JPH064222B2 - 吸振器式砥石カバ− - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、各種の研削盤に利用される吸振器式砥石カバ
ーに関するものである。

従来の技術 一般に研削盤においては、砥石車と工作物との間の相対
剛性が仕上面の質に大きな影響がある。例えば、平面研
削盤においては、ベツトとコラムと砥石軸頭とでＵ字形
をしており、他の工作機械に比べると砥石車と工作物と
の間の相対剛性がかなり低いものである。そのため、い
わゆる音叉モードの揺動が発生し易く、仕上面に縦縞等
のひびりマークが生じ易いものである。

このようなひびりマークの発生を抑制する手段として、
従来第３図に示す装置が存する。すなわち、平面研削盤
１はテーブル２を保持するベツト３にコラム４を立設
し、このコラム４に砥石軸頭５を取付けた通常のもので
ある。この砥石軸頭５の先端には、砥石カバー６で覆わ
れた砥石車７が取付けられているとともにその砥石軸頭
５の基部には砥石軸モータ８が取付けられている。しか
して、前記コラム４の背面にはブラケツト９が固定さ
れ、このブラケツト９の上にダンパー装置１０が取付け
られている。このダンパー装置１０は上方開口の容器１
１内に油１２をいれ、前記容器１１の上縁に一端を固定
して板ばね１３を設け、この板ばね１３の自由端に所定
質量の重錘１４を固定し、この重錘１４を前記油１２の
中に浸漬させたものである。

このような構成によりなる平面研削盤１は、ダンパー装
置１０が自由度形吸振器として作用するので、板ばね１
３のばね定数、油１２の粘度等の各種の条件を適宜設定
すれば、平面研削盤１の振動を相当に抑制することがで
きるものである。

発明が解決しようとする問題点 前述のようにコラムにダンパー装置を設けることは、そ
の振動抑制にかなり効果的なものであるが、砥石車の位
置とダンパー装置の位置とがかなり離れているため両者
間の距離が一つの振動系を構成し、砥石車の研削面での
振動発生を有効に抑制することはできないものである。

この観点によれば、ダンパー装置を砥石車に近接した位
置に設ければよいが、砥石車の近傍は作業面に近く、ス
ペース的な余裕がないためにダンパー装置を取付けるこ
とは困難である。

問題点を解決するための手段 砥石車が破壊した場合の防護として一般にはその砥石車
の周囲に砥石カバーが設けられている点に着目し、この
砥石カバーを所定の質量をもって形成し、所定のばね定
数の板ばねを介してこの砥石カバーを砥石軸頭に固定す
るとともにその砥石軸頭と砥石カバーとの間にダンパー
を介在させて吸振器を構成する。

作用 板ばねのばね定数と砥石カバーの質量とダンパーの吸振
状態とを研削盤固有の振動数に対応させて調整しておく
ことにより、砥石車に近接し対置で有効に振動発生を抑
制し、しかも、本来は砥石カバーであるため、砥石車近
傍のスペースを取ることなく設定することができるもの
である。

実施例 本発明の一実施例を第１図及び第２図に基づいて説明す
る。まず、ベツト１５の前方上面には互いに直交する方
向に移動するサドル１６とテーブル１７とが設けられ、
その後方にはコラム１８が立設されている。このコラム
１８には砥石軸頭１９が上下動自在に取付けられ、この
砥石軸頭１９の先端には砥石車２０が取付けられてい
る。

しかして、前記砥石軸頭１９の先端部の上面には、ボル
ト２１により板ばね２２の一端が固定されている。この
板ばね２２の自由端側には前記砥石車２０を覆う砥石カ
バー２３がボルト２４により固定されている。この砥石
カバー２３は前記砥石車２０の周囲を覆うカバー部２５
と所定の質量を得るための重錘２６とよりなる。

ついで、前記砥石軸頭１９と前記板ばね２２との間には
ダンパー２７が設けられている。このダンパー２７は前
記砥石軸頭１９に固定された上方開口の容器２８とこの
容器２８内に充填される油２９と前記板ばね２２に固定
されて前記油２９に浸漬されるプランジャー３０とより
なる。

このような構成において、砥石カバー２３は砥石車２０
を囲繞しているため、砥石車２０が破壊した場合の防護
装置として作用しているが、それ自身が所定の質量に設
定され、板ばね２２に保持されていることにより吸振器
として機能する。すなわち、研削盤のベツト１５と砥石
軸頭１９との音叉形モードの固有振動数と砥石カバー２
３の固有振動数とが一致するように調節されている。ま
た、プランジャー３０と容器２８との隙間を調節して最
適吸振状態にする。

なお、研削盤の形式は第１図と第３図との図面でも分か
るように所謂サドル形でもコラム形でもよいものであ
る。また、ダンパー２７の具体的構造の油も粘性を利用
するものに限定されるものではなく、電磁的な減衰作用
を利用したもの等の利用は可能なものである。

発明の効果 本発明は、上述のように砥石カバーを板ばねを介して砥
石軸頭に取付け、その砥石カバーまたは板ばねと砥石軸
頭との間にダンパーを設けたので、砥石車の近傍で振動
を吸振することができるため、きわめて有効に振動発生
を抑制することができ、これにより、仕上面にひびりマ
ークが発生することを防止することができ、また、作業
空間である砥石車周辺のスペースを減少させることもな
く、外観も良好にすることができる等の効果を有するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す側面図、第２図は要部
を拡大して示す縦断側面図、第３図は従来の一例を示す
側面図である。 １９…砥石軸頭、２０…砥石車、２２…板ばね、２３…
砥石カバー、２７…ダンパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】砥石車を保持する砥石軸頭に前記砥石車の
   外周を覆う砥石カバーを取付けた研削盤において、前記
   砥石軸頭に一端を固定した板ばねを設け、この板ばねの
   自由端側に所定質量に設定された砥石カバーを連結し、
   この砥石カバーまたは前記板ばねと前記砥石軸頭との間
   にダンパーを設けたことを特徴とする吸振器式砥石カバ
   ー。