ、膜厚は
2.2μmであった。次いで140℃のオーブン中にお
いて、針状電極側を負極に、基板裏面の黄銅製平面電極
を正極として、300MV/cmの電界を印加し、室温
に冷却後電界を除去した。次いで、図1に示される装置
に前記基板を設置して、θ=5.2度でパルス発振Nd
−YAGレーザ(1.064μm,10mW)を数十秒
間照射しながら電極の正負を逆転させ300MV/cm
で電界配向を行った。照射を停止し冷却して周期的分極
反転構造を有する光導波路を製造した。
【0033】次いで得られた光導波路について、導波試
験を行った。まず基板の入射、出射両端面を低反射コー
ティングし、20mWのTi:サファイアレーザの基本
波を端面入射させ5mm導波した後、端面出射させた。
波長を走査し840nmで疑似位相整合が実現し出射高
調は強度が最大になった。この際取り出したSH波(4
20nm)強度より求めた規格化変換効率は380%/
Wcm2であった。
【0034】
【実施例3】4−ニトロフェニルイソシアン酸イソプロ
ピル[m.p.=117℃]を溶融状態でパイレックス
ガラス基板上にスピンコーターを用いて製膜した。得ら
れた基板を十分に加熱乾燥したところ、膜厚は2.0μ
mであった。次いで100℃のオーブン中において、線
状電極側を正極に、基板裏面の黄銅製平面電極を負極と
して、10MV/cmの電界を印加し、室温に冷却後電
界を除去した。次いで、図1に示される装置に前記基板
を設置して、θ=15度でパルス発振Nd−YAGレー
ザ(1.064μm,10mW)を数十秒間照射しなが
ら電極の正負を逆転させ10MV/cmで電界配向を行
った。照射を停止し冷却して周期的分極反転構造を有す
る光導波路を製造した。
【0035】次いで得られた光導波路について、導波試
験を行った。まず基板の入射、出射両端面を低反射コー
ティングし、20mWのTi:サファイアレーザの基本
波を端面入射させ5mm導波した後、端面出射させた。
波長を走査し810nmで疑似位相整合が実現し出射高
調は強度が最大になった。この際取り出したSH波(4
05nm)強度より求めた規格化変換効率は200%/
Wcm2であった。
【0036】
【実施例4】厚さ方向にc軸(z軸)を有する単一分域
化されたLiNbO3[Tc=1200℃]の1mmの
板状試料を、図3bに示される装置のカーボン薄膜を塗
布した電極上に基板の+z面が表面となるように設置
し、光路部分が窓になっている赤外線加熱炉中に設置し
た。次いで窒素ガスで炉内を置換し、基板を500℃に
加熱した後、θ=44度で連続発振型CO2レーザ(1
0.6μm,100mW)を数十秒間照射しながら電極
の正負を逆転させ20MV/cmで電界配向を行った。
照射を停止し冷却して周期的分極反転構造を有する光導
波路を製造した。
【0037】次いで得られた光導波路について、導波試
験を行った。まず基板の入射、出射両端面を低反射コー
ティングし、20mWのTi:サファイアレーザの基本
波を端面入射させ5mm導波した後、端面出射させた。
波長を走査し800nmで疑似位相整合が実現し出射高
調は強度が最大になった。この際取り出したSH波(4
00nm)強度より求めた規格化変換効率は450%/
Wcm2であった。
【0038】
【実施例5】シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体
VDCN/VAc[Tg〜117℃]をパイレックスガ
ラス基板上にスピンコーターを用いて製膜した。得られ
た基板を十分に加熱乾燥したところ、膜厚は2.5μm
であった。次いで150℃のオーブン中において、線状
電極側を正極に、基板裏面の黄銅製平面電極を負極とし
て、650MV/cmの電界を印加し、室温に冷却後電
界を除去した。次いで、図1に示される装置に前記基板
を設置して、θ=0.8度で連続発振型CO2レーザ
(10.6μm,100mW)を数十秒間照射しながら
電極の正負を逆転させ650MV/cmで電界配向を行
った。照射を停止し冷却して周期的分極反転構造を有す
る光導波路を製造した。
【0039】次いで得られた光導波路について、導波試
験を行った。まず基板の入射、出射両端面を低反射コー
ティングし、20mWのTi:サファイアレーザの基本
波を端面入射させ5mm導波した後、端面出射させた。
波長を走査し800nmで疑似位相整合が実現し出射高
調は強度が最大になった。この際取り出したSH波(4
00nm)強度より求めた規格化変換効率は80%/W
cm2であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の光導波路の一実施態様を示す概
略斜視図である。
【図2】図2は本発明の装置の一実施態様を示す概略図
である。
【図3】図3は本発明の装置の他の実施態様を示す概略
図である。
【図4】図4は本発明の装置の他の実施態様を示す概略
図である。
【図5】図5は本発明の装置の他の実施態様を示す概略
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮田 清蔵 東京都保谷市下保谷3−18−26 (72)発明者 渡辺 敏行 東京都東久留米市本町3−11−33 (72)発明者 ハラルド・クノブロッホ 東京都小金井市中町2−24−16 東京農工 大学内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導波層がコヒーレンス長レベルの周期的
    分極反転構造を有し、該導波層が非線形光学特性を有す
    る光学材料からなり、且つ該光学材料が、周期的分極反
    転構造を形成する前後において組成が同一であることを
    特徴とする光導波路。
  2. 【請求項2】 周期的分極反転構造を有する光導波路の
    製造法であって、光導波路を電界配向法により一定方向
    に分極配向させた後、光導波路上に、コヒーレンス長レ
    ベルの干渉縞を照射又は照射・加熱しながら、前記分極
    配向とは逆向きの電界を印加して、前記照射又は照射・
    加熱部分のみを選択的に分極反転させることを特徴とす
    る周期的分極反転構造を有する光導波路の製造法。
  3. 【請求項3】 光導波路にコヒーレンス長レベルの周期
    的分極反転構造を付与する装置であって、光導波路を固
    定する保持部材と、該光導波路に電界を印加する電極部
    材と、少なくとも2つの平行な光によって、該光導波路
    上にコヒーレンス長レベルの干渉縞を照射するための照
    射手段とを備えることを特徴とする光導波路に周期的分
    極反転構造を付与する装置。
  4. 【請求項4】 更に光導波路を加熱するための加熱部材
    を備えることを特徴とする請求項3記載の光導波路に周
    期的分極反転構造を付与する装置。
JP3151773A 1991-06-24 1991-06-24 分極反転構造を有する光導波路及びその製造法並びに光導波路に分極反転構造を付与する装置 Pending JPH0643511A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002287191A (ja) * 2001-03-28 2002-10-03 Japan Science & Technology Corp フェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法
JP2010504562A (ja) * 2006-09-26 2010-02-12 キン シュウ,チャン 非線形強誘電体基板にドメイン反転構造を形成する方法及び装置
WO2019081376A1 (de) * 2017-10-24 2019-05-02 Westfälische Wilhelms-Universität Münster Herstellung ferroelektrischer domänen

Cited By (4)

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JP4578710B2 (ja) * 2001-03-28 2010-11-10 独立行政法人科学技術振興機構 フェムト秒レーザー照射による分極反転構造の作成方法
JP2010504562A (ja) * 2006-09-26 2010-02-12 キン シュウ,チャン 非線形強誘電体基板にドメイン反転構造を形成する方法及び装置
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