JPH0643033A - 放射温度測定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】装置が大型化せず、放射率の影響を除去し、放
射率補正して正しい測定物体の温度を測定する。 【構成】測定物体１に放射源２から放射する放射エネル
ギーの立体角を可変手段３で変化させ、演算手段５によ
り、このときの放射検出器４の出力から放射源２が測定
物体１上の全空間をおおったときの信号の値を推定し、
測定物体１の放射率を求め、温度を演算する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、鋼板等の測定物体の
放射率および温度を測定する放射温度測定装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】出願人は、たとえば特開昭５７−１６１
５２１号（特公昭６３−４６５１号）にあるように、比
較熱板（補助熱源、放射源）と測定物体との距離を変化
させたときの放射検出器の出力変化から測定物体の放射
率を求める方法を提案している。また、おわん状の熱源
を拡散面をもつ測定物体に近接させ、熱平衡状態として
測温する方法もある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、比較熱
板を駆動させると装置が大型なものとなってしまい、ま
た、熱源を測定物体に近接させるとオフラインでの連続
測定は困難である等の問題点があった。

【０００４】この発明の目的は、以上の点に鑑み、より
簡易に、装置が大型化することなく、放射率を求め、放
射率の影響を除去し、放射率補正して測温ができるよう
にした放射温度測定装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、放射源から
測定物体に放射する放射エネルギーの立体角を可変手段
で変化させ、演算手段によりこのときの放射検出器の出
力に基き放射源が測定物体上の全空間をおおったときの
信号の値を推定し、測定物体の放射率、温度を演算する
ようにした放射温度測定装置である。

【０００６】

【実施例】図１は、この発明の一実施例を示す構成説明
図である。

【０００７】図において、１は、測定物体、２は、測定
物体１に放射エネルギーを放射するたとえば平板状の所
定温度とされた放射源、３は、放射源２が測定物体１に
放射する放射エネルギーの立体角θを可変とするため図
示しない駆動機構で開度を変化させることができる絞り
等の可変手段、４は、測定物体１からの放射エネルギー
を検出する放射検出器、５は、放射検出器４の出力、可
変手段３の開度情報等から所定の演算を行うマイクロコ
ンピュータのような演算手段である。なお、放射検出器
４は、放射源２からの放射エネルギーが測定物体１で反
射して入射する対称的な位置に設けられている。

【０００８】ここで、測定物体１の温度をＴ、放射率を
ε、放射源２の温度をＴｒ、放射率をεｒとし、可変手
段３の温度を水冷等で十分低くして可変手段３からの放
射エネルギーを無視しうるものとし、温度Ｔの黒体相当
の放射エネルギーをＬ（Ｔ）とする。

【０００９】可変手段３により放射源２から測定物体１
へ放射する放射エネルギーの立体角がθのときの放射検
出器４の出力から、立体角θが０のときの出力を引いた
信号Ｅ（θ）が図２に示されている。

【００１０】つまり、θ＝０、θｎ（任意の立体角）の
ときの放射検出器４の出力Ｅｏ、Ｅｎ、は次式となる。

【００１１】 Ｅｏ＝εＬ（Ｔ） （１） Ｅｎ＝εＬ（Ｔ）＋ｆ（１−ε）εｒＬ（Ｔｒ） （２） Ｅ（θ）＝Ｅｎ−Ｅｏ ＝ｆ（１−ε）εｒＬ（Ｔｒ） （３） ここでｆは放射源２の寄与度である。立体角が０、θ
１、θ２…、θｎと連続または断続的に可変手段３によ
り変化させると、図２のようにプロットされ、θ＝２π
の放射源２が測定物体１上の全空間をおおったと想定さ
れるときの値Ｅが推定される。このときｆ＝１なので次
式が成り立つ。

【００１２】 Ｅ＝（１−ε）εｒＬ（Ｔｒ） （４） これより、 ε＝１−Ｅ／εｒＬ（Ｔｒ） （５） となり、εｒは既知、Ｌ（Ｔｒ）は、あらかじめ放射源
２の温度Ｔｒを熱電対等の温度計で求めておけば既知で
あり、放射率εは求まる。

【００１３】この（５）式から求めた放射率εを（１）
式に代入して温度Ｔが求まる。この一連の演算は演算手
段５により行う。つまり、あらかじめ、図２のような立
体角θとこれに関する信号Ｅ（θ）との関係を、可変手
段３の開度を変化させて求め、次いで、Ｅを推定して
（５）式より放射率を求め、（１）式等より温度Ｔを演
算する。

【００１４】なお、図２のグラフの代わりに、立体角θ
と放射検出器４の出力Ｅｎとの関係を用いても、同様で
ある。

【００１５】

【発明の効果】以上述べたように、この発明は、放射源
が放射する放射エネルギーの立体角を変化させることに
より、全空間をおおったときの値を推定して測温してい
るので、放射源を測定物体に接近させることなく離して
設置でき、オンラインでの連続測定が容易にでき、ま
た、放射源を駆動する必要もなく、装置が大型化せず、
放射率の影響を除去し、放射率補正された正しい測定物
体の温度を測定することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す構成説明図である。

【図２】この発明の立体角とこれに関する信号との関係
図である。

【符号の説明】

１ 測定物体 ２ 放射源 ３ 可変手段 ４ 放射検出器 ５ 演算手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】測定物体へ放射エネルギーを放射する放射
   源と、測定物体からの放射エネルギーを検出する放射検
   出器と、前記放射源が測定物体に放射する放射エネルギ
   ーの立体角を可変とする可変手段と、この可変手段によ
   り放射エネルギーを変化させたときの放射検出器の出力
   に基き放射源が測定物体上の全空間をおおったとしたと
   きの信号の値を推定し、この値を用いて放射率を求め、
   測定物体の温度を演算する演算手段とを備えた放射温度
   測定装置。