JPH0642915Y2 - 自動車のルーフ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車のルーフ構造に関し、特に、ルーフパ
ネルの前端部における内装材の取付けに係るものであ
る。

（従来の技術） 一般に、自動車のルーフの構造としては車体の外板とな
るルーフパネルと、該ルーフパネルの車室面に装着され
る可撓性を有する内装材としてのルーフヘッドライニン
グとで構成され、上記ルーフパネルの前端部、即ち、フ
ロントガラスとの接合位置付近においてルーフヘッドラ
イニングの前端部が取付けられている。そして、そのル
ーフヘッドライニング前端の取付け構造としては従来、
実開昭56−6678号公報に示されているように、ルーフヘ
ッドライニングをルーフパネルとフロントヘッダパネル
等との間に挾持させて取付けるものが一般的であった。
また、近年、このルーフパネルの前端部付近のデザイン
性の向上と走行時の空力特性を向上させることを目的と
して、第２図に示すように、ルーフパネル５の前端付近
の一部を上方へ突出させた突出部5aを形成したものが注
目されている。そして、この構成におけるルーフヘッド
ライニング６の取付け構造にあってもルーフパネル５と
破線Ａで示すような形状のフロントヘッダパネルとの間
に挾持されて取付けられているものであった。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記の構成においてはルーフヘッドライニング
を挾持するルーフパネルとフロントヘッダパネルとは、
上記突出部の下方には空間部が形成されているために該
突出部の折曲位置即ち、該突出部の後端位置でなければ
挾持が行えないものであり、従って、該後端位置までフ
ロントヘッダパネルを延長させる必要があり、デザイン
上好ましくないばかりでなく、車室内、特に乗員の頭部
周辺のスペースを狭くするものであった。

そこで、本考案は、この突出部を有するルーフ構造にお
いて、ルーフヘッドライニングの取付けに支障を来たす
ことなくフロントヘッダパネルを小さく形成することが
可能な構成を得ることを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、ルーフヘッドラ
イニングの前端部をルーフパネルを使用することなく突
出部の下方において支持するようにした。具体的には、
ルーフパネルの前縁近傍に上方へ突出する突出部が形成
された自動車のルーフを前提としている。そして、上記
突出部の下方において車幅方向に延設されて前端が上記
ルーフパネルの前縁に接合されるフロントヘッダパネル
を設け、上記ルーフパネルの室内側に配設される内装材
の前端部を上記フロントヘッダパネルの後端部よりも前
方へ延長させる。更に、上記内装材の前端部を、上記突
出部の下方において内装材保持手段によって保持させ、
該内装材保持手段を、少なくとも内装材下面に当接され
た上記フロントヘッダパネルの一部を備えさせて構成す
るようにしている。

（作用） 上記構成による本考案の作用は、内装材保持手段によっ
て内装材の前端部がルーフパネルの突出部の下方におい
て保持されていることにより、従来の如くフロントヘッ
ダパネルを突出部の後端まで延長させるような構成を採
用することなしに、フロントヘッダの小型化を図りなが
ら内装材の前端部の保持構造が得られる。

（第１実施例） 次に、本考案における第１実施例について図面に沿って
説明する。

第１図に示すように、本考案に係る車体の前端付近はフ
ロントヘッダ１、フロントピラー２、ルーフサイドレー
ル３で成る車体フレームにフロントウインド４、ルーフ
パネル５、ルーフヘッドライニング（本案でいう内装
材）６が装着されてなる。以下に、これら各部材につい
て説明する。

フロントヘッダ１は、上記ルーフパネル５の下方に配設
されて車室内の天井部の前端を構成し、金属製の薄膜が
折曲されて車幅方向に延設されたフロントヘッダパネル
1aで形成されている。また、該フロントヘッダ１はその
両端が車体前後方向に延びるルーフサイドレール３のル
ーフサイドレールインナ3aおよび車体上下方向に延びる
フロントピラー２のフロントピラーインナ2aと一体的に
溶着されている。尚、ルーフサイドレール３はルーフサ
イドレールインナ3aとルーフサイドレールアウタ3bとが
溶着されて閉断面が構成されて成り、また、フロントピ
ラー２もそのインナ2aとアウタ2bとが閉断面を構成する
ように溶着されて成っている。

ルーフパネル５は車体のルーフを構成するものであっ
て、その前端近傍はデザイン性および空力特性が考慮さ
れて上方に突出する突出部5aに形成されている。そし
て、該ルーフパネル５の前端縁は上記フロントヘッダパ
ネル1aの前端縁に溶着されると共に、ウエザーストリッ
プ７を介してフロントウインド４が取付けられている。

ルーフヘッドライニング６は、可撓性を有する布材若し
くは樹脂製シート材でなり、上記ルーフパネル５の室内
面5bに装着されており、その前端部6aは上記突出部5aの
下方でフロントヘッドパネル1aの後端部よりも前方まで
延長されていて、該フロントヘッダパネル1a付近におい
て支持されている。そして、本考案の特徴とする所は、
このルーフヘッドライニング６の前端部6aの支持構造で
ある。

次に、この構造について説明する。

第２図に示すように、ルーフヘッドライニング６は突出
部5aの下方でその車体前後方向の中央部付近まで延長さ
れていると共に、その上面6cには金属製若しくはプラス
チック製のハードボード８が固着されている。該ハード
ボード８は上記突出部5aの下方を閉鎖するべく該突出部
5aに対向して車幅方向に延設されており、その後端部8a
周辺がルーフヘッドライニング６の上面6cに接着剤によ
って接着されている。また、上記突出部5aの後端5cには
ゴム製のスペーサ９が車幅方向に間欠的に嵌装されてい
ることにより、ハードボード８の後端部8aは該スペーサ
９とルーフヘッドライニング６との間に介設されてい
る。尚、該スペーサ９の形状は予め所定寸法に形成され
ており、上記突出部5aより後方のルーフパネル５とハー
ドボード８とが一直線上に配設され、ルーフヘッドライ
ニング６の室内面即ち、下面6dに段差が生じないように
構成されている。一方、ルーフパネル５の前端に溶着さ
れているフロントヘッダパネル1aはその後端がルーフヘ
ッドライニング６の前端部6aまで延長されると共に、車
体前方に折曲されたフロントヘッダ１の後端部としての
折曲部1bが設けられており、該折曲部1b周辺がルーフヘ
ッドライニング６の下面6dに当接されている。従って、
該部におけるルーフヘッドライニング６の前端部6aはハ
ードボード８によってフロントヘッダパネル1aに押圧さ
れており、即ち、このルーフヘッドライニング６の前端
部6aはフロントヘッダパネル1aとハードボード８との間
で挾持されていることになる。このような構成によって
本考案でいう内装材保持手段が構成されている。つま
り、この内装材保持手段はフロントヘッダパネル1aとハ
ードボード８とによって構成されていることになる。従
って、この構成によれば従来第２図の破線Ａに示すよう
な形状としてルーフパネル５との間でルーフヘッドライ
ニング６を挾持していたフロントヘッダパネル1aが車体
前後方向に短く形成でき、小型化されることになり、見
映えが向上されると共に、車室内、特に乗員の頭部付近
が広くなる。

また、上記のスペーサ９を不要とさせる構成として第３
図に示すようなルーフパネル５の形状を採用することも
できる。この場合、ハードボード８の後端部8aはルーフ
パネル５とルーフヘッドライニング６との間に介設され
ている。

（第２実施例） 次に、本考案の第２実施例を第４図に基づいて説明す
る。

本例のものは、ハードボードおよびルーフヘッドライニ
ングの形状が第１実施例のものと異っているものである
ために、特に、その相違点について説明する。

第４図に示すようにハードボード８は、上記フロントヘ
ッダパネル1aの折曲部1bの形状に対応した略コ字状の断
面形状で構成され、その下面8bがルーフヘッドライニン
グ６に接着されている。従って、ハードボート８が接着
されたルーフヘッドライニング６をフロントヘッダ１へ
装着する際には、上記コ字状部分をフロントヘッダパネ
ル1aの折曲部1bに係止させるのみで装着されることにな
り、装着作業が簡単なものである。その他の構成は第１
実施例のものと略同様である。従って、本例にあっても
内装材保持手段はフロントヘッダパネル1aとハードボー
ド８とによって構成されていることになる。

（第３実施例） 次に、本考案の第３実施例を第５図に基づいて説明す
る。

本例のものは、第５図に示すように、金属製のハードボ
ード８の前端部8cをルーフパネル５とフロントヘッダパ
ネル1aとの間に挾持して一体的に溶着させたものであ
る。その他の構成は第１実施例で述べたものと略同様で
ある。この構成によれば、ハードボード８がルーフパネ
ル５から離脱することがないためにルーフヘッドライニ
ング６の保持性の向上が図れるものである。従って、本
例にあっても内装材保持手段はフロントヘッダパネル1a
とハードボード８とによって構成されていることにな
る。

（第４実施例） 本例のものは、第６図に示すように、フロントヘッダパ
ネル1aの折曲部1b周辺の形状を変更させて、該フロント
ヘッダパネル1aにハードボード８の役割を持たせたもの
である。即ち、フロントヘッダパネル1aをＳ字状に折曲
してその一部に形成された凹部1cにルーフヘッドライニ
ング６を挾持させたものである。即ち、ルーフヘッドラ
イニング６は、その下面がルーフヘッダパネル６の折曲
部1b周辺に当接されている一方、その上面が、フロント
ヘッダパネル1aに一体的に形成された押圧部1dに当接さ
れ、この押圧部1dがルーフヘッドライニング６の前端部
を折曲部1b周辺に向って押圧することによって該ルーフ
ヘッドライニング６の前端部が保持されている。この構
成によれば、別部材としてのハードボードを採用するこ
となく、フロントヘッダパネル1aがハードボードの作用
をなし、部品点数が減少される。従って、本例にあって
は内装材保持手段はフロントヘッダパネル1aのみで構成
されている。つまり、このフロントヘッダパネル1aの折
曲部1bと押圧部1dとがルーフヘッドライニング６の前端
部を挾持することによって構成されていることになる。

（考案の効果） 上述したように、本考案によれば、内装材保持手段によ
って内装材の前端部をルーフパネルの突出部の下方にお
いて保持するようにし、この内装材保持手段の構成部材
としてフロントヘッダパネルを利用するようにしたため
に、フロントヘッダパネルを突出部の後端まで延長させ
る必要がなく、比較的低コストでしかも重量を大きくす
ることなくフロントヘッダの小型化を図りながら内装材
の前端部を保持することができ、車室内における見映え
が向上されると共に、乗員の頭部周辺が広くできるもの
である。また、組立て作業性も良いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本考案の第１実施例を示し、第１図は
車室内の一部破断斜視図、第２図はルーフパネル前端部
周辺の縦断面図、第３図はルーフパネルの変形例を示す
図である。第４図は本考案の第２実施例における第２図
と同部分の図、第５図は本考案の第３実施例における第
２図と同部分の図、第６図は本考案の第４実施例におけ
る第２図と同部分の図である。 1a…フロントヘッダパネル、５…ルーフパネル、5a…突
出部、６…ルーフヘッドライニング（内装材）、6a…前
端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ルーフパネルの前縁近傍に上方へ突出する
   突出部が形成された自動車のルーフにおいて、上記突出
   部の下方において車幅方向に延設されて前端が上記ルー
   フパネルの前縁に接合されるフロントヘッダパネルが設
   けられ、上記ルーフパネルの室内側に配設される内装材
   の前端部は上記フロントヘッダパネルの後端部よりも前
   方へ延長されており、該内装材の前端部は、上記突出部
   の下方において内装材保持手段によって保持されてお
   り、該内装材保持手段は、少なくとも内装材下面に当接
   された上記フロントヘッダパネルの一部を備えて構成さ
   れていることを特徴とする自動車のルーフ構造。